JPH05319999A - 有機結晶薄膜の製造方法 - Google Patents

有機結晶薄膜の製造方法

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JPH05319999A
JPH05319999A JP4298818A JP29881892A JPH05319999A JP H05319999 A JPH05319999 A JP H05319999A JP 4298818 A JP4298818 A JP 4298818A JP 29881892 A JP29881892 A JP 29881892A JP H05319999 A JPH05319999 A JP H05319999A
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crystal
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organic
crystal thin
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JP4298818A
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Mitsuru Kuhata
満 久畑
Akira Mizoguchi
晃 溝口
Yasuhiro Hattori
康弘 服部
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 実際の素子に応用可能な大きな単結晶からな
り、かつその結晶方位が任意の方位に配向制御された有
機結晶薄膜を製造する方法を提供する。 【構成】 結晶薄膜を成長させる基板1の表面に、溝格
子10を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高導電性材料、PHB
材料、フォトクロミック材料、有機非線形光学材料等の
機能性の有機化合物からなる有機結晶薄膜を、基板表面
または一対の基板間に形成する製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】上記のような種々の機能を有する有機化
合物のうち、最近では、ポリアセチレン系、ポリジアセ
チレン系等の有機高分子が着目されている。中でも、下
記一般式(I) で表される繰り返し単位を有するポリジア
セチレン(PDA)系の有機高分子は、すぐれた電気特
性、光学特性を有することが明らかになってきており、
実用化に向けての研究が盛んに行われている。
【0003】
【化1】
【0004】PDA系の有機高分子は、主鎖方向のπ電
子共役系により導電性、非線形光学特性といった機能を
発現するので異方性が大きく、主鎖方向には大きな機能
を示すが、主鎖と直交する方向には殆ど機能を示さない
という特徴がある。機能性材料の結晶を実際の素子に応
用するには、支持基板表面に形成された薄膜が最も適し
た形態であり、PDA系の有機高分子についても薄膜化
が検討されている。
【0005】PDA系の有機高分子を薄膜化する際に
は、このPDA系の有機高分子が、上記のように大きな
異方性を有するので、薄膜に所期の機能を持たせるべ
く、PDA主鎖の配向を制御する必要がある。しかしP
DA系の有機高分子は溶媒に不溶であるためプロセス性
が悪く、通常の結晶材料のように、配向制御しながら薄
膜作製することは困難である。
【0006】PDA系の有機高分子の原料である、下記
一般式(II)で表されるジアセチレン系単量体の中には固
相重合性を有するものがある。
【0007】
【化2】
【0008】そして、このジアセチレン系単量体の結晶
に、紫外線、γ線等の照射や加熱等を行って、下記反応
式にしたがって固相重合させると、結晶構造を大きく変
えることなく、有機高分子の結晶を形成できることが知
られている。
【0009】
【化3】
【0010】そこでこの固相重合性を利用して、まず、
単量体を配向制御しながら結晶成長させて薄膜化した
後、この薄膜を固相重合させて、配向制御されたPDA
系の有機高分子薄膜を得ようとする試みが、幾つかなさ
れている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】有機高分子に限らず、
有機化合物の結晶薄膜を基板上に形成する際には、薄膜
の素子としての利用を考慮すると、素子を作製できる広
さの領域で、有機化合物の結晶が、できるだけ同一方向
に配列制御されていることが要求される。たとえば有機
高分子薄膜を素子化するには、数100μmからmmオ
ーダーの、比較的大きな薄膜単結晶が効率よく得られる
ことが必要である。
【0012】従来の配向技術の一つに、結晶基板と有機
化合物の分子レベルでの相互作用を利用するエピタキシ
ャル成長法がある。この場合、有機化合物は基板表面の
対称性を反映した方向に結晶成長することから、同一方
向に配列制御された結晶薄膜を得るには、2回対称性の
基板を用いる必要がある。しかし、2回対称性の表面を
有する結晶基板には種類に限りがあり、さらにその基板
の表面でエピタキシャル成長する有機化合物にも種類に
限りがあるという問題がある。
【0013】J. Le Moigneらは、前記一般式(II)中の置
換基R1 ,R2 が共に9−カルバゾリル基であるジアセ
チレン系単量体を、KBr単結晶の劈開面に真空蒸着した
のち固相重合させることで、PDA主鎖の配向が制御さ
れたPDA系の有機高分子(PDA−DCHD)の結晶
薄膜を作製したと報告している〔J.Chem.Phys.88,664
7, (1988) 〕。
【0014】しかしKBr単結晶の劈開面は4回対称性を
有するため、PDAの主鎖は、1方向でなく互いに直交
する2方向に配向しており、完全な成功とは言いがた
い。また、得られた薄膜は、数μm角の微小結晶が集ま
ってできた多結晶構造であり、実際の素子に応用するの
は不可能である。T. Kanetake らは、ガラス基板上にジ
アセチレン系単量体を蒸着して固相重合させ、得られた
薄膜の表面をシリコン布等で1方向にラビングした後、
再度、同じ単量体を蒸着することで、1方向に配向制御
された単量体の結晶薄膜を得、これを固相重合させて、
PDA主鎖の配向が1方向に制御されたPDAの結晶薄
膜を作製した〔Appl. Phys. Lett. 54,2287,(198
9)〕。
【0015】しかし、この場合に得られる薄膜も、数μ
m角の微小結晶が集まってできた多結晶構造であり、実
際の素子に応用するのは不可能である。M. Thakur ら
は、2枚の平滑なガラス基板を互いに圧接させながら面
方向にずらして基板の表面に剪断力を加え、その基板間
で、ジアセチレン系単量体を融液または溶液から結晶成
長させることを試みている〔Macromolecules,18,234
1,(1985)〕。
【0016】この方法では、mm角オーダーの大きな単
結晶薄膜を作製できることが報告されているが、アモル
ファスのガラス基板を用いているため、結晶方向の制御
が完全でないという問題がある。特開平3−59036
号公報には、平滑な基板をスペーサを介して複数枚重ね
合わせ、それを傾斜させた状態で、単結晶膜成長用の有
機化合物の溶液中に浸漬し、溶媒を徐徐に蒸発させて、
基板表面に有機化合物の結晶を成長させる試みが開示さ
れている。
【0017】またY. Iwasaらは、白金化合物の薄膜化に
おいて、シリコン平板基板を約10°の傾斜状態に配置
して、その上端部から、白金化合物の溶液を基板表面に
キャストし、溶液の流下と同時に溶媒を蒸発させて、基
板表面に結晶を成長させることを試みている〔Appl. Ph
ys. Lett. 59,2219,(1991)〕。これら基板を傾斜させ
る方法では、いずれもmm角オーダーの単結晶薄膜を効
率よく作製できることが報告されているが、いずれの技
術においてもアモルファス基板を用いているため、結晶
方向の制御が完全でないという問題がある。
【0018】基板表面のマクロな幾何構造により配列制
御を行う試みが、T.Suharaらによってなされている〔IE
EE Photo. Tech. Lett., 3, 241, (1991) 〕。この技術
で使用されるマクロな幾何構造とは、2枚の基板間にて
平行する2本のスペーサを設け、その先端をテーパー状
に拡開させて幅広部に繋いだものである。そして、上記
2本のスペーサの間の溝部にmNAの融液を供給し、こ
の溝部からテーパー部、そして幅広部へとmNAを結晶
成長させると、幅広部に、溝部の幾何学的規制力によっ
て結晶方位が配列制御された結晶薄膜が形成される。
【0019】上記例において、結晶成長初期に発生する
結晶核に対して溝幅が相対的に小さいことが、結晶配列
の制御に必要であるが、上記例における溝幅は200μ
mと広く、この形状の基板で配列制御の可能な材料は非
常に限られたものになる。本発明は、以上の事情に鑑み
てなされたものであって、mm角オーダーの大きな単結
晶からなり、かつその結晶方位が任意の方位に配向制御
された有機結晶薄膜を効率的に製造し得る方法を提供す
ることを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するための、本発明の有機結晶薄膜の製造方法は、基
板表面または一対の基板間に、有機化合物の融液または
溶液から、当該有機化合物の結晶薄膜を製造するにあた
り、上記基板として、その表面の少なくとも一部に、有
機結晶の成長方位を規制し得る立体的幾何学構造を有す
る基板を使用することを特徴とする。
【0021】また、有機化合物の溶液から結晶薄膜を成
長させる際には、上記立体的幾何学構造を有する基板を
傾斜させることで、その結晶成長の方向を制御するよう
にするのが好ましい。基板の表面に形成される立体的幾
何学構造とは、基板の表面に成長する単量体結晶の成長
に影響を及ぼし、その成長方位を規制し得る微細な立体
的構造をいう。具体的には、たとえば図1に示す断面矩
形波状の溝格子10を多数、基板1の表面に平行に形成
した溝格子構造や、図2に示す断面三角波状の溝格子1
1を多数、基板1の表面に平行に形成した溝格子構造で
あって、矩形波の周期や深さ、三角波の周期や深さ等が
数10μm以下のもの等をいうが、立体的幾何学構造
は、これら2つの例に限定されるものではない。
【0022】とくに非線形光学効果を有する有機結晶薄
膜の場合は、屈折率のマッチングをとれば導波路素子と
して利用できるため、その必要性は高いが、図1または
図2のように全表面に立体的幾何学構造を形成した基板
上に成長した薄膜では、導波路構造が限定されてしまう
おそれがある。そこで、図3または図4に示すように、
基板1の表面に、溝格子10,11を形成した領域と、
形成していない平滑面12の領域とを設けたものや、図
5または図6に示すように、基板1の表面に、一端が幅
10μm以下の溝格子10,11で、そこから拡開して
平滑部13に繋がった形状の立体的幾何学構造を形成し
たものを用いて、まず溝格子10,11の領域で成長方
位が規制された有機結晶薄膜を発生させて、それを平滑
面12,13の領域まで結晶成長させ、そして、平滑面
12,13の領域の有機結晶薄膜を光導波路等に使用す
るのが好ましい。
【0023】溝格子10,11を形成した領域で有機結
晶薄膜を発生させて、それを平滑面12,13の領域ま
で結晶成長させるには、結晶成長時の基板温度に温度勾
配を設定する方法や、有機化合物の溶液から結晶薄膜を
成長させる際に、基板上に供給する溶液の濃度に濃度勾
配をつける方法等があげられる。また後述するように、
基板を傾斜させて、結晶成長の方向を制御する方法も有
効である。
【0024】なお、一対の基板間で単量体の結晶薄膜を
成長させる際には、上記立体的幾何学構造は、一対の基
板のうち、片方のみの表面に形成されていてもよく、両
方の表面に形成されていてもよい。一般に、液体または
固体が他の物体の表面と接触する時は、界面エネルギー
を最小にしようとする働きがある。つまり、物体の表面
に接触する液体や固体は、その物体の表面から規制を受
けるのである。
【0025】基板の表面に結晶を成長させるときも同様
であって、成長する結晶の方位は基板表面の規制を受け
る。たとえば結晶成長させる有機化合物として、前記一
般式(II)中の置換基R1 ,R2 が共に、後述する2,
3,5,6−テトラフルオロ−4−n−ブチルフェニル
基であるジアセチレン系単量体を使用し、基板として、
表面がごく薄い表面酸化層で覆われてアモルファス状に
なったシリコンウェハー(100)を使用する場合を例
にとって説明すると、図9に示すように、表面が平滑な
基板1′の場合、成長する結晶2bは、基板1′の表面
からの規制を受けて垂線方向の結晶方位が揃い、基板
1′の表面と平行な結晶面は、各結晶2b毎に同じ
【0026】
【外1】
【0027】面になる。しかし基板1′の表面には面方
向に異方性がないため、結晶2bの面方向の方位は結晶
毎にまちまちとなり、上記以外の結晶面〔(101)面
および(010)面〕は、結晶2b毎にバラバラの方向
を向く。また、各々の結晶2bは基板1′の表面で自由
に回転する。このため、隣合う結晶の方位は揃わず、成
長の途中で隣合う結晶同士が一体化して大きな単結晶に
成長することが殆どない。したがって、基板表面に形成
される薄膜は、微小結晶が集まった多結晶構造となり、
実際の素子に応用することができない。
【0028】これに対し、上記と同じ有機化合物、基板
であっても、図1に示す断面矩形波状の溝格子構造を有
する基板1の場合、図7に示すように、成長する結晶2
aは、溝格子10の側面10aおよび底面10bの両方
と接しながら、界面エネルギーを最小にしようとする、
つまり側面10aおよび底面10bの両方からの規制を
受けるため、(101)面が溝格子10の側面10aと
ほぼ平行になり、かつ
【0029】
【外2】
【0030】面が溝格子10の底面10bと平行になる
ような特定の結晶方位で、溝格子10に沿って結晶成長
する。しかも、基板1上に成長する結晶2aの方位は全
て等しいため、成長の途中で隣合う結晶同士の一体化が
生じて、図に示すように
【0031】
【外3】
【0032】面を基板1の表面と平行にした、広い範囲
に亘る大きな単結晶2が成長する。また、上記と同じ有
機化合物、基板であっても、図2に示す断面三角波状の
溝格子構造を有する基板1の場合、図8に示すように、
成長する結晶2aは、溝格子11の一対の斜面11a,
11aの両方と接しながら、界面エネルギーを最小にし
ようとする、つまり両斜面11a,11aの両方からの
規制を受けるため、
【0033】
【外4】
【0034】面および(101)面が一対の斜面11
a,11aのそれぞれとほぼ平行になるような特定の結
晶方位で、溝格子11に沿って結晶成長する。そして、
成長の途中で隣合う結晶同士の一体化が生じて、図に示
すように(001)面を基板1の表面と平行にした、広
い範囲に亘る大きな単結晶2が成長する。以上のように
本発明によれば、mm角オーダーの大きな単結晶を含
み、しかもその単結晶の結晶方位が、基板表面に形成さ
れる立体的幾何学構造に応じて任意の方位に配向制御さ
れた有機化合物の単結晶薄膜を形成することができる。
したがって、実際の素子に応用可能なmm角オーダーの
大きな単結晶からなり、かつその結晶方位が任意の方位
に配向制御された有機結晶薄膜を製造することが可能と
なる。
【0035】本発明に使用される基板1としては、溶融
石英、高屈折率ガラス等のアモルファス材料からなる基
板が使用される他、ケイ素、ガリウム−ヒ素、アルカリ
ハライド等の単結晶基板を使用することもできる。基板
1の表面に立体的幾何学構造を形成するには、高度集積
回路の製造に利用されるフォトリソグラフィ技術等の微
細加工技術が採用される。
【0036】基板1の表面に形成する有機結晶薄膜の材
料としては、何等かの機能性を有する従来公知の種々の
有機化合物が使用できる。たとえば有機非線形光学材料
としては、3−ニトロ−5−(N,N−ジメチルアミ
ノ)−アセトアニリド、3−(N,N−ジメチルアミ
ノ)−アニリン、N−4′−メトキシベンゾイル)−4
−シアノアニリン、N−メチル−N−(4−シアノフェ
ニル)アミノアセトニトリル、N−(4−シアノフェニ
ル)アミノアセトニトリル、4−ニトロベンジリデン−
2,3−ジメチルアニリン、4−ニトロベンジリデン−
2,4−ジメチルアニリン、4−ニトロベンジリデン−
2,5−ジメチルアニリン、4−ニトロベンジリデン−
3,4−ジメチルアニリン、4−ニトロベンジリデン−
3,5−ジメチルアニリン、4−ニトロベンジリデン−
2,4−ジメトキシアニリン、4−ニトロベンジリデン
−3,4,5−トリメトキシアニリン、3−ニトロベン
ジリデン−3,4,5−トリメトキシアニリン、2−ニ
トロベンジリデン−3,4,5−トリメトキシアニリ
ン、3−ニトロベンジリデン−2,3−ジメチルアニリ
ン、3−ニトロベンジリデン−2,5−ジメチルアニリ
ン、3−ニトロベンジリデン−3,5−ジメチルアニリ
ン、2−メチル−4−ニトロアニリン〔MNA〕、4−
(N,N−ジメチルアミノ)−3−アセトアミドニトロ
ベンゼン〔DAN〕、4,5−ジメチル−1,3−ジチ
オール−2−イリデンシアノアセテート、1,3−ジチ
オール−2−イリデンシアノアセテート、N−(4−ニ
トロフェニル)−(S)−プロリノール〔NPP〕、N
−(5−ニトロ−2−ピリジル)−(S)−フェニルア
ラリノール〔NPPA〕、9−メチルカルバゾール−3
−カルボックスアルデヒド、3−アセトアミノ−4−メ
トキシ−N−(4−ニトロベンジリデン)アニリン〔M
NBA〕、ペリレン/7,7,8,8−テトラシアノキ
ノジメタン〔TCNQ〕錯体、ピレン/TCNQ錯体等
があげられる。
【0037】また固相重合により機能性高分子化する有
機化合物としては、前記のように電気特性、光学特性等
に優れたPDA系の有機高分子の単量体が好ましいが、
その他、ポリアセチレン系等の従来公知の機能性有機高
分子を構成する単量体のうち、固相重合性を有する種々
の単量体が使用可能である。上記PDA系の有機高分子
の単量体としては、特に、前記一般式(II)中の置換基R
1 ,R2 が共にフッ素原子を含む置換基である単量体、
中でも、上記置換基R1 ,R2 が共に下記式(III) で表
される2,3,5,6−テトラフルオロ−4−n−ブチ
ルフェニル基である単量体が、電気特性、光学特性の点
で好ましい高分子〔PDA−BTFP〕を形成し得るも
のとして、好適に使用される。
【0038】
【化4】
【0039】また、同じ一般式(II)中の置換基R1 ,R
2 が共に下記式(IV)で表されるカルバゾイルメチレン基
である単量体が、電気特性、光学特性の点ですぐれた高
分子〔PDA−DCHD〕を形成でき、しかも熱重合可
能であるという点で、好ましいものとしてあげられる。
【0040】
【化5】
【0041】有機化合物の結晶薄膜を成長させる方法と
しては、表面に立体的幾何学構造を有する基板1上、ま
たは少なくとも一方が上記基板1である一対の基板間
で、単量体の融液を徐徐に冷却する方法か、あるいは単
量体の溶液から、溶媒を徐徐に蒸発させる方法の何れか
が採用される。溶媒蒸発による結晶成長の成長方位を制
御する方法としては、前述のように基板を傾斜させて配
置する方法が好適に採用される。この方法は、先にも述
べたように、表面の一部に立体的幾何学構造を形成し、
他の部分を平滑面とした基板の当該平滑面に、立体的幾
何学構造の領域から結晶を成長させて有機結晶薄膜を形
成する際に、最も好適に採用されるものである。
【0042】上記の方法はさらに、傾斜状態におかれた
基板の、傾斜の上方に有機化合物の溶液を滴下し、基板
表面を流下させつつ溶媒を蒸発させる方法と、傾斜状態
におかれた基板を有機化合物の溶液中に浸漬して溶媒を
蒸発させる方法の2つに分類される。前者の方法では、
傾斜した表面を溶液が流下する際に、溶媒の蒸発によっ
て傾斜の上方から結晶ができ始め、それが、溶液の流下
にともなって傾斜の下方へ順次成長する。このとき、結
晶の成長点(溶媒蒸発が完了する溶液−結晶の境界)は
ほぼ横一直線になる。つまり溝格子中の微結晶のそれぞ
れが同時に同じ配向で成長するため、基板表面の微結晶
がさらに一体化されやすくなり、配向制御された大型の
結晶薄膜を、効率よく製造することが可能となる。
【0043】なお結晶がスムーズに大きく成長する結晶
成長の速さの最適値は、結晶成長させる有機化合物の種
類によって異なり、上記の方法では、溶液の流下速度に
よって結晶成長の速さが決定される。溶液の流下速度を
決定する要因としては、基板の傾斜角度と溶液の粘度が
あるが、溶液の粘度は有機化合物の種類や溶媒の種類、
溶液の濃度によって一義的に決まる。したがって、上記
の方法を実施する際には、基板の傾斜角度を調整して、
溶液の流下速度を最適な範囲に設定するのが望ましい。
【0044】一方、後者の方法では、溶媒が蒸発して溶
液の液面が徐徐に下がって行くと、それにともなって、
傾斜して配置した基板の表面に、やはり上方から結晶が
でき始め、それが、液面の下降にともなって傾斜の下方
へ順次成長する。このとき、結晶の成長点は液面と一致
し、基板の全幅にわたって横一直線になる。したがって
先の方法と同様に、溝格子中の微結晶のそれぞれが同時
に同じ配向で成長するため、基板表面の微結晶がさらに
一体化されやすくなり、配向制御された大型の結晶薄膜
を、効率よく製造することが可能となる。
【0045】
【実施例】以下に本発明を、実施例および比較例に基づ
いて説明する。実施例1 5mm角のシリコンウェハー(100)の表面に、溝格
子がシリコンウェハーの辺と平行になるように、図1に
示す断面矩形波状の溝格子構造(山の幅α=3μm、谷
の幅β=3μm、谷の深さγ=1μm)を形成した。ウ
ェハーの表面は、ごく薄い表面酸化層で覆われており、
アモルファス状であった。
【0046】上記溝格子構造が形成されたシリコンウェ
ハーの表面に、前記一般式(II)中のR1 ,R2 が共に式
(III) で表される2,3,5,6−テトラフルオロ−4
−n−ブチルフェニル基であるジアセチレン系単量体
(融点104℃)の粉末0.1mgをのせ、その上をカ
バーガラスで覆った。つぎに、上記シリコンウェハーを
加熱用ヒータの上に載せ、遮光下、窒素雰囲気下で、ジ
アセチレン系単量体の融点より高い120℃まで加熱
し、当該ジアセチレン系単量体を溶融させて融液とした
後、毎分20℃の降温速度で室温まで徐徐に冷却して、
シリコンウェハーとカバーガラスの間に単量体の結晶薄
膜を成長させた。
【0047】そしてこの結晶薄膜に、波長254nmの
紫外線を照射して固相重合させて、PDA−BTFPの
結晶薄膜を形成した。形成されたPDA−BTFPの結
晶薄膜の反射X線回折パターンを、図10に示す。図か
らわかるように、観測された回折ピークは
【0048】
【外5】
【0049】のみであり、このことからPDA−BTF
Pの結晶薄膜は、
【0050】
【外6】
【0051】面がシリコンウェハーの表面と平行になる
結晶方位に、選択的に成長したものであることがわかっ
た。そして、PDA−BTFPの結晶構造から、上記薄
膜は、結晶のb軸、すなわち、PDA主鎖が基板と平行
になっていることが推測された。また、PDA−BTF
Pは、前記のように主鎖方向のπ電子共役系により機能
を発現する、つまり誘電主軸がPDA主鎖と一致するこ
とから、偏光顕微鏡でその方向を観察したところ、PD
A主鎖の方向は、溝格子と平行であることが確認され
た。
【0052】さらに、上記偏光顕微鏡で観察した最も大
きい単結晶のサイズは、約1mm×2mmであった。比較例1 表面に溝格子構造等の立体的幾何学構造が形成されてい
ない、平滑なシリコンウェハー(100)を使用したこ
と以外は、上記実施例1と同様にして、PDA−BTF
Pの結晶薄膜を形成した。なおウェハーの表面は、ごく
薄い表面酸化層で覆われており、アモルファス状であっ
た。
【0053】形成されたPDA−BTFPの結晶薄膜の
反射X線回折パターンを、図11に示す。図からわかる
ように、観測された回折ピークは
【0054】
【外7】
【0055】に加えて(h0h)も見られ、このことか
らPDA−BTFPの結晶薄膜は、結晶方位が1方向で
ないことがわかった。また、偏光顕微鏡による観察で
は、実施例1のような大きな単結晶はみられず、約20
μm×100μm程度の微小な結晶ドメインが多数存在
し、各々の結晶ドメインは、PDA主鎖の方位がランダ
ムであることが確認された。
【0056】実施例2 実施例1で使用したのと同じ、表面に断面矩形波状の溝
格子構造を形成した5mm角のシリコンウェハー(10
0)上に、実施例1で使用したのと同じジアセチレン系
単量体のクロロホルム溶液(5重量%)を約3mg滴下
し、その上をカバーガラスで覆った。なおウェハーの表
面は、ごく薄い表面酸化層で覆われており、アモルファ
ス状であった。
【0057】その後、上記シリコンウェハーを冷暗所に
保存し、一週間かけてクロロホルムを蒸発させて、シリ
コンウェハーとカバーガラスの間に単量体の結晶薄膜を
成長させた。そしてこの結晶薄膜に、波長254nmの
紫外線を照射して固相重合させて、PDA−BTFPの
結晶薄膜を形成した。
【0058】形成されたPDA−BTFPの結晶薄膜の
反射X線回折パターンを、図12に示す。図からわかる
ように、観測された回折ピークは
【0059】
【外8】
【0060】のみであり、このことからPDA−BTF
Pの結晶薄膜は、実施例1と同様に
【0061】
【外9】
【0062】面がシリコンウェハーの表面と平行になる
結晶方位に選択的に成長したもの、つまり結晶のb軸
(=PDA主鎖)が基板と平行になったものであること
がわかった。また、偏光顕微鏡で薄膜を観察したとこ
ろ、PDA主鎖の方向は、溝格子と平行であることが確
認された。さらに、上記偏光顕微鏡で観察した最も大き
い単結晶のサイズは、約1mm×1mmであった。
【0063】実施例3 実施例1で使用したのと同じ、表面に断面矩形波状の溝
格子構造を形成した5mm角のシリコンウェハー(10
0)を、溝格子が最大傾斜線と平行になるように、水平
面に対して5°傾斜させて配置した。ウェハーの表面は
ごく薄い表面酸化層で覆われており、アモルファス状で
あった。
【0064】つぎに、傾斜したウェハー表面の上方側
に、実施例1で使用したのと同じジアセチレン系単量体
のクロロホルム溶液(1重量%)を約15mg滴下し、
傾斜面に沿って流下させつつ、10数秒ないし20秒か
けてクロロホルムを蒸発させて、シリコンウェハー上に
単量体の結晶薄膜を成長させた。そしてこの結晶薄膜
に、波長254nmの紫外線を照射して固相重合させ
て、PDA−BTFPの結晶薄膜を形成した。
【0065】形成されたPDA−BTFPの結晶薄膜を
偏光顕微鏡で観察したところ、PDA主鎖の方向は、溝
格子と平行であることが確認された。さらに、上記偏光
顕微鏡で観察したところ、5mm角のシリコンウェハー
の全面にわたって結晶が配列制御されており、最も大き
い単結晶のサイズは、約1.5mm×5mmであった。
【0066】実施例4 5mm×1cmのシリコンウェハー(100)の表面
の、長さ方向の半分の領域(5mm×5mmの領域)
に、図3に示す断面矩形波状の溝格子構造(山の幅α=
3μm、谷の幅β=3μm、谷の深さγ=1μm)を、
ウェハーの長さ方向と平行に形成した。なお残り半分の
領域は平滑面とした。この平滑面および溝格子構造を含
むウェハーの表面は、その全面がごく薄い表面酸化層で
覆われており、アモルファス状であった。
【0067】つぎにこのシリコンウェハーを、溝格子構
造が形成された側の領域を上にして、溝格子が最大傾斜
線と平行になるように、水平面に対して5°傾斜させて
配置し、傾斜したウェハー表面の上方側に、実施例1で
使用したのと同じジアセチレン系単量体のクロロホルム
溶液(1重量%)を約15mg滴下し、傾斜面に沿って
流下させつつ、10数秒ないし20秒かけてクロロホル
ムを蒸発させて、シリコンウェハー上に単量体の結晶薄
膜を成長させた。そしてこの結晶薄膜に、波長254n
mの紫外線を照射して固相重合させて、PDA−BTF
Pの結晶薄膜を形成した。
【0068】形成されたPDA−BTFPの結晶薄膜を
偏光顕微鏡で観察したところ、溝格子構造の領域のみな
らず平滑面の領域まで含めて、シリコンウェハーの全面
にわたって結晶が配列制御されており、PDA主鎖の方
向は、溝格子のない平滑面の結晶薄膜についても溝格子
と平行であることが確認された。さらに、上記偏光顕微
鏡で観察した最も大きい単結晶のサイズは、約3mm×
5mmで、溝格子構造の領域と平滑面の領域の両方にわ
たるものであった。
【0069】比較例2 表面に溝格子構造等の立体的幾何学構造が形成されてい
ない、平滑なシリコンウェハー(100)を使用したこ
と以外は、上記実施例2と同様にして、PDA−BTF
Pの結晶薄膜を形成した。なおウェハーの表面は、ごく
薄い表面酸化層で覆われており、アモルファス状であっ
た。
【0070】形成されたPDA−BTFPの結晶薄膜の
反射X線回折パターンを、図13に示す。図からわかる
ように、観測された回折ピークは
【0071】
【外10】
【0072】に加えて(h0h)も見られ、このことか
らPDA−BTFPの結晶薄膜は、結晶方位が1方向で
ないことがわかった。また、偏光顕微鏡による観察で
は、実施例2のような大きな単結晶はみられず、数10
μm角程度の微小な結晶ドメインが多数存在し、各々の
結晶ドメインは、PDA主鎖の方位がランダムであるこ
とが確認された。
【0073】実施例5 実施例1で使用したのと同じ、表面に断面矩形波状の溝
格子構造を形成した5mm角のシリコンウェハー(10
0)を、溝格子が最大傾斜線と平行になるように、水平
面に対して30°傾斜させて配置した。ウェハーの表面
はごく薄い表面酸化層で覆われており、アモルファス状
であった。
【0074】つぎに、傾斜したウェハー表面の上方側
に、前記一般式(II)中のR1 ,R2 が共に式(IV)で表さ
れるカルバゾイルメチレン基であるジアセチレン系単量
体のシクロペンタノン溶液(1重量%)を約15mg滴
下し、傾斜面に沿って流下させつつ、15〜20分かけ
てシクロペンタノンを蒸発させて、シリコンウェハー上
に単量体の結晶薄膜を成長させた。そしてこの結晶薄膜
を150℃にて24時間加熱して固相重合させて、PD
A−DCHDの結晶薄膜を形成した。
【0075】形成されたPDA−DCHDの結晶薄膜の
反射X線回折パターンを、図14に示す。図からわかる
ように、観測された回折ピークは(h00)のみであ
り、このことからPDA−DCHDの結晶薄膜は、(1
00)面がシリコンウェハーの表面と平行になる結晶方
位に選択的に成長したものであることがわかった。ま
た、偏光顕微鏡で薄膜を観察したところ、PDA主鎖の
方向は、溝格子と平行であることが確認された。
【0076】さらに、上記偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、5mm角のシリコンウェハーの全面にわたって結晶
が配列制御されており、最も大きい単結晶のサイズは、
約1mm×3mmであった。比較例3 表面に溝格子構造等の立体的幾何学構造が形成されてい
ない、平滑なシリコンウェハー(100)を使用したこ
と以外は、上記実施例5と同様にして、PDA−DCH
Dの結晶薄膜を形成した。なおウェハーの表面は、ごく
薄い表面酸化層で覆われており、アモルファス状であっ
た。
【0077】形成されたPDA−DCHDの結晶薄膜を
偏光顕微鏡で観察したところ、実施例5のような方位の
揃った結晶はみられず、数10μm角程度の微小な結晶
ドメインが多数存在していることが確認された。実施例6 5mm×12.5mm角のシリコンウェハー(100)の表
面に、図5に示すように、一端が溝格子(幅3μm、深
さ1μm)でそこから拡開して平滑部に繋がった形状の
立体的幾何学構造を、溝格子がシリコンウェハーの長さ
方向と平行になるように形成した。ウェハーの表面は、
ごく薄い表面酸化層で覆われており、アモルファス状で
あった。
【0078】上記シリコンウェハーの、立体的幾何学構
造を形成した表面にカバーガラスを重ね合わせ、固定し
て積層基板を形成した後、当該積層基板の、シリコンウ
ェハーとカバーガラスとの間に、前記実施例1で使用し
たのと同じジアセチレン系単量体(融点104℃)の融
液を、毛細管現象を利用して吸い上げて注入した。そし
て、注入後の積層基板を110℃に保持した炉内に入れ
て、基板間に注入されたジアセチレン系単量体を溶融状
態に保ちつつ、当該積層基板を、ウェハー表面の立体的
幾何学構造のうち溝格子側の端部から1mm/分の速度で
徐徐に炉外へ引き出して、ジアセチレン系単量体の融点
以下に冷却することで、基板間に単量体の結晶薄膜を成
長させた。そしてこの結晶薄膜に、波長254nmの紫
外線を照射して固相重合させて、PDA−BTFPの結
晶薄膜を形成した。
【0079】形成されたPDA−BTFPの結晶薄膜を
偏光顕微鏡で観察したところ、溝格子構造の領域のみな
らず平滑面の領域まで含めて、立体的幾何学構造の全面
にわたって結晶が配列制御されており、PDA主鎖の方
向は、溝格子のない平滑面の結晶薄膜についても溝格子
と平行であることが確認された。さらに、上記偏光顕微
鏡で観察した最も大きい単結晶のサイズは、約3mm×
5mmであった。
【0080】比較例4 図5に示す立体的幾何学構造のうち溝格子の幅を100
μmとしたこと以外は、上記実施例6と同様にしてシリ
コンウェハーの表面に立体的幾何学構造を形成し、この
シリコンウェハーを使用して、上記実施例6と同様にし
て、基板間にPDA−BTFPの結晶薄膜を形成した。
【0081】形成されたPDA−BTFPの結晶薄膜を
偏光顕微鏡で観察したところ、実施例6のような方位の
揃った結晶はみられず、溝格子から拡開部分への接続部
を中心として、方位の異なる細い結晶が、平滑面へ向け
て放射状に成長していることが確認された。実施例7 実施例1で使用したのと同じ、表面に断面矩形波状の溝
格子構造を形成した5mm角のシリコンウェハー(10
0)上に、4′−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジリ
デン−4−ニトロアニリン(DBNA)のアセトン溶液
(5重量%)を約0.5mg滴下し、室温にてアセトン
を自然蒸発させて、シリコンウェハー上にDBNAの結
晶薄膜を成長させた。
【0082】形成されたDBNAの結晶薄膜を偏光顕微
鏡で観察したところ、最も大きい単結晶のサイズは、約
1mm×1mmであった。また偏光方向と溝格子の方向
が一致したときに全ての結晶が消光し、このことから、
DBNAの結晶薄膜は広い領域にわたって結晶が配列制
御されたものであることが確認された。
【0083】実施例8 実施例1で使用したのと同じ、表面に断面矩形波状の溝
格子構造を形成した5mm角のシリコンウェハー(10
0)上に、4−メトキシ−3−アセトアミノ−4′−ニ
トロベンジリデンアニリン(MNBA)のアセトン溶液
(0.3重量%)を約0.5mg滴下し、室温にてアセ
トンを自然蒸発させて、シリコンウェハー上にMNBA
の結晶薄膜を成長させた。
【0084】形成されたMNBAの結晶薄膜を偏光顕微
鏡で観察したところ、約2mm×4mmの領域で、偏光
方向と溝格子の方向が一致したときに全ての結晶が消光
し、このことから、MNBAの結晶薄膜は広い領域にわ
たって結晶が配列制御されたものであることが確認され
た。実施例9 実施例1で使用したのと同じ、表面に断面矩形波状の溝
格子構造を形成した5mm角のシリコンウェハー(10
0)上に、ピレンと7,7,8,8−テトラシアノキノ
ジメタン(TCNQ)の1対1錯体のアセトン溶液
(0.4重量%)を約0.5mg滴下し、室温にてアセ
トンを自然蒸発させて、シリコンウェハー上にピレン−
TCNQ錯体の結晶薄膜を成長させた。
【0085】形成された結晶薄膜を偏光顕微鏡で観察し
たところ、約1mm×2mmの領域で、偏光方向と溝格
子の方向が一致したときに全ての結晶が消光し、このこ
とから、上記結晶薄膜は広い領域にわたって結晶が配列
制御されたものであることが確認された。
【0086】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、実際の素
子への応用が可能なmm角オーダーの大きな単結晶から
なり、かつその結晶方位が任意の方位に配向制御された
有機結晶薄膜を製造することができる。製造された有機
結晶薄膜は、たとえば光導波路化すれば、光スイッチ、
光メモリー等の光素子を作製することができ、光通信、
光情報処理等の分野への応用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機高分子結晶薄膜の製造方法に使用
される、表面に単量体結晶の成長方位を規制し得る立体
的幾何学構造を有する基板の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の有機高分子結晶薄膜の製造方法に使用
される、表面に単量体結晶の成長方位を規制し得る立体
的幾何学構造を有する基板の別の例を示す斜視図であ
る。
【図3】図1と同じ立体的幾何学構造を表面の半分に形
成し、他の半分は平滑面とした基板を示す斜視図であ
る。
【図4】図2と同じ立体的幾何学構造を表面の半分に形
成し、他の半分は平滑面とした基板を示す斜視図であ
る。
【図5】本発明の有機高分子結晶薄膜の製造方法に使用
される、表面に単量体結晶の成長方位を規制し得る立体
的幾何学構造を有する基板のさらに別の例を示す斜視図
である。
【図6】本発明の有機高分子結晶薄膜の製造方法に使用
される、表面に単量体結晶の成長方位を規制し得る立体
的幾何学構造を有する基板のさらに別の例を示す斜視図
である。
【図7】図1の基板の表面での、結晶成長の様子を説明
する図である。
【図8】図2の基板の表面での、結晶成長の様子を説明
する図である。
【図9】表面に立体的幾何学構造が形成されていない基
板表面での、結晶成長の様子を説明する図である。
【図10】実施例1で作製した高分子結晶薄膜における
反射X線回折パターンを示すグラフである。
【図11】比較例1で作製した高分子結晶薄膜における
反射X線回折パターンを示すグラフである。
【図12】実施例2で作製した高分子結晶薄膜における
反射X線回折パターンを示すグラフである。
【図13】比較例2で作製した高分子結晶薄膜における
反射X線回折パターンを示すグラフである。
【図14】実施例5で作製した高分子結晶薄膜における
反射X線回折パターンを示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板 10 溝格子 11 溝格子

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板の表面に、有機化合物の融液または溶
    液から、当該有機化合物の結晶薄膜を製造する方法にお
    いて、上記基板として、その表面の少なくとも一部に、
    有機結晶の成長方位を規制し得る立体的幾何学構造を形
    成したものを使用することを特徴とする有機結晶薄膜の
    製造方法。
  2. 【請求項2】一対の基板間に、有機化合物の融液または
    溶液から、当該有機化合物の結晶薄膜を製造する方法に
    おいて、上記一対の基板のうち少なくとも一方の基板と
    して、その表面の少なくとも一部に、有機結晶の成長方
    位を規制し得る立体的幾何学構造を形成したものを使用
    することを特徴とする有機結晶薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】基板表面の立体的幾何学構造が、断面矩形
    波状の溝格子構造である請求項1または2記載の有機結
    晶薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】有機化合物の溶液から結晶薄膜を成長させ
    るにあたり、基板を傾斜させることで、その結晶成長の
    方向を制御する請求項1または2記載の有機結晶薄膜の
    製造方法。
  5. 【請求項5】有機化合物が固相重合可能な単量体であ
    り、形成した有機結晶薄膜を固相重合させて、有機高分
    子の結晶薄膜を製造する請求項1または2記載の有機結
    晶薄膜の製造方法。
JP4298818A 1992-03-24 1992-11-09 有機結晶薄膜の製造方法 Pending JPH05319999A (ja)

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US08/035,704 US5385116A (en) 1992-03-24 1993-03-23 Method for producing organic crystal film
EP93104899A EP0562587A1 (en) 1992-03-24 1993-03-24 Method for producing organic crystal film

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1996026781A1 (fr) * 1995-03-01 1996-09-06 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Procede de regulation de la cristallisation de composes organique et composant a semi-conducteur pour la modulation de la cristallisation dans ledit procede
CN105150397A (zh) * 2015-10-27 2015-12-16 天津英利新能源有限公司 一种减少硅块切割崩边的玻璃及粘接工艺
DE102015115331A1 (de) 2014-09-12 2016-03-17 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Kamera und Beleuchtungssystem
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