JPH0530412Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は、断層像、平均血流速および分散の各
データを同一画面上に重ね合わせて表示するよう
にした超音波診断装置に関する。

(ロ) 従来技術とその問題点 従来の超音波診断装置には、超音波エコーに基
づいて得られる断層像に対して、超音波ドツプラ
ーに基づいて得られる平均血流速と分散を重ね合
わせてカラー表示して心臓内部の血流動態等を観
察できるようにしたものがある。

この場合、平均血流速の大きさを輝度に対応さ
せる一方、血流が超音波放射方向に対して近付く
場合には赤（Ｒ）、遠ざかる場合には青（Ｂ）、分
散を緑（Ｇ）の各色相にそれぞれ対応させる。そ
して、平均血流速と分散のデータが重なり合う部
分では各色相を混合した表示がなされていた。

ところが、このような表示の仕方では、色相が
Ｒ，Ｇ，Ｂの３原色の間を埋めるかたちで連続的
に変化することになる。その結果、血流速と分散
が交りあつた表示となつて、かえつて分散や血流
速の各単独の分布状態の把握が困難となる。

本考案は、このような事情に鑑みてなされたも
のであつて、断層像が重ね合わせて表示された同
一画面上において、血流速と分散の各分布状態が
明瞭に識別して観察できるようにすることを目的
とする。

(ハ) 問題点を解決するための手段 本考案の超音波診断装置は、上記の目的を達成
するために、予め分散のしきい値を設定する分散
しきい値設定器と、該分散しきい値設定器で設定
されたしきい値と超音波の送受波に基づいて得ら
れた分散データとを比較する分散データ比較器
と、この分散データ比較器の比較結果に基づいて
しきい値よりも分散データの値が大きい場合に分
散データを平均血流速データよりも優先的に選択
出力する選択回路とを備える一方、前記カラール
ツクアツプテーブルメモリが分散データに対して
単一の色相を与えるカラーコードに設定されてい
る。

(ニ) 作用 上記の構成によれば、超音波ドツプラーに基づ
いて得られた分散データが比較器に入力される
と、分散データ比較器は、この分散データと分散
しきい値設定器で予め設定されているしきい値と
を比較する。しきい値よりも分散データの値が大
きい場合には比較器から比較結果を示す信号が出
力されるので、次段の選択回路が分散データを血
流速データよりも優先的に選択出力する。選択回
路を通過した分散データは、カラールツクアツプ
テーブルメモリに対するカラーコードの読み出し
データとして加えられるので、これに応じてカラ
ールツクアツプテーブルメモリからは単一の色相
を与えるカラーコードが読み出される。

このように、分散データがしきい値を越えた場
合にのみ分散データが選択出力されて対応する単
一の色相が与えられる一方、分散データがしきい
値以下の場合には血流速データが選択出力される
ので、分散データと平均血流速データに対応する
色相は混合することなく３原色そのままの表示と
なる。このため、分散と平均血流速の分布状態を
明瞭に識別して観察することができる。

(ホ) 実施例 第１図は超音波診断装置の全体構成を示すブロ
ツク図である。この実施例の超音波診断装置１
は、制御回路２から出力される駆動制御信号に応
答してパルサー４から駆動パルスが出力され、こ
の駆動パルスが送受波回路６を介してプローブに
与えられる。これにより、プローブ８が励振され
て生体に超音波が放射される。

断層像のデータを得る場合には、パルサー４か
ら出力される駆動パルスの遅延量が制御されるの
で、超音波がセクタ走査される。超音波のセクタ
走査に伴なつて生体から反射された超音波エコー
が再びプローブ８で受波されると、プローブ８か
らエコー信号が出力されるので、このエコー信号
が送受波回路６で増幅された後、検波回路１０で
検波され、さらにＡ／Ｄ変換器１２でデジタル化
されて後述する表示判別回路１４に与えられる。

一方、平均血流速と分散のデータを得る場合に
は、パルサー４から駆動パルスが間欠的に出力さ
れるので、これに応じてプローブ８から超音波パ
ルスが一定方向に向けて繰り返し放射される。生
体から反射された超音波エコーが再びプローブ８
で受波されると、プローブ８からエコー信号が出
力されるので、このエコー信号が送受波回路６で
増幅された後、ドツプラー信号抽出回路１６に入
力される。ドツプラー信号抽出回路１６は入力さ
れたエコー信号を直交検波してドツプラー信号を
抽出する。抽出されたドツプラー信号は、さらに
次段のパワースペクトル演算回路１８で高速フー
リエ変換されて自乗和を求めて血流スペクトルが
算出される。算出された血流スペクトルのデータ
は、平均血流速演算回路２０と分散演算回路２２
とにそれぞれ与えられる。平均血流速演算回路２
０は血流スペクトルのデータに基づいて平均血流
速を算出し、その算出結果を表示判別回路１４と
分散演算回路２２とに与える。分散演算回路２２
は、上記の血流スペクトルと平均血流速の両デー
タに基づいて分散を求め、その分散データを表示
判別回路１４に送出する。

第２図は上記の表示判別回路１４のブロツク図
である。同図において、符号３０は断層像データ
に対して予めしきい値が設定される断層像しきい
値設定器、３２は平均血流速データに対して予め
しきい値が設定される平均血流速しきい値設定
器、３４は分散データに対して予めしきい値が設
定される分散しきい値設定器である。そして、各
設定器３０，３２，３４のしきい値は、操作部２
４から制御回路２を介して与えられるデータに応
じて任意に設定できるように構成されている。

３６は断層像しきい値設定器３０で設定された
しきい値と超音波の送受波に基づいて得られた断
層像データとを比較する断層像データ比較器、３
８は平均血流速しきい値設定器３２で設定された
しきい値と超音波の送受波に基づいて得られた平
均血流速データとを比較する平均血流速データ比
較器、４０は分散しきい値設定器３４で設定され
たしきい値と超音波の送受波に基づいて得られた
分散データとを比較する分散データ比較器であ
る。そして、各比較器３６，３８，４０は、しき
い値設定器３０，３２，３４で予め設定されたし
きい値よりも超音波の送受波に基づいてえられる
データの方が大きい値の場合に比較結果を示す
“Ｈ”レベルの信号を出力する。

４２は各比較器３６，３８，４０の比較結果を
示す信号出力に基づいて断層像データ、平均血流
速データおよび分散データのいずれか一つを優先
的に選択出力する選択回路である。この選択回路
４２は、第１、第２、第３の各インバータ４４，
４６，４８、一つのオアーゲート５０、第１、第
２、第３の各アンドゲート５２，５４，５６およ
びマルチプレクサ５８から構成される。

この表示判別回路１４において、超音波の送受
波に基づく断層像データが断層データ像比較器３
６に入力されると、断層像データ比較器３６は、
入力された断層像データを予め設定されたしきい
値とを比較する。断層像データがしきい値よりも
大きい場合には、断層像データ比較器３６から比
較結果を示す“Ｈ”レベルの信号が出力される。
この“Ｈ”レベルの信号はオアーゲート５０を通
過してマルチプレクサ５８に対して断層像データ
の選択信号として与えられる。これにより、入力
される断層像データがそのしきい値よりも大きい
場合には、マルチプレクサ５８からは平均血流速
データと分散データの大小の値のいかんにかかわ
らず、常に断層像データが優先的に選択出力され
る。また、断層像データがそのしきい値よりも小
さい状態で平均血流速データが平均血流速データ
比較器３８に与えられた場合に、この平均血流速
データが平均血流速しきい値設定器３２で設定さ
れたしきい値よりも小さい場合には平均血流速比
較器３８から“Ｌ”レベルの信号が出力される
が、この出力は第２インバータ４６でレベル反転
され、“Ｈ”レベルの信号がオアゲート５０を通
過してマルチプレクサ５８に入力されるため、こ
の場合にも断層像データが優先的に選択出力され
る。

断層像データがしきい値よりも小さいときには
断層像データ比較器３６から“Ｌ”レベルの信号
が出力されるが、この“Ｌ”レベルの信号は第１
インバータ４４でレベル反転されて“Ｈ”レベル
の信号が第１アンドゲート５２に加わる。しか
も、この状態で、平均血流速データ比較器３８に
与えられる平均血流速データが平均血流速しきい
値設定器３２で設定されたしきい値よりも大きい
場合には、平均血流速データ比較器３８からは
“Ｈ”レベルの信号が出力されので、第１アンド
ゲート５２の出力は“Ｈ”レベルとなる。さら
に、この状態の下で、分散データ比較器４０に与
えられる分散データが分散しきい値設定器３４で
設定されたしきい値よりも小さい場合には、分散
データ比較器４０から“Ｌ”レベルの信号が出力
され、この信号が第３インバータ４８でレベル反
転されて“Ｈ”レベルの信号が第２アンドゲート
５４に加わる。したがつて、第２アンドゲート５
４の出力は“Ｈ”レベルとなり、この“Ｈ”レベ
ルの信号出力がマルチプレクサ５８に対して平均
血流速データの選択信号として与えられる。これ
により、断層像データが予め設定されたしきい値
よりも小さく、かつ、分散データが予め設定され
たしきい値よりも小さい状態の下で、平均血流速
データがしきい値よりも大きいときに（第３図参
照）、マルチプレクサ５８からは平均血流速デー
タが優先的に選択出力される。

断層像データがしきい値よりも小さく、かつ、
平均血流速データがしきい値よりも大きい状態
が、分散データ比較器４０に入力される分散デー
タが分散しきい値設定器３４で設定されたしきい
値よりも大きい場合には、分散データ比較器４０
から“Ｈ”レベルの信号が出力されるが、その出
力は第３インバータ４８でレベル反転されて
“Ｌ”レベルの信号が第２アンドゲート５４に加
わるので、該ゲート５４が閉鎖される。したがつ
て、分散データ比較器４０から出力された“Ｈ”
レベルの信号出力は第３アンドゲート５６を通過
してマルチプレクサ５８に対して分散データの選
択信号として与えられる。これにより、断層像デ
ータが予め設定されたしきい値よりも小さく、か
つ、平均血流速データが予め設定されたしきい値
よりも大きい状態の下で、分散データがしきい値
よりも大きいときに（第３図参照）、マルチプレ
クサ５８から分散データが優先的に選択出力され
る。

上記のように選択されて表示判別回路１４のマ
ルチプレクサ５８を通過したデータは、次段の画
像メモリ６０に格納される。画像メモリ６０に記
憶された断層像データ、平均血流速データおよび
分散データは、制御回路２によつてTV走査速度
で読み出され、次段のカラールツクアツプテーブ
ルメモリ６２に対してカラーコード読み出し用の
アドレスデータとして与えられる。カラールツク
アツプテーブルメモリ６２は、断層像データに対
してはＲ，Ｇ，Ｂの３原色を混合したモノクロの
表示となるように、また、平均血流速データに対
しては血流が超音波放射方向に対して近付く場合
にはＲ（赤）、遠ざかる場合にはＢ（青）の色相を
与え、さらに、分散データに対してはＧ（緑）の
色相を与えるように各カラーコードが予め設定さ
れている。そして、各データに応じてカラールツ
クアツプテーブルメモリ６２から読み出されたカ
ラーコードは、Ｄ／Ａ変換器６４でアナログ化さ
れた後、CRTモニタ６６に出力される。

したがつて、第３図に示すように、分散データ
が予め設定したしきい値を越えるとＧ（緑）のみ
の単一色相の分散データが表示され、分散データ
がしきい値以下の場合には、分散データは表示さ
れずにＲ（赤）もしくはＢ（青）の色相の平均血流
速データが表示される。すなわち、分散データと
平均血流速データに対応する色信号は混合するこ
となく３原色そのままの表示となる。このため、
たとえば、第４図に示すように、心臓内部の断層
像Ａに重ね合わせて平均血流速Ｂと分散Ｃを表示
した場合において、分散データに対するしきい値
を適宜設定することによつて、分散Ｃが特に大き
い箇所のみを平均血流速Ｂの分布状態を示す色相
とは異なる単一色相で強調して表示できるので、
疾病の箇所の識別が容易となる。

なお、平均血流速、分散の計算方法として、こ
こではフーリエ変換のパワースペクトルにより計
算するようにしているが、その他、たとえばドツ
プラー複素信号列より複素自己相関を演算し、そ
の偏角より平均血流速を求めるようにしても良
い。

(ヘ) 効果 本考案によれば、分散データがしきい値を越え
た場合にのみ分散データが選択出力されて対応す
る単一の色相が与えられ、分散データがしきい値
以下の場合には血流速データが選択出力されるの
で、分散データと血流速データに対応する色相は
混合することなく３原色そのままの表示となる。
このため、分散と平均血流速の分布状態を明瞭に
識別して観察できる。その結果、疾病の診断が一
層容易になる等の優れた効果が発揮される。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
超音波診断装置の全体構成を示すブロツク図、第
２図は表示判別回路部分のブロツク図、第３図は
平均血流速と分散に対応して設定される色相の関
係を示す説明図、第４図はCRT画面上の断層像、
平均血流速および分散の表示状態を示す説明図で
ある。 １……超音波診断装置、３４……分散しきい値
設定器、４０……分散データ比較器、４２……選
択回路、６０……画像メモリ、６２……カラール
ツクアツプテーブルメモリ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 超音波エコーに基づいて得られた断層像デー
   タ、超音波ドツプラーに基づいて得られた平均血
   流速データおよび分散データをそれぞれ記憶する
   画像メモリと、この画像メモリから読み出された
   各データに対して所定の色相を与えるカラーコー
   ドが設定されたカラールツクアツプテーブルメモ
   リとを備え、前記断層像、平均血流速および分散
   の各データを同一画面上に重ね合わせてカラー表
   示する超音波診断装置において、 予め分散のしきい値を設定する分散しきい値設
   定器と、該分散しきい値設定器で設定されたしき
   い値と超音波の送受波に基づいて得られた分散デ
   ータとを比較する分散データ比較器と、この分散
   データ比較器の比較結果に基づいてしきい値より
   も分散データの値が大きい場合に分散データを平
   均血流速データよりも優先的に選択出力する選択
   回路とを備える一方、前記カラールツクアツプテ
   ーブルメモリが分散データに対して単一の色相を
   与えるカラーコードに設定されていることを特徴
   とする超音波診断装置。