JPH05281587A - 光波長変換素子及びその製造方法 - Google Patents

光波長変換素子及びその製造方法

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JPH05281587A
JPH05281587A JP10014292A JP10014292A JPH05281587A JP H05281587 A JPH05281587 A JP H05281587A JP 10014292 A JP10014292 A JP 10014292A JP 10014292 A JP10014292 A JP 10014292A JP H05281587 A JPH05281587 A JP H05281587A
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thin film
substrate
wavelength conversion
film thickness
conversion element
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JP10014292A
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English (en)
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Takao Tomono
孝夫 友野
Yasunari Nishikata
康成 西片
Ryujun Fu
龍淳 夫
Keisuke Sasaki
敬介 佐々木
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光導波路として使用する傾斜部分をその傾斜
角度が緩やかな勾配で一様に変化し、これによって変換
効率の高い第2高調波を得ることができるテーパ状薄膜
に形成し、多くの用途に応用可能な光波長変換素子を提
供する。また、この様なテーパ状薄膜を有する光波長変
換素子を容易にかつ均一な品質で製造することができる
製造方法を提供する。 【構成】 基板とその上に積層された有機非線形光学材
料を含む非晶質高分子の薄膜とからなり、この薄膜を縦
方向に膜厚変化がなく、かつ、横方向に膜厚変化を有す
るテーパ状薄膜に形成すると共にその傾斜角度を1×1
-4〜4×10-3ラジアンで一様に変化する緩やかな勾
配に形成し、このテーパ状薄膜光導波路として使用する
光波長変換素子である。また、この様なテーパ状薄膜を
有する光波長変換素子をデップコーティング法により製
造する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、基本波をその1/2
波長の第2高調波に変換する光波長変換素子及びその製
造方法に関する。
【0002】非線形光学材料に基本波(レーザ光)を導
入するとこの基本波の1/2波長の第2高調波が生成す
ることから、従来よりこの非線形光学材料を使用して基
本波を短波長化する試みがなされている。この基本波を
短波長化して得られる光波は、通常のレーザ光では得る
ことのできない波長領域の波長を有し、しかも、レーザ
光と同等の性質を有するコヒーレント光として利用でき
ることから、半導体レーザにおいて利用可能な波長範囲
を拡大できるものとして期待されている。そして、この
様に基本波を非線形光学材料に導入してその1/2波長
の第2高調波を取り出すには、この非線形光学材料中に
生じた第2高調波の位相が揃って強めあう条件、すなわ
ち位相整合条件が成立することが必須である。しかしな
がら、バルク結晶を用いた光波長変換素子は、この位相
整合条件を満たすために結晶の複屈折を利用しており、
たとえ分子レベルでの非線形性が大きくても複屈折性が
ない材料や複屈折性の少ない材料はそのままでは光波長
変換素子として利用できないという問題がある。しかる
に、この様な材料は、3次元光導波路として使用する
と、分子レベルでの結晶の非線形光学定数におけるdii
の成分を完全な形で最大限に活用できるというメリット
がある。更に、この様な3次元光導波路を構成する上で
有機非線形光学材料が有望であることが知られている。
なかでも近年、有機非線形光学材料である色素をポリマ
ー中に分散させたものやこの様な色素をポリマーの側鎖
に共有結合させたものを使用し、これをガラス転移温度
の近傍若しくはそれ以上の雰囲気中において電場を印加
し、その後この電場を維持したまま温度を下げることに
より、分子の分極方向を一様に揃えた高分子薄膜(ポー
ルドポリマー)を形成し、これにより非線形光学活性を
得る試みが行われており、更に、この高分子薄膜を光導
波路として用いる研究も活発になって注目を浴びている
(梅垣真祐著「有機非線形材料」ぶんしん出版発行
等)。
【0003】この様な有機非線形光学材料を光導波路と
して使用した場合、位相整合条件を引き出すための方法
としては以下の方法が考えられる。 バルク結晶と同様に、角度、温度、及び電場同調に
よる位相整合方法 モード分散を利用した位相整合方法 オーバーレイヤーの屈折率を利用した位相整合方法 位相不整合の補正を周期構造にして行う位相整合方
法 2次元位相整合方法 チェレンコフ放射型位相整合方法
【0004】そして、これらのうちで理論上変換効率が
最も高い方法であると期待される位相整合方法はモー
ド分散を利用した位相整合方法である。この方法は、膜
厚を制御して伝搬定数(β)を定め、これによって基本
波(E(w) )のモード(β1 w )と第2高調波
(E(2w))のモード(βm 2w)との位相整合(Δβ=β
m 2w−β1 w =0)をとる方法である。この方法は、光
のパワーを導波路中に閉じ込めて高い変換効率が得られ
る反面、膜厚を厳密に制御することが要求される。例え
ば、作製された薄膜光導波路において、取り出される光
第2高調波のパワーが位相整合時に比べて半減する際に
おける位相整合膜厚(例えば、W=1μmとする)から
のずれ(ΔW)は、l=1mmの伝搬長がある場合、僅
かに6Åとしかすぎない場合が生じる。このことは、1
μmの膜厚を作製する際に許容される誤差が僅かに6Å
にすぎないことを意味し、この様な誤差範囲で薄膜を作
製することは極めて困難である。
【0005】そこで、この様な目的の位相整合膜厚
(W)を有する薄膜光導波路を実現するために、図1に
この薄膜光導波路を実現した光波長変換素子を示すよう
に、実際には基板1上に右端が膜厚l1 であって左端が
膜厚l2 であつてl2 >W>l1の関係を有するテーパ
状薄膜(光導波路)2を作製し、このテーパ状の薄膜2
の中から目的とする位相整合膜厚(W)を見つけ出して
利用することが行われている。ここで、図1(a)は、
一対のプリズム3a、3bを使用し、一方のプリズム3
aから基本波E(w) を位相整合膜厚(W)を有する光導
波路2に導入し、他方のプリズム3bから第2高調波を
取り出す構成の光波長変換素子を示すものである。ま
た、図1(b)は、回折格子4を介して基本波E(w)
位相整合膜厚(W)を有する光導波路2に導入し、ま
た、第2高調波E(2w)を取り出す構成を示すものであ
る。更に、図1(c)は、テーパ状薄膜2の一側方から
基本波E(w) を位相整合膜厚(W)を有する光導波路2
に導入し、その他側方から第2高調波E(2w)を取り出す
構成を示すものである。
【0006】そして、有機非線形光学材料を含む非晶質
高分子を使用してこの様なテーパ状薄膜(光導波路)2
を有する光波長変換素子を作製する方法としては、いわ
ゆる2段スピンコート法と称する方法が提案されている
〔O. Sugihara, et al., Applied Optics, 30(21), p29
57(1991)〕。この2段スピンコート法は、先ず、有機非
線形光学材料を含む非晶質高分子が溶解した試料溶液を
調製し、次に、図5に示すように、基板1の約半分をマ
スクしてこの試料溶液を基板1の全面にスピンコート
し、その後にマスクと共にその上のスピンコート膜を除
去して基板1の約半分に第一スピンコート膜2aを形成
せしめ、更にこの第一スピンコート膜2a上を含めて基
板1上全面に試料溶液をスピンコートして第二スピンコ
ート膜2bを形成し、これによって上記第一スピンコー
ト膜2aの端部が位置する当りの領域に傾斜部5を形成
し、この傾斜部5をテーパ状薄膜の光導波路とするもの
である。
【0007】しかしながら、この様にして2段スピンコ
ート法で形成された傾斜部5は、その膜厚変化を測定し
てみると、図6に示すように、目的の位相整合膜厚が達
成される付近での膜厚変化が大きく、通常その傾斜角度
が5×10-3ラジアンあるいはそれ以上であって急激な
勾配を示している。このため、目的の位相整合膜厚を見
つけ出して使用するのが比較的困難であるほか、位相整
合がとれても光の伝搬時の膜厚変化が大きいために変換
効率が低く、光第2高調波のパワーが小さくなってしま
うという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、この様な従来の光波長変換素子及びその製造方法に
おれる種々の問題を解決することについて鋭意研究を重
ねた結果、光導波路として使用する傾斜部分について、
位相整合膜厚を含んでその膜厚が緩やかな勾配の傾斜角
度で変化する有機非線形光学材料を含む非晶質高分子の
テーパ状薄膜に形成することにより、変換効率の高い第
2高調波を得ることができ、多くの用途に応用可能な光
波長変換素子とすることができることを突き止め、ま
た、有機非線形光学材料を含む非晶質高分子溶液中に基
板を浸漬して引上げる、いわゆるディプコーティング法
を適用することにより、この様な光波長変換素子を容易
にかつ均一な品質で製造できることを見出し、本発明に
到達した。従って、本発明の目的は、光導波路として使
用する傾斜部分をその傾斜角度が緩やかな勾配で一様に
変化し、これによって変換効率の高い第2高調波を得る
ことができるテーパ状薄膜に形成し、多くの用途に応用
可能な光波長変換素子を提供することにある。また、本
発明の他の目的は、この様なテーパ状薄膜を有する光波
長変換素子を容易にかつ均一な品質で製造することがで
きる光波長変換素子の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、基
板と、有機非線形光学材料を含む非晶質高分子で形成さ
れ、かつ、上記基板の表面に積層された薄膜とからな
り、この薄膜には縦方向に膜厚変化がなく、かつ、横方
向に膜厚変化を有する傾斜部を形成し、この傾斜部を光
導波路として使用する光波長変換素子において、上記薄
膜を縦方向に膜厚変化がなく、かつ、横方向に膜厚変化
を有するテーパ状薄膜に形成すると共にその傾斜角度を
1×10-4〜4×10-3ラジアンで一様に変化する緩や
かな勾配に形成した光波長変換素子である。また、本発
明は、基板と、有機非線形光学材料を含む非晶質高分子
で形成され、かつ、上記基板の表面に積層された薄膜と
からなり、この薄膜には縦方向に膜厚変化がなく、か
つ、横方向に膜厚変化を有する傾斜部を形成し、この傾
斜部を光導波路として使用する光波長変換素子を製造す
るに際し、有機非線形光学材料を含む非晶質高分子溶液
中に基板を浸漬し、次いでこの基板を引上げて基板表面
に有機非線形光学材料を含む非晶質高分子溶液の溶液膜
を付着せしめ、この溶液膜から溶剤を除去して基板の表
面に縦方向に膜厚変化がなく、かつ、横方向に膜厚変化
を有する有機非線形光学材料を含む非晶質高分子のテー
パ状薄膜を積層し、基板の裏面側に積層された薄膜を除
去する光波長変換素子の製造方法である。
【0010】本発明で使用する基板については、基本的
には平板状であって第2高調波(E(2w))の領域に吸収
がなく、光導波路の屈折率よりも低い屈折率を持つとい
う性質を有するものであればよく、例えば、石英ガラ
ス、パイレックスガラス等で縦1mm〜10cm×横1
mm〜10cm×厚さ10μm〜10mm、好ましくは
縦5mm〜2cm×横5mm〜2cm×厚さ0.1mm
〜1mmの大きさに形成したものが好適に使用される。
なお、この基板については、平板状に限られず、例えば
円柱形状等であってもよい。
【0011】また、本発明で使用する有機非線形光学材
料を含む非晶質高分子とは、非晶質高分子中に非線形光
学活性を示す有機化合物が分散した物質あるいはこの様
な非晶質高分子の側鎖に非線形光学活性を示す有機化合
物が共有結合した物質を意味し、また、有機非線形光学
材料を含む非晶質高分子溶液とは、この様な物質が溶剤
中に所定の濃度で溶解した溶液をいう。ここで、本発明
で用いる有機非線形光学材料としては、それが非線形光
学活性を示す有機化合物であれば如何なるものであって
もよく、具体的には先の梅垣真祐著「有機非線形材料」
第25〜54頁で紹介されている種々の単核芳香族誘導
体、オルソ位2置換ベンゼン、メタ位2置換ベンゼン、
パラ位2置換ベンゼン、3置換ベンゼン、R,R’置換
複核芳香族、シアニン及びメロシアニン色素、ピリジン
誘導体、尿素誘導体等を挙げることができるほか、中
西、小林、中村、梅垣著「新素材シリーズ、新・有機非
線形光学材料I、材料開発の最先端」第50〜60頁や
先に本願出願人が出願した「メタクロイル基含有シクロ
ブテンジオン誘導体、その単独又は共重合体、およびそ
れらの製造方法」(平成4年3月11日出願)等に開示
されている種々のシクロブテンジオン誘導体が挙げられ
る。また、この様な有機非線形光学材料の担持体となる
非晶質高分子としては、基本的には光学的に透明であっ
て、沸点30〜250℃、好ましくは60〜150℃の
溶剤に1重量%以上の濃度で溶解し、かつ、熱分解開始
温度がガラス転移温度より5℃以上高い、という条件を
満たすものであればよく、具体的にはポリメタクリル酸
メチル、ポリスチレンのような付加系高分子材料や、ス
チレン・アクリロニトリル共重合体のような付加系共重
合体や、ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、芳香
族ポリエーテルスルホン等の縮合系高分子材料等が挙げ
られる。
【0012】そして、本発明において、上記基板の上に
積層される有機非線形光学材料を含む非晶質高分子から
なるテーパ状薄膜は、その縦方向には膜厚変化がなく、
かつ、横方向には膜厚変化を有し、その傾斜角度が1×
10-4〜4×10-3ラジアンで、好ましくは2×10-4
〜9×10-4ラジアンで一様に変化する緩やかな勾配で
ある。この傾斜角度が4×10-3より大きくなると光の
伝搬方向に対しての膜厚変化が大きくなり2段スピンコ
ート法で作成する場合と同様に変換効率が低く、光第2
高調波のパワーが小さくなるという問題が生じ、また、
傾斜角度が1×10-4ラジアンより小さくなると膜厚範
囲が薄くなってテーパ状薄膜としての使用が困難にな
る。
【0013】次に、本発明の光波長変換素子の製造方法
を説明する。本発明の光波長変換素子を製造するに当た
っては、先ず、上記有機非線形光学材料を含む非晶質高
分子を溶剤に溶解した有機非線形光学材料を含む非晶質
高分子溶液を調製する。この目的で使用する溶剤は、基
本的には有機非線形光学材料を含む非晶質高分子を溶解
することができ、かつ、揮発性であって基板上にその溶
液膜を形成した後に10℃若しくはそれ以上の温度で蒸
発させて除去できるものであればよく、具体的には4−
メチルペンタン−2−オン(MIBK)、テトラヒドロ
フラン(THF)、トルエン、クロロホルム、ジクロル
メタン等が挙げられる。そして、この有機非線形光学材
料を含む非晶質高分子溶液については、その25℃粘度
が1〜2,000センチポイズの範囲、好ましくは50
〜1,000センチポイズの範囲であるのがよい。25
℃粘度が1センチポイズより低いと作製される有機非線
形光学材料を含む非晶質高分子の薄膜が薄くなりすぎて
光波長変換素子として使用できず、また、2,000セ
ンチポイズを越えると溶液が非線形的な粘弾性挙動を示
し、期待する形状の薄膜を形成するのが困難になる。
【0014】次に、この様に調製した有機非線形光学材
料を含む非晶質高分子溶液中に基板を浸漬し、この基板
を上記溶液中に0〜10分間、好ましくは0.5〜5分
間静置し、次いでこの基板を0.1〜50cm/分、好
ましくは1〜10cm/分の速度で引上げて基板表面に
有機非線形光学材料を含む非晶質高分子溶液の溶液膜を
付着させる。基板の静置時間については、10分を越え
て静置しても基板表面での高分子の濃度が定常状態とな
り、それ以上基板を静置しても基板静置の効果が向上し
ない。そして、基板の引上げ速度については、0.1c
m/分より遅いと付着される溶液膜の膜厚が均一になっ
てしまい、目的とするテーパ状薄膜を作るのが困難にな
る。また、50cm/分より速くなると、基板の引上げ
時において、溶液が基板に接する面で乱流が生じ、基板
の引上げ方向に形成される溶液膜の傾斜角度が一様に変
化する緩やかな勾配にならず、また、この引上げ方向に
直交する方向に均一な膜厚の溶液膜が形成されず、目的
のテーパ状薄膜を作るのが困難になる。また、この基板
の引上げ速度については、その引上げ開始時点から引上
げ終了時点において、最初に遅くて後に早くなるよう
に、あるいは、最初に早くて後に遅くなるように、一様
に変化させてもよく、これによって積層されるテーパ状
薄膜の膜厚変化を微妙に制御することができる。
【0015】この様にして基板上に有機非線形光学材料
を含む非晶質高分子溶液の溶液膜を付着させた後、この
溶液膜から溶剤を除去して基板の表面に有機非線形光学
材料を含む非晶質高分子のテーパ状薄膜を積層し、基板
の裏面側に積層された薄膜を除去し、基板の表面側に目
的のテーパ状薄膜が積層された光波長変換素子を作製す
る。ここで、溶液膜からの溶剤の除去は、通常、オーブ
ン、電気炉等を使用し、最終的に作製された素子が安定
した性能を示すように、使用する高分子や溶剤の種類に
応じてそれぞれ個別に設定された条件で行う。例えば、
高分子としてポリメタクリル酸メチルを用い、溶剤とし
て沸点範囲60〜120℃のものを用いた場合には、常
圧下に80℃で40時間以上処理すればよく、また、同
様に高分子としてポリメタクリル酸メチルを用い、溶剤
として沸点範囲150〜200℃のものを用いた場合に
は、常圧下に80℃で12時間処理した後、約1mmH
gの減圧下に100℃で12時間処理すればよい。
【0016】
【作用】本発明の光波長変換素子は、その平板状の基板
の表面に、縦方向に膜厚変化がなく、かつ、横方向に膜
厚変化を有し、その傾斜角度が4×10-3〜1×10-4
ラジアンで一様に変化する緩やかな勾配のテーパ状薄膜
が形成されており、このテーパ状薄膜を光導波路として
使用するので、目的の位相整合膜厚を確保するのが容易
であり、また、光の伝搬方向に対する膜厚の変動が小さ
いので変換効率が高く、高パワーの光第2高調波を取り
出すことができる。また、本発明の光波長変換素子の製
造方法は、有機非線形光学材料を含む非晶質高分子溶液
中に基板を浸漬して引上げる、いわゆるディップコーテ
ィング法でテーパ状薄膜を作製するので、使用する有機
非線形光学材料を含む非晶質高分子溶液の粘度や基板の
引上げ速度を制御することにより、基板上に積層される
テーパ状薄膜の傾斜角度や膜厚を制御することができ、
優れた性能を有する光波長変換素子を容易にかつ均一な
品質で製造することができる。
【0017】
【実施例】以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に
説明する。
【0018】実施例1 有機非線形光学材料を含む非晶質高分子溶液として、下
記式
【化1】 (但し、式中mは0.054であり、Xは1,500で
ある。)で表されるシクロブテンジオン誘導体色素が結
合されたポリメタクリル酸メチル(ランダム共重合体、
極限粘度η:0.79、示差走査熱量計により10℃・
min-1の昇温条件で測定したガラス転移温度:103
℃、重量換算色素濃度:15%、以下「CBDO−PM
MA」と略称する。)0.7gを7mlの4−メチルペ
ンタン−2−オン(MIBK)に溶解した溶液を調製し
た。この溶液の25℃粘度は550センチポイズであっ
た。
【0019】この溶液中に2cm×2cm×1mmの大
きさのパイレックスガラス製基板を浸漬し、30秒間静
置した後、この基板を3cm/分の速度で引上げ、空気
若しくは窒素雰囲気下で乾燥して基板の表裏両面にCB
DO−PMMAの薄膜を積層し、次いでアセトン、TH
F等の溶剤により裏面側のCBDO−PMMAの薄膜を
除去し、図2に示すように、基板1の表面側にCBDO
−PMMAからなるテーパ状薄膜2が積層された光波長
変換素子を作製した。
【0020】この様にして作製された光波長変換素子に
ついて、その引上げ方向に平行な方向(横方向)の長さ
A(1cm)においてより薄い側のテーパ状薄膜2の膜
厚Bと、より厚い側のテーパ状薄膜2の膜厚Cと、傾斜
角度とを測定した。結果を表1に示す。
【0021】実施例2 0.7gのCBDO−PMMAを7.5mlのMIBK
に溶解して有機非線形光学材料を含む非晶質高分子溶液
を調製した以外は、上記実施例1と同様にして、基板の
表面側にCBDO−PMMAからなるテーパ状薄膜が積
層された光波長変換素子を作製した。上記溶液の25℃
粘度、より薄い側のテーパ状薄膜の膜厚B、より厚い側
のテーパ状薄膜の膜厚C及び傾斜角度を表1に示す。
【0022】実施例3 有機非線形光学材料を含む非晶質高分子溶液中に基板を
浸漬した後の静置時間を120秒間とした以外は、上記
実施例2と同様にして、基板の表面側にCBDO−PM
MAからなるテーパ状薄膜が積層された光波長変換素子
を作製した。上記溶液の25℃粘度、より薄い側のテー
パ状薄膜の膜厚B、より厚い側のテーパ状薄膜の膜厚C
及び傾斜角度を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】実施例4 基板の引上げ速度を6cm/分又は9cm/分と変化さ
せた以外は、上記実施例2と同様にして、基板の表面側
にCBDO−PMMAからなるテーパ状薄膜が積層され
た光波長変換素子を作製した。得られたテーパ状薄膜に
ついて、そのより薄い側のテーパ状薄膜の膜厚Bとより
厚い側のテーパ状薄膜の膜厚Cとを測定し、引上げ速度
と膜厚B及びCとの関係を調べた。実施例1の結果と共
に、結果を図3に示す。
【0025】実施例5 有機非線形光学材料を含む非晶質高分子溶液として重量
換算色素濃度が8.6%、平均重合度が4,500のC
BDO−PMMA0.7gをMIBK7mlに溶解した
もの(25℃粘度500センチポイズ)を使用し、引上
げ速度9cm/分及び静置時間30秒の条件でテーパ状
薄膜を作製した。得られた光波長変換素子のテーパ状薄
膜は、その引上げ方向に平行な方向(横方向)の長さA
(1cm)におけるより薄い側の膜厚Bが2.55μm
であり、より厚い側の膜厚Cが4.2μmであり、ま
た、傾斜角度が1.65×10-4ラジアンであった。ま
た、この光波長変換素子について、そのテーパ状薄膜2
の横方向の膜厚変化を調べた。結果を図4に示す。この
光波長変換素子は、位相整合膜厚3.3μmの光導波路
として最適な膜厚を有するものであり、図1(a)に示
す方法で光導波路として使用し、基本波として波長10
64nmのレーザ光を入射させたところ、図5に示す従
来法で作製した光導波路の場合の約10倍の変換効率が
得られた。
【0026】実施例6 基板の引上げ速度を、その引上げ開始当初の2.9cm
/分(膜厚B)から引上げ終了間際の3.1cm/分
(膜厚C)まで一様に変化させた以外は、上記実施例1
と同様にして、基板の表面側にCBDO−PMMAから
なるテーパ状薄膜が積層された光波長変換素子を作製し
た。得られたテーパ状薄膜について、そのより薄い側の
テーパ状薄膜の膜厚Bとより厚い側のテーパ状薄膜の膜
厚Cとを測定し、引上げ速度と膜厚B及びCとの関係を
調べた。結果は膜厚Bが1.95μmであり、膜厚Cが
3.123μmであった。
【0027】
【発明の効果】本発明の光波長変換素子は、縦方向に膜
厚変化がなく、かつ、横方向に緩やかな勾配の所定の傾
斜角度で一様に膜厚変化するテーパ状薄膜を有し、基本
波を入射させて変換効率の高い第2高調波を得ることが
でき、例えば精密走査を行う光走査記録装置や光走査読
み取り装置等の多くの用途に適用可能である。また、本
発明の製造方法によれば、この様なテーパ状薄膜を有す
る光波長変換素子を容易にかつ均一な品質で製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)、(b)及び(c)は光波長変換
素子とその使用方法を説明するための説明図である。
【図2】 図2は本発明の実施例で作製された光波長変
換素子の横方向断面を示す説明図である。
【図3】 図3は実施例1及び実施例4で作製された光
波長変換素子における引上げ速度とテーパ状薄膜の膜厚
B及びCとの関係を示すグラフ図である。
【図4】 図4は実施例5で作製された光波長変換素子
のテーパ状薄膜における横方向の位置と光導波路の膜厚
との関係を示すグラフ図である。
【図5】 図5は従来の2段スピンコート法で作製され
た光波長変換素子の横方向断面を示す説明図である。
【図6】 図6は従来の2段スピンコート法で作製され
た光波長変換素子の傾斜部における横方向の位置と光導
波路の膜厚との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1…基板、2…テーパ状薄膜(光導波路)、A…横方向
の長さ、B…より薄い側の膜厚、C…より厚い側の膜
厚。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 夫 龍淳 神奈川県海老名市本郷2274番地、富士ゼロ ックス株式会社海老名事業所内 (72)発明者 佐々木 敬介 東京都江戸川区南篠崎町五丁目4番9号

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、有機非線形光学材料を含む非晶
    質高分子で形成され、かつ、上記基板の表面に積層され
    た薄膜とからなり、この薄膜には左右方向に膜厚変化が
    なく、かつ、前後方向に膜厚変化を有する傾斜部を形成
    し、この傾斜部を光導波路として使用する光波長変換素
    子において、上記薄膜を縦方向に膜厚変化がなく、か
    つ、横方向に膜厚変化を有するテーパ状薄膜に形成する
    と共にその傾斜角度を1×10-4〜4×10-3ラジアン
    で一様に変化する緩やかな勾配に形成したことを特徴と
    する光波長変換素子。
  2. 【請求項2】 平板状の基板と、有機非線形光学材料を
    含む非晶質高分子で形成され、かつ、上記基板の表面に
    積層された薄膜とからなり、この薄膜には縦方向に膜厚
    変化がなく、かつ、横方向に膜厚変化を有する傾斜部を
    形成し、この傾斜部を光導波路として使用する光波長変
    換素子を製造するに際し、有機非線形光学材料を含む非
    晶質高分子溶液中に基板を浸漬し、次いでこの基板を引
    上げて基板表面に有機非線形光学材料を含む非晶質高分
    子溶液の溶液膜を付着せしめ、この溶液膜から溶剤を除
    去して基板の表面に縦方向に膜厚変化がなく、かつ、横
    方向に膜厚変化を有する有機非線形光学材料を含む非晶
    質高分子のテーパ状薄膜を積層し、基板の裏面側に積層
    された薄膜を除去することを特徴とする光波長変換素子
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 有機非線形光学材料を含む非晶質高分子
    溶液の25℃粘度が1〜2,000センチポイズである
    請求項2記載の光波長変換素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 基板の引上げ速度が0.1〜50cm/
    分である請求項2記載の光波長変換素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 基板の引上げ速度をその引上げ開始時点
    から引上げ終了時点において一様に変化させる請求項2
    記載の光波長変換素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 有機非線形光学材料を含む非晶質高分子
    溶液中に基板を浸漬している静置時間が0〜10分間で
    ある請求項2記載の光波長変換素子の製造方法。
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