JPH0530836Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、発泡ポリスチレンで作つた模型を鋳
造砂の中に埋設したままの状態で溶解金属を注湯
し、模型を気化消化させつつ鋳物を作る消失模型
の振動式砂充填機の振動テーブルに関するもので
ある。

「従来技術及びその問題点」 最近、フルモールド法という、発泡ポリスチレ
ンで作つた消失模型による鋳造法が普及し始めて
いる。このフルモールド法は、発泡ポリスチレン
による消失模型の成型工程と、この消失模型と金
枠内に埋設する砂充填工程と、負圧化した金枠内
に注湯する工程などから成る工程の特に、注湯工
程を云う。上記金枠内に模型を砂で埋設する工程
は、乾燥珪砂を模型を入れた金枠内に充填させな
がら振動テーブルで金枠を加振させ、模型の隅々
まで乾燥珪砂が充填されるよう工夫されている。

上記、振動テーブルの構成は、枠体の中央部な
どにモータ式の加振器を設置し、この加振器の振
動エネルギーで枠体及び頂部の金枠取付板を共振
させ、この金枠取付板の頂部に乾燥珪砂を充填す
る金枠を着脱自在に位置決め固定するようになつ
ている。このような振動テーブルの問題点とし
て、単数もしくは複数の加振器が枠体の中央部な
どに無作為に取付けられるため、加振器の振動エ
ネルギーが有効的に金枠取付板を共振できなかつ
たり、上下動及び水平動の複合運動を要求するに
も係わらず、所期する複合運動が得られないこと
である。このような問題は、直ちに乾燥珪砂の充
填不足を招き、注湯された鋳造品の鋳肌を悪くし
たり、余肉を付けるなどの諸問題を誘発すること
に成つてしまう。

「考案が解決する問題点」 本考案は、振動式砂充填機の振動テーブルがも
つ、加振器の振動エネルギーが有効的に金枠取付
板を共振できない、上下動及び水平動の複合運動
を要求するにも係わらず、所期する複合運動が得
られないなど、金枠に対する振動テーブルの振動
力が十分に金枠に伝播んできない諸問題点を解決
する新規な技術手段を提供することを目的とす
る。

「問題点を解決する手段」 本考案は、前記問題点を解決する為に、金枠取
付板と振動基板からなる振動テーブルの枠体にお
ける振動基板上の周囲部に複数の加振器を等間隔
配置し、加振器の振動エネルギーが有効的に金枠
取付板を上下動若しくは水平動の単動運動乃至複
合運動に共振させるべく、各加振器の振動ベクト
ル方向を水平方向環状成分及び垂直方向成分とな
るよう加振器の取付方向と励振位相を制御する手
段を構じた。

この手段の採用により、加振器の振動エネルギ
ーが有効的に金枠取付板を共振でき、上下動及び
水平動の単動運動乃至複合運動が得られ、金枠に
対する振動テーブルの振動方向の制御が出来るよ
うにした。

「実施例」 以下、本考案を図面の具体例で説明する。第１
図に示す消失模型の振動式砂充填機１００は、本
考案の振動テーブル１と、この振動テーブルの上
面に載置される金枠２とからなる。上記振動テー
ブル１は、床面に据え置く基台３と、この基台３
に取付けた各空気袋４…に載置する枠体５と、こ
の枠体５の振動基板板６，７の中央周囲に120°の
三角等配で植立させた各取付板８…にモータ式の
加振器９ａ，９ｂ，９ｃが取付けられている。こ
のような構成の枠体５の３〜４本の柱５ａの頂部
に金枠取付板１０が水平姿勢で取付けられ、この
中央上面に金枠２を位置決めさせる位置決めピン
１１が固設されている。Mgは電磁吸着部材（電
磁石体）で、前記金枠取付板１０の上面周辺の３
か所に120°等配に固植され、その吸着面１２がフ
ラツト面となつている。上記振動テーブル１に対
する金枠２の構成は、底盤１３とこの上面に載る
枠板１４からなる。底盤１３の下面中央位置には
前記位置決めピン１１と嵌合する位置決め駒１５
が固着されている。この位置決め駒１５により、
金枠２が振動テーブル１上の金枠取付板１０に位
置決め載置され、120°等配に底盤１３の下面に固
植した座板１６が電磁吸着部材（電磁石体）Mg
に密着吸引される構成になつている。

続いて、本考案の要部を第１，３，５図で説明
する。各取付板８に垂直配置されている加振器９
ａ，９ｂ，９ｃは、垂直線方向イから任意角度θ
だけ旋回した傾斜線方向ロとの間の任意位置に調
整固定出来る構成と成つている。即ち、その詳細
は、取付板８の外側面側に付設の旋回盤２０に円
弧長穴２０ａを４か所穿設し、これに加振器の取
付座２１…が締結部材（ボルト）２２によつて締
結されている。この構成で、各加振器９ａ，９
ｂ，９ｃは垂直線方向イから任意角度θだけ旋回
した傾斜線方向ロとの間の任意位置に調整固定出
来る。上記加振器は、第５図の鎖線で示すようモ
ータ軸２３の上下端に可調式のアンバランスウエ
イト２４，２５が取付けられており、このアンバ
ランスウエイト２４，２５の調節でモータ軸２３
と直交方向（図示では水平方向）に作用する振動
力Ｆを加減発振する。しかして、各加振器９ａ，
９ｂ，９ｃを駆動する位相電圧が同期しているこ
とを要求され、同期駆動状態において、振動テー
ブル１上の金枠取付板１０は上下動若しくは水平
動の単動運動乃至複合運動に共振させるべく、各
加振器の振動ベクトル方向を水平方向環状成分及
び垂直方向成分となるよう加振器の取付方向と励
振位相を制御する手段を構じている。

上記加振器の励振制御は、起動、停止の運転制
御部３０、位相制御部４０、ドライバー５０から
なる公知手段に基づいて実行される。

尚、上記金枠２内には、消失模型１８が入れら
れ、乾燥珪砂が供給管から充填される公知の構成
と成つている。

「作用」 本考案の振動式砂充填機１００は前記のごとく
構成されており、その作用を続いて説明する。金
枠２はコンベアＣ１によつて振動テーブル１上に
搬入されると、振動テーブル１の空気袋４に圧縮
空気を圧入することで、この振動テーブルが浮上
する。これにより、位置決めピン１１が位置決め
駒１５に嵌合し、金枠２はコンベアから浮上され
振動テーブル上に位置決め載置される。しかし
て、120°等配に底盤１３の下面に固植した座板１
６が振動テーブル上の電磁吸着部材（電磁石体）
Mgに密着し、この電磁力で強力に吸引される。
金枠２が振動テーブル上に吸着位置決めされる
と、モータ式の加振器９ａ，９ｂ，９ｃを駆動し
て金枠２を振動させ、乾燥珪砂１７を消失模型１
８の隅々まで、充填させる。このとき各加振器９
ａ，９ｂ，９ｃを駆動する同期位相電圧が付与さ
れると、モータ軸２３と直交方向に作用する振動
力Ｆを発振する。振動テーブル１上の金枠取付板
１０が水平動の単動運動だけでよいのであれば、
各加振器を垂直線方向イに向けて固定すれば良
く、第４図ａのように各加振器の振動ベクトル方
向を水平方向環状成分の往復動（実線、破線の矢
印方向）にする。この水平方向環状成分の往復力
Ｆにより金枠２は振動される。更に、振動テーブ
ル１上の金枠取付板１０が上下動と水平動の複合
運動に共振させるには、各加振器の振動ベクトル
方向を水平方向環状成分と垂直方向成分となるよ
う、各加振器の取付方向を垂直線方向イから任意
角度θだけ旋回した傾斜線方向ロとの間の任意位
置に調整固定する。この水平方向環状成分の往復
力Ｆと垂直方向成分の往復力F′との複合運動で振
動する。したがつて、金枠内に消失模型を乾燥珪
砂で埋設する工程において、乾燥珪砂を消失模型
を入れた金枠内に充填させながら振動テーブルが
金枠を上下動と水平動の複合運動に加振させ、消
失模型の隅々まで乾燥珪砂が充填される。

「変形実施例」 本考案の振動式砂充填機における振動テーブル
において、各加振器の振動ベクトル方向が垂直方
向成分の単動運動となるよう各加振器の取付方向
を垂直線方向イと直角な水平線方向に定めた実施
形態としてもよい。

「効果」 本考案の振動式砂充填機における振動テーブル
によれば、金枠取付板と振動基板からなる振動テ
ーブルの枠体における振動基板上の周囲部に複数
の加振器を等間隔配置し、各加振器の振動ベクト
ル方向を水平方向環状成分及び垂直方向成分とな
るよう加振器の取付方向と励振位相を制御する手
段を構じたから、加振器の振動エネルギーが有効
的に金枠取付板を上下動若しくは水平動の単動運
動乃至複合運動に制御出来、金枠内の消失模型を
乾燥珪砂で埋設する工程において、乾燥珪砂を消
失模型の隅々まで隈無く充填させることができ、
高品質の鋳造品を製造することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案消失模型の振動式砂充填機を示
す正面図、第２図は振動テーブルの平面図、第３
図は加振器の取付状態を示す斜視図、第４図は各
加振器の振動ベクトル方向を示すベクトル図、第
５図は加振器の旋回機構を示す正面図である。 １……振動テーブル、２……金枠、５……枠
体、６……振動基板、１０……金枠取付板、９
ａ，９ｂ，９ｃ……加振器、１１……位置決めピ
ン、１５……位置決め駒、Mg……電磁吸着部
材、１００……消失模型の振動式砂充填機、２０
……旋回盤、２１……取付座、２２……締結部
材、イ……垂直線方向、ロ……傾斜線方向、４０
……位相制御。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 金枠取付板と振動基板からなる振動テーブル
   の枠体における振動基板上の周囲部に複数の加
   振器を等間隔配置し、上記各加振器の振動ベク
   トル方向が増強共振する方向に加振器の取付方
   向と励振位相を制御したことを特徴とする振動
   式砂充填機の振動テーブル (2) 各加振器の振動ベクトル方向が水平方向環状
   成分の単動運動となるよう各加振器の取付方向
   を定めたことを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の振動式砂充填機の振動テーブ
   ル (3) 各加振器の振動ベクトル方向が垂直方向成分
   の単動運動となるよう各加振器の取付方向を定
   めたことを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の振動式砂充填機の振動テーブル (4) 各加振器の振動ベクトル方向が水平方向環状
   成分及び垂直方向成分の複合運動となるよう各
   加振器の取付方向を定めたことを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の振動式砂充
   填機の振動テーブル (5) 各加振器を旋回盤の円弧長穴に締結部材によ
   つて旋回可能に取付けたことを特徴とする実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の振動式砂充填
   機の振動テーブル。