JPH05322074A - ねじ式継手 - Google Patents
ねじ式継手Info
- Publication number
- JPH05322074A JPH05322074A JP3330927A JP33092791A JPH05322074A JP H05322074 A JPH05322074 A JP H05322074A JP 3330927 A JP3330927 A JP 3330927A JP 33092791 A JP33092791 A JP 33092791A JP H05322074 A JPH05322074 A JP H05322074A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- joint
- pipe
- shape memory
- screw
- memory alloy
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Landscapes
- Non-Disconnectible Joints And Screw-Threaded Joints (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 シール剤を使用せず、長柄の工具を用いてパ
イプもしくは継手を回転させる必要もない、施工性のよ
いねじ式継手を提供すること。 【構成】 ねじ式継手の円筒部分に拡管処理した形状記
憶合金を用い、さらにねじの種類をテーパねじに限定し
たことで、素手で回らなくなるまで軽くねじ込んだ後
に、継手部分を加熱するだけで継手自体が収縮し、ねじ
の確実な締結が行われるようにした。 【効果】 配管内の流体中にシール剤が混入する心配が
ない上、工具に力を加えてねじを締めつける必要がない
ので、狭い場所や足場の悪い場所で容易に配管施工を行
うことができる。また形状記憶合金製配管用継手は締結
しようとするパイプの外径にバラツキがあると、確実な
締結の行われない傾向があるが、本発明の場合にはパイ
プにねじを加工する過程で外径が揃うので、性能が安定
する。
イプもしくは継手を回転させる必要もない、施工性のよ
いねじ式継手を提供すること。 【構成】 ねじ式継手の円筒部分に拡管処理した形状記
憶合金を用い、さらにねじの種類をテーパねじに限定し
たことで、素手で回らなくなるまで軽くねじ込んだ後
に、継手部分を加熱するだけで継手自体が収縮し、ねじ
の確実な締結が行われるようにした。 【効果】 配管内の流体中にシール剤が混入する心配が
ない上、工具に力を加えてねじを締めつける必要がない
ので、狭い場所や足場の悪い場所で容易に配管施工を行
うことができる。また形状記憶合金製配管用継手は締結
しようとするパイプの外径にバラツキがあると、確実な
締結の行われない傾向があるが、本発明の場合にはパイ
プにねじを加工する過程で外径が揃うので、性能が安定
する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、配管施工において端部
にねじを有するパイプとパイプとを締結するために用い
るねじ式継手に関する。
にねじを有するパイプとパイプとを締結するために用い
るねじ式継手に関する。
【0002】
【従来の技術】配管には、用いるパイプの種類、用途、
扱う流体の種類に応じた多くの種類があり、これらに対
応して配管の施工方法にもまた多くの種類がある。パイ
プ端部に雄ねじを切り、雌ねじを有する継手と噛み合わ
せることによってパイプ同士を締結する方法は、溶接法
と並んで最も普通に行われている配管施工法の一種であ
る。ねじ式継手の中にも色々な種類があるが、形態上か
らは平行ねじとテーパねじの二つのタイプがある。平行
ねじが使用されるのは特殊な場合であり、通常はテーパ
ねじが使用されている。
扱う流体の種類に応じた多くの種類があり、これらに対
応して配管の施工方法にもまた多くの種類がある。パイ
プ端部に雄ねじを切り、雌ねじを有する継手と噛み合わ
せることによってパイプ同士を締結する方法は、溶接法
と並んで最も普通に行われている配管施工法の一種であ
る。ねじ式継手の中にも色々な種類があるが、形態上か
らは平行ねじとテーパねじの二つのタイプがある。平行
ねじが使用されるのは特殊な場合であり、通常はテーパ
ねじが使用されている。
【0003】ねじ式継手は手軽な反面、正しい条件で締
結しないと十分な性能を発揮できないものであり、しか
もその適正条件範囲は決して広くはない。このため締結
時に適正条件が確保されずに、例えばねじ込みが不十分
で漏れや使用中の緩みを生じたり、逆にねじ込みすぎて
ねじを引き切ってしまう等のことが起こりがちであっ
た。
結しないと十分な性能を発揮できないものであり、しか
もその適正条件範囲は決して広くはない。このため締結
時に適正条件が確保されずに、例えばねじ込みが不十分
で漏れや使用中の緩みを生じたり、逆にねじ込みすぎて
ねじを引き切ってしまう等のことが起こりがちであっ
た。
【0004】ねじ式継手で締結する継手部分の性能を確
保するためには、ねじがテーパねじの場合には、テーパ
を持ったパイプ側の雄ねじ面と、同じようにテーパを持
った継手側の雌ねじ面とを合わせて、一定の山数が噛み
合うまでねじ込んで両者をしっかりと固定することが必
要である。この時、パイプと継手のねじ面同士が金属接
触のままで締結に必要な状態まで締め込もうとすると焼
き付きが発生して、みかけ上はそれ以上のねじ込みが困
難なほどしっかり噛み合ったように見えながら、実際に
はねじの噛み合わせが不十分であるという事態が起こっ
てしまう。これを避けるためにねじ面に潤滑剤を塗布し
た上でねじ込むのが普通であるが、一般には、この潤滑
剤にはねじ面のシール性を確保するための役割も合わせ
持たせた使われ方が広く行われている。
保するためには、ねじがテーパねじの場合には、テーパ
を持ったパイプ側の雄ねじ面と、同じようにテーパを持
った継手側の雌ねじ面とを合わせて、一定の山数が噛み
合うまでねじ込んで両者をしっかりと固定することが必
要である。この時、パイプと継手のねじ面同士が金属接
触のままで締結に必要な状態まで締め込もうとすると焼
き付きが発生して、みかけ上はそれ以上のねじ込みが困
難なほどしっかり噛み合ったように見えながら、実際に
はねじの噛み合わせが不十分であるという事態が起こっ
てしまう。これを避けるためにねじ面に潤滑剤を塗布し
た上でねじ込むのが普通であるが、一般には、この潤滑
剤にはねじ面のシール性を確保するための役割も合わせ
持たせた使われ方が広く行われている。
【0005】このようにねじ式継手において潤滑剤もし
くはシール剤の使用は締結上不可欠なものであるが、こ
れらの使用は、締結後の配管系の使用に対して一定の制
約を与える原因となる。シール剤や潤滑剤の破片や一部
が配管内に流れだしてバルブ等の狭い部分に詰まった
り、あるいは配管内を高温度や低温度の流体が流れた時
に燃えたり変質したり異常に硬化して欠けたりして流体
中に流れ出したり、さらには反応性の高い流体の場合に
は流体中に溶け込んだりする、等の悪影響が問題にされ
る場合が少なくない。
くはシール剤の使用は締結上不可欠なものであるが、こ
れらの使用は、締結後の配管系の使用に対して一定の制
約を与える原因となる。シール剤や潤滑剤の破片や一部
が配管内に流れだしてバルブ等の狭い部分に詰まった
り、あるいは配管内を高温度や低温度の流体が流れた時
に燃えたり変質したり異常に硬化して欠けたりして流体
中に流れ出したり、さらには反応性の高い流体の場合に
は流体中に溶け込んだりする、等の悪影響が問題にされ
る場合が少なくない。
【0006】なおテーパねじでなく平行ねじの場合に
は、単にねじ込んだだけでは締結力が発生しないので、
パイプ側のねじの切り上がり部の面を継手側の端面と面
接触させるか、あるいは食い込みリングやパッキングを
押しつぶすことによって締結力を発生させる等の方法が
行われている。またいずれの場合にもねじ式継手を使用
してパイプ同士の締結をするためには、継手かパイプか
の少なくともいずれか一方を回転させることが必要であ
る。通常は継手側を回転するのが普通であるが、回転の
ためにはスパナ、パイプレンチ等の工具が使用される。
これらの工具は高いトルクを与えられるように長い柄を
有する。スペースが限られていたり、配管が密集するよ
うな場所での作業、さらには上向き状態等の足場が悪く
力を入れにくい場所での作業では、長い柄のついた工具
で継手を回転させるのが大変に困難な場合がある。また
単に回転させるだけではなく、適正な締め込みトルクを
得る必要があるわけだから、トルクレンチを使用してト
ルク値自体を確認しながら、あるいは一般的にはトルク
値の代替指標としてのねじ込み長さを確認しながら(テ
ーパねじではねじ込み長さと発生するトルクの間に一定
の対応関係があるので、全ねじ山の内の何山まで締め込
めば規定のトルクに達するかが判っている。実際の作業
は、ねじ込まずに残す山数で、例えば3山残し、等のよ
うな形で管理するのが最も普通である)、継手を回転す
ることになるので、前記のような作業条件における配管
施工作業は一層困難を極めるものとなる。
は、単にねじ込んだだけでは締結力が発生しないので、
パイプ側のねじの切り上がり部の面を継手側の端面と面
接触させるか、あるいは食い込みリングやパッキングを
押しつぶすことによって締結力を発生させる等の方法が
行われている。またいずれの場合にもねじ式継手を使用
してパイプ同士の締結をするためには、継手かパイプか
の少なくともいずれか一方を回転させることが必要であ
る。通常は継手側を回転するのが普通であるが、回転の
ためにはスパナ、パイプレンチ等の工具が使用される。
これらの工具は高いトルクを与えられるように長い柄を
有する。スペースが限られていたり、配管が密集するよ
うな場所での作業、さらには上向き状態等の足場が悪く
力を入れにくい場所での作業では、長い柄のついた工具
で継手を回転させるのが大変に困難な場合がある。また
単に回転させるだけではなく、適正な締め込みトルクを
得る必要があるわけだから、トルクレンチを使用してト
ルク値自体を確認しながら、あるいは一般的にはトルク
値の代替指標としてのねじ込み長さを確認しながら(テ
ーパねじではねじ込み長さと発生するトルクの間に一定
の対応関係があるので、全ねじ山の内の何山まで締め込
めば規定のトルクに達するかが判っている。実際の作業
は、ねじ込まずに残す山数で、例えば3山残し、等のよ
うな形で管理するのが最も普通である)、継手を回転す
ることになるので、前記のような作業条件における配管
施工作業は一層困難を極めるものとなる。
【0007】ねじ式継手の上記のような欠点を解消でき
る可能性のあるパイプ締結手段として、形状記憶合金を
利用する試みが現在までに色々な形で行われてきた。そ
の基本的な考え方は、形状記憶合金で作った円筒に対し
て形状記憶処理をした後に一定量の拡管を行い、パイプ
を差し込んだ状態で円筒部分を加熱することによって、
円筒が先に記憶させられた細い径に向かって収縮して行
くので、その収縮力でパイプを締結しようというもので
ある。
る可能性のあるパイプ締結手段として、形状記憶合金を
利用する試みが現在までに色々な形で行われてきた。そ
の基本的な考え方は、形状記憶合金で作った円筒に対し
て形状記憶処理をした後に一定量の拡管を行い、パイプ
を差し込んだ状態で円筒部分を加熱することによって、
円筒が先に記憶させられた細い径に向かって収縮して行
くので、その収縮力でパイプを締結しようというもので
ある。
【0008】形状記憶合金製円筒の収縮力でパイプを締
結する目的に対して、円筒の内部に突起をつけたり、各
種のライナーをかましたり(例えば特開昭59−932
41号公報)、さらにはゴム等のパッキング材の上から
円筒の収縮力を作用させたり(例えば実開昭60−12
3482号公報)するような様々なタイプの継手が提案
されている。この新しい魅力に満ちたパイプ締結手段の
活用は、「ねじも溶接機も不用なパイプ締結手段の実
現」という側面が強く意識され、実用化のための努力の
主体は当然のことながらねじの要らない継手、という方
向に向けられている。
結する目的に対して、円筒の内部に突起をつけたり、各
種のライナーをかましたり(例えば特開昭59−932
41号公報)、さらにはゴム等のパッキング材の上から
円筒の収縮力を作用させたり(例えば実開昭60−12
3482号公報)するような様々なタイプの継手が提案
されている。この新しい魅力に満ちたパイプ締結手段の
活用は、「ねじも溶接機も不用なパイプ締結手段の実
現」という側面が強く意識され、実用化のための努力の
主体は当然のことながらねじの要らない継手、という方
向に向けられている。
【0009】形状記憶合金とねじとの組合せについて
は、ボルトとナットのねじ接合部の緩み止めを形状記憶
合金で作る提案(特開昭58−191312号公報)
や、油井管の特殊ねじ継手の中に形状記憶合金のリング
を組み込んだり(例えば特開昭62−83585号公
報)、継手のねじ波型部に外形が波型をした形状記憶合
金製のスリーブを装着もしくは巻き付けた状態で締結す
る方法(実開昭59−191491号公報)等が認めら
れる程度である。
は、ボルトとナットのねじ接合部の緩み止めを形状記憶
合金で作る提案(特開昭58−191312号公報)
や、油井管の特殊ねじ継手の中に形状記憶合金のリング
を組み込んだり(例えば特開昭62−83585号公
報)、継手のねじ波型部に外形が波型をした形状記憶合
金製のスリーブを装着もしくは巻き付けた状態で締結す
る方法(実開昭59−191491号公報)等が認めら
れる程度である。
【0010】ところが最近になって、形状記憶合金製の
円筒内面にねじを形成した継手が提案された(特開平3
−84292号公報)。この考え方は、形状記憶合金製
円筒の内面が平滑だとパイプとの接触面積が不足して十
分な締結力を得られないので、接触面積を増やすために
ねじを利用しようというものである。したがって実施例
の図面で見る限り、平行ねじが採用されており、本文中
にもテーパねじを意識した記載は一切なされていない。
円筒内面にねじを形成した継手が提案された(特開平3
−84292号公報)。この考え方は、形状記憶合金製
円筒の内面が平滑だとパイプとの接触面積が不足して十
分な締結力を得られないので、接触面積を増やすために
ねじを利用しようというものである。したがって実施例
の図面で見る限り、平行ねじが採用されており、本文中
にもテーパねじを意識した記載は一切なされていない。
【0011】形状記憶合金製のパイプ用継手の実用化に
当たって常に問題になる基本的な課題は、パイプとの接
触面積が不足するということよりも、締結しようとする
パイプの外径にバラツキがあった時に、限られた形状回
復量(継手内径収縮量)で確実に締結力を出せるかとい
う点と、継手内部へのパイプの差込み長さが安定して確
保できるかという2点である。前者は、ニッケル−チタ
ン系や銅系の形状記憶合金のように形状回復ひずみが4
〜8%と大きくとれる合金の場合には問題にならない
が、鉄基の合金のように、パイプの規格公差と同程度の
高々3.5%程度以下の回復ひずみしか得られない低コ
ストの合金を使用する場合には、特に重大な問題であ
る。また後者はいかに形状回復ひずみの大きい形状記憶
合金を用いた場合にも残る問題で、継手の中にパイプが
適正長さだけ確実に挿入されていない限りは、どのよう
な継手であっても完全な締結は期待できないのが当然で
ある。
当たって常に問題になる基本的な課題は、パイプとの接
触面積が不足するということよりも、締結しようとする
パイプの外径にバラツキがあった時に、限られた形状回
復量(継手内径収縮量)で確実に締結力を出せるかとい
う点と、継手内部へのパイプの差込み長さが安定して確
保できるかという2点である。前者は、ニッケル−チタ
ン系や銅系の形状記憶合金のように形状回復ひずみが4
〜8%と大きくとれる合金の場合には問題にならない
が、鉄基の合金のように、パイプの規格公差と同程度の
高々3.5%程度以下の回復ひずみしか得られない低コ
ストの合金を使用する場合には、特に重大な問題であ
る。また後者はいかに形状回復ひずみの大きい形状記憶
合金を用いた場合にも残る問題で、継手の中にパイプが
適正長さだけ確実に挿入されていない限りは、どのよう
な継手であっても完全な締結は期待できないのが当然で
ある。
【0012】この形状記憶合金製パイプ用継手の最も基
本的な二つの課題に対する従来の対策としては、以下の
ようなことが提案されていた。まず前者、すなわち締結
しようとするパイプ外径のバラツキに対しては、継手の
内径を階段状にしてパイプの実外径と継手の内径との関
係が常に適正となるようにしたり(特開平1−2950
92号公報)、あるいは継手の中間部分を薄肉にして、
継手の左右が各々差し込まれたパイプの外径に応じて互
いに干渉しあわずに収縮できるようにする(実開平2−
29385号公報)等が行われている。また後者、すな
わち継手内へのパイプの差込み長さを適正に確保するた
めには、継手中央部にパイプが突き当たるための「位置
決めリング」を設ける方法が提案されている(特開平3
−48091号公報)。しかしながらこれらの対策はい
ずれも、継手を特別な形状に作ることになり、二つの課
題を両方とも解決するためには二つの別々の対策を併せ
て実施することが必要となり、継手コストを高いものに
するという欠点があった。
本的な二つの課題に対する従来の対策としては、以下の
ようなことが提案されていた。まず前者、すなわち締結
しようとするパイプ外径のバラツキに対しては、継手の
内径を階段状にしてパイプの実外径と継手の内径との関
係が常に適正となるようにしたり(特開平1−2950
92号公報)、あるいは継手の中間部分を薄肉にして、
継手の左右が各々差し込まれたパイプの外径に応じて互
いに干渉しあわずに収縮できるようにする(実開平2−
29385号公報)等が行われている。また後者、すな
わち継手内へのパイプの差込み長さを適正に確保するた
めには、継手中央部にパイプが突き当たるための「位置
決めリング」を設ける方法が提案されている(特開平3
−48091号公報)。しかしながらこれらの対策はい
ずれも、継手を特別な形状に作ることになり、二つの課
題を両方とも解決するためには二つの別々の対策を併せ
て実施することが必要となり、継手コストを高いものに
するという欠点があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前記のねじ式継手の問
題点をまとめると、締結のためにシール剤もしくは潤
滑剤を使う必要があり、その適正量が分かりにくいこ
と、使用したシール剤もしくは潤滑剤が配管系の使用
温度や配管内を通す流体の種類を規制してしまうこと、
締結のためにパイプか継手の少なくともいずれかを回
転させなければならないこと、そのためには大きなト
ルクを与える長い柄を持った工具が必要となり、狭い場
所での作業が困難なこと、適正なトルクかねじ込み長
さを管理する等の面倒があること、さらにどんなに注
意して確実な締結作業が行われても、特に継続的な振動
を受ける場所ではねじがいつかは緩むという心配が持た
れること、等となる。
題点をまとめると、締結のためにシール剤もしくは潤
滑剤を使う必要があり、その適正量が分かりにくいこ
と、使用したシール剤もしくは潤滑剤が配管系の使用
温度や配管内を通す流体の種類を規制してしまうこと、
締結のためにパイプか継手の少なくともいずれかを回
転させなければならないこと、そのためには大きなト
ルクを与える長い柄を持った工具が必要となり、狭い場
所での作業が困難なこと、適正なトルクかねじ込み長
さを管理する等の面倒があること、さらにどんなに注
意して確実な締結作業が行われても、特に継続的な振動
を受ける場所ではねじがいつかは緩むという心配が持た
れること、等となる。
【0014】一方の形状記憶合金を利用したパイプ用継
手にも、継手内へのパイプの差込み長さがいつも適正
な状態となるようにするのがなかなか難しいこと、に加
えて、特に形状回復率の少ない低コストの合金を利用し
た場合には、締結するパイプの外径にバラツキがある
と安定した締結性能が確保できないこと、等の問題があ
る。
手にも、継手内へのパイプの差込み長さがいつも適正
な状態となるようにするのがなかなか難しいこと、に加
えて、特に形状回復率の少ない低コストの合金を利用し
た場合には、締結するパイプの外径にバラツキがある
と安定した締結性能が確保できないこと、等の問題があ
る。
【0015】そこで各々に欠点を有するねじ式継手と形
状回復性能の小さい安価な形状記憶合金応用継手の概念
を組み合わせることによって、両者の欠点をすべて解消
した新しいパイプ用継手を提供することを本発明の目的
とした。特にシール剤や潤滑剤が不用で、しかも特定の
工具を用いて強いトルクを与えるような作業を行わなく
てもよい、施工作業が容易で広い用途の配管に利用でき
るねじ式継手を提供することが本発明の目的である。
状回復性能の小さい安価な形状記憶合金応用継手の概念
を組み合わせることによって、両者の欠点をすべて解消
した新しいパイプ用継手を提供することを本発明の目的
とした。特にシール剤や潤滑剤が不用で、しかも特定の
工具を用いて強いトルクを与えるような作業を行わなく
てもよい、施工作業が容易で広い用途の配管に利用でき
るねじ式継手を提供することが本発明の目的である。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、形状記憶処理
後拡管された状態の形状記憶合金円筒の内側に、テーパ
雌ねじを有することを特徴とするねじ式継手、ならび
に、形状記憶処理後拡管された状態の形状記憶合金円筒
の内側にテーパ雌ねじと、一部ねじのない部分を有する
ことを特徴とするねじ式継手を要旨とするものであり、
前記円筒の少なくとも内面にメッキを施すこともでき
る。
後拡管された状態の形状記憶合金円筒の内側に、テーパ
雌ねじを有することを特徴とするねじ式継手、ならび
に、形状記憶処理後拡管された状態の形状記憶合金円筒
の内側にテーパ雌ねじと、一部ねじのない部分を有する
ことを特徴とするねじ式継手を要旨とするものであり、
前記円筒の少なくとも内面にメッキを施すこともでき
る。
【0017】本発明は、前項に提示した発明の目的が、
継手をなす円筒を形状記憶合金で作製し、この形状記憶
合金製円筒の内側にテーパ雌ねじを加工することによっ
て確実に達成されるという知見に基づいて構成されたも
のである。本発明者らは、形状記憶合金を使うことによ
って従来のねじ式継手の欠点を改善する方法について検
討を続けてきた。先に提示したねじ式継手の欠点が形状
記憶合金の作用によって改善されるならば、まったく新
しい配管施工技術分野を開拓できる可能性があると判断
されたからである。このような検討の結果、形状記憶合
金で継手本体の円筒を作製して直接その内面にテーパ雌
ねじを加工してしまい、機械的にねじ込む代わりに形状
記憶合金製円筒の収縮力によってねじを締結させるとい
う方法をとることによって、ねじ式継手の問題点が根本
的に解決できる上、さらにこのことによって形状回復ひ
ずみの小さい形状記憶合金製パイプ用継手が持っていた
基本的な問題点をも併せて解決できることが判明した。
継手をなす円筒を形状記憶合金で作製し、この形状記憶
合金製円筒の内側にテーパ雌ねじを加工することによっ
て確実に達成されるという知見に基づいて構成されたも
のである。本発明者らは、形状記憶合金を使うことによ
って従来のねじ式継手の欠点を改善する方法について検
討を続けてきた。先に提示したねじ式継手の欠点が形状
記憶合金の作用によって改善されるならば、まったく新
しい配管施工技術分野を開拓できる可能性があると判断
されたからである。このような検討の結果、形状記憶合
金で継手本体の円筒を作製して直接その内面にテーパ雌
ねじを加工してしまい、機械的にねじ込む代わりに形状
記憶合金製円筒の収縮力によってねじを締結させるとい
う方法をとることによって、ねじ式継手の問題点が根本
的に解決できる上、さらにこのことによって形状回復ひ
ずみの小さい形状記憶合金製パイプ用継手が持っていた
基本的な問題点をも併せて解決できることが判明した。
【0018】すなわち形状記憶合金製円筒の収縮力によ
ってねじの締結を行わせることにすれば、ねじ面同士を
激しく擦り合わせることがなくなるので、潤滑剤がなく
ても焼き付きを起こす心配がまったくなくなってしま
う。また素手で回せる範囲までねじ込めば、後はパイプ
側も継手側も一切回転させる必要はなく、形状記憶合金
の形状回復温度まで継手を加熱するだけで完全な締結状
態が実現する。したがって長柄の工具を使用する必要が
なくなるから、スペースが狭くても、配管がたて込んで
いても、施工はきわめて容易に行えるようになる。ねじ
式継手の最後の問題である緩んで抜ける心配に対して
も、後記実施例で明らかにするように、戻しトルク試験
(いったん締結した後でどの程度の逆トルクで締結した
部分が抜けるかを評価する試験)の結果、形状記憶合金
の形状回復効果を利用して締結したねじ式継手は、従来
の機械的に締め付けたねじ式継手に比べて著しく高い戻
しトルク値を得られることが確認されており、従来、溶
接継手が用いられていたような使用目的に対しても、十
分に供し得る性能を持つものであることが明らかになっ
た。
ってねじの締結を行わせることにすれば、ねじ面同士を
激しく擦り合わせることがなくなるので、潤滑剤がなく
ても焼き付きを起こす心配がまったくなくなってしま
う。また素手で回せる範囲までねじ込めば、後はパイプ
側も継手側も一切回転させる必要はなく、形状記憶合金
の形状回復温度まで継手を加熱するだけで完全な締結状
態が実現する。したがって長柄の工具を使用する必要が
なくなるから、スペースが狭くても、配管がたて込んで
いても、施工はきわめて容易に行えるようになる。ねじ
式継手の最後の問題である緩んで抜ける心配に対して
も、後記実施例で明らかにするように、戻しトルク試験
(いったん締結した後でどの程度の逆トルクで締結した
部分が抜けるかを評価する試験)の結果、形状記憶合金
の形状回復効果を利用して締結したねじ式継手は、従来
の機械的に締め付けたねじ式継手に比べて著しく高い戻
しトルク値を得られることが確認されており、従来、溶
接継手が用いられていたような使用目的に対しても、十
分に供し得る性能を持つものであることが明らかになっ
た。
【0019】一方の形状記憶合金の側から眺めても、テ
ーパねじ方式の採用は大きなメリットがある。ねじ等は
一切用いずに、切断したままのパイプを確実に締結でき
ればそれに越したことはないのであるが、現実には特に
安価な形状記憶合金の場合には継手円筒の収縮量に限界
があるため、締結しようとするパイプの外径が平均値か
ら外れていたりパイプ端部が変形していたりすると、確
実な締結はできなくなってしまう。またパイプの外径が
揃っていても、締結しようとするパイプが継手の中に規
定の長さだけ正確に差し込まれなければ、やはり確実な
締結は期待できないことになる。これに対して形状記憶
合金製パイプ用継手の内面にテーパ雌ねじを設け、パイ
プ端にはテーパ雄ねじを形成して素手で両者をねじ込む
ようにすることで、パイプ外径のバラツキやパイプ端部
の変形の影響が完全に除去されてしまう。すなわちテー
パねじを素手で回る範囲までねじ込むことによって、パ
イプと継手間はほぼ密着すると同時に、継手の中へのパ
イプの差込み長さも常に適正長さが確保されるように自
動的に調整されてしまう。このような効果は継手内面に
テーパ雌ねじを形成することによって得られるものであ
り、平行雌ねじでは当然のことながら不可能である。
ーパねじ方式の採用は大きなメリットがある。ねじ等は
一切用いずに、切断したままのパイプを確実に締結でき
ればそれに越したことはないのであるが、現実には特に
安価な形状記憶合金の場合には継手円筒の収縮量に限界
があるため、締結しようとするパイプの外径が平均値か
ら外れていたりパイプ端部が変形していたりすると、確
実な締結はできなくなってしまう。またパイプの外径が
揃っていても、締結しようとするパイプが継手の中に規
定の長さだけ正確に差し込まれなければ、やはり確実な
締結は期待できないことになる。これに対して形状記憶
合金製パイプ用継手の内面にテーパ雌ねじを設け、パイ
プ端にはテーパ雄ねじを形成して素手で両者をねじ込む
ようにすることで、パイプ外径のバラツキやパイプ端部
の変形の影響が完全に除去されてしまう。すなわちテー
パねじを素手で回る範囲までねじ込むことによって、パ
イプと継手間はほぼ密着すると同時に、継手の中へのパ
イプの差込み長さも常に適正長さが確保されるように自
動的に調整されてしまう。このような効果は継手内面に
テーパ雌ねじを形成することによって得られるものであ
り、平行雌ねじでは当然のことながら不可能である。
【0020】図1は本発明による最も基本的なねじ式継
手の概念図、図2は継手内面中央部分に一部ねじのない
部分を設けた第2発明の概念図である。図2の継手を使
って実際にパイプの締結を行う過程を例示したのが図3
である。ねじ式継手1の両端に締結しようとするパイプ
2を素手で回るまで噛み合わせた状態が図3(ロ)であ
る。この状態で、継手の中へのパイプの必要な差込み長
さが確保され、かつ継手の雌ねじとパイプの雄ねじはほ
ぼ密着する。通常のねじ式継手においてはこの後で、長
柄のレンチ等を使用して規定のトルクが得られるまでパ
イプか継手のいずれかをな理にねじ込むことになるが、
本発明のねじ式継手の場合には、図3(ロ)の状態で継
手部分を200〜300℃程度に加熱するだけで締結が
完了する。継手の加熱は、形状記憶合金製のパイプ用継
手加熱装置として種々の方式のものが開発されているの
で、これらの中から施工条件に合うものを選んで使用す
ることができる。
手の概念図、図2は継手内面中央部分に一部ねじのない
部分を設けた第2発明の概念図である。図2の継手を使
って実際にパイプの締結を行う過程を例示したのが図3
である。ねじ式継手1の両端に締結しようとするパイプ
2を素手で回るまで噛み合わせた状態が図3(ロ)であ
る。この状態で、継手の中へのパイプの必要な差込み長
さが確保され、かつ継手の雌ねじとパイプの雄ねじはほ
ぼ密着する。通常のねじ式継手においてはこの後で、長
柄のレンチ等を使用して規定のトルクが得られるまでパ
イプか継手のいずれかをな理にねじ込むことになるが、
本発明のねじ式継手の場合には、図3(ロ)の状態で継
手部分を200〜300℃程度に加熱するだけで締結が
完了する。継手の加熱は、形状記憶合金製のパイプ用継
手加熱装置として種々の方式のものが開発されているの
で、これらの中から施工条件に合うものを選んで使用す
ることができる。
【0021】以上のように、本発明によるねじ式継手と
いえども、締結のために継手もしくはパイプの回転がま
ったく不用という訳ではない。しかしながら工具を使っ
てトルクの立つまで締め込む必要はなく、素手で回る範
囲まで簡単に回しておくだけでよいのであるから、作業
性は従来の継手に比べて大きな違いがある。また締結の
ための潤滑剤も不用であり、さらに戻しトルクも著しく
高いものになる点で、従来のねじ式継手に比べると格段
に大きな信頼性をもった継手だということができる。
いえども、締結のために継手もしくはパイプの回転がま
ったく不用という訳ではない。しかしながら工具を使っ
てトルクの立つまで締め込む必要はなく、素手で回る範
囲まで簡単に回しておくだけでよいのであるから、作業
性は従来の継手に比べて大きな違いがある。また締結の
ための潤滑剤も不用であり、さらに戻しトルクも著しく
高いものになる点で、従来のねじ式継手に比べると格段
に大きな信頼性をもった継手だということができる。
【0022】本発明が形状記憶合金製円筒の内面に設け
るねじ形状をテーパ雌ねじに限定した理由は、平行雌ね
じでは、まず第1に、パイプ側にねじが切られている限
り際限なく継手の中にパイプが進入してしまって、継手
中へのパイプ差込み長さを自動的に適正に規制する機能
が得にくいからである。この点は、仮に継手内面中央部
分にパイプの当て止めを作ることによって図4(ロ)の
ように解決したとしても、継手内面のねじが平行雌ねじ
では、同図に強調して示した通り、継手の雌ねじとパイ
プの雄ねじとの間に一定のギャップが生じたままになっ
てしまう。テーパ雌ねじであれば素手による継手のねじ
込みによって雄ねじと雌ねじの間の隙間がほぼゼロにな
ったところから、形状記憶合金製円筒を収縮させること
によってしっかりとパイプを掴ませることができるのに
対して、平行雌ねじを採用すると雄ねじと雌ねじの噛み
合わせに一定のギャップが残ったままの状態から形状記
憶合金製円筒の収縮を始めさせることになり、形状記憶
合金の限られた収縮力を効率よくパイプの掴み力に変換
させることができない。このためテーパ雌ねじ方式を採
用する本発明に比べると、平行雌ねじ方式の継手はシー
ル性、戻しトルクにバラツキが大きくなり、実用性を備
えた商品とするには不十分なものであることが確認され
た。
るねじ形状をテーパ雌ねじに限定した理由は、平行雌ね
じでは、まず第1に、パイプ側にねじが切られている限
り際限なく継手の中にパイプが進入してしまって、継手
中へのパイプ差込み長さを自動的に適正に規制する機能
が得にくいからである。この点は、仮に継手内面中央部
分にパイプの当て止めを作ることによって図4(ロ)の
ように解決したとしても、継手内面のねじが平行雌ねじ
では、同図に強調して示した通り、継手の雌ねじとパイ
プの雄ねじとの間に一定のギャップが生じたままになっ
てしまう。テーパ雌ねじであれば素手による継手のねじ
込みによって雄ねじと雌ねじの間の隙間がほぼゼロにな
ったところから、形状記憶合金製円筒を収縮させること
によってしっかりとパイプを掴ませることができるのに
対して、平行雌ねじを採用すると雄ねじと雌ねじの噛み
合わせに一定のギャップが残ったままの状態から形状記
憶合金製円筒の収縮を始めさせることになり、形状記憶
合金の限られた収縮力を効率よくパイプの掴み力に変換
させることができない。このためテーパ雌ねじ方式を採
用する本発明に比べると、平行雌ねじ方式の継手はシー
ル性、戻しトルクにバラツキが大きくなり、実用性を備
えた商品とするには不十分なものであることが確認され
た。
【0023】この点に関連して、本発明者らは次のよう
な知見も見出している。すなわち、形状記憶合金製の拡
管された円筒を、内部にパイプを挿入しないままで加熱
して収縮を引き起こさせた場合に、円筒の収縮は必ずし
も長さ方向にわたって均一に生じるものではなく、その
両端面付近の収縮が著しいのに対して、円筒の中間部分
の収縮はかなり小さくなる。このため平行雌ねじを形成
した形状記憶合金製円筒で平行雄ねじを有するパイプを
締結すると、継手部分を加熱して収縮させた後でも、図
4(ハ)の拡大部分に強調して示したように、継手端面
近傍はパイプと密着するものの、継手の中間部分は隙間
が完全に消滅しない状態の締結に留まる傾向が生じてし
まう。継手強度もシール性も、継手端面のわずかな領域
のみで受け持つことになるために、これらの継手の特性
は安定しないものになると考えられる。
な知見も見出している。すなわち、形状記憶合金製の拡
管された円筒を、内部にパイプを挿入しないままで加熱
して収縮を引き起こさせた場合に、円筒の収縮は必ずし
も長さ方向にわたって均一に生じるものではなく、その
両端面付近の収縮が著しいのに対して、円筒の中間部分
の収縮はかなり小さくなる。このため平行雌ねじを形成
した形状記憶合金製円筒で平行雄ねじを有するパイプを
締結すると、継手部分を加熱して収縮させた後でも、図
4(ハ)の拡大部分に強調して示したように、継手端面
近傍はパイプと密着するものの、継手の中間部分は隙間
が完全に消滅しない状態の締結に留まる傾向が生じてし
まう。継手強度もシール性も、継手端面のわずかな領域
のみで受け持つことになるために、これらの継手の特性
は安定しないものになると考えられる。
【0024】形状記憶合金製の円筒内部にテーパ雌ねじ
を加工しない部分を残す第2発明は、この部分が存在し
ない場合に両端から素手でねじ込んだパイプ同士が継手
の中で先端同士突き当たることによって、適正差し込み
長さが確保できなくなるような障害を避けるためであ
る。しかしこれはテーパ雌ねじ部を長く形成することに
よっても解決できるものであるから、必須なものではな
い。
を加工しない部分を残す第2発明は、この部分が存在し
ない場合に両端から素手でねじ込んだパイプ同士が継手
の中で先端同士突き当たることによって、適正差し込み
長さが確保できなくなるような障害を避けるためであ
る。しかしこれはテーパ雌ねじ部を長く形成することに
よっても解決できるものであるから、必須なものではな
い。
【0025】さらにメッキを、少なくとも円筒内面部に
施すのは、配管系の内部を通る流体が腐食性の強い場合
に、継手の腐食を防止するのが目的である。このメッキ
は基本的には継手内面にあればよいのであるが、作業上
継手外面や端面を含む全面がメッキされてしまっても差
し支えはない。メッキの種類としては通常行われている
ニッケル、クロム、銅、亜鉛等やこれらを主とする合金
メッキが利用できる。ただしメッキ中に水素を吸着する
と合金が脆性破壊する心配が生じるので、無電解メッキ
方式で薄めの皮膜をつけることが望ましい。
施すのは、配管系の内部を通る流体が腐食性の強い場合
に、継手の腐食を防止するのが目的である。このメッキ
は基本的には継手内面にあればよいのであるが、作業上
継手外面や端面を含む全面がメッキされてしまっても差
し支えはない。メッキの種類としては通常行われている
ニッケル、クロム、銅、亜鉛等やこれらを主とする合金
メッキが利用できる。ただしメッキ中に水素を吸着する
と合金が脆性破壊する心配が生じるので、無電解メッキ
方式で薄めの皮膜をつけることが望ましい。
【0026】また本発明によるねじ式継手で使用するね
じの種類は、JIS等で公的に規格化されたねじで一向
に差し支えない。ただし本発明によるねじ式継手の締結
力は基本的には形状記憶合金製円筒の収縮力によって与
えられるものであるから、規格化されているものよりも
ピッチが長く、ねじ山の低い、自由に設計されたねじを
使用することももちろん可能である。特にねじ山高さを
低くした自由ねじは、パイプ端がねじ加工によって実質
的に減肉して弱くなるのを防止する意味で、本発明によ
るねじ式継手に積極的に活用することが望ましいもので
ある。
じの種類は、JIS等で公的に規格化されたねじで一向
に差し支えない。ただし本発明によるねじ式継手の締結
力は基本的には形状記憶合金製円筒の収縮力によって与
えられるものであるから、規格化されているものよりも
ピッチが長く、ねじ山の低い、自由に設計されたねじを
使用することももちろん可能である。特にねじ山高さを
低くした自由ねじは、パイプ端がねじ加工によって実質
的に減肉して弱くなるのを防止する意味で、本発明によ
るねじ式継手に積極的に活用することが望ましいもので
ある。
【0027】以上のことから、形状記憶合金の円筒にテ
ーパ雌ねじをつけた本発明によるパイプ用継手は、従来
の単なるねじ式継手の欠点をすべて解消すると同時に、
従来の、形状記憶性能は劣るが安価な形状記憶合金を使
用したパイプ用継手では解決が困難であった安定した継
手性能の確保をも実現することができた。性能の高い形
状記憶合金が利用できないわけではないから、本発明に
用いる形状記憶合金の種類は特に制限する必要はない
が、継手製作上ねじ加工が必須となることから、高価な
合金を用いて継手コストが高くなりすぎるのは好ましい
ことではない。実際、継手に加工した後の内径収縮率と
して概ね1.5%以上を確保できるような形状記憶合金
であれば十分に利用が可能であるから、安価な鉄基の合
金を、それも後に述べるようなトレーニング等の処理を
せずにそのまま使用するのが、最も望ましい選択の一つ
であろうと考えられる。
ーパ雌ねじをつけた本発明によるパイプ用継手は、従来
の単なるねじ式継手の欠点をすべて解消すると同時に、
従来の、形状記憶性能は劣るが安価な形状記憶合金を使
用したパイプ用継手では解決が困難であった安定した継
手性能の確保をも実現することができた。性能の高い形
状記憶合金が利用できないわけではないから、本発明に
用いる形状記憶合金の種類は特に制限する必要はない
が、継手製作上ねじ加工が必須となることから、高価な
合金を用いて継手コストが高くなりすぎるのは好ましい
ことではない。実際、継手に加工した後の内径収縮率と
して概ね1.5%以上を確保できるような形状記憶合金
であれば十分に利用が可能であるから、安価な鉄基の合
金を、それも後に述べるようなトレーニング等の処理を
せずにそのまま使用するのが、最も望ましい選択の一つ
であろうと考えられる。
【0028】次に本発明の継手を製作するプロセスにつ
いて説明する。まず形状記憶合金を円筒状に加工した状
態で、形状記憶処理を行う。円筒状への加工は、丸棒な
どの材料をくり抜いても、板を成形後に溶接して作って
もよいが、大きな内圧のかかる継手の場合には溶接によ
らない方法で円筒を得ることが好ましい。また形状記憶
処理は、使用する合金の種類に応じた特定の温度に加熱
することによって行われる。一般的には、記憶させよう
とする形状が加熱中に変化しないように拘束を加えた状
態で加熱することが必要であるが、円筒形状を記憶させ
る場合には拘束することなく加熱するだけで十分な場合
がほとんどである。次いで前記の円筒の内径を一定量だ
け押し広げる(拡管)。拡管の程度は形状記憶合金の種
類によっても異なるが、数%から大きくても10%を超
えることはない程度の場合が普通である。この後で円筒
内面にテーパ雌ねじを加工すれば本発明による継手が完
成する。
いて説明する。まず形状記憶合金を円筒状に加工した状
態で、形状記憶処理を行う。円筒状への加工は、丸棒な
どの材料をくり抜いても、板を成形後に溶接して作って
もよいが、大きな内圧のかかる継手の場合には溶接によ
らない方法で円筒を得ることが好ましい。また形状記憶
処理は、使用する合金の種類に応じた特定の温度に加熱
することによって行われる。一般的には、記憶させよう
とする形状が加熱中に変化しないように拘束を加えた状
態で加熱することが必要であるが、円筒形状を記憶させ
る場合には拘束することなく加熱するだけで十分な場合
がほとんどである。次いで前記の円筒の内径を一定量だ
け押し広げる(拡管)。拡管の程度は形状記憶合金の種
類によっても異なるが、数%から大きくても10%を超
えることはない程度の場合が普通である。この後で円筒
内面にテーパ雌ねじを加工すれば本発明による継手が完
成する。
【0029】ただし前記の工程で製作された継手が、加
熱された時の内径収縮率に不足のある場合には、前記の
一度拡管された形状記憶合金製円筒にねじ加工をしない
まま形状回復温度までいったん加熱して収縮を起こさせ
た後、二度目の拡管を行ってから円筒内面に雌ねじ加工
を行えばよい。このように拡管と熱処理を組み合わせて
行う処理は形状記憶合金に対するトレーニング処理とし
て知られている方法であり、一度だけでなく数回までは
繰り返して行うほど、形状記憶特性の向上することが確
認されている。いずれの場合でも、形状記憶合金製円筒
内面への雌ねじ加工は、最後の拡管を終わった最終段階
で行われればよい。先に引用した特開平3−84292
号公報の実施例では、形状記憶合金製円筒にねじ加工を
行った後で円筒を拡管することが記載されているが、こ
のような方法では拡管の仕方が難しい上、ねじ部を損傷
する虞が多分にあるのに対し、本発明によれば拡管は極
めて容易であって、性能の優れた継手を安定して製造す
ることが可能である。
熱された時の内径収縮率に不足のある場合には、前記の
一度拡管された形状記憶合金製円筒にねじ加工をしない
まま形状回復温度までいったん加熱して収縮を起こさせ
た後、二度目の拡管を行ってから円筒内面に雌ねじ加工
を行えばよい。このように拡管と熱処理を組み合わせて
行う処理は形状記憶合金に対するトレーニング処理とし
て知られている方法であり、一度だけでなく数回までは
繰り返して行うほど、形状記憶特性の向上することが確
認されている。いずれの場合でも、形状記憶合金製円筒
内面への雌ねじ加工は、最後の拡管を終わった最終段階
で行われればよい。先に引用した特開平3−84292
号公報の実施例では、形状記憶合金製円筒にねじ加工を
行った後で円筒を拡管することが記載されているが、こ
のような方法では拡管の仕方が難しい上、ねじ部を損傷
する虞が多分にあるのに対し、本発明によれば拡管は極
めて容易であって、性能の優れた継手を安定して製造す
ることが可能である。
【0030】またメッキを必要とする場合はねじ加工後
に行うが、円筒内面のねじ面のみへのメッキが難しけれ
ば、円筒外面や端面を含めて一緒にメッキ処理されても
差し支えない。なお、本発明は上述のように潤滑剤を用
いなくても支障なく締結できる点に大きな特徴を有する
ものであり、締結のためには、潤滑剤もシール剤も使用
しないことによる不都合は生じない。しかしながら、特
にシール剤を用いることが何等支障のない用途に対して
本発明による継手を用いたり、継手のシール性能を最大
限に発揮させる使い方をしたい場合等に、シール剤を使
用して締結することを拒むものでないことはいうまでも
ない。また2本のパイプを直列に締結するためのソケッ
トタイプの継手だけでなく、エルボやティーズ等の形状
の継手に適用することも支障はない。
に行うが、円筒内面のねじ面のみへのメッキが難しけれ
ば、円筒外面や端面を含めて一緒にメッキ処理されても
差し支えない。なお、本発明は上述のように潤滑剤を用
いなくても支障なく締結できる点に大きな特徴を有する
ものであり、締結のためには、潤滑剤もシール剤も使用
しないことによる不都合は生じない。しかしながら、特
にシール剤を用いることが何等支障のない用途に対して
本発明による継手を用いたり、継手のシール性能を最大
限に発揮させる使い方をしたい場合等に、シール剤を使
用して締結することを拒むものでないことはいうまでも
ない。また2本のパイプを直列に締結するためのソケッ
トタイプの継手だけでなく、エルボやティーズ等の形状
の継手に適用することも支障はない。
【0031】
【作用】形状記憶合金で作られた円筒にテーパ雌ねじを
有する本発明による継手は、パイプ端部にテーパ雄ねじ
を有するパイプとの締結に使用される。締結に当たって
は、まずパイプと継手のねじ部を噛み合わせて素手で回
転させることにより、必要なねじ山数が軽く噛み合った
状態を実現させる。噛み合ったねじ山の必要な山数は、
テーパねじの特徴が活かされて、素手で回すのが困難な
状態になるまでねじ込むことによって、自ずから適正な
状態が確保される。この後に継手部分を、使用している
形状記憶合金の形状回復温度まで加熱して継手円筒を収
縮させることによって、パイプと継手のテーパねじ同士
は、工具を使って継手を回転させることによって締め込
まれたのと同様なしっかりした締結状態が得られる。
有する本発明による継手は、パイプ端部にテーパ雄ねじ
を有するパイプとの締結に使用される。締結に当たって
は、まずパイプと継手のねじ部を噛み合わせて素手で回
転させることにより、必要なねじ山数が軽く噛み合った
状態を実現させる。噛み合ったねじ山の必要な山数は、
テーパねじの特徴が活かされて、素手で回すのが困難な
状態になるまでねじ込むことによって、自ずから適正な
状態が確保される。この後に継手部分を、使用している
形状記憶合金の形状回復温度まで加熱して継手円筒を収
縮させることによって、パイプと継手のテーパねじ同士
は、工具を使って継手を回転させることによって締め込
まれたのと同様なしっかりした締結状態が得られる。
【0032】
【実施例】15AサイズのSTPG370鋼管を、本発
明による継手を用いて締結する試験を行った。表1に示
す通り、テーパ雌ねじを形成した本発明による継手に加
え、一部に平行雌ねじを形成した比較材も試験した。継
手側は、28%Mn−6%Si−5%Crを主成分とす
る鉄基形状記憶合金を用い、鍛造した丸棒から長さ40
mmと45mmの二種類の円筒を作り、900℃で形状
記憶処理を行った後、継手番号1〜8と14〜19につ
いては内径を6%拡管−600℃加熱−内径6%拡管
(工程1)の後、その内面側にテーパ雌ねじを加工し
た。また継手番号9〜13の5ケについては、900℃
で形状記憶処理を行った後、内径を6%拡管して(工程
2)、そのまま雌ねじ加工を行った。前者の工程1は、
形状記憶効果を改善するためのトレーニング過程を含
み、後者の工程2はトレーニングを行わない場合に相当
する。さらに、表1の継手タイプの項を(1)としたも
のは継手長さが40mmで、円筒内面の全長に亘ってね
じのある請求項1による継手、また継手タイプ(2)
は、継手長さが45mmで、円筒内面中央部分の幅5m
mだけをねじのない平坦部分とした請求項2による継手
である。
明による継手を用いて締結する試験を行った。表1に示
す通り、テーパ雌ねじを形成した本発明による継手に加
え、一部に平行雌ねじを形成した比較材も試験した。継
手側は、28%Mn−6%Si−5%Crを主成分とす
る鉄基形状記憶合金を用い、鍛造した丸棒から長さ40
mmと45mmの二種類の円筒を作り、900℃で形状
記憶処理を行った後、継手番号1〜8と14〜19につ
いては内径を6%拡管−600℃加熱−内径6%拡管
(工程1)の後、その内面側にテーパ雌ねじを加工し
た。また継手番号9〜13の5ケについては、900℃
で形状記憶処理を行った後、内径を6%拡管して(工程
2)、そのまま雌ねじ加工を行った。前者の工程1は、
形状記憶効果を改善するためのトレーニング過程を含
み、後者の工程2はトレーニングを行わない場合に相当
する。さらに、表1の継手タイプの項を(1)としたも
のは継手長さが40mmで、円筒内面の全長に亘ってね
じのある請求項1による継手、また継手タイプ(2)
は、継手長さが45mmで、円筒内面中央部分の幅5m
mだけをねじのない平坦部分とした請求項2による継手
である。
【0033】なお継手の外径はいずれも28mmとし
た。またメッキを行ったものは、継手番号7、8は10
μmの目標厚みとなるようにニッケルを無電解法で、ま
た継手番号14〜16は、30μmの目標厚みで電解法
による亜鉛メッキを行った。継手側の雌ねじの種類とし
ては、表1に記載したように、JIS規格のテーパねじ
の他に、ねじ山高さを低くした特殊ねじを加えた2種類
を試験した。またパイプ側の雄ねじについては、ドライ
シール用として開発された管用テーパねじ(特許第11
27864号)も追加した。シール剤として使用したの
はいずれも市販されているものを流用した。パイプタイ
トスティックはねじ式継手の締結に通常用いられている
ねじ面塗布用の潤滑兼シール剤であり、締結直前に雄ね
じ側に塗布した。またステンレスペイントは形状記憶合
金製継手のシール剤として実績のあるもので、予め雌ね
じ側である継手内面に塗布して乾燥させた後に締結に供
した。
た。またメッキを行ったものは、継手番号7、8は10
μmの目標厚みとなるようにニッケルを無電解法で、ま
た継手番号14〜16は、30μmの目標厚みで電解法
による亜鉛メッキを行った。継手側の雌ねじの種類とし
ては、表1に記載したように、JIS規格のテーパねじ
の他に、ねじ山高さを低くした特殊ねじを加えた2種類
を試験した。またパイプ側の雄ねじについては、ドライ
シール用として開発された管用テーパねじ(特許第11
27864号)も追加した。シール剤として使用したの
はいずれも市販されているものを流用した。パイプタイ
トスティックはねじ式継手の締結に通常用いられている
ねじ面塗布用の潤滑兼シール剤であり、締結直前に雄ね
じ側に塗布した。またステンレスペイントは形状記憶合
金製継手のシール剤として実績のあるもので、予め雌ね
じ側である継手内面に塗布して乾燥させた後に締結に供
した。
【0034】継手の締結試験に際しては、まず継手の両
端それぞれに、パイプの雄ねじを素手で軽くねじ込ん
だ。次に継手部分を誘導加熱法によって加熱した。この
試験に使用した形状記憶合金を完全に形状回復させるた
めには300℃への加熱が必要であるが、継手の加熱温
度はその300℃に加えて240℃の試験も行った。加
熱に要した時間は300℃加熱の場合で約40秒であっ
た。事前にこの合金の継手を、パイプを差し込まない状
態で加熱して、自由に内径を収縮させた場合の収縮代を
調べた結果、工程1で製作された継手を300℃に加熱
した時の内径収縮率は3.5%、240℃では3.0
%、また工程2で製作された継手の内径収縮率はそれぞ
れ3.0%、1.8%であった。
端それぞれに、パイプの雄ねじを素手で軽くねじ込ん
だ。次に継手部分を誘導加熱法によって加熱した。この
試験に使用した形状記憶合金を完全に形状回復させるた
めには300℃への加熱が必要であるが、継手の加熱温
度はその300℃に加えて240℃の試験も行った。加
熱に要した時間は300℃加熱の場合で約40秒であっ
た。事前にこの合金の継手を、パイプを差し込まない状
態で加熱して、自由に内径を収縮させた場合の収縮代を
調べた結果、工程1で製作された継手を300℃に加熱
した時の内径収縮率は3.5%、240℃では3.0
%、また工程2で製作された継手の内径収縮率はそれぞ
れ3.0%、1.8%であった。
【0035】以上の試験とは別に、この試験で使用した
のと同じ15AサイズのSTPG370鋼管を、本発明
によらない通常のねじ式継手をパイプレンチによって規
定のトルクが立つまで締め込む方法で締結した場合の継
手特性も調べてみた。その結果では、継手引張試験では
3、000kgf程度、戻しトルクは、シール剤として
パイプジョイントシールテープかパイプタイトスティッ
クのいずれかを用いた場合に288〜471kgf・c
mの値が得られた。これらの結果を表1の本発明による
継手の締結試験結果と比べると、継手引張試験では、ね
じ山形状を改善した特殊ねじとパイプ側のねじにWDS
を採用した場合を除けば、機械的に締め込んだときの結
果と変わらない値になっている。しかし破断はいずれの
場合にもパイプ側の雄ねじの谷部で発生しているから、
引張試験では継手自体の強度が評価されているわけでは
ないが、ねじ加工を受けたパイプ本体に比べて継手部が
十分に高い強度を持っていることが確認されていること
になり、実用上問題のないことが示されている。特殊ね
じとWDSねじの場合に強度が幾分か高いのは、前者で
はねじの谷部の切込みを浅くしたことが、また後者では
ねじ切削の前にパイプ端部にテーパ加工をしたことが影
響しているものと考えられるから、継手引張試験に対し
ては、本発明の継手が特別高い値を与えるものであると
は考えるべきでない。
のと同じ15AサイズのSTPG370鋼管を、本発明
によらない通常のねじ式継手をパイプレンチによって規
定のトルクが立つまで締め込む方法で締結した場合の継
手特性も調べてみた。その結果では、継手引張試験では
3、000kgf程度、戻しトルクは、シール剤として
パイプジョイントシールテープかパイプタイトスティッ
クのいずれかを用いた場合に288〜471kgf・c
mの値が得られた。これらの結果を表1の本発明による
継手の締結試験結果と比べると、継手引張試験では、ね
じ山形状を改善した特殊ねじとパイプ側のねじにWDS
を採用した場合を除けば、機械的に締め込んだときの結
果と変わらない値になっている。しかし破断はいずれの
場合にもパイプ側の雄ねじの谷部で発生しているから、
引張試験では継手自体の強度が評価されているわけでは
ないが、ねじ加工を受けたパイプ本体に比べて継手部が
十分に高い強度を持っていることが確認されていること
になり、実用上問題のないことが示されている。特殊ね
じとWDSねじの場合に強度が幾分か高いのは、前者で
はねじの谷部の切込みを浅くしたことが、また後者では
ねじ切削の前にパイプ端部にテーパ加工をしたことが影
響しているものと考えられるから、継手引張試験に対し
ては、本発明の継手が特別高い値を与えるものであると
は考えるべきでない。
【0036】注目すべきは戻しトルクの値である。この
値が高いほど、締結された継手のねじ部が振動などによ
って緩んでしまう傾向の起こりにくいことを意味するも
のであるが、既存の継手が300〜470kgf・cm
程度であるのに対して、本発明の継手では最低でも51
0kgf・cm以上、締結の条件によっては1、000
kgf・cm以上、最大では1、600kgf・cmと
いう高い値の得られていることが判る。このことは本発
明のねじ式継手の締結部を緩ませるためには、既存のね
じ式継手に対するよりも、締結条件によっては3倍から
4倍も高い外力を作用させることが必要であることを意
味している。つまりねじ式継手の大きな欠点とされてい
た使用中に緩む心配は、本発明によるねじ式継手の使用
によって格段に改善されることが判る。
値が高いほど、締結された継手のねじ部が振動などによ
って緩んでしまう傾向の起こりにくいことを意味するも
のであるが、既存の継手が300〜470kgf・cm
程度であるのに対して、本発明の継手では最低でも51
0kgf・cm以上、締結の条件によっては1、000
kgf・cm以上、最大では1、600kgf・cmと
いう高い値の得られていることが判る。このことは本発
明のねじ式継手の締結部を緩ませるためには、既存のね
じ式継手に対するよりも、締結条件によっては3倍から
4倍も高い外力を作用させることが必要であることを意
味している。つまりねじ式継手の大きな欠点とされてい
た使用中に緩む心配は、本発明によるねじ式継手の使用
によって格段に改善されることが判る。
【0037】また実施例中の3本の試験体については、
配管内部に水圧を加えて耐圧試験を行った。内圧5kg
f/cm2 から5kgf/cm2 きざみで圧力を高めて
行き、最終的に50kgf/cm2 までの内圧を付加し
たが、継手部を含む試験体には何等の異常も生じなかっ
た。本実施例においては、試験実施上の問題でそれ以上
の圧力付加試験は実施できなかったが、本発明によるね
じ式継手が基本的には高い内圧シール性を有することが
確認できた。圧力配管用の規格のパイプを用い、本発明
のねじ式継手の肉厚をそれに見合った厚みが確保できる
ようにすれば、さらに高い内圧の付加される油圧系統の
配管分野においても、十分な実用性を持つことが期待で
きる。
配管内部に水圧を加えて耐圧試験を行った。内圧5kg
f/cm2 から5kgf/cm2 きざみで圧力を高めて
行き、最終的に50kgf/cm2 までの内圧を付加し
たが、継手部を含む試験体には何等の異常も生じなかっ
た。本実施例においては、試験実施上の問題でそれ以上
の圧力付加試験は実施できなかったが、本発明によるね
じ式継手が基本的には高い内圧シール性を有することが
確認できた。圧力配管用の規格のパイプを用い、本発明
のねじ式継手の肉厚をそれに見合った厚みが確保できる
ようにすれば、さらに高い内圧の付加される油圧系統の
配管分野においても、十分な実用性を持つことが期待で
きる。
【0038】
【表1】
【0039】注1 パイプ側ねじ種類のWDS:特許第
1127864号(特公昭57−16275号公報)に
開示されている管用テーパねじ。雌ねじ側をこれに併せ
ることも可能であるが、本実施例ではJISのテーパね
じを採用した。ここでパイプ側にJISのテーパねじを
切削する前にパイプ端部に絞り加工を加え、ねじ切削に
よる残肉減を少なくするようにしてから、ねじ切削を行
った。 注2 使用したシール剤 継手番号 4〜 6 パイプタイトスティック 9〜13 ステンレスペイント 17〜19 パイプタイトスティック
1127864号(特公昭57−16275号公報)に
開示されている管用テーパねじ。雌ねじ側をこれに併せ
ることも可能であるが、本実施例ではJISのテーパね
じを採用した。ここでパイプ側にJISのテーパねじを
切削する前にパイプ端部に絞り加工を加え、ねじ切削に
よる残肉減を少なくするようにしてから、ねじ切削を行
った。 注2 使用したシール剤 継手番号 4〜 6 パイプタイトスティック 9〜13 ステンレスペイント 17〜19 パイプタイトスティック
【0040】
【発明の効果】本発明による継手は、素手で軽く予備的
にねじ込んだ後は、形状記憶合金の動作温度まで加熱す
るだけで締結が完了するものであるから、長い柄のある
工具を使用して継手かパイプかのいずれかを力を込めて
回転させることは不要である。このため狭いスペースで
の配管作業がきわめて容易に行える上、潤滑剤がなくて
もねじ面で焼き付きを起こすことがないので、締結作業
が簡単になる。このため潤滑剤が配管内に混じることを
嫌う用途はもちろん、配管内の流体による腐食や温度に
よる潤滑剤の劣化が心配されるような用途に対しても、
安心して使用することができる。
にねじ込んだ後は、形状記憶合金の動作温度まで加熱す
るだけで締結が完了するものであるから、長い柄のある
工具を使用して継手かパイプかのいずれかを力を込めて
回転させることは不要である。このため狭いスペースで
の配管作業がきわめて容易に行える上、潤滑剤がなくて
もねじ面で焼き付きを起こすことがないので、締結作業
が簡単になる。このため潤滑剤が配管内に混じることを
嫌う用途はもちろん、配管内の流体による腐食や温度に
よる潤滑剤の劣化が心配されるような用途に対しても、
安心して使用することができる。
【0041】さらに締結された締結部の戻しトルクが既
存のねじ式継手に比べて著しく高くなるので、緩みの心
配から溶接式継手が採用されていた分野においても、特
殊技能の必要な溶接に比べてはるかに手軽に使用するこ
とができる。
存のねじ式継手に比べて著しく高くなるので、緩みの心
配から溶接式継手が採用されていた分野においても、特
殊技能の必要な溶接に比べてはるかに手軽に使用するこ
とができる。
【図1】本発明の第1発明の一例を示す図である。
【図2】本発明の第2発明の一例を示す図である。
【図3】本発明によるねじ式継手によるパイプ締結工程
を示す図である。
を示す図である。
【図4】本発明によらない、継手内面に平行雌ねじを有
する形状記憶合金製ねじ式継手によってパイプを締結す
る工程を示す図である。
する形状記憶合金製ねじ式継手によってパイプを締結す
る工程を示す図である。
1 本発明によるねじ式継手 2 締結すべきパイプ 10 形状記憶合金製の円筒内面に平行雌ねじを有す
る本発明によらないねじ式継手 20 締結すべきパイプ g 継手10を用いた場合に生じやすいねじ部のギ
ャップの例
る本発明によらないねじ式継手 20 締結すべきパイプ g 継手10を用いた場合に生じやすいねじ部のギ
ャップの例
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 隆 埼玉県蕨市北町五丁目6番19号 (72)発明者 柴田 良治 埼玉県大宮市大字南中丸1117番地16
Claims (3)
- 【請求項1】 形状記憶処理後拡管された状態の形状記
憶合金円筒の内側に、テーパ雌ねじを有することを特徴
とするねじ式継手。 - 【請求項2】 形状記憶処理後拡管された状態の形状記
憶合金円筒の内側に、テーパ雌ねじと、一部ねじのない
部分を有することを特徴とするねじ式継手。 - 【請求項3】 少なくとも円筒内面部にメッキを施した
請求項1または2記載のねじ式継手。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3330927A JPH05322074A (ja) | 1991-04-16 | 1991-12-13 | ねじ式継手 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8427691 | 1991-04-16 | ||
JP3-84276 | 1991-04-16 | ||
JP3330927A JPH05322074A (ja) | 1991-04-16 | 1991-12-13 | ねじ式継手 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05322074A true JPH05322074A (ja) | 1993-12-07 |
Family
ID=13825933
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3330927A Withdrawn JPH05322074A (ja) | 1991-04-16 | 1991-12-13 | ねじ式継手 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05322074A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004015360A1 (en) * | 2002-08-12 | 2004-02-19 | Qinetiq Limited | Temperature responsive safety devices for munitions |
US8082846B2 (en) | 2002-08-12 | 2011-12-27 | Qinetiq Limited | Temperature responsive safety devices for munitions |
JP2013170589A (ja) * | 2012-02-17 | 2013-09-02 | Kazumi Kobayashi | 圧力配管用のねじ込み式管結合構造 |
US8616131B2 (en) | 2007-07-25 | 2013-12-31 | Qinetiq Limited | Rupturing devices |
-
1991
- 1991-12-13 JP JP3330927A patent/JPH05322074A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004015360A1 (en) * | 2002-08-12 | 2004-02-19 | Qinetiq Limited | Temperature responsive safety devices for munitions |
US7549375B2 (en) | 2002-08-12 | 2009-06-23 | Qinetiq Limited | Temperature responsive safety devices for munitions |
US8082846B2 (en) | 2002-08-12 | 2011-12-27 | Qinetiq Limited | Temperature responsive safety devices for munitions |
US8616131B2 (en) | 2007-07-25 | 2013-12-31 | Qinetiq Limited | Rupturing devices |
JP2013170589A (ja) * | 2012-02-17 | 2013-09-02 | Kazumi Kobayashi | 圧力配管用のねじ込み式管結合構造 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10316998B2 (en) | Conduit fitting subassembly and retaining tool | |
US10344898B2 (en) | Pull-up by torque fitting with female threaded nut and integral dynamic wedge | |
US7497483B2 (en) | Fitting for tube and pipe with cartridge | |
JP3356621B2 (ja) | 管接合用のねじ継手および管接合方法 | |
US4603888A (en) | End fitting | |
US20080012300A1 (en) | Iron fitting for stainless steel tubing | |
JP2009512828A (ja) | 管およびパイプに対する継手 | |
JP2007510869A (ja) | 金属パイプおよび管材のための継手 | |
JPH05322074A (ja) | ねじ式継手 | |
JPH0599377A (ja) | パイプの締結方法 | |
JP2003194268A (ja) | 配管用ステンレス管継手 | |
JPH11248063A (ja) | 管継手 | |
JPH06109184A (ja) | 薄肉パイプの締結方法 | |
JPS598714B2 (ja) | 薄肉ステンレス鋼管用喰込式管継手 | |
JPH1182829A (ja) | 摩擦圧接用管継ぎ手 | |
JPH06210372A (ja) | 配管施工方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19990311 |