JP3223058B2 - 天然固体原料の可溶物抽出方法 - Google Patents

天然固体原料の可溶物抽出方法

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JP3223058B2 JP32203194A JP32203194A JP3223058B2 JP 3223058 B2 JP3223058 B2 JP 3223058B2 JP 32203194 A JP32203194 A JP 32203194A JP 32203194 A JP32203194 A JP 32203194A JP 3223058 B2 JP3223058 B2 JP 3223058B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、たばこ、コ−
ヒ−、紅茶、緑茶等の天然固体原料から、ニコチン、カ
フェイン等の成分を抽出する可溶物抽出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、たばこ、コ−ヒ−、紅茶、緑茶等
の天然固体原料からニコチン、カフェイン等の特定成分
を抽出する方法として、例えば、超臨界状態の二酸化炭
素のような高圧流体を天然固体原料に接触させて特定成
分を溶解させて抽出する方法が知られている。
【0003】このような高圧流体を用いた抽出方法にお
いて、特定成分を含む高圧流体から特定成分を分離し、
回収する方法としては、例えば、圧力変化分離法が知ら
れている。この圧力分離法では、高圧流体として、例え
ば、二酸化炭素を熱交換器で例えば70℃の所定温度と
した後に、供給ポンプを用いて、天然固体原料を収容し
た抽出器に導入する。この抽出器の内部は、所定の圧
力、例えば250kg/cm2 に維持されている。この
ような圧力および温度条件では、天然固体原料に含有さ
れる特定成分が二酸化炭素に溶解して抽出される。この
後、抽出された特定成分を含む二酸化炭素を、分離器に
導入する。この分離器の内部は抽出器の圧力よりも低
い、例えば50kg/cm2 に設定されているので、溶
解力の差によって二酸化炭素に溶解した特定成分が分離
される。
【0004】一方、かかる高圧流体に、いわゆるエント
レーナーとして水を添加させると、天然固体原料の特定
成分が高圧流体へ効率良く溶解し、抽出速度を高めるこ
とができることが知られている。水の添加方法として
は、従来、天然固体原料自体に水を添加して加湿する方
法、高圧流体に水を含有させる方法、または、これらの
両方を併用する方法が実施されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
圧力変化分離法では、必要な特定成分以外の高圧流体に
可溶な成分も高圧流体中に抽出され、分離器において系
外に除去されてしまう。例えば、高圧流体として二酸化
炭素を用いてたばこ中のニコチンを抽出する場合、ニコ
チン以外のたばこの成分、特にたばこの香りや味を構成
する油脂分(ワックス)も同時に二酸化炭素に溶解して
抽出されて、分離器で分離されてしまう。この結果、た
ばこの香喫味が激しく劣化し、品質が著しく低下してし
まう。また、紅茶、緑茶またはコーヒーからカフェイン
を抽出する場合もカフェイン以外の成分、特に精油成分
等の芳香成分も同時に抽出され、分離器で分離除去され
てしまう。この結果、香味が著しく減少し、品質が低下
する。
【0006】また、上述の圧力変化分離法では、常に新
しい高圧流体を供給して特定成分の抽出を行っているの
で、抽出時間を長くすると、天然固体原料中の特定成分
が全て高圧流体中に抽出されて無くなってしまう。この
ため、例えば、低ニコチンのたばこや、低カフェィンの
コーヒー等の天然固体原料中の特定成分の含有量を所望
のレベルまで低減させた製品を製造する場合には、従来
の圧力変化分離法では、特定成分の経時変化を調べた上
で抽出時間を適切に調節しなければならない。この結
果、抽出処理の操作が極めて繁雑となり、所望濃度の特
定成分を含有する製品をバラツキなく製造することは非
常に困難である。
【0007】一方、エントレーナーとして水を高圧流体
に添加した場合、従来の水の添加方法では、処理後の天
然固体原料に必要以上の水が含有されることが多い。こ
れにより、処理済の天然固体原料の取扱いが困難になる
ばかりか、微生物の繁殖等による変敗の問題も生じてく
る。このため、処理済の原料を適度な含水率となるまで
に乾燥する乾燥工程が必要となり、製造工程の増加に伴
い製造コストが高価になる。
【0008】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、天然固体原料の特定成分を選択的に抽出し、分
離することができると共に、処理後の天然固体原料中の
芳香成分および水の含有量を容易にかつ適切に調節でき
る天然固体原料の可溶物抽出方法を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、高圧二酸化炭
素を、抽出器に収容された天然固体原料に接触させて前
記天然固体原料に含有される複数の異なる種類の成分を
前記高圧二酸化炭素に溶解させて抽出する工程と、抽出
された前記複数の異なる種類の成分を含有する高圧二酸
化炭素を、吸収器に収容された所定量の水と接触させて
前記複数の異なる種類の成分のうち水溶性成分を前記水
に吸収させる工程と、前記水溶性成分が吸収された後の
高圧二酸化炭素を再び前記抽出器に戻して循環させる工
程を具備する可溶物抽出方法であって、前記抽出器内部
の温度が前記吸収器内部の温度より高くなるよう温度差
を設けることを特徴とする天然固体原料の可溶物抽出方
法を提供する。
【0010】ここで、好ましくは、抽出時における高圧
二酸化炭素の相対水分割合が55〜80%の範囲になる
ように抽出器内部の温度および吸収器内部の温度を調節
する。また、好ましくは、抽出器内の温度は50〜80
℃の範囲であり、かつ、吸収器内の温度が40〜60℃
の範囲である。
【0011】
【作用】本発明の天然固体原料の可溶物抽出方法によれ
ば、抽出器に収容された天然固体原料は高圧二酸化炭素
との接触によって、天然固体原料に含有される複数の異
なる種類の成分が溶解され抽出される。これらの成分を
含む高圧二酸化炭素は、吸収器に収容された所定量の水
との接触により前記成分のうち水溶性成分が水に溶解し
吸収され、高圧二酸化炭素は前記成分の一部を保持しな
がら吸収器から排出される。
【0012】より具体的には、抽出器に収容された天然
固体原料は高圧二酸化炭素との接触によって、水溶性成
分及び疎水性成分を含む成分が溶解され抽出される。こ
の成分を含む高圧二酸化炭素は、吸収器に収容された所
定量の水との接触により前記成分中の水溶性成分のみが
水に溶解し吸収され、高圧二酸化炭素は前記成分中の疎
水性成分のみを保持しながら吸収器から排出される。
【0013】この疎水性成分のみを保持した高圧二酸化
炭素は、再び抽出器に導入され、抽出溶剤として作用す
る。従って高圧二酸化炭素は、抽出器と吸収器間に構成
された閉サイクル中を循環する。これにより、高圧二酸
化炭素中の疎水性成分濃度は上昇し、やがて天然固体原
料中の疎水性成分の高圧二酸化炭素への溶解と高圧二酸
化炭素中の疎水性成分の天然固体原料への再吸着は平衡
状態となり、見かけ上天然固体原料中の疎水性成分の高
圧二酸化炭素への溶解は起こらなくなる。従って、天然
固体原料中の疎水性成分の抽出を最小限に抑えることが
可能となる。
【0014】一方、天然固体原料中の水溶性成分は、閉
サイクル中を循環する高圧二酸化炭素によって抽出さ
れ、吸収器内に収容された所定量の水によって吸収され
る。これにより、吸収器中の水の水溶性成分濃度は上昇
し、やがて水−高圧二酸化炭素間の水溶性成分濃度は平
衡状態に達し、見かけ上高圧二酸化炭素中の水溶性成分
の水への吸収は起こらなくなる。そしてさらに、天然固
体原料−高圧二酸化炭素間の水溶性成分の移動もやがて
平衡状態に達し、見かけ上天然固体原料中の水溶性成分
の高圧二酸化炭素への溶解は起こらなくなる。すなわ
ち、天然固体原料の成分の量の一部を水に吸収させ、残
りの成分が天然固体原料に残留される。従って、天然固
体原料当たりの吸水器内部の水の量を変更することによ
り抽出処理後の天然固体原料中の水溶性成分の含有量を
調整し得る。
【0015】また、吸収器に収容された水は、高圧二酸
化炭素中の水溶性成分を吸収すると共に、高圧二酸化炭
素中に溶解されてエントレーナーとして作用し、抽出器
における抽出効率を増大させる。
【0016】また、この吸収器を通過する際に高圧二酸
化炭素中へ溶解する水の量は、吸収器の温度によって規
定される飽和量となるので、吸収器の温度を調節するこ
とにより高圧二酸化炭素中の水の量を調整し得る。一
方、抽出器の温度は吸収器の温度より高く設定されてい
るので、吸収器温度における飽和量の水を含む高圧二酸
化炭素は、抽出器において相対水分割合が低下される。
ここで、相対水分割合φは次のように示される。
【0017】φ=(y/ys)×100[%] y:一定重量の高圧二酸化炭素に含まれる水の重量[k
g−H2 O/kg−CO2 ] ys:その温度における飽和状態にある時の高圧二酸化
炭素に含まれる水の重量[kg−H2 O/kg−C
2 ] 従って、抽出器の温度および吸収器の温度を調節するこ
とにより、抽出時に適切な相対水分割合を有する高圧二
酸化炭素を天然固体原料に接触させることが可能とな
り、抽出処理後の天然固体原料の水分含量が適切に調整
される。
【0018】さらに、この抽出時における高圧二酸化炭
素の相対水分割合を55〜80%に設定することによ
り、好ましくは抽出器内の温度を50〜80℃の範囲
に、また吸収器内の温度を40〜60℃の範囲に設定
し、かつ抽出器内の温度を吸収器内の温度より高く設定
して高圧二酸化炭素の相対水分割合を前記範囲に調節す
ることにより、抽出処理が効率良く行われると共に処理
後の天然固体原料の香味品質が維持され得る。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0020】実施例1 本実施例では、たばこ原料から特定成分としてニコチン
を抽出する場合を例に挙げて説明する。
【0021】図1は、本発明の天然固体原料の可溶物抽
出方法に用いられる抽出装置10の一例を示す概略図で
ある。
【0022】図中11は、たばこ原料が充填される抽出
器(内容積9リットル、たばこ原料充填用内部容器の容
積4リットル)である。抽出器11の外周部には、温度
調節のためのジャケット12が設けられている。抽出器
11の入口側には、二酸化炭素(CO2 )の供給源(図
示せず)から供給用ポンプ13および第1熱交換器14
を経て抽出器11に至る系路Aが設けられている。抽出
器11および第1熱交換器14の間には流量計15が設
けられている。
【0023】一方、抽出器11の出口側には、第2熱交
換器16を経て吸収器(内容積6リットル)17に至る
系路Bが設けられている。この吸収器17の内部には所
定量の吸収水18が収容される。吸収器17の外周部に
は温度調節のためのジャケット19が設けられている。
【0024】さらに、吸収器17の出口側には、循環ポ
ンプ20を経て、上述の供給ポンプ13から抽出器11
に至る系路Aに合流する系路Cが設けられている。この
系路Cの吸収器17および循環ポンプ20の間には、二
酸化炭素を排出させるための排出バルブ21が分岐して
設けられている。また、供給ポンプ13と系路Aおよび
系路Cの合流点との間には、循環する二酸化炭素が供給
ポンプ13へ逆流するのを防止する逆止弁22が設けら
れている。
【0025】このような構成からなる抽出装置10を用
いて、たばこ原料中のニコチンの抽出を次のようにして
行う。
【0026】まず、抽出器11の内部容器にたばこ原料
を充填する。一方、吸収器17の内部には所定量の吸収
水18を充填する。
【0027】抽出器11の内部の温度をジャケット12
により60〜70℃の範囲内の任意の温度(以下、抽出
温度という)になるように設定する。また、吸収器17
の内部の温度(以下、吸収温度という)をジャケット1
9により40℃〜60℃の範囲内の任意の温度になるよ
うに設定する。
【0028】一方、排出バルブ21を閉じた状態で、供
給源から二酸化炭素を供給ポンプ13によって供給し、
第1熱交換器14により抽出温度に加熱する。系路A〜
Cは閉サイクルとなっているので系外に二酸化炭素が排
出されず、二酸化炭素の圧力は上昇する。二酸化炭素の
圧力が100〜300kg/cm2 、好ましくは200
〜300kg/cm2 の範囲内の任意の圧力(以下、抽
出圧力という)に達したところで供給ポンプ13を停止
させる。
【0029】次に、循環ポンプ20を運転し、系路A−
B−Cからなる閉サイクル中を二酸化炭素を循環させ
る。二酸化炭素の循環流量は流量計15により確認し、
200kg/hに調節する。
【0030】上述のように二酸化炭素を循環させること
により、たばこ原料からニコチンの抽出が行われる。す
なわち、高圧の二酸化炭素が抽出器11の内部に充填さ
れたたばこ原料に接触すると、たばこ原料に含まれるニ
コチン等の水溶性成分および油脂等の疎水性成分が二酸
化炭素に溶解して抽出される。次いで、抽出処理後の二
酸化炭素は抽出器11から流出した後、系路Bを経て、
第2熱交換器16により吸収温度まで冷却されて、吸収
器17へ導入される。吸収器17では、抽出処理後の二
酸化炭素が吸収水18と接触し、二酸化炭素に含まれる
ニコチン等の水溶性成分のみが吸収水18に溶解して吸
収される。ニコチン等が分離された油脂等の疎水性成分
を含有する二酸化炭素は、系路Cを経て再び系路Aに戻
され、上述の抽出処理に使用される。
【0031】このようなサイクルを繰り返すうちに、吸
収器17の内部に収容された吸収水18に徐々にニコチ
ン等の水溶性成分のみが分離回収される。所定時間二酸
化炭素の循環を行った後に、循環ポンプ20を停止し、
排出バルブ21を開き、系路A〜C内部の二酸化炭素を
排出して、大気中に開放させる。このようにして、抽出
器11の内部には、ニコチンが抽出された処理後のたば
こ原料が得られる。
【0032】以下、上述のようなたばこ原料からのニコ
チンの抽出方法において、各種操作条件を変更して行っ
た試験について説明する。
【0033】試験例1 抽出圧力と、処理後のたばこ原料のニコチン除去率、水
分含量および喫味品質との関係を調べるために、抽出圧
力を表1に示すように150〜300kg/cm2 の間
で変更した以外は、以下の操作条件下で上述の手順に従
って抽出を行った。なお、この試験ではたばこ原料とし
ては、ブレンド品、乾燥重量基準ニコチン含量:1.9
9%、乾燥重量基準水分含量12.5%の刻たばこ原料
を用いた。
【0034】操作条件 抽出温度:70℃ 吸収温度:53℃ 二酸化炭素の相対水分割合:70% 吸収水の量:1000g 二酸化炭素の循環流量:200kg/h 抽出時間:2時間 ここで、二酸化炭素の相対水分割合とは、抽出器11の
抽出圧力P及び抽出温度Teにおける二酸化炭素の水の飽
和溶解量をWes とし、圧力P及び吸収温度Ttにおける二
酸化炭素の水の飽和溶解量をWts とし、抽出器11の抽
出圧力P及び抽出温度Teにおける相対水分割合[(実際
の含水量÷飽和水分量)×100]をR[%]とした場
合、吸収器17を通過された二酸化炭素の含水量Weは、
以下の式(1)で示される値に調整される。
【0035】 We=Wts= ( Wes×R)÷100 ・・・・ (1) 上式のWes は、予め設定される抽出圧力P及び抽出温度
Teによって決まるので、相対水分割合Rは、吸収器17
における二酸化炭素の水の飽和溶解量Wts 、すなわち、
吸収温度Ttによって調整することができる。
【0036】抽出処理後、たばこ原料のニコチン含量お
よび水分量を測定した。その後、22℃、60%RHの
室内で24時間調和してから喫煙試験を行い、喫味品質
を評価した。これらの結果を、表1に併記する。
【0037】
【表1】
【0038】*ニコチン除去率:{1−(処理後のたば
こ原料のニコチン含量÷処理前のたばこ原料のニコチン
含量)}×100(%) なお、喫味品質の評価は、未処理のたばこ原料を対照と
して、処理による香味、嫌味および刺激の程度を±5点
法で評価し、数字が大きいほど良好な品質を示してい
る。また、低ニコチンたばこ製品用の原料としての使用
適性を以下の4ランクで評価した。
【0039】×:使用に耐えられないもの △:使用に耐えられるが、配合比率が制限されるもの ○:ほとんど単独で使用できるもの ◎:無条件で使用できるもの 表1から明らかなように、抽出圧力が高いほど、処理後
のたばこ原料のニコチン除去率は高くなり、ニコチンが
除去され易い傾向であった。特に、200kg/cm2
を越えるとニコチン除去率が大幅に高くなることが判っ
た。
【0040】また、処理後のたばこ原料の水分含量は、
抽出圧力の変化による大きな差は認められなかった。全
ての試験結果が18〜20%の範囲内であり、大気圧下
での相対湿度70%におけるたばこ原料の水分含量に相
当する値とほぼ一致しており、処理後のたばこ原料の取
り出し、原料の破砕、後処理での取扱い性、または、貯
蔵中等における変敗のような問題は一切認められなかっ
た。
【0041】また、喫味品質については、抽出圧力が1
50kg/cm2 である場合の処理後のたばこ原料は、
抽出処理により喫味が著しく悪化し、低ニコチンたばこ
製品用の原料としても使用に耐えられないことが確認さ
れた。これに対して、抽出圧力が200〜300kg/
cm2 の範囲内である場合には、処理後のたばこ原料
は、喫味の劣化もほとんど問題にならず、かつ、低ニコ
チンたばこ製品用の原料としても使用可能であることが
確認された。これらのうち、特に抽出圧力が250kg
/cm2 の場合が最適であった。
【0042】試験例2 抽出圧力を250kg/cm2 とし、抽出温度を表2に
示すように50〜90℃の範囲内で変更し、かつ、吸収
温度を表2に示すように変更して抽出時の二酸化炭素の
相対水分割合が70%なるように調節した以外は、試験
例1と同様の手順に従って、処理後のたばこ原料のニコ
チン除去率および水分含量を測定し、喫味品質を評価し
た。この結果を表2に併記する。
【0043】
【表2】
【0044】表2から明らかなように、抽出温度が高い
ほど、処理後のたばこ原料のニコチン除去率は高くな
り、ニコチンが除去され易い傾向であった。特に60℃
を越えるとニコチン除去率が大幅に高くなることが判っ
た。
【0045】また、処理後のたばこ原料の水分含量は、
抽出温度の変化による大きな差は認められなかった。全
ての試験結果が18〜20%の範囲内であり、大気圧下
での相対湿度70%におけるたばこ原料の水分含量に相
当する値とほぼ一致しており、処理後のたばこ原料の取
り出し、原料の破砕、後処理での取扱い性、または、貯
蔵中等における変敗のような問題は一切認められなかっ
た。
【0046】また、喫味品質については、抽出温度が9
0℃である場合の処理後のたばこ原料は、抽出処理によ
り喫味が著しく悪化し、低ニコチンたばこ製品用の原料
としても使用に耐えられないことが確認された。これに
対して、抽出温度が50〜80℃の範囲内である場合に
は、処理後のたばこ原料は、喫味の劣化もほとんど問題
にならず、かつ、低ニコチンたばこ製品用の原料として
も使用可能であることが確認された。これらのうち、特
に抽出温度が70℃の場合が最適であった。このような
結果は、たばこ原料中のニコチンのみが減少し、たばこ
の香りや味を構成する油脂分がたばこ原料中に残留して
いるためである。
【0047】試験例3 抽出圧力を250kg/cm2 とし、抽出温度を70℃
として、吸収温度を表3に示すように変更して、抽出時
の二酸化炭素の相対水分割合を60〜80%の範囲内で
変更した以外は、試験例1と同様の手順に従って、処理
後のたばこ原料のニコチン除去率および水分含量を測定
し、喫味品質を評価した。この結果を表3に併記する。
【0048】
【表3】
【0049】表3から明らかなように、二酸化炭素の相
対水分割合が高いほど、処理後のたばこ原料のニコチン
除去率は高くなり、ニコチンが除去され易い傾向であっ
たが60%を越えるとニコチン除去率はあまり変化がな
かった。
【0050】また、処理後のたばこ原料の水分含量は、
相対水分割合の変化と密接な関係があり、相対水分割合
が55%未満である場合には、たばこ原料の水分含量が
低くなり、処理後のたばこ原料の取り出しや後処理で原
料の破砕が生じ易かった。また、喫味品質は煙量感が乏
しくなり、吸いづらくなった。
【0051】一方、二酸化炭素の相対水分割合が80%
を越えると処理後のたばこ原料の水分含量が急激に高く
なり、たばこ原料がベトベトして後工程での取扱い性が
悪化し、貯蔵中等における変敗が生じるおそれが高く、
何らかの乾燥処理が必要であり、この際に一層の品質の
劣化が生じることは避けられなかった。
【0052】これに対して、二酸化炭素の相対水分割合
が60〜70%である場合には、処理後のたばこ原料の
水分含量は、常温常圧で貯蔵しているときの水分含量と
ほぼ同じであり、処理後のたばこ原料の取り出し、原料
の破砕、後処理での取扱い性、または、貯蔵中等におけ
る変敗のような問題は一切認められなかった。喫味品質
についても、喫味の劣化もほとんど問題にならず、か
つ、低ニコチンたばこ製品用の原料としても何ら心配な
く使用可能であることが確認された。
【0053】以上の試験例1〜3の結果から、図1に示
すような循環吸収式分離によるたばこ原料からのニコチ
ンの抽出および分離では、抽出圧力が200〜300k
g/cm2 (特に250kg/cm2 )、抽出温度が6
0〜80℃(特に70℃)、および、吸収温度が40〜
60℃(特に48℃〜54℃)であって、抽出時の二酸
化炭素の相対水分割合が60〜70%になるように設定
することが好ましいことが確認された。
【0054】試験例4 抽出時間と処理後のたばこ原料のニコチン濃度との関係
を調べるために、次のような実験を行った。
【0055】たばこ原料の充填量が300gおよび60
0gの場合において、以下の条件下で上述の手順に従っ
てニコチンの抽出を行ったときの、0.5〜3時間の各
種抽出時間での処理後のたばこ原料中のニコチン濃度を
測定した。
【0056】操作条件 抽出圧力:250kg/cm2 抽出温度:70℃ 吸収温度:53℃ 二酸化炭素の相対水分割合:70% 吸収水の量:1000g 二酸化炭素の循環流量:200kg/h この結果を図2の特性図に示す。
【0057】図2から明らかなように、処理後のたばこ
原料中のニコチン濃度は、約1時間でほぼ平衡に達し
た。なお、平衡に達するまで要する時間は、二酸化炭素
の循環流量(循環ポンプの能力)に依存することは明ら
かであり、必ずしも1時間ではないことは言うまでもな
い。
【0058】試験例5 また、抽出時間を2時間とし、吸収水の充填量を500
〜2000gの間で変更して行った以外は試験例4と同
様の手順でたばこ原料の抽出を行った後、処理後のたば
こ原料中のニコチン濃度を測定した。この結果を図3の
特性図に示す。
【0059】図3から明らかなように、平衡状態に達し
た処理後のたばこ原料中のニコチン濃度は、吸収水の充
填量が多くなるほど低くなることが確認された。これ
は、試験例1の図2に示すような処理後のたばこ原料中
のニコチン濃度が平衡に達した状態では、たばこ原料、
吸収水および二酸化炭素中でニコチンが分配平衡してい
ることによる。従って、吸収水の充填量のみを変更する
ことにより、最終的に得られるたばこ原料中のニコチン
濃度を任意の値に調節することができる。例えば、ニコ
チン濃度を低下させるには、吸収水の充填量を多くす
る。
【0060】実施例2 本実施例では、緑茶(日本茶)中のカフェインの抽出を
行った場合について説明する。なお、以下の試験例にお
いて、操作手順は特に言及しない限り、上述のたばこ原
料からのニコチンの抽出の操作手順に従って行った。
【0061】試験例6 緑茶200g(処理前水分含量;2.7%、カフェイン
含量;3.8%)を、図1に示す抽出装置10の抽出器
11の内部容器に充填し、抽出圧力250kg/cm2
で、吸収水の量、抽出温度および吸収温度を表4に示す
ように変更して、緑茶からの脱カフェインを行い、カフ
ェインの除去率を測定した。この結果を、表4に併記す
る。
【0062】
【表4】
【0063】試料6−1と6−2の結果から、抽出温度
が同じであれば、相対水分割合(吸収温度)が高いほど
カフェインの除去率も高いことがわかった。また、試料
6−2と6−3の結果から、抽出温度が高いほどカフェ
インの除去率も高いことがわかった。また、試料6−3
と6−4の結果から、吸収水量が多いほどカフェインの
除去率も高いことがわかった。この結果、緑茶からの脱
カフェインにおいても、上述のたばこ原料からの脱ニコ
チン処理と同様に、全体をとおして満足のいく処理が行
われた。このため、処理品を熱水抽出したお茶の風味
は、未処理品と比較して渋味が少なく飲みやすくなって
いた。
【0064】試験例7 次に、上述の試料6−1〜6−4と同様の手順に従っ
て、水分含量およびカフェイン含量の異なる紅茶200
g(処理前水分含量;7.6%、カフェイン含量;2.
1%)を処理した。上述の試験例1を参考にして抽出温
度を70℃、吸収水量3000gとし、吸収温度を54
℃(相対水分割合;70%)の場合と、吸収温度59℃
(相対水分割合;80%)の場合について行った。この
場合の処理後水分含量およびカフェイン除去率を表5に
示す。
【0065】
【表5】
【0066】表5から明らかなように、相対水分割合が
高い方が、カフェインの除去率も若干高いことが分かっ
た。しかし、相対水分割合が80%と高い場合は、上述
のたばこについての試験例3の結果と同様に、処理後の
水分が高く、風味の劣化が著しかった。
【0067】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明の天然固体原
料の可溶化物抽出方法によれば、高圧二酸化炭素を、抽
出器および吸収器を含む閉サイクル中を循環させること
により、天然固体原料から抽出された複数の異なる成分
のうち水溶性成分が吸収器内の吸収水に溶解して吸収さ
れ、この成分と高圧二酸化炭素とに分離することができ
るので、天然固体原料の品質を悪化させることなく抽出
処理を行うことができる。
【0068】また、処理後の固体原料中の成分の含有量
が平衡に達した状態では、たばこ原料、吸収水および二
酸化炭素中で当該成分が分配平衡しているため、吸収器
に収容された水の量を変更することにより、容易にかつ
正確に処理後の天然固体原料中の当該成分の含有量を調
節できる。
【0069】また、抽出圧力および抽出温度、並びに、
吸収器内部の温度を適当な値に設定し、かつ、抽出時の
高圧二酸化炭素の相対水分割合を適切な範囲内に設定す
ることにより、別途乾燥処理等を行わなくとも処理後の
天然固体原料の水分含量を所望の値に調節することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の天然固体原料の可溶物抽出方法に使用
する抽出装置の一例を示す概略図。
【図2】抽出時間および処理後のたばこ原料のニコチン
含量の関係を示す特性図。
【図3】吸収水の充填量および処理後のたばこ原料のニ
コチン含量の関係を示す特性図。
【符号の説明】
10…抽出装置、11…抽出器、13…供給ポンプ、1
4…第1熱交換器、16…第2熱交換器、17…吸収
器、18…吸収水、20…循環ポンプ、21…排出バル
ブ、22…逆止弁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 学 神奈川県横浜市青葉区梅が丘6番地2 日本たばこ産業株式会社たばこ中央研究 所内 (72)発明者 米井 祥男 神奈川県横浜市青葉区梅が丘6番地2 日本たばこ産業株式会社たばこ中央研究 所内 (56)参考文献 特開 平5−103625(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 11/00 - 11/04 A23F 3/00 - 5/50 A24B 1/00 - 15/42

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧二酸化炭素を抽出器に収容された天
    然固体原料に接触させて、前記天然固体原料に含有され
    る複数の異なる種類の成分を前記高圧二酸化炭素に溶解
    させて抽出する工程と、 抽出された前記複数の異なる種類の成分を含有する高圧
    二酸化炭素を、吸収器に収容された所定量の水と接触さ
    せて、前記複数の異なる種類の成分のうち水溶性成分を
    前記水に吸収させる工程と、 前記水溶性成分が吸収された後の高圧二酸化炭素を、再
    び前記抽出器に戻して循環させる工程を具備する可溶物
    抽出方法であって、 前記抽出器内部の温度が前記吸収器内部の温度より高く
    なるように温度差を設けると共に、前記高圧二酸化炭素
    は前記吸収器において減圧することなく等圧で循環させ
    ることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 抽出時における前記高圧二酸化炭素の相
    対水分割合が55〜80%の範囲になるように前記抽出
    器内部の温度および前記吸収器内部の温度を調節するこ
    とを特徴とする請求項1記載の天然固体原料の可溶物抽
    出方法。
  3. 【請求項3】 抽出器内の温度が50〜80℃の範囲で
    あり、吸収器内の温度が40〜60℃の範囲であること
    を特徴とする請求項1記載の天然固体原料の可溶物抽出
    方法。
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JP2009502160A (ja) * 2005-07-29 2009-01-29 フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム タバコ成分の抽出及び貯蔵
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