JPH05311295A - 熱交換器用銅基合金およびその製造法 - Google Patents

熱交換器用銅基合金およびその製造法

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JPH05311295A
JPH05311295A JP14212992A JP14212992A JPH05311295A JP H05311295 A JPH05311295 A JP H05311295A JP 14212992 A JP14212992 A JP 14212992A JP 14212992 A JP14212992 A JP 14212992A JP H05311295 A JPH05311295 A JP H05311295A
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alloy
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車等の軽量化と、それに伴う部品材質の
高信頼化という近時の業界要請に応え得る熱交換器用銅
基合金およびその製造方法の提供。 【構成】 重量%において、Zn:13.4%、Ni:0.96
%、Sn:1.02%、Mn:0.48%、P:0.05%、Ni、
Sn、Mnの合計が2.46%、Ni/Mnの重量百分率の
比率が 2.0、Ni/Pの重量百分率の比率が19.2、残部
がCuおよび不可避的不純物からなる結晶粒度 0.025mm
の銅基合金は、引張強さ37.2kgf/mm2、伸び38.2%、エ
リクセン値14.0mmの諸特性を示し、アンモニア蒸気中お
よび劣化L.L.C.中における耐応力腐食割れ性が良
好であり、熱交換器用の構成材料として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用ラジエータな
ど各種工業用や家庭用の熱交換器の構成材料として用い
られる好適かつ信頼性に富む熱交換器用銅基合金および
その製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、銅基合金は自動車用ラジエー
タあるいは各種工業用または家庭用熱交換器などに用い
られてきた。自動車用ラジエータの場合、これを構成す
るタンク、プレート、チューブおよびフィン用材として
主に用いられており、特にタンク、プレートおよびチュ
ーブについては、黄銅1種または黄銅2種といった強度
と成形加工性に優れる軟質な銅基合金が用いられてい
た。
【0003】近年、自動車の軽量化および材質の高信頼
化が強く望まれるようになり、自動車の個々の部品につ
いての軽量化および高信頼化が図られるようになった。
しかしながら、上記自動車用ラジエータに用いられてい
る黄銅1種または黄銅2種といった黄銅材は、脱亜鉛腐
食を起こしたり、応力腐食割れを起こしたりすることが
あるため、信頼性の面で問題があった。また軽量化に対
しては、必要とする成形加工性を満足した上で、さらに
強度向上が強く求められてきた。
【0004】黄銅材を部材として用いた自動車用ラジエ
ータに起こる脱亜鉛腐食や応力腐食割れは、次に挙げる
事由によるものと考えられる。通常、ラジエータは空気
により強制的に冷却するところから、空気中のSO2
NOx およびCl2 ガスなどにより腐食が生じる。ま
た、エンジンルーム内への融雪材(NaCl等)の追入
や水分の追入により、腐食しやすい環境がつくられてい
る。さらに、ラジエータ内部には冷却媒体が還流してお
り、長期間にわたって使用していると、腐食生成物や汚
れが発生し、これらの発生および蓄積によって生じる通
気差電池や、還流している液体による衝撃腐食などによ
って脱亜鉛腐食、粒界腐食または孔食等が内側から生じ
ることなどからラジエータの寿命を低下させていた。
【0005】また、上記ラジエータ内におけるロングラ
イフクーラント液(L.L.C.)は、液中に含まれて
いる防錆剤濃度の低下や、溶出した金属イオンによる腐
食のため、交換頻度を高くする必要があった。さらにま
た、ラジエータ各部は、成形加工による残留応力や、組
立時におけるかしめ等の応力が、腐食環境とあいまって
応力腐食割れを生じてしまい、液漏れ等の重大な欠陥を
引き起こすことがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述従来の
技術の問題点を解決し、耐応力腐食割れ性などの耐食性
に優れ、かつ、強度、耐力、成形加工性および半田付け
性に優れた安価な熱交換器用銅基合金およびその製造方
法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため鋭意研究したところ、従来の黄銅材に含
まれるZn成分を規制すると共に、Ni、Sn、Mnお
よびPを規制した割合で適量添加することにより、黄銅
の耐食性、特に耐応力腐食割れ性を大幅に改善し、併せ
て強度や耐力、成形加工性などの特性を向上させ得るこ
とを見い出し、本発明を達成することができた。
【0008】すなわち、本発明は第一に、重量%におい
て、Zn: 5〜25%、Ni: 0.1〜1.5 %、Sn: 0.1
〜 1.2%、Mn:0.05〜 1.2%、P: 0.001〜0.10%で
あり、かつ上記Niの重量%、Snの重量%およびMn
の重量%の合計が 0.3〜 2.5重量%、Ni/Mnの重量
百分率の比率が 1〜 5、およびNi/Pの重量百分率の
比率が 5〜50の範囲であり、残部がCuおよび不可避的
不純物からなる熱交換器用銅基合金を提供するものであ
る。
【0009】また、上記熱交換器用銅基合金は、結晶粒
度が 0.005〜0.030mm の合金として得ることが可能であ
り、この条件が満たされるときは熱交換器用銅基合金と
してさらに好ましいものとなる。また、引張強さが35kg
f/mm2 以上の合金として得ることが可能である。さらに
また、エリクセン値が10mm以上の合金として得ることが
可能である。
【0010】本発明は第二に、重量%において、Zn:
5〜25%、Ni: 0.1〜1.5 %、Sn: 0.1〜 1.2%、
Mn:0.05〜 1.2%、P: 0.001〜0.10%であり、かつ
上記Niの重量%、Snの重量%およびMnの重量%の
合計が 0.3〜 2.5重量%、Ni/Mnの重量百分率の比
率が 1〜 5、およびNi/Pの重量百分率%の比率が5
〜50の範囲であり、残部がCuおよび不可避的不純物か
らなる合金材料を再結晶化し、この再結晶の最終焼鈍
後、 1〜15%の板厚減少率で冷間圧延し、 100〜420℃
の温度で 5〜 650秒間低温焼鈍を行うことを特徴とする
熱交換器用銅基合金の製造法を提供するものである。
【0011】
【作用】本発明の合金成分の限定理由および作用を以下
に説明する。
【0012】Znは、強度、成形加工性および半田付け
部の耐熱密着性を向上させる効果を有しており、これら
の効果は、重量%においてZn含有量が 5%未満では充
分でなく、25%を超えるとNi、Sn、Mn、P存在下
であっても脱亜鉛腐食や応力腐食割れを起こしやすくな
ってしまう。(また、Ni、Sn、Mn、Pの存在下で
Zn含有量が25%を超えると熱間圧延時にサイド割れを
生じやすくなる。)そのため、本発明におけるZnの含
有量は 5〜25重量%の範囲とした。
【0013】Niは、強度、耐力、耐熱性および耐応力
腐食割れ性を向上させる効果を有しており、これらの効
果は、重量%においてNi含有量が 0.1%未満では充分
でなく、 1.5%を超えると加工性が悪くなってしまう。
そのため、本発明におけるNiの含有量は 0.1〜1.5 重
量%の範囲とした。
【0014】Snは、強度、耐脱亜鉛腐食性および耐応
力腐食割れ性を向上させる効果を有しており、これらの
効果は、重量%においてSn含有量が 0.1%未満では充
分でなく、 1.2%を超えると熱間加工性が悪化してしま
う。そのため、本発明におけるSnの含有量は 0.1〜
1.2重量%の範囲とした。
【0015】Mnは、強度および耐応力腐食割れ性を向
上させる効果の他、耐摩耗性を向上させる効果を有して
いる。この耐摩耗性を向上させる効果は、自動車用ラジ
エータの構成材料とした場合におけるL.L.C.と接
する内環境に対して特に有効である。これらの効果は、
重量%において0.05%未満では充分でなく、 1.2%を超
えると加工性が悪化してしまう。そのため、本発明にお
けるMnの含有量は0.05〜 0.2重量%の範囲とした。
【0016】また、上記NiとSnとの共添により、劣
化したL.L.C.(実際に自動車に使用して劣化した
L.L.C.を回収したもので、防錆剤が減少している
と共に、溶出金属の量が顕著である)中での耐応力腐食
割れ性を向上させる効果を示すようになり、この効果
は、Mnの添加によりさらに顕著に発現するようにな
る。すなわち、Ni、SnおよびMnの共添により、特
に劣化したL.L.C.と接触する内環境に対して優れ
た耐応力腐食割れ性および耐摩耗性を示すようになるの
である。これらの効果は、重量%においてNi、Snお
よびMnの合計量が0.3%未満では充分でなく、 2.5%
を超えると成形加工性に問題が生じてしまう。そのた
め、本発明におけるNiの含有量、Snの含有量および
Mnの含有量の合計は 0.3〜 2.5重量%の範囲とした。
【0017】Pは、溶解鋳造性、耐脱亜鉛腐食性および
耐力を向上させる効果を有しており、これらの効果は、
重量%においてP含有量が 0.001%未満では充分でな
く、0.10%を超えると応力腐食割れを起こしやすくな
り、また、熱間加工性も低下する。そのため、本発明に
おけるPの含有量は 0.001〜0.10重量%の範囲とした。
【0018】また、Ni、Sn、MnおよびPの共添に
より、主にNi−P系化合物(他にNi−Mn系、Mn
−P系化合物)が形成され、これらが結晶粒界および粒
内に均一かつ微細に分散し、次のような効果を示すよう
になる。Ni−Mn系化合物およびMn−P系化合物
は、成形加工性、耐応力腐食割れ性および耐摩耗性(特
に劣化L.L.C.と接触する内環境に対して耐応力腐
食割れ性、耐摩耗性)などを向上させる効果を示し、N
i−P系化合物は、強度、耐力、耐熱性および耐応力腐
食割れ性を向上させる効果を示す他、再結晶化時におけ
る結晶粒の微細化に寄与するようになる。
【0019】上記の効果を有効に発現させるためには、
Ni/Mnの重量百分率の比率、およびNi/Pの重量
百分率の比率を適切に制御する必要がある。すなわち、
Ni/Mnの重量百分率の比率は、 1未満では上記効果
が充分に発現せず、 5を超えると特性が低下してしまう
ため、本発明におけるNi/Mnの重量百分率の比率は
1〜 5の範囲とした。一方、Ni/Pの重量百分率の比
率は 5〜50の範囲の場合に上記効果が最も有効に発現さ
れることが確認されている。
【0020】Ni、Sn、MnおよびP含有量とZn含
有量との間には密接な関係があり、Zn含有量が低下す
ると脱亜鉛腐食や応力腐食割れの感受性は低下するが、
強度不足になるためNi、Sn、MnおよびP量を多く
しなければならない。しかしながらNi、Sn、Mnお
よびP含有量を多くすると、鋳造時の湯流れ性の低下、
熱間および冷間加工時の変形抵抗の増大や変形能の低
下、または熱処理時の被膜形成等が起こるため、製造上
不利となってしまう。したがって、Ni、Sn、Mnお
よびP量が最も少なく(Ni: 0.1〜 1.5重量%、S
n: 0.1〜 1.2重量%、Mn:0.05〜 1.2重量%および
P: 0.001〜0.10重量%、かつNi、SnおよびMnの
重量%の合計が 0.3〜 2.5重量%、Niの重量%に対す
るMnの重量%の比率が 1〜 5、およびNiの重量%に
対するPの重量%の比率は 5〜50の範囲)、かつ特性を
満足するZn量( 5〜25重量%)が最適含有量なのであ
る。
【0021】結晶粒度は、細かい程強度および耐応力腐
食割れ性が向上するが、逆に深絞り、張出し成形加工性
が低下してしまうため0.005mm 以上が望ましい。しかし
ながら、結晶粒度が 0.030mmを超えると強度および耐応
力腐食割れ性が著しく低下し、成形加工後の肌荒れが起
こりやすくなってしまう。そのため、本発明における結
晶粒度は 0.005〜 0.030mmの範囲とした。
【0022】ラジエータのタンク、プレート、フィンの
薄肉化に対応するためには、引張強さ35kgf/mm2 以上、
エリクセン値10mm以上であることが必要であり、近時の
軽量化の要求に対しては、引張強さ36kgf/mm2 以上、エ
リクセン値11mm以上であることが好ましい。また、ラジ
エータの軽量化を達成するためには、強度と成形加工性
が共に良くなるようにする必要がある。なお、前述した
耐食性の向上は、薄肉化を可能とするものである。
【0023】上述のような成分組成に調整した本発明の
銅基合金は、まず初めに、Ni−P系化合物の形成、他
にNi−Mn系、Mn−P系化合物の形成、ならびに固
溶Ni、固溶Snおよび固溶Mnの効果によって結晶粒
界におけるZnおよび不純物の偏析を抑制することによ
り、耐応力腐食割れ性の大幅な向上を図っている。その
ため、近時のラジエータのタンク、プレート、フィンに
要求される諸特性を具備した材料とすることができる。
また、上記諸特性は、鋳片から熱間圧延工程と冷間圧延
工程を経て所望の板厚にまで加工する際の製造条件を適
切にコントロールすることにより、有利に発現させるこ
とができる。以下に本発明の銅基合金の製造法の詳細を
説明する。 まず、重量%において、Zn: 5〜25%、
Ni: 0.1〜1.5 %、Sn: 0.1〜 1.2%、B:0.05〜
1.2、P: 0.001〜0.10%であり、かつ上記Niの重量
%、Snの重量%およびMnの重量%の合計が 0.3〜
2.5重量%、Ni/Mnの重量百分率の比率が 1〜 5、
およびNi/Pの重量百分率の比率が 5〜50の範囲であ
り、残部がCuおよび不可避的不純物からなる合金材料
を、溶解鋳造して鋳片(鋳塊)を作製する。なお、この
溶解鋳造は不活性ガス雰囲気中で行うことが望ましい。
次いで、この鋳片を熱間圧延して熱圧板を作製し、脱ス
ケールを行う。
【0024】次に、冷間圧延によって所要の板厚減少を
行った後、中間焼鈍を行い再結晶を得る。なお、この中
間焼鈍における焼鈍温度は、 400℃未満の温度では充分
な焼鈍が行われず、最終特性における耐応力腐食割れ性
が低くなってしまい、 650℃を超える温度では短時間で
結晶粒径が粗大化し、最終焼鈍後の特性が劣化してしま
うため、 400〜 650℃が好ましい。また、該温度範囲で
の焼鈍時間は、10分未満では充分に歪みを取り除くこと
が難しいことから後の冷間圧延工程が困難になり、 600
分を超えると結晶粒が粗大化する上、経済性を悪化させ
るため、10〜 600分間の範囲が好ましい。
【0025】中間焼鈍後、得られた再結晶物を、20〜70
%の板厚減少率で最終板厚まで冷間圧延を行う。これ
は、板厚減少率が20%未満では加工によって付与される
残留内部応力が小さすぎて、後の再結晶の最終焼鈍工程
後の最終特性における強度および硬度が充分に向上しな
くなり、70%を超えると圧延の集合組織の発達により、
機械的性質に方向性(異方性)を有してしまい、これに
よって成形性を低下させると共に残留内部応力が大きく
なるため、後の再結晶の最終焼鈍工程において充分な処
理を行うことができず、耐応力腐食割れ性を低下させて
しまうためである。
【0026】次いで、冷間圧延後の再結晶を、 400〜 7
00℃の温度で 1〜 300分間焼鈍を行う。上記焼鈍温度
は、 400℃未満では充分な焼鈍を行うことができず、特
性、耐応力腐食割れ性および成形性が低下し、 700℃を
超える温度では、所望の結晶粒径が得られず(結晶粒径
が大きくなる)、強度、耐力、硬度および耐応力腐食割
れ性が低下してしまうため、 400〜 700℃の範囲が好ま
しい。また、この温度範囲における焼鈍時間は、1分未
満では充分な焼鈍を行うことができず、前工程である冷
間圧延工程において生じた内部応力をかなり残留した状
態となり、成形加工性、耐応力腐食割れ性が低下してし
まい、 300分を超えるような長時間では経済性を損なっ
てしまうため、 1〜 300分の範囲が好ましい。
【0027】次に、上記再結晶焼鈍後に得られた合金の
薄板を、さらに 1〜15%、より好ましくは 3〜10%の板
厚減少率で冷間圧延し、その後 100〜 420℃の温度で 5
〜 650秒間低温焼鈍を行う。これは、強度、耐応力腐食
割れ性およびかしめ性(耐力)を向上させるために行わ
れるものであって、特にかしめ性は、ある形状の成形に
対する材料の適応能力の比較概念の一つであり、耐力値
に大きく依存する特性である。そのため、冷間圧延にお
ける板厚減少率は、 1%未満では板厚の制御が困難であ
る上、特性の向上が期待できず、15%を超えると残留内
部応力が大きくなり、その後の低温焼鈍を行っても特性
は向上せず、逆に耐応力腐食割れ性を低下させてしまう
ため、 1〜15%の範囲とした。
【0028】一方、低温焼鈍における焼鈍温度は、 100
℃未満では充分な回復が行われず、上記冷間圧延で生じ
た内部応力がかなり残留し、耐応力腐食割れ性および成
形加工性が低下してしまい、 420℃を超えると強度、耐
力および硬度が低下してしまうため、 100〜 420℃の範
囲とした。また、該焼鈍温度における焼鈍時間は、 5秒
未満では充分な低温焼鈍の効果が現れず、 650秒を超え
ると強度、耐力および硬度が低下する上、経済的な面か
らも好ましくないため、 5〜 650秒の範囲とした。
【0029】以上詳述したような加工および熱処理、特
に最終の再結晶焼鈍後の冷間圧延および低温焼鈍を行う
ことにより、Ni−Mn系化合物、Mn−P系化合物お
よびNi−P系化合物が結晶粒界および結晶粒内に均一
かつ微細に分散した組織を有する銅基合金の薄板が得ら
れるようになる。また、この銅基合金は、強度、かしめ
性(耐力)、深絞り性(エリクセン値)、耐応力腐食割
れ性、成形加工性、耐摩耗性に優れているため、自動車
用ラジエータ(軽量化や高信頼化などが可能である)を
はじめ、各種工業用または家庭用の熱交換器の構成材料
として極めて好適なものである。また、電気、電子部品
用材料としても十分使用可能である。
【0030】以下、実施例により本発明をさらに詳細に
説明する。しかし本発明の範囲は、以下の実施例により
制限されるものではない。
【0031】
【実施例】表1ないし3にその化学成分値(重量%)を
示す合金材料(試料 No. 1〜20:No. 1 〜 6は本発明の
合金の材料、No. 7 〜17は比較合金の材料、No.18 〜20
は従来の合金の材料)を高周波溶解炉を用いて溶製し、
40mm×40mm×140mm の鋳塊に鋳造した。なお、上記溶製
は、溶解鋳造雰囲気を完全に不活性ガスでシールドして
行った。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】 次いで、各鋳塊を面削した後40mm×40mm×15mmの大きさ
に切断し、この鋳片を810℃で熱間圧延して厚さ5mm の
熱延板を得、得られた熱延板を1.5mm まで冷延し、500
〜550 ℃の温度で焼鈍した。焼鈍後、これを水で急冷
し、さらに酸洗した後厚さ0.55mmまで冷延し、400 〜60
0 ℃の温度で結晶粒径が 0.025mmになるように焼鈍し
た。但し、 No.17の試料は 650℃で焼鈍し、結晶粒径を
0.060mmとした。なお、結晶粒度はJIS H 0501を参考に
して求めた。
【0035】次に、これらの試料を0.51mmまで冷間圧延
し(加工率 7.3%)、 100〜 400℃で 100〜 600秒間低
温焼鈍を行った( No.17の試料は 0.060mmの結晶粒径、
それ以外の試料の結晶粒径は 0.025mmとなるようにし
た)。低温焼鈍後、得られた板材を酸洗し、バフ研磨し
て表面粗さをRmax 1.5μm以下に調整した。なお、こ
こで得られた各試料の引張強さ、伸び、エリクセン値お
よび耐応力腐食割れ性を調べ、その結果を表1ないし3
に併記した。
【0036】引張強さ、伸びおよびエリクセン値の測定
は、それぞれJIS Z 2241、およびJIS Z 2247(A法)に
従って行った。耐応力腐食割れ性については、市販のア
ンモニア水(25〜28%)を純水で薄め、約13%とした液
をデシケータ底部に入れ、次いで中央部の応力が10kgf/
mm2 になるようにアーチ状に曲げた試験片をその保持具
と共にデシケータ内に置き、常温下で保持し、各所定時
間経過毎に、これらの試験片をデシケータ内より取り出
し、充分に水洗を行った後、実体顕微鏡で試験片表面を
40倍に拡大して観察し、割れ発生時間を測定した。
【0037】また、耐応力腐食割れ性の評価として、実
際に自動車に使用して回収した劣化L.L.C.(ロン
グライフクーラント液)の中にアーチ状に曲げた試験片
を浸漬し、70〜90℃に保持して 300時間経過後および 8
00時間経過後に、これらの試験片を取り出し、充分に水
洗を行った後、実体顕微鏡で試験片表面を40倍に拡大し
て割れ発生の有無を検査し、その結果を表1ないし3に
併記した。なお、表1ないし3における丸印は、表面変
色のみで割れが発生していなかったもの、三角印は、割
れは発生していないが腐食が顕著であったもの、バツ印
は、割れが発生していたものを示す。
【0038】上記劣化L.L.C.を用いた耐応力腐食
割れ性の評価方法は、自動車用ラジエータの構成材料と
しての特性を判断する上で極めて信頼性の高い有効な方
法である。
【0039】表1ないし3の結果より、以下のことが判
明した。本発明の好ましい態様である試料No.1〜No.6の
合金は、引張強さ、伸び、エリクセン値、加工性および
半田付け性に優れ、かつ耐応力腐食割れ性が良好であり
(L.L.C.と接触する内部環境に対する耐応力腐食
割れ性も良好)、しかも高価な金属の多量使用がなく安
価である。そのため、自動車用ラジエータをはじめ、あ
らゆる熱交換器の構成材料として非常に優れた合金であ
ることが分る。
【0040】これに対し、Znが本発明で規定する量よ
り少ない試料No.7の試料は、強度が低い上、高価なCu
含有量が多く原料費が高騰してしまうため、工業材料と
して不適当であることが分かる。逆に、Ni、Sn、M
n、Pは本発明で規定する量であるが、Znが本発明で
規定する量よりも多い試料No.8の試料は、熱間圧延の途
中で割れが発生してしまい製造することができなかっ
た。
【0041】Mnが本発明で規定する量より多く、Ni
の重量%に対するMnの重量%の比が本発明で規定する
値より小さい試料No.9の試料は、伸びおよび耐応力腐食
割れ性が劣っていることが分かる。また、Niを含まな
い試料 No.10の試料は、強度および伸びが低く、耐応力
腐食割れ性の面でも劣っていることがわかる。さらに、
Snが本発明で規定する量より多い試料 No.11の試料
は、熱間圧延時に割れが発生してしまい製造することが
できなかった。
【0042】Ni、Sn、MnおよびPの各成分が本発
明で規定する量であるが、Ni+Sn+Mn量が本発明
で規定する量よりも少ない試料 No.12の試料は、耐応力
腐食割れ性が低いことが分かる。逆に、Ni、Sn、M
nおよびPの各成分が本発明で規定する量であるが、N
i+Sn+Mn量が本発明で規定する量よりも多い試料
No.13の試料は、熱間圧延時に割れが発生してしまい製
造することができなかった。
【0043】Niの重量%に対するMnの重量%の比率
が本発明で規定する値より低い試料No.14の試料は、耐
応力腐食割れ性が劣っていることが分かる。また、Ni
の重量%に対するMnの重量%の比率が本発明で規定す
る値より高い試料 No.15の試料は、熱間圧延の途中で割
れが発生してしまい、製造することができなかった。さ
らに、Niの重量%に対するPの重量%の比率が本発明
で規定する値より高い試料 No.16の試料は、耐応力腐食
割れ性に劣っていることが分かる。また、Zn、Ni、
Sn、Mn、Pの各成分およびNi+Sn+Mn量、N
i/Mn比、Ni/P比がそれぞれ本発明で規定する量
であっても、結晶粒径が大きい試料 No.17の試料は、強
度、伸び、耐応力腐食割れ性に劣っている。
【0044】Mnのみを含む試料 No.18の試料は、強度
および耐応力腐食割れ性が低いことが分かる。また、N
i、Sn、MnおよびPを含まない従来の黄銅材である
試料No.19および20の試料は、強度の面でも、耐応力腐
食割れ性の面でも劣っていることが分かる。
【0045】
【発明の効果】上述のように本発明に係る銅基合金は、
熱交換器、特に自動車用ラジエーターの構成材料として
強度、成形加工性および耐応力腐食割れ性(L.L.
C.と接触する内環境に対する耐応力腐食割れ性を含
む)に優れた特性を有するものであり、近時各分野で所
望される熱交換器の軽量化、高信頼化、低コスト化に対
して十分に対応できるものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%において、Zn: 5〜25%、N
    i: 0.1〜1.5 %、Sn: 0.1〜 1.2%、Mn:0.05〜
    1.2%、P: 0.001〜0.10%であり、かつ上記Niの重
    量%、Snの重量%およびMnの重量%の合計が 0.3〜
    2.5重量%、Ni/Mnの重量百分率の比率が 1〜 5、
    およびNi/Pの重量百分率の比率が 5〜50の範囲であ
    り、残部がCuおよび不可避的不純物からなる熱交換器
    用銅基合金。
  2. 【請求項2】 結晶粒度が 0.005〜 0.030mmである請求
    項1記載の熱交換器用銅基合金。
  3. 【請求項3】 引張強さが35kgf/mm2 以上およびエリク
    セン値が10mm以上である請求項1および2記載の熱交換
    器用銅基合金。
  4. 【請求項4】 重量%において、Zn: 5〜25%、N
    i: 0.1〜1.5 %、Sn: 0.1〜 1.2%、Mn:0.05〜
    1.2%、P: 0.001〜0.10%であり、かつ上記Niの重
    量%、Snの重量%およびMnの重量%の合計が 0.3〜
    2.5重量%、Ni/Mnの重量百分率の比率が 1〜 5、
    およびNi/Pの重量百分率の比率が 5〜50の範囲であ
    り、残部がCuおよび不可避的不純物からなる合金材料
    を再結晶化し、この再結晶の最終焼鈍後、 1〜15%の板
    厚減少率で冷間圧延し、 100〜 420℃の温度で 5〜 650
    秒間低温焼鈍を行うことを特徴とする熱交換器用銅基合
    金の製造法。
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