JPH0531292Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は自動車等のダイヤフラムスプリング式
のクラツチに使用されるクラツチカバー組立体に
関する。

［従来の技術］ 上記形式のクラツチカバー組立体では、フライ
ホイールにクラツチデイスクの摩擦フエーシング
を押付けるためのプレツシヤープレートをその外
周側及び背面側から覆うクラツチカバーを設け、
クラツチカバーとダイヤフラムスプリングとの間
にプレツシヤープレートをフラーホイール側へ押
すためのダイヤフラムスプリングを設け、ダイヤ
フラムスプリングの外周部をプレツシヤープレー
トの背面に連結し、内周部をレリーズベアリング
に連結し、半径方向中間部を支持機構を介してク
ラツチカバーの内周部で支持する構造となつてい
る。

［考案が解決しようとする課題］ そのような構造では、フエーシングが摩耗する
と、クラツチ接続状態におけるダイヤフラムスプ
リングの位置及び傾斜姿勢が変化し、その結果、
クラツチの接続遮断動作に必要な所要操作力やダ
イヤフラムスプリングからプツレツシヤープレー
トに加わる荷重が変化し、クラツチの操作特性や
動作特性が悪化するという不具合がある。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、上記形式のクラツチカバーにおい
て、上記支持機構を固定したクラツチカバーの内
周部を、それよりもクラツチ半径方向外側に位置
するクラツチカバーの本体とは別体の部品で構成
し、上記クラツチカバー内周部の外周とクラツチ
カバー本体の内周とに互いに螺合してクラツチ軸
方向の相対位置を調節できるねじを設け、クラツ
チカバー本体と内周部をクラツチ円周方向におけ
る両者の相対位置を調節できる状態で固定するた
めの位置決め機構で連結したことを特徴としてい
る。

［実施例］ 断面略図である第１図において、出力軸１（中
心線のみ図示）に連結するクラツチデイスク２の
摩擦フエーシング３をプレツシヤープレート４に
よりフライホイール５に押付けることによりクラ
ツチが接続する。プレツシヤープレート４の背面
にはダイヤフラムスプリング６が設けてあり、ダ
イヤフラムスプリング６の外周部がプレツシヤー
プレート４の背面の突起に連結している。ダイヤ
フラムスプリング６の半径方向中間部は複数のス
タツドピン７（１個のみ図示）及び１対のワイヤ
ーリング８からなる支持機構により支持されてい
る。複数のスタツドピン７は円周方向に間隔を隔
てて配置されており、ワイヤーリング８の内周を
支持している。一方のワイヤーリング８はダイヤ
フラムスプリング６とクラツチカバー１０の間で
挾持され、他方のワイヤーリング８はスタツドピ
ン７の先端のフランジとダイヤフラムスプリング
６との間で挾持されている。

ダイヤフラムスプリング６の内周部はレリーズ
ベアリング９に連結している。レリーズベアリン
グ９は図示されていないクラツチペダルなどの操
作機構により連結しており、レリーズベアリング
９でダイヤフラムスプリング６の内周部を押すこ
とにより、ダイヤフラムスプリング６が変形させ
られてプレツシヤープレート４に対する荷重が低
下又は開放され、それによりクラツチが遮断され
る。上述の構造は周知である。

上記スタツドピン７はその一端部が従来構造と
同様にクラツチカバー１０の内周部１１に固定さ
れている。そして本考案によると、クラツチカバ
ー１０は、スタツドピン７を固定する内周部１１
と、それよりも外周側の本体１２とが別体の部品
で構成されている。

本体１２はフライホイール５の外周部に固定さ
れる部分と、プレツシヤープレート４やダイヤフ
ラムスプリング６を外周側から覆う概ね筒状の部
分と、プレツシヤープレート４やダイヤフラムス
プリング６を背面側（フライホイール５と反対
側）から覆う環状壁部１３とを一体に備えてい
る。環状壁部１３はクラツチの円周方向かつ概ね
クラツチの半径方向に延びており、前記内周部１
１は環状壁部１３の半径方向内側に位置してい
る。内周部１１もクラツチ円周方向に環状に延び
ており、その外周縁部に後方（プレツシヤープレ
ート４と反対側）へ突出した筒状部１５が設けて
ある。環状壁部１３の内周縁部にも筒状部１６が
前方へ突出した状態で設けてある。筒状部１５の
外周面及び筒状部１６の内周面には、互いに螺合
するねじ１７が設けてある。ねじ１７は出力軸１
を中心にして螺旋状に延びており、従つて、内周
部１１をクラツチカバー本体１２に対して回すこ
とにより、クラツチカバー内周部１１の本体１２
に対する軸方向の位置が変化する。

上記スタツドピン７はその一端部の頭部２０が
内周部１１の外面（後面）に対して位置決め部材
２１の内周部を挾持した状態で着座している。位
置決め部材２１は折曲げ構造の板状部材で、頭部
２０の近傍から半径方向外方へ延びており、その
外周端部にはプレツシヤープレート４側へ突出し
た爪２２が一体に設けてある。環状壁部１３に
は、爪２２がクラツチ円周方向に相対移動不能の
状態で嵌合する切欠２３が設けてある。切欠２３
は環状壁部１３の円周方向に間隔を隔てた複数箇
所に設けてあり、爪２２を複数の切欠２３に選択
的に係合させ得るようになつている。

上記構造によると、クラツチを長期間使用して
摩擦フエーシング３が摩耗した場合、クラツチ接
続状態におけるダイヤフラムスプリング６の位置
及び傾斜姿勢が変化し、ダイヤフラムスプリング
６からプレツシヤープレート４に加わる荷重や、
クラツチ遮断動作においてレリーズベアリング９
からダイヤフラムスプリング６に及ぼす必要のあ
る操作力及び操作ストロークが変化し、より一般
的には、クラツチの動作特性や操作特性が変化す
る。

そのような場合、位置決め部材２１を一時的に
弾性変形させて切欠２３から外し、内周部１１を
本体１２に対して適当な角度だけ回転させ、ねじ
１７の作用により内周部材１１を本体１２に対し
てフライホイール５側へ軸方向に移動させる。そ
の移動量は、ダイヤフラムスプリング６のクラツ
チ接続状態における姿勢が初期の姿勢と一致又は
概ね一致するだけの量である。このようにして内
周部１１を回した後、位置決め部材２１に対する
外力を開放し、位置決め部材２１を弾性的に復元
させて切欠２３に嵌める。これにより内周部１１
のそれ以上の回転は確実に防止され、スタツドピ
ン７やダイヤフラムスプリング６のクラツチ軸方
向における位置も固定される。

［考案の効果］ 以上説明したように本考案によると、クラツチ
カバー１０の内周部１１、すなわち、ダイヤフラ
ムスプリング６を支持する部分をクラツチ軸方向
に移動させてその位置を調節できるようにしたの
で、摩擦フエーシング３が摩耗した場合でも、ダ
イヤフラムスプリング６の位置や姿勢を元の位置
及び姿勢に戻すことができる。従つて、クラツチ
の動作特性や操作特性が大幅に変化することを防
止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の断面略図である。 ２……クラツチデイスク、３……摩擦フエーシ
ング、４……プレツシヤープレート、６……ダイ
ヤフラムスプリング、７……スタツドピン、８…
…ワイヤーリング、９……レリーズベアリング、
１０……クラツチカバー、１１……内周部、１２
……クラツチカバー本体、１７……ねじ、２１…
…位置決め部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. フライホイールにクラツチデイスクの摩擦フエ
   ーシングを押付けるためのプレツシヤープレート
   をその外周側及び背面側から覆うクラツチカバー
   を設け、クラツチカバーとダイヤフラムスプリン
   グとの間にプレツシヤープレートをフラーホイー
   ル側へ押すためのダイヤフラムスプリングを設
   け、ダイヤフラムスプリングの外周部をプレツシ
   ヤープレートの背面に連結し、内周部をレリーズ
   ベアリングに連結し、半径方向中間部を支持機構
   を介してクラツチカバーの内周部で支持したクラ
   ツチカバー組立体において、上記支持機構を固定
   したクラツチカバーの内周部を、それよりもクラ
   ツチ半径方向外側に位置するクラツチカバーの本
   体とは別体の部品で構成し、上記クラツチカバー
   内周部の外周とクラツチカバー本体の内周とに互
   いに螺合してクラツチ軸方向の相対位置を調節で
   きるねじを設け、クラツチカバー本体と内周部と
   を、クラツチ円周方向における両者の相対位置を
   調節できる状態で固定するための位置決め機構で
   連結したことを特徴とするクラツチカバー組立
   体。