JPH05317732A - 破砕機の歯板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 溝の形成を短時間になし、かつ製品の粒形を
立方形にする。 【構成】 対をなす歯板の双方又はいずれか一方の少な
くとも有効肉厚部に耐摩耗性の高い部材４と、耐摩耗性
の低い部材５及び耐摩耗性が中程度の部材６を耐摩耗性
の低い部材が破砕面側となるように歯板の厚さ方向へ１
又は２段以上積層した積層部材７とを歯板の厚さ方向と
直角方向へ交互に配設することにより、耐摩耗性の高い
部材と低い部材との耐摩耗性の程度差を大きくし、使用
開始初期に積層部材の耐摩耗性の低い部材を摩耗させ、
この摩耗によって形成される溝によって耐摩耗性が中程
度の部材を耐摩耗性の高い部材に先行して摩耗させ、溝
のエッジを使用終期までシャープにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ジャイレトリークラッ
シャ，コーンクラッシャ，ロールミル，ダブルロールク
ラッシャ，ジョークラッシャ等の圧縮形の破砕機の歯板
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の破砕機の歯板としては、
使用開始後、速やかに粉砕効率を増加させ、その後、耐
用期間が終了するまでの間、高粉砕効率を維持するた
め、図１１に示すように、歯板の少なくとも有効肉厚部
（使用開始時の破砕面から摩耗限界に至る部分）に耐摩
耗性の高い部材３１と耐摩耗性の低い部材３２とを歯板
の厚さ方向（図１１においては上下方向）と直角方向
（図１１においては左右方向）へ交互に並設し、使用時
に耐摩耗性の低い部材３２が耐摩耗性の高い部材３１に
先行して摩耗することにより、図１２に示すように、常
時一定の深さの溝３３を形成させるようにしたものが知
られている（特公平２−３９９３９号公報参照）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の破砕機の歯板では、溝の深さを一定に保つために、
耐摩耗性の高い部材と耐摩耗性の低い部材との耐摩耗性
の程度差を大きくすることが強度上の問題からできない
ので、溝が形成されるまでに時間を要し、又、図１３に
示すように、溝のエッジがなだらかな曲面状を呈するよ
うになり、処理物の破砕は圧縮作用が主となって製品の
粒形が偏平となる不具合があった。そこで、本発明は、
溝の形成を短時間になし、かつ製品の粒形を立方形にな
し得る破砕機の歯板の提供を目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の第１の破砕機の歯板は、被破砕物を噛み込
んで破砕する対をなす歯板を有する破砕機において、前
記対をなす歯板の双方又はいずれか一方の少なくとも有
効肉厚部に耐摩耗性の高い部材と、耐摩耗性の低い部材
及び耐摩耗性が中程度の部材を耐摩耗性の低い部材が破
砕面側となるように歯板の厚さ方向へ１又は２段以上積
層した積層部材とを歯板の厚さ方向と直角方向へ交互に
並設したものである。又、第２の破砕機の歯板は、被破
砕物を噛み込んで破砕する対をなす歯板を有する破砕機
において、前記対をなす歯板の双方又はいずれか一方の
少なくとも有効肉厚部に耐摩耗性の高い部材と、耐摩耗
性の低い部材及び耐摩耗性が中程度の部材を歯板の厚さ
方向へ１又は２段以上積層した積層部材とを歯板の厚さ
方向と直角方向へ交互に並設し、かつ隣り合う積層部材
の耐摩耗性の低い部材と耐摩耗性が中程度の部材とを千
鳥状に配設したものである。

【０００５】

【作用】上記第１の手段においては、耐摩耗性の高い部
材と低い部材との耐摩耗性の程度差が大きくなり、使用
開始初期に積層部材の耐摩耗性の低い部材が摩耗され、
この摩耗によって溝が形成されることにより、耐摩耗性
が中程度の部材が耐摩耗性の高い部材に先行して摩耗
し、溝のエッジが使用終期までシャープとなる。又、第
２の手段においては、第１の手段と同様に耐摩耗性の高
い部材と低い部材との耐摩耗性の程度差が大きくなり、
使用開始初期に１つ置きの積層部材の耐摩耗性の低い部
材が摩耗され、かつ残る１つ置きの積層部材の耐摩耗性
が中程度の部材の摩耗後、その下の耐摩耗性の低い部材
が直ちに摩耗され、これらの摩耗によって溝が１つ置き
の積層部材毎に交互に直ちに形成され、溝のエッジが使
用終期までシャープとなる。耐摩耗性の高い部材として
は、高マンガン鋳鋼（又は鋳鉄）、高クロム鋳鋼（又は
鋳鉄）等からなるものが用いられる。耐摩耗性の低い部
材としては、ＳＳ４１等の軟鋼からなるものが用いられ
る。又、耐摩耗性が中程度の部材としては、低合金鋳鋼
（又は鋳鉄）等からなるものが用いられる。

【０００６】

【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図１は本発明の第１実施例の旋動式破砕機
のマントルの正面図、図２は図１におけるII−II線断面
図の一部分である。このマントル１は、截頭逆円錐筒状
のコーンケーブ２と共に断面楔形の破砕室３を形成する
ため、截頭円錐体状に設けられており、その有効肉厚部
には、耐摩耗性の高い高マンガン鋳鋼又は高クロム鋳鋼
等からなる部材４が母線と同方向に延伸され、かつ周方
向へ適宜に離隔してマントルベース（図示せず）と一体
に形成されている。そして、耐摩耗性の高い部材４間に
は、耐摩耗性の低いＳＳ４１等の軟鋼からなる部材５及
び耐摩耗性が中程度の低合金鋳鋼からなる部材６を耐摩
耗性の低い部材５が破砕面側（図２においては上面側）
となるように歯板の厚さ方向（図２においては上下方
向）へ１段積層した積層部材７が鋳ぐるまれている。

【０００７】上記構成の旋動式破砕機のマントル１にお
いては、耐摩耗性の高い部材４と低い部材５との耐摩耗
性の程度差が大きくなり、図３に示すように、使用開始
初期に積層部材７の耐摩耗性の低い部材５が摩耗される
ので、溝８の形成を使用開始後短時間で行うことができ
る。

【０００８】又、上記摩耗によって溝８が形成されるこ
とにより、耐摩耗性が中程度の部材６が耐摩耗性の高い
部材４に先行して摩耗し、図４に示すように、溝８のエ
ッジ９が使用終期までシャープとなるので、破砕を効率
よく、しかも剪断曲げ作用によって行うことができて製
品の粒形を立方形にすることができる。

【０００９】図５は本発明の第２実施例の旋動式破砕機
のマントルの平断面図の一部分である。このマントル１
０は、有効肉厚部に耐摩耗性の高い高マンガン鋳鋼、高
クロム鋳鋼等からなる部材１１を母線と同方向へ延伸
し、かつ周方向（図５においては左右方向）へ適宜に離
隔してマントルベース（図示せず）と一体に形成すると
共に、耐摩耗性の高い部材１１間に耐摩耗性の低いＳＳ
４１等の軟鋼からなる部材１２及び耐摩耗性が中程度の
低合金鋳鋼からなる部材１３を耐摩耗性の低い部材１２
が破砕面側（図５においては上面側）となるように歯板
の厚さ方向（図５において上下方向）へ２段積層した積
層部材１４を鋳ぐるんで構成されている。

【００１０】上記構成のマントル１０においては、図
６，図７に示すように、第１実施例のものと同様の作用
効果が得られると共に、１段目の耐摩耗性が中程度の部
材１３と耐摩耗性の高い部材１１とで形成される溝１５
のエッジが、使用中、万一図１３のようななだらかな曲
線状を呈しても、２段目の耐摩耗性が低い部材１２によ
り、再びシャープなエッジを作ることができる。ここ
で、使用開始初期から形成される溝８，１５に処理物等
が詰まるのを防止するために、耐摩耗性の低い部材５，
１２の厚さは、処理物の大きさに応じて決定することが
好ましい。

【００１１】図８は本発明の第３実施例の旋動式破砕機
のマントルの平断面図の一部分である。このマントル１
７は、有効肉厚部に耐摩耗性の高い高マンガン鋳鋼、高
クロム鋳鋼等からなる部材１８を母線と同方向へ延伸
し、かつ周方向（図８においては左右方向）へ適宜に離
隔してマントルベース（図示せず）と一体に形成すると
共に、耐摩耗性の高い部材１８間にそれぞれ厚さが等し
く耐摩耗性の低いＳＳ４１等の軟鋼からなる部材１９及
び耐摩耗性が中程度の低合金鋳鋼からなる部材２０を歯
板の厚さ方向（図８においては上下方向）へ多段に積層
した積層部材２１を鋳ぐるんで構成されており、隣り合
う積層部材２１の耐摩耗性の低い部材１９と耐摩耗性が
中程度の部材２０とは千鳥状に配設されている。

【００１２】上記構成のマントル１７においては、第
１，第２実施例のものと同様に耐摩耗性の高い部材１８
と低い部材１９との耐摩耗性の程度差が大きくなり、図
９に示すように、使用開始初期に１つ置きの積層部材２
１の耐摩耗性の低い部材１９が摩耗され、かつ残る１つ
置きの積層部材１４の耐摩耗性が中程度の部材２０の摩
耗後、図１０に示すように、その下の耐摩耗性の低い部
材１９が直ちに摩耗されるので、溝２２の形成を使用開
始後１つ置きの積層部材２１毎に、又は残る１つ置きの
積層部材２１の耐摩耗性が中程度の部材２０の摩耗後短
時間で行うことができる。

【００１３】又、上記摩耗によって溝２２が１つ置きの
積層部材２１毎に交互に形成され、溝２２のエッジ２３
が使用終期までシャープとなるので、破砕を効率よく、
しかも剪断曲げ作用によって行うことができ製品の粒形
を立方形にすることができる。

【００１４】なお、上記実施例においては、耐摩耗性の
低い部材１９及び耐摩耗性が中程度の部材２０を多段に
積層して積層部材２１とする場合について説明したが、
これに限らず有効肉厚部の厚さに対応させて耐摩耗性の
低い部材１９及び耐摩耗性が中程度の部材２０を１段積
層して積層部材としてもよく、ほぼ同様の作用効果を得
ることができる。

【００１５】又、各実施例においては、耐摩耗性の高い
部材をマントルベースと一体形成し、積層部材を鋳ぐる
んで構成する場合について説明したが、これに限らずマ
ントルベースにこれと別個に形成した各部材を取り付け
るようにしてもよい。更に、上述した歯板の構成は、旋
動式破砕機のマントルに限らず、そのコーンケーブ又は
マントルとコーンケーブの双方、あるいはロールミル，
ダブルロールクラッシャ，ジョークラッシャその他の圧
縮形の破砕機の対をなす歯板の双方又はいずれか一方に
も適用できるのは勿論である。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の第１の破
砕機の歯板によれば、耐摩耗性の高い部材と低い部材と
の耐摩耗性の程度差が大きくなり、使用開始初期に積層
部材の耐摩耗性の低い部材が摩耗されるので、溝の形成
を使用開始後短時間で行うことができる。

【００１７】又、上記摩耗によって溝が形成されること
により、耐摩耗性が中程度の部材が耐摩耗性の高い部材
に先行して摩耗し、有効肉厚部の厚さに応じて溝のエッ
ジが使用終期までシャープとなるので、破砕を効率よ
く、しかも剪断曲げ作用によって行うことができて製品
の粒形を立方形にすることができる。

【００１８】第２の破砕機の歯板によれば、第１のもの
と同様に耐摩耗性の高い部材と低い部材との耐摩耗性の
程度差が大きくなり、使用開始初期に１つ置きの積層部
材の耐摩耗性の低い部材が摩耗され、かつ残る１つ置き
の積層部材の耐摩耗性が中程度の部材の摩耗後、その下
の耐摩耗性の低い部材が直ちに摩耗されるので、溝の形
成を使用開始後１つ置きの積層部材毎に、又は残る１つ
置きの積層部材の耐摩耗性が中程度の部材の摩耗後短時
間で行うことができる。

【００１９】又、上記摩耗によって溝が１つ置きの積層
部材毎に交互に積層され、有効肉厚部の厚さに応じて溝
のエッジが使用終期までシャープとなるので、破砕を効
率よく、しかも剪断曲げ作用によって製品の粒形を立方
形にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の旋動式破砕機のマントル
の正面図である。

【図２】図１におけるII−II線断面図の一部分である。

【図３】図１のマントルの使用開始初期の平断面図の一
部分である。

【図４】図１のマントルの使用終期の平断面図の一部分
である。

【図５】本発明の第２実施例の旋動式破砕機のマントル
の平断面図の一部分である。

【図６】図５のマントルの使用開始初期の平断面図の一
部分である。

【図７】図５のマントルの使用終期の平断面図の一部分
である。

【図８】本発明の第３実施例の旋動式破砕機のマントル
の平断面図の一部分である。

【図９】図８のマントルの使用開始初期の平断面図の一
部分である。

【図１０】図８のマントルにおける積層部材の耐摩耗性
が中程度の部材の摩耗直後を示す平断面図の一部分であ
る。

【図１１】従来の破砕機の歯板の断面図である。

【図１２】従来の破砕機の歯板の理想的な摩耗状態の断
面図である。

【図１３】従来の破砕機の歯板の実際の摩耗状態の断面
図である。

【符号の説明】

１ マントル ４ 耐摩耗性の高い部材 ５ 耐摩耗性の低い部材 ６ 耐摩耗性が中程度の部材 ７ 積層部材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被破砕物を噛み込んで破砕する対をなす
   歯板を有する破砕機において、前記対をなす歯板の双方
   又はいずれか一方の少なくとも有効肉厚部に耐摩耗性の
   高い部材と、耐摩耗性の低い部材及び耐摩耗性が中程度
   の部材を耐摩耗性の低い部材が破砕面側となるように歯
   板の厚さ方向へ１又は２段以上積層した積層部材とを歯
   板の厚さ方向と直角方向へ交互に並設したことを特徴と
   する破砕機の歯板。
2. 【請求項２】 被破砕物を噛み込んで破砕する対をなす
   歯板を有する破砕機において、前記対をなす歯板の双方
   又はいずれか一方の少なくとも有効肉厚部に耐摩耗性の
   高い部材と、耐摩耗性の低い部材及び耐摩耗性が中程度
   の部材を歯板の厚さ方向へ１又は２段以上積層した積層
   部材とを歯板の厚さ方向と直角方向へ交互に並設し、か
   つ隣り合う積層部材の耐摩耗性の低い部材と耐摩耗性が
   中程度の部材とを千鳥状に配設したことを特徴とする破
   砕機の歯板。