JPH0532240B2

JPH0532240B2 -

Info

Publication number: JPH0532240B2
Application number: JP59049958A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Nishiwaki
Original assignee: Techno Roll Co Ltd
Current assignee: Techno Roll Co Ltd
Priority date: 1984-03-14
Filing date: 1984-03-14
Publication date: 1993-05-14
Also published as: JPS60192695A

Description

【発明の詳細な説明】

本発明はオフセツト印刷機用ロールに関するも
のである。オフセツト印刷機において、版面の親水疎油性
の非画線部に水分を付与してインキの付着を防止
しつつ、画線部にのみインキを付与し、そのイン
キをブラケツト胴を介して用紙へと転写すること
より、版面の画線が印刷される。インキロールは、インキを充分に練つてチキソ
トロピカルて転移性のよいタツクに引ひ下げて版
画に塗布供給するために用いられる。このインキロールには、インキ塗布部分が進行
方向に大きく変動しても必要とする膜厚のインキ
を塗布供給できること、そして、その様に供給す
るためにインキを充分に煉ることができること、
そして又、インキに侵されないこと等々の性能が
要求される。水分を非画線部に供給付与するものとして水棒
ロールが用いられる。インキロールとしては、皮革ロールやゴムロー
ル或は樹脂ロールが用いられる。水棒ロールとしては、ラシヤを巻き付けたロー
ルやゴムロール、或は、樹脂ロールの表面を木綿
や再生綿で織・編成されたパイル布地で被覆した
もの、その他、短縮維片を配合してゴムロールや
樹脂ロールを成形し表面を研磨して短繊維片を林
立させたもの等が用いられる。尚、水棒ロールに
水分を付与するロールとして、水転移ロール（ダ
ンプニングロール）がある。従来使用されているこれらのロールの中で、ま
ず、皮革ロールは、軸芯に弾性のある毛布（ラシ
ヤ）を巻き付け、その像になめし皮を突き合わせ
て巻き突けたものであり、インキの混練度や転移
性の綿で良好ではあるが、皮革の継ぎ目が必然的
に出来、色替前に使用のインキが落ちないのでイ
ンキ色替に不都合を来し、又、使用中に皮革が弛
むので高速印刷に不向きである等の欠点がある。ゴムロールは、JISゴム硬さ20〜50゜に調整した
アクリロニトリルブタジエンゴムやクロロプレン
ゴム等を未加硫状態で接着剤を塗布した軸芯に巻
き付け、加圧加硫後、円筒状に表面研磨して仕上
げられるものであるが、低硬度（軟質）に成形す
ることができず、網点再現性や耐インキ性の点で
満足なものと言えない。樹脂ロールは、軟質塩化ビニルペートレジンに
可塑剤を配合して調製した未ゲル化塩化ビニル組
成分の注型加工によつて作られ、ゴムロールに比
して軟質で網点現性に優れるが、ゴースト発生の
点で必ずしも満足なものとは言えない。そこで本発明は、アクリロニトリルブタジエン
ゴム、クロロプレンゴム等の未加硫ゴムゴムコン
パウンドや、可塑剤や安定剤と共に組成される塩
化ビニルペーストレジンの様な未ゲル化樹脂コン
パウンド等の疎水性樹脂コンパウンドを主材とす
るオフセツト印刷機用ロール成形するに当たり、
それらの樹脂コンパウンド100重量部に対して100
〜500メツシユの粒度分布をもつ澱粉やポリビニ
ルアルコール、カルボキシメチルセルローズ、メ
チルセールローズ等の吸湿膨潤性樹脂微粉末を加
湿膨潤させることなく５重量部以上50重量部未満
配合し混練することとし、それにより、特に近時
使用されるエツチ液とイソプロピルアルコールと
水を溶媒として調製された油中水型のエマルジヨ
ンタイプの印刷インキの煉りつぶれ具合をよくし
転移性を付与するというインキロール所要の性能
を備えると共に、ベタ付きや網点再現性を改善
し、特にゴーストの発生のないインキロールを提
供し、同時に、改善された水棒ロールやダンプニ
ングロールを提供しようとするものである。ここに本願において「網点再現性」とは、写真
印刷における版面の画線部として形成される各網
点の形の周辺にはみ出る様にインキがインキ付け
ロールから供給され、従つて、網点の形よりも大
きい点としてインキがブランケツト胴に転移す
る、と言うことが起きないこと、つまり、版面の
網点の形に忠実に副つて形崩れせずにインキが供
給され転移されることを言う。又、「ゴースト」とは、版面に接触回転するイ
ンキ付けロールが、一回転前の版面へのインキの
供給の仕方によつて、次の（一回転後の）版面へ
のインキの供給の仕方が変わり、印刷物に不都合
な濃淡差が出来る現象を言い、実例を掲げると、
第１図に示す様にインキ付けロールが一回転前に
版面の小幅のベタ刷り画線部１・２にインキを供
給してから広幅のベタ刷り又は網点（平網）画線
部３にインキを供給するとき、この画線部３の中
の画線部１，２に該当する部分４，５が濃く印刷
される場合、第２図に示す様にインキ付けロール
が一回転前に版面の小さいベタ刷り画線部６にイ
ンキを供給してから大きいベタ刷り画線部７にイ
ンキを供給するとき、この画線部７の中の画線部
６に該当する部分８が薄く印刷される場合、第３
図に示す様に広いベタ刷り画線部９の中に長い白
抜き部分１０があるとき、その白抜き部分１０の
後に来るベタ刷り画線部の部分１１が濃く印刷さ
れる場合、第４図に示す様にインキ付けロール一
回転以上にわたる広いベタ刷り画線部１２の中に
小さい白抜き部分１３があるとき、その白抜き部
分１３のインキ付けロール一回転後に来るベタ刷
り後画線部の部分１４濃く印刷される場合等があ
る。ゴーストは、印刷面に水跡による様な筋とな
つて現れるが、このようなゴースとは特に「水ゴ
ースト」とも称される。本発明に使用する「吸湿膨潤性樹脂微粉末」と
は、吸湿し膨潤する性質のある樹脂微粉末を言
う。従つて、吸湿するも膨潤せず直ちに溶解する
塩や砂糖等は含まれず、その反面、吸湿して膨潤
するものであれば、ポリビニルアルコールやカル
ボキシルメチルセルローズ或はメチルセルローズ
等の如く過度に吸湿し水溶液となるものであつて
もよく、かかる水溶性の樹脂微粉末は溶解に先立
つて高い粘着性を帯びるし、又、それが加湿せず
に水分を含まれない疎水性樹脂コンパウンドと混
練して用いられていテ使用中に溶出することがな
いので本発明所期の目的を達成する。しかし、こ
のことは「吸湿膨潤性樹脂微粉末」が「水溶性の
樹脂微粉末」のみを意味すると言うのではなく、
「吸湿膨潤性樹脂微粉末」は「非水溶性」のもの
であつてもよい。例えば、メチルセルローズをア
クリロニトルブタジエンゴムラテツクスに混合し
乾燥固化し粉すると非水溶性の微粉末が得られる
が、かかる微粉末はメチルセルローズの介在によ
り吸湿膨潤するので本発明に使用される。但し、
本発明において吸湿膨潤性樹脂微粉末は加湿膨潤
することなく用いられるので、これを配合する疎
水性樹脂コンパウンドには、前記アクリロニトリ
ルブタジエンゴムラテツクスの様に樹脂を水に分
散させたエマルジヨン乃至デスパージヨンは含ま
れない。かかる吸湿膨潤性樹脂を詳しく例示すれば、前
記の澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシメ
チルセルローズ、メチルセルローズのほか、ヒド
ロキシエチルセルローズ、ポリアクリル酸、ポリ
アクリル酸メチル部分ケン化物、アルギン酸ソー
ダ、尿素樹脂、膠、カゼイン、ゼラチン、その
他、レーヨンや木綿等の微細粉末も使用される。ところで本発明によるロールをオフセツト印刷
機のインキ付けロールに使用すると網点再現性が
よくゴーストが発生しなくなる。かかる効果は、
ロールの取材たるゴムや塩化ビニル成分が疎水性
ではあるが、添加配合される微粉末が吸湿膨潤性
を有し、水棒ロールに加湿された版面に接して加
湿され、又、油中水型インキの使用にあつてはイ
ンキ中の水分によつても加湿され、その吸湿膨潤
によつて僅かながらもインキ付けロールが親水化
され非親油化されるので、インキ付けロール表面
に供給されて付着しているインキは悉く版面の親
油性画線部に転移し転移残が生ぜず、そして又、
インキ付けロールの表面が非親油化されるのでイ
ンキがロール表面を移動し易くなり、従つて、イ
ンキがロール表面で均一に伸ばされること、又、
水ゴーストについてはインキ付けロールが親水化
されて撥水性が抑えられ水の筋付きが起きなくな
るため等々の理由によるものと考えられる。他面、添加配合される吸湿膨潤性樹脂微粉末は
ロールの主材たる疎水性樹脂に抱かれる様にして
担持されるので、それが水溶性を有するものであ
つても100メツシユ以上と細かく配合量も50重量
部以下であるので水に溶けて流出することがな
い。しかし、吸湿膨潤性樹脂微粉末を500メツシ
ユ以上のものとし、その配合量を５重量部以下に
するとロール主材たる疎水性樹脂に埋没し、吸湿
膨潤による保水作用がなくなるので本発明による
効果が期待されない。従つて、吸湿膨潤性樹脂微粉末の粒度分布は
100〜500メツシユ（粒径0.05mm〜0.254mm）とし、
その配合量はロール主材の疎水性樹脂100重量部
に対して５重量部以上50重量部未満とすることが
肝要である。 JISゴム硬さ20゜のロール主材たる疎水性樹脂
100重量部への配合部数を変えて、ポリビニルア
ルコール微粉末の配合部数Ｘとロールの硬さＹと
の関係を調べると、第５図に図示する様にロール
主材たる疎水性樹脂が軟質塩化ビニルＡのときは
Ｘ≒34重量部においてＹ＝50゜になり、ロール主
材たる疎水性樹脂がアクリロニトリルブタジエン
ゴムＢのときはＸ≒40重量部においてＹ＝50゜に
なり、一般に要求されるロールのJISゴム硬さが
15〜50゜であるので本発明に係るロールは所要の
硬さを有する。種々の実験結果によれば、本発明
に係るロールをインキロールとして用いるときは
疎水性樹脂コンパウンド100重量部に対して吸湿
膨潤性樹脂微粉末の前記配合量を５〜20重量部と
し、水棒ロール乃至ダンプニングロールとして使
用するときは10〜35重量部とすると好結果が得ら
れることが判明している。このことを具体的に説明すると、ニトリルゴムを主成分とする硬さ25〜45゜
（JISゴム硬さ）のオフセツト印刷ゴムロール用
コンパウンド（未加硫物）100重量部に対し、
125メツシユ以上（500メツシユ以下）の吸湿膨
潤性樹脂微粉末を５〜30重量部混入して成形し
たインキ付けロールは、従来の吸湿膨潤性樹脂
微粉末を添加配合しないインキ付けロールに比
べてインキ転移性とゴースト抑制性が極めて優
れたものになる。この吸湿膨潤性樹脂微粉末と
して、水（温・熱湯を含む）に溶解されたポリ
ビニルアルコールのその他のゴムコンパウンド
と混練し加熱した水分を揮散せしめて得られた
固形物の125〜500メツシユの粉砕粒子を用いた
ときも同様に好結果が得られた。ニトリルゴムを主成分とする硬さ15〜35゜
（JISゴム硬さ）のゴムロール用コンパウンド
（未加硫物）100重量部に対し、125メツシユ以
上（500メツシユ以下）の吸湿膨潤性樹脂微粉
末を10〜50重量部混入した成形したダンプニン
グロールは、ロール表面にインキの付着が少な
く、版面の非面線部分のインキ汚れも少なく、
又、水ゴーストの発生しにくいものであつた。
これに対し、従来の吸湿膨潤性樹脂微粉末を添
加配合しないダンプニングロールはインキの付
着が多すぎて使用に耐えないものであつた。塩化ビニルペーストレジンに可塑剤を加えた
硬さ20〜50゜（JISゴム硬さ）のオフセツト印刷
機用ロール用PVCゾル（未ゲル化物）100重量
部に対し、125メツシユ以上（500メツシユ以
下）の吸湿膨潤性樹脂微粉末を５〜30重量部混
入して成形したインキ付けロールは、従来の吸
湿膨潤性樹脂微粉末を添加配合しないインキ付
けロールに比べてインキ転移性ゴースト抑制性
が極めて優れたものになつた。塩化ビニルペーストレジンに可塑剤を加えた
硬さ15〜40゜（JISゴム硬さ）のオフセツト印刷
機用ロール用PVCゾル（未ゲル化物）100重量
部に対し、125メツシユ以上（500メツシユ以
下）の吸湿膨潤性樹脂微粉末を10〜50重量部混
入して成形したダンプニングロールは、ロール
表面にインキの付着が少なく、版面の非画線部
分のインキ汚れも少なく、又、水ゴーストの発
生しにくいものであつた。次に実施例により本
発明を更に具体的に説明しよう。実施例１下記の表１の配合Ａのアクリルニトリルブタジ
エンゴム（以下、単にニトリルゴムと略称する）
ベースのゴムコンパウンドに吸湿膨潤性樹脂微粉
末としゼラチンとポリビニルアルコール（PVA）
の250メツシユパスのものを10重量部混入した配
合Ｂのものを加硫成形した本発明実施品ロールＢ
（２本）と、吸湿膨潤性樹脂微粉末を混入しない
ゴムコンパウンド（配合Ａ）を加硫成形した従来
品ロールＡ（２本）とを、それぞれインキングロ
ールの中のインキ付けロールとして、二色印刷機
械（西独ハイヂルベルグ製SORDZ）に、第一色
目には本発明実施品ロールＢを、第二色目には従
来品ロールＡを、それぞれ装着して印刷の比較試
験を行つた。

【表】

【表】上記試験の結果、従来品ロールＡはインキの潰
れ具合、及び、ベタ刷り画線部と網点画線部への
インキの付き具合に問題はないが、ゴーストが発
生した。これに対し本発明実施品ロールＢはイン
キの潰れ具合、及び、ベタ刷り画線部と網点画線
部へのインキの付き具合が従来品ロールＡよりも
良好で、しかも、ゴーストの発生を見なかつた。実施例２下記の表２の配合Ｃの塩化ビニルペーストレジ
ン（以下、単にPVCレジンと略する。）ベースの
PVCゾル（未ゲル化物）に吸湿膨潤性樹脂微粉
末とてカルボキシメチルセルローズ（CMC）と
ポリビニルアルコール（PVA）の250メツシユパ
スのものを15重量部混入した配合Ｄのものを加熱
ゲル化し成形した本発明実施品ロールＤと、吸湿
膨潤性樹脂微粉末を混入しない配合ＣのPVCゾ
ル（未ゲル化物）を加熱ゲル化し成形した従来品
ロールＣとを、それぞれダンプニングロールとし
て、二色印刷機械（西独ハイヂルベルグ製
SORDZ）に、第一色目には本発明実施品ロール
Ｄを、第二色目には従来品ロールＣを、それぞれ
装着して印刷の比較試験を行つた。

【表】上記試験の結果、従来品ロールＣはロール表面
にインキが付着しやすく、版面の非画線部分にイ
ンキ汚れが生じ、又、水ゴーストが発生した。こ
れに対し本発明実施品ロールＤはロール表面にイ
ンキの付着が少なく、版面の非画線部分のインキ
汚れも少なく、又、水ゴーストの発生しにくいも
のであつた。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、第３図及び第４図はそれぞれ
印刷物の平面図、第５図はロールのJISゴム硬さ
Ｙと吸湿膨潤性樹脂微粉末の配合部数Ｘとの関係
図である。１，２，３，６，７，９，１２……画線部、１
０，１３……白抜き部分。

Claims

【特許請求の範囲】１ (a) オフセツト印刷機のブランケツト胴にイ
ンキを転写する版画にインキまたは水分を供給
するロールであること、 (b) そのロールの表面が、100〜500メツシユの粒
度分布をもつて吸湿膨潤性樹脂粉末を、疎水性
樹脂コンパウンド100重量部に対して５重量部
以上50重量部未満配合し加湿膨潤させることな
く混練して形成されていること、 (c) その吸湿膨潤性樹脂粉末が、溶出してロール
内に内部空隙を形成することなく、その疎水性
樹脂に抱かれるようにして担持されているこ
と、を特徴とするオフセツト印刷機用ロール。