JPH05320525A - ワイヤー状有機繊維強化樹脂用樹脂組成物、ワイヤー状有機繊維強化樹脂プリプレグおよびワイヤー状有機繊維強化樹脂 - Google Patents

ワイヤー状有機繊維強化樹脂用樹脂組成物、ワイヤー状有機繊維強化樹脂プリプレグおよびワイヤー状有機繊維強化樹脂

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JPH05320525A
JPH05320525A JP4135067A JP13506792A JPH05320525A JP H05320525 A JPH05320525 A JP H05320525A JP 4135067 A JP4135067 A JP 4135067A JP 13506792 A JP13506792 A JP 13506792A JP H05320525 A JPH05320525 A JP H05320525A
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JP
Japan
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wire
organic fiber
fiber reinforced
resin
reinforced resin
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JP4135067A
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Tsutomu Takahashi
勉 高橋
Yoshifumi Nakanou
佳史 中納
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】機械的特性が改善されたワイヤー状有機繊維強
化樹脂用樹脂組成物、ワイヤー状有機繊維強化樹脂プリ
プレグおよび有機繊維強化樹脂を提供する。 【構成】硬化後の樹脂組成物の歪エネルギー開放率(G
1C)が0.4KJ/m2以上であることを特徴とするワ
イヤー状有機繊維強化樹脂用樹脂組成物、該樹脂組成物
を用いるワイヤー状有機繊維強化樹脂プリプレグおよび
該プリプレグを用いるワイヤー状有機繊維強化樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は機械的特性が改善された
ワイヤー状有機繊維強化樹脂用樹脂組成物、ワイヤー状
有機繊維強化樹脂プリプレグおよびワイヤー状有機繊維
強化樹脂に関する。具体的な利用分野としては、前述の
特性が特に要求されるゴム補強用ワイヤーおよび光ケー
ブル用テンションメンバーなどが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】有機繊維、特に芳香族ポリアミド繊維は
高引張り強度および高弾性の性能を有しているので、樹
脂が含浸されたワイヤー形状で各種分野に使用されてい
る。なかでも、光ファイバーケーブルのテンションメン
バーとしては既に実用化されている。
【0003】最近では、ポリパラフェニレンテレフタル
アミド繊維(以下、PPTA繊維と略称することがあ
る)は特開昭63−134310号公報に記載されてい
るように乗用車のラジアルタイヤのベルト部のスチール
コード代替としても検討されている。該公報には、PP
TA繊維ヤーンをエポキシ樹脂組成物で含浸して熱硬化
したコードをさらにレゾルシン・ホルマリン樹脂液(以
下、RFLと略称することがある)とゴムエマルジョン
液の混合物等を含浸した後、タイヤのベルト部の補強材
として使用することが提案されている。
【0004】テンションメンバーとして、芳香族ポリア
ミド繊維のなかでも特にポリパラフェニレンテレフタル
アミド繊維の高弾性を利用して、光ファイバーに張力が
作用しない様に、光ファイバーケーブルの芯材または外
周材としてケーブルに作用する張力を負担する目的に使
用されている。しかし、光ファイバーケーブル施工時お
よび屋内設置にはケーブルが必然的に屈曲されるが、P
PTA繊維強化ワイヤーは屈曲により損傷される場合が
あり問題であった。
【0005】また、有機繊維は無機繊維に比較して圧縮
破壊歪が低いため、それを強化繊維としたワイヤー状有
機繊維強化樹脂をゴムの補強材として用いることは物性
が不十分なので、さらに改良が望まれていた。
【0006】歪エネルギー解放率(G1C、NASA、P
R−1092に準拠して測定)が0.4KJ/m2 以上
ある樹脂は公知である。例えば、The Britis
hPolymer Journal 15巻71頁(1
983年)にはエポキシ樹脂とポリエーテルスルフォン
とを主成分とする硬化物は高いG1C値を与えることが記
載されている。このような樹脂をマトリックスとする炭
素繊維強化複合材は航空機用構造材として有用であるこ
とが報告されている。例えば、特開昭62−57417
号公報には該複合材に衝撃を加えたときに損傷面積を小
さくできることが記載されている。通常、マトリックス
樹脂の歪エネルギー解放率(G1C、タフネスともいう)
を上昇させると、樹脂の弾性率が低下し、これを用いた
繊維強化複合材料構造体の機械的特性、特に圧縮強度、
曲げ強度、剪断強度などが低下する。したがって、耐衝
撃性が必要とされる構造体以外では、タフネスを向上さ
せたマトリックス樹脂は、用いられていなかった。
【0007】本発明は、ワイヤーが屈曲または圧縮荷重
下で使用されたときの疲労強度を向上させ、圧縮破壊歪
が大きくなるように改善されたワイヤー状有機繊維強化
樹脂用樹脂組成物、ワイヤー状有機繊維強化樹脂プリプ
レグおよびワイヤー状有機繊維強化樹脂を提供するもの
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達
した。すなわち、本発明は、硬化後の樹脂組成物の歪エ
ネルギー開放率(G1C)が0.4KJ/m2 以上である
ことを特徴とするワイヤー状有機繊維強化樹脂用樹脂組
成物、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、および該プリ
プレグを用いた有機繊維強化樹脂に関する。本発明のワ
イヤー状有機繊維強化樹脂用樹脂組成物は、硬化後の樹
脂組成物のG1cが0.4KJ/m2 以上のものが好まし
い。
【0009】該樹脂組成物を用いたワイヤー状有機繊維
強化プリプレグを作成し、該プリプレグを用いたワイヤ
ー状有機繊維強化樹脂を作成すると、圧縮破壊歪、曲げ
破壊歪および疲労強度が改善されたワイヤー状有機繊維
強化樹脂が得られるので好ましい。
【0010】該樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と熱可塑性
樹脂からなる樹脂組成物が好ましい。熱硬化性樹脂と熱
可塑性樹脂を混合、溶解し、熱硬化後に熱硬化性樹脂と
熱可塑性樹脂とが相分離する系がさらに好ましい。特
に、海−島構造を示し、連続相である海部は熱可塑性樹
脂が主成分であり、連続相で囲まれた島部が主として熱
硬化性樹脂であるような相構造であるもの、または不完
全な連続相を形成する熱硬化性樹脂を主成分とする海部
に、前述の組成からなる海−島構造がアメーバ状に分散
または部分的に連結された相構造であるものが好まし
い。
【0011】高G1Cを示す樹脂をマトリックスとする有
機繊維強化樹脂組成物からなるワイヤーでは、圧縮側ま
たは引張側の破壊が塑性的に起こり、疲労強度も上昇す
るという優れた特性を有する。
【0012】具体的には、圧縮側の破壊の場合には、低
1Cの樹脂では繊維束からなるワイヤーの一部が数ケ所
に渡り剥離してフクレが生じるが、高G1Cの樹脂では最
外層の繊維が塑性的に変形するが繊維束はマトリックス
樹脂で強固に保持されている。
【0013】また、引張側の破壊の場合には、低G1C
樹脂では繊維が切断しワイヤーから剥離するが、高G1C
の樹脂では繊維の切断が一部生じるものの大部分の繊維
は繊維束に強固に保持されている。
【0014】本発明において、熱可塑性樹脂は熱硬化性
樹脂100重量部に対し10〜50重量部の範囲で配合
されることが好ましい。熱可塑性樹脂が10重量部未満
では、前述の相構造が得られにくく、熱硬化時に相分離
が起こっても島部が熱可塑性樹脂となり低G1Cとなるの
で好ましくない。また、熱可塑性樹脂が50重量部を越
えると、熱硬化性樹脂に溶解するときに粘度が増大し、
ヤーンへの含浸などの加工性が不良となる。
【0015】熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好
ましい。
【0016】エポキシ樹脂としては、一分子中にエポキ
シ基を二個以上有するものを単独または二種以上混合し
て使用することができる。また、一分子中にエポキシ基
を一個有するものを反応性希釈剤として併用することが
できる。
【0017】本発明に用いられるエポキシ樹脂を以下に
具体的に例示する。一分子中に三個以上のエポキシ基を
有するエポキシ樹脂を例示すると、p−アミノフェノー
ル、m−アミノフェノール、4−アミノ−m−クレゾー
ル、6−アミノ−m−クレゾール、4,4’−ジアミノ
ジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタ
ン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’
−ジアミノジフェニルエーテル、1,4’−ビス(4−
アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミ
ノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフ
ェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノ
キシベンゼン)、1,3−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフ
ェニル)プロパン、p−フェニレンジアミン、m−フェ
ニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、2,6−
トルエンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシ
リレンジアミン、1,4−シクロヘキサン−ビス(メチ
ルアミン)、1,3−シクロヘキサン−ビス−(メチル
アミン)等から誘導されるアミン系エポキシ樹脂、フェ
ノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾ
ール等のフェノール類とホルムアルデヒドの反応生成物
であるノボラック樹脂から誘導されるノボラック系エポ
キシ樹脂、フロログリシン、トリス−(4−ヒドロキシ
フェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−
ヒドロキシフェニル)エタン、ビス〔α−(ジヒドロキ
シフェニル)−α−メチルエチル〕ベンゼン等の三価以
上のフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル化
合物、その他、トリグリシジルイソシアヌレート、2,
4,6−トリグリシジル−s−トリアジン、またはこれ
らのゴム、ウレタン変性化合物等があり、これらのエポ
キシ樹脂の一種または二種以上が使用されるが、これら
に限定されるものではない。
【0018】一分子中に二個のエポキシ基を有するエポ
キシ樹脂を例示すると、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールF、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾル
シン等の二価フェノール類またはテトラブロムビスフェ
ノールA等のハロゲン化ビスフェノール類から誘導され
るジグリシジルエーテル化合物、p−オキシ安息香酸、
m−オキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の
芳香族カルボン酸から誘導されるグリシジルエステル系
化合物、5,5−ジメチル・ヒダントイン等から誘導さ
れるヒダントイン系エポキシ樹脂、2,2−ビス(3,
4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス
〔4−(2,3−エポキシプロピル)シクロヘキシル〕
プロパン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4
−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシ
クロヘキサンカルボキシレート、ネオペンチルグリコー
ルジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリ
シジルエーテル等の脂環式エポキシ樹脂、その他N,N
−ジグリシジルアニリン等がある。
【0019】本発明に用いられるエポキシ樹脂組成物に
は硬化剤を通常量使用することができる。硬化剤を例示
すると、ジシアンジアミド、3,3’−ジアミノジフェ
ニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホ
ン、ジアミノジフェニルメタン、ビスフェノールS、ビ
スフェノールA、テトラメチルグアナジン、フェノール
ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族ア
ミン、脂肪族アミン、イミダゾール誘導体、酸無水物、
三弗化ホウ素錯体等を挙げることができる。
【0020】特にシェルフライフに優れ、かつ120℃
程度で硬化可能な硬化剤としてはジシアンジアミドが適
している。ジシアンジアミドはエポキシ樹脂100重量
部当たり3〜25重量部使用される。また、芳香族アミ
ン系の硬化剤が単独で使用される場合は、エポキシ基1
モルに対して活性水素当量が0.7〜1.1モルとなる
よう配合される。
【0021】本発明において、エポキシ樹脂組成物の硬
化を促進するために、公知の促進剤を用いてもよい。例
えば、尿素誘導体やイミダゾール誘導体、三弗化ホウ素
のアミン錯体、三級アミン、三級アミンのカルボン酸塩
等が挙げられる。なかでも、120℃程度の低温硬化性
並びにシェルフライフの点では、ジクロロフェニル−
1,1−ジメチルウレアのごとき尿素誘導体がもっとも
優れている。
【0022】熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルスル
フォン、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。特に工
業的に入手が容易なものとしては、ICI社製のポリエ
ーテルスルフォン(商品名Victrex、PES50
03P)、エンジニアリングプラスチック(株)製ポリ
エーテルイミド(商品名Ultem1000)などが挙
げられる。
【0023】本発明に用いる有機繊維としては、ポリパ
ラフェニレンテレフタルアミド繊維及び3,4’−オキ
シジフェニルテレフタルアミド・パラフェニレンテレフ
タルアミド共縮合体繊維等の芳香族ポリアミド繊維が挙
げられる。特に、ポリパラフェニレンテレフタルアミド
繊維が好ましい。
【0024】本発明に用いる有機繊維は、2本以上の単
糸からなるヤーンとして用いられることが好ましい。本
発明に用いる有機繊維、特に芳香族ポリアミド繊維から
なるヤーンはゴム補強用の場合には1m当たり5〜15
0回の撚りをかけることが好ましい。撚りをかけないも
のまたは1m当たり4回以下の撚りでは曲率の小さい部
分に、有機繊維ヤーンで強化したワイヤー状有機繊維強
化樹脂プリプレグ、すなわちヤーンプリプレグを巻き付
けたとき、繊維が無秩序に押し拡げられて蛇行し易くな
る。その結果として引張強度等の物性の低下をきたすこ
とがある。撚りが1m当たり150回を越えると、ヤー
ンプリプレグの巻き付けの下地への密着性が不良とな
る。また、撚りのため耐疲労性は良くなるものの引張強
度は低下するという欠点が生じる。
【0025】また、テンションメンバーとして使用され
るときは、光ファイバーにできるだけ張力が作用しない
ことが望ましいので、撚りは無い方が好ましい。撚りが
あるとワイヤーの長さ方向に対して繊維が平行でなくな
るのでワイヤーの長さ方向の弾性率が低下する。その結
果、所定張力に対して歪が大きくなり、光ファイバーに
張力が作用しやすくなるので好ましくない。
【0026】撚りの付与は熱硬化性樹脂の含浸前あるい
は含浸後のいずれでもよく、また前後2段階で行なって
も良い。撚りをかける方法は特に限定されず、リング式
精紡機を用いる等公知の方法を用いることができる。
【0027】ヤーンプリプレグの芳香族ポリアミド繊維
の含有量は50〜80重量%である。繊維含有量が50
重量%未満では十分な強度や剛性が得られにくく、80
重量%を越えると熱硬化性樹脂の含浸が不十分となり、
加工性や接着性に悪影響がでてくるので好ましくない。
【0028】本発明において、該樹脂組成物を用いた有
機繊維強化樹脂プリプレグおよび有機繊維強化樹脂は、
ワイヤー状で使用される。
【0029】マトリックスとなる樹脂を含浸した状態の
芳香族ポリアミド繊維からなるヤーンは熱硬化後に未加
硫ゴムと積層され加硫工程を経ることもできるが、未加
硫の状態(ヤーンプリプレグと呼ばれる)で未加硫ゴム
と積層されゴム加硫時に同時に硬化される工程を経るこ
ともできる。
【0030】硬化された後にゴム補強用として使用され
る場合には、一旦ヤーンプリプレグの状態を経て硬化し
たものでも、プルトルージョンの方法で連続的に熱硬化
性樹脂を含浸させてから硬化したものでもよい。
【0031】テンションメンバー用の場合には、硬化し
た状態でワイヤー形状で使用される。
【0032】有機繊維強化樹脂複合材の有機繊維の含有
率は50〜80重量%である。繊維含有率が50重量%
未満では、十分な強度や剛性が得られにくいので好まし
くない。また、繊維含有率が80重量%を越えると、熱
硬化性樹脂の含浸が不十分となり、加工性や接着性に悪
影響がでるので好ましくない。
【0033】本発明において、有機繊維、特に芳香族ポ
リアミド繊維からなるヤーンに樹脂組成物を含浸させる
方法は特に限定されない。例えば、樹脂組成物を溶媒に
分散、溶解または希釈し樹脂組成物液とし、その液の中
にヤーンを浸漬した後溶媒を乾燥除去する方法がある。
溶媒中の樹脂組成物は完全に溶解していることを必須と
しないが、一部またはすべてが溶解しない場合は、微粒
子として溶媒中に均一に分散させることが望ましい。
【0034】この方法によれば、樹脂組成物をヤーンに
均一に、損傷なく含浸させ得る。また、この樹脂組成物
液による含浸方法は、ヤーンプリプレグ中の樹脂組成物
の含有率を該液中の樹脂組成物の濃度によって容易に調
整が可能である。樹脂の含浸装置としては、例えばJI
S R7601の付図に記載の装置の一部分を例示する
ことができる。
【0035】溶媒としては、アセトン、メチルイソブチ
ルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ト
ルエン、塩化メチレン、トリクロロエチレン等を例示す
ることができる。
【0036】また、熱硬化性樹脂組成物が硬化しない温
度で溶融するものは、溶媒を用いずにその融液にヤーン
を浸漬する方法、溶融した熱硬化性樹脂組成物をヤーン
に塗布した後、圧着したロールの間隙を通して含浸する
方法、さらには熱硬化性樹脂組成物粉末を粉体塗装法に
よりヤーンに塗布し、加熱溶融させ含浸させる方法等が
ある。
【0037】ヤーンプリプレグに用いるエポキシ樹脂組
成物の粘度は60℃で100〜20000ポイズの範囲
が好ましい。100ポイズ未満では、粘着性が高くなり
過ぎてヤーンプリプレグの取扱い性が悪くなり、200
00ポイズ以上になるとエポキシ樹脂組成物自体の取扱
い性が低下する。
【0038】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。例中、配合量「部」は特に断らないかぎり「重量
部」を意味する。
【0039】本発明において、ワイヤー状有機繊維強化
樹脂の評価方法としてエラスティカ法を採用した。エラ
スティカ法(別称ループ法)は通常単繊維の評価方法と
して知られており、本発明においては断面が円形で長さ
方向に均一な形状のワイヤーについて破壊強度を測定し
た。測定は、ジャーナル・オブ・マテリアル・サイエン
ス(Journal of Material Sci
ence)9巻(1974年)1809〜1814頁及
び「複合材料シンポジウム」1987年10月22日、
125〜128頁に準じて実施した。
【0040】実施例1 大日本インキ(株)製商品名エピクロン830(ビスフ
ェノールFジグリシジル)を80部にICI社製商品名
Victrex PES5003P(ポリエーテルス
ルフォン)を20部配合して、150℃で加熱溶解し
た。次に住友化学工業(株)製商品名スミエポキシEL
M−120(メタアミノフェノールトリグリシジル)を
20部配合し、100℃に冷却後3,3’−ジアミノジ
フェニルスルフォン12.5部配合して溶解した。その
後で、あらかじめ住友化学工業(株)製商品名スミエポ
キシELA−128(ビスフェノールAジグリシジル)
とジシアンジアミドとを同量配合しロール混練したジシ
アンジアミドのマルターバッチを10部配合し、最後に
3,4’−ジクロルフェニルN,N−ジメチルウレアを
1部配合してすばやく混練しエポキシ樹脂組成物を得
た。該組成物を150℃で2時間硬化した試片につい
て、曲げ物性をASTM D−790に準拠して測定し
た。結果を表1に示す。
【0041】曲げ物性測定後の試片の破断面を走査型電
子顕微鏡で観察したところ、本文中で説明したアメーバ
状の相構造を有していた。次に、NASA、PR−10
92に準拠して歪エネルギー解放率G1Cを測定した結果
を表1に示す。
【0042】次にこの樹脂組成物を塩化メチレンで希釈
して、予め90回/mの撚りをかけた芳香族ポリアミド
繊維、アクゾ社製商品名トワロン1000(840dt
ex)に含浸して乾燥後、150℃で2時間硬化した。
このようにして得られた芳香族ポリアミド繊維強化ワイ
ヤーは直径0.36mmのワイヤー状であった。このも
ののエラスティカ法で測定した後の試片を走査型電子顕
微鏡で観察した。結果は圧縮側または引張側ともに破壊
が塑性的に起こっており大きな歪に耐え得ることが示唆
された。
【0043】実施例2,3 表2に示す組成で実施例1の方法でエポキシ樹脂組成物
を得た。次に実施例1の方法で硬化物および芳香族ポリ
アミド繊維強化ワイヤーを作成し評価した。結果を表1
に示す。
【0044】比較例1,2 表2に示す組成で実施例1の方法でエポキシ樹脂組成物
を得た。ただし、比較例1では熱可塑性樹脂は配合しな
かったので加熱溶解の工程はない。次に実施例1の方法
で硬化物および芳香族ポリアミド繊維強化ワイヤーを作
成し評価した。ただし、硬化条件は比較例1では120
℃で2.5時間、比較例2では150℃で6時間であ
る。結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】本発明のワイヤー状有機繊維強化樹脂
は、屈曲もしくは圧縮荷重下において塑性的に変形し、
完全な破壊が実質的に起こりにくく、曲げ弾性率、曲げ
強度が大きい。 したがって、ワイヤー形状で使用され
る分野、すなわちゴム補強用コードまたは光ケーブルの
テンションメンバーなど大きな歪が作用する環境におい
て、優れた特性を示す可能性が極めて高くなる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硬化後の樹脂組成物の歪エネルギー開放率
    (G1C)が0.4KJ/m2 以上であることを特徴とす
    るワイヤー状有機繊維強化樹脂用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】請求項1記載の樹脂組成物を用いることを
    特徴とするワイヤー状有機繊維強化樹脂プリプレグ。
  3. 【請求項3】請求項2記載のプリプレグを用いることを
    特徴とするワイヤー状有機繊維強化樹脂。
JP4135067A 1992-05-27 1992-05-27 ワイヤー状有機繊維強化樹脂用樹脂組成物、ワイヤー状有機繊維強化樹脂プリプレグおよびワイヤー状有機繊維強化樹脂 Pending JPH05320525A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005281441A (ja) * 2004-03-29 2005-10-13 Nitto Boseki Co Ltd 繊維強化樹脂線状物およびその製造方法
WO2019225442A1 (ja) * 2018-05-21 2019-11-28 東レ株式会社 トウプレグおよびその製造方法、ならびに圧力容器の製造方法

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