JPH05322023A - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置

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JPH05322023A
JPH05322023A JP34474491A JP34474491A JPH05322023A JP H05322023 A JPH05322023 A JP H05322023A JP 34474491 A JP34474491 A JP 34474491A JP 34474491 A JP34474491 A JP 34474491A JP H05322023 A JPH05322023 A JP H05322023A
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speed
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rotation speed
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明は、急ブレーキ停止後の発進時に無
段変速機の両プーリがダメージを受けることを防止す
る。 【構成】 プライマリプーリ26、セカンダリプーリ2
8、無端ベルト27、プライマリ油圧アクチュエータ3
3及びセカンダリ油圧アクチュエータ34を有し、目標
プライマリプーリ回転数Wpoの設定手段21と、プラ
イマリ油圧アクチュエータ33へ供給する油量を制御す
る変速制御弁71と、ライン圧を設定するライン圧設定
手段21と、減速率ΔVを検出する減速率検出手段21
と、同減速率が所定値を越えると急制動状態を判定する
手段21と、急制動状態ではライン圧を高圧側に補正す
るライン圧補正手段21及び設定値Wpoを高回転側に
補正する目標プライマリプーリ回転数補正手段21と、
目標と実プライマリプーリ回転数の偏差Eに基づき目標
変速速度Viを設定する手段21と、調圧弁48及び変
速制御弁71を制御する変速制御手段21とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一対のプーリに巻装され
るベルトの巻き付け径比を油圧アクチュエータの切り換
え操作によって変化させて無断変速を行う変速機の変速
制御装置、特に、プライマリプーリの油圧アクチュエー
タに対して変速制御弁よりライン圧を調圧した制御油圧
が供給され、セカンダリプーリの油圧アクチュエータに
対して制御油圧としてライン圧が直接供給される構成の
無断変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プライマリプーリとセカンダリプ
ーリの間に駆動ベルトを巻装し、両プーリに巻装される
ベルトの巻き付け径比を変化させて無断変速を行うベル
ト駆動式の無段変速機が知られている。この無段変速機
はプライマリ及びセカンダリの両プーリの各固定側プー
リ材と可動側プーリ材の相対間隔を接離操作する両油圧
アクチュエータを備え、車両の運転情報に応じて決定さ
れた変速比に基づく変速制御油圧を変速比制御バルブの
スプールに供給し、同スプールの油圧切り換え作動に基
づき調圧された各プーリ制御油圧を両油圧アクチュエー
タにそれぞれ供給する。これによって、一対のプーリに
巻装されるベルトの巻き付け径比を変化させて無断変速
を行う様に構成されている。
【0003】ところで、無段変速機の変速比Iはプライ
マリプーリ回転数Wpとセカンダリプーリ回転数Wsの
比I(=Wp/Ws)と成り、この変速比Iを目標値に
補正する場合、制御手段はプライマリ及びセカンダリの
両プーリの油圧アクチュエータに対し、目標変速比を達
成出来る各プーリ制御油圧を電磁制御弁及び変速比制御
バルブを用いて供給することとなる。この場合、従来の
制御手段は、例えば、図14に示すように、目標変速比
相当の目標プライマリプーリ回転数Wpoと実プライマ
リプーリ回転数Wpを取り込み、その偏差E1(=Wp
o−Wp)を求め、エンジン回転数増に応じ応答性を低
下させる変化ゲインK1及びプライマリプーリの実値と
目標値の偏差増に応じて応答性を増加させる変化ゲイン
K2を求め、偏差E1に両ゲインK1,K2を乗算して
基本変速速度Vi1を算出し、この基本変速速度Vi1
を順次積分して前回値との偏差を求め、それをリミッタ
に掛け、補正係数1/Zの乗算によって積分補正変速速
度ViIを求める。その上で、基本変速速度Vi1と積
分補正変速速度ViIを加算して変速速度Viを算出
し、同変速速度Viを達成できる変速制御油圧Pcに相
当する変速速度信号Duで電磁制御弁を駆動し、同電磁
制御弁が変速制御油圧Pcを調圧し、変速制御油圧Pc
を受けた変速比制御バルブが各プーリ制御油圧を両プー
リの油圧アクチュエータに供給し、両プーリを目標変速
比Iに切り換えるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このよう
に、目標変速比相当の目標プライマリプーリ回転数Wp
oと実プライマリプーリ回転数Wpの偏差E1(=Wp
o−Wp)を求め、偏差E1に固定マップより求めた応
答性を補正するゲインK1,K2を乗算して基本変速速
度Vi1を求めるというだけの演算処理を採用した場
合、車両の急ブレーキ時の応答性を考慮していない。即
ち、車両がオーバードライブ中に急ブレーキ状態に入り
停止するような場合、無段変速機のプライマリプーリと
セカンダリプーリの巻き掛け比をフルローの状態に戻す
変速速度が遅すぎ、完全に戻らず、途中で止まってしま
い、ベルトに十分な張力を与えられない状態に陥る。こ
の結果、次の車両の発進時において、ベルトスリップを
発生し、ベルト及びプーリ間での滑りが生じやすくな
り、ベルト及びプーリに偏摩耗を生じやすくなり、ダメ
ージを与えるという問題がある。
【0005】本発明の目的は急ブレーキ時に両プーリが
ダメージを受けることを防止できる無断変速機の変速制
御装置を提供することに有る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明は駆動ベルトが巻装されたプライマリプー
リ及びセカンダリプーリを備え、上記両プーリの巻き付
け径比が目標の変速比に応じた値と成るようにプライマ
リプーリの油圧アクチュエータへの制御油圧がライン圧
を調圧した変速制御弁より供給されると共に上記セカン
ダリプーリの油圧アクチュエータへ制御油圧としてライ
ン圧が直接供給され、かつ上記ライン圧がライン圧調圧
弁によって調圧されるよう構成された無段変速機と、上
記無段変速機の出力軸回転速度に基づき車両の減速率を
算出する減速率算出手段と、上記減速率が急ブレーキモ
ード判定値を上回るか否かを判定する急ブレーキモード
判定手段と、上記急ブレーキモードであると上記ライン
圧を通常値のライン圧より高い急ブレーキライン圧に設
定するライン圧設定手段と、アクセル開度に応じた目標
プライマリプーリ回転数を算出すると共に上記急ブレー
キモードであると上記目標プライマリプーリ回転数を所
定量増加修正した急ブレーキ用目標プライマリプーリ回
転数を算出する目標プライマリプーリ回転数算出手段
と、上記目標プライマリプーリ回転数と実プライマリプ
ーリ回転数との偏差に基づき目標変速速度を算出する目
標変速速度算出手段と、上記ライン圧情報に応じて上記
ライン圧調圧弁を駆動すると共に上記両プーリを上記目
標変速速度で切り換えるべく上記変速制御弁を介して上
記一対の油圧アクチュエータに制御油圧を供給する変速
制御手段とを有したことを特徴とする。
【0007】
【作用】減速率算出手段が無段変速機の出力軸回転速度
に基づき車両の減速率を算出し、急ブレーキモード判定
手段が減速率が急ブレーキモード判定値を上回るか否か
を判定し、ライン圧設定手段が急ブレーキモードである
とライン圧を通常値のライン圧より高い急ブレーキライ
ン圧に設定し、目標プライマリプーリ回転数算出手段が
アクセル開度に応じた目標プライマリプーリ回転数を算
出すると共に急ブレーキモードであると目標プライマリ
プーリ回転数を所定量増加修正した急ブレーキ用目標プ
ライマリプーリ回転数を算出し、目標変速速度算出手段
が目標プライマリプーリ回転数と実プライマリプーリ回
転数との偏差に基づき目標変速速度を算出するので、急
ブレーキ時に、変速制御弁がライン圧情報として受けた
急ブレーキライン圧に応じてライン圧調圧弁を駆動する
と共に両プーリを急ブレーキ用目標プライマリプーリ回
転数に基づく目標変速速度で切り換えるべく変速制御弁
を介して一対の油圧アクチュエータに制御油圧を供給す
ることが出来る。
【0008】
【実施例】図1の無断変速機の変速制御装置は車両のエ
ンジン60に連結された動力伝達系P上の無段変速機2
0に付設される。ここでエンジン60は電子制御燃料噴
射型4サイクルエンジンであり、燃料を噴射するインジ
ェクタ1や混合気への点火をおこなう点火プラグ2等、
種々の装置がエンジンの電子制御手段としてのDBWE
CU3の制御下におかれ、しかも、このDBWECU3
には動力伝達系P内の無段変速機(CVT)20の電子
制御手段であるCVTECU21が接続されている。な
お、両ECU3,21間での信号の授受を常時行えるよ
うに両者間は通信回線で結線されている。
【0009】DBWECU3には、人為的操作部材とし
てのアクセルペダル10の操作と独立して駆動される吸
入空気量操作手段としてのスロットルバルブ9の駆動用
のアクチュエータ11が接続され、CVTECU21に
は、無段変速機20の変速速度を油圧制御する電磁制御
弁23やライン圧を調整する電磁制御弁40が接続され
ている。ここでエンジン60の全体構成を簡略に述べ
る。エアクリーナエレメント5から吸引された吸入気
は、その直後のカルマン渦式のエアフローセンサ6によ
りその流量が計測される。尚、エアクリーナボデー4内
には、エアフローセンサ6の他、図示しない大気圧セン
サや大気温度センサ等の装置が設けられており、吸入気
に関する各種のデータが計測されて、DBWECU3に
入力されるという周知の構成を採っている。
【0010】エアクリーナボデー4より吸気菅7を介し
てスロットルボデー8内に流入した吸入気はバタフライ
型のスロットルバルブ9によりその通過量を制御され
る。スロットルバルブ9は運転者が踏むアクセルペダル
10でなく、アクチュエータ(本実施例では、ステップ
モータ)11によって開閉駆動される。本実施例では、
このアクチュエータ11がDBWECU3により制御さ
れる、いわゆるDBW(ドライブ バイ ワイヤ)方式
が採用されている。図中、符号12はスロットルバルブ
9の開度情報を吸入空気量情報として出力するスロット
ルポジションセンサ(以下、スロットルセンサ)であ
り、その検出信号はDBWECU3に入力されている。
尚、アクセルペダル10には加速要求検出手段としての
アクセル開度センサ13が取付けられており、その踏み
込み量θaは運転者の加速要求情報として電気信号に変
換されてDBWECU3に入力される。ここではスロッ
トル開度θsをアクセル開度θaの一つとして見做す。
【0011】吸入気体はスロットルボデー8からサージ
タンク14を介してインテークマニホールド15に流入
し、DBWECU3の指令によりインジェクタ1から噴
射された燃料によって、混合気となる。混合気はエンジ
ン60の爆発・膨張行程が終了して排気ガスとなり、排
気マニホウルド16に流入し、図示しない排気ガス浄化
装置を経由して有害成分が除去された後、図示しないマ
フラーから大気中に放出されている。なお、符号24は
エンジンの回転情報を出力するエンジン回転センサを示
している。エンジン60のクランクシャフトには流体継
手41及び遊星歯車式の前後進切換え装置42を介して
図4の無段変速機20が接続されている。
【0012】ここで、無段変速機20は前後進切り換え
装置42の出力軸に一体結合されたプライマリシャフト
22を有するプライマリプーリ26と減速機30側に回
転力を出力するセカンダリシャフト29を有するセカン
ダリプーリ28を備え、このプライマリプーリ26とセ
カンダリプーリ28とにスチールベルト27が掛け渡さ
れる。セカンダリシャフト29は減速機30や図示しな
いデフを介して駆動軸31の駆動輪32,32に回転力
を伝達するように構成されている。両プーリ26,28
は共に2分割に構成され、可動側プーリ材261,28
1は固定側プーリ材262,282に相対回転不可に相
対間隔を接離可能に外嵌される。この可動側プーリ材2
61,281には固定側プーリ材との相対間隔を接離操
作する油圧アクチュエータとしてのプライマリシリンダ
33とセカンダリシリンダ34とが装着される。
【0013】なお、プライマリプーリ26とセカンダリ
プーリ28の両回転数Wp,Wsを検出する一対の回転
センサs1,s2が実変速比In(=Wp/Ws)の検
出手段として装着されている。この場合、プライマリプ
ーリ26の固定側プーリ材262に対し可動側プーリ材
261を近付けてプライマリプーリの巻き付け径を大き
くし、セカンダリプーリ28の固定側プーリ材282よ
り可動側プーリ281を遠ざけて巻き付け径を小さく
し、これによって実変速比In(プライマリ回転数Wp
/セカンダリ回転数Ws)を小さくし、即ち、低変速比
(高変速段)とし、逆に操作して高変速比(低変速段)
を達成する様に構成されている。このような無段変速機
20の油圧回路を図3と共に説明する。この油圧回路は
オイルポンプ37を備え、その吐出油が流体継手41
と、前後進切り換え部42の前進クラッチ43及び後進
クラッチ44と、無段変速機20のプライマリシリンダ
33及びセカンダリシリンダ34に供給される。
【0014】ここでオイルポンプ37はエンジン回転に
応じ駆動し、その油圧を変化させライン圧路49に供給
する。このためライン圧路49にはオイルポンプ37の
吐出圧の最大許容圧を規制するラインプレッシャレギュ
レータバルブ47が装着され、しかもライン圧を設定値
に調圧する様にレギュレータバルブ48が装着される。
このレギュレータバルブ48はライン圧ポート481の
油圧をランド482の右移動に応じてドレーンポート4
83に戻して油圧を調圧する。その油圧調整作動はスプ
ール484に供給されるパイロット圧と一対のバネ6
3,64のバランス作動により行われる。なお、パイロ
ット圧は電磁制御弁40を介してCVTECU21が制
御するものであり、この電磁制御弁40とレギュレータ
バルブ48がライン圧調圧弁70を構成する。
【0015】ライン圧路49の一部はクラッチプレッシ
ャコントロールバルブ50に連結され、同弁によって設
定値に調圧された圧油はクラッチ油路51を経てマニュ
アルバルブ52に供給される。このマニュアルバルブ5
2は変速段切り換え用の手動切り換えレバーに連動し、
前進側D,2,Lの各レンジと、後進側Rレンジと、ニ
ュートラルN及びパーキングPの各レンジを備える。マ
ニュアルバルブ52はこのレンジが前進側D,2,Lで
は前進クラッチ43を接合し、この時エンジン回転がそ
のまま無段変速機20に伝達され、他方、後進側Rレン
ジではエンジン回転が逆転されて無段変速機20に伝達
される。
【0016】ライン圧路49の一部は分岐してプレッシ
ャコントロールバルブ53によって設定値に調圧され、
同油圧が電磁制御弁23,24に供給され、電磁制御弁
23によって変速速度Viに応じた変速制御油圧Pcに
調圧される。なおこの電磁制御弁23はCVTECU2
1に接続され、その変速速度信号に応じた変速制御油圧
Pcを後述の変速比制御バルブ54に出力するもので、
この電磁制御弁23と変速比制バルブ54とが変速制御
弁71を構成する。無段変速機20のプライマリシリン
ダ33とセカンダリシリンダ34はそれぞれ、変速比制
御バルブ54の主ポート541、副ポート542に連通
され、特にセカンダリシリンダ34はライン圧路49に
も直結される。ここで変速比制御バルブ54は主、副ポ
ート541,542のほかに電磁制御弁23の変速制御
油圧Pcを受けるパイロットポート543、プレッシャ
コントロールバルブ53からの調整圧を受ける調圧ポー
ト544、オイルタンク55に連通するドレーンポート
Xを備え、スプール56によって油路の切り換え制御が
成される。
【0017】ここで、スプール56はそのパイロットポ
ート543との対抗部分が変速制御圧Pcを左向きに受
け、他端が逆方向に調整圧及びバネ力を受け、そのバラ
ンス位置に切り換え移動する。この場合、スプール56
の右移動(変速制御油圧Pcが減)に応じてドレーンポ
ートXが閉鎖され、一定移動の後に完全に閉鎖され、更
に、一定移動の後に主ポート541と副ポート542の
連通状態の増加量が増し、プライマリシリンダ33のプ
ライマリプーリ制御油圧Ppを増加させ(セカンダリプ
ーリ制御油圧Psは通常時はライン圧)、実変速比In
を減少させて低変速比(高変速段)とし、逆にスプール
56の左移動(変速制御油圧Pcが増)に応じてドレー
ンポートXが解放され、プライマリプーリ制御油圧Pp
を減少させる(セカンダリプーリ制御油圧Psは通常時
はライン圧)、実変速比Inを増加させて高変速比(低
変速段)とすることが出来る。なお、変速制御油圧Pc
を発する電磁制御弁23はそれが受けるデューティー比
Duが低いと油圧Pcを低下させ、デューティー比Du
が高いと油圧Pcを増加させるように構成されている。
なお、図1中の符号61は油圧回路の油温TOILの情報
を出力する油温センサを示す。
【0018】DBWECU3及びCVTECU21は共
にマイクロコンピュータによりその主要部が構成され、
特に内蔵する記憶回路には、図5乃至図9の各マップ
や、図10乃至図12のような変速制御プログラムが記
憶処理されている。ここで、図5の目標プライマリプー
リ回転数算出マップはスロットル開度θs(あるいはア
クセル開度θa)に応じた通常運時の目標プライマリプ
ーリ回転数Wpoを算出するのに用いられる。図6の目
標プライマリプーリ回転数(加算分)算出マップは油温
OILに応じた目標プライマリプーリ回転数加算分ΔW
poを算出するのに用いられる。図7の目標セカンダリ
シリンダ油圧算出マップは入力トルクTeと変速比Iと
車速Vとより目標油圧Poを算出するのに用いられる。
図8の吸入空気量算出マップはスロット開度θsとエン
ジン回転数Neに応じた吸入空気量を算出するのに用い
られる。図9のトルク算出マップは吸入空気量A/N及
びエンジン回転数Neより入力トルクTeを算出するの
に用いられる。
【0019】DBWECU3はアクセル開度θa、エン
ジン回転数Neに応じてスロットル開度θsを算出し、
スロットル弁9をスロットル開度θsに制御するという
周知の機能を備える。他方、CVTECU21は減速率
算出手段として無段変速機20の出力軸回転速度(セカ
ンダリプーリ回転数Ws)に基づき車両の減速率ΔVを
算出し、急ブレーキモード判定手段として減速率|ΔV
|が急ブレーキモード判定値α1を上回るか否かを判定
し、ライン圧設定手段として急ブレーキモードM2であ
るとライン圧を通常値のライン圧Pr1より高い急ブレ
ーキライン圧Pr2に設定し、目標プライマリプーリ回
転数算出手段としてアクセル開度θaに応じた目標プラ
イマリプーリ回転数Wpoを算出すると共に急ブレーキ
モードM2であると目標プライマリプーリ回転数を所定
量増加修正した急ブレーキ用目標プライマリプーリ回転
数Wporを算出し、目標変速速度算出手段として目標
プライマリプーリ回転数Wpoと実プライマリプーリ回
転数Wpとの偏差Eに基づき目標変速速度Vi1を算出
し、変速制御手段としてライン圧情報に応じてライン圧
調圧弁を駆動すると共に両プーリを目標変速速度Viで
切り換えるべく変速制御弁を介して一対の油圧アクチュ
エータ33,34に制御油圧Pp,Psを供給するとい
う機能を備える。
【0020】以下、本実施例の無断変速機の変速制御装
置を図10乃至図13の制御プログラムや図2のブロッ
クダイヤグラムとを参照して説明する。本実施例では、
図示しないイグニッションキーを操作することによって
エンジン本体60が始動し、図1、図2に示すDBWE
CU3及びCVTECU21内での制御も開始される。
DBWECU3は、燃料供給量制御に伴う燃料噴射弁1
の駆動処理、点火時期制御に伴う点火プラグ2の駆動処
理、エンジン出力制御に伴うスロットル弁の駆動処理が
周知のプログラムに沿って実行される。
【0021】他方、CVTECU21は、図10乃至図
13の無段変速機の変速制御に入り、初期設定を成し、
各センサの検出データである、プライマリプーリ26と
セカンダリプーリ28の両回転数Wp,Wsや、DBW
ECU3よりのスロットル開度θsや、エンジン回転数
Neその他が取り込まれ、所定のエリアにストアされ
る。ステップa2、3,4ではプライマリプーリ回転数
Wpとセカンダリプーリ回転数Wsとより実変速比In
を算出し、減速機30の減速比r及びセカンダリプーリ
回転数Wsより車速Vを算出し、スロットル開度θsよ
り目標プライマリプーリ回転数Wpoを算出する。更
に、ステップa5ではセカンダリプーリ回転数Wsを微
分して、減速率の絶対値|ΔV|を算出し、所定のエリ
アにストアする。更に、ステップa6ではエンジン回転
数Ne及びスロットル開度θsより吸入空気量A/Nを
算出し、この吸入空気量A/N及びエンジン回転数Ne
より入力トルクTeを算出し、所定のエリアにストアす
る。
【0022】この後、ステップa7の変速速度制御を行
う。目標プライマリプーリ回転数Wpoを達成するため
の変速速度制御処理では、図13に示す様に、まずステ
ップc1,2,3では、目標変速比相当の目標プライマ
リプーリ回転数Wpoと実プライマリプーリ回転数Wp
を取り込み、その偏差E(=Wpo−Wp)を求め、エ
ンジン回転数増に応じ応答性を低下させる変化ゲインK
1及びプライマリプーリの実値と目標値の偏差増に応じ
て応答性を増加させる変化ゲインK2を求め、ここでは
更に、レシオコントロールゲインk3を取り込む。ステ
ップc4では偏差EにゲインK1,K2,k3を乗算し
て基本変速速度Vi1を算出する。更に、ステップc5
では基本変速速度Vi1を積分して前回値との偏差を求
め、それを拡散防止のためのリミッタに掛け、更に積分
補正係数1/Zの乗算によって積分補正変速速度ViI
を求める。その上で、基本変速速度Vi1と積分補正変
速速度ViIを加算して変速速度Viを算出し、同変速
速度Viを達成できる変速制御油圧Pcに相当する変速
速度信号Duを算出する。ステップc6では電磁制御弁
を変速速度信号Duで駆動し、同電磁制御弁が変速制御
油圧Pcを調圧し、変速制御油圧Pcを受けた変速比制
御バルブ54が各プーリ制御油圧Pp,Psを両プーリ
の油圧アクチュエータに供給し、両プーリを目標変速速
度で切り換え、目標変速比Iを達成することと成る。
【0023】この後、ステップa8のブレーキ制御処理
及びステップa9のその他の周知の変速に伴う制御処理
を行い1制御処理を完了している。ここでのブレーキ制
御処理では、図11に示すように、まず、制御モードの
判定を行い、通常ブレーキモードM1ではステップb2
に進み、急ブレーキ制御モードM2ではステップb3に
進み、非ブレーキの通常モードM0時にはステップb4
を行い、メインルーチンに戻るように処理する。図12
に示す制御モードの判定処理では、まず、ステップb5
で車速Vが50Km/h以上か否か判定し、以上では高
速でのダウンシフトによる無段変速機の過回転を防ぐた
め、ブレーキフラグをクリアし、以下ではステップb7
に進む。
【0024】ここでは現入力トルクをが規定値としての
0(Kg・fcm)を下回っているか否か、すなわちエ
ンジンブレーキ時で有るか否か判定し、エンジンブレー
キで無いとブレーキフラグをクリアし、エンジンブレー
キではステップb9に進む。ステップb9では減速率|
ΔV|が通常ブレーキモード判定値α1{ここでは(7
Km/h)/sec}を上回るか否かを判定し、上回る
と更に、減速率|ΔV|が急ブレーキモード判定値α2
{ここでは(13Km/h)/sec}を上回るか否か
を判定し、上回ると急ブレーキ制御フラグをセットし急
ブレーキモードM2と見做し、、下回ると通常ブレーキ
制御フラグをセットし通常ブレーキモードM1と見做
す。更に、減速率|ΔV|が通常ブレーキモード判定値
α1{ここでは(7Km/h)/sec}を下回り、特
に、ブレーキ解除判定値α3{ここでは(4Km/h)
/sec}を下回ると各ブレーキフラグをクリアし非ブ
レーキモードM0と見做す。すなわち、ここでは図2中
のモード設定マップm4に示すように、ブレーキモード
の判定に向かう場合とブレーキ解除したかの判定の場合
で通常ブレーキ時も急ブレーキ時も判定値にずれを持た
せ制御がハンチングを起こさないようにしてある。
【0025】この後、通常ブレーキフラグセットの場
合、ステップb2よりステップb13に達し、ここで
は、目標セカンダリプーリ圧をライン圧の最大値(電磁
制御弁40へのデューティー比を100%)に設定し、
目標プライマリプーリ回転数Wpoは通常を算出すべく
図5のm1マップより目標プライマリプーリ回転数Wp
oをスロットル開度θsに応じてそのまま設定する。こ
れによって通常ブレーキ時においては、セカンダリシリ
ンダ34の油圧が最大値に調圧され、セカンダリプーリ
によるベルト27の巻き掛け径は最大値に成るように早
期に作動でき、これに伴い、プライマリプーリ26の巻
き掛け径が最小側に早期に移動でき、ベルトのたるみは
防止され、車両の停止後の再発進時にベルトとプーリと
の間でのスリップが防止される。
【0026】他方、急ブレーキフラグセットとしてステ
ップb3に達すると、ここでは、まずステップ15に進
み、ステップ13と同様に目標セカンダリプーリ圧をラ
イン圧の最大値(電磁制御弁40へのデューティー比を
100%)に設定し、同デューティー比の出力を電磁制
御弁40に出力する。ステップ16では仮目標プライマ
リプーリ回転数1(Wpo)をm1マップより通常どう
りに算出し、続いて油温TOILを取り込み、m2マップ
で目標プライマリプーリ回転数2(ΔWpo)を加算分
として算出し、更に、目標プライマリプーリ回転数とし
て通常値Wpoと加算分ΔWpoを加算し、修正された
値Wpoを算出する。この後ステップb17では変速速
度Vi1を通常時の2倍に処理すべくゲインK3を2に
設定する(m5マップ参照)。
【0027】この処理に応じて上述の変速速度制御処理
が実行されると、急ブレーキモード2時にはライン圧が
デューティー比が100%であることにより最大油圧を
確保し、目標プライマリプーリ回転数Wpoが通常より
ΔWpo(常温では1300rp以上大きく設定され
る)大きく、しかも、変速速度が通常の2倍に設定され
る。このため、急ブレーキ時においてセカンダリプーリ
は応答性良く巻き掛け比を急増出来、セカンダリプーリ
回転数も応答性良その回転数を急増でき、結果として、
急ブレーキ時に短時間で目標の高変速率(フルロー)へ
の切り換えが適確に成され、ベルトのたるみ等の発生は
防止される。
【0028】次に、ブレーキ制御処理におけるステップ
b4に達しブレーキ制御フラグがクリアされている場合
は、ステップb18に進む。ここではセカンダリシリン
ダ34の目標油圧Psoをデータとして入力トルクT
e,実変速比In、車速Vを用いて算出する。この場
合、m3マップを用い入力トルクTe,実変速比Inよ
り算出した値を車速Vの増加に応じ適宜修正し、目標油
圧Psoを決定する。これによって急ブレーキ時に急増
されていたライン圧を通常値に戻すことが出来る。続い
て、ステップb1急ブレーキ時に両プーリがダメージを
受けることを防止できる無断9,20ではスロットル開
度θsに応じた目標プライマリプーリ回転数Wpoをm
1マップで算出し、ストアし、レシオコントロールゲイ
ンK3を1とし、メインルーチンに戻る。この結果、通
常運転状態において、ライン圧や変速速度Wpo、レシ
オコントロールゲインK3が通常値に戻り、無段変速機
の耐久性の保持が成される。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明の無断変速機の変
速制御装置は、無段変速機の出力軸回転速度に基づき車
両の減速率を算出し、その減速率が急ブレーキモード判
定値を上回る急ブレーキモードであると、急ブレーキラ
イン圧及び急ブレーキ用目標プライマリプーリ回転数を
算出し、急ブレーキライン圧に応じてライン圧調圧弁を
駆動すると共に両プーリを急ブレーキ用目標プライマリ
プーリ回転数に基づく目標変速速度で切り換えるので、
急ブレーキ時に短時間でフルローへの切り換えが適確に
成され、ベルトのたるみ等の発生は防止され、急ブレー
キによる停止後の発進時に両プーリがダメージを受ける
ことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての無断変速機の変速制
御装置を含む車両の動力伝達系の全体構成図である。
【図2】図1の装置内の電子制御装置の機能ブロック図
である。
【図3】図1の装置内の無段変速機が用いる無段変速機
の油圧回路図である。
【図4】図1の装置内の無段変速機の要部断面図であ
る。
【図5】図1の装置内の電子制御装置が採用する目標プ
ライマリプーリ回転数算出マップの特性線図である。
【図6】図1の装置内の電子制御装置が採用する目標プ
ライマリプーリ回転数(加算分)算出マップの特性線図
である。
【図7】図1の装置内の電子制御装置が採用するセカン
ダリシリンダの目標油圧算出マップの特性線図である。
【図8】図1の装置内の電子制御装置が採用する吸入空
気量算出マップの特性線図である。
【図9】図1の装置内の電子制御装置が採用するトルク
算出マップの特性線図である。
【図10】図1の装置内の電子制御装置が採用する変速
制御メインルーチンのフローチャートである。
【図11】図1の装置内の電子制御装置が採用するブレ
ーキ時制御ルーチンのフローチャートである。
【図12】図1の装置内の電子制御装置が採用するブレ
ーキ時制御ルーチンのフローチャートである。
【図13】図1の装置内の電子制御装置が採用する変速
速度制御ルーチンのフローチャートである。
【図14】従来装置内の電子制御装置の機能ブロック図
である。
【符号の説明】
12 スロットル開度センサ 13 アクセル開度センサ 20 無段変速機 21 CVTECU 23 電磁制御弁 26 プライマリプーリ 27 駆動ベルト 28 セカンダリプーリ 33 プライマリシリンダ 34 セカンダリシリンダ 40 電磁制御弁 45 油圧アクチュエータ 46 油圧アクチュエータ 48 レギュレータバルブ 54 変速油圧制御弁 Ws セカンダリプーリ回転数 Wp プライマリプーリ回転数 Wpo 目標プライマリプーリ回転数 Vi 目標変速速度
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年12月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 無変速機の変速制御装置
【特許請求の範囲】
請求項1】エンジンに連結された入力軸側のプライマ
リプーリと、駆動軸に連結された出力軸側のセカンダリ
プーリと、両プーリ間に掛け渡された無端ベルトと、上
記プライマリプーリ側における上記無端ベルトの巻き付
け径を変更するプライマリ油圧アクチュエータと、上記
セカンダリプーリ側における上記無端ベルトの巻き掛け
径を変更するセカンダリ油圧アクチュエータとからなる
車両用無段変速機の変速制御装置において、 上記エンジン負荷に応じて目標プライマリプーリ回転数
を設定する目標プライマリプーリ回転数設定手段と、同
目標プライマリプーリ回転数設定手段により設定された
目標プライマリプーリ回転数に応じて上記プライマリ油
圧アクチュエータへ供給する油量を制御する変速制御弁
と、上記車両の運転状態に応じてライン圧を設定するラ
イン圧設定手段と、同ライン圧設定手段により設定され
たライン圧に応じて上記セカンダリ油圧アクチュエータ
へ供給する油圧を制御する調圧弁と、上記車両の減速率
を検出する減速率検出手段と、同減速率が所定値を越え
たとき、急制動状態であると判定する急制動状態判定手
段と、急制動状態であると判定された時、上記ライン圧
設定手段により設定されたライン圧を高圧側に補正する
ライン圧補正手段と、急制動状態であると判定されたと
き、上記目標プライマリプーリ回転数設定手段により設
定された設定値を高回転側に補正する目標プライマリプ
ーリ回転数補正手段と、同目標プライマリプーリ回転数
補正手段により補正された目標プライマリプーリ回転数
と実プライマリプーリ回転数との偏差に基づいて目標変
速速度を設定する目標変速速度設定手段と、上記ライン
圧補正値に応じて上記調圧弁を制御するとともに、上記
目標変速速度に応じて上記変速制御弁を制御する変速制
御手段と、を備えたことを特徴とする無段変速機の変速
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一対のプーリに巻装され
るベルトの巻き付け径比を無段階に変化させて変速を行
なう無段変速機の変速制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プライマリプーリとセカンダリプ
ーリの間に駆動ベルトを巻装し、両プーリに巻装される
ベルトの巻き付け径比を変化させて無変速を行うベル
ト駆動式の無段変速機が知られている。この無段変速機
はプライマリ及びセカンダリの両プーリの各固定側プー
リ材と可動側プーリ材の相対間隔を接離操作する両油圧
アクチュエータを備え、車両の運転情報に応じて決定さ
れた変速比となるようにプライマリ油圧アクチュエータ
へ供給される油圧を制御すると共に、車両の運転情報に
応じて決定されたライン圧と成るようにセカンダリ油圧
アクチュエータへ供給される油圧を制御するように構成
されている。
【0003】の場合、従来の制御手段は、例えば、図
14に示すように、目標変速比相当の目標プライマリプ
ーリ回転数Wpoと実プライマリプーリ回転数Wpを取
り込み、その偏差E1(=Wpo−Wp)を求め、エン
ジン回転数増に応じ応答性を低下させる変化ゲインK1
及びプライマリプーリの実値と目標値の偏差増に応じて
応答性を増加させる変化ゲインK2を求め、偏差E1に
両ゲインK1,K2を乗算して基本変速速度Vi1を算
出し、この基本変速速度Vi1を順次積分して前回値と
の偏差を求め、それをリミッタに掛け、補正係数1/Z
の乗算によって積分補正変速速度ViIを求める。その
上で、基本変速速度Vi1と積分補正変速速度ViIを
加算して変速速度Viを算出し、同変速速度Viを達成
できる変速制御油圧Pcに相当する変速速度信号Duで
電磁制御弁を駆動し、同電磁制御弁が変速制御油圧Pc
を調圧し、変速制御油圧Pcを受けた変速比制御バルブ
プライマリプーリ制御油圧をプライマリ油圧アクチュ
エータに供給し、無段変速機の変速比が目標変速比I
なるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このよう
に、目標変速比相当の目標プライマリプーリ回転数Wp
oと実プライマリプーリ回転数Wpの偏差E1(=Wp
o−Wp)を求め、偏差E1に固定マップより求めた応
答性を補正するゲインK1,K2を乗算して基本変速速
度Vi1を求めるというだけの演算処理を採用した場
合、車両の急ブレーキ時の応答性を考慮していない。即
ち、車両がオーバードライブ中に急ブレーキ状態に入り
停止するような場合、無段変速機のプライマリプーリと
セカンダリプーリの巻き掛け比をフルローの状態に戻す
変速速度が遅すぎ、完全に戻らず、途中で止まってしま
い、ベルトに十分な張力を与えられない状態に陥る。こ
の結果、次の車両の発進時において、ベルトスリップを
発生し、ベルト及びプーリ間での滑りが生じやすくな
り、ベルト及びプーリに偏摩耗を生じやすくなり、ダメ
ージを与えるという問題がある。
【0005】本発明の目的は急ブレーキ時に両プーリが
ダメージを受けることを防止できる無変速機の変速制
御装置を提供することに有る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明はエンジンに連結された入力軸側のプライ
マリプーリと、駆動軸に連結された出力軸側のセカンダ
リプーリと、両プーリ間に掛け渡された無端ベルトと、
上記プライマリプーリ側における上記無端ベルトの巻き
付け径を変更するプライマリ油圧アクチュエータと、上
記セカンダリプーリ側における上記無端ベルトの巻き掛
け径を変更するセカンダリ油圧アクチュエータとからな
る車両用無段変速機の変速制御装置において、上記エン
ジン負荷に応じて目標プライマリプーリ回転数を設定す
る目標プライマリプーリ回転数設定手段と、同目標プラ
イマリプーリ回転数設定手段により設定された目標プラ
イマリプーリ回転数に応じて上記プライマリ油圧アクチ
ュエータへ供給する油量を制御する変速制御弁と、上記
車両の運転状態に応じてライン圧を設定するライン圧設
定手段と、同ライン圧設定手段により設定されたライン
圧に応じて上記セカンダリ油圧アクチュエータへ供給す
る油圧を制御する調圧弁と、上記車両の減速率を検出す
る減速率検出手段と、同減速率が所定値を越えたとき、
急制動状態であると判定する急制動状態判定手段と、急
制動状態であると判定された時、上記ライン圧設定手段
により設定されたライン圧を高圧側に補正するライン圧
補正手段と、急制動状態であると判定されたとき、上記
目標プライマリプーリ回転数設定手段により設定された
設定値を高回転側に補正する目標プライマリプーリ回転
数補正手段と、同目標プライマリプーリ回転数補正手段
により補正された目標プライマリプーリ回転数と実プラ
イマリプーリ回転数との偏差に基づいて目標変速速度を
設定する目標変速速度設定手段と、上記ライン圧補正値
に応じて上記調圧弁を制御するとともに、上記目標変速
速度に応じて上記変速制御弁を制御する変速制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0007】
【作用】目標プライマリプーリ回転数設定手段がエンジ
ン負荷に応じて目標プライマリプーリ回転数を設定し、
変速制御弁が目標プライマリプーリ回転数に応じてプラ
イマリ油圧アクチュエータへ供給する油量を制御し、ラ
イン圧設定手段が車両の運転状態に応じてライン圧を設
定し、調圧弁がライン圧に応じてセカンダリ油圧アクチ
ュエータへ供給する油圧を制御し、減速率検出手段が車
両の減速率を検出し、同減速率が所定値を越えたとき、
急制動状態判定手段が急制動状態であると判定し、急制
動状態であると判定された時、ライン圧補正手段がライ
ン圧を高圧側に補正し、急制動状態であると判定された
とき、目標プライマリプーリ回転数補正手段が目標プラ
イマリプーリ回転数設定手段により設定された設定値を
高回転側に補正し、目標変速速度設定手段が目標プライ
マリプーリ回転数補正手段により補正された目標プライ
マリプーリ回転数と実プライマリプーリ回転数との偏差
に基づいて目標変速速度を設定するので、急ブレーキ時
に、変速制御手段がライン圧情報として受けた急ブレー
ライン圧に応じて調圧弁を駆動すると共に、プライ
マリプーリを急ブレーキ用目標プライマリプーリ回転数
に基づく目標変速速度で切り換えるべく変速制御弁を
動する。
【0008】
【実施例】図1の無変速機の変速制御装置は車両のエ
ンジン60に連結された動力伝達系P上の無段変速機2
を制御するものである。ここでエンジン60は電子制
御燃料噴射型4サイクルエンジンであり、燃料を噴射す
るインジェクタ1や混合気への点火をおこなう点火プラ
グ2等、種々の装置がエンジンの電子制御手段としての
DBWECU3の制御下におかれ、しかも、このDBW
ECU3には動力伝達系P内の無段変速機(CVT)2
0の電子制御手段であるCVTECU21が接続されて
いる。なお、両ECU3,21間での信号の授受を常時
行えるように両者間は通信回線で結線されている。
【0009】DBWECU3には、人為的操作部材とし
てのアクセルペダル10の操作と独立して駆動される吸
入空気量操作手段としてのスロットルバルブ9の駆動用
のアクチュエータ11が接続され、CVTECU21に
は、無段変速機20の変速速度を油圧制御する電磁制御
弁23やライン圧を調整する電磁制御弁40が接続され
ている。ここでエンジン60の全体構成を簡略に述べ
る。エアクリーナエレメント5から吸引された吸入気
は、その直後のカルマン渦式のエアフローセンサ6によ
りその流量が計測される。尚、エアクリーナボデー4内
には、エアフローセンサ6の他、図示しない大気圧セン
サや大気温度センサ等の装置が設けられており、吸入気
に関する各種のデータが計測されて、DBWECU3に
入力されるという周知の構成を採っている。
【0010】エアクリーナボデー4より吸気菅7を介し
てスロットルボデー8内に流入した吸入気はバタフライ
型のスロットルバルブ9によりその通過量を制御され
る。スロットルバルブ9は運転者が踏むアクセルペダル
10でなく、アクチュエータ(本実施例では、ステップ
モータ)11によって開閉駆動される。本実施例では、
このアクチュエータ11がDBWECU3により制御さ
れる、いわゆるDBW(ドライブ バイ ワイヤ)方式
が採用されている。図中、符号12はスロットルバルブ
9の開度情報を吸入空気量情報として出力するスロット
ルポジションセンサ(以下、スロットルセンサ)であ
り、その検出信号はDBWECU3に入力されている。
尚、アクセルペダル10には加速要求検出手段としての
アクセル開度センサ13が取付けられており、その踏み
込み量θaは運転者の加速要求情報として電気信号に変
換されてDBWECU3に入力される。ここではスロッ
トル開度θsをアクセル開度θaの一つとして見做す。
【0011】吸入気体はスロットルボデー8からサージ
タンク14を介してインテークマニホールド15に流入
し、DBWECU3の指令によりインジェクタ1から噴
射された燃料によって、混合気となる。混合気はエンジ
ン60の爆発・膨張行程が終了して排気ガスとなり、排
気マニホウルド16に流入し、図示しない排気ガス浄化
装置を経由して有害成分が除去された後、図示しないマ
フラーから大気中に放出されている。なお、符号24は
エンジンの回転情報を出力するエンジン回転センサを示
している。エンジン60のクランクシャフトには流体継
手41及び遊星歯車式の前後進切換え装置42を介して
図4の無段変速機20が接続されている。
【0012】ここで、無段変速機20は前後進切り換え
装置42の出力軸に一体結合されたプライマリシャフト
22を有するプライマリプーリ26と減速機30側に回
転力を出力するセカンダリシャフト29を有するセカン
ダリプーリ28を備え、このプライマリプーリ26とセ
カンダリプーリ28とにスチールベルト27が掛け渡さ
れる。セカンダリシャフト29は減速機30や図示しな
いデフを介して駆動軸31の駆動輪32,32に回転力
を伝達するように構成されている。図4に示すように、
両プーリ26,28は共に2分割に構成され、可動側プ
ーリ材261,281は固定側プーリ材262,282
に相対回転不可に相対間隔を接離可能に外嵌される。こ
の可動側プーリ材261,281固定側プーリ材26
2,282との間には両プーリの相対間隔を接離操作す
る油圧アクチュエータとしてのプライマリシリンダ33
とセカンダリシリンダ34とが形成される。
【0013】なお、プライマリプーリ26とセカンダリ
プーリ28の両回転数Wp,Wsを検出する一対の回転
センサs1,s2が実変速比In(=Wp/Ws)の検
出手段として装着されている。この場合、プライマリプ
ーリ26の固定側プーリ材262に対し可動側プーリ材
261を近付けてプライマリプーリの巻き付け径を大き
することで、セカンダリプーリ28の固定側プーリ材
282より可動側プーリ281を遠ざけて巻き付け径を
小さくし、高変速段とし、逆に操作して低変速段を達成
する様に構成されている。このような無段変速機20の
油圧回路を図3と共に説明する。この油圧回路はオイル
ポンプ37を備え、その吐出油が流体継手41と、前後
進切り換え部42の前進クラッチ43及び後進クラッチ
44と、無段変速機20のプライマリシリンダ33及び
セカンダリシリンダ34に供給される。
【0014】ここでオイルポンプ37はエンジン回転に
応じ駆動し、その油圧を変化させライン圧路49に供給
する。このためライン圧路49にはオイルポンプ37の
吐出圧の最大許容圧を規制するラインプレッシャリリー
バルブ47が装着され、しかもライン圧を設定値に調
圧する様にレギュレータバルブ48が装着される。この
レギュレータバルブ48はライン圧ポート481の油圧
をランド482の右移動に応じてドレーンポート483
に戻して油圧を調圧する。その油圧調整作動はスプール
484の左端に供給されるパイロット圧及びバネ63と
スプール484の右端に供給される制御圧及びバネ64
のバランス作動により行われる。なお、パイロット圧は
後述するモジュレータバルブ53により調圧され、制御
圧は電磁制御弁40を介してCVTECU21が制御す
るものである。
【0015】ライン圧路49の一部はクラッチモジュレ
ータバルブ50に連結され、同弁によって設定値に調圧
された圧油はクラッチ油路51を経てマニュアルバルブ
52に供給される。このマニュアルバルブ52は変速段
切り換え用の手動切り換えレバーに連動し、前進側D,
2,Lの各レンジと、後進側Rレンジと、ニュートラル
N及びパーキングPの各レンジを備える。マニュアルバ
ルブ52はこのレンジが前進側D,2,Lでは前進クラ
ッチ43とクラッチ油路51とを連結させ、前進クラッ
チは結合される。この時エンジン回転は正転方向で無段
変速機20に伝達され、他方、後進側Rレンジではエン
ジン回転は逆転方向で無段変速機20に伝達される。
【0016】ライン圧路49の一部は分岐してプレッシ
ャーコントロールモジュレータバルブ53によって設定
値に調圧され、同油圧電磁制御弁23,40により所
定値に調圧し、制御圧としてレギュレータバルブ48の
右端、後述する変速比制御バルブ54の右端に供給す
る。なおこの電磁制御弁23はCVTECU21に接続
され、変速比信号や変速速度信号に応じた変速制御油圧
Pcを変速比制御バルブ54に出力するものである。
段変速機20のプライマリシリンダ33とセカンダリシ
リンダ34はそれぞれ、変速比制御バルブ54の主ポー
ト541、副ポート542に連通され、特にセカンダリ
シリンダ34はライン圧路49にも直結される。ここで
変速比制御バルブ54は主、副ポート541,542の
ほかに電磁制御弁23の変速制御油圧Pcを受けるパイ
ロットポート543、プレッシャコントロールモジュレ
ータバルブ53からの調整圧を受ける調圧ポート54
4、オイルタンク55に連通するドレーンポートXを備
え、スプール56によって油路の切り換え制御が成され
る。
【0017】ここで、スプール56はそのパイロットポ
ート543との対抗部分が変速制御圧Pcを左向きに受
け、他端が逆方向に調整圧及びバネ力を受け、そのバラ
ンス位置に切り換え移動する。この場合、スプール56
の右移動(変速制御油圧Pcが減)に応じてドレーンポ
ートXが閉鎖され、一定移動の後に完全に閉鎖され、更
に、一定移動の後に主ポート541と副ポート542の
連通状態の増加量が増し、プライマリシリンダ33のプ
ライマリプーリ制御油圧Ppを増加させ(セカンダリプ
ーリ制御油圧Psは通常時はライン圧)、実変速比In
を減少させて高変速段とし、逆にスプール56の左移動
(変速制御油圧Pcが増)に応じてドレーンポートXが
解放され、プライマリプーリ制御油圧Ppを減少させる
(セカンダリプーリ制御油圧Psは通常時はライン
圧)、実変速比Inを増加させて低変速段とすることが
出来る。なお、変速制御油圧Pcを発する電磁制御弁2
3はそれが受けるデューティー比Duが低いと油圧Pc
を低下させ、デューティー比Duが高いと油圧Pcを増
加させるように構成されている。なお、図1中の符号6
1は油圧回路の油温TOILの情報を出力する油温センサ
を示す。
【0018】DBWECU3及びCVTECU21は共
にマイクロコンピュータによりその主要部が構成され、
特に内蔵する記憶回路には、図5乃至図9の各マップ
や、図10乃至図12のような変速制御プログラムが記
憶処理されている。ここで、図5の目標プライマリプー
リ回転数算出マップはスロットル開度θs(あるいはア
クセル開度θa)に応じた通常運時の目標プライマリプ
ーリ回転数Wpoを算出するのに用いられる。図6の目
標プライマリプーリ回転数(加算分)算出マップは油温
OILに応じた目標プライマリプーリ回転数加算分ΔW
poを算出するのに用いられる。図7の目標セカンダリ
シリンダ油圧算出マップは入力トルクTeと変速比Iと
車速Vとより目標油圧Poを算出するのに用いられ
る。図8の吸入空気量算出マップはスロット開度θs
とエンジン回転数Neに応じた吸入空気量を算出するの
に用いられる。図9のトルク算出マップは吸入空気量A
/N及びエンジン回転数Neより入力トルクTeを算出
するのに用いられる。
【0019】DBWECU3はアクセル開度θa、エン
ジン回転数Neに応じてスロットル開度θsを算出し、
スロットル弁9をスロットル開度θsに制御するという
周知の機能を備える。他方、CVTECU21は無段変
速機20の出力軸回転速度(セカンダリプーリ回転数W
s)に基づき車両の減速率ΔVを算出し、急ブレーキモ
ード判定手段として減速率|ΔV|が急ブレーキモード
判定値α1を上回るか否かを判定する。この時急ブレー
キモードM2であるとライン圧を通常値のライン圧P
1より高い急ブレーキライン圧Pし、アクセル開度
θaに応じて設定された目標プライマリプーリ回転数W
oを所定量増加修正した急ブレーキ用目標プライマリ
プーリ回転数Wporとして設定する。更にこの急ブレ
ーキ用目標プライマリプーリ回転数Wpoと実プライマ
リプーリ回転数Wpとの偏差Eに基づき目標変速速度V
i1を算出し、急ブレーキライン圧Pl2に応じてライ
ン圧調圧弁を駆動すると共にプライマリプーリ26を目
標変速速度Viで切り換えるべく変速比制御バルブ54
を介してプライマリ油圧アクチュエータ33に制御油圧
pを供給するという機能を備える。
【0020】以下、本実施例の無変速機の変速制御装
置を図10乃至図13の制御プログラムや図2のブロッ
クダイヤグラムとを参照して説明する。本実施例では、
図示しないイグニッションキーを操作することによって
エンジン本体60が始動し、図1、図2に示すDBWE
CU3及びCVTECU21内での制御も開始される。
DBWECU3は、燃料供給量制御に伴う燃料噴射弁1
の駆動処理、点火時期制御に伴う点火プラグ2の駆動処
理、エンジン出力制御に伴うスロットル弁の駆動処理が
周知のプログラムに沿って実行される。
【0021】他方、CVTECU21は、図10乃至図
13の無段変速機の変速制御に入り、初期設定を成し、
各センサの検出データである、プライマリプーリ26と
セカンダリプーリ28の両回転数Wp,Wsや、DBW
ECU3よりのアクセル開度θa(又はスロットル開度
θs)や、エンジン回転数Neその他が取り込まれ、所
定のエリアにストアされる。ステップa2、3,4では
プライマリプーリ回転数Wpとセカンダリプーリ回転数
Wsとから実変速比Inを算出し、減速機30の減速比
r及びセカンダリプーリ回転数Wsより車速Vを算出
、開度θsより目標プライマリプーリ回転数Wpoを
算出する。更に、ステップa5ではセカンダリプーリ回
転数Wsを微分して、減速率の絶対値|ΔV|を算出
し、所定のエリアにストアする。更に、ステップa6で
はエンジン回転数Ne及びスロットル開度θsより吸入
空気量A/Nを算出し、この吸入空気量A/N及びエン
ジン回転数Neより入力トルクTeを算出し、所定のエ
リアにストアする。
【0022】この後、ステップa7の変速速度制御を行
う。目標プライマリプーリ回転数Wpoを達成するため
の変速速度制御処理では、図13に示す様に、まずステ
ップc1では、目標変速比相当の目標プライマリプーリ
回転数Wpoと実プライマリプーリ回転数Wpを取り込
み、その偏差E(=Wpo−Wp)を求め、ステップc
2ではエンジン回転数増に応じ応答性を低下させる変化
ゲインK1及びプライマリプーリの実値と目標値の偏差
増に応じて応答性を増加させる変化ゲインK2、及びレ
シオコントロールゲイン3を取り込む。ステップc
では偏差EにゲインK1,K2,k3を乗算して基本変
速速度Vi1を算出する。更に、ステップcでは基本
変速速度Vi1を積分して前回値との偏差を求め、それ
を拡散防止のためのリミッタに掛け、更に積分補正係数
1/Zの乗算によって積分補正変速速度ViIを求め
る。その上で、ステップc5において基本変速速度Vi
1と積分補正変速速度ViIを加算して変速速度Viを
算出し、同変速速度Viを達成できる変速制御油圧Pc
に相当するデューティー信号Duを算出する。ステップ
c6では電磁制御弁23をデューティー信号Duで駆動
し、同電磁制御弁23が変速制御油圧Pcを出力し、変
速制御油圧Pcを受けた変速比制御バルブ54がプライ
マリプーリ制御油圧Ppをプライマリプーリ油圧アクチ
ュエータ33に供給し、プライマリプーリ26を目標変
速速度で切り換え、目標変速比Iを達成することと成
る。
【0023】この後、ステップa8のブレーキ制御処理
及びステップa9のその他の周知の変速に伴う制御処理
を行い1制御処理を完了している。ここでステップa8
のブレーキ制御処理について説明する。図11に示すよ
うに、まず、制御モードの判定を行い、通常ブレーキモ
ードM1ではステップb2に進み、急ブレーキ制御モー
ドM2ではステップb3に進み、非ブレーキの通常モー
ドM0時にはステップb4を行い、メインルーチンに戻
るように処理する。図12に示す制御モードの判定処理
では、まず、ステップb5で車速Vが所定値、例えば
0Km/hよりも低いか否かを判定し、50Km/hを
越えていれば高速でのダウンシフトによる無段変速機の
過回転を防ぐため、ステップb6でブレーキフラグをク
リアし、50Km/hよりも低ければステップb7に進
む。
【0024】ここでは現エンジントルクが規定値、例え
0(Kg・fcm)を下回っているか否か、すなわち
エンジンブレーキ時で有るか否か判定し、エンジンブレ
ーキで無いとステップb8においてブレーキフラグをク
リアし、エンジンブレーキであればステップb9に進
む。ステップb9では減速率|ΔV|が通常ブレーキモ
ード判定値α1{ここでは(7Km/h)/sec}を
上回るか否かを判定し、上回ると更に、減速率|ΔV|
が急ブレーキモード判定値α2{ここでは(13Km/
h)/sec}を上回るか否かを判定し、上回るとステ
ップb11において急ブレーキ制御フラグをセットし急
ブレーキモードM2と見做し、下回るとステップb10
において通常ブレーキ制御フラグをセットし通常ブレー
キモードM1と見做す。更に、減速率|ΔV|が通常ブ
レーキモード判定値α1{ここでは(7Km/h)/s
ec}を下回り、特に、ブレーキ解除判定値α3{ここ
では(4Km/h)/sec}を下回るとステップb1
2においてブレーキフラグをクリアし非ブレーキモード
M0と見做す。すなわち、ここでは図2中のモード設定
マップm4に示すように、ブレーキモードの判定に向か
う場合とブレーキ解除したかの判定の場合で通常ブレー
キ時も急ブレーキ時も判定値にずれを持たせ制御ハン
チングを起こさないようにしてある。
【0025】上記ステップb9の判定によりステップb
10で通常ブレーキフラグセットされ、通常ブレーキ
モードM1と見做されたときステップb2からステップ
b13に達する。ここでは、目標セカンダリプーリ圧を
急ブレーキモードM2と同様に通常値のライン圧Pl1
より高い急ブレーキライン圧Pl2と同等、例えばライ
ン圧の最大値(電磁制御弁40へのデューティー比を1
00%)に設定し、目標プライマリプーリ回転数Wpo
は通常を算出すべく図5のm1マップより目標プライマ
リプーリ回転数Wpoをスロットル開度θsに応じてそ
のまま設定する。これによって通常ブレーキ時において
は、セカンダリシリンダ34の油圧が最大値に調圧さ
れ、セカンダリプーリによるベルト27の巻き掛け径は
最大値に成るように早期に作動でき、これに伴い、プラ
イマリプーリ26の巻き掛け径が最小側に早期に移動で
き、ベルトのたるみは防止され、車両の停止後の再発進
時にベルトとプーリとの間でのスリップが防止される。
【0026】他方、上記ステップb9の判定によりステ
ップb11で急ブレーキフラグセットされ急ブレーキ
モードM2と見做された時、ステップb3からステップ
15に進む。ここでは目標セカンダリプーリ圧をライ
ン圧の最大値(電磁制御弁40へのデューティー比を1
00%)に設定し、同デューティー比の出力を電磁制御
弁40に出力する。ステップb16では仮目標プライマ
リプーリ回転数1(Wpo)をm1マップより通常どう
りに算出し、続いて油温TOILを取り込み、図6に示し
m2マップから目標プライマリプーリ回転数2(ΔW
po)を加算分として算出し、更に、目標プライマリプ
ーリ回転数として通常値Wpoと加算分ΔWpoを加算
し、修正された値を急ブレーキ用目標プライマリプーリ
回転数Wporとして算出する。この後ステップb17
では変速速度Vi1を通常時の2倍に処理すべくゲイン
K3を2に設定する(図2のm5マップ参照)。
【0027】この処理に応じて上述の変速速度制御処理
が実行されると、急ブレーキモード2時にはライン圧
がデューティー比が100%であることにより最大油圧
を確保し、急ブレーキ用目標プライマリプーリ回転数W
poが通常より大きく、しかも、変速速度が通常の2
倍に設定される。このため、急ブレーキ時においてセカ
ンダリプーリ28は応答性良く巻き掛け比を急増出来、
果として、急ブレーキ時に短時間で目標の低変速段
の切り換えが適確に成され、ベルトのたるみ等の発生は
防止される。
【0028】次に、上記ステップb9の判定によりステ
ップb12で各ブレーキフラグがクリアされ、非ブレー
キモードM0と見做された時、即ち、通常運転状態では
ステップb4からステップb18に進む。ここではセカ
ンダリシリンダ34の目標油圧Psoを入力トルクT
e,実変速比In、車速V等を用いて算出する。この場
合、図7のm3マップを用い入力トルクTe,実変速比
Inより算出した値を車速Vの増加に応じ適宜修正し、
目標油圧Psoを決定する。これによって急ブレーキ時
に急増されていたライン圧を通常値に戻すことが出来
る。続いて、ステップb19,20ではスロットル開度
θsに応じた目標プライマリプーリ回転数Wpoをm1
マップで算出し、ストアし、レシオコントロールゲイン
K3を1とし、メインルーチンに戻る。この結果、通常
運転状態において、ライン圧や目標プライマリプーリ回
転数Wpo、レシオコントロールゲインK3が通常値に
戻り、無段変速機の耐久性の保持が成される。
【0029】
【発明の効果】以上のように、本発明の無変速機の変
速制御装置は、車両の減速率を検出し、その減速率が急
ブレーキモード判定値を上回る急ブレーキモードである
と、急ブレーキライン圧及び急ブレーキ用目標プライ
マリプーリ回転数を算出し、急ブレーキライン圧に応
じてライン圧調圧弁を駆動すると共にプライマリプーリ
を急ブレーキ用目標プライマリプーリ回転数に基づく目
標変速速度で切り換えるので、急ブレーキ時に短時間で
フルローへの切り換えが適確に成され、ベルトのたるみ
等の発生は防止され、急ブレーキによる停止後の発進時
に両プーリがダメージを受けることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての無変速機の変速制
御装置を含む車両の動力伝達系の全体構成図である。
【図2】図1の装置内の電子制御装置の機能ブロック図
である。
【図3】図1の装置内の無段変速機が用いる無段変速機
の油圧回路図である。
【図4】図1の装置内の無段変速機の要部断面図であ
る。
【図5】図1の装置内の電子制御装置が採用する目標プ
ライマリプーリ回転数算出マップの特性線図である。
【図6】図1の装置内の電子制御装置が採用する目標プ
ライマリプーリ回転数(加算分)算出マップの特性線図
である。
【図7】図1の装置内の電子制御装置が採用するセカン
ダリシリンダの目標油圧算出マップの特性線図である。
【図8】図1の装置内の電子制御装置が採用する吸入空
気量算出マップの特性線図である。
【図9】図1の装置内の電子制御装置が採用するトルク
算出マップの特性線図である。
【図10】図1の装置内の電子制御装置が採用する変速
制御メインルーチンのフローチャートである。
【図11】図1の装置内の電子制御装置が採用するブレ
ーキ時制御ルーチンのフローチャートである。
【図12】図1の装置内の電子制御装置が採用するブレ
ーキ時制御ルーチンのフローチャートである。
【図13】図1の装置内の電子制御装置が採用する変速
速度制御ルーチンのフローチャートである。
【図14】従来装置内の電子制御装置の機能ブロック図
である。
【符号の説明】 12 スロットル開度センサ 13 アクセル開度センサ 20 無段変速機 21 CVTECU 23 電磁制御弁 26 プライマリプーリ 27 駆動ベルト 28 セカンダリプーリ 33 プライマリシリンダ 34 セカンダリシリンダ 40 電磁制御弁 45 油圧アクチュエータ 46 油圧アクチュエータ 48 レギュレータバルブ 54 変速油圧制御弁 Ws セカンダリプーリ回転数 Wp プライマリプーリ回転数 Wpo 目標プライマリプーリ回転数 Vi 目標変速速度E 偏差 ΔV 減速率
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
【手続補正11】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動ベルトが巻装されたプライマリプーリ
    及びセカンダリプーリを備え、上記両プーリの巻き付け
    径比が目標の変速比に応じた値と成るようにプライマリ
    プーリの油圧アクチュエータへの制御油圧がライン圧を
    調圧した変速制御弁より供給されると共に上記セカンダ
    リプーリの油圧アクチュエータへ制御油圧としてライン
    圧が直接供給され、かつ上記ライン圧がライン圧調圧弁
    によって調圧されるよう構成された無段変速機と、上記
    無段変速機の出力軸回転速度に基づき車両の減速率を算
    出する減速率算出手段と、上記減速率が急ブレーキモー
    ド判定値を上回るか否かを判定する急ブレーキモード判
    定手段と、上記急ブレーキモードであると上記ライン圧
    を通常値のライン圧より高い急ブレーキライン圧に設定
    するライン圧設定手段と、アクセル開度に応じた目標プ
    ライマリプーリ回転数を算出すると共に上記急ブレーキ
    モードであると上記目標プライマリプーリ回転数を所定
    量増加修正した急ブレーキ用目標プライマリプーリ回転
    数を算出する目標プライマリプーリ回転数算出手段と、
    上記目標プライマリプーリ回転数と実プライマリプーリ
    回転数との偏差に基づき目標変速速度を算出する目標変
    速速度算出手段と、上記ライン圧情報に応じて上記ライ
    ン圧調圧弁を駆動すると共に上記両プーリを上記目標変
    速速度で切り換えるべく上記変速制御弁を介して上記一
    対の油圧アクチュエータに制御油圧を供給する変速制御
    手段とを有したことを特徴とする無断変速機の変速制御
    装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002327835A (ja) * 2001-04-27 2002-11-15 Fuji Heavy Ind Ltd 無段変速機の制御装置
WO2013061465A1 (ja) * 2011-10-28 2013-05-02 トヨタ自動車株式会社 車両用無段変速機の制御装置
KR20200073317A (ko) * 2018-12-13 2020-06-24 현대 파워텍 주식회사 무단변속기 제어 장치 및 방법

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KR20200073317A (ko) * 2018-12-13 2020-06-24 현대 파워텍 주식회사 무단변속기 제어 장치 및 방법

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