JPH05311202A - 軟質磁性焼結物品の製造方法 - Google Patents
軟質磁性焼結物品の製造方法Info
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- JPH05311202A JPH05311202A JP4115755A JP11575592A JPH05311202A JP H05311202 A JPH05311202 A JP H05311202A JP 4115755 A JP4115755 A JP 4115755A JP 11575592 A JP11575592 A JP 11575592A JP H05311202 A JPH05311202 A JP H05311202A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 炭素および酸素含有量が共に少ない磁気特性
の良好な軟質磁性焼結物品を製造する方法を提供するこ
とである。 【構成】 金属粉末と、該金属粉末中に含有される酸素
のモル数より多いモル数の炭素と、有機物よりなるバイ
ンダーとを混練して得た混練体を成形するか、あるいは
酸素のモル数よりも炭素のモル数の多いように組成を調
整した金属粉末と有機物よりなるバインダーとを混練し
て得た混練体を成形して得た成形体を、脱脂、焼結した
後、脱炭熱処理を行うことを特徴とする軟質磁性焼結物
品の製造方法である。
の良好な軟質磁性焼結物品を製造する方法を提供するこ
とである。 【構成】 金属粉末と、該金属粉末中に含有される酸素
のモル数より多いモル数の炭素と、有機物よりなるバイ
ンダーとを混練して得た混練体を成形するか、あるいは
酸素のモル数よりも炭素のモル数の多いように組成を調
整した金属粉末と有機物よりなるバインダーとを混練し
て得た混練体を成形して得た成形体を、脱脂、焼結した
後、脱炭熱処理を行うことを特徴とする軟質磁性焼結物
品の製造方法である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は軟質磁性焼結物品の製造
方法に関する。
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属製の部品を製造する方法の1
つとして、金属粉末原料に1種あるいは数種類の有機物
よりなるバインダーを配合、混練し、その混練体を射出
成形や押し出し成形などにより所望の形状に成形した
後、バインダーを除去し、焼結して部品を得るという方
法が用いらている。これらの成形に使用される金属粉末
には、良好な焼結性を得るために通常 30μm以下、平均
粒径10μm程度の微粉末が必要であるため、水アトマイ
ズ法によって得られた金属粉末を使用することが多い。
この水アトマイズ法で製造された粉末は、アトマイズ工
程の途中で酸素と反応し、金属表面が酸化され、酸素含
有量が多くなる。このような酸素含有量の多い金属粉末
をそのまま使用すると、焼結時に金属粉末表面の酸化膜
が十分に還元されず焼結性が悪くなり、その結果、得ら
れた焼結体の密度が低くなるという問題があった。
つとして、金属粉末原料に1種あるいは数種類の有機物
よりなるバインダーを配合、混練し、その混練体を射出
成形や押し出し成形などにより所望の形状に成形した
後、バインダーを除去し、焼結して部品を得るという方
法が用いらている。これらの成形に使用される金属粉末
には、良好な焼結性を得るために通常 30μm以下、平均
粒径10μm程度の微粉末が必要であるため、水アトマイ
ズ法によって得られた金属粉末を使用することが多い。
この水アトマイズ法で製造された粉末は、アトマイズ工
程の途中で酸素と反応し、金属表面が酸化され、酸素含
有量が多くなる。このような酸素含有量の多い金属粉末
をそのまま使用すると、焼結時に金属粉末表面の酸化膜
が十分に還元されず焼結性が悪くなり、その結果、得ら
れた焼結体の密度が低くなるという問題があった。
【0003】上述のような問題を解決する1つの方法と
して、金属粉末に炭素粉末を添加して焼結後の酸素量の
低減を図るという方法や、予め炭素量を多く含有させた
金属粉末を製造し焼結後の酸素量の低減を図るという方
法が採られている。例えば、特開平3−39402号公
報には、金属粉末中の酸素と化学量論的に一致する量の
炭素粉末を添加し、焼結時のCO反応により酸素を低減
するという方法が、特開平3−13501号公報には、
炭素に比べて酸素の存在が磁気特性に大きく影響するこ
とから酸素を極力除去するために炭素を過剰に添加する
ことが開示されている。
して、金属粉末に炭素粉末を添加して焼結後の酸素量の
低減を図るという方法や、予め炭素量を多く含有させた
金属粉末を製造し焼結後の酸素量の低減を図るという方
法が採られている。例えば、特開平3−39402号公
報には、金属粉末中の酸素と化学量論的に一致する量の
炭素粉末を添加し、焼結時のCO反応により酸素を低減
するという方法が、特開平3−13501号公報には、
炭素に比べて酸素の存在が磁気特性に大きく影響するこ
とから酸素を極力除去するために炭素を過剰に添加する
ことが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した特開平3−3
9402号公報に記載の方法においては、確かに炭素の
添加により酸素の低減が可能であるが、常に過不足なく
炭素粉末を添加することは困難であり、ばらつきのため
焼結後の炭素あるいは酸素のどちらかが残留してしま
う。また特開平3−13501号公報には炭素を過剰添
加することで酸素量を効果的に低減する方法が開示され
ているが、この方法では過剰に添加した炭素の残留が避
けられず、磁気特性が劣化するという問題があった。さ
らに炭素の含有は焼結体表面の金属光沢を鈍らせるとと
もに、めっき性を劣化する原因にもなるため、できるだ
け少ない方が好ましい。本発明の目的は、炭素および酸
素含有量が共に少ない磁気特性の良好な軟質磁性焼結物
品を製造する方法を提供することである。
9402号公報に記載の方法においては、確かに炭素の
添加により酸素の低減が可能であるが、常に過不足なく
炭素粉末を添加することは困難であり、ばらつきのため
焼結後の炭素あるいは酸素のどちらかが残留してしま
う。また特開平3−13501号公報には炭素を過剰添
加することで酸素量を効果的に低減する方法が開示され
ているが、この方法では過剰に添加した炭素の残留が避
けられず、磁気特性が劣化するという問題があった。さ
らに炭素の含有は焼結体表面の金属光沢を鈍らせるとと
もに、めっき性を劣化する原因にもなるため、できるだ
け少ない方が好ましい。本発明の目的は、炭素および酸
素含有量が共に少ない磁気特性の良好な軟質磁性焼結物
品を製造する方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、焼結した後
に意図的に脱炭を目的とする加熱処理を追加することに
より、残留する炭素が低減できることを見出し本発明に
到達した。特に本発明の対象は、軟質磁性を有する焼結
部品であり、脱炭のための加熱処理を磁性焼鈍と兼ねて
も行なえるという大きな特徴を有するものである。すな
わち本発明は、金属粉末と、該金属粉末中に含有される
酸素モル数より多いモル数の炭素と、有機物よりなるバ
インダーとを混練して得た混練体を成形し、脱脂、焼結
した後、脱炭熱処理を行うことを特徴とする軟質磁性焼
結物品の製造方法である。またもう一つの本発明は酸素
のモル数よりも炭素のモル数の多いように組成を調整し
た金属粉末と有機物よりなるバインダーとを混練して得
た混練体を成形し、脱脂、焼結した後、脱炭熱処理を行
うことを特徴とする軟質磁性焼結物品の製造方法であ
る。本発明に使用する金属粉末が水アトマイズによって
得た金属粉末に対して、本発明の製造方法を適用するこ
とが特に好ましい。また本発明の脱炭熱処理は磁性焼鈍
を兼ねることができる点にも大きな特徴がある。
に意図的に脱炭を目的とする加熱処理を追加することに
より、残留する炭素が低減できることを見出し本発明に
到達した。特に本発明の対象は、軟質磁性を有する焼結
部品であり、脱炭のための加熱処理を磁性焼鈍と兼ねて
も行なえるという大きな特徴を有するものである。すな
わち本発明は、金属粉末と、該金属粉末中に含有される
酸素モル数より多いモル数の炭素と、有機物よりなるバ
インダーとを混練して得た混練体を成形し、脱脂、焼結
した後、脱炭熱処理を行うことを特徴とする軟質磁性焼
結物品の製造方法である。またもう一つの本発明は酸素
のモル数よりも炭素のモル数の多いように組成を調整し
た金属粉末と有機物よりなるバインダーとを混練して得
た混練体を成形し、脱脂、焼結した後、脱炭熱処理を行
うことを特徴とする軟質磁性焼結物品の製造方法であ
る。本発明に使用する金属粉末が水アトマイズによって
得た金属粉末に対して、本発明の製造方法を適用するこ
とが特に好ましい。また本発明の脱炭熱処理は磁性焼鈍
を兼ねることができる点にも大きな特徴がある。
【0006】
【作用】本発明の根幹をなす技術は、まずはじめに焼結
体の酸素量を十分に低減するために、金属粉末中の酸素
モル数より多いの炭素モル数を有するように調整を行
い、CO反応により酸素量が十分に低い焼結体を得、そ
の後残留する炭素を脱炭熱処理して低減することによ
り、炭素および酸素が共に少ない軟磁性焼結物品を得る
というものである。本発明において、原料粉末の炭素、
酸素モル数の調整方法としては、金属粉末に炭素粉末を
添加し混合してもよいし、酸素のモル数よりも炭素のモ
ル数の多いように組成を調整した金属粉末を使用しても
よい。金属粉末からの酸素の低減は焼結時に起こる、主
として次式のCO反応による。
体の酸素量を十分に低減するために、金属粉末中の酸素
モル数より多いの炭素モル数を有するように調整を行
い、CO反応により酸素量が十分に低い焼結体を得、そ
の後残留する炭素を脱炭熱処理して低減することによ
り、炭素および酸素が共に少ない軟磁性焼結物品を得る
というものである。本発明において、原料粉末の炭素、
酸素モル数の調整方法としては、金属粉末に炭素粉末を
添加し混合してもよいし、酸素のモル数よりも炭素のモ
ル数の多いように組成を調整した金属粉末を使用しても
よい。金属粉末からの酸素の低減は焼結時に起こる、主
として次式のCO反応による。
【0007】
【化1】
【0008】本発明で得られる成形体には、成形体中の
金属粉末に含まれる酸素のモル数よりも炭素のモル数が
多いため、上述した焼結時のCO反応により、酸素を著
しく低減することができる。本発明では相対密度90%
以上である焼結体を得た後、この焼結体に対してさらに
脱炭のための加熱処理を行う、これが脱炭熱処理であ
る。焼結は、焼結炉を用いてバッチ式に行われるが、各
個体間での焼結を防ぐため、成形体毎に焼結炉内に十分
な間隔を設ける必要があり、また焼結時の変形を防止す
るため昇温速度は5℃/分程度と極めて遅いため、焼結
炉での滞留時間がながく、処理量も制限されている。し
たがって、焼結の加熱時間を長くして脱炭を進行させ、
焼結炉での滞留時間を長くするよりも、焼結体を焼結炉
から取り出し別の炉で脱炭熱処理を行うのが好ましい。
金属粉末に含まれる酸素のモル数よりも炭素のモル数が
多いため、上述した焼結時のCO反応により、酸素を著
しく低減することができる。本発明では相対密度90%
以上である焼結体を得た後、この焼結体に対してさらに
脱炭のための加熱処理を行う、これが脱炭熱処理であ
る。焼結は、焼結炉を用いてバッチ式に行われるが、各
個体間での焼結を防ぐため、成形体毎に焼結炉内に十分
な間隔を設ける必要があり、また焼結時の変形を防止す
るため昇温速度は5℃/分程度と極めて遅いため、焼結
炉での滞留時間がながく、処理量も制限されている。し
たがって、焼結の加熱時間を長くして脱炭を進行させ、
焼結炉での滞留時間を長くするよりも、焼結体を焼結炉
から取り出し別の炉で脱炭熱処理を行うのが好ましい。
【0009】これは焼結体となった後は、加熱による収
縮、変形はほとんどないため、焼結体は炉内で接触しな
ければよく、昇温速度が早いものであっても問題ないた
め、焼結炉よりも小さい炉であっても、多量の脱炭熱処
理が可能であるからである。この脱炭熱処理の温度は高
い方が焼結体中の炭素量を減少させるには効果的であ
り、好ましくは800℃以上である。また、雰囲気は酸
化を防ぐために、水素中あるいは減圧雰囲気で行うのが
好ましい。磁性合金は、焼結後に残留歪の解消や規則格
子の生成などによって軟磁気特性を高める磁性焼鈍と呼
ばれる加熱処理を行う場合がある。本発明の脱炭熱処理
はこの磁性焼鈍を兼ねて行うことができ、そうすること
によって時間効率よく低炭素,低酸素の優れた軟磁気特
性を有する焼結物品を得ることができる。
縮、変形はほとんどないため、焼結体は炉内で接触しな
ければよく、昇温速度が早いものであっても問題ないた
め、焼結炉よりも小さい炉であっても、多量の脱炭熱処
理が可能であるからである。この脱炭熱処理の温度は高
い方が焼結体中の炭素量を減少させるには効果的であ
り、好ましくは800℃以上である。また、雰囲気は酸
化を防ぐために、水素中あるいは減圧雰囲気で行うのが
好ましい。磁性合金は、焼結後に残留歪の解消や規則格
子の生成などによって軟磁気特性を高める磁性焼鈍と呼
ばれる加熱処理を行う場合がある。本発明の脱炭熱処理
はこの磁性焼鈍を兼ねて行うことができ、そうすること
によって時間効率よく低炭素,低酸素の優れた軟磁気特
性を有する焼結物品を得ることができる。
【0010】本発明で使用する混練体から成形体を得る
方法としては射出成形あるいは押し出し成形、プレス成
形等が使用できる。特に射出成形あるいは押し出し成形
などの混練体に流動性が要求される方法を用いる場合に
は、使用する金属粉末の粒径も小さく、酸化することが
多いため、本発明の方法を適用することが好ましい。本
発明において、焼結体中の残留した炭素量を減少させる
ための脱炭熱処理は、炭素を含まない炉で行うことが好
ましい。炭素源が存在すると、加熱によって雰囲気中に
炭素が存在するため焼結体の脱炭が進行しにくいためで
ある。
方法としては射出成形あるいは押し出し成形、プレス成
形等が使用できる。特に射出成形あるいは押し出し成形
などの混練体に流動性が要求される方法を用いる場合に
は、使用する金属粉末の粒径も小さく、酸化することが
多いため、本発明の方法を適用することが好ましい。本
発明において、焼結体中の残留した炭素量を減少させる
ための脱炭熱処理は、炭素を含まない炉で行うことが好
ましい。炭素源が存在すると、加熱によって雰囲気中に
炭素が存在するため焼結体の脱炭が進行しにくいためで
ある。
【0011】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に
説明する。 (実施例1)水アトマイズ法により、表1に示す組成の
Fe−Ni系合金粉末およびFe-Co系合金粉末を用意
し、それぞれに合金粉末中に含有する酸素のモル数より
多量の炭素粉末を添加して表2に示す組成の混合粉を得
た。
説明する。 (実施例1)水アトマイズ法により、表1に示す組成の
Fe−Ni系合金粉末およびFe-Co系合金粉末を用意
し、それぞれに合金粉末中に含有する酸素のモル数より
多量の炭素粉末を添加して表2に示す組成の混合粉を得
た。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】得られた混合粉を有機バインダーとを混練
した後、φ45mm×φ35mm×3tのリング状に射出成形し
た。次に昇温速度 20℃/時間で昇温し、600℃で3時間保
持して脱脂を行なった。この時の雰囲気は大気圧の水素
気流中とし、水素の流量は20リットル/分とした。焼結
は10マイナス2乗Torrの減圧雰囲気中、1250℃、保持時
間1時間の条件で行い、その後80℃/分で室温まで冷却
した。得られた焼結体は90%以上の相対密度を有してい
た。この焼結体に対して、大気圧の純水素中で1200℃で
3時間保持した後3℃/分で炉冷する脱炭熱処理を行なっ
た。焼結後および脱炭熱処理後の炭素、酸素量を表3に
示す。また焼結後および脱炭熱処理後の焼結体の保磁力
(Hc)、最大透磁率(μm)、800A/mおよび2000A/mの磁場
における磁束密度B800およびB2000を測定した。その磁
気特性を表4に示す。
した後、φ45mm×φ35mm×3tのリング状に射出成形し
た。次に昇温速度 20℃/時間で昇温し、600℃で3時間保
持して脱脂を行なった。この時の雰囲気は大気圧の水素
気流中とし、水素の流量は20リットル/分とした。焼結
は10マイナス2乗Torrの減圧雰囲気中、1250℃、保持時
間1時間の条件で行い、その後80℃/分で室温まで冷却
した。得られた焼結体は90%以上の相対密度を有してい
た。この焼結体に対して、大気圧の純水素中で1200℃で
3時間保持した後3℃/分で炉冷する脱炭熱処理を行なっ
た。焼結後および脱炭熱処理後の炭素、酸素量を表3に
示す。また焼結後および脱炭熱処理後の焼結体の保磁力
(Hc)、最大透磁率(μm)、800A/mおよび2000A/mの磁場
における磁束密度B800およびB2000を測定した。その磁
気特性を表4に示す。
【0015】
【表3】
【0016】
【表4】
【0017】表3よりFe−Ni合金およびFe−Co
合金ともに焼結後に脱炭熱処理を実施することにより、
焼結時点で残留した炭素の大部分が除去できたことがわ
かる。また表4より本発明の脱炭熱処理により、保磁力
が下がり、最大透磁率および飽和磁束密度が上昇し、軟
磁気特性が向上したことがわかる。これは、脱炭熱処理
により炭素の除去されたことおよび熱処理が磁性焼鈍の
効果を果たしたことによると考えられる。
合金ともに焼結後に脱炭熱処理を実施することにより、
焼結時点で残留した炭素の大部分が除去できたことがわ
かる。また表4より本発明の脱炭熱処理により、保磁力
が下がり、最大透磁率および飽和磁束密度が上昇し、軟
磁気特性が向上したことがわかる。これは、脱炭熱処理
により炭素の除去されたことおよび熱処理が磁性焼鈍の
効果を果たしたことによると考えられる。
【0018】(実施例2)実施例1と同様にして成分調
整を行った表2に示す混合粉に、有機物でなるバインダ
ーを加え混練し、押し出し成形によりφ20mm×φ10mm×
300Lの中空棒状に成形し、これを切断して、φ20mm×φ
10mm×5tのリングを得た。得られたリングに対して脱脂
を実施例1と同じ条件で行ない、次に10マイナス3乗Tor
rの減圧雰囲気中、1300℃、保持時間1時間で焼結を行
い、その後80℃/分で冷却を行った。なお、脱脂、焼結
は窒化アルミニウム粉末を塗ったカーボントレイ上で行
った。この焼結体をセラミックトレイ上に移し、別のモ
リブデンヒーター炉で10マイナス3乗Torrの減圧雰囲気
中で1300℃、2時間保持し3℃/分で炉冷する脱炭熱処理
を行った。焼結後の炭素、酸素量および脱炭熱処理後の
炭素、酸素量および磁気特性を表5に示す。
整を行った表2に示す混合粉に、有機物でなるバインダ
ーを加え混練し、押し出し成形によりφ20mm×φ10mm×
300Lの中空棒状に成形し、これを切断して、φ20mm×φ
10mm×5tのリングを得た。得られたリングに対して脱脂
を実施例1と同じ条件で行ない、次に10マイナス3乗Tor
rの減圧雰囲気中、1300℃、保持時間1時間で焼結を行
い、その後80℃/分で冷却を行った。なお、脱脂、焼結
は窒化アルミニウム粉末を塗ったカーボントレイ上で行
った。この焼結体をセラミックトレイ上に移し、別のモ
リブデンヒーター炉で10マイナス3乗Torrの減圧雰囲気
中で1300℃、2時間保持し3℃/分で炉冷する脱炭熱処理
を行った。焼結後の炭素、酸素量および脱炭熱処理後の
炭素、酸素量および磁気特性を表5に示す。
【0019】比較例として、1300℃で保持時間を1,3,5,
7時間と変えて同じ焼結炉を用いて焼結を行い、その後
それぞれの試料を3℃/分で炉冷した。比較例の試料の焼
結後の炭素、酸素量と磁気特性を表5に併せて示す。
7時間と変えて同じ焼結炉を用いて焼結を行い、その後
それぞれの試料を3℃/分で炉冷した。比較例の試料の焼
結後の炭素、酸素量と磁気特性を表5に併せて示す。
【0020】
【表5】
【0021】表5に示すように、Fe−Ni系合金の本
発明の試料No.1、Fe−Co系合金の本発明の試料No.6
ともに2時間保持の脱炭熱処理で炭素量が0.01wt%程度ま
で低減できており、また磁気特性も良好であった。それ
に対して、比較例では焼結時間7時間(試料No.5,10)で
も炭素量は0.01wt%までは低減できていない。また、磁
気特性は焼結時間1時間および3時間(試料No.2,3,7,8)
では残留炭素量が多く、磁気特性も本発明例に劣る。焼
結時間5時間以上(試料No.4,5,9,10)の長時間でようや
く本発明の試料とほぼ同等の磁気特性を有するようにな
る。このように、炭素源を含まない炉で脱炭熱処理を行
うことは、短時間で炭素を低減する効果があることがわ
かる。
発明の試料No.1、Fe−Co系合金の本発明の試料No.6
ともに2時間保持の脱炭熱処理で炭素量が0.01wt%程度ま
で低減できており、また磁気特性も良好であった。それ
に対して、比較例では焼結時間7時間(試料No.5,10)で
も炭素量は0.01wt%までは低減できていない。また、磁
気特性は焼結時間1時間および3時間(試料No.2,3,7,8)
では残留炭素量が多く、磁気特性も本発明例に劣る。焼
結時間5時間以上(試料No.4,5,9,10)の長時間でようや
く本発明の試料とほぼ同等の磁気特性を有するようにな
る。このように、炭素源を含まない炉で脱炭熱処理を行
うことは、短時間で炭素を低減する効果があることがわ
かる。
【0022】(実施例3)水アトマイズ法により、表6
に示す炭素を含むFe−Ni合金粉末およびFe−Co
合金粉末を製造した。表6に示すようにどちらの合金も
酸素より炭素の原子量が多くなるように調整したもので
ある。これらの粉末と有機バインダーとを混練した後、
φ45mm×φ35mm×3tのリング状に射出成形した。この射
出成形体に対して実施例1と同様に脱脂、焼結、脱炭熱
処理を行った。焼結後および脱炭熱処理後の炭素および
酸素量、および脱炭熱処理後の磁気特性を表7に示す。
表7より、Fe−Ni合金、Fe−Co合金ともに脱炭
熱処理により、炭素量の低減と酸素量の低減が達成で
き、しかも実施例1と同等の磁気特性が得られた。これ
より合金として炭素を添加しても、炭素粉末として添加
するのと同等の効果が得られることがわかった。
に示す炭素を含むFe−Ni合金粉末およびFe−Co
合金粉末を製造した。表6に示すようにどちらの合金も
酸素より炭素の原子量が多くなるように調整したもので
ある。これらの粉末と有機バインダーとを混練した後、
φ45mm×φ35mm×3tのリング状に射出成形した。この射
出成形体に対して実施例1と同様に脱脂、焼結、脱炭熱
処理を行った。焼結後および脱炭熱処理後の炭素および
酸素量、および脱炭熱処理後の磁気特性を表7に示す。
表7より、Fe−Ni合金、Fe−Co合金ともに脱炭
熱処理により、炭素量の低減と酸素量の低減が達成で
き、しかも実施例1と同等の磁気特性が得られた。これ
より合金として炭素を添加しても、炭素粉末として添加
するのと同等の効果が得られることがわかった。
【0023】
【表6】
【0024】
【表7】
【0025】
【発明の効果】本発明の脱炭熱処理によれば、焼結後に
炭素量を低減するため、原料に炭素を多く添加でき、磁
気特性を劣化させる酸素除去に有効である。また酸素と
ともに炭素の含有量も十分に低減するため、炭素の残留
による磁気特性の劣化もなくなる。さらに、炭素残留に
より軟質磁性焼結物品の金属光沢が鈍ることや、めっき
性が劣化する問題を解消できるという利点がある。特
に、脱炭熱処理を磁性焼鈍と兼ねて行なえば、特別な工
程の付加がなくても炭素および酸素の含有量の少ない磁
気特性の優れた焼結部品を得ることができるので工業上
の効果は大きい。本発明は特に酸化しやすい水アトマイ
ズ粉末を使用する場合の酸素除去に効果がある。
炭素量を低減するため、原料に炭素を多く添加でき、磁
気特性を劣化させる酸素除去に有効である。また酸素と
ともに炭素の含有量も十分に低減するため、炭素の残留
による磁気特性の劣化もなくなる。さらに、炭素残留に
より軟質磁性焼結物品の金属光沢が鈍ることや、めっき
性が劣化する問題を解消できるという利点がある。特
に、脱炭熱処理を磁性焼鈍と兼ねて行なえば、特別な工
程の付加がなくても炭素および酸素の含有量の少ない磁
気特性の優れた焼結部品を得ることができるので工業上
の効果は大きい。本発明は特に酸化しやすい水アトマイ
ズ粉末を使用する場合の酸素除去に効果がある。
Claims (3)
- 【請求項1】 金属粉末と、該金属粉末中に含有される
酸素のモル数より多いモル数の炭素と、有機物よりなる
バインダーとを混練して得た混練体を成形し、脱脂、焼
結した後、脱炭熱処理を行うことを特徴とする軟質磁性
焼結物品の製造方法。 - 【請求項2】 酸素のモル数よりも炭素のモル数の多い
ように組成を調整した金属粉末と有機物よりなるバイン
ダーとを混練して得た混練体を成形し、脱脂、焼結した
後、脱炭熱処理を行うことを特徴とする軟質磁性焼結物
品の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1ないし2に記載の脱炭熱処理は
磁性焼鈍を兼ねて行うことを特徴とする軟質磁性焼結物
品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4115755A JPH05311202A (ja) | 1992-05-08 | 1992-05-08 | 軟質磁性焼結物品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4115755A JPH05311202A (ja) | 1992-05-08 | 1992-05-08 | 軟質磁性焼結物品の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05311202A true JPH05311202A (ja) | 1993-11-22 |
Family
ID=14670250
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4115755A Pending JPH05311202A (ja) | 1992-05-08 | 1992-05-08 | 軟質磁性焼結物品の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05311202A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20160087700A (ko) * | 2015-01-14 | 2016-07-22 | 현대자동차주식회사 | 크랭크 포지션 센서 휠 및 그 제조방법 |
JP2018178254A (ja) * | 2017-04-13 | 2018-11-15 | Dowaエレクトロニクス株式会社 | Fe−Ni系合金粉末およびその製造方法 |
CN111774570A (zh) * | 2020-07-15 | 2020-10-16 | 深圳市泛海统联精密制造股份有限公司 | 一种金属注塑成型用粉末材料和加工方法 |
-
1992
- 1992-05-08 JP JP4115755A patent/JPH05311202A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20160087700A (ko) * | 2015-01-14 | 2016-07-22 | 현대자동차주식회사 | 크랭크 포지션 센서 휠 및 그 제조방법 |
JP2018178254A (ja) * | 2017-04-13 | 2018-11-15 | Dowaエレクトロニクス株式会社 | Fe−Ni系合金粉末およびその製造方法 |
CN111774570A (zh) * | 2020-07-15 | 2020-10-16 | 深圳市泛海统联精密制造股份有限公司 | 一种金属注塑成型用粉末材料和加工方法 |
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