JPH05329301A - 天然固体原料の可溶物抽出方法および可溶物抽出装置 - Google Patents

天然固体原料の可溶物抽出方法および可溶物抽出装置

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JPH05329301A
JPH05329301A JP16006492A JP16006492A JPH05329301A JP H05329301 A JPH05329301 A JP H05329301A JP 16006492 A JP16006492 A JP 16006492A JP 16006492 A JP16006492 A JP 16006492A JP H05329301 A JPH05329301 A JP H05329301A
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仁 重松
Nobuo Okabayashi
信夫 岡林
Makoto Ouchi
誠 大内
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、天然固体原料の加湿あるいは
乾燥等の処理を行なう必要がないとともに、原料から所
望量の可溶物を効率良く抽出することのできる可溶物抽
出方法および可溶物抽出装置を提供することにある。 【構成】この発明に係る可溶物抽出方法によれば、超臨
界状態の不活性抽出剤に水を供給し、供給された水と不
活性抽出剤とをスタティックミキサ24により混合して
不活性抽出剤に水を添加するとともに、不活性抽出剤へ
の給水量を調整して不活性抽出剤の含水率を調整してい
る。この発明に係る可溶物抽出装置は、不活性抽出剤に
給水するポンプ44と、供給された水と不活性抽出剤と
を混合するスタティックミキサ24とを備え、ポンプに
よって給水量を調整することにより不活性抽出剤の含水
率を調整している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、超臨界状態の不活性
抽出剤を用いて、天然固体材料から可溶物を抽出する可
溶物抽出方法および可溶物抽出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、たばこ、紅茶、コーヒー等の天然
固体原料からニコチン、カフェイン等の可溶物を取り除
く方法として、超臨界状態の不活性抽出剤を原料を通し
て流すことにより、原料中の可溶物を抽出剤に溶解させ
て抽出する方法が知られている。不活性抽出剤として、
例えば、二酸化炭素を加圧していくと密度が上昇し液体
あるいは超臨界(31.1℃以上、75.3kg/cm
2 以上)状態となり、物質を溶解する能力が向上する。
そして、このような超臨界状態の二酸化炭素(CO2 )
を例えばたばこ原料と接触させることにより、原料中の
ニコチンがCO2に溶解する。その後、ニコチンを含有
したCO2 は、減圧あるいは加熱によって膨張されるこ
とにより密度が低下して溶解力が低下し、ニコチンを析
出する。
【0003】一方、水を不活性抽出剤と併用することに
より、原料から可溶物を効率良く抽出できることが知ら
れている。そのため、従来では、例えばたばこからニコ
チンを抽出する場合、たばこ原料に加湿するか、あるい
は、水を含有したCO2 を用いて抽出を行なうか、更に
は、その両方を併用する方法が取られている。一例とし
て、特公昭51-9838 号公報には、水の貯められた水槽を
通してCO2 を流すことにより、CO2 に水を添加する
方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、原料を
加湿する場合、加湿工程を実施するための設備が必要と
なり、抽出設備全体が大型化し処理時間も長くなる。ま
た、加湿することにより水分が、例えば、20%程度ま
で増加した原料は、変質し易くなり、貯蔵場所や貯蔵期
間が限定される。更に、水分を多く含んだ原料は、抽出
器に充填された際に固着し易く、固着した場合には、抽
出剤の偏流を起して処理後の原料の可溶物除去率が不均
一となる。
【0005】水槽内の水を通すことにより抽出剤に水を
添加する場合、水槽として、原料の処理圧力と同等の圧
力に耐えられる耐圧容器を用いる必要があり、処理装置
が高価になるとともに、容器の容量も大規模となる。ま
た、この方法の場合、抽出剤への加水量を調整すること
ができず、抽出剤は飽和に近い状態で水を含有してい
る。そのため、処理後の原料は多量の水分を含むことに
なり、その取扱いが困難になるとともに、乾燥等の後処
理工程も必要となる。更に、不活性抽出剤には、フロ
ン、亜酸化窒素等の水が溶解しにくいものもあり、上記
従来の方法では、このような抽出剤に充分な水を添加す
ることができないという問題もある。
【0006】そこで、この発明の目的は、天然固体原料
の加湿あるいは乾燥等の処理を行なう必要がないととも
に、原料から所望量の可溶物を効率良く抽出することの
できる可溶物抽出方法および可溶物抽出装置を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の抽出方法によれば、超臨界状態の不活性
抽出剤に水を供給し、供給された水と不活性抽出剤とを
ラインミキサにより混合して不活性抽出剤に水を添加す
るとともに、不活性抽出剤への給水量を調整して不活性
抽出剤の含水率を調整している。
【0008】また、この発明の抽出装置は、天然固体原
料を収容した抽出容器と、上記抽出容器を通して超臨界
状態の不活性抽出剤を流す流通手段と、上記抽出容器の
流入側に設けられ、上記不活性抽出剤に水を供給する給
水手段と、上記抽出容器の流入側に設けられ、上記供給
された水と不活性抽出剤とを混合するラインミキサと、
上記不活性抽出剤への給水量を調整して上記不活性抽出
剤の含水率を調整する調整手段と、を備えている。ライ
ンミキサは、配管中で水と不活性抽出剤とを混合する手
段であり、邪魔板、機械的撹拌機等を有する種々のタイ
プのものが知られているが、特に好ましくは、スタティ
ックミキサである。
【0009】
【作用】この発明にかかる抽出方法によれば、処理され
る天然固体原料の状態あるいは、処理後の原料の含水率
あるいは水分値、ニコチン含有率等を考慮して不活性抽
出剤の含水率を自由に調整することができる。それによ
り、加湿等の前処理工程あるいは乾燥等の後処理工程を
省略することができ、敏速な処理が可能となる。また、
水が溶解混合しにくい不活性抽出剤に対しても水を容易
に添加することができ、使用可能な抽出剤の範囲を拡大
することができる。
【0010】また、この発明にかかる抽出装置によれ
ば、調整手段により不活性抽出剤の含水率を調整するこ
とができ、原料から可溶物を効率よく抽出できるととも
に、所望の水分値および可溶物含有率を有する天然固体
原料を提供することができる。そして、加湿装置、乾燥
装置等を設ける必要がなく、装置の小型化およびコスト
の低減を図ることができる。
【0011】
【実施例】以下図面を参照しながら、この発明の実施例
について詳細に説明する。
【0012】まず、この発明をたばこ原料からニコチン
を抽出するニコチン抽出装置に適応した実施例について
説明する。
【0013】図1に示すように、抽出装置は、原料とし
てのたばこ刻みが収容された抽出容器10を備え、この
抽出容器は、抽出容器内を通して不活性抽出剤としての
二酸化炭素(CO2 )を流すための閉塞回路12内に接
続されている。閉塞回路12は貯蔵タンク14を備え、
この貯蔵タンクには図示しない供給源から弁15および
第1の熱交換器17を介してCO2 が所定量供給され
る。CO2 は、第1の熱交換器に17によって冷却さ
れ、液化した状態で貯蔵タンク14に収納される。貯蔵
タンク14は、流量計16および第2の熱交換器18を
介して、第1のポンプ20の吸入口に接続されている。
第1のポンプ20は、可変容量型の液体ポンプで構成さ
れ、その吐出口は、第3の熱交換器22およびラインミ
キサとしてのスタティックミキサ24を介して抽出容器
10の下端に接続されている。
【0014】抽出容器10の上端部は、第1の圧力調整
弁26および第4の熱交換器27を介して分離器28に
接続され、分離器は、更に、第2の圧力調整弁30、ガ
ス精製器32および第5の熱交換器34を介して貯蔵タ
ンク14に接続されている。閉塞回路12を構成する上
述の要素は流通パイプ36により接続され、この発明に
おける流通手段を構成している。
【0015】図2に示すように、スタティックミキサ2
4は、流通パイプ36とほぼ同径の本体パイプ38と、
本体パイプ内にその軸方向に沿って配設された撹拌羽根
40とを備えている。本体パイプ38の各端はフランジ
38aを有し、このフランジにより流通パイプ36にそ
れぞれ連結されている。それにより、本体パイプ38
は、CO2 が流れる流通パイプ36の一部を構成してい
る。
【0016】撹拌羽根40は、矩形の板材を180度捻
って形成された3つの第1の要素40aと、同様に、矩
形の板材を第1の要素と反対の方向へ180度捻って形
成された3つの第2の要素40bと、を有し、第1の要
素と第2の要素とは交互に配列され、かつ、互いに90
度の角度をもって連結されている。
【0017】本体パイプ38の上流側端部には給水パイ
プ42を介して第2のポンプ44が接続されている。第
2のポンプ44は、可変容量型の流体ポンプからなり、
スタティックミキサ24への給水量、つまり、加水量を
自由に調整可能となっている。そして、第2のポンプ4
4は、CO2 に水を供給する供給手段および給水量を調
整する調整手段を構成している。
【0018】上記のように構成されたニコチン抽出装置
を用いてたばこ原料からニコチンを抽出する方法につい
て説明する。
【0019】まず、所定量のCO2 が貯蔵タンク14に
供給された後に弁15が閉じられ、続いて、第1のポン
プ20が作動される。すると、CO2 は貯蔵タンク14
から流量計16を介して第2の熱交換器18に流入し、
ここで再度冷却されて完全に液化される。そして、CO
2 は第1のポンプ20で所定の圧力に圧縮された後に第
3の熱交換器22に流入し、ここで約70℃に加熱され
て超臨界状態(31.1℃以上、75.3kg/cm2
以上)となる。超臨界状態のCO2 はスタティックミキ
サ24に流入する。同時に、スタティックミキサ24に
は、第2のポンプ44により所望の量に調整された水が
供給される。従って、CO2 および水は、スタティック
ミキサ24内を通って一緒に流れ、その際、撹拌羽根4
0の第1の要素40aにより例えば時計方向へ旋回さ
れ、第2の要素40bにより半時計方向へ旋回される。
そして、水は、CO2 と共に反転を繰り返しながらスタ
ティックミキサ24内を流れCO2 に混合溶解され、所
望の含水率を有するCO2 がスタティックミキサから流
出される。CO2 の含水率は、第2のポンプ44により
スタティックミキサ24への給水量を調整することによ
り、所望の値に設定することができる。好ましい含水率
は、各抽出温度および抽出圧力におけるCO2への水の
飽和溶解量の50〜70%、最も好ましくは60%であ
る。例えば、抽出容器内の抽出温度が60℃、抽出圧力
が300kg/cm2 の条件で抽出を行なう場合には、
水の添加量は、1.9〜2.7/kg−CO2 が好まし
い。
【0020】また、抽出容器内な抽出温度は、好ましく
は50〜80℃であり、抽出圧力は150〜300kg
/cm2 であることが好ましい。
【0021】続いて、水を含有した超臨界状態のCO2
は抽出容器10に流入し抽出容器内のたばこ刻み内を流
通する。その際、たばこ刻み内のニコチンはCO2 に溶
解し、たばこ刻みから抽出される。ニコチンを含有した
CO2 は、抽出容器10から第1の圧力調整弁26を通
り、ここで減圧される。減圧されることによりCO2の
溶解力が低下し、CO2 からニコチンが析出される。そ
して、CO2 は第4の熱交換器27を介して分離器28
に流入し、これらの熱交換器および分離器内で加熱され
て気化し水およびニコチンと分離される。析出した抽出
物質としてのニコチンおよび水は分離器28内に貯留さ
れ、抽出処理の終了後あるいは抽出処理中、弁46を介
して抽出装置の外方へ排出される。
【0022】ニコチンが分離されたCO2 は、第2の圧
力調整弁30により更に減圧された後にガス精製器32
に流入し、ここでCO2 内に残留する水分および揮発性
成分等が除去されて精製される。精製器32内には、モ
レキュラーシーブ、活性アルミナ、シリカゲル、硫酸マ
グネシウム等の充填剤が充填されている。精製済みのC
O2 は第5の熱交換器34で冷却されて液化した後、貯
蔵タンク14へ戻される。
【0023】以上の工程を所定時間繰り返すことによ
り、抽出容器10内のたばこ刻みからニコチンが抽出さ
れ、所望のニコチン含有率を有するたばこ刻みが生成さ
れる。
【0024】本願の発明者は、CO2 への水の添加方法
とニコチン除去率および処理後の原料の品質特性との関
係を調べるために、3種類の添加方法を用い、他は同一
条件としてニコチン抽出処理試験を行なった。
【0025】試験1では、上述した本実施例に係るニコ
チン抽出装置および抽出方法を用い、原料として製品用
に裁刻したたばこ刻み(ブレンド品、ニコチン含有率
2.2乾燥重量%)300gを内容積4リットルの抽出
容器に収容した。抽出容器に収納したたばこ刻みの水分
値は12.3重量%であり、取扱いに適した水分域にあ
る。この抽出容器を通してCO2 を抽出温度70℃、抽
出圧力300kg/cm2 、流速320g/minで
2.5時間流してニコチンの抽出を行なった。その際、
スタティックミキサの上流側端部に2.86g/kg−
CO2 の割合で水を供給してCO2 に混合溶解し、抽出
容器へ供給した。
【0026】試験2では、原料のたばこ刻み(水分値1
2.3重量%)にスプレー法により予め22.7重量%
まで加湿し、ポリプロピレン袋にいれて一夜放置したも
のを抽出容器に収容し、この抽出容器を通して無加水の
CO2 を流した。
【0027】試験3では、たばこ刻みを収容した抽出容
器の上流側に設置した水槽(内径10cm、高さ50c
m)に高さ10cmに水を溜め、水槽下部より温度70
℃、圧力300kg/cm2 の所定量のCO2 を流して
水を溶解させた後、抽出容器に供給した。
【0028】以下に示す表1は、各試験におけるニコチ
ン除去率と処理後のたばこ刻みの水分値を示している。
表1から分かるように、原料を予め加湿する試験2の場
合、他の2つの方法に比較してニコチン除去率がかなり
低くなる。また、処理後のたばこ刻みの水分値も3.8
重量%と非常に低くなり、抽出容器から取り出す際にた
ばこ刻みの破砕が多数生じた。水槽を通してCO2 に添
加する試験3の場合、ニコチン除去率は99%と最も優
れているが、処理後のたばこ刻みは水分値が23.3重
量%と非常に高く、取扱い上および品質上問題がある。
【0029】これに対して、スタティックミキサを用い
てCO2 に水を添加する試験1の場合、ニコチン除去率
は試験3の場合とほとんど変わらず、処理後のたばこ刻
みの水分値も14.7重量%となり取扱い上および品質
上も許容できる値が得られた。
【0030】 表1 試験 原料刻みの CO2 へ 処理後刻み ニコチン 摘要 NO. 水分値(%) の添加法 水分値(%) 除去率(%) 1. 12.3 スタテツクミキサ 14.7 97 2. 12.3 水槽 23.3 99 3. 22.7 なし 3.8 75 原料加湿 更に、発明者は、CO2 への加水量と処理後のたばこ原
料の水分値及びニコチン除去率との関係を調べるため、
上記実施例と同一の抽出装置および抽出方法を用い、原
料としてたばこ刻み(ニコチン含有率2.1乾燥重量
%、水分値12.0重量%)300gを抽出容器に収容
した。そして、抽出容器を通してCO2 を抽出温度70
℃、抽出圧力300kg/cm2 、流速320g/mi
nで2.5時間流してニコチンの抽出を行なった。その
際、CO2 への加水量を種々変更して抽出を行なった。
表2は、各加水量における抽出試験の結果を示してい
る。なお、温度70℃、圧力300kg/cm2 でのC
O2 の水の飽和溶解度は4.76g/kgーCO2 であ
るので、飽和溶解度に対する加水量の割合を加水割合
(CO2 の含水率)として表2に示した。
【0031】 表2 CO2 への加水 処理後の刻み ニコチン 摘要 加水量 *加水割合 水分値 除去率 (g/kg-CO2) (%) (重量%) (%) 1.90 40 8.6 82 *CO2 への水の飽和 2.38 50 11.0 91 溶解度に対する加水 2.86 60 14.4 97 量の割合 3.33 70 18.1 98 3.81 80 23.2 99 上記表2から分かるように、加水量および加水割合が増
加するに従って、ニコチン除去率は増加するが、処理後
の刻みの水分値も上昇する。一般に、たばこ刻みの水分
値は、刻みの取扱い性および品質の面で、12%前後が
問題のない領域である。表2から、加水割合が50〜6
0%に設定されている場合、処理後の水分値が上記領域
にある処理品を得られることが判明した。また、加水割
合が50%以上の場合、ニコチン除去率も90%以上と
なった。
【0032】また、加水割合を60%に固定して、抽出
温度と処理後のたばこ刻みの水分値およびニコチン除去
率との関係を調べたところ、図3に示すような結果が得
られた。この場合、他の試験条件は、上述した試験1と
同一とした。図3から分かるように、いずれの抽出温度
においてもたばこ刻みの水分値は12%前後であり、抽
出温度70℃以上では、ニコチン除去率も95%以上の
値が得られた。
【0033】更に、処理前のたばこ刻みの水分値に起因
する、抽出容器内でのCO2 の偏流の発生状況を調べる
ため、図4に示すように、水分値の異なるたばこ刻み
(ニコチン含有率2.1乾燥重量%)15kgを円筒状
の抽出容器(内径35cm,高さ170cm)に収容
し、抽出容器を通してCO2 を抽出温度70℃、抽出圧
力250kg/cm2 、流速250g/minで6.5
時間流してニコチンの抽出を行なった。たばこ刻みは、
できるだけ均一に収容されるように手で抽出容器内に充
填し、5kg毎に金網48を入れて容器内をCO2 の流
入側から3つのブロック50a、50b、50cに分け
て抽出を行なった。そして、各ブロック内の5つの領域
A、B、C、D、Eから処理後のたばこ刻みを採取して
ニコチン含有率を調べた。試験結果は以下の表3に示さ
れている。
【0034】 表3 試験1 原料水分値 処理刻みのニコチン含有率 NO. (重量%) A B C D E 平均値 変動係数(%) 1. 19.8 0.16 0.25 0.45 0.40 0.51 0.35 36.6 2. 12.5 0.22 0.25 0.20 0.20 0.25 0.22 10.0 表3から分かるように、水分値の高い(19.8重量
%)たばこ刻みに対して上記抽出処理を行なった試験1
の場合、水分値の低い(12.5重量%)たばこ刻みに
対して上記抽出処理を行なった試験2の場合に比較し
て、領域AないしEから採取した処理後のたばこ刻みの
ニコチン含有率はばらつきが大きく、これらニコチン含
有率の平均値も高い。このことから、原料のたばこ刻み
の水分値が高い場合、抽出容器内でCO2 の偏流が生じ
易いことが推察される。従って、処理前のたばこ原料に
加湿することは、ニコチンを均一に除去する上で好まし
くないことが確認された。
【0035】以上のように構成されたニコチン抽出装置
および抽出方法によれば、スタティックミキサ24への
給水量を調整することにより、たばこ刻みに送られるC
O2の含水率を飽和状態以下の所望の値に調整すること
ができるとともに、必要であれば過飽和状態とすること
もできる。そのため、処理後のたばこ原料の含水率(水
分値)が所望の値となるようにCO2 の含水率を調整す
ることにより、処理品が過度に加湿されることを防止で
き、処理後の乾燥工程を省略することがでる。従って、
運転コストおよび設備コストの低減を図ることができ
る。また、処理後のたばこ原料を最適な含水率に設定で
きることから、処理品の取扱い性および品質が大幅に向
上する。
【0036】また、処理前にたばこ原料を加湿すること
なくニコチンを効率良く抽出することができ、前処理工
程の省略が可能であるとともに、抽出容器内におけるC
O2の偏流を防止できたばこ原料全体に渡って均一にニ
コチン抽出を行なうことができる。更に、処理前のたば
こ原料のニコチン含有率がその種類によって異なる場合
でも、CO2 の含水率を調整することにより、所望のニ
コチン除去率を得ることができる。
【0037】また、ポンプから供給された水を、スタテ
ィックミキサにより不活性抽出剤と混合して不活性抽出
剤に添加していることから、二酸化炭素に限らず、水の
溶解しにくい他の不活性抽出剤にも容易に水を添加させ
ることができる。従って、種々の不活性抽出剤を使用す
ることが可能となり、種々の天然固体原料から所望の可
溶物を抽出することができる。
【0038】なお、この発明は上述した実施例に限定さ
れることなく、この発明の範囲内で種々変更可能であ
る。
【0039】例えば、上記実施例では、可変容量型のポ
ンプを用いてCO2 への給水量を調節するようにした
が、これに限らず、図5に示すように、定容量型のポン
プ44を使用し、このポンプとスタティックミキサとの
間に設けた流量調整手段としての流量制御弁52により
供給量を調節するようにしてもよい。また、この発明
は、たばこ原料からニコチンを抽出する場合に限らず、
他の天然固体原料、例えば、紅茶、緑茶、コーヒー等か
らカフェイン等の他の可溶物を抽出する場合にも適応で
きることは言うまでもない。更に、不活性抽出剤とし
て、臨界温度の低いフロン、亜酸化窒素、低級ハロゲン
炭化水素等、他の抽出剤を使用してもよい。
【0040】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、不活性
抽出剤の含水率を所望の値に調節して天然固体原料に供
給していることから、原料の加湿あるいは乾燥等の処理
を行なう必要がないとともに、所望量のニコチンを効率
良く抽出することのできる可溶物抽出方法および可溶物
抽出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係るニコチン抽出装置を
概略的に示す図。
【図2】上記ニコチン抽出装置のスタティックミキサを
拡大して示す断面図。
【図3】抽出温度とニコチン除去率および処理後のたば
こ刻みの水分値との関係を示す特性図。
【図4】偏流発生試験に使用する抽出容器を示す概略
図。
【図5】給水部の変形例を示す図2に対応の断面図。
【符号の説明】
10…抽出容器、12…閉塞回路、14…貯蔵タンク、
17、18、22、27、34…熱交換器、24…スタ
ティックミキサ、44…第2のポンプ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡林 信夫 神奈川県平塚市黒部丘1番地77 日本たば こ産業株式会社平塚工場内 (72)発明者 大内 誠 神奈川県平塚市黒部丘1番地77 日本たば こ産業株式会社平塚工場内 (72)発明者 野添 平治 神奈川県平塚市黒部丘1番地77 日本たば こ産業株式会社平塚工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然固体原料を通して超臨界状態の不活
    性抽出剤を流すことにより天然固体原料から可溶物を抽
    出する可溶物抽出方法において、 上記不活性抽出剤に水を供給する工程と、 供給された水と不活性抽出剤とをラインミキサで混合し
    て、不活性抽出剤に水を添加する工程と、 水の添加された不活性抽出剤を上記天然固体材料を通し
    て流し、天然固体原料中の可溶物を上記不活性抽出剤に
    溶解させる工程と、 上記不活性抽出剤から溶解した上記可溶物を分離する工
    程と、を備え、 上記添加する工程は、不活性抽出剤への給水量を調整し
    て不活性抽出剤の含水率を調整する工程を含んでいるこ
    とを特徴とする可溶物抽出方法。
  2. 【請求項2】 天然固体原料から可溶物を抽出する可溶
    物抽出装置において、 天然固体原料を収容した抽出容器と、 上記抽出容器を通して超臨界状態の不活性抽出剤を流す
    流通手段と、 上記抽出容器の流入側に設けられ、上記不活性抽出剤に
    水を供給する給水手段と、 上記抽出容器の流入側に設けられ、上記供給された水と
    不活性抽出剤とを混合するラインミキサと、 上記不活性抽出剤への給水量を調整して上記不活性抽出
    剤の含水率を調整する調整手段と、を備えたことを特徴
    とする可溶物抽出装置。
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