JPH05302562A - 多点火式エンジンの燃焼制御装置 - Google Patents

多点火式エンジンの燃焼制御装置

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JPH05302562A
JPH05302562A JP4107650A JP10765092A JPH05302562A JP H05302562 A JPH05302562 A JP H05302562A JP 4107650 A JP4107650 A JP 4107650A JP 10765092 A JP10765092 A JP 10765092A JP H05302562 A JPH05302562 A JP H05302562A
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intake port
combustion chamber
intake
spark plug
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    • F02F1/10Cylinders; Cylinder heads  having cooling means for liquid cooling
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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  • Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 吸気ポートの通気抵抗を増加させることな
く、両吸気ポート間のシリンダ外周部に容易に点火プラ
グを配置することができる多点火式エンジンの燃焼制御
装置を提供する。 【構成】 シリンダ1に、スワールポートである第1吸
気ポート4と、タンブルポートである第2吸気ポート5
とが設けられている。ここで、第2吸気ポート5が、シ
リンダ軸線と直交する平面に対して大きな入射角をもつ
ように形成され、第2吸気ポート5の下方においてシリ
ンダヘッドHに生じた余剰のスペースに第3周縁部点火
プラグ11が配置され、吸気ポート間部分の着火性が高
められるようになっている。また、第3周縁部点火プラ
グ11の配設位置と対応する位置付近において、シリン
ダブロックBにオープンデッキ式の冷却水通路27が設
けられ、シリンダヘッドHの吸気側部分の冷却が促進さ
れるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多点火式エンジンの燃
焼制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用エンジンにおいては、
通常の運転領域例えば低負荷領域等では燃費性能が良好
であることが要求される一方、高負荷領域等ではエンジ
ン出力が十分に高いことが要求される。そこで、近年、
それほど高出力が要求されない運転領域例えば低負荷領
域等では空燃比をできるだけリーンにして燃費性能を高
める一方、高出力が要求される運転領域例えば高負荷領
域等では空燃比をほぼ理論空燃比(A/F=14.7)に
保持するようにしたエンジン、いわゆるリーンバーンエ
ンジンが多用されている。
【0003】しかしながら、一般に混合気をリーンにす
ると、その着火性が悪くなるといった問題がある。そこ
で、これを改善するため、シリンダの外周部に複数の点
火プラグを配置し、着火性を高めるようにした多点火式
エンジンが提案されている(例えば、ドイツ特許公開文
DE4001819A1号明細書参照)。
【0004】また、1つの気筒に対して第1,第2の2
つの吸気ポートを設け、第1吸気ポートを、シリンダ略
接線方向を指向するようにして燃焼室に開口させるなど
して、燃焼室内にスワール(周方向の渦流)を生成させる
スワールポートとする一方、第2吸気ポートを普通の吸
気ポートとするとともに該第2吸気ポートにこれを開閉
する開閉弁を設けたエンジンが提案されている。かかる
エンジンにおいては、普通、それほど高出力が要求され
ない運転領域では、開閉弁が閉じられ、第1吸気ポート
のみから燃焼室にエアが供給され、燃焼室内に強いスワ
ールが生成され、該スワールによって混合気が成層化さ
れ、点火プラグ(中心部点火プラグ)まわりにリッチな混
合気が形成される。このため、空燃比をかなりリーンに
した場合でも着火性が良好となる。他方、高出力が要求
される運転領域では、開閉弁が開かれ、両吸気ポートか
ら燃焼室に十分なエアが供給され、これによって充填効
率が高められ、エンジン出力が高められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そして、このようにス
ワールを生成するための第1吸気ポートと、充填効率を
高めるための第2吸気ポートとが設けられたリーンバー
ンエンジンにおいて、シリンダ外周部に複数の点火プラ
グを配置すれば、第1,第2ポート併用時も着火性を高
めることができ、リーン領域の拡大が可能となる。そし
て、かかるエンジンにおいては、通常、燃焼室周縁部の
両吸気ポート間の領域が着火性が最も悪くなるので、複
数の点火プラグのうち1つは両吸気ポート間でシリンダ
外周部に配置するのが好ましい。
【0006】しかしながら、一般に、両吸気ポート間で
はシリンダ外周部に点火プラグを配置するだけの十分な
スペースを確保するのがなかなかむずかしい。このた
め、かかる場合には、従来より、吸気ポートの通路断面
積を一部縮小して点火プラグを配置したり、あるいは吸
気ポートを急激に湾曲させるなどといった対応がなされ
るが、このようにすると、吸気ポートの通気抵抗が増
え、エンジン出力の低下を招くなどといった不具合が生
じる。本発明は、上記従来の問題点を解決するためにな
されたものであって、吸気ポートの通気抵抗を増加させ
るなどといった不具合を招くことなく、両吸気ポート間
でシリンダ外周部に容易に点火プラグを配置することが
できる多点火式エンジンの燃焼制御装置を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達するた
め、第1の発明は、1つのシリンダに対して2つの吸気
ポートが設けられ、平面視で両吸気ポート間となる位置
においてシリンダ外周部付近に、燃焼室の周縁部に臨ん
で配置される周縁部点火プラグが設けられた多点火式エ
ンジンの燃焼制御装置において、一方の吸気ポートのみ
が、その軸線と、シリンダ軸線と直交する平面とがなす
角が比較的大きくなるようにして燃焼室に開口されるタ
ンブルポートとされ、該タンブルポートの下方におい
て、シリンダヘッド内に上記周縁部点火プラグが配置さ
れていることを特徴とする多点火式エンジンの燃焼制御
装置を提供する。
【0008】第2の発明は、第1の発明にかかる多点火
式エンジンの燃焼制御装置において、平面視で上記周縁
部点火プラグの配設位置と対応する位置付近において、
シリンダブロックに、上端部が開口されたオープンデッ
キ式の冷却水通路が形成されていることを特徴とする多
点火式エンジンの燃焼制御装置を提供する。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
図1と図2とに示すように、エンジンCEの気筒1(シ
リンダ)においては、基本的には、第1,第2吸気バルブ
2,3が開かれたときに、第1,第2吸気ポート4,5か
ら燃焼室6内に混合気が吸入され、この混合気がピスト
ン7で圧縮された後、中心部点火プラグ8または第1〜
第3周縁部点火プラグ9〜11によって着火・燃焼させ
られ、第1,第2排気バルブ12,13が開かれたときに
燃焼ガスが第1,第2排気ポート14,15から排出され
るようになっている。
【0010】第1吸気ポート4は、後で説明するように
燃焼室6内にスワール(シリンダ周方向の横渦)を生成す
るスワールポートであって、この第1吸気ポート4の下
流部と上流部とには、夫々、第1吸気ポート4内のエア
中に燃料を噴射する第1,第2燃料噴射弁17,18が設
けられている。ここで、第1燃料噴射弁17は、燃料噴
射方向の中心軸線L1が燃焼室中心部付近すなわち中心
部点火プラグ8の先端部(火花放電部)付近を指向するよ
うにして、平面視で第1吸気ポート4のシリンダ外周側
(第2吸気ポート5と反対側)の部分に配置されている。
このため、第1燃料噴射弁17から燃料が噴射されたと
きには、該燃料が燃焼室中心部付近すなわち中心部点火
プラグ8の先端部まわりに多く分布し、したがって燃焼
室中心側には燃焼室周縁側よりもリッチな混合気が形成
されることになる。他方、第2燃料噴射弁18は、噴射
口を下流側に向けて平面視で第1吸気ポート4の幅方向
中央部に配置されている。したがって、第2燃料噴射弁
18から噴射された燃料は第1吸気ポート4内のエア中
にほぼ均一に分散するようになっており、スワール流に
よってシリンダ外周方向へリッチな混合気層を形成す
る。
【0011】第2吸気ポート5は、後で説明するように
燃焼室6内にタンブル(縦渦)を生成するタンブルポート
であって、この第2吸気ポート5の下流部にはこれを開
閉する開閉弁21が設けられ、この開閉弁21を駆動す
るためにアクチュエータ22が設けられている。ここ
で、アクチュエータ22はコントロールユニット23に
よって制御されるようになっており、したがって開閉弁
21は後で説明するようにコントロールユニット23に
よって運転状態に応じて開閉されることになる。
【0012】図3と図4とに示すように、シリンダヘッ
ドHの下面の燃焼室天井面をなす部分には、第1,第2
吸気ポート4,5と第1,第2排気ポート14,15とが
開口している。ここで、第1,第2吸気ポート4,5の開
口部4a,5aは、夫々シリンダ1の吸気側半部(図3,図
4では左半部)に配置され、第1,第2排気ポート14,
15の開口部14a,15aは、夫々シリンダ1の排気側
半部(図3,図4では右半部)に配置されている。
【0013】第1吸気ポート4は、平面的にみれば、基
本的にはエンジン幅方向(図3,図4では左右方向)に伸
長しているが、燃焼室6への開口部4a付近ではシリン
ダ外周側(第2吸気ポート5と反対側)に湾曲し、ほぼシ
リンダ接線方向を指向しつつ燃焼室6に開口している。
また、立面的にみれば、第1吸気ポート4は、その中心
軸線と、シリンダ軸線と直交する平面(普通は水平面)と
がなす角度(入射角)が比較的小さくなるようにして、燃
焼室6に開口している。このため、第1吸気ポート4か
ら燃焼室6内に流入するエアは、燃焼室6内に上側から
みて反時計まわりに旋回する周方向の横渦すなわちスワ
ールを生成する。なお、第1吸気ポート4をヘリカルポ
ートとして、スワールを生成させるようにしてもよい。
【0014】第2吸気ポート5は、平面的にみれば、基
本的には第1吸気ポート4とほぼ並行してエンジン幅方
向に伸長しているが、燃焼室6への開口部5a付近では
若干シリンダ中心側(第1吸気ポート4側)に傾きつつ燃
焼室6に開口している。また、立面的にみれば、第2吸
気ポート5は、その中心軸線と、シリンダ軸線と直交す
る平面とがなす角度(入射角)が比較的大きくなるように
して、燃焼室6に開口している。このため、第2吸気ポ
ート5から燃焼室6に流入するエアは、燃焼室6内に縦
渦すなわちタンブルを有効に生成する。なお、第2吸気
ポート5が、シリンダ中心側に傾いて燃焼室6に開口し
ているので、第1吸気ポート4によって生成されるスワ
ールを打ち消す流動の生成が防止される。なお、第2吸
気ポート5の入射角が比較的大きく設定されているの
で、第2吸気ポート5の下方には比較的大きな余剰スペ
ースが生じている。
【0015】また、開閉弁21より下流側において、第
2吸気ポート5には、NOx発生量を低減するために、
排気ガスの一部を吸気系に還流させるためのEGR通路
25が接続されている。このように、EGR通路25が
開閉弁21より下流側で第2吸気ポート5に接続されて
いるので、EGRガスを導入した場合でも、混合気形成
の阻害あるいは体積効率の低下などといった不具合が生
じない。
【0016】中心部点火プラグ8は、平面的にみて燃焼
室6のほぼ中心部に配置され、その先端部(火花放電部)
は天井面近傍で燃焼室6内に露出している。第1周縁部
点火プラグ9は、平面的にみて第1吸気ポート4の開口
部4aと第1排気ポート14の開口部14aとの間におい
て、燃焼室6の周縁部付近に配置され、詳しくは図示し
ていないがその先端部(火花放電部)は燃焼室6の天井面
近傍で燃焼室6内に露出している。また、第2周縁部点
火プラグ10は、平面的にみて第2吸気ポート5の開口
部5aと第2排気ポート15の開口部15aとの間におい
て、燃焼室6の周縁部付近に配置され、詳しくは図示し
ていないがその先端部(火花放電部)は天井面近傍で燃焼
室6内に露出している。
【0017】第3周縁部点火プラグ11は、概ねシリン
ダヘッドHの第2吸気ポート5の下側に形成されたプラ
グホール26内に配置されている。ここで、プラグホー
ル26は、シリンダヘッドHの側面からゆるい下向きの
傾斜で内側に向かって伸長するように形成され、このプ
ラグホール26内に配置された第3周縁部点火プラグ1
1の先端部(火花放電部)は、第1吸気ポート4の開口部
4aと第2吸気ポート5の開口部5aの間において、天井
面近傍で燃焼室6内に露出している。この第3周縁部点
火プラグ11の先端部(火花放電部)が配置されている、
燃焼室周縁部の両吸気ポート間の領域は、スワールが比
較的弱く、またシリンダ壁面温度が比較的低いので、基
本的には着火性が悪い。しかしながら、本実施例ではこ
のように第3周縁部点火プラグ11が配置されているの
で、この領域の着火性が十分に高められる。
【0018】前記したとおり、第2吸気ポート5の入射
角が比較的大きく設定されているので、シリンダヘッド
Hの第2吸気ポート5の下側には比較的大きいスペース
が生じている。そこで、このスペースを有効に活用し
て、プラグホール26を第2吸気ポート5との干渉を生
じさせることなく配設している。したがって、第2吸気
ポート5の通気抵抗の増大などといった不具合が生じさ
せることなく、第3周縁部点火プラグ11を容易に配置
することができる。
【0019】ところで、このように第2吸気ポート5の
下方においてシリンダヘッドH内に第3周縁部点火プラ
グ11が配設されているので、シリンダヘッドHの吸気
側部分のプラグまわりあるいはバルブシートまわりに冷
却水通路を設けにくくなり、シリンダヘッドHの吸気側
の冷却性が低下し、クラックが発生するなどといった不
具合が生じるおそれがある。そこで、平面視で第3周縁
部点火プラグ11が配置された位置に対応する位置付近
において、シリンダブロックB内に、上端部が開放され
たオープンデッキタイプの冷却水通路27を設け、シリ
ンダヘッドHの吸気側部分の冷却を促進するようにして
いる。
【0020】図5に示すように、中心部点火プラグ8に
所定のタイミングで高電圧をかけて火花放電を起こさせ
るために、DC/DCコンバータD1とイグナイタI1
イグニッションコイルC1とが設けられている。ここ
で、DC/DCコンバータD1は、発振昇圧回路等(図示
せず)を備えていて、バッテリ電圧(12V)を高圧の直
流電圧(例えば、300〜500V)に変換(昇圧)してイ
グナイタI1内のコンデンサ(図示せず)に供給する。そ
して、イグナイタI1内のコンデンサに蓄えられた電荷
は、コントロールユニット23からイグナイタI1に印
加される点火タイミング信号(IGT信号)に従って、イ
グニッションコイルC1の1次コイル(図示せず)に放電
され、この放電によってイグニッションコイルC1の2
次コイル(図示せず)に惹起される高電圧が中心部点火プ
ラグ8に印加され、中心部点火プラグ8の火花放電部に
電気火花が発生し、この電気火花で燃焼室6内の混合気
が点火されるようになっている。
【0021】同様に、第1〜第3周縁部点火プラグ9〜
11に対しても、夫々、DC/DCコンバータD2〜D4
と、イグナイタI2〜I4と、イグニッションコイルC2
〜C4とが設けられている。さらに、第1〜第3周縁部
点火コイル9〜11のDC/DCコンバータD2〜D4
対しては、夫々、第1〜第3発振器31〜33が設けら
れている。ここで、第2発振器32の発振回数は第1発
振器31の発振回数の2倍に設定されており、したがっ
て第2周縁部点火プラグ10の点火エネルギは、第1周
縁部点火プラグ9の点火エネルギの2倍となっている。
また、第3発振器33の発振回数は第1発振器31の発
振回数の3倍に設定されており、したがって第3周縁部
点火プラグ11の点火エネルギは、第1周縁部点火プラ
グ9の点火エネルギの3倍となっている。すなわち、着
火性の低い部分に配置される点火プラグほど点火エネル
ギが大きく設定され、各周縁部点火プラグ9〜11での
着火性が均等化されるようになっている。
【0022】以下、適宜図1〜図5を参照しつつ、コン
トロールユニット23による、燃料噴射弁17,18、
開閉弁21(アクチュエータ22)及び点火プラグ8〜1
1の制御方法、すなわちエンジンCEの燃焼制御方法を
説明する。本実施例においては、基本的には、図6中の
領域1及び領域2では、それほど高出力・高トルクが要
求されないので、空燃比を、理論空燃比(A/F=14.
7)すなわち空気過剰率が1の状態(λ=1)よりはリー
ン側に保持してリーンバーンを行ない、燃費性能とエミ
ッション性能とを高めるようにしている。そして、図6
中の領域3すなわち上記領域1,2以外の領域では、燃
焼安定性が極めて低いか、あるいは高出力であることが
要求されるので、空燃比を理論空燃比付近(λ=1もし
くはλ≦1)に保持して、燃焼安定性を高めまたはエン
ジン出力を高めるようにしている。
【0023】具体的には、エンジンCEの運転状態が図
6中の領域1内にある場合には、燃焼安定性ないし走行
安定性が非常に高く、またそれほど高出力・高トルクが
要求されないので、空燃比が燃焼可能な範囲内で最大限
リーン側に設定される(例えば、A/F=24)。そし
て、このとき、開閉弁21が閉じられ、第1燃料噴射弁
17から燃料噴射が行なわれ、かつ中心部点火プラグ8
によって燃焼室6内の混合気が点火される。この場合、
スワールポートである第1吸気ポート4のみから燃焼室
6にエアが供給されて燃焼室6内に強いスワールが生成
される一方、第1燃料噴射弁17から燃焼室中心部に向
けて燃料が噴射されるので、燃焼室6内の混合気が成層
化され、燃焼室6の中心部付近すなわち中心部点火プラ
グ8まわりに比較的リッチな混合気が形成される。すな
わち、燃焼室中心側には燃焼室周縁側よりもリッチな混
合気が形成される。このため、空燃比を最大限リーン側
に設定しているのにもかかわらず、混合気の着火性が良
好となり、失火等が生じない。したがって、燃費性能が
高められ、かつNOx排出量(NOx発生量)が低減され
る。
【0024】図7に、中心部点火プラグ8を用いて混合
気を点火する場合のNOx排出量の空燃比に対する特性
(曲線G1)と、周縁部点火プラグ9〜11を用いて混合
気を点火する場合のNOx排出量の空燃比に対する特性
(曲線G2)とを示す。図7において、領域1における上
記運転状態におけるNOx排出量は、曲線G1上の点aで
示される。図7から明らかなとおり、点aでは、NOx排
出量が非常に少なく、規制値よりはかなり低くなってい
る。
【0025】エンジンCEの運転状態が、図6中の領域
2内にある場合には、燃焼安定性ないし走行安定性がや
や低下したり、要求されるトルクに対してトルク出力が
やや低下するので、領域1の場合よりは空燃比がややリ
ッチ側に設定される(例えば、A/F=20)。そして、
このとき、開閉弁21が開かれて両吸気ポート4,5か
ら燃焼室6内にエアが供給され、第2燃料噴射弁18か
ら燃料噴射が行なわれ、かつ第1〜第3周縁部点火プラ
グ9〜11によって燃焼室6内の混合気が点火される。
この場合、第1吸気ポート4と第2吸気ポート5の両方
から燃焼室6にエアが供給され、燃焼室6内にはスワー
ルとタンブルの相互作用によって斜めスワール、すなわ
ちスワール中心軸線がシリンダ軸線に対して傾いたスワ
ールが生成される。なお、開閉弁21の開度が大きいと
きほど、斜めスワールのスワール中心軸線が大きく傾く
のはもちろんである。
【0026】ここで、第2燃料噴射弁18から第1吸気
ポート4内に噴射された燃料はエア中にほぼ均一に分散
して比較的リッチな混合気を生成する。そして、この比
較的リッチな混合気が燃焼室6内に流入するが、この混
合気は、斜めスワールの作用により燃焼室周縁部付近に
集中させられる。このため、燃焼室周縁側には燃焼室中
心側よりもリッチな混合気が形成される。そして、燃焼
室周縁側の比較的リッチな混合気が、第1〜第3周縁部
点火プラグ9〜11によって点火されるので、混合気の
着火性が非常に良好となる。なお、この領域2では、領
域1よりは空燃比がリッチ側に設定されるので、比較的
容積の大きい燃焼室周縁側に比較的リッチな混合気を形
成するのに十分な量の燃料が供給される。
【0027】図7から明らかなように、一般に周縁部点
火プラグを用いる場合には、中心部点火プラグを用いる
場合よりもNOx排出量が少なくなるが、この領域2で
は第1〜第3周縁部点火プラグ9〜11を用いて混合気
を点火するようにしているので、NOx排出量が低減さ
れる。かかる運転状態におけるNOx排出量は、図7中
の曲線G2上の点cで示される。図7から明らかなとお
り、点cではNOx排出量が規制値よりも少なくなってい
る。なお、領域2で中心部点火プラグ8を用いて混合気
を点火する場合のNOx排出量は、曲線G1上の点bで示
され、この場合にはNOx排出量が規制値を上回ること
になる。
【0028】エンジンCEの運転状態が、図6中の領域
3内にある場合には、燃焼安定性ないし走行安定性が悪
いか、あるいは高出力が要求されるので、空燃比がほぼ
理論空燃比(A/F=14.7またはλ=1)に設定さ
れ、リーンバーンが停止されて普通の運転が行なわれ
る。ここで、領域3中の高出力が要求される領域、例え
ば高負荷・高回転領域等では、空燃比を理論空燃比より
もリッチにしてもよい(λ<1)。この場合、開閉弁21
が開かれて両吸気ポート4,5から燃焼室6内にエアが
供給され、第2燃料噴射弁18から燃料噴射が行なわ
れ、かつ第1〜第3周縁部点火プラグ9〜11によって
燃焼室6内の混合気が点火される。
【0029】
【発明の作用・効果】第1の発明によれば、一方の吸気
ポートが、その軸線と、シリンダ軸線に直交する平面と
がなす角度(入射角)が比較的大きいタンブルポートされ
ているので、該吸気ポートの下方においてシリンダヘッ
ドには余剰スペースが生じる。そして、この余剰スペー
スを利用して、周縁部点火プラグを配設しているので、
吸気ポートの通気抵抗の増加などといった不具合を招く
ことなく、周縁部点火プラグを吸気ポート間に容易に配
置することができ、もともと着火性の悪い吸気ポート間
部の着火性が高められる。
【0030】第2の発明によれば、基本的には第1の発
明と同様の作用・効果が得られる。そして、タンブルポ
ートの下方において、シリンダヘッド内に周縁部点火プ
ラグが配設されているので、シリンダヘッドの吸気側の
冷却性が悪くなるおそれがある。しかしながら、平面視
で周縁部点火プラグの配設位置と対応する位置付近にお
いて、シリンダブロックにオープンデッキ式の冷却水通
路が設けられているので、シリンダヘッドの吸気側部分
の冷却が促進される。なお、シリンダまわり全周にわた
るオープンデッキ式の冷却水通路を設けると、シリンダ
ブロックの剛性の低下、冷却損失増大によるHC増大や
燃焼速度ダウンにより燃費が悪化するおそれがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる燃焼制御装置を備えた多点火
式エンジンの1つの気筒まわりの平面説明図である。
【図2】 図1に示すエンジンの一部断面立面説明図で
ある。
【図3】 図1に示すエンジンの気筒まわりの拡大平面
説明図である。
【図4】 図2に示すエンジンの気筒まわりの拡大立面
断面説明図である。
【図5】 点火制御機構のシステム構成図である。
【図6】 燃焼制御における各運転領域を示す図であ
る。
【図7】 NOx排出量の空燃比に対する特性を示す図
である。
【符号の説明】
CE…エンジン 1…シリンダ 4,5…第1,第2吸気ポート 6…燃焼室 8…中心部点火プラグ 9〜11…第1〜第3周縁部点火プラグ 27…冷却水通路
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02P 15/08 M

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1つのシリンダに対して2つの吸気ポー
    トが設けられ、平面視で両吸気ポート間となる位置にお
    いてシリンダ外周部付近に、燃焼室の周縁部に臨んで配
    置される周縁部点火プラグが設けられた多点火式エンジ
    ンの燃焼制御装置において、 一方の吸気ポートのみが、その軸線と、シリンダ軸線と
    直交する平面とがなす角が比較的大きくなるようにして
    燃焼室に開口されるタンブルポートとされ、該タンブル
    ポートの下方において、シリンダヘッド内に上記周縁部
    点火プラグが配置されていることを特徴とする多点火式
    エンジンの燃焼制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載された多点火式エンジン
    の燃焼制御装置において、 平面視で上記周縁部点火プラグの配設位置と対応する位
    置付近において、シリンダブロックに、上端部が開口さ
    れたオープンデッキ式の冷却水通路が形成されているこ
    とを特徴とする多点火式エンジンの燃焼制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013160119A (ja) * 2012-02-03 2013-08-19 Nippon Soken Inc 内燃機関
JP2017166381A (ja) * 2016-03-15 2017-09-21 株式会社豊田中央研究所 内燃機関の点火装置

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