JPH053250Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、散布車に搭載されて野菜等に薬剤
を散布する散布装置に関するものである。

〔従来の技術〕

動力噴霧機が小型トラツクの荷台に置かれ、基
端側を動力噴霧機へ接続されている可撓性ホース
を伸ばし、可撓性ホースの先端側に装着されてい
るノズルから薬剤を野菜等の作物に散布する散布
装置では、散布場所が動力噴霧機から遠く、可撓
性ホースが長くなると、可撓性ホース内の圧力損
失のために、ノズルからの薬剤の噴出力が弱くな
る。また背負式動力散布装置では、薬剤タンクの
容量に制約があり、散布作業において、作業者
は、散布を中断して、頻繁に薬剤タンクに薬剤を
補給する必要がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

そこで、この出願人に係る実願昭60−117217号
では、薬剤タンク、動力噴霧機及びノズルパイプ
を含む散布装置が、自走式又は手押し式一輪車に
搭載され、長大化した可撓性ホース内の圧力損失
の防止及び薬剤散布作業中の薬剤補給の回数減少
を図つている。しかし、その散布装置では、ノズ
ルパイプは、長手方向が水平方向に固定されたま
まとなつており、鉛直方向とすることや、散布幅
を調整することは困難である。

野菜等の作物へ薬剤を散布する場合では、ノズ
ルパイプを作物の上方に左右水平方向にして、上
方から薬剤を散布する以外に、背丈の高い作物で
は、ノズルパイプを鉛直位置にして、作物の高さ
方向の各部位へ薬剤を一斉に側方散布したり、あ
るいはノズルパイプの高さを作物の高さに応じて
調整したりする方が好ましいことがある。また、
ノズルパイプを作物の上方に左右水平方向にし
て、上方から薬剤を散布する場合にも、散布幅が
任意に調整できることが好ましい。

この考案の目的は、薬剤タンク、動力噴霧機及
びノズルパイプを搭載して野菜等の作物へノズル
パイプから薬剤を散布する散布車において、作物
の状況に応じてノズルパイプの向き及び高さ、散
布幅、並びに作物に対する噴口の向きを任意に調
整できる散布車の散布装置を提供することであ
る。

〔課題を解決するための手段〕

この考案を、実施例に対応する図面の符号を使
用して説明する。

この考案の散布車の散布装置は次の(a)〜(g)の構
成要素を有している。

(a) 薬剤を貯留する薬剤タンク２２ (b) 薬剤タンク２２内の薬剤を圧送する動力噴霧
機１６ (c) 鉛直方向へ延びる鉛直方向部材２４ (d) 鉛直方向位置を調整自在に鉛直方向部材２４
に固定される高さ調整部材２６ (e) 左右水平方向へ延び左右水平線の周りの回転
位置を調整自在に高さ調整部材２６に固定され
動力噴霧機１６からの薬剤を受ける元パイプ５
０ (f) 長手方向へ適宜間隔に複数個の噴口７０を備
えるノズルパイプ３０ (g) 薬剤を元パイプ５０からノズルパイプ３０へ
導くとともにノズルパイプ３０がその長手方向
中心線の周りに回転自在にかつノズルパイプ３
０に対する角度を変更自在にノズルパイプ３０
を元パイプ５０へ接続する接続装置６０，７
８，７９。

〔作用〕

動力噴霧機１６は、薬剤タンク２２及びノズル
パイプ３０と共に散布車に搭載され、薬剤タンク
２２内の薬剤を吸収して、元パイプ５０の方へ圧
送し、薬剤は、元パイプ５０を経てノズルパイプ
３０へ導かれて、ノズルパイプ３０の各噴口７０
から噴出される。

薬剤を作物の上方から散布するために、ノズル
パイプ３０を水平方向にする場合は、元パイプ５
０を左右水平線に周りに回転させて、ノズルパイ
プ３０を水平面内にさせる。また、ノズルパイプ
３０が、接続装置６０，７８，７９においてノズ
ルパイプ３０の長手方向中心線の周りに回転する
ことにより、ノズルパイプ３０の噴口７０は、水
平線としてのノズルパイプ３０の長手方向中心線
の周りに回動し、鉛直方向の向きが調整される。
さらに、元パイプ５０に対してノズルパイプ３０
を拡開及び縮閉することにより左右水平方向にお
けるノズルパイプ３０の長さが変化し、散布幅が
増減する。

薬剤を作物の側方から散布するために、ノズル
パイプ３０を鉛直方向にする場合は、ノズルパイ
プ３０を、元パイプ５０に対してほぼ直角になる
まで、元パイプ５０に対して縮閉する。さらに、
元パイプ５０を左右水平線の周りに回転させる
と、ノズルパイプ３０が、元パイプ５０に対して
ほぼ直角に保持されつつ、左右水平線の周りに回
動して、鉛直方向となる。また、ノズルパイプ３
０が、接続装置６０，７８，７９においてノズル
パイプ３０の長手方向中心線の周りに回転するこ
とにより、ノズルパイプ３０の噴口７０は、鉛直
線としてのノズルパイプ３０の長手方向中心線の
周りに回動し、散布車の進行方向における向きが
調整される。

鉛直方向部材２４における高さ調整部材２６の
鉛直方向固定位置の変更に伴つて、ノズルパイプ
３０の鉛直方向位置も変化し、これにより、ノズ
ルパイプ３０の高さの調整が行われる。

〔実施例〕

以下、この考案を図面の実施例について説明す
る。

第３図は実施例に係る散布装置を搭載された散
布車の全体の概略図であり、車輪１０は、フレー
ム１２の中央下部に回動可能に軸支され、エンジ
ン１４は、フレーム１２に搭載され、クラツチ及
びウオーム減速機を介して車輪１０を駆動する。
フレーム１２は、後方へ張り出すハンドル部１８
と、前方へ張り出す前方延長部２０とを有し、薬
剤タンク２２は、フレーム１２の中央上部に載
置、固定され、内部に薬剤を投入される。案内パ
イプ２４は、下端において前方延長部２０の前端
に固定され、前方延長部２０から上方へ延びてい
る。高さ調整部材２６は、案内パイプ２４の長手
方向に、すなわち鉛直方向に位置を調整可能に案
内パイプ２４に結合され、下部においてノズル固
定部材２８を結合されている。１対のノズルパイ
プ３０は、ノズル固定部材２８の両端に回動可能
にそれぞれ結合される。

第１図はノズルパイプ３０の調整装置の詳細を
分解して示している。案内パイプ２４の前面に
は、案内パイプ２４の長手方向に全体にわたつて
延びる長孔３２が穿設されている。固定中芯３４
は、案内パイプ２４内を摺動可能に案内パイプ２
４内に嵌挿され、一つのねじ穴３６と、このねじ
穴３６より下の位置に２個のねじ穴３８とを同一
直線上に有している。蝶ボルト４０は、長孔３２
を通過して、ねじ穴３６に螺合され、蝶部におい
て案内パイプ２４の外周面に圧着されて、固定中
芯３４を案内パイプ２４の長手方向の任意の位置
に係止する。高さ調整部材２６は、案内パイプ２
４の前面に対峙する被固定板４２と、この被固定
板４２に対して直角に前方へ張り出す取付板４４
とを有している。ボルト４６は、被固定板４２に
穿設されている挿通穴４８に挿通され、先端にお
いて固定中芯３４のねじ穴３８に螺着され、高さ
調整部材２６を固定中芯３４に固定する。ノズル
固定部材２８は、水平方向へ延びる元パイプ５０
と、この元パイプ５０の軸方向ほぼ中心において
元パイプ５０に対して直角に張り出す被固定板５
２とを有している。長孔５４は元パイプ５０の軸
方向に対して直角な方向へ長くなるように被固定
板５２に穿設され、取付ボルト５６は、取付板４
４の挿通穴５７及び被固定板５２の長孔５４に挿
通され、先端において蝶ナツト５８を螺合され
る。取付ボルト５６と蝶ナツト５８との締付け力
により、取付板４４と被固定板５２とは互いに固
定される。中空の自在雄金具６０は、元パイプ５
０の両端において元パイプ５０の軸方向に対して
直角方向に突出するように設けられ、通孔６１に
より内外を貫通されている。接続雄ねじ６２は、
元パイプ５０の一方の端において自在雄金具６０
とは反対側へ突出しており、撚り戻し金具６４を
介してホース接続金具６６を接続される。可撓性
ホース６８は、一端においてホース接続金具６６
に接続され、動力噴霧機１６から圧送されてくる
薬剤をホース接続金具６６へ導く。ノズルパイプ
３０は、長手方向へ適宜間隔で噴口７０を有し、
基端側において接続金具７２を介して閉止金具７
４を接続され、閉止金具７４は手動により操作さ
れるコツクレバー７６を有している。自在雌金具
７８は、接続金具７９を介して閉止金具７４に接
続され、自在雄金具６０の端には、Ｏリング８
０、自在雌金具７８、Ｏリング８２及び座金８４
が順番に嵌挿され、蝶ナツト８６は、自在雄金具
６０の先端に螺合し、これら自在雌金具７８等を
自在雄金具６０に締め付け、ノズルパイプ３０を
ノズル固定部材２８に対し任意の回動位置で固定
可能としている。

実施例の作用について説明する。

散布作業は、エンジン１４を駆動させて散布車
を走行させ、動力噴霧機１６により薬剤タンク２
２からホース接続金具６６、撚り戻し金具６４、
接続雄ねじ６２、元パイプ５０、自在雄金具６０
の通孔６１、自在雌金具７８、閉止金具７４及び
接続金具７２を介してノズルパイプ３０へ圧送さ
れて来る薬剤を、ノズルパイプ３０の各噴口７０
から噴出することにより行なわれる。閉止金具７
４における開閉操作により、噴口７０からの薬剤
の噴出が実施又は中止される。

ノズルパイプ３０の高さを調整する場合には、
鉛直方向へ延びる案内パイプ２４において、蝶ボ
ルト４０を緩めてから、固定中芯３４を摺動さ
せ、案内パイプ２４の長手方向における固定中芯
３４の位置を変更し、その位置において蝶ボルト
４０を締めて固定中芯３４を固定する。ノズル固
定部材２８は固定中芯３４に高さ調整部材２６を
介して結合しているので、ノズル固定部材２８
は、固定中芯３４の位置の変化に伴つて、上下動
し、これにより、ノズルパイプ３０の高さが変更
される。

ノズルパイプ３０の角度の調整では、自在雄金
具６０における自在雌金具７８の回動角を変更す
ることにより、調整される。

第１図はノズルパイプ３０が鉛直方向へ位置付
けられているときの状態を示している。薬剤を鉛
直方向の各位置から散布するときは、取付ボルト
５６を緩め、長孔５４がフレーム１２の進行方向
へ延びるように位置付け、その位置で蝶ナツト５
８を締めて、取付板４４と被固定板５２とを互い
に固定する。これにより、自在雄金具６０は前方
へ向けられる。次に、蝶ナツト８６を緩め、自在
雌金具７８を自在雄金具６０の周りに回動し、ノ
ズルパイプ３０を鉛直方向へ位置付け、蝶ナツト
８６を締めてノズルパイプ３０をこの回動位置に
固定する。噴口７０がハンドル部１８の左右方向
外側へ向くようにノズルパイプ３０をその周方向
へ回転させてから、接続金具７９を締め回し、ノ
ズルパイプ３０の周方向回転位置を固定する。こ
のとき、ノズルパイプ３０の回動面は散布車の進
行方向に垂直な面内に在る。

第２図はノズルパイプ３０が水平方向へ位置付
けられているときの状態を示している。薬剤を鉛
直方向の各位置から散布するときは、取付ボルト
５６を緩め、長孔５４が鉛直方向へ延びるように
位置付け、その位置で蝶ナツト５８を締めて、取
付板４４と被固定板５２とを互いに固定する。こ
れにより、自在雄金具６０は上方へ向けられ、ノ
ズルパイプ３０は水平方向に位置付けられる。次
に、蝶ナツト８６を緩め、自在雌金具７８を自在
雄金具６０の周りに回動し、自在雌金具７８の所
望の回動角において蝶ナツト８６を締めてノズル
パイプ３０をこの回動位置に固定する。自在雌金
具７８の回動角の調整によりノズルパイプ３０
は、第２図の二点鎖線に示されているように、ほ
ぼ水平面内の任意の角度に変更され、この結果、
薬剤の散布幅を調整することができる。接続金具
７９を自在雌金具７８に対して回動することによ
り、噴口７０がハンドル部１８の下方へ向くよう
に調整する。

なお、図示の実施例では、散布車はエンジン１
４により駆動される自走式であるが、この考案に
係る散布装置は、手押し式及びハウス内の無人式
等、その他の走行可能な散布車に適用可能であ
る。

〔考案の効果〕

この考案は、先願に係る実願昭60−117217号の
効果としての長大化した可撓性ホース内の圧力損
失の防止及び薬剤補給の回数減少に加えて、さら
に、次の効果を有している。

(a) ノズルパイプを鉛直位置及び水平位置に切替
えて、作物の状況に応じて、薬剤を作物の上方
及び側面から散布することができる。

(b) ノズルパイプの鉛直位置及び水平位置におけ
る高さを、鉛直方向部材における高さ調整部材
の鉛直方向固定位置を変更することにより、調
整して、作物の高さに応じた適切な高さで薬剤
散布を行うことができる。

(c) ノズルパイプは接続装置を介してノズルパイ
プの長手方向中心線の周りに回転自在に元パイ
プに接続されているので、ノズルパイプの水平
位置における鉛直方向の噴口の向き、及びノズ
ルパイプの鉛直位置における散布車の進行方向
の噴口の向きを任意に調整して、作物に対し
て、真横からに固定されることなく、適切な角
度からも薬剤を散布することができる。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示し、第１図はノ
ズルパイプが鉛直方向へ位置付けられているとき
の状態においてノズルパイプの調整装置の詳細を
分解して示している図、第２図はノズルパイプが
水平方向へ位置付けられているときの状態におい
てノズル固定部材及びノズルパイプの範囲を詳細
に示す図、第３図は実施例に係る散布装置を搭載
された散布車の全体の概略図である。 １６……動力噴霧機、２２……薬剤タンク、２
４……案内パイプ（鉛直方向部材）、２６……高
さ調整部材、３０……ノズルパイプ、５０……元
パイプ、６０……自在雄金具（接続装置）、７０
……噴口、７８……自在雌金具（接続装置）、７
９……接続金具（接続装置）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 薬剤を貯留する薬剤タンク２２と、この薬剤タ
   ンク２２内の薬剤を圧送する動力噴霧機１６と、
   鉛直方向へ延びる鉛直方向部材２４と、鉛直方向
   位置を調整自在に前記鉛直方向部材２４に固定さ
   れる高さ調整部材２６と、左右水平方向へ延び左
   右水平線の周りの回転位置を調整自在に前記高さ
   調整部材２６に固定され前記動力噴霧機１６から
   の薬剤を受ける元パイプ５０と、長手方向へ適宜
   間隔に複数個の噴口７０を備えるノズルパイプ３
   ０と、薬剤を前記元パイプ５０から前記ノズルパ
   イプ３０へ導くとともに前記ノズルパイプ３０が
   その長手方向中心線の周りに回転自在にかつ前記
   ノズルパイプ３０に対する角度を変更自在に前記
   ノズルパイプ３０を前記元パイプ５０へ接続する
   接続装置６０，７８，７９とを有していることを
   特徴とする散布車の散布装置。