JPH053204Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は蒸気配管に取り付けて、蒸気中に混入
している復水を分離して配管外に排除し、二次側
には蒸気のみを流すようにする気水分離器に関
し、特に、分離器ケーシング内に分離ユニツトを
取付ける構造に関する。

本考案に係わる気水分離器は、それ単体で蒸気
配管の必要箇所に取付けて用いられるが、蒸気用
の減圧弁の入口側に組込むこともできる。

本件出願人は次ぎの様な気水分離器を開発し
た。即ち、ケーシングでほぼ円柱形状の分離室を
形成し、その上部側方に入口を開口せしめ、上部
中央に出口を形成する。分離室内の出口の下方に
分離ユニツトを配置し、分離室の底部に排水口を
開ける。排水口を開閉する排水弁は分離器に一体
に組込んでも、別体にして外付けしてもよい。勿
論、排水弁は手動弁でも、フロート弁の様な自動
排水弁でもよい。

上記の分離ユニツトは内側円筒と外側円筒を含
み、両者を旋回羽根で橋渡しして、同心円に一体
に形成する。旋回羽根は内外円筒の間の環状の空
間に位置して、円周に沿つて離散的に配置した複
数枚の、斜めに傾斜した板状の羽根から成る。

外側円筒の外径はケーシングの内囲壁に密接す
る大きさである。内側円筒の上端面は外側円筒よ
りも上方に突出している。そして、分離ユニツト
をケーシングの中に挿入して、内側円筒の上端面
を出口を開けた天井壁の下面に押し当てたとき、
入口が外側円筒の上方に開口するようにする。

従来の技術 内側円筒の上端面は分離室の天井壁下面に密接
していなければ成らない。そうでなければ、入口
から入つてくる蒸気中の復水が、内側円筒の上端
面と分離室の天井壁下面との間の隙間を通つて出
口に流れ出してしまうからである。

そのために従来は、分離室を形成するケーシン
グを上下に分割し、上ケーシング部材に分離ユニ
ツトを下から挿入し、外側円筒の下端面の下方に
波形ばねリングを配置し、その下方に下ケーシン
グ部材の上端面を当てて、波形ばねリングの弾性
力で内側円筒の上端面を分離室の天井壁下面に押
しつけていた。

本考案が解決しようとする問題点 上記従来技術では、波形ばねリングを下ケーシ
ング部材の上端面に載せ、その状態で下ケーシン
グ部材を上ケーシング部材に取付けなければなら
ないので、組立作業がしにくい。また、分解時
に、下ケーシング部材を外すと波形ばねリングが
落下するので、紛失の恐れがある。

問題点を解決するための手段 上記の問題点を解決するために講じた本考案の
技術的手段は、下ケーシング部材の上端部の内側
に環状の段部を形成して、その段部にばねリング
とその上に分離ユニツトの外側円筒の下端部を嵌
込んだものである。

上記の手段の作用を説明する。

ばねリングと分離ユニツトの外側円筒の下端部
は下ケーシング部材の上端部の内側の環状の段部
に嵌合し、下ケーシング部材を大きく傾けない限
り、ばねリングと分離ユニツトは下ケーシング部
材に組み合つて外れない。

考案の効果 ばねリングと分離ユニツトの外側円筒の下端部
は下ケーシング部材の上端部の内側の環状の段部
に嵌合し、下ケーシング部材を傾けない限り、ば
ねリングと分離ユニツトは下ケーシング部材に組
み合つて外れないので、組立や分解点検作業に便
利である。

実施例 上記の技術的手段の具体例を示す実施例を第１
図と第２図参照して説明する。これは本考案によ
る気水分離器を減圧弁に組込んだ実施例である。

弁ケーシング１で流体の入口２と出口３を形成
する。弁口４を形成した弁座部材３０を隔壁に取
り付ける。入口２と出口３は弁口４を通して連通
する。弁口４の入口側、即ち第１図で下方に、主
弁５を配置する。主弁５はその下方に配置したコ
イルばねの弾性力で弁座部材３０に押しつける。

弁口４の上方にシリンダ７とピストン６を配置
する。ピストン６は外周に溝を形成してピストン
リングを嵌め込み、シリンダ７の中に気密的に摺
動自在に挿入する。ピストン６の下部のピストン
ロツドの下端面を主弁５のボスの上端面に当接せ
しめる。また、ピストン６の横断壁にその上下空
間を連通するオリフイス８を設ける。従つて、ピ
ストン６の横断壁の上方空間（以下、ピストン室
と言う）はオリフイス８を通して出口側に連通す
る。

入口側とピストン室を連通する一次側圧力通路
１７を設け、パイロツト弁９で開閉する。また、
ダイヤフラム２０を設けて、その下方空間を二次
側圧力通路２２で出口側に連通する。ダイヤフラ
ム２０の上面には圧力設定ばね１９を配置する。
圧力設定ばね１９の上端に取り付けたばね受３２
を変位せしめて、ばね１９の弾性力を変える調節
ねじ３１を設ける。

弁口４の下方に、内側円筒４０と外側円筒４９
と旋回羽根４１を有する分離ユニツトを配置す
る。参照番号４２はスクリーンである。

下部には分離室４３を形成し、排水通路４４に
通じる排水弁口４５と、これを開閉する球形のフ
ロート弁４６を配置する。参照番号４７はフロー
ト弁４６を覆つてケーシング１に固定したフロー
トカバーである。

上記減圧弁の作動を説明する。出口側の圧力
が、圧力設定ばね１９で設定した値よりも小さけ
れば、それだけダイヤフラム２０の下面に作用す
る流体圧力が小さいので、ダイヤフラム２０が下
方に凸に撓み、パイロツト弁９を開弁せしめる。
すると入口側の流体が一次側圧力通路１７を通し
てピストン室に導入され、ピストン６が押し下げ
られ、主弁５が弁座から離れて弁口４を開き、入
口２の流体が出口３に流れる。

そして、出口側の流体圧力が、圧力設定ばね１
９の設定値まで復帰すると、前記同様の作用でダ
イヤフラム２０の撓みが戻り、パイロツト弁９が
閉じ、ピストン室への流体の導入が止まり、ピス
トン室の流体はオリフイス８を通して出口側に抜
けるので、ピストン６が上に移動し、主弁が５が
弁口４を塞ぐ。

入口２の流体は旋回羽根４１で旋回せしめら
れ、遠心力の作用で水滴が外側に振り出され、分
離室４３の内囲壁に沿つて流れ落ち、フロート弁
４６の作用で排水弁口４５から排水通路４４に自
動的に排除される。

次ぎに、第２図を参照して分離ユニツトの取付
部材の構造を詳しく説明する。

分離室４３の周囲壁は上下に分割された上ケー
シング部材６０と下ケーシング部材６１を有す
る。入口２は分離器の入口であり、弁口４は分離
器の出口である。

分離ユニツトは内側円筒４０、外側円筒４９、
旋回羽根４１を有する。さらに主弁５の弁軸の軸
受５２とリブが一体に形成されている。

下ケーシング部材６１の上端の内側には環状の
段５４が形成され、波形ばねリング５１と外側円
筒４９の下端部が嵌合している。

下ケーシング部材６１の上端部はフランジより
も上方に突出して、上ケーシング部材６０の下端
に形成した段部に嵌合している。

下ケーシング部材６１の上端部の内囲面は外側
円筒４９の内囲面の内径と同じで、同一面で滑か
に連続している。

内側円筒５３の上端面は、参照番号５３で示す
様に、弁座部材３０を取付けた、分離室４３の天
井壁の下面に、波形ばねリング５１の弾性力で水
密機密的に接触している。参照番号５０はガスケ
ツトを示す。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の気水分離器を備えた
減圧弁の断面図、第２図は分離ユニツトの取付部
の拡大断面図である。 ２……入口、４……出口（弁口）、４３……分
離室、５１……ばねリング、６０……上ケーシン
グ部材、６１……下ケーシング部材、分離ユニツ
ト、４０……内側円筒、４９……外側円筒、４１
……旋回羽根。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部側方に入口を、上部中央に出口を形成し、
   上ケーシング部材と下ケーシング部材で構成され
   た分離器ケーシングの内部に分離室を形成し、そ
   の分離室内に気水分離ユニツトを上ケーシング部
   材と下ケーシング部材の間に挟んで固定配置した
   ものに於て、下ケーシング部材の上端部内側に環
   状の段部を形成し、その段部に気水分離ユニツト
   の下端外周をばねリング等の弾性部材を介在せし
   めて嵌合したことを特徴とする気水分離器。