JPH0530146U - 高強度球状黒鉛鋳鉄の製造装置 - Google Patents
高強度球状黒鉛鋳鉄の製造装置Info
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- JPH0530146U JPH0530146U JP7736891U JP7736891U JPH0530146U JP H0530146 U JPH0530146 U JP H0530146U JP 7736891 U JP7736891 U JP 7736891U JP 7736891 U JP7736891 U JP 7736891U JP H0530146 U JPH0530146 U JP H0530146U
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 比較的大型のオーステンパー球状黒鉛鋳鉄品
について、その内部にパーライトを析出させず、機械的
強度に優れたものを安定して生産する。 【構成】 オ−ステナイト炉と、このオーステナイト化
炉の近くに配置した冷却液と空気を混合した噴霧状冷媒
での冷却装置と、この冷却装置の近くに配置した恒温変
態処理装置からなる製造装置である。
について、その内部にパーライトを析出させず、機械的
強度に優れたものを安定して生産する。 【構成】 オ−ステナイト炉と、このオーステナイト化
炉の近くに配置した冷却液と空気を混合した噴霧状冷媒
での冷却装置と、この冷却装置の近くに配置した恒温変
態処理装置からなる製造装置である。
Description
【0001】
本考案は高強度球状黒鉛鋳鉄の一つであるオ−ステンパー球状黒鉛鋳鉄の製造 装置に関する。
【0002】
オーステンパー球状黒鉛鋳鉄は、抗張力と伸びが著しく大きいため、例えば自 動車の足廻り部品など、いわゆる重要保安部品として、重量軽減、原価低減など に優れた効果をもたらすものである。このオーステンパー球状黒鉛鋳鉄は、球状 黒鉛鋳鉄の基地組織をベイナイトと残留オーステナイトの混合組織として得られ る。通常、基地がオーステナイト単相となる温度まで加熱し、その温度で安定な オーステナイト組織としたものをパーライト変態を阻止してそのままフェライト およびパーライト生成温度以下、マルテンサイト生成温度以上の温度範囲に保持 した熱浴中に急冷し、その温度で変態を完了させたのち室温まで冷却するいわゆ るオーステンパー熱処理が行わる。
【0003】 図2は、オーステンパー球状黒鉛鋳鉄の熱処理の連続冷却曲線モデルを示すも のである。図2で、熱処理の対象品が、冷却曲線の(1)で示すパーライトノー ズを横切らない場合、基地組織はベイナイトと残留オーステナイトの適正な二相 混合組織となる。
【0004】 しかし、大型の球状黒鉛鋳鉄品においては、部分的に肉厚の大なる箇所がある 場合、表層部と中心部との冷却速度が異なるため、中心部において焼き入れ冷却 速度が遅くなる部分があり、点線(2)で示すようにパーライトノーズを横切る と、ベイナイトと残留オーステナイト組織のほかに、パーライト組織が析出し、 そのために抗張力や伸びなどの機械的性質が著しく低下する。
【0005】 また、大型の球状黒鉛鋳鉄品の場合は、オーステナイト化炉および恒温変態処 理装置で球状黒鉛鋳鉄品を搬送するのに、コンベアあるいはシュ−ト等の速度の ある機器の使用が難しく、通常ホイストクレ−ン等が用いられる。このために球 状黒鉛鋳鉄品を恒温変態設備に投入するまでに時間を要し、球状黒鉛鋳鉄品の冷 却速度が遅くなり、パ−ライトが析出して十分なオ−ステンパー処理が行えない 。このようにパーライトが析出すると機械的強度が著しく低下し、例えば抗張力 は、パーライトが析出すると、析出しない場合の約2/3、同じく伸びは約4/ 10になることもある。
【0006】 これを解決するため、合金元素を添加して、材料のパ−ライトノ−ズを長時間 側に移動させる方法がとられている。しかし、合金元素の添加は製造コストが上 がり、また鋳造性や機械的強度も低下する。
【0007】 さらに別の方法として、一旦所望の恒温変態温度よりも低い温度に冷却して、 その後に所望の恒温変態温度の炉に投入する、所謂二段オ−ステンパー処理法が 採用されている。しかし、この二段オーステナンパ−処理の一段目の処理に、水 あるいは油による冷却を行う場合は、所望の恒温変態温度の直上に達する時間の 調整が極めて難しく、実用に供することは困難であり、やむを得ず一段目の処理 にも塩浴炉を使用することが多い。これは塩浴炉が複数台必要になり生産コスト が上昇する。
【0008】 また、この二段オーステンパー処理においても、コンベアあるいはシュ−ト等 の速度のある搬送設備の使用が難しく、ホイストあるいは天井クレ−ン等を用い る場合には、球状黒鉛鋳鉄品が大気中に暴露される時間が長くかかり、冷却速度 が遅くなって搬送中にパ−ライト析出域まで温度が低下し、その結果パ−ライト が析出して十分なオ−ステンパ処理が行えないという問題は何ら解決しない。
【0009】 上記の通り、ベイナイトと残留オーステナイトの混合組織中にパーライトを析 出させないことは、優れたオーステンパー球状黒鉛鋳鉄を製造するうえで重要な ことであり、パーライトを析出させず安定して機械的性質に優れたオーステンパ ー球状黒鉛鋳鉄を製造する設備の開発が強く望まれていた。
【0010】 本考案は、その内部にパーライトが析出しない、比較的大型の高強度球状黒鉛 鋳鉄を、安定して生産する製造装置を提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本考案の高強度球状黒鉛鋳鉄の製造装置は、オ−ス テナイト化処理するオーステナイト化炉と、該オーステナイト化炉近傍に配置し 、オーステナイト化炉の出炉品のパ−ライトが析出しない速度でパ−ライト析出 域を過ぎるまで冷却する冷却液と空気を混合した噴霧状冷媒での冷却装置と、該 冷却装置の近傍に配置し、恒温変態処理温度の近くまたはその温度の直上に達し た時に投入する恒温変態処理装置からなることを特徴とする。
【0012】
この作用を図2により説明する。
【0013】 球状黒鉛鋳鉄をオーステナイト化炉によりオ−ステナイト化処理した後、オー ステナイト化炉の近くの冷却装置で、直ちにパ−ライトが析出しない速度でパ− ライト析出域を過ぎるまで冷却液と空気を混合した噴霧状冷媒で冷却することに より、球状黒鉛鋳鉄品が大きい場合あるいは部分的に肉厚の大きい箇所があって も、図2の実線(3)で示す線図となり、パーライトノーズを回避する。その後 直ちに恒温変態処理装置で恒温変態処理温度の近傍望ましくはその温度の直上に 達した時に恒温変態処理することにより、パーライトが析出せず機械的性質に優 れたオーステンパー球状黒鉛鋳鉄にする。
【0014】
本考案の一実施例を図1により詳細に説明する。 図1において、1はオ−ステナイト化炉、2は恒温変態処理装置、3は球状黒 鉛鋳鉄品5および治具6の搬送装置であるホイストあるいは天井クレ−ン、4は 水などの冷却液と空気を混合した噴霧状冷媒により球状黒鉛鋳鉄を冷却する冷却 装置である。冷却装置4にはホイストあるいは天井クレ−ンなどの搬送装置3に よって球状黒鉛鋳鉄品5とその治具6の搬入、搬出ができる出入り口と、冷却液 と空気を混合して噴霧状にした球状黒鉛鋳鉄品の冷却手段を起動、停止するよう にし、さらに冷却後に冷却装置内に滞留した冷却液を適宜外部へ排出する排出口 を設ける。
【0015】 次に、オーステンパー球状黒鉛鋳鉄の熱処理について説明する。オ−ステナイ ト化炉1より球状黒鉛鋳鉄品5と治具5を取りだし、直ちに球状黒鉛鋳鉄品5と 治具6を搬送装置3によって、冷却装置4に装入する。
【0016】 冷却装置4により、図2の(3)に示すように、球状黒鉛鋳鉄品5および治具 6がパ−ライト域を通過することなく、急速に冷却される。しかもこのときの冷 却速度は、水または油などによる所謂焼入れよりも遅いために、球状黒鉛鋳鉄品 5が所望の恒温変態温度の近傍望ましくはその温度の直上に達した時に、冷却液 の噴霧を停止すれば容易に冷却が停止し、恒温変態処理装置に投入することが可 能となる。
【0017】 冷却装置4は、比較的簡易軽量に製作可能なのでオ−ステナイト化炉と恒温変 態処理装置に極く近接して設置でき、ホイストあるいはクレーンのような搬送装 置3でもパ−ライトが析出することなくかつマルテンサイト域まで過冷却するこ となく恒温変態処理装置に投入することが可能である。
【0018】 本考案の製造装置により、鋳造品の肉厚が一般で3mm、部分的に12mmの 25kgある、重量の大型のオーステンパー球状黒鉛鋳鉄を製造した結果、肉厚 の大きい中心に於いても、パーライトは析出せず、機械的強度も一般肉厚部と同 等となり、満足できるオーステンパー球状黒鉛鋳鉄となった。
【0019】
【考案の効果】 以上説明の通り、本考案は、球状黒鉛鋳鉄をオ−ステナイト化炉から、直ち冷 却装置に投入し、パ−ライトが析出しない速度でパ−ライト析出域を過ぎるまで 冷却液と空気を混合した噴霧状冷媒で冷却してパーライトノーズを回避し、恒温 変態処理温度の近傍望ましくはその温度の直上に達した時に、直ちに温変態処理 装置に投入して恒温変態処理するので、球状黒鉛鋳鉄品に部分的に肉厚の大きい 箇所があっても、中心部にパーライトが析出することなく、機械的性質に優れた オーステンパー球状黒鉛鋳鉄を安価な設備で容易に製造することができる。
【図1】本考案の一実施例を示す高強度球状黒鉛鋳鉄の
製造装置を示す図である。
製造装置を示す図である。
【図2】オーステンパー球状黒鉛鋳鉄の熱処理の連続冷
却曲線モデルを示す図である。
却曲線モデルを示す図である。
1 オ−ステナイト化炉 2 恒温変態処理装置 3 搬送装置 4 冷却装置 5 球状黒鉛鋳鉄品 6 治具
Claims (1)
- 【請求項1】オ−ステナイト炉と、該オーステナイト化
炉近傍に配置し、オーステナイト化の出炉品のパ−ライ
トが析出しない速度でパ−ライト析出域を過ぎるまで冷
却する冷却液と空気を混合した噴霧状冷媒での冷却装置
と、該冷却装置の近傍に配置し、恒温変態処理温度の近
くまたはその温度の直上に達した時に投入する恒温変態
処理装置からなることを特徴とする高強度球状黒鉛鋳鉄
の製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7736891U JPH0530146U (ja) | 1991-09-25 | 1991-09-25 | 高強度球状黒鉛鋳鉄の製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7736891U JPH0530146U (ja) | 1991-09-25 | 1991-09-25 | 高強度球状黒鉛鋳鉄の製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0530146U true JPH0530146U (ja) | 1993-04-20 |
Family
ID=13631962
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7736891U Pending JPH0530146U (ja) | 1991-09-25 | 1991-09-25 | 高強度球状黒鉛鋳鉄の製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0530146U (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011202228A (ja) * | 2010-03-25 | 2011-10-13 | Ihi Corp | 熱処理方法 |
-
1991
- 1991-09-25 JP JP7736891U patent/JPH0530146U/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011202228A (ja) * | 2010-03-25 | 2011-10-13 | Ihi Corp | 熱処理方法 |
US9593390B2 (en) | 2010-03-25 | 2017-03-14 | Ihi Corporation | Heat treatment method |
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