JPH05301574A - 車両のヨー運動制御装置 - Google Patents

車両のヨー運動制御装置

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JPH05301574A
JPH05301574A JP10693592A JP10693592A JPH05301574A JP H05301574 A JPH05301574 A JP H05301574A JP 10693592 A JP10693592 A JP 10693592A JP 10693592 A JP10693592 A JP 10693592A JP H05301574 A JPH05301574 A JP H05301574A
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wheel steering
steering
angle
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豊 平野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 タイヤが路面をグリップする限界に近づく
と、車体のヨーレートを小さく抑えて車両の操安性を良
好に保つ。 【構成】 前輪舵角センサ41、車速センサ42、横加
速度センサ43およびヨーレートセンサ44は、前輪舵
角、車速、横加速度およびヨーレートをそれぞれ検出す
る。目標ヨーレート演算回路46は検出された前輪舵角
および車速に基づいて目標ヨーレートを計算する。後輪
操舵制御回路47、車輪速演算回路48、後輪操舵装置
Bおよびブレーキ装置Cは、車両の実ヨーレートが目標
ヨーレートに追従するように、車両のステアリング特性
を制御する。また、目標ヨーレート演算回路46は検出
された車速、横加速度およびヨーレートに基づいて車両
の横滑り角を計算し、同横滑り角が大きいとき、目標ヨ
ーレートを同横滑り角が大きくなるにしたがって減少さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車体の実ヨーレートを
車両の走行状態に応じて決定した目標ヨーレートに追従
させる車両のヨー運動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置は、例えば特開平3
−135873号公報に示されているように、前輪舵
角、車速およびヨーレートを検出し、この検出した前輪
舵角および車速に基づいて目標ヨーレートを決定すると
ともに、同決定した目標ヨーレートと検出ヨーレートと
の差に応じてステアリング特性変更装置としての後輪操
舵装置を制御して、後輪の操舵量を変更することによ
り、車体に作用する実ヨーレートを目標ヨーレートに追
従させるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような上記従来装
置においては、走行路面の状態、タイヤの状態、車両の
運動状態などと無関係に、目標ヨーレートを決定すると
ともに同目標ヨーレートに実ヨーレートを追従させてい
るので、タイヤが路面をグリップする限界に近づいた状
態で車両が走行している場合には、目標ヨーレートが大
きく設定され過ぎてタイヤが路面を充分にグリップでき
なくなる場合がある。すなわち、タイヤの横滑り角に対
するコーナリングフォースが線形領域にある間には適切
な目標ヨーレートでも、同コーナリングフォースが非線
形領域に入った場合には不適当なものとなる場合があ
る。本発明は上記問題に対処するためになされもので、
その目的は常に車両の操安性を良好に保つ車両のヨー運
動制御装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の構成上の特徴は、車両のステアリング特性
を変更可能なステアリング特性変更装置を備えた車両に
適用され、車速を検出する車速検出手段と、前輪舵角を
検出する前輪舵角検出手段と、車体のヨーレートを検出
するヨーレート検出手段と、前記検出された車速および
前輪舵角に基づいて目標ヨーレートを決定する目標ヨー
レート決定手段と、前記決定目標ヨーレートと前記検出
ヨーレートとの差に応じた制御信号をステアリング特性
変更装置に出力して両ヨーレートの差をなくすように制
御する制御手段とを備えた車両のヨー運動制御装置にお
いて、車両の横滑り角または横滑り角速度を検出する横
滑り角検出手段と、前記検出された横滑り角または横滑
り角速度が大きいとき前記決定される目標ヨーレートを
減少させる補正手段とを設けたことにある。
【0005】
【発明の作用・効果】上記のように構成した本発明にお
いては、横滑り角検出手段により検出された車両の横滑
り角または横滑り角速度が大きくなると、補正手段が目
標ヨーレート決定手段により決定された目標ヨーレート
を減少させる。車両においては、タイヤの路面に対する
グリップが限界に近づくと、車両の横滑り角が大きくな
ったり、横滑り角速度が大きくなったりする現象が見ら
れる。したがって、タイヤの路面に対するグリップが限
界に近づくと、目標ヨーレートは通常より小さな値に設
定される。そして、制御手段とステアリング特性変更装
置の作用により、車体のヨーレートは前記設定された目
標ヨーレートに追従するので、車体のヨーレートが常に
適切な値に制御されて車両の操安性が常に良好になる。
【0006】
【実施例】
a.第1実施例 以下、本発明の第1実施例を図面を用いて説明すると、
図1は同第1実施例に係る車両の全体を概略的に示して
いる。この車両は前輪FW1,FW2を操舵する前輪操
舵装置Aと、後輪RW1,RW2を操舵する後輪操舵装
置Bと、各輪の制動力を制御するブレーキ装置Cと、後
輪操舵装置Bおよびブレーキ装置Cとを電気的に制御す
る電気制御装置Dとを備えている。これらの後輪操舵装
置Bおよびブレーキ装置Cは本発明のステアリング特性
変更装置として機能する。
【0007】前輪操舵装置Aは操舵ハンドル11を有す
る。操舵ハンドル11は、操舵軸12、ラックアンドピ
ニオン機構13、ラックバー14、タイロッド15a,
15bおよびナックルアーム16a,16bを介して前
輪FW1,FW2に接続されており、同ハンドル11の
回動に応じて前輪FW1,FW2が操舵されるようにな
っている。操舵軸12の下部には制御バルブ17が組み
付けられており、同バルブ17は油圧ポンプ18からの
作動油を操舵軸12に作用する操舵トルクに応じてパワ
ーシリンダ21の一方の油室に供給し、かつ同シリンダ
21の他方の油室内の作動油をリザーバ22に排出す
る。パワーシリンダ21は、前記作動油の給排に応じて
ラックバー14を軸方向へ駆動することにより、前輪F
W1,FW2の前記操舵を助勢するようになっている。
【0008】後輪操舵装置Bは電動モータ23を有し、
同モータ23は電気制御装置Dにより制御されて操舵軸
24を回動させる。操舵軸24はラックアンドピニオン
機構25、リレーロッド26、タイロッド27a,27
bおよびナックルアーム28a,28bを介して後輪R
W1,RW2に接続されており、同軸24の回動に応じ
て後輪RW1,RW2が操舵されるようになっている。
操舵軸24の中間部には制御バルブ31が組み付けられ
ており、同バルブ31は油圧ポンプ32からの作動油を
操舵軸24に作用する操舵トルクに応じてパワーシリン
ダ33の一方の油室に供給し、かつ同シリンダ33の他
方の油室内の作動油をリザーバ22へ排出する。パワー
シリンダ33は前記作動油の給排に応じてリレーロッド
26を軸方向に駆動することにより後輪RW1,RW2
の前記操舵を助勢するようになっている。
【0009】ブレーキ装置Cは、マスタシリンダ、各種
バルブなどからなる制動油圧供給装置34と、各輪FW
1,FW2,RW1,RW2に設けたホイールシリンダ
35a〜35dとを備えている。制動油圧供給装置34
はブレーキペダル36の踏み込み操作時に各ホイールシ
リンダ35a〜35dにブレーキ油を供給して各輪FW
1,FW2,RW1,RW2に制動力を付与する。油圧
制御回路37は各輪FW1,FW2,RW1,RW2の
回転状態に応じて制動油圧供給装置34を制御して、各
輪FW1,FW2,RW1,RW2のロックを回避する
ものである。具体的には、油圧制御回路37は各輪の実
際の車輪回転速度V1〜V4と各輪の目標車輪回転速度V
1*〜V4*とを比較して、各車輪回転速度V1〜V4が各目
標車輪回転速度V1*〜V4*に比べて小さいとき該当する
車輪に対するブレーキ油の供給解除を表す制御信号を制
動油圧供給装置34に出力する。
【0010】電気制御装置Dは、前輪舵角センサ41、
車速センサ42、横加速度センサ43、ヨーレートセン
サ44および車輪速センサ45a〜45dを備えてい
る。前輪舵角センサ41は操舵ハンドル11の回転角を
測定することにより前輪FW1,FW2の舵角δfを検
出して、同舵角δfを表す検出信号を出力する。なお、
前輪舵角δf は正(または負)により前輪FW1,FW
2の右方向(または左方向)への操舵を表す。車速セン
サ42は変速機の出力軸(図示しない)の回転数を測定
することにより車速Vを検出して、同車速Vを表す検出
信号を出力する。横加速度センサ43は車体に組み付け
られ車体の横方向の加速度Gy を検出して、同横加速度
Gy を表す検出信号を出力する。なお、横加速度Gy は
正(または負)により右旋回方向(または左旋回方向)
の加速度を表す。ヨーレートセンサ44は車体重心位置
における垂直軸回りの角速度すなわちヨーレートRを検
出して、同ヨーレートRを表す検出信号を出力する。な
お、ヨーレートRは正(または負)により車体の右方向
(または左方向)の回転角速度を表す。車輪速センサ4
5a〜45dは各輪FW1,FW2,RW1,RW2の
回転速度を検出して、車輪回転速度V1〜V4を表す検出
信号をそれぞれ出力する。
【0011】目標ヨーレート演算回路46はマイクロコ
ンピュータにより構成され、図2のフローチャートに対
応したプログラムを実行することにより、前輪舵角δf
、車速Vおよび横加速度Gy に基づいて目標ヨーレー
トR* を計算するとともに、同目標ヨーレートR* とヨ
ーレートセンサ44により検出されたヨーレートRとの
偏差ΔR1(=R*−R)およびステアリング指標ΔR2
(=R・(R*−R)) を計算して、ヨーレート偏差ΔR1
およびステアリング指標ΔR2を表す信号を後輪操舵制
御回路47および車輪速演算回路48に出力する。な
お、このステアリング指標ΔR2 は、正でその絶対値が
大きくなるにしたがって車両のドリフトアウト(アンダ
ステア)傾向が大きいことを表し、かつ負でその絶対値
が大きくなるにしたがって車両のスピン(オーバステ
ア)傾向が大きいことを表す。後輪操舵制御回路47は
ヨーレート偏差ΔR1 に対応した制御信号を電動モータ
23に出力して、同モータ23の回転を制御する。
【0012】車輪速演算回路48は、ヨーレート偏差Δ
1およびステアリング指標ΔR2、前輪舵角δf および
車輪回転速度V1〜V4を入力して、各輪の目標車輪回転
速度V1*〜V4*を下記数1〜4に基づき計算して油圧制
御回路37に出力するものである。
【0013】
【数1】 V1*=V1S+ΔRL(ΔR1)+ΔFR(ΔR2)
【0014】
【数2】 V2*=V2S+ΔRL(-ΔR1)+ΔFR(ΔR
【0015】
【数3】 V*=V3S+ΔRL(ΔR1)+ΔFR(-ΔR2)
【0016】
【数4】 V4*=V4S+ΔRL(-ΔR1)+ΔFR(-ΔR2) 前記数1〜4中、V1S,V2S,V3S,V4S はブレーキ作動
時に各輪がロックしないようにするための車輪回転速度
であり、これらの車輪回転速度V1S,V2S,V3S,V4S
は、例えば特開昭61−291261号公報に示される
ように、前輪舵角δf に基づいて求めた車両の旋回半径
と、各車輪回転速度V1〜V4に基づいて求めた推定車体
速度とを利用して計算される。 ΔRL(ΔR1),ΔRL(−Δ
1),ΔRL(ΔR1),ΔRL(−ΔR1)は前記各車輪回転速度
1S,V2S,V3S,V4S を車両のステアリング特性を変更
するために左右輪間で補正する補正項であり、ΔFR
2),ΔFR(ΔR2),ΔFR(−ΔR2),ΔFR(−ΔR2)は前記
各車輪回転速度V1S,V2S,V3S,V4Sを車両のステアリ
ング特性を変更するために前後輪間で補正する補正項で
ある。なお、これらのΔRL(ΔR1),ΔRL(−ΔR1),ΔRL
(ΔR1),ΔRL(−ΔR1)は、ヨーレート偏差ΔR1(=R
*−R)に応じて図3(A)に示す特性で変化するもの
で、車輪速演算回路48内にテーブルの形で記憶されて
いる。 また、ΔFR(ΔR2),ΔFR(ΔR2),ΔFR(−Δ
2),ΔFR(−ΔR2) は、ステアリング指標ΔR2(=R
・(R*−R))に応じて図3(B)に示す特性で変化するも
ので、車輪速演算回路48内にテーブルの形で記憶され
ている。
【0017】上記のように構成した実施例の動作を説明
すると、車両走行中、操舵ハンドル11が回動される
と、同回動は操舵軸12およびラックアンドピニオン機
構13を介してリレーロッド14の軸方向の変位に変換
され、このリレーロッド14の軸方向の変位により前輪
FW1,FW2が操舵ハンドル11の回動操作に応じて
操舵される。また、この場合、制御バルブ17およびパ
ワーシリンダ21が動作して、前記操舵が油圧力により
助勢される。
【0018】一方、このとき、目標ヨーレート演算回路
46は、図2のステップ60にてプログラムの実行を開
始して、ステップ61〜69からなる循環処理を繰り返
し実行している。この循環処理においては、ステップ6
1にて前輪舵角センサ41、車速センサ42、横加速度
センサ43およびヨーレートセンサ44から前輪舵角δ
f、車速V、横加速度GyおよびヨーレートRを表す検出
信号をそれぞれ入力し、ステップ62にて下記数5の演
算の実行により車両の横滑り角βを計算する。
【0019】
【数5】β=∫{(Gy/V)−R}dt なお、前記数5の積分演算の代わりに、1次遅れ伝達関
数形の疑似積分演算を用いることもできる。また、非接
触式の車速センサを用いて直接計測してもよい。
【0020】次に、ステップ63にて横滑り角βの絶対
値|β|が予め決められた基準横滑り角β0より大き
く、かつ車速Vが予め決められた基準車速V0より大き
いか否かを判定する。この場合、絶対値|β|が基準横
滑り角β0 より大きく、かつ車速Vが基準車速V0 より
大きければ、ステップ63にて「YES」と判定して、
ステップ64にて下記数6の演算の実行により、係数K
を計算する。
【0021】
【数6】 K=K0{1−KS1(|β|−β0)(V−V0)} 前記数6中、K0 は基準ゲインを表す係数であり、KS1
は目標ゲイン減衰係数である。また、絶対値|β|が基
準横滑り角β0以下、または車速Vが基準車速V0以下で
あれば、ステップ63にて「NO」と判定して、ステッ
プ65にて係数Kを基準係数K0 に設定する。
【0022】これらのステップ64,65の処理後、ス
テップ66にて下記数7の演算の実行により、目標ヨー
レートR* を計算する。
【0023】
【数7】
【0024】前記数7中、τは予め決められた時定数で
あり、sはラプラス演算子である。Lは車両のホイール
ベースを表す定数であり、Kh は車両のスタビリティフ
ァクタを表す定数である。
【0025】次に、ステップ67にて前記計算した目標
ヨーレートR* から検出ヨーレートRを減算することに
よりヨーレート偏差ΔR1(=R*−R)を計算し、ステ
ップ68にてこのヨーレート偏差ΔR1 に検出ヨーレー
トRを乗算することによりステアリング指標ΔR2(=
R・ΔR1) を計算する。そして、ステップ69にてヨ
ーレート偏差ΔR1 を後輪操舵制御回路47に出力する
とともに、ヨーレート偏差ΔR1およびステアリング指
標ΔR2を車輪速演算回路48に出力する。
【0026】後輪操舵制御回路47はヨーレート偏差Δ
1 に対応した制御信号を電動モータ23に出力するの
で、同モータ23は操舵軸24をヨーレート偏差ΔR1
に対応した量だけ回動させる。この操舵軸24の回動は
ラックアンドピニオン機構25を介してリレーロッド2
6の軸方向の変位に変換され、同ロッド26の軸方向の
変位に対応して後輪RW1,RW2が操舵される。ま
た、この場合も、制御バルブ31およびパワーシリンダ
33が動作して、前記操舵が油圧力により助勢される。
このようにして後輪RW1,RW2がヨーレート偏差Δ
1(=R*−R)に応じてフィードバック制御される結
果、車体のヨーレートは目標ヨーレートR*に追従す
る。
【0027】一方、ブレーキペダル36が踏み込み操作
されると、制動油圧供給装置34は前記踏み込み操作に
応答してホイールシリンダ35a〜35dにブレーキ油
を供給するので、各シリンダ35a〜35dの作用によ
り、前輪FW1,FW2および後輪RW1,RW2には
制動力が付与される。この場合、油圧制御回路37に
は、各車輪速センサ45a〜45dから各車輪回転速度
1〜V4を表す検出信号が供給されるとともに、車輪速
演算回路48から各輪の目標車輪回転速度V1*〜V4*を
表す信号が供給されており、同制御回路37は各車輪回
転速度V1〜V4が各目標車輪回転速度V1*〜V4*に比べ
て小さいとき該当する車輪に対するブレーキ油の供給解
除を制動油圧供給装置34に指令する。その結果、この
場合には、ホイールシリンダ35a〜35dに対する作
動油圧の供給が解除されて、同シリンダ35a〜35d
が各輪に対する制動を解除するので、各輪は前記各目標
車輪回転速度V1*〜V4*になるように制御される。
【0028】この各目標車輪回転速度V1*〜V4*は、上
記数1〜4に示すように、車輪回転速度V1S,V2S,
3S,V4S を基本として定められるもので、これらの車
輪回転速度V1S,V2S,V3S,V4S は各輪のロックを回避
するように作用するので、滑り易い路面を走行中にブレ
ーキを作動させても、各輪がロックすることがない。
【0029】また、各目標車輪回転速度V1*〜V4*は、
左右輪間の回転速度を補正する関数データΔRL(ΔR1),
ΔRL(−ΔR1) と、前後輪間の回転速度を補正する関数
データΔFR(ΔR2),ΔFR(−ΔR2)をも含んでいる。こ
の場合、関数データΔRL(ΔR1)は、図3(A)に示すよ
うに、ヨーレート偏差ΔR1(=R*−R)の正にて正に
なり、かつ同偏差ΔR1 の負にて負になるものである。
これにより、車両の右旋回時に、目標ヨーレートR* が
検出ヨーレートRより大きければ(または小さけれ
ば)、すなわちヨーレート偏差ΔR1(=R*−R)が正
であれば(または負であれば)、左側車輪FW1,RW
1の目標車輪回転速度V1*,V3* が右側車輪FW2,R
W2の目標車輪回転速度V2*,V4* より大きく(または
小さく)なるように補正され、車体のヨーレートは目標
ヨーレートR* に追従する。また、車両の左旋回時に、
目標ヨーレートR* が検出ヨーレートRより大きければ
(または小さければ)、すなわちヨーレート偏差ΔR1
(=R*−R)が負であれば(または正であれば)、右
側車輪FW2,RW2の目標車輪回転速度V2*,V4*が
左側車輪FW1,RW1の目標車輪回転速度V1*,V3*
より大きく(または小さく)なるように補正され、この
場合にも、車体のヨーレートは目標ヨーレートR* に追
従する。
【0030】一方、関数データΔFR(ΔR2) も、図3
(B)に示すように、ステアリング指標ΔR2=R・(R*−
R)の正にて正になり、かつ同指標ΔR2の負にて負にな
るものである。これにより、車両の旋回時に、目標ヨー
レートR*の絶対値|R*|が検出ヨーレートRの絶対値
|R|より大きければ(または小さければ)、すなわち
車両がアンダステア傾向にあれば(またはオーバステア
傾向にあれば)、前輪FW1,FW2の目標車輪回転速
度V1*,V2* が後輪RW1,RW2の目標車輪回転速度
3*,V4* より大きく(または小さく)なり、車両がオ
ーバステア側(またはアンダステア側)に制御される。
したがって、車体のヨーレートは目標ヨーレートR* に
追従する。
【0031】以上の作動説明のように、ステアリング特
性変更装置としての後輪操舵装置Bおよびブレーキ装置
Cにより、車体のヨーレートは目標ヨーレート演算回路
46により決定された目標ヨーレートR* に追従する。
そして、この目標ヨーレートR* は通常前輪舵角δf お
よび車速Vに応じて決定されるとともに、横滑り角βお
よび車速Vが大きくなるにしたがって小さくなる。一般
的に、車両においては、高速走行時にタイヤが路面をグ
リップする限界に近づくと、横滑り角βは大きくなる傾
向にある。したがって、上記実施例によれば、タイヤが
路面をグリップする限界に近づくと、車体のヨーレート
は小さく抑えられるので、タイヤは常に車体のヨーレー
トを支えることができ、車両の操安性が常に良好とな
る。
【0032】次に、上記第1実施例の変形例について説
明する。この変形例に係る車両は上記実施例と同じ図1
のように構成されているが、目標ヨーレート演算回路4
6は、図2のフローチャートに代えて図4のフローチャ
ートに対応したプログラムを実行することにより、ヨー
レート偏差ΔR1およびステアリング指標ΔR2を表す信
号を出力する。
【0033】図4のプログラムにおいては、図2のステ
ップ62〜64の処理がステップ62a〜64aの処理
に変更されている。ステップ62aにおいては、下記数
8の演算の実行により、車両の横滑り角速度dβ/dtが計
算される。
【0034】
【数8】dβ/dt=(Gy/V)−R ステップ63aにおいては、横滑り角速度dβ/dtの絶対
値|dβ/dt|が予め決められた基準横滑り角速度Δβ0
より大きく、かつ車速Vが予め決められた基準車速V0
より大きいか否かが判定される。そして、絶対値|dβ/
dt|が基準横滑り角速度Δβ0より大きく、かつ車速V
が基準車速V0より大きければ、ステップ63aにて
「YES」と判定されて、ステップ64aにて下記数9
の演算の実行により、係数Kが計算される。
【0035】
【数9】 K=K0{1−KS2(|dβ/dt|−Δβ0)(V−V0)} 前記数9中、KS2は目標ゲイン減衰係数である。また、
絶対値|dβ/dt|が基準横滑り角速度Δβ0 以下または
車速Vが基準車速V0 以下であれば、ステップ63aに
て「NO」と判定されて、ステップ65にて、上記実施
例と同様に、係数Kは値K0 に設定される。
【0036】そして、ステップ66〜69の処理により
前記係数Kに基づいて目標ヨーレートR*、ヨーレート
偏差ΔR1およびステアリング指標ΔR2 が計算される
とともに同偏差ΔR1および同指標ΔR2が出力され、後
輪操舵制御回路47、後輪操舵装置B、車輪速演算回路
48およびブレーキ装置Cが車両のヨーレートを前記計
算した目標ヨーレートR* に追従させる。この目標ヨー
レートR* は、前述のように、車両の横滑り角速度dβ/
dtおよび車速Vが大きくなるにしたがって小さくなる。
また、一般的に、車両においては、高速走行時にタイヤ
が路面をグリップする限界に近づくと、横滑り角速度d
β/dtの絶対値|dβ/dt|は大きくなる傾向にある。し
たがって、この変形例においても、タイヤが路面をグリ
ップする限界に近づくと、車体のヨーレートは小さく抑
えれるので、タイヤは常に車体のヨーレートを支えるこ
とができ、車両の操安性が常に良好となる。
【0037】なお、上記第1実施例および変形例におい
ては、ステップ64,64aにて上記数6,9の演算を
実行して係数Kを決定するようにしたが、横滑り角βと
車速Vとのマップ、または横滑り角速度dβ/dtと車速V
とのマップを用いて係数Kを決定するようにしてもよ
い。
【0038】また、上記第1実施例および変形例におい
ては、後輪操舵装置Bによって後輪RW1,RW2を操
舵するとともに、ブレーキ装置Cによって各輪FW1,
FW2,RW1,RW2に対するブレーキ力を制御する
ことにより、車両のステアリング特性を変更して車両の
ヨーレートを目標ヨーレートに追従させるようにした
が、後輪操舵装置Bまたはブレーキ装置Cのいずれか一
方により、車体のヨーレートを目標ヨーレートに追従さ
せるようにしてもよい。
【0039】b.第2実施例 次に、本発明の第2実施例を図面を用いて説明すると、
図5は同第2実施例に係る車両の全体を概略的に示して
いる。この車両は、前輪FW1,FW2および後輪RW
1,RW2へ駆動力を伝達する駆動力伝達装置Eと、前
輪FW1,FW2を操舵する前輪操舵装置Fと、後輪R
W1,RW2を操舵する後輪操舵装置Gと、駆動力伝達
装置Eおよび後輪操舵装置Gを電気的に制御する電気制
御装置Hとを備えている。
【0040】駆動力伝達装置Eは、エンジン111から
の駆動力がオートマチックトランスミッション113を
介して伝達されるセンターデファレンシャル114を備
えている。センターデファレンシャル114は伝達され
た駆動力をフロントプロペラシャフト115およびリヤ
プロペラシャフト116を介してフロントデファレンシ
ャル117およびリヤデファレンシャル118に分配す
る。フロントデファレンシャル117は伝達された駆動
力をフロントアクスルシャフト121a,121bを介
し前輪FW1,,FW2に分配する。リヤデファレンシ
ャル118は伝達された駆動力をリヤアクスルシャフト
122a,122bを介し後輪RW1,RW2に分配す
る。
【0041】フロントプロペラシャフト115とリヤプ
ロペラシャフト116との間には駆動力配分機構として
の湿式多板クラッチ123が設けられており、同クラッ
チ123はフロントプロペラシャフト115とリヤプロ
ペラシャフト116とに対する駆動力配分を変更する。
本実施例では、湿式多板クラッチ123に対する供給油
圧が低いとき両シャフト115,116への駆動力配分
比が3:7に設定されるとともに、同供給油圧が上昇す
ると同配分比が5:5(両シャフト115,116の直
結状態)まで連続的に変化するようになっている。この
供給油圧は、油圧ポンプ124、圧力制御バルブ125
及びリザーバ126からなる油圧回路から供給されるも
ので、電気的に制御される圧力制御バルブ125によっ
て可変制御される。
【0042】前輪操舵装置Fは操舵ハンドル131を備
え、同ハンドル131は操舵軸132の上端に固定され
ている。操舵軸132はステアリングギヤボックス13
3内にてラックバー134に噛合しており、同バー13
4は操舵軸132の回転により軸方向に変位する。ラッ
クバー134はその両端にてナックルアーム135a,
135bを介して前輪FW1,FW2を操舵可能に接続
している。ステアリングギヤボックス133の上部には
制御バルブ136が組み付けられている。制御バルブ1
36は油圧ポンプ137およびリザーバ138に接続さ
れており、操舵軸132に付与される操舵トルクに応じ
てパワーシリンダ139の左右油室に対する作動油の給
排を制御する。パワーシリンダ139はラックバー13
4を軸方向に駆動することにより、前輪FW1,FW2
の操舵を助勢する。
【0043】後輪操舵装置Gはリレーロッド141を備
え、同ロッド141はその両端にてナックルアーム14
2a,142bを介して後輪RW1,RW2を操舵可能
に接続している。リレーロッド141の外周上には同ロ
ッド141を軸方向に駆動するパワーシリンダ143が
組み付けられており、同シリンダ143の左右油室には
サーボバルブ144が接続されている。サーボバルブ1
44は油圧ポンプ145およびリザーバ138に接続さ
れており、電気的に制御されてパワーシリンダ143の
左右油室に対する作動油の給排を制御する。
【0044】電気制御装置Hは前輪舵角センサ151、
車速センサ152、横加速度センサ153、回転数セン
サ154,155およびヨーレートセンサ156を備え
ている。前輪舵角センサ151は前輪舵角δfを検出し
て同舵角δfを表す検出信号を出力する。車速センサ1
52は車速Vを検出して同車速Vを表す検出信号を出力
する。横加速度センサ153は車両の横加速度Gyを検
出して同横加速度Gyを表す検出信号を出力する。回転
数センサ154はエンジン111の出力回転数Neを検
出して同回転数Ne を表す検出信号を出力する。回転数
センサ155はトランスミッション113の出力回転数
Ntを検出して同回転数Ntを表す検出信号を出力する。
ヨーレートセンサ156は車両のヨーレートRを検出し
て同レートRを表す検出信号を出力する。なお、前輪舵
角δf、横加速度GyおよびヨーレートRは右方向を正で
表し、左方向を負で表す。
【0045】これらの各センサ151〜156にはマイ
クロコンピュータ157が接続されている。マイクロコ
ンピュータ157はCPU,ROM,RAMなどからな
り、図6のフローチャートに対応したプログラムを実行
することにより、前輪FW1,FW2および後輪RW
1,RW2の駆動力配分を制御するとともに、後輪RW
1,RW2の操舵を制御する。このマイクロコンピュー
タ157には駆動系制御回路158および操舵系制御回
路161が接続されている。駆動系制御回路158はマ
イクロコンピュータ157からの制御信号に応じて圧力
制御バルブ125を制御する。操舵系制御回路161は
マイクロコンピュータ157からの制御信号に応じてサ
ーボバルブ144を制御する。後輪舵角センサ162は
リレーロッド141の軸方向の変位量を検出して、同変
位量に対応した後輪舵角δr を表す検出信号を操舵系制
御回路161へ出力する。
【0046】上記のように構成した実施例の動作を説明
する前に、本実施例で採用している制御方法について図
9の制御システム図を用いて説明しておく。実車両モデ
ル171内のP(s)は同モデルの運動ダイナミックス特
性(伝達関数)を表し、規範車両モデル172内のPo
(s) は同モデルの運動ダイナミックス特性(伝達関
数)を表している。実車両モデル171は運転操作によ
って与えられる前輪舵角δf および車速Vを入力すると
ともに、フィードバックコントローラ173の制御によ
って与えられる後輪舵角δr および駆動力配分比λを入
力して、実ヨーレートRを出力する。規範車両モデル1
72は運転操作によって与えられる前輪舵角δf および
車速Vを入力して、目標ヨーレートRDを出力する。
【0047】フィードバックコントローラ173は目標
ヨーレートRD と実ヨーレートRの差eを減算器174
から入力し、伝達関数C2(s)に基づいて後輪舵角δr
および駆動力配分比λを計算して、後輪舵角δr および
駆動力配分比λを実車両モデル171に出力する。この
フィードバックコントローラ173はコントローラ17
3a〜173cからなる。コントローラ173aは実ヨ
ーレートRを目標ヨーレートRD に一致させるための制
御入力uを計算するもので、その伝達関数はCfbで表さ
れる。コントローラ173b,173cは前記制御入力
uを駆動力配分比λと後輪舵角δr にそれぞれ分配する
もので、コントローラ173bは前記制御入力uおよび
トランスミッション113からの駆動トルクTを入力し
て伝達関数C4WD に基づいて駆動力配分比λを計算す
る。コントローラ173cは前記制御入力u、駆動力配
分比λおよび車両の横滑り角βを入力して伝達関数C
4WS に基づいて後輪舵角δr を計算する。
【0048】この制御システムに基づいて具体的な制御
アルゴリズムを説明する。駆動力配分による横力の低下
を考慮した車両の運動方程式は下記数10〜13で表さ
れる。
【0049】
【数10】mV(dβ/dt+R)=FF+FR
【0050】
【数11】IdR/dt=aFF−aRR
【0051】
【数12】 FF=−CF(β+aFR/V−δf){1−hFT(1+λ)}
【0052】
【数13】 FR=−CR(β−aRR/V−δr){1−hRT(1−λ)} なお、前記数10〜13中、車両により特定される定数
は次のとおりである。 m :質量 I :ヨー慣性モーメント CF:前輪コーナリングパワー CR:後輪コーナリングパワー aF:前輪車軸と重心との水平距離 aR:後輪車軸と重心との水平距離 hF:前輪の駆動力によるコーナリングパワーの減少係
数 hR:後輪の駆動力によるコーナリングパワーの減少係
数 また、前記数10〜13中の変数は次のとおりである。 V :車速 β :車両の横滑り角(車体スリップ角) R :実ヨーレート δf:前輪舵角 δr:後輪舵角 T :駆動トルク(前後輪トルクの合計) λ :駆動力配分比(−0.4≦λ≦0) FF:前輪コーナリングフォース FR:後輪コーナリングフォース なお、駆動力配分比λが「−0.4」であることは前輪
FW1,FW2と後輪RW1,RW2との駆動力配分比
が3:7であることに対応し、同配分比λが「0」であ
ることは同配分比が5:5であることに対応する。
【0053】次に、フィードバックコントローラ173
の制御則を求めるために、上記数11〜13を用いて、
実ヨーレートRについて線形化された式を導くと、実ヨ
ーレートRおよび制御入力uは下記数14,15のよう
に表される。
【0054】
【数14】
【0055】
【数15】
【0056】フィードバックコントローラ173には規
範車両モデル172により決定された目標ヨーレートR
D と実ヨーレートRとの差e=RD−R が入力され、同
コントローラ173は前記差eが「0」になるようなフ
ィードバック制御用の後輪舵角δrおよび駆動力配分比
λを出力する。この場合、制御入力uは後輪舵角δrお
よび駆動力配分比λを合成したものであるので、前記数
14に基づいて前記差eが「0」になるような制御入力
uを求めればよく、同入力uは線形制御理論に基づく最
適レギュレータ法や、H∞(無限大)制御法などの種々の
公知の方法で導出される。本実施例では、H∞制御法で
求めた結果を下記数16に示す。ただし、XcはXc=
(X123Tからなる中間変数で、下記数17の関
係にある。
【0057】
【数16】u=CcXc+Dc(RD−R)
【0058】
【数17】dXc/dt=AcXc+Bc(RD−R) なお、Ac,Bc,Cc,Dcは(3×3)(3×1)(1
×3)(1×1)次元の定係数行列である。
【0059】次に、コントローラ173b,173cか
ら出力される駆動力配分比λおよび後輪舵角δrを計算
する。この場合、後輪舵角δrによる制御は駆動力配分
比λにおける制御の遅れを補償するようにすることが望
ましい。したがって、駆動力配分比λを決定した後に、
その結果に基づいて後輪舵角δr を決定する。まず、前
記数16により表された制御入力uと駆動トルクTとに
基づいて、駆動力配分比λを計算する。この駆動力配分
比λによる制御は、前述した駆動力配分比λによる制御
の性質上、駆動トルクTが大きいとき、またはタイヤの
横滑り角とサイドフォースとの関係が非線形領域になっ
たとき、すなわち実ヨーレートRと目標ヨーレートRD
との差eが大きくなったとき、駆動力配分比λを大きく
すべきである。したがって、駆動力配分比λを決定する
ために、下記数18を想定する。
【0060】
【数18】
【0061】前記数18中、Tmは当該車両の最大トル
ク(車両の最大加速に必要なトルク)であり、係数KL
は車種によりチューニング可能な制御係数である。した
がって、前記数18中の第1項は駆動トルクTが最大ト
ルクTm に近づくにしたがって駆動力配分比λを「0」
に近づける項で、急加速時などに車両を安定化させるよ
うに機能する。また、前記数18中の第2項は、実ヨー
レートRを目標ヨーレートRDに近づけるために機能す
るもので、特に制御入力u(目標ヨーレートRDと実ヨ
ーレートRとの差e)および駆動トルクTが大きいとき
効果的である。なお、前記数18中のsign(R)は、実ヨ
ーレートRが正のとき「+1」になり、同ヨーレートR
が負のとき「−1」になる関数であり、車両の右旋回時
と左旋回時の符号の反転を補償するものである。
【0062】次に、この決定した駆動力配分比λを用い
て後輪舵角δr を計算する。この後輪舵角δr は駆動力
配分比λの応答遅れを補償するものであるので、駆動力
配分比λの制御遅れを考慮して、前記数15で表された
制御入力uが前記決定され数16で表される制御入力u
に常に等しくなるようにコントローラ173cの出力値
(後輪舵角δr )を決定する。そこで、駆動力配分比λ
が実際に車両の運動特性に反映する値を駆動力配分比λ
*とすると、この駆動力配分比λ*の制御は一次遅れ系で
あると考えられるので、同配分比λ*は下記数19のよ
うに表される。
【0063】
【数19】
【0064】ここで、時定数τR は車種毎に予め設定さ
れる値である。そして、前記数19により表された駆動
力配分比λ* および前記数16により表された制御入力
uを上記数15に代入して、後輪舵角δrについて解く
と、求めるべき後輪舵角δrは下記数20のようにな
る。
【0065】
【数20】
【0066】次に、上記のように構成した実施例の動作
を図6のフローチャートに沿って説明する。
【0067】イグニッションスイッチがオンされると、
マイクロコンピュータ157はステップ180にてプロ
グラムの実行を開始し、ステップ181〜193からな
る循環処理を繰り返し実行する。この循環処理において
は、ステップ181にて各センサ151〜156から前
輪舵角δf、車速V、横加速度Gy、回転数Ne ,Ntお
よびヨーレートRを表す検出信号を入力する。ステップ
182においては、入力した回転数Ne,Ntに基づいて
スリップ率S=(Nt/Ne)を計算し、同計算したスリ
ップ率Sに基づいてマイクロコンピュータ157内のテ
ーブル(図7,8)を参照することによりトルク比TR
およびトルク容量TCを決定し、これらのトルク比TR
トルク容量TCおよび回転数Ne を用いた下記数21
(オートマチックトランスミッションにおいて成立する
関係式)の演算の実行によりトランスミッション113
からセンターデファレンシャル114に出力される駆動
トルクTを計算する。
【0068】
【数21】T=TCRNe2 なお、マニアルトランスミッション車の場合、またはオ
ートマチックトランスミッション車の場合でも、前記数
21の演算に代えて、トランスミッション113の出力
軸のトルクを歪ゲージなどにより測定し、この測定結果
を駆動トルクTとするようにしてもよい。
【0069】次に、ステップ183にて横加速度Gy 、
車速VおよびヨーレートRを用いた下記数22の疑似積
分演算の実行により車両の横滑り角βを計算する。
【0070】
【数22】
【0071】ただし、前記数22中の時定数τB は車種
に応じて予め定めた定数であり、sはラプラス演算子で
ある。
【0072】次に、ステップ184〜186にて、上記
第1実施例のステップ63〜65の処理と同様に、横滑
り角βの絶対値|β|および車速Vの値に応じて係数K
を計算する。なお、この第2実施例においても、ステッ
プ184〜186にて、上記第1実施例の変形例のステ
ップ63a,64a,65の処理と同様に、横滑り角速
度dβ/dtの絶対値|dβ/dt|および車速Vに応じて係数
Kを決定するようにしてもよい。これらのステップ18
4〜186の処理後、ステップ187にて、前記決定し
た係数Kおよび前輪舵角δf を用いた下記数23の演算
の実行により目標ヨーレートRD を計算する。
【0073】
【数23】
【0074】なお、数23中のτは予め決められた時定
数、sはラプラス演算子である。また、係数a,bは下
記数24,25で表される車速Vに応じて変化する値で
あり、前記数23の演算の実行の前に計算される。
【0075】
【数24】
【0076】
【数25】
【0077】なお、前記数24,25中の値aF,aR,C
F,CR,I,m は前述した車両に固有の定数である。
【0078】次に、ステップ188にて前記計算した目
標ヨーレートRD と検出したヨーレートRを用いた前記
数16の演算の実行により制御入力uを計算する。この
場合の中間変数Xc は前述した数17により定義される
もので、係数行列Ac,Bc,Cc,Dcは予め決められた
ものである。
【0079】次に、ステップ189にて前記計算した駆
動トルクTおよび制御入力uと前記検出したヨーレート
Rとを用いた数18の演算の実行により駆動力配分比λ
を計算する。この数18において、最大トルクTm およ
び係数KL は車種により予め決められた値である。次
に、ステップ190にてこの駆動力配分比λを用いた前
記数19の演算の実行により時間遅れを考慮した駆動力
配分比λ* を計算する。この場合、係数τR は車種に応
じて予め決められた値である。次に、ステップ191に
て前記計算した車両の横滑り角β、駆動力配分比λ* お
よび駆動トルクTと、車速V、ヨーレートRおよび前輪
舵角δf とを用いた数20の演算の実行によりフィード
バック制御のための後輪舵角δr を計算する。この数2
0においても、その他の値は前述した車両に固有の定数
である。
【0080】前述のようにして駆動力配分比λおよび後
輪舵角δr を計算した後、マイクロコンピュータ157
はステップ192にて駆動力配分比λを表す制御信号を
駆動系制御回路158に出力し、ステップ193にて後
輪舵角δr を表す制御信号を操舵系制御回路161に出
力する。駆動系制御回路158は前記制御信号に応じて
圧力制御バルブ125を制御し、湿式多板クラッチ12
3における油圧を前記制御信号に対応した圧力に設定制
御する。これにより、トランスミッション113からの
駆動トルクが駆動力配分比λに応じてフロントプロペラ
シャフト115およびリヤプロペラシャフト116に分
配されるので、前輪FW1,FW2および後輪RW1,
RW2の各駆動トルクが同配分比λに応じたものにな
る。また、操舵系制御回路161は制御信号により表さ
れた後輪舵角δr と後輪舵角センサ162からの検出信
号により表された後輪舵角との差を表す制御信号をサー
ボバルブ144に出力し、同バルブ144は前記差がな
くなるようにパワーシリンダ143に対する作動油の給
排を制御する。これにより、パワーシリンダ143はリ
レーロッド141を駆動して、後輪RW1,RW2を後
輪舵角δr に操舵する。
【0081】上記作動説明からも理解できるとおり、上
記実施例によれば、検出されたヨーレートRが前記目標
ヨーレートRD に等しくなるように、前輪FW1,FW
2と後輪RW1,RW2の駆動トルクが前記駆動力配分
比λにしたがってフィードバック制御されるとともに、
後輪RW1,RW2が前記後輪舵角δr にしたがってフ
ィードバック制御される。そして、この場合も、目標ヨ
ーレートRD は、前記ステップ184〜187の処理に
より、原則的には前輪舵角δf および車速Vに応じて決
定されるとともに、横滑り角β(横滑り角速度dβ/dt)
および車速Vが大きくなるにしたがって小さくなる値に
設定されるので、上記第1実施例と同様に、タイヤは常
に車体のヨーレートを支えることができて車両の操安性
が良好となる。
【0082】さらに、この第2実施例においては、駆動
力配分比λおよび後輪舵角δr の決定の際、検出された
ヨーレートRが前記目標ヨーレートRD に等しくなるよ
うに、フィードバック制御用の制御入力uが決定され
て、この制御入力uが駆動力配分比λおよび後輪舵角δ
r に分配される。そして、このような制御においては、
後輪RW1,RW2はパワーシリンダ143により直接
的に制御されるので、同制御に対する車両のヨー運動変
化の応答性は速いが、後輪RW1,RW2への駆動力が
大きかったり、横滑り角が大きくなるとヨー運動への影
響度は小さくなる。一方、駆動力配分の制御は湿式多板
クラッチ123により制御され、車両のヨー運動に対す
る応答性は悪いが、後輪RW1,RW2への駆動トルク
が大きかったり、横滑り角が大きくなっても前記影響度
は大きい。したがって、前後輪の駆動力配分が車両のヨ
ー運動を安定化すると同時に、後輪RW1,RW2の操
舵が駆動力配分の制御遅れを補うので、駆動力配分およ
び後輪操舵の両制御を行う第2実施例によれば、車両の
ヨー運動の制御が、駆動トルクが大きかったり、横滑り
角が大きくなっても常に安定して行われる。すなわち、
駆動力配分および後輪操舵の両制御により限界域におけ
るヨー運動の制御が可能となるため、限界域での車両の
安定化を図る効果を充分発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例を示す車両の全体概略図
である。
【図2】 図1の目標ヨーレート演算回路にて実行され
るプログラムのフローチャートである。
【図3】 (A)は関数データΔRLの特性図、(B)は関数
データのΔFRの特性図である。
【図4】 図2の変形例に係るプログラムのフローチャ
ートである。
【図5】 本発明の第2実施例を示す車両の全体概略図
である。
【図6】 図5のマイクロコンピュータにて実行される
プログラムのフローチャートである。
【図7】 オートマチックトランスミッションにおける
スリップ率に対するトルク比の特性グラフである。
【図8】 オートマチックトランスミッションにおける
スリップ率に対するトルク容量の特性グラフである。
【図9】 図5の車両にて行われる制御のシステム図で
ある。
【符号の説明】
A…前輪操舵装置、B…後輪操舵装置、C…ブレーキ装
置、D…電気制御装置、FW1,FW2…前輪、RW
1,RW2…後輪、11…操舵ハンドル、41…前輪舵
角センサ、42…車速センサ、43…横加速度センサ、
44…ヨーレートセンサ、45a〜45d…車輪速セン
サ、46…目標ヨーレート演算回路、47……後輪操舵
制御回路、48…車輪速演算回路、E…駆動力伝達装
置、F…前輪操舵装置、G…後輪操舵装置、H…電気制
御装置、111…エンジン、113…トランスミッショ
ン、114…センターデファレンシャル、123…湿式
多板クラッチ、125…圧力制御バルブ、131…操舵
ハンドル、141…リレーロッド、143…パワーシリ
ンダ、144…サーボバルブ、151…前輪舵角セン
サ、152…車速センサ、153…横加速度センサ、1
54,155…回転数センサ,156…ヨーレートセン
サ、157…マイクロコンピュータ、158…駆動系制
御回路、161…操舵系制御回路。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B62D 137:00

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のステアリング特性を変更可能なス
    テアリング特性変更装置を備えた車両に適用され、車速
    を検出する車速検出手段と、前輪舵角を検出する前輪舵
    角検出手段と、車体のヨーレートを検出するヨーレート
    検出手段と、前記検出された車速および前輪舵角に基づ
    いて目標ヨーレートを決定する目標ヨーレート決定手段
    と、前記決定目標ヨーレートと前記検出ヨーレートとの
    差に応じた制御信号を前記ステアリング特性変更装置に
    出力して両ヨーレートの差をなくすように制御する制御
    手段とを備えた車両のヨー運動制御装置において、車両
    の横滑り角または横滑り角速度を検出する横滑り角検出
    手段と、前記検出された横滑り角または横滑り角速度が
    大きいとき前記決定される目標ヨーレートを減少させる
    補正手段とを設けたことを特徴とする車両のヨー運動制
    御装置。
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JPH11152056A (ja) * 1997-11-21 1999-06-08 Koyo Seiko Co Ltd 車両のステアリング装置

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