JPH05317416A - プライミング方法 - Google Patents

プライミング方法

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JPH05317416A
JPH05317416A JP4128763A JP12876392A JPH05317416A JP H05317416 A JPH05317416 A JP H05317416A JP 4128763 A JP4128763 A JP 4128763A JP 12876392 A JP12876392 A JP 12876392A JP H05317416 A JPH05317416 A JP H05317416A
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JP
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priming
membrane
concentration
artificial lung
dissolved
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JP4128763A
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English (en)
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Takanori Anazawa
孝典 穴澤
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 体液に接触する用途に使用される医療用機
器、特に、膜型人工肺のプライミングにおいて、プライ
ミング液として、脱気処理された(たとえば、溶存酸素
濃度が6重量ppm以下であり、しかも、溶存空気濃度
が1気圧の空気中、室温における飽和溶存空気濃度以下
である。)水または水溶液を使用するプライミング方
法。 【効果】 プライミング液の流速を変化させたり、機器
を外部から叩くという、繁雑で、しかも、個人差が入り
易い操作が不必要となり、プライミング時間が短縮でき
る上に、気泡の除去効果が確実である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規にして有用なるプ
ライミング方法に関する。さらに詳細には、プライミン
グ液として、脱気処理された水または水溶液を使用する
という特定のプライミング方法に関するものであって、
就中、医療機器、たとえば、開心術に使用される人工
肺;体外補助肺として用いられる人工肺;膜型血漿分離
装置;あるいは血液中の特定成分を吸着除去する機器な
どの、種々のプライミング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】体液に接触する用途に使用される機器、
たとえば、人体の循環器系に接続して使用する機器や、
人体から取り出した体液を処理するための機器は、使用
するに当って、これらの医療用機器(以下、機器と略記
する場合がある。)に、あらかじめ、生理的食塩水など
を充填(これは、プライミングと呼ばれている。)し、
しかるのち、体液と交換するという形の作業で以て、実
施されている。
【0003】かかるプライミングの主たる目的は、機器
から気体や、気泡などを除去せしめることであるが、機
器がそれ自体、複雑なる構造を有するものである場合に
は、完全に、気泡を除去するには、かなりの困難を伴っ
て行われていた。
【0004】たとえば、体外ガス交換に使用される膜型
人工肺は、血液との接触面積が非常に大きく採られてお
り、どうしても、血液流路には、狭小な空隙を多く有す
ることを免れない。
【0005】このために、プライミングに際して、狭小
な空隙から気泡を除去するために、プライミング液の流
速を変化させたり、あるいは、人工肺を外部から叩くと
いう操作が行われ、加えて、、プライミングに30分以
上の時間を要する場合があった。
【0006】さらに、このような操作を行い、かつ、そ
れ相応の時間をかけても、気泡の除去が完全である、と
いう確信を持てなかった。
【0007】このような繁雑さや、非効率性を除去する
ために、機器の血液接触面を、化学的ないしは物理的処
理によって親水化せしめたり、親水性ポリマーで以て被
覆するという方法などによって、表面を親水化せしめる
ことにより、濡れ性を向上させ、ひいては、気泡の付着
を抑制するというような方法も提案されては居る(たと
えば、特開平1−170472号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た表面親水化法は、実際には、叩く回数を減少させる程
度の、不完全なる効果しかなく、やはり、気泡の除去が
完全であるという確信を持ち得ない状態のものであっ
た。
【0009】その上、補体活性を誘発したり、あるい
は、製造コストの上昇を招いたり、さらには、膜型人工
肺において、血漿の漏洩を促進する結果となるなどの、
幾多の不都合があった。
【0010】しかるに、本発明者は、このような機器の
表面親水化処理を行うことなく、気泡を除去する方法を
求めて、鋭意、研究を開始した。したがって、本発明が
解決しようとする課題は、プライミング液として、脱気
された水または水溶液を使用することから成る、斬新な
るプライミング方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、上
記したような発明が解決しようとする課題に照準を合わ
せて、鋭意、検討を重ねた結果、本発明を完成させるに
到った。
【0012】すなわち、本発明の要旨とする処は、プラ
イミング液として、脱気処理された水または水溶液を使
用することから成る、医療機器の斬新なるプライミング
方法にある。
【0013】[構成]本発明において、まず、プライミ
ング液は、脱気処理された水または水溶液であり、好ま
しくは、溶存酸素濃度が6重量ppm以下(以後は、こ
の重量ppmを、単にppmと記載する。)、さらに好
ましくは、3ppm以下、最も好ましくは、1ppm以
下の水または水溶液である。
【0014】このさい、プライミング液の溶存空気濃度
としては、1気圧の空気中で、室温における飽和溶存空
気濃度以下であればよく、好ましくは、溶存空気濃度が
16cm3 /リットル(l)以下が、さらに好ましく
は、8cm3 /l以下、最も好ましくは、4cm3 /l
以下が適切である。
【0015】ちなみに、1気圧の空気中で、25℃にお
ける水の飽和溶存空気濃度は16.7cm3 /lである
し、1気圧の空気中、25℃における水の飽和溶存酸素
濃度は8.1ppmであるし、36℃における当該濃度
は6.8ppmである。(化学便覧による。)これらの
値は、生理的食塩水の場合も、ほぼ、同じである。
【0016】本発明で言う溶存空気濃度とは、溶存酸素
濃度と溶存窒素濃度との和を指称するものである。当該
溶存空気濃度は、オストワルド法〔実験化学講座 1 基
本操作[I]、241頁、1975年、丸善(株)出
版〕や、マススペクトル法で測定することができる。
【0017】当該溶存空気濃度の気体体積は0℃で、か
つ、1気圧に換算した値である。当該溶存酸素濃度は、
上記したような方法のほかにも、ガルバニ電池型や、ポ
ーラログラフ型などのような、一層、簡便なる酸素濃度
計で以て測定することが出来る。
【0018】また、本発明における溶存酸素濃度や、溶
存空気濃度は、いずれも、機器の体液導入口、つまり、
プライミング液導入口での値を言う。
【0019】プライミング液として、このような溶存気
体濃度の水または水溶液を使用すると、プライミング液
の導入時に、機器から追い出されずに残留した気泡は、
プライミング液に吸収されて消滅する。
【0020】プライミング液が脱気されたものでない
と、このような効果は認められなくなるし、溶存酸素濃
度がこの値を超えると、気泡除去の効果が減じたり、気
泡除去に要する時間が長くなる。
【0021】また、溶存空気濃度が、通常、プライミン
グ操作が行われる室温である25℃における飽和溶存空
気濃度を超えると、気泡除去の効果が劣るばかりか、場
合によっては、逆に、気泡が成長したり、新たに、気泡
が発生するという場合もあり得る。脱気された、水や水
溶液中の溶存酸素濃度と溶存窒素濃度との割合は、脱気
の程度や脱気方法によって変わり得るが、溶存酸素濃度
や溶存空気濃度は低い方が、気泡除去効果が高く、プラ
イミング時間を短縮できるという上に、気泡が残存しな
いという信頼度も高くなる。
【0022】このために、溶存酸素濃度や溶存空気濃度
の下限は、本発明の方法を実施する上で、自ずと限界は
あろうが、低いこと自体による不都合は無いという処か
ら、本発明においては、限定することを要しない。
【0023】溶存酸素濃度が0.5ppm以下、あるい
は0.05ppm以下であることや、溶存空気濃度が2
cm3 /l以下あるいは0.2cm3 /l以下であるこ
とも、本発明の効果を発揮する上で、望ましい処であ
る。
【0024】しかしながら、溶存空気濃度や溶存酸素濃
度を低くするほど、脱気に要するコストは増加する処と
なる。
【0025】残留気泡が消滅する速度は、溶存空気濃度
や溶存酸素濃度のほかに、プライミング液の流速にも影
響される。流速が高いほど、気泡が消滅するまでの時間
が短くなる処から、流速を高めることによって、脱気の
程度が低いプライミング液を使用することが出来る。逆
に、高度に脱気されたプライミング液を使用することに
よって、流速を低くすることや、時間を短縮することが
出来るし、また、プライミング液を充填した状態で以
て、静置することによる気泡除去も可能となる。
【0026】本発明で言う水または水溶液とは、通常、
プライミングに使用されるような水または水溶液であれ
ば、溶存気体濃度以外には、特に制約はない。たとえ
ば、蒸留水、無菌水、食塩水あるいは生理的食塩水など
を挙げることが出来、これらには、さらに、血液凝固防
止剤、殺菌剤、糖分、無機塩などなどを含むことが出来
る。通常は、生理的食塩水が好適であるが、無菌水を用
いてプライミングを行い、生理的食塩水などに置換する
ことも可能である。
【0027】プライミング液から溶存気体を除去する方
法、すなわち、脱気方法としては、気体は透過するが、
液体は透過しないような膜の一方の側に、プライミング
液を通して、もう一方の側(他の側)を減圧する膜式真
空脱気(たとえば、特開昭63−258605号公
報)、充填塔やフラスコなどの容器内を減圧せしめると
いう、いわゆる真空脱気;プライミング液を加熱し溶解
度の減少を利用するという加熱脱気;不活性ガスのバブ
リング;超音波脱気;溶存酸素を水素その他の還元剤と
反応せしめせるという方法などの種々の方式や、これら
の組み合わせによるものがあり、任意の方式を採用し得
る。
【0028】これらの中で、膜式真空脱気が、装置が小
形であること、取扱が容易であること、そして、高度の
脱気が可能であることなどの面で、好ましい。
【0029】上記した膜式真空脱気の中でも、膜が緻密
層を有する不均質膜や複合膜であるとことが、食塩水を
脱気する場合に、細孔の目詰まりなどが生じることが無
い処から、好適である。
【0030】こうした膜式真空脱気に次いで、真空脱
気、加熱脱気、あるいは不活性ガスのバブリングが好ま
しい。
【0031】通常、プライミング液の脱気処理によって
溶存酸素と溶存窒素はほぼ並行して除去されるが、膜式
真空脱気における隔膜が気体選択透過性の膜である場合
や、還元剤による酸素消費の場合などのように、脱気方
法によっては、一方が選択的に除去される場合も生じ
る。
【0032】本発明者は、種々、検討した結果、溶存空
気が飽和濃度、あるいはそれを、若干、超える値であっ
ても、溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度の一定割合以下
でれば、効果が見られることを見い出した。
【0033】溶存空気濃度を測定するオストワルド法
は、手間と時間がかかるし、また、マススペクトル法
は、オンサイトでの測定が困難であるのに対し、酸素濃
度計による溶存酸素の測定は、簡便であるいし、しか
も、速やかに測定することが出来るという処から、溶存
空気濃度が飽和濃度以上とは、決して、なり得ない方法
で以て、プライミング液を脱気することによって、溶存
空気濃度測定を省略し、溶存酸素濃度のみを酸素濃度計
で測定し、判定することが実際的であり、好ましいこと
である。
【0034】プライミング液を加温する場合には、加温
操作は、脱気処理後において実施してもよいし、脱気す
る前に実施してもよいことは、勿論である。また、脱気
液は、空気との接触状態で以て放置すると、空気が再溶
解する処から、プライミング液は、脱気後に、閉鎖系を
経て、プライミングすべき機器に導入することが好まし
い。
【0035】本発明の方法におけるプライミングは、機
器の体液接触部に、脱気されたプライミング液を導入す
ることによって行われる。たとえば、膜型人工肺のよう
に、機器が体液と接する側と膜とで以て隔てられた、そ
れ以外の側、たとえば、気体と接する側を有する場合に
は、体液と接する側のみに、脱気されたプライミング液
を導入する。
【0036】他の側の状態は、一般的には、任意である
が、人工肺のプライミングにおいては、プライミング操
作時に、気体側は、常圧以下の空気が入った状態に保っ
ておくことが好ましい。プライミング時に、気体側を加
圧したり、酸素ガスを流すことは、本発明における気泡
除去の効果を減じる。
【0037】このように、気体透過性の膜を隔てて空気
が存在するにも拘らず、体液流路側のみに、脱気された
プライミング液を導入することによって、気泡が除去さ
れるということは予想されざる処である。
【0038】また、細孔を有するタイプの膜を使用した
人工肺の場合において、膜の両側に、脱気されたプライ
ミング液を導入すると、膜に存在する細孔内に、プライ
ミング液が充填され、ガス交換の機能を損なったり、血
漿のリークが発生するなどの不都合が生じる場合があ
る。
【0039】本発明においては、隔膜に細孔を有する膜
を使用した人工肺の場合には、体液に接する側のみに、
脱気されたプライミング液を導入する。このように、膜
の両面を脱気された液体に浸漬する必要がないために、
操作が簡単である。しかし、体液の濾過や透析などの場
合のように、膜に存在する細孔内に、液体が充填された
状態で以て使用される機器の場合や、膜が細孔を有しな
いものである場合には、膜の両側ともに、脱気されたプ
ライミング液を導入することを、決して、妨げるもので
は無い。
【0040】本発明においては、プライミング液を導入
する前に、機器に充填されている気体の種類について
は、何らの制約は無い。たとえば、空気、酸素あるいは
炭酸ガスなどのようなものであってよいことは、勿論で
ある。
【0041】また、機器中の気体を、炭酸ガスのよう
な、水に対する溶解度の高い気体に置換したのちに、プ
ライミングを実施することも、本発明の効果を、一層、
完全なものにする上で、望ましい処である。
【0042】この際も、プライミング液として、脱気さ
れた液体を使用することによって、さらに一層、効果が
増大され、益々、完全なものとなる。
【0043】プライミング時間は、機器の構造や脱気の
程度によって大きく変わり得るが、通常、3〜15分間
で以て処理することが可能である。プライミング液の脱
気の程度が高ければ高いほど、また、プライミング液の
流速が大きければ大きいほど、所用時間が短くなる。
【0044】本発明の方法は、人体の循環器系に接続し
て使用する機器や、人体から取り出した体液を処理する
ための機器など、プライミングが必要なる医療機器全般
に使用できる。
【0045】たとえば、開心術に使用されたり、あるい
は、体外補助肺として用いられる、人工肺などの血液の
ガス交換機器、循環器系に直接接続して用いられるタイ
プ、あるいは輸血用血液処理用ないしは診断用などの膜
型血漿分離装置や、血液製剤製造用の膜型血漿分画装置
や、肝炎ウィルスやエイズ・ウィルスの如き、各種の除
去装置などのような種々の体液濾過機器、ビリルビンや
自己免疫疾患の抗体などの、いわゆる血液中の特定成分
を吸着除去するような吸着装置、血液透析装置などに適
用できるし、さらには、血液バッグや、接続配管などに
もまた、適用できる。
【0046】これらのうちで、従来法では、気泡除去が
困難なる膜型人工肺に対して効果的であり、就中、中空
糸膜型人工肺に対して、さらに一層、効果的であり、外
部潅流式中空糸膜型人工肺に対して、最も効果的であ
る。
【0047】また、膜型人工肺や膜型血漿分離装置にお
いて、膜がポリオレフィンなどの疎水性の素材で構成さ
れているものに、特に好適である。さらに、膜型人工肺
において、膜が非多孔層を有する不均質膜や複合膜であ
る場合に、気泡の除去が特に困難である処から、このよ
うな場合に、本発明の方法は、特に効果を発揮する。
【0048】膜型人工肺は、酸素含有気体の代わりに、
酸素を溶解させた液体を流すタイプであってもよい。
【0049】[作用]
【0050】脱気されたプライミング液は、空気と接触
すると、その空気を吸収し溶解せしめる。すなわち、機
器中の気泡が脱気されたプライミング液と接すると、プ
ライミング液に溶解することによって消滅するというこ
とである。この点で、本発明の方法は、気泡を機器外に
追い出す方式の、これまでのプライミング方法とは異な
るものである。また、機器中の気泡は、脱気されたプラ
イミング液と、一定時間以上、接することによって、完
全に、吸収され消滅する処となる。
【0051】
【実施例】次に、本発明を実施例および比較例により、
一層、具体的に説明するが、本発明は、これらの例のみ
に、決して、限定されるものではない。以下において、
【0052】実施例 1 本例は、それぞれ、プライミング液の脱気と、それに続
く、膜型人工肺の作製とを説明し、併せて、かくして得
られた膜型人工肺を用いてのプライミング試験を行った
処を、概説するものである。
【0053】(プライミング液の脱気)特開昭63−2
58605号公報に記載されている発明の実施例6と同
様の方法で以て、ポリ(4−メチルペンテン−1)を素
材とする不均質膜を組み込んだ脱気モジュールを作製し
た。このモジュールの中空糸内側に、25℃の生理的食
塩水を毎分3リットルで流し、中空糸膜外側に接する部
分を、ダイヤフラム式真空ポンプにて減圧し、リ−ク・
バルブにて、圧力を500torrに調節した。脱気モ
ジュールから流出した生理的食塩水は、DKK社製「D
OL−10型」溶存酸素濃度計によって測定した溶存酸
素濃度は5.5ppmであり、オストワルド法によって
測定した溶存空気濃度は11.5cm3 /l であっ
た。
【0054】(膜型人工肺の作製)ヘキスト・セラニー
ズ社製のポリプロピレン多孔質中空糸膜[外径=250
ミクロン(μm)、内径=200μm、孔径=0.4×
0.04μm(カタログ値)]の約30,000本を、
中間部を絞った円筒型のポリカーボネート製ハウジング
2に装填し、該ハウジングの両端を、ウレタン樹脂によ
って封止し、(その樹脂封止部が3および3’で表示さ
れている。)、切断したのち、キャップ5および5’を
装着することによって、封止端部4および4’に、中空
糸膜端部が開口した、図1に見られるような、中空糸外
表面基準の膜面積が約3m2 なる大きさの膜モジュール
を作製した。
【0055】(プライミング試験)脱気モジュールの脱
気水流出口から、熱交換器(図示せず。)を経て、縦に
設置された人工肺の下部に位置する血液流入口6に接続
し、脱気された生理的食塩水を、毎分3リットルで以て
流した。このさい、熱交換器の温水流路に温水を流し、
それによって、人工肺に流入するプライミング液の温度
を、36℃に調節した。
【0056】血液流出口7からは、プライミング液導入
直後には、少数の気泡が流出したが、通液して10分後
には、もはや、流出する気泡は認められなくなり、カン
シで以て、人工肺を、強く、5回叩いても、あるいは、
人工肺を激しく揺すっても、気泡の流出は、一切、認め
られなかった。
【0057】また、このとき、透明なハウジングの外部
から、プライミング液流路の様子を観察した処、プライ
ミング液導入直後には、中空糸膜の間に捕捉された気泡
が存在していたが、時間の経過と共に、徐々に小さくな
り、遂には、消滅する様子が観察された。
【0058】比較例 1 プライミング液の脱気操作を行わないように変更した以
外は、実施例1と同様にして、対照用の膜型人工肺を作
製し、次いで、試験を行った処、人工肺に導入するプラ
イミング液の溶存酸素濃度は8.1ppmであったし、
溶存空気濃度は17cm3 /lであった。
【0059】通液して10分後に、カンシで以て、人工
肺を、強く5回叩いた処、少数の気泡が流出した。その
後、カンシで以て、人工肺を叩き続けた処、もはや、気
泡の流出がないと判断できるまでに、約100回も、叩
く必要があった。
【0060】実施例 2 (膜型人工肺の作製)特開平1−104271号公報に
記載された発明の製造例5と同様にして製造した、ポリ
−4−メチルペンテン−1を素材とする不均質中空糸膜
は、外径が258μmで、内径が206μmであって、
中空糸膜内表面には、孔径が約0.1μmなる細孔が、
多数、存在しているのに対して、外表面には、孔径が約
0.3μmの細孔が疎らに存在していることが観察され
た。この中空糸膜の、ASTMD−1434に準拠して
測定された酸素透過速度は1.9×10-4cm3 (ST
P)/cm2 ・sec・cmHgであったし、窒素透過
速度は1.9×10-4cm3 (STP)/cm2 ・se
c・cmHgであった。
【0061】次いで、かくして得られた中空糸膜を使用
するように変更した以外は、実施例1と同様にして、人
工肺を作製した。
【0062】(プライミング試験)減圧圧力を70to
rrとし、プライミング液の溶存酸素濃度を0.9pp
mとし、かつ、溶存空気濃度を2ppmとするように変
更した以外は、実施例1と同様にして、プライミング試
験を行った処、通液して15分後には、人工肺の血液出
口から流出する気泡も、中空糸膜中に捕捉された気泡
も、共に、認められなかったし、カンシで以て、人工肺
を、強く、5回叩いても、さらには、人工肺を激しく揺
すっても、気泡の流出は、一切、認められなかった。
【0063】比較例 1 プライミング液の脱気を行わないように変更した以外
は、実施例2と同様にして試験を行った処、人工肺に導
入するプライミング液の溶存酸素濃度は8.1ppmで
あり、溶存空気濃度は17cm3 /lであった。
【0064】通液してから15分後に、カンシで以て、
人工肺を、強く、5回叩いた処、多数の気泡が流出し
た。その後も、カンシで以て、人工肺を叩き続けた処、
もはや、気泡の流出がないと判断できるまでに、約15
0回も、叩く必要があった。
【0065】実施例 3 活性炭スラリーをアルギン酸カルシウムで被覆した、直
径が約3mmなるカプセルを、ポリカーボネート製の、
内径が28mmで、かつ、長さが約200mmなる、両
端に接続口のあるアクリル樹脂製円筒型容器に、空気中
で充填し、血液中の老廃物の吸着除去モジュールを作製
した。
【0066】次いで、この吸着モジュールを、人工肺の
代わりに接続するように変更した以外は、実施例2と同
様にして、プライミング試験を行った処、通液してから
10分後には、もはや、吸着モジュールの血液出口から
流出する気泡は、一切、認められなくなって居たし、カ
ンシで以て、吸着モジュールを、強く、5回叩いてみて
も、さらには、吸着モジュールを、激しく揺すってみて
も、気泡の流出は、一切、認められなかった。
【0067】また、このさい、透明なるハウジングの外
部から、プライミング液流路の様子を観察した処、プラ
イミング液の導入直後には、カプセル間に捕捉された気
泡が存在していたが、時間の経過と共に、徐々に小さく
なり、遂には、消滅する様子もまた、観察された。
【0068】実施例 4 中空糸膜型血液透析モジュールを、人工肺の代わりに接
続し、血液接触側なる中空糸膜外側に、脱気されたプラ
イミング液を流すように変更したした以外は、実施例2
と同様にして、プライミング試験を行った処、通液して
から15分後には、もはや、透析モジュールの血液出口
から流出する気泡は、一切、認められなくなって居た
し、カンシで以て、透析モジュールを、強く、5回叩い
てみても、さらには、透析モジュールを、激しく揺すっ
てみても、気泡の流出は、一切、認められなかった。
【0069】
【発明の効果】本発明の方法は、体液と接する用途に利
用される、医療用機器のプライミングに際し、機器の体
液流路に残留する気泡の除去速度が大きく、しかも、そ
の除去効果が確実である。
【0070】本発明方法に従うことよって、プライミン
グ液の流速を上げたり、機器を外部から叩くという、繁
雑であって、しかも、個人差が入り易い操作が不必要と
なり、プライミング時間が短縮できる。また、機器の体
液接触面を親水化せしめるという方法に比べても、効果
が完全であり、かつ、確実である上に、補体活性を誘発
する恐れや、膜型人工肺において、血漿の漏洩を促進す
る恐れも無く、製造コストの上昇を招来することも無
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を説明するために用いられる、膜型
人工肺の部分縦断面図模式図である。
【符号の説明】
1 中空糸膜 2 ハウジング 3および3’ 樹脂封止部 4および4’ 封止部端面 5および5’ ハウジング(キャップ部) 6 血液流入口 7 血液流出口 8 気体流入口 9 気体流出口

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プライミング液として、脱気処理された
    水または水溶液を使用することを特徴とする、医療機器
    のプライミング方法。
  2. 【請求項2】 前記した脱気処理された水または水溶液
    の溶存酸素濃度が、6重量ppm以下のものであり、し
    かも、溶存空気濃度が16cm3 /l以下のものであ
    る、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記した脱気処理された水または水溶液
    の溶存酸素濃度が、1重量ppm以下のものである、請
    求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記したプライミング液として、生理的
    食塩水を使用するものである、請求項1〜3のいずれか
    一つに記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記した医療機器の体液接触部にのみ、
    脱気されたプライミング液を使用するものである、請求
    項1〜4のいずれか一つに記載のプライミング方法。
  6. 【請求項6】 前記した医療機器が膜型人工肺である、
    請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記した医療機器が、前記膜型人工肺と
    して、中空糸膜型人工肺を使用するものである、請求項
    1または6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記した医療機器が、前記膜型人工肺と
    して、ポリオレフィン製中空糸膜で構成されている形の
    中空糸膜型人工肺である、請求項1または7に記載の方
    法。
  9. 【請求項9】 前記した医療機器が、前記膜型人工肺を
    構成する中空糸膜として、実質的に非多孔質の層を有す
    る膜を使用するものである、請求項1、7または8に記
    載の方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10165773A (ja) * 1996-12-10 1998-06-23 Toray Ind Inc 中空糸型血液処理装置およびその製造方法
JP2012024121A (ja) * 2010-07-20 2012-02-09 Nikkiso Co Ltd 吸着材の充填方法および充填装置
JP2019500195A (ja) * 2015-12-21 2019-01-10 ハイバーニア メディカル エルエルシー 溶存ガスの送達および医療用流体ラインの脱ガスの方法ならびにシステム

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