JPH0530635U - オイルシール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 フィルタの異物捕捉性及び通液性を長期に亘
って維持できるとともに、部品点数が少なく、組立工数
の増加もないオイルシールを提供する。 【構成】 主シールリップ７のオイルＢ側に、ロッド９
に接触するゴム状弾性体製の副シールリップ８を設け、
副シールリップ８の密封面Ｅに、通液性と異物捕捉性と
を有するフィルタ１０を一体成形した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、例えば自動車のパワーステアリング，ショックアブソーバ等のロッ ド部に用いられるオイルシールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のこの種のオイルシールを図２，３に示す。図２において、１００はオイ ルシールとしてのロッドシールであり、ハウジング１０１の内周に嵌合固定した 固定部１０２と、固定部１０２の内周側に設けたゴム状弾性体製の主シールリッ プ１０３とを有する。１０４は金属環、１０５はスプリングである。

【０００３】 また、固定部１０２の内周側には環状のフィルタ押え１０６を組み込んであり 、フィルタ押え１０６により円板状のフィルタ１０７を保持している。

【０００４】 上記構成において、主シールリップ１０３は他方の部材としての軸、即ち、ロ ッド１０８に接触して密封液としてのオイルＡの密封を行っている。また、オイ ルＡ側には、ユニット組付時に侵入したダストや、使用時の各部品の摩耗による 摩耗粉等が異物として存在している。フィルタ１０７はこれらの異物を捕捉して おり、異物が主シールリップ１０３側へ侵入して主シールリップ１０３が摩耗し たり、異物との摩擦抵抗によりロッド１０８に軸方向の条痕が付いたりすること を未然に防止し、主シールリップ１０３の密封面の密封性を確保している。

【０００５】 一方、オイルＡの一部はフィルタ１０７を浸透し、その膜が主シールリップ１ ０３の密封面を潤滑している。

【０００６】 図３は他のオイルシールとしてのロッドシール２００を示している。ロッドシ ール２００はハウジング２０１に固定した固定部２０２と、固定部２０２の内周 側に設けたゴム状弾性体製の主シールリップ２０３とを有する。２０４は金属環 、２０５は主シールリップ２０３に装着したスプリングである。

【０００７】 また、主シールリップ２０３のオイルＡ側には、軸方向に伸びたゴム状弾性体 製の副シールリップ２０６を設けてあり、副シールリップ２０６はロッド２０７ との密封面に微小な軸方向の溝２０８を形成してある。

【０００８】 上記構成において、主シールリップ２０３によってオイルＡの密封を行なって いる。また、オイルＡ中の異物は、溝２０８が微小であるためほとんどが通過で きず、フィルタ１０７と同様の効果を得られるし、オイルＡのみが溝２０８を通 過して主シールリップ２０３の密封面を潤滑している。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記ロッドシール１００，２００はそれぞれ次の欠点があった。

【００１０】 即ち、ロッドシール１００は長時間使用しているとフィルタ１０７は単に保持 しているだけであるためロッド１０８との摩擦抵抗，ロッド１０８の偏心等によ ってその内周側にヘタリが生じ、ロッド１０８との間に隙間が発生して異物排除 機能が損なわれる。その結果、主シールリップ１０３の密封性が低下して漏れが 起きる虞れがある。

【００１１】 フィルタ１０７を保持するフィルタ押え１０６が必要であるため部品点数が増 すし、製造工程でフィルタ押え１０６とフィルタ１０７とを固定部１０２へと組 込む作業を行わなければならず、製造コストの上昇を招いていた。

【００１２】 また、ロッドシール２００は、長期間使用していくと副シールリップ２０６が ロッド２０７との摩擦抵抗によって摩耗し、溝２０８が消滅してしまう。すると 、オイルＡの圧力（通常パワーステアリング機構で最大１５０kgf/cm² 、ショッ クアブソーバ機構で２０kgf/cm² ）が副シールリップ２０６に加わり、副シール リップの破損、しいては異物捕捉不能による主シールリップ２０３の密封性低下 ，破損を招く。

【００１３】 更に、異物が通過しないように溝２０８の深さを設定・管理することは事実上 困難である。特に副シールリップ２０６が摩耗すれば溝２０８が浅くなり、主シ ールリップ２０３の潤滑不良ともなる。

【００１４】 本考案は上記課題を解決するためのもので、フィルタを保持する部材が不要で 、しかも、フィルタ異物捕捉性及び通液性を長期に亘って維持できるオイルシー ルを提供することを目的としている。

【００１５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案は、相対運動自在な軸とハウジングのうち一方 の部材に取り付ける環状の固定部を設け、該固定部に、他方の部材に接触する主 シールリップを設けたオイルシールにおいて、前記主シールリップの密封液側に 、他方の部材に接触するゴム状弾性体製の副シールリップを設け、副シールリッ プの密封面に、通液性と異物捕捉性とを有するフィルタを一体成形したことを特 徴とする。

【００１６】

【作用】

上記構成に基づく本考案は、主シールリップの形成した密封面により密封液が 密封される。

【００１７】 また、フィルタは密封液中の異物を捕捉するとともに、密封液の一部はフィル タを透過して密封面を潤滑するため、主シールリップの密封性は確保される。

【００１８】 更に、軸偏心は副シールリップの弾性変形によって吸収され、フィルタは他方 の部材に追従して移動する。また、フィルタの表面が摩耗しても新たな面が現れ て接触するし、副シールリップの弾性力によってフィルタは他方の部材に押し付 けられる。更にまた、フィルタである故にメッシュの管理・設定が不要である。 従って、異物捕捉性，通液性が維持される。

【００１９】 更にまた、オイルシールの製造時、フィルタは加硫成形される副シールリップ と一体に成形される。

【００２０】

【実施例】

次に、本考案を自動車のショックアブソーバ，パワーステアリングのロッド等 に用いた図１に基づいて説明する。図１において、１は外周ゴム形のオイルシー ルとしてのロッドシールを示している。ロッドシール１はニトリルゴム，ブチル ゴム等のゴム状弾性体により一体成形したシール本体２を有する。このシール本 体２は、一方の部材としてのハウジング３の軸孔４へ嵌合固定した環状の固定部 ５と、固定部５の内周側に設けたフランジ６とを有する。

【００２１】 フランジ６の内周端には、密封液としてのオイルＢ側へ向けて軸方向に伸びた 主シールリップ７を設けてあり、主シールリップ７であってオイルＢ側の先端に は、軸方向に伸びた環状のゴム状弾性体製の副シールリップ８を設けてある。こ の主シールリップ７，副シールリップ８は軸孔４内を図中上下に往復動する他方 の部材としての軸、即ち、ロッド９に接触してそれぞれ密封面Ｄ，Ｅを形成して いる。

【００２２】 即ち、主シールリップ７，副シールリップ８の内径は、ロッド９の外径よりも 小さく設定してあり、そのゴム弾性によって所定の締め代が発生する構成となっ ている。そして、副シールリップ８であって密封面Ｅ側、即ち、内周側には、オ イルＡは通過でき、ダスト，摩耗粉等の異物は捕捉できるメッシュを有するフィ ルタ（具体的にはフェルト等）１０を一体的に接合してある。このフィルタ１０ は所定の厚さ（径方向寸法）を備えている。

【００２３】 なお、主シールリップ７の背面にはスプリング１１を装着してある。また、シ ール本体２の固定部５からフランジ６に亘って断面Ｌ字形の金属環１２を埋め込 んである。

【００２４】 次に、上記実施例の作用を説明する。ロッド９は図中上下方向に往復動し、密 封面ＤによってオイルＢの密封を行なっている。また、オイルＢ中には、ロッド シール１をハウジング３に組み付けた時に侵入したダストや、各部品の摩耗によ る摩耗粉等の異物が存在するが、該異物はフィルタ１０によって捕捉されるから 、密封面Ｄ側へと異物が侵入することはない。

【００２５】 一方、オイルＡの一部は、フィルタ１０を浸透して主シールリップ７側へと到 達し、その膜が密封面Ｄを潤滑する。このようにして密封面Ｄの密封性が確保さ れる。

【００２６】 また、作動中、ロッド９が偏心した場合は副シールリップ８が弾性変形するこ とでロッド９に対するフィルタ１０の追従性が維持される。更に、フィルタ１０ の内周面が摩耗しても新たな面がロッド９に接触するし、しかも、副シールリッ プ８の弾性力によってロッド９へ押し付けられているから、ロッド９との間に隙 間が発生したり、ヘタリが発生したりすることもなく、長期に亘ってオイルＢの 浸透性、異物の捕捉性を確保できる。従って、密封面Ｄの密封性を維持できる。

【００２７】 更に、フィルタ１０である故に時にメッシュの設定・管理も不要であり製造も 容易である。また、ロッドシール１の製造時に、フィルタ１０は加硫成形される 副シールリップ８の内周側へと一体的に焼き付けられるため、格別の保持部材は 不要である。従って、部品点数や組立工数が増えることもなく製造コストを低減 できる。

【００２８】 なお、上記実施例では固定部をハウジングに固定し、主シールリップ，副シー ルリップをロッドに接触する構成となっているが、固定部をロッドに固定し、主 シールリップ，副シールリップをハウジングに接触する構成としてもよい。また 、ロッドは往復動でなく回転してもよい。また、外周金属形のオイルシールでも よいし、スプリングのないオイルシールでもよい。

【００２９】

【考案の効果】

本考案は以上のように構成したものであるから、他方の部材が偏心した場合は 副シールリップが弾性変形することで他方の部材に対するフィルタの追従性が維 持される。更に、フィルタが摩耗しても新たな面が他方の部材に接触するし、し かも、副シールリップの弾性力によって他方の部材へ押し付けられているから、 他方の部材との間に隙間が発生したり、ヘタリが発生したりすることもなく、長 期に亘って密封液Ｂの浸透性、異物の捕捉性を確保できる。従って、密封面の密 封性を維持できる。

【００３０】 更に、フィルタである故に特にメッシュの設定・管理も不要であり製造も容易 である。また、製造工程においてフィルタは副シールリップへと一体的に接合し てあるため、フィルタを保持するための格別の保持部材が不要であり、部品点数 や組立工数が増えることもなく製造コストを低減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を自動車用のショックアブソーバ，パワ
ーステアリング等のロッドに適用したロッドシールの断
面図。

【図２】第一従来例のロッドシールの断面図。

【図３】第二従来例のロッドシールの断面図。

【符号の説明】

１ ロッドシール ２ シール本体 ３ ハウジング ４ 軸孔 ５ 固定部 ６ フランジ ７ 主シールリップ ８ 副シールリップ ９ ロッド １０ フィルタ １１ スプリング １２ 金属環 Ｂ オイル Ｄ，Ｅ 密封面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 相対運動自在な軸とハウジングのうち一
   方の部材に取り付ける環状の固定部を設け、該固定部
   に、他方の部材に接触する主シールリップを設けたオイ
   ルシールにおいて、 前記主シールリップの密封液側に、他方の部材に接触す
   るゴム状弾性体製の副シールリップを設け、副シールリ
   ップの密封面に、通液性と異物捕捉性とを有するフィル
   タを一体成形したことを特徴とするオイルシール。