JPH05311295A - 熱交換器用銅基合金およびその製造法 - Google Patents
熱交換器用銅基合金およびその製造法Info
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Abstract
高信頼化という近時の業界要請に応え得る熱交換器用銅
基合金およびその製造方法の提供。 【構成】 重量%において、Zn:13.4%、Ni:0.96
%、Sn:1.02%、Mn:0.48%、P:0.05%、Ni、
Sn、Mnの合計が2.46%、Ni/Mnの重量百分率の
比率が 2.0、Ni/Pの重量百分率の比率が19.2、残部
がCuおよび不可避的不純物からなる結晶粒度 0.025mm
の銅基合金は、引張強さ37.2kgf/mm2、伸び38.2%、エ
リクセン値14.0mmの諸特性を示し、アンモニア蒸気中お
よび劣化L.L.C.中における耐応力腐食割れ性が良
好であり、熱交換器用の構成材料として好適である。
Description
ど各種工業用や家庭用の熱交換器の構成材料として用い
られる好適かつ信頼性に富む熱交換器用銅基合金および
その製造法に関する。
タあるいは各種工業用または家庭用熱交換器などに用い
られてきた。自動車用ラジエータの場合、これを構成す
るタンク、プレート、チューブおよびフィン用材として
主に用いられており、特にタンク、プレートおよびチュ
ーブについては、黄銅1種または黄銅2種といった強度
と成形加工性に優れる軟質な銅基合金が用いられてい
た。
化が強く望まれるようになり、自動車の個々の部品につ
いての軽量化および高信頼化が図られるようになった。
しかしながら、上記自動車用ラジエータに用いられてい
る黄銅1種または黄銅2種といった黄銅材は、脱亜鉛腐
食を起こしたり、応力腐食割れを起こしたりすることが
あるため、信頼性の面で問題があった。また軽量化に対
しては、必要とする成形加工性を満足した上で、さらに
強度向上が強く求められてきた。
ータに起こる脱亜鉛腐食や応力腐食割れは、次に挙げる
事由によるものと考えられる。通常、ラジエータは空気
により強制的に冷却するところから、空気中のSO2 、
NOx およびCl2 ガスなどにより腐食が生じる。ま
た、エンジンルーム内への融雪材(NaCl等)の追入
や水分の追入により、腐食しやすい環境がつくられてい
る。さらに、ラジエータ内部には冷却媒体が還流してお
り、長期間にわたって使用していると、腐食生成物や汚
れが発生し、これらの発生および蓄積によって生じる通
気差電池や、還流している液体による衝撃腐食などによ
って脱亜鉛腐食、粒界腐食または孔食等が内側から生じ
ることなどからラジエータの寿命を低下させていた。
イフクーラント液(L.L.C.)は、液中に含まれて
いる防錆剤濃度の低下や、溶出した金属イオンによる腐
食のため、交換頻度を高くする必要があった。さらにま
た、ラジエータ各部は、成形加工による残留応力や、組
立時におけるかしめ等の応力が、腐食環境とあいまって
応力腐食割れを生じてしまい、液漏れ等の重大な欠陥を
引き起こすことがあった。
技術の問題点を解決し、耐応力腐食割れ性などの耐食性
に優れ、かつ、強度、耐力、成形加工性および半田付け
性に優れた安価な熱交換器用銅基合金およびその製造方
法を提供することを目的としている。
を解決するため鋭意研究したところ、従来の黄銅材に含
まれるZn成分を規制すると共に、Ni、Sn、Mnお
よびPを規制した割合で適量添加することにより、黄銅
の耐食性、特に耐応力腐食割れ性を大幅に改善し、併せ
て強度や耐力、成形加工性などの特性を向上させ得るこ
とを見い出し、本発明を達成することができた。
て、Zn: 5〜25%、Ni: 0.1〜1.5 %、Sn: 0.1
〜 1.2%、Mn:0.05〜 1.2%、P: 0.001〜0.10%で
あり、かつ上記Niの重量%、Snの重量%およびMn
の重量%の合計が 0.3〜 2.5重量%、Ni/Mnの重量
百分率の比率が 1〜 5、およびNi/Pの重量百分率の
比率が 5〜50の範囲であり、残部がCuおよび不可避的
不純物からなる熱交換器用銅基合金を提供するものであ
る。
度が 0.005〜0.030mm の合金として得ることが可能であ
り、この条件が満たされるときは熱交換器用銅基合金と
してさらに好ましいものとなる。また、引張強さが35kg
f/mm2 以上の合金として得ることが可能である。さらに
また、エリクセン値が10mm以上の合金として得ることが
可能である。
5〜25%、Ni: 0.1〜1.5 %、Sn: 0.1〜 1.2%、
Mn:0.05〜 1.2%、P: 0.001〜0.10%であり、かつ
上記Niの重量%、Snの重量%およびMnの重量%の
合計が 0.3〜 2.5重量%、Ni/Mnの重量百分率の比
率が 1〜 5、およびNi/Pの重量百分率%の比率が5
〜50の範囲であり、残部がCuおよび不可避的不純物か
らなる合金材料を再結晶化し、この再結晶の最終焼鈍
後、 1〜15%の板厚減少率で冷間圧延し、 100〜420℃
の温度で 5〜 650秒間低温焼鈍を行うことを特徴とする
熱交換器用銅基合金の製造法を提供するものである。
に説明する。
部の耐熱密着性を向上させる効果を有しており、これら
の効果は、重量%においてZn含有量が 5%未満では充
分でなく、25%を超えるとNi、Sn、Mn、P存在下
であっても脱亜鉛腐食や応力腐食割れを起こしやすくな
ってしまう。(また、Ni、Sn、Mn、Pの存在下で
Zn含有量が25%を超えると熱間圧延時にサイド割れを
生じやすくなる。)そのため、本発明におけるZnの含
有量は 5〜25重量%の範囲とした。
腐食割れ性を向上させる効果を有しており、これらの効
果は、重量%においてNi含有量が 0.1%未満では充分
でなく、 1.5%を超えると加工性が悪くなってしまう。
そのため、本発明におけるNiの含有量は 0.1〜1.5 重
量%の範囲とした。
力腐食割れ性を向上させる効果を有しており、これらの
効果は、重量%においてSn含有量が 0.1%未満では充
分でなく、 1.2%を超えると熱間加工性が悪化してしま
う。そのため、本発明におけるSnの含有量は 0.1〜
1.2重量%の範囲とした。
上させる効果の他、耐摩耗性を向上させる効果を有して
いる。この耐摩耗性を向上させる効果は、自動車用ラジ
エータの構成材料とした場合におけるL.L.C.と接
する内環境に対して特に有効である。これらの効果は、
重量%において0.05%未満では充分でなく、 1.2%を超
えると加工性が悪化してしまう。そのため、本発明にお
けるMnの含有量は0.05〜 0.2重量%の範囲とした。
化したL.L.C.(実際に自動車に使用して劣化した
L.L.C.を回収したもので、防錆剤が減少している
と共に、溶出金属の量が顕著である)中での耐応力腐食
割れ性を向上させる効果を示すようになり、この効果
は、Mnの添加によりさらに顕著に発現するようにな
る。すなわち、Ni、SnおよびMnの共添により、特
に劣化したL.L.C.と接触する内環境に対して優れ
た耐応力腐食割れ性および耐摩耗性を示すようになるの
である。これらの効果は、重量%においてNi、Snお
よびMnの合計量が0.3%未満では充分でなく、 2.5%
を超えると成形加工性に問題が生じてしまう。そのた
め、本発明におけるNiの含有量、Snの含有量および
Mnの含有量の合計は 0.3〜 2.5重量%の範囲とした。
耐力を向上させる効果を有しており、これらの効果は、
重量%においてP含有量が 0.001%未満では充分でな
く、0.10%を超えると応力腐食割れを起こしやすくな
り、また、熱間加工性も低下する。そのため、本発明に
おけるPの含有量は 0.001〜0.10重量%の範囲とした。
より、主にNi−P系化合物(他にNi−Mn系、Mn
−P系化合物)が形成され、これらが結晶粒界および粒
内に均一かつ微細に分散し、次のような効果を示すよう
になる。Ni−Mn系化合物およびMn−P系化合物
は、成形加工性、耐応力腐食割れ性および耐摩耗性(特
に劣化L.L.C.と接触する内環境に対して耐応力腐
食割れ性、耐摩耗性)などを向上させる効果を示し、N
i−P系化合物は、強度、耐力、耐熱性および耐応力腐
食割れ性を向上させる効果を示す他、再結晶化時におけ
る結晶粒の微細化に寄与するようになる。
Ni/Mnの重量百分率の比率、およびNi/Pの重量
百分率の比率を適切に制御する必要がある。すなわち、
Ni/Mnの重量百分率の比率は、 1未満では上記効果
が充分に発現せず、 5を超えると特性が低下してしまう
ため、本発明におけるNi/Mnの重量百分率の比率は
1〜 5の範囲とした。一方、Ni/Pの重量百分率の比
率は 5〜50の範囲の場合に上記効果が最も有効に発現さ
れることが確認されている。
有量との間には密接な関係があり、Zn含有量が低下す
ると脱亜鉛腐食や応力腐食割れの感受性は低下するが、
強度不足になるためNi、Sn、MnおよびP量を多く
しなければならない。しかしながらNi、Sn、Mnお
よびP含有量を多くすると、鋳造時の湯流れ性の低下、
熱間および冷間加工時の変形抵抗の増大や変形能の低
下、または熱処理時の被膜形成等が起こるため、製造上
不利となってしまう。したがって、Ni、Sn、Mnお
よびP量が最も少なく(Ni: 0.1〜 1.5重量%、S
n: 0.1〜 1.2重量%、Mn:0.05〜 1.2重量%および
P: 0.001〜0.10重量%、かつNi、SnおよびMnの
重量%の合計が 0.3〜 2.5重量%、Niの重量%に対す
るMnの重量%の比率が 1〜 5、およびNiの重量%に
対するPの重量%の比率は 5〜50の範囲)、かつ特性を
満足するZn量( 5〜25重量%)が最適含有量なのであ
る。
食割れ性が向上するが、逆に深絞り、張出し成形加工性
が低下してしまうため0.005mm 以上が望ましい。しかし
ながら、結晶粒度が 0.030mmを超えると強度および耐応
力腐食割れ性が著しく低下し、成形加工後の肌荒れが起
こりやすくなってしまう。そのため、本発明における結
晶粒度は 0.005〜 0.030mmの範囲とした。
薄肉化に対応するためには、引張強さ35kgf/mm2 以上、
エリクセン値10mm以上であることが必要であり、近時の
軽量化の要求に対しては、引張強さ36kgf/mm2 以上、エ
リクセン値11mm以上であることが好ましい。また、ラジ
エータの軽量化を達成するためには、強度と成形加工性
が共に良くなるようにする必要がある。なお、前述した
耐食性の向上は、薄肉化を可能とするものである。
銅基合金は、まず初めに、Ni−P系化合物の形成、他
にNi−Mn系、Mn−P系化合物の形成、ならびに固
溶Ni、固溶Snおよび固溶Mnの効果によって結晶粒
界におけるZnおよび不純物の偏析を抑制することによ
り、耐応力腐食割れ性の大幅な向上を図っている。その
ため、近時のラジエータのタンク、プレート、フィンに
要求される諸特性を具備した材料とすることができる。
また、上記諸特性は、鋳片から熱間圧延工程と冷間圧延
工程を経て所望の板厚にまで加工する際の製造条件を適
切にコントロールすることにより、有利に発現させるこ
とができる。以下に本発明の銅基合金の製造法の詳細を
説明する。 まず、重量%において、Zn: 5〜25%、
Ni: 0.1〜1.5 %、Sn: 0.1〜 1.2%、B:0.05〜
1.2、P: 0.001〜0.10%であり、かつ上記Niの重量
%、Snの重量%およびMnの重量%の合計が 0.3〜
2.5重量%、Ni/Mnの重量百分率の比率が 1〜 5、
およびNi/Pの重量百分率の比率が 5〜50の範囲であ
り、残部がCuおよび不可避的不純物からなる合金材料
を、溶解鋳造して鋳片(鋳塊)を作製する。なお、この
溶解鋳造は不活性ガス雰囲気中で行うことが望ましい。
次いで、この鋳片を熱間圧延して熱圧板を作製し、脱ス
ケールを行う。
行った後、中間焼鈍を行い再結晶を得る。なお、この中
間焼鈍における焼鈍温度は、 400℃未満の温度では充分
な焼鈍が行われず、最終特性における耐応力腐食割れ性
が低くなってしまい、 650℃を超える温度では短時間で
結晶粒径が粗大化し、最終焼鈍後の特性が劣化してしま
うため、 400〜 650℃が好ましい。また、該温度範囲で
の焼鈍時間は、10分未満では充分に歪みを取り除くこと
が難しいことから後の冷間圧延工程が困難になり、 600
分を超えると結晶粒が粗大化する上、経済性を悪化させ
るため、10〜 600分間の範囲が好ましい。
%の板厚減少率で最終板厚まで冷間圧延を行う。これ
は、板厚減少率が20%未満では加工によって付与される
残留内部応力が小さすぎて、後の再結晶の最終焼鈍工程
後の最終特性における強度および硬度が充分に向上しな
くなり、70%を超えると圧延の集合組織の発達により、
機械的性質に方向性(異方性)を有してしまい、これに
よって成形性を低下させると共に残留内部応力が大きく
なるため、後の再結晶の最終焼鈍工程において充分な処
理を行うことができず、耐応力腐食割れ性を低下させて
しまうためである。
00℃の温度で 1〜 300分間焼鈍を行う。上記焼鈍温度
は、 400℃未満では充分な焼鈍を行うことができず、特
性、耐応力腐食割れ性および成形性が低下し、 700℃を
超える温度では、所望の結晶粒径が得られず(結晶粒径
が大きくなる)、強度、耐力、硬度および耐応力腐食割
れ性が低下してしまうため、 400〜 700℃の範囲が好ま
しい。また、この温度範囲における焼鈍時間は、1分未
満では充分な焼鈍を行うことができず、前工程である冷
間圧延工程において生じた内部応力をかなり残留した状
態となり、成形加工性、耐応力腐食割れ性が低下してし
まい、 300分を超えるような長時間では経済性を損なっ
てしまうため、 1〜 300分の範囲が好ましい。
薄板を、さらに 1〜15%、より好ましくは 3〜10%の板
厚減少率で冷間圧延し、その後 100〜 420℃の温度で 5
〜 650秒間低温焼鈍を行う。これは、強度、耐応力腐食
割れ性およびかしめ性(耐力)を向上させるために行わ
れるものであって、特にかしめ性は、ある形状の成形に
対する材料の適応能力の比較概念の一つであり、耐力値
に大きく依存する特性である。そのため、冷間圧延にお
ける板厚減少率は、 1%未満では板厚の制御が困難であ
る上、特性の向上が期待できず、15%を超えると残留内
部応力が大きくなり、その後の低温焼鈍を行っても特性
は向上せず、逆に耐応力腐食割れ性を低下させてしまう
ため、 1〜15%の範囲とした。
℃未満では充分な回復が行われず、上記冷間圧延で生じ
た内部応力がかなり残留し、耐応力腐食割れ性および成
形加工性が低下してしまい、 420℃を超えると強度、耐
力および硬度が低下してしまうため、 100〜 420℃の範
囲とした。また、該焼鈍温度における焼鈍時間は、 5秒
未満では充分な低温焼鈍の効果が現れず、 650秒を超え
ると強度、耐力および硬度が低下する上、経済的な面か
らも好ましくないため、 5〜 650秒の範囲とした。
に最終の再結晶焼鈍後の冷間圧延および低温焼鈍を行う
ことにより、Ni−Mn系化合物、Mn−P系化合物お
よびNi−P系化合物が結晶粒界および結晶粒内に均一
かつ微細に分散した組織を有する銅基合金の薄板が得ら
れるようになる。また、この銅基合金は、強度、かしめ
性(耐力)、深絞り性(エリクセン値)、耐応力腐食割
れ性、成形加工性、耐摩耗性に優れているため、自動車
用ラジエータ(軽量化や高信頼化などが可能である)を
はじめ、各種工業用または家庭用の熱交換器の構成材料
として極めて好適なものである。また、電気、電子部品
用材料としても十分使用可能である。
説明する。しかし本発明の範囲は、以下の実施例により
制限されるものではない。
示す合金材料(試料 No. 1〜20:No. 1 〜 6は本発明の
合金の材料、No. 7 〜17は比較合金の材料、No.18 〜20
は従来の合金の材料)を高周波溶解炉を用いて溶製し、
40mm×40mm×140mm の鋳塊に鋳造した。なお、上記溶製
は、溶解鋳造雰囲気を完全に不活性ガスでシールドして
行った。
に切断し、この鋳片を810℃で熱間圧延して厚さ5mm の
熱延板を得、得られた熱延板を1.5mm まで冷延し、500
〜550 ℃の温度で焼鈍した。焼鈍後、これを水で急冷
し、さらに酸洗した後厚さ0.55mmまで冷延し、400 〜60
0 ℃の温度で結晶粒径が 0.025mmになるように焼鈍し
た。但し、 No.17の試料は 650℃で焼鈍し、結晶粒径を
0.060mmとした。なお、結晶粒度はJIS H 0501を参考に
して求めた。
し(加工率 7.3%)、 100〜 400℃で 100〜 600秒間低
温焼鈍を行った( No.17の試料は 0.060mmの結晶粒径、
それ以外の試料の結晶粒径は 0.025mmとなるようにし
た)。低温焼鈍後、得られた板材を酸洗し、バフ研磨し
て表面粗さをRmax 1.5μm以下に調整した。なお、こ
こで得られた各試料の引張強さ、伸び、エリクセン値お
よび耐応力腐食割れ性を調べ、その結果を表1ないし3
に併記した。
は、それぞれJIS Z 2241、およびJIS Z 2247(A法)に
従って行った。耐応力腐食割れ性については、市販のア
ンモニア水(25〜28%)を純水で薄め、約13%とした液
をデシケータ底部に入れ、次いで中央部の応力が10kgf/
mm2 になるようにアーチ状に曲げた試験片をその保持具
と共にデシケータ内に置き、常温下で保持し、各所定時
間経過毎に、これらの試験片をデシケータ内より取り出
し、充分に水洗を行った後、実体顕微鏡で試験片表面を
40倍に拡大して観察し、割れ発生時間を測定した。
際に自動車に使用して回収した劣化L.L.C.(ロン
グライフクーラント液)の中にアーチ状に曲げた試験片
を浸漬し、70〜90℃に保持して 300時間経過後および 8
00時間経過後に、これらの試験片を取り出し、充分に水
洗を行った後、実体顕微鏡で試験片表面を40倍に拡大し
て割れ発生の有無を検査し、その結果を表1ないし3に
併記した。なお、表1ないし3における丸印は、表面変
色のみで割れが発生していなかったもの、三角印は、割
れは発生していないが腐食が顕著であったもの、バツ印
は、割れが発生していたものを示す。
割れ性の評価方法は、自動車用ラジエータの構成材料と
しての特性を判断する上で極めて信頼性の高い有効な方
法である。
明した。本発明の好ましい態様である試料No.1〜No.6の
合金は、引張強さ、伸び、エリクセン値、加工性および
半田付け性に優れ、かつ耐応力腐食割れ性が良好であり
(L.L.C.と接触する内部環境に対する耐応力腐食
割れ性も良好)、しかも高価な金属の多量使用がなく安
価である。そのため、自動車用ラジエータをはじめ、あ
らゆる熱交換器の構成材料として非常に優れた合金であ
ることが分る。
り少ない試料No.7の試料は、強度が低い上、高価なCu
含有量が多く原料費が高騰してしまうため、工業材料と
して不適当であることが分かる。逆に、Ni、Sn、M
n、Pは本発明で規定する量であるが、Znが本発明で
規定する量よりも多い試料No.8の試料は、熱間圧延の途
中で割れが発生してしまい製造することができなかっ
た。
の重量%に対するMnの重量%の比が本発明で規定する
値より小さい試料No.9の試料は、伸びおよび耐応力腐食
割れ性が劣っていることが分かる。また、Niを含まな
い試料 No.10の試料は、強度および伸びが低く、耐応力
腐食割れ性の面でも劣っていることがわかる。さらに、
Snが本発明で規定する量より多い試料 No.11の試料
は、熱間圧延時に割れが発生してしまい製造することが
できなかった。
明で規定する量であるが、Ni+Sn+Mn量が本発明
で規定する量よりも少ない試料 No.12の試料は、耐応力
腐食割れ性が低いことが分かる。逆に、Ni、Sn、M
nおよびPの各成分が本発明で規定する量であるが、N
i+Sn+Mn量が本発明で規定する量よりも多い試料
No.13の試料は、熱間圧延時に割れが発生してしまい製
造することができなかった。
が本発明で規定する値より低い試料No.14の試料は、耐
応力腐食割れ性が劣っていることが分かる。また、Ni
の重量%に対するMnの重量%の比率が本発明で規定す
る値より高い試料 No.15の試料は、熱間圧延の途中で割
れが発生してしまい、製造することができなかった。さ
らに、Niの重量%に対するPの重量%の比率が本発明
で規定する値より高い試料 No.16の試料は、耐応力腐食
割れ性に劣っていることが分かる。また、Zn、Ni、
Sn、Mn、Pの各成分およびNi+Sn+Mn量、N
i/Mn比、Ni/P比がそれぞれ本発明で規定する量
であっても、結晶粒径が大きい試料 No.17の試料は、強
度、伸び、耐応力腐食割れ性に劣っている。
および耐応力腐食割れ性が低いことが分かる。また、N
i、Sn、MnおよびPを含まない従来の黄銅材である
試料No.19および20の試料は、強度の面でも、耐応力腐
食割れ性の面でも劣っていることが分かる。
熱交換器、特に自動車用ラジエーターの構成材料として
強度、成形加工性および耐応力腐食割れ性(L.L.
C.と接触する内環境に対する耐応力腐食割れ性を含
む)に優れた特性を有するものであり、近時各分野で所
望される熱交換器の軽量化、高信頼化、低コスト化に対
して十分に対応できるものである。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%において、Zn: 5〜25%、N
i: 0.1〜1.5 %、Sn: 0.1〜 1.2%、Mn:0.05〜
1.2%、P: 0.001〜0.10%であり、かつ上記Niの重
量%、Snの重量%およびMnの重量%の合計が 0.3〜
2.5重量%、Ni/Mnの重量百分率の比率が 1〜 5、
およびNi/Pの重量百分率の比率が 5〜50の範囲であ
り、残部がCuおよび不可避的不純物からなる熱交換器
用銅基合金。 - 【請求項2】 結晶粒度が 0.005〜 0.030mmである請求
項1記載の熱交換器用銅基合金。 - 【請求項3】 引張強さが35kgf/mm2 以上およびエリク
セン値が10mm以上である請求項1および2記載の熱交換
器用銅基合金。 - 【請求項4】 重量%において、Zn: 5〜25%、N
i: 0.1〜1.5 %、Sn: 0.1〜 1.2%、Mn:0.05〜
1.2%、P: 0.001〜0.10%であり、かつ上記Niの重
量%、Snの重量%およびMnの重量%の合計が 0.3〜
2.5重量%、Ni/Mnの重量百分率の比率が 1〜 5、
およびNi/Pの重量百分率の比率が 5〜50の範囲であ
り、残部がCuおよび不可避的不純物からなる合金材料
を再結晶化し、この再結晶の最終焼鈍後、 1〜15%の板
厚減少率で冷間圧延し、 100〜 420℃の温度で 5〜 650
秒間低温焼鈍を行うことを特徴とする熱交換器用銅基合
金の製造法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP14212992A JP3274178B2 (ja) | 1992-05-07 | 1992-05-07 | 熱交換器用銅基合金およびその製造法 |
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JP14212992A JP3274178B2 (ja) | 1992-05-07 | 1992-05-07 | 熱交換器用銅基合金およびその製造法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH05311295A true JPH05311295A (ja) | 1993-11-22 |
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JP (1) | JP3274178B2 (ja) |
Cited By (6)
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