JPH0531107U - 蓄電池用排気栓 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電池内ガス発生による電解液霧の外部排出を
防止した蓄電池用排気栓を提供する。 【構成】 蓄電池の蓋の開口に連通する底部開口５と外
部に開口する通気口９を設けて成る栓体２の内部に、ガ
ス透過性で液不透過性の材料からなる隔壁３を、該連通
用開口５と該通気口９との間に介在せしめて成る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、蓄電池用排気栓に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の蓄電池として、充電時に電気分解に伴い発生する酸素、水素ガスを外部 に排出するため、各セル室に対応して設けた開口部に、排気栓を夫々取り付け、 これら排気栓を対向する相互の通気口に接続管で接続し、その各セル室内に発生 するガスを夫々の排気栓と接続管を介して一括排気するようにした排気装置は公 知である。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記のように、蓄電池の充電末期に上記のガスが発生するが、これに伴い、各 セル室内の電解液も飛沫として飛散し、その液霧は、各排気栓を接続する接続管 内に凝集して溜まり、接続管内の絶縁抵抗の低下を招き、相隣るセル間に漏洩電 流が流れ、弱い短絡状態となる危険をもたらし、又、セル室内の電解液の減少を もたらし、補水の回数が多くなる。従って、かゝる課題を解決することが望まし い。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記従来の課題を解消した蓄電池用排気栓に係り、栓体に、蓄電池 の蓋の開口に連通する底部開口と外部に開口する通気口とを設けて成る栓体の内 部に、ガス透過性で液不透過性の材料から成る隔壁を、該連通用開口と該通気口 との間に介在せしめて成る。

【０００５】

【作用】

該排気栓を、蓄電池の蓋の開口にその底部開口を連通させて取り付けて使用す る。該蓄電池の内部に充電末期に発生する酸素・水素ガスとこれと伴う電解液霧 は、該底部開口を通り該排気栓の栓体内の該底部開口の上部空間に入るが、その 栓体に設けた通気口との間に、前記の隔壁が介在するため、該隔壁により液霧の 透過は阻止され、該通気口よりガスのみが排出され、外部に液霧の放出がなく、 周囲の機器、環境を汚染することがない。又、本考案の排気栓の多数を接続管で 互いに接続して一括排気装置を構成するときは、その接続管内に電解液が溜まる ことが防止され、上記従来の不都合が解消される。 この場合、該隔壁を、筒状枠体に貼着して筒状隔壁に構成するときは、該筒状 栓体により該隔壁は損傷から保護され、且つその取り扱いが容易となり、該栓体 の内部に設置する作業が容易となる。

【０００６】

【実施例】

次に本考案の実施の１例を添付図面に基づいて説明する。 図１は、本考案の蓄電池用排気栓の１例の縦断面図、図２は蓋をとった状態の 栓体２の上面図を示す。本考案の排気栓１は、例えば栓体２と該栓体２の内部に 具備される隔壁３とから成り、単位電槽から成る蓄電池又はモノブロック電槽か ら成る蓄電池のいずれにも適用できる。

【０００７】 該栓体２は、円筒状容器２ａとその開口上面を閉塞する蓋板２ｂとから成り、 該容器２ａの底壁４には、その中心に蓄電池の蓋７の開口に連通する底部開口５ を有し、その底部開口５の外周に下方に突出し、その外周に螺条を設けた螺筒６ を突設し、該螺筒６で蓄電池Ａの蓋７に設けた螺筒開口８に（図４参照）に螺着 されるものである。更に該栓体２の周側壁には左右に対向して通気口９，９を穿 設した。該通気口９，９の外周に接続管を接続する筒部１０，１０を外方に突設 した。 本考案によれば、該栓体２の内部空間に、該底部開口５とその両側壁に配設の 通気口９，９との間に介在するよう前記の隔壁３を設けた。

【０００８】 該隔壁３は、ガス透過性で液不透過性の材料から成り、例えば、四フッ化エチ レンなどの多孔性シートから成る。これを円筒状などの筒状とし、その高さは、 該栓体２の底壁４の上面からその容器２ａの蓋板２ｂの下面に達する高さを有し 、その内部空間を中央空間１１ａと外周の環状空間１１ｂとに区劃する。

【０００９】 該隔壁３は、安定良好に設置できるように、上下の環状枠、図示の例では、円 形枠と該上下の円形枠を垂直に接続する２本の対向する垂直枠とから成る合成樹 脂製の筒状の図示の例では、円筒状の枠体１２にその内周面側に接着剤により貼 着して上記の所定の高さを有する円筒状隔壁に構成することが好ましい。

【００１０】 一方、該栓体２の底壁４の内面には、該底部開口５と同心に円環状の一対の嵌 合保持溝枠１３，１３の嵌合を設け、嵌合保持溝枠１３，１３の溝内に上記の円 筒状枠１２付きの隔壁３を着脱自在に装着し得るようにし、該栓体２の該栓体２ 内部への所定位置への設置を容易にし、且つ必要時、交換自在とした。尚、蓋板 ２ｂの裏面に設置された円筒状隔壁３の上端を固定保持するべく、前記の円環状 の保持溝枠１３，１３に対向する位置に、同様の円環状内外一対の嵌合保持溝枠 １４，１４を設け、該蓋板２ｂを該容器２ａに施したとき、該隔壁３の上端を嵌 合保持するようにした。

【００１１】 図４は、上記の本考案の排気栓１の複数個を、開放型蓄電池Ａの蓋７に、その 各セル室ａに対応する位置に設けた内周に螺条を有する螺筒開口８に螺着し、そ の相隣る排気栓１の対向する通気口９，９に接続管１６を接続して一括排気装置 を構成するに使用した。

【００１２】 該蓄電池Ａの充電時に、各セル室ａに発生する酸素及び水素ガスは、これと同 時に電解液の飛沫を含んで上昇し、各セル室の開口８と連通する該排気栓１の底 部開口５を通り、その上方の中央空間１１ａに入り、その外周の該隔壁３に衝突 する。該隔壁３により電解液霧の透過は阻止されるが、ガスは該隔壁３を通過し 、外周の環状の空間１１ｂに入り、その１側の通気口９に接続の接続管１５を通 り、その先方のセル室に施された排気栓１で、同様に排気ガス中の電解液霧の除 かれたガスと共に前方へ一括排気される。このように、相隣るセル室ａ，ａを相 互接続する接続管１５内には、液霧を含まないガスのみが通過するので、該接続 管１５内に電解液が溜まることが防止され、その結果、セル間の漏洩電流が防止 される。 一方、該隔壁３で捕集された電解液は、その下方の底部開口５を介してセル室 ａ内に戻すことができ、電解液の減少を防止できると共に補水作業回数の減少を もたらす。

【００１３】 尚、図５示のように、該隔壁３と底部開口５との間の底壁４の内面４ａを、下 向きの傾斜面４ａにして捕集電解液の流下を容易にすることが好ましい。

【００１４】 尚、本考案の排気栓を使用し上記の一括排気装置を備えた蓄電池Ａには、図示 しないが、該蓋７に、各セル室に対応する位置に、注液口或いは注液栓を設け、 各注液栓を接続管で接続した一括注液装置を設けることが一般である。

【００１５】

【考案の効果】

このように本考案の蓄電池用排気栓は、栓体の容器内に、該栓体の底部開口と 外部に開口する通気口との間に介在させるようにガス透過性で液不透過性の隔壁 を設けたので、これを蓄電池の蓋の開口に設置して使用し、蓄電池を充電する際 、電池内に発生する液霧を含むガスを該栓体内を通すときは、該隔壁によって電 解液の通過は阻止され、ガスのみを外部に排出することができ、電池内の電解液 の損失を防止し得られる一方、外部の液霧による外部の機器や環境の汚染を防止 することができる。 更に、本考案の排気栓を、開放型蓄電池の各セルに配設し、各相隣る排気栓を 接続して一括排気装置を構成するときは、接続管内に液霧が凝集して溜まること がないので、従来の排出された電解液を介してのセル間の短絡が防止されると共 に各セル室内の電解液の減少を防止できる等の効果を有する。

【００１６】 又、該隔壁を、筒状の枠体に貼着して筒状隔壁に構成したので、該栓体により 該隔壁は損傷から保護され、取り扱いが容易となり、栓体の内部への設置作業を 容易にする効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施の１例の蓄電池用排気栓の縦断面
図である。

【図２】蓋板を除去した状態の該排気栓の上面図であ
る。

【図３】円筒状隔壁の斜面図である。

【図４】本考案の排気栓を蓄電池に一括排気装置用に設
置した状態の開放型蓄電池の一部の裁断側面図である。

【図５】本考案の蓄電池用排気栓の一部の縦断側面図で
ある。

【符号の説明】

１ 排気栓 ２ 栓体 ３
隔壁 ４ 底壁 ５ 底部開口 ７
蓋 ８ 開口 ９ 通気口 １
２ 筒状枠体 Ａ 蓄電池

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 奥田 喜太郎 宮城県仙台市青葉区中山７−２−１ 東北 電力株式会社技術開発本部電力技術研究所 内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 栓体に、蓄電池の蓋の開口に連通する底
   部開口と外部に開口する通気口とを設けて成る栓体の内
   部に、ガス透過性で液不透過性の材料から成る隔壁を、
   該連通用開口と該通気口との間に介在せしめて成る蓄電
   池用排気栓。
2. 【請求項２】 該隔壁は、筒状の枠体に貼着して筒状隔
   壁として成る請求項１記載の蓄電池用排気栓。