JP2001316723A - ダクタイル鋳鉄の熱処理方法 - Google Patents
ダクタイル鋳鉄の熱処理方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 大量生産でき、作業性が良好で、製品の寸法
精度を高くし、しかも作業工程を短縮することが可能な
ダクタイル鋳鉄の熱処理方法を提供する。 【解決手段】 ダクタイル鋳鉄11を850〜1000
℃に加熱してオーステナイト化し、オーステナイト化し
たダクタイル鋳鉄13を、所定温度領域まで急冷処理し
てベーナイト化処理する熱処理方法において、オーステ
ナイト化されたダクタイル鋳鉄13に、高温の過熱蒸気
を吹き付けてベーナイト形成温度領域まで急冷却する。
精度を高くし、しかも作業工程を短縮することが可能な
ダクタイル鋳鉄の熱処理方法を提供する。 【解決手段】 ダクタイル鋳鉄11を850〜1000
℃に加熱してオーステナイト化し、オーステナイト化し
たダクタイル鋳鉄13を、所定温度領域まで急冷処理し
てベーナイト化処理する熱処理方法において、オーステ
ナイト化されたダクタイル鋳鉄13に、高温の過熱蒸気
を吹き付けてベーナイト形成温度領域まで急冷却する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダクタイル鋳鉄を
ベーナイト化処理するダクタイル鋳鉄の熱処理方法に関
する。
ベーナイト化処理するダクタイル鋳鉄の熱処理方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ダクタイル鋳鉄(ductile ca
st iron)は、球状黒鉛鋳鉄(spheroid
al graphite cast iron、nod
ulargraphite CI)とも呼ばれ、従来か
ら強度の高い材料として各種機械構造部品に使用されて
いる。このダクタイル鋳鉄に、特殊な熱処理を施すこと
で、ダクタイル鋳鉄の基地組織が強化され、高い強度を
有し、しかも高い靱性と硬さを持たせた耐摩耗性に優れ
たダクタイル鋳鉄とすることができる。このダクタイル
鋳鉄の熱処理の理論は、鋼(鋼材)の熱処理と基本的に
は同様で、その熱処理方法も鋼の場合と類似している。
ここで、図3及び図4に鋼の典型的なTTT曲線(ti
me−temperature−transforma
tion diagram)をそれぞれ示す。なお、図
3は鋼中に合金元素が含まれていない場合のTTT曲
線、図4は鋼中に合金元素が含まれている場合のTTT
曲線である。また、Ms、Mfはそれぞれ、マルテンサ
イト(martensite)変態の開始線、終了線で
ある。即ち、鋼の熱処理は、鋼を加熱してオーステナイ
ト(austenite)化し、冷却速度を調節して、
パーライト(pearlite)形成領域では冷却速度
を速く、ベーナイト形成領域では冷却速度を遅くするこ
とによりベーナイト(bainite)化処理するとい
うものである。
st iron)は、球状黒鉛鋳鉄(spheroid
al graphite cast iron、nod
ulargraphite CI)とも呼ばれ、従来か
ら強度の高い材料として各種機械構造部品に使用されて
いる。このダクタイル鋳鉄に、特殊な熱処理を施すこと
で、ダクタイル鋳鉄の基地組織が強化され、高い強度を
有し、しかも高い靱性と硬さを持たせた耐摩耗性に優れ
たダクタイル鋳鉄とすることができる。このダクタイル
鋳鉄の熱処理の理論は、鋼(鋼材)の熱処理と基本的に
は同様で、その熱処理方法も鋼の場合と類似している。
ここで、図3及び図4に鋼の典型的なTTT曲線(ti
me−temperature−transforma
tion diagram)をそれぞれ示す。なお、図
3は鋼中に合金元素が含まれていない場合のTTT曲
線、図4は鋼中に合金元素が含まれている場合のTTT
曲線である。また、Ms、Mfはそれぞれ、マルテンサ
イト(martensite)変態の開始線、終了線で
ある。即ち、鋼の熱処理は、鋼を加熱してオーステナイ
ト(austenite)化し、冷却速度を調節して、
パーライト(pearlite)形成領域では冷却速度
を速く、ベーナイト形成領域では冷却速度を遅くするこ
とによりベーナイト(bainite)化処理するとい
うものである。
【0003】従って、ダクタイル鋳鉄の熱処理方法も以
下のように実施することができる。まず、ダクタイル鋳
鉄を高温(例えば850〜1000℃程度)に加熱保持
(オーステナイト化)した後、適当な温度(例えば30
0〜500℃程度)の塩浴(ソルトバス)等に入れ、ダ
クタイル鋳鉄を急冷する。次に、一定時間(例えば20
〜100分程度)保持した後放冷することで、オーステ
ナイト化したダクタイル鋳鉄を、強靱なベーナイトに変
態させる。この等温変態処理(オーステンパー)を施す
と、ダクタイル鋳鉄に高い引張強さを持たせることが可
能となり、更に処理条件を変えると、硬さもかなりの幅
で変えることができる。このように、ベーナイト化処理
したダクタイル鋳鉄は、特に耐摩耗性に優れ、各種ギア
類、スプロケット、チェーンホイル等、強度と靱性と耐
摩耗性を要求される部品に応用することで、非常に優れ
た効果を示すものである。
下のように実施することができる。まず、ダクタイル鋳
鉄を高温(例えば850〜1000℃程度)に加熱保持
(オーステナイト化)した後、適当な温度(例えば30
0〜500℃程度)の塩浴(ソルトバス)等に入れ、ダ
クタイル鋳鉄を急冷する。次に、一定時間(例えば20
〜100分程度)保持した後放冷することで、オーステ
ナイト化したダクタイル鋳鉄を、強靱なベーナイトに変
態させる。この等温変態処理(オーステンパー)を施す
と、ダクタイル鋳鉄に高い引張強さを持たせることが可
能となり、更に処理条件を変えると、硬さもかなりの幅
で変えることができる。このように、ベーナイト化処理
したダクタイル鋳鉄は、特に耐摩耗性に優れ、各種ギア
類、スプロケット、チェーンホイル等、強度と靱性と耐
摩耗性を要求される部品に応用することで、非常に優れ
た効果を示すものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た塩浴を用いてダクタイル鋳鉄に熱処理を施す方法に
は、以下の問題がある。まず、ベーナイト化処理に塩浴
を使用すると、ベーナイト化処理するダクタイル鋳鉄の
大きさには制限ができ、しかも処理量にも制限ができる
ため大量生産に向かない。また、塩浴を使用すること
で、ベーナイト化処理後の製品の表面には塩が付着し、
この塩に人が触れることでやけどをしたり、塩が目に入
ることで失明する恐れがあるため作業性が悪く、しかも
製品に付着した塩を除去するため、製品を洗浄しなけれ
ばならず、更に洗浄後の洗浄水を処理しなければならな
い。そして、ベーナイト化処理した製品は、従来、まず
金属を鍛造等の処理後に、目的の形状に機械加工し、こ
の機械加工した材料の表面を浸炭、高周波焼入等の処理
を施して製造していた。このように、機械加工後に熱処
理を行うため、製品の寸法精度が悪い。また、寸法精度
を向上させるため製品の再加工を行うと、作業工程が増
え作業性が悪く、製品完成までの時間もかかる。本発明
はかかる事情に鑑みてなされたもので、大量生産でき、
作業性が良好で、製品の寸法精度を高くし、しかも作業
工程を短縮することが可能なダクタイル鋳鉄の熱処理方
法を提供することを目的とする。
た塩浴を用いてダクタイル鋳鉄に熱処理を施す方法に
は、以下の問題がある。まず、ベーナイト化処理に塩浴
を使用すると、ベーナイト化処理するダクタイル鋳鉄の
大きさには制限ができ、しかも処理量にも制限ができる
ため大量生産に向かない。また、塩浴を使用すること
で、ベーナイト化処理後の製品の表面には塩が付着し、
この塩に人が触れることでやけどをしたり、塩が目に入
ることで失明する恐れがあるため作業性が悪く、しかも
製品に付着した塩を除去するため、製品を洗浄しなけれ
ばならず、更に洗浄後の洗浄水を処理しなければならな
い。そして、ベーナイト化処理した製品は、従来、まず
金属を鍛造等の処理後に、目的の形状に機械加工し、こ
の機械加工した材料の表面を浸炭、高周波焼入等の処理
を施して製造していた。このように、機械加工後に熱処
理を行うため、製品の寸法精度が悪い。また、寸法精度
を向上させるため製品の再加工を行うと、作業工程が増
え作業性が悪く、製品完成までの時間もかかる。本発明
はかかる事情に鑑みてなされたもので、大量生産でき、
作業性が良好で、製品の寸法精度を高くし、しかも作業
工程を短縮することが可能なダクタイル鋳鉄の熱処理方
法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う第1の発
明に係るダクタイル鋳鉄の熱処理方法は、ダクタイル鋳
鉄を850〜1000℃に加熱してオーステナイト化
し、オーステナイト化したダクタイル鋳鉄を、所定温度
領域まで急冷処理してベーナイト化処理する熱処理方法
において、オーステナイト化されたダクタイル鋳鉄に、
高温の過熱蒸気を吹き付けてベーナイト形成温度領域ま
で急冷却する。これにより、従来の塩浴を使用すること
なく、ダクタイル鋳鉄をベーナイト化処理することが可
能となるので、ベーナイト化処理後のダクタイル鋳鉄に
付着した塩に、人が触れる恐れが無く、しかも洗浄水も
必要なくなる。また、オーステナイト化されたダクタイ
ル鋳鉄に、高温の過熱蒸気を吹き付けることで、ダクタ
イル鋳鉄の表面への過熱蒸気のぬれ性が高まり、ダクタ
イル鋳鉄の内部までより均一にベーナイト化処理するこ
とが可能になると考えられる。ここで、第1の発明に係
るダクタイル鋳鉄の熱処理方法において、高温の過熱蒸
気を吹き付けてベーナイト形成温度領域まで急冷却した
ダクタイル鋳鉄を更にベーナイト形成温度領域にある過
熱蒸気に曝すことが好ましい。これにより、ダクタイル
鋳鉄を効率良くベーナイト化処理することが可能とな
る。
明に係るダクタイル鋳鉄の熱処理方法は、ダクタイル鋳
鉄を850〜1000℃に加熱してオーステナイト化
し、オーステナイト化したダクタイル鋳鉄を、所定温度
領域まで急冷処理してベーナイト化処理する熱処理方法
において、オーステナイト化されたダクタイル鋳鉄に、
高温の過熱蒸気を吹き付けてベーナイト形成温度領域ま
で急冷却する。これにより、従来の塩浴を使用すること
なく、ダクタイル鋳鉄をベーナイト化処理することが可
能となるので、ベーナイト化処理後のダクタイル鋳鉄に
付着した塩に、人が触れる恐れが無く、しかも洗浄水も
必要なくなる。また、オーステナイト化されたダクタイ
ル鋳鉄に、高温の過熱蒸気を吹き付けることで、ダクタ
イル鋳鉄の表面への過熱蒸気のぬれ性が高まり、ダクタ
イル鋳鉄の内部までより均一にベーナイト化処理するこ
とが可能になると考えられる。ここで、第1の発明に係
るダクタイル鋳鉄の熱処理方法において、高温の過熱蒸
気を吹き付けてベーナイト形成温度領域まで急冷却した
ダクタイル鋳鉄を更にベーナイト形成温度領域にある過
熱蒸気に曝すことが好ましい。これにより、ダクタイル
鋳鉄を効率良くベーナイト化処理することが可能とな
る。
【0006】前記目的に沿う第2の発明に係るダクタイ
ル鋳鉄の熱処理方法は、ダクタイル鋳鉄を850〜10
00℃に加熱してオーステナイト化し、オーステナイト
化したダクタイル鋳鉄を、所定温度領域まで急冷処理し
てベーナイト化処理する熱処理方法において、オーステ
ナイト化されたダクタイル鋳鉄を、砂を用いた流動層中
でベーナイト形成温度領域まで急冷却する。これによ
り、従来の塩浴を使用することなくダクタイル鋳鉄をベ
ーナイト化処理することが可能となるので、ベーナイト
化処理後のダクタイル鋳鉄に付着した塩に、人が触れる
恐れが無くなる。
ル鋳鉄の熱処理方法は、ダクタイル鋳鉄を850〜10
00℃に加熱してオーステナイト化し、オーステナイト
化したダクタイル鋳鉄を、所定温度領域まで急冷処理し
てベーナイト化処理する熱処理方法において、オーステ
ナイト化されたダクタイル鋳鉄を、砂を用いた流動層中
でベーナイト形成温度領域まで急冷却する。これによ
り、従来の塩浴を使用することなくダクタイル鋳鉄をベ
ーナイト化処理することが可能となるので、ベーナイト
化処理後のダクタイル鋳鉄に付着した塩に、人が触れる
恐れが無くなる。
【0007】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1(a)、(b)はそれ
ぞれ本発明の第1の実施の形態に係るダクタイル鋳鉄の
熱処理方法を適用した熱処理装置の構成図、熱処理時の
温度変化の説明図、図2(a)、(b)はそれぞれ本発
明の第2の実施の形態に係るダクタイル鋳鉄の熱処理方
法を適用した熱処理装置の構成図、熱処理時の温度変化
の説明図である。
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1(a)、(b)はそれ
ぞれ本発明の第1の実施の形態に係るダクタイル鋳鉄の
熱処理方法を適用した熱処理装置の構成図、熱処理時の
温度変化の説明図、図2(a)、(b)はそれぞれ本発
明の第2の実施の形態に係るダクタイル鋳鉄の熱処理方
法を適用した熱処理装置の構成図、熱処理時の温度変化
の説明図である。
【0008】図1に示すように、本発明の第1の実施の
形態に係るダクタイル鋳鉄の熱処理方法を適用した熱処
理装置10には、上流側から下流側にかけて、ダクタイ
ル鋳鉄11を加熱してオーステナイト化する加熱装置1
2と、オーステナイト化したダクタイル鋳鉄13を所定
温度領域まで急冷処理する冷却装置14とがそれぞれ備
えられている。また、この加熱装置12の上流側に備え
られたダクタイル鋳鉄11の搬入口15から、冷却装置
14の下流側に備えられたダクタイル鋳鉄31の搬出口
16までには、ダクタイル鋳鉄を搬送可能な搬送手段の
一例である複数のローラ17を有するローラコンベア1
8が設けられている。以下詳しく説明する。
形態に係るダクタイル鋳鉄の熱処理方法を適用した熱処
理装置10には、上流側から下流側にかけて、ダクタイ
ル鋳鉄11を加熱してオーステナイト化する加熱装置1
2と、オーステナイト化したダクタイル鋳鉄13を所定
温度領域まで急冷処理する冷却装置14とがそれぞれ備
えられている。また、この加熱装置12の上流側に備え
られたダクタイル鋳鉄11の搬入口15から、冷却装置
14の下流側に備えられたダクタイル鋳鉄31の搬出口
16までには、ダクタイル鋳鉄を搬送可能な搬送手段の
一例である複数のローラ17を有するローラコンベア1
8が設けられている。以下詳しく説明する。
【0009】加熱装置12の上流側端部19には、加熱
してオーステナイト化するダクタイル鋳鉄11を搬入す
る搬入口15が、また加熱装置12の下流側端部20に
はオーステナイト化したダクタイル鋳鉄13を搬出する
搬出口21がそれぞれ設けられている。そして、加熱装
置12の上下の内壁22、23には、ローラコンベア1
8に沿って平行に発熱体24(又はバーナー)がそれぞ
れ備えられており、これによりダクタイル鋳鉄11を加
熱しオーステナイト化することが可能となる。
してオーステナイト化するダクタイル鋳鉄11を搬入す
る搬入口15が、また加熱装置12の下流側端部20に
はオーステナイト化したダクタイル鋳鉄13を搬出する
搬出口21がそれぞれ設けられている。そして、加熱装
置12の上下の内壁22、23には、ローラコンベア1
8に沿って平行に発熱体24(又はバーナー)がそれぞ
れ備えられており、これによりダクタイル鋳鉄11を加
熱しオーステナイト化することが可能となる。
【0010】冷却装置14の上流側端部25には、オー
ステナイト化したダクタイル鋳鉄13を搬入する搬入口
26が、また冷却装置14の下流側端部27にはベーナ
イト化処理したダクタイル鋳鉄31を搬出する搬出口1
6がそれぞれ設けられている。そして、冷却装置14の
上下の内壁28、29には、過熱蒸気をダクタイル鋳鉄
13に吹き付け可能とした複数のノズル(図示しない)
を備えたノズル収納部30が、ローラコンベア18に沿
って平行にそれぞれ設けられている。なお、このノズル
収納部30は、ローラコンベア18の搬送方向に複数の
区画(この実施の形態では3区画)に区分されているた
め、各ノズル収納部30ごとに過熱蒸気の温度調節を行
うことが可能となる。また、ローラコンベア18には、
複数のローラ17が備えられており、このローラ17
は、加熱装置12の加熱温度や、冷却装置14の過熱蒸
気に耐えることが可能な材質で形成されている。
ステナイト化したダクタイル鋳鉄13を搬入する搬入口
26が、また冷却装置14の下流側端部27にはベーナ
イト化処理したダクタイル鋳鉄31を搬出する搬出口1
6がそれぞれ設けられている。そして、冷却装置14の
上下の内壁28、29には、過熱蒸気をダクタイル鋳鉄
13に吹き付け可能とした複数のノズル(図示しない)
を備えたノズル収納部30が、ローラコンベア18に沿
って平行にそれぞれ設けられている。なお、このノズル
収納部30は、ローラコンベア18の搬送方向に複数の
区画(この実施の形態では3区画)に区分されているた
め、各ノズル収納部30ごとに過熱蒸気の温度調節を行
うことが可能となる。また、ローラコンベア18には、
複数のローラ17が備えられており、このローラ17
は、加熱装置12の加熱温度や、冷却装置14の過熱蒸
気に耐えることが可能な材質で形成されている。
【0011】次に、本発明の第1の実施の形態に係るダ
クタイル鋳鉄の熱処理方法について、上記した熱処理装
置10を使用し、図1(a)、(b)を参照しながら説
明する。まず、適当な大きさ(例えば幅1〜2m、長さ
2〜5m、高さ0.02〜1m程度)に切削されたダク
タイル鋳鉄11を、加熱装置12の搬入口15からロー
ラコンベア18のローラ17上に積載する。ローラコン
ベア18上に積載されたこのダクタイル鋳鉄11は、ロ
ーラコンベア18のローラ17を例えばモータ(図示し
ない)で駆動することにより搬出口21方向に搬送さ
れ、このとき発熱体24(又はバーナー)により850
〜1000℃に加熱されてオーステナイト化される。な
お、オーステナイト化の温度は850〜1000℃とし
たが、より安定した品質を有するダクタイル鋳鉄13を
製造するため850〜950℃、より好ましくは850
〜920℃とすることが好ましい。そして、この場合の
加熱保持時間は、ダクタイル鋳鉄11の形状や厚み等に
より変化させ、加熱するダクタイル鋳鉄11の内部まで
温度を均一にすることが好ましい。
クタイル鋳鉄の熱処理方法について、上記した熱処理装
置10を使用し、図1(a)、(b)を参照しながら説
明する。まず、適当な大きさ(例えば幅1〜2m、長さ
2〜5m、高さ0.02〜1m程度)に切削されたダク
タイル鋳鉄11を、加熱装置12の搬入口15からロー
ラコンベア18のローラ17上に積載する。ローラコン
ベア18上に積載されたこのダクタイル鋳鉄11は、ロ
ーラコンベア18のローラ17を例えばモータ(図示し
ない)で駆動することにより搬出口21方向に搬送さ
れ、このとき発熱体24(又はバーナー)により850
〜1000℃に加熱されてオーステナイト化される。な
お、オーステナイト化の温度は850〜1000℃とし
たが、より安定した品質を有するダクタイル鋳鉄13を
製造するため850〜950℃、より好ましくは850
〜920℃とすることが好ましい。そして、この場合の
加熱保持時間は、ダクタイル鋳鉄11の形状や厚み等に
より変化させ、加熱するダクタイル鋳鉄11の内部まで
温度を均一にすることが好ましい。
【0012】オーステナイト化されたダクタイル鋳鉄1
3は、更に熱処理装置10の下流側に設けられた冷却装
置14の搬入口26に搬送される。搬入口26に搬送さ
れたダクタイル鋳鉄13は、ローラコンベア18のロー
ラ17を駆動することで搬出口16方向に搬送される。
このときノズル収納部30に備えられた複数のノズルか
らダクタイル鋳鉄13に吹き付けられる高温の過熱蒸気
により所定温度領域まで急冷処理、即ちベーナイト形成
温度領域(例えば300〜500℃程度)まで急冷却す
る。なお、ベーナイト形成温度領域は300〜500℃
としたが、より良好なベーナイト化処理を行うため30
0〜450℃、更には300〜400℃とすることが好
ましい。そして、ノズル収納部30に備えられた複数の
ノズルからダクタイル鋳鉄13に高温の過熱蒸気を吹き
付けて、ベーナイト形成温度領域まで急冷却したダクタ
イル鋳鉄31を、更にベーナイト形成温度領域にある過
熱蒸気に一定時間(例えば20〜100分程度)曝すこ
とで、ベーナイト化処理を行う。
3は、更に熱処理装置10の下流側に設けられた冷却装
置14の搬入口26に搬送される。搬入口26に搬送さ
れたダクタイル鋳鉄13は、ローラコンベア18のロー
ラ17を駆動することで搬出口16方向に搬送される。
このときノズル収納部30に備えられた複数のノズルか
らダクタイル鋳鉄13に吹き付けられる高温の過熱蒸気
により所定温度領域まで急冷処理、即ちベーナイト形成
温度領域(例えば300〜500℃程度)まで急冷却す
る。なお、ベーナイト形成温度領域は300〜500℃
としたが、より良好なベーナイト化処理を行うため30
0〜450℃、更には300〜400℃とすることが好
ましい。そして、ノズル収納部30に備えられた複数の
ノズルからダクタイル鋳鉄13に高温の過熱蒸気を吹き
付けて、ベーナイト形成温度領域まで急冷却したダクタ
イル鋳鉄31を、更にベーナイト形成温度領域にある過
熱蒸気に一定時間(例えば20〜100分程度)曝すこ
とで、ベーナイト化処理を行う。
【0013】なお、前記第1の実施の形態においては、
冷却装置14の上下の内壁28、29に設けられた各ノ
ズル収納部30のノズルから吹き出される過熱蒸気の温
度を、冷却装置14の上流側から下流側にかけてベーナ
イト形成温度領域より低い温度からベーナイト形成温度
領域の温度へと温度調節することが好ましい。これによ
り、冷却装置14に搬入されたダクタイル鋳鉄13は急
速に冷却された後、ベーナイト形成温度領域に維持する
ことが可能となる。また、冷却装置14の上流側に設け
られたノズル収納部30のノズルからダクタイル鋳鉄1
3に吹き付ける蒸気は、飽和蒸気とすることも可能であ
る。従って、加熱されたダクタイル鋳鉄の冷却速度は調
節され、パーライト形成領域では冷却速度を速く、ベー
ナイト形成領域では冷却速度を遅くすることが可能とな
る。
冷却装置14の上下の内壁28、29に設けられた各ノ
ズル収納部30のノズルから吹き出される過熱蒸気の温
度を、冷却装置14の上流側から下流側にかけてベーナ
イト形成温度領域より低い温度からベーナイト形成温度
領域の温度へと温度調節することが好ましい。これによ
り、冷却装置14に搬入されたダクタイル鋳鉄13は急
速に冷却された後、ベーナイト形成温度領域に維持する
ことが可能となる。また、冷却装置14の上流側に設け
られたノズル収納部30のノズルからダクタイル鋳鉄1
3に吹き付ける蒸気は、飽和蒸気とすることも可能であ
る。従って、加熱されたダクタイル鋳鉄の冷却速度は調
節され、パーライト形成領域では冷却速度を速く、ベー
ナイト形成領域では冷却速度を遅くすることが可能とな
る。
【0014】また、前記第1の実施の形態においては、
ダクタイル鋳鉄13に過熱蒸気を吹き付けることによ
り、ダクタイル鋳鉄13の表面に形成される水の膜を吹
き飛ばすことが可能になると考えられる。従って、ダク
タイル鋳鉄13の表面への過熱蒸気のぬれ性が高まり、
ダクタイル鋳鉄13の内部までより均一にベーナイト化
処理することが可能になると考えられる。これにより、
ベーナイト化処理したダクタイル鋳鉄31を加工するこ
とで、強度や靱性を高め、しかも耐摩耗性に優れた製品
を製造することが可能となる。そして、前記第1の実施
の形態においては、過熱蒸気をダクタイル鋳鉄13に吹
き付けたが、加熱したダクタイル鋳鉄13を所定温度ま
で急冷処理してベーナイト化処理することが可能である
ならば、ダクタイル鋳鉄13に過熱蒸気を吹き付けるこ
となく、冷却装置14内部にベーナイト形成温度領域に
温度調節した過熱蒸気を充満させることも可能である。
ダクタイル鋳鉄13に過熱蒸気を吹き付けることによ
り、ダクタイル鋳鉄13の表面に形成される水の膜を吹
き飛ばすことが可能になると考えられる。従って、ダク
タイル鋳鉄13の表面への過熱蒸気のぬれ性が高まり、
ダクタイル鋳鉄13の内部までより均一にベーナイト化
処理することが可能になると考えられる。これにより、
ベーナイト化処理したダクタイル鋳鉄31を加工するこ
とで、強度や靱性を高め、しかも耐摩耗性に優れた製品
を製造することが可能となる。そして、前記第1の実施
の形態においては、過熱蒸気をダクタイル鋳鉄13に吹
き付けたが、加熱したダクタイル鋳鉄13を所定温度ま
で急冷処理してベーナイト化処理することが可能である
ならば、ダクタイル鋳鉄13に過熱蒸気を吹き付けるこ
となく、冷却装置14内部にベーナイト形成温度領域に
温度調節した過熱蒸気を充満させることも可能である。
【0015】続いて、本発明の第2の実施の形態に係る
ダクタイル鋳鉄の熱処理方法を適用した熱処理装置32
について、図2を参照しながら説明するが、変更箇所以
外の部材は、第1の実施の形態に係るダクタイル鋳鉄の
熱処理方法を適用した熱処理装置10と同じであるた
め、同一部材には同一の番号を付し、説明を省略する。
本発明の第2の実施の形態に係るダクタイル鋳鉄の熱処
理方法を適用した熱処理装置32には、上流側から下流
側にかけて、ダクタイル鋳鉄33を加熱してオーステナ
イト化する加熱装置12と、オーステナイト化したダク
タイル鋳鉄34を所定温度領域まで急冷処理する冷却装
置35とがそれぞれ備えられている。また、この加熱装
置12の上流側に備えられたダクタイル鋳鉄33の搬入
口15から、冷却装置35の下流側に備えられたダクタ
イル鋳鉄36の搬出口37までには、ダクタイル鋳鉄を
搬送可能な搬送手段の一例であるレール部材(図示しな
い)を有する天井設置型搬送装置38が設けられてい
る。以下詳しく説明する。
ダクタイル鋳鉄の熱処理方法を適用した熱処理装置32
について、図2を参照しながら説明するが、変更箇所以
外の部材は、第1の実施の形態に係るダクタイル鋳鉄の
熱処理方法を適用した熱処理装置10と同じであるた
め、同一部材には同一の番号を付し、説明を省略する。
本発明の第2の実施の形態に係るダクタイル鋳鉄の熱処
理方法を適用した熱処理装置32には、上流側から下流
側にかけて、ダクタイル鋳鉄33を加熱してオーステナ
イト化する加熱装置12と、オーステナイト化したダク
タイル鋳鉄34を所定温度領域まで急冷処理する冷却装
置35とがそれぞれ備えられている。また、この加熱装
置12の上流側に備えられたダクタイル鋳鉄33の搬入
口15から、冷却装置35の下流側に備えられたダクタ
イル鋳鉄36の搬出口37までには、ダクタイル鋳鉄を
搬送可能な搬送手段の一例であるレール部材(図示しな
い)を有する天井設置型搬送装置38が設けられてい
る。以下詳しく説明する。
【0016】冷却装置35の上流側端部39には、オー
ステナイト化したダクタイル鋳鉄34を搬入する搬入口
40が、また冷却装置35の下流側端部41にはベーナ
イト化処理したダクタイル鋳鉄36を搬出する搬出口3
7がそれぞれ設けられている。そして、冷却装置35の
下側空間部42には、砂(例えば粒径0.1〜2mm程
度の細かい粒の集合)43が充填され、更に冷却装置3
5の下側空間部42の下方には、充填された砂43を吹
き上げるために熱風を送り込む送風孔(図示しない)が
多数設けられている。一方、冷却装置35の下流側上部
44には、冷却装置35の下側空間部42に充填された
砂43を吹き上げ可能とした吹き上げ装置の一例である
バーナー45が備えられている。従って、この送風孔や
バーナー45から吹込まれる熱風の温度を調節すること
で、吹き上げられた砂43を用いた流動層47中の温度
調節することが可能となる。なお、冷却装置35の下側
空間部42に充填された砂43は、送風孔やバーナー4
5からの熱風により、初期状態(実線)から例えば1.
1〜2倍程度(破線)に吹き上げられることで、流動層
47を形成することが可能となる。
ステナイト化したダクタイル鋳鉄34を搬入する搬入口
40が、また冷却装置35の下流側端部41にはベーナ
イト化処理したダクタイル鋳鉄36を搬出する搬出口3
7がそれぞれ設けられている。そして、冷却装置35の
下側空間部42には、砂(例えば粒径0.1〜2mm程
度の細かい粒の集合)43が充填され、更に冷却装置3
5の下側空間部42の下方には、充填された砂43を吹
き上げるために熱風を送り込む送風孔(図示しない)が
多数設けられている。一方、冷却装置35の下流側上部
44には、冷却装置35の下側空間部42に充填された
砂43を吹き上げ可能とした吹き上げ装置の一例である
バーナー45が備えられている。従って、この送風孔や
バーナー45から吹込まれる熱風の温度を調節すること
で、吹き上げられた砂43を用いた流動層47中の温度
調節することが可能となる。なお、冷却装置35の下側
空間部42に充填された砂43は、送風孔やバーナー4
5からの熱風により、初期状態(実線)から例えば1.
1〜2倍程度(破線)に吹き上げられることで、流動層
47を形成することが可能となる。
【0017】天井設置型搬送装置38には、ダクタイル
鋳鉄を吊る複数の吊り部材46が備えられ、この吊り部
材46は、例えばレール部材上に設けられたチェーン
(図示しない)に備えられている。これにより、チェー
ンを例えばモータ(図示しない)により駆動させること
で、加熱装置12の上流側端部19に備えられた搬入口
15から、冷却装置35の下流側端部41に備えられた
搬出口37までダクタイル鋳鉄を搬送する構成となって
いる。
鋳鉄を吊る複数の吊り部材46が備えられ、この吊り部
材46は、例えばレール部材上に設けられたチェーン
(図示しない)に備えられている。これにより、チェー
ンを例えばモータ(図示しない)により駆動させること
で、加熱装置12の上流側端部19に備えられた搬入口
15から、冷却装置35の下流側端部41に備えられた
搬出口37までダクタイル鋳鉄を搬送する構成となって
いる。
【0018】次に、本発明の第2の実施の形態に係るダ
クタイル鋳鉄の熱処理方法について、上記した熱処理装
置32を使用し、図2(a)、(b)を参照しながら説
明するが、ダクタイル鋳鉄33のオーステナイト化の温
度、及びベーナイト形成温度領域は、第1の実施の形態
に係るダクタイル鋳鉄の熱処理方法と同じであるため、
詳しい説明を省略する。まず、適当な形状(例えば各種
ギア類、スプロケット、チェーンホイル等)に加工され
たダクタイル鋳鉄33を、加熱装置12の搬入口15か
ら吊り部材46にかける。吊り部材46にかけられたこ
のダクタイル鋳鉄33は、チェーンを例えばモータ(図
示しない)により駆動することで搬出口21方向に搬送
され、このとき発熱体24により850〜1000℃に
加熱されてオーステナイト化される。
クタイル鋳鉄の熱処理方法について、上記した熱処理装
置32を使用し、図2(a)、(b)を参照しながら説
明するが、ダクタイル鋳鉄33のオーステナイト化の温
度、及びベーナイト形成温度領域は、第1の実施の形態
に係るダクタイル鋳鉄の熱処理方法と同じであるため、
詳しい説明を省略する。まず、適当な形状(例えば各種
ギア類、スプロケット、チェーンホイル等)に加工され
たダクタイル鋳鉄33を、加熱装置12の搬入口15か
ら吊り部材46にかける。吊り部材46にかけられたこ
のダクタイル鋳鉄33は、チェーンを例えばモータ(図
示しない)により駆動することで搬出口21方向に搬送
され、このとき発熱体24により850〜1000℃に
加熱されてオーステナイト化される。
【0019】オーステナイト化されたダクタイル鋳鉄3
4は、更に熱処理装置32の下流側に設けられた冷却装
置35の搬入口40に搬送される。搬送されたダクタイ
ル鋳鉄34は、送風孔やバーナー45から吹込まれる所
定温度領域、即ちベーナイト形成温度領域(例えば30
0〜500℃程度)に温度調節された熱風により吹き上
げられた砂43を用いた流動層47中に搬送されること
で急冷却される。ここで、ベーナイト形成温度領域まで
急冷却したダクタイル鋳鉄36は、ベーナイト形成温度
領域に温度調節された流動層47中を一定時間(例えば
20〜100分程度)搬送されることでベーナイト化処
理される。
4は、更に熱処理装置32の下流側に設けられた冷却装
置35の搬入口40に搬送される。搬送されたダクタイ
ル鋳鉄34は、送風孔やバーナー45から吹込まれる所
定温度領域、即ちベーナイト形成温度領域(例えば30
0〜500℃程度)に温度調節された熱風により吹き上
げられた砂43を用いた流動層47中に搬送されること
で急冷却される。ここで、ベーナイト形成温度領域まで
急冷却したダクタイル鋳鉄36は、ベーナイト形成温度
領域に温度調節された流動層47中を一定時間(例えば
20〜100分程度)搬送されることでベーナイト化処
理される。
【0020】なお、前記第2の実施の形態においては、
送風孔から熱風を吹込む場合について示したが、砂43
を用いた流動層47中の温度がベーナイト形成温度領域
に調節可能であればよいため、例えば送風孔からベーナ
イト形成温度領域に温度調節された過熱蒸気を吹込むこ
とも可能である。また、前記第2の実施の形態において
は、送風孔やバーナー45から吹込まれる熱風の温度を
調節する場合について示した。しかし、砂43を用いた
流動層47中の温度がベーナイト形成温度領域に調節可
能であればよいため、例えば送風孔からは、冷風を送っ
て冷却装置35の下側空間部42に充填された砂43を
吹き上げるのみとし、バーナー45からの送風を熱風と
することも可能である。
送風孔から熱風を吹込む場合について示したが、砂43
を用いた流動層47中の温度がベーナイト形成温度領域
に調節可能であればよいため、例えば送風孔からベーナ
イト形成温度領域に温度調節された過熱蒸気を吹込むこ
とも可能である。また、前記第2の実施の形態において
は、送風孔やバーナー45から吹込まれる熱風の温度を
調節する場合について示した。しかし、砂43を用いた
流動層47中の温度がベーナイト形成温度領域に調節可
能であればよいため、例えば送風孔からは、冷風を送っ
て冷却装置35の下側空間部42に充填された砂43を
吹き上げるのみとし、バーナー45からの送風を熱風と
することも可能である。
【0021】そして、前記第2の実施の形態において
は、ダクタイル鋳鉄33の搬送手段に、レール部材を有
する天井設置型搬送装置38を使用し、適当な形状に加
工されたダクタイル鋳鉄33を、吊り部材46にかけて
搬送することで熱処理を行った。しかし、搬送手段にロ
ーラを備えたローラコンベア、又はメッシュベルト等を
使用し、前記第1の実施の形態で使用したように適当な
大きさに切削されたダクタイル鋳鉄を熱処理することも
可能である。この場合、板状のダクタイル鋳鉄を横状態
(ダクタイル鋳鉄の面積の広い部分をローラコンベアの
積載面に積載した状態)としローラ上に積載して冷却装
置35に搬送すると、ダクタイル鋳鉄が砂43の吹き上
げを妨げるため、ダクタイル鋳鉄は砂43を用いた流動
層47中を搬送することが不可能となる。従って、ダク
タイル鋳鉄を縦状態(ダクタイル鋳鉄の面積の狭い部分
をローラコンベア、又はメッシュベルト等の積載面に積
載した状態)となるようにローラ上に積載し搬送するこ
とが好ましい。
は、ダクタイル鋳鉄33の搬送手段に、レール部材を有
する天井設置型搬送装置38を使用し、適当な形状に加
工されたダクタイル鋳鉄33を、吊り部材46にかけて
搬送することで熱処理を行った。しかし、搬送手段にロ
ーラを備えたローラコンベア、又はメッシュベルト等を
使用し、前記第1の実施の形態で使用したように適当な
大きさに切削されたダクタイル鋳鉄を熱処理することも
可能である。この場合、板状のダクタイル鋳鉄を横状態
(ダクタイル鋳鉄の面積の広い部分をローラコンベアの
積載面に積載した状態)としローラ上に積載して冷却装
置35に搬送すると、ダクタイル鋳鉄が砂43の吹き上
げを妨げるため、ダクタイル鋳鉄は砂43を用いた流動
層47中を搬送することが不可能となる。従って、ダク
タイル鋳鉄を縦状態(ダクタイル鋳鉄の面積の狭い部分
をローラコンベア、又はメッシュベルト等の積載面に積
載した状態)となるようにローラ上に積載し搬送するこ
とが好ましい。
【0022】前記第1の実施の形態においては、ダクタ
イル鋳鉄を、ベーナイト形成温度領域にある過熱蒸気に
一定時間(例えば20〜100分程度)曝すことでベー
ナイト化処理を行う場合を、また前記第2の実施の形態
においては、ベーナイト形成温度領域に温度調節された
流動層47中を一定時間(例えば20〜100分程度)
搬送することでベーナイト化処理を行う場合をそれぞれ
示した。しかし、ダクタイル鋳鉄の形状や厚み等により
時間を変化させることが可能であり、この時間は搬送手
段の搬送速度を変化させることで調節することが可能で
ある。
イル鋳鉄を、ベーナイト形成温度領域にある過熱蒸気に
一定時間(例えば20〜100分程度)曝すことでベー
ナイト化処理を行う場合を、また前記第2の実施の形態
においては、ベーナイト形成温度領域に温度調節された
流動層47中を一定時間(例えば20〜100分程度)
搬送することでベーナイト化処理を行う場合をそれぞれ
示した。しかし、ダクタイル鋳鉄の形状や厚み等により
時間を変化させることが可能であり、この時間は搬送手
段の搬送速度を変化させることで調節することが可能で
ある。
【0023】以上、本発明を、第1、第2の実施の形態
を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施
の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請
求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるそ
の他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、
第1、第2の実施の形態においては、ダクタイル鋳鉄の
オーステナイト化を、加熱装置内の搬送中に行ってい
た。しかし、ダクタイル鋳鉄の厚みが厚い場合、また大
きさが大きい場合等は、ダクタイル鋳鉄を確実にオース
テナイト化するため、ダクタイル鋳鉄を加熱炉等内に挿
入し、オーステナイト化した後、順次取出し冷却装置に
搬送しベーナイト形成温度領域まで急冷却することも可
能である。
を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施
の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請
求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるそ
の他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、
第1、第2の実施の形態においては、ダクタイル鋳鉄の
オーステナイト化を、加熱装置内の搬送中に行ってい
た。しかし、ダクタイル鋳鉄の厚みが厚い場合、また大
きさが大きい場合等は、ダクタイル鋳鉄を確実にオース
テナイト化するため、ダクタイル鋳鉄を加熱炉等内に挿
入し、オーステナイト化した後、順次取出し冷却装置に
搬送しベーナイト形成温度領域まで急冷却することも可
能である。
【0024】
【発明の効果】請求項1及び2記載のダクタイル鋳鉄の
熱処理方法においては、従来の塩浴を使用することな
く、ダクタイル鋳鉄をベーナイト化処理することが可能
となるので、ベーナイト化処理後のダクタイル鋳鉄に付
着した塩に、人が触れる恐れが無く、しかも洗浄水も必
要なくなる。従って、熱処理したダクタイル鋳鉄の大量
生産が可能となり、しかも安全に製品を製造することが
可能となる。また、オーステナイト化されたダクタイル
鋳鉄に、高温の過熱蒸気を吹き付けることで、ダクタイ
ル鋳鉄の表面への過熱蒸気のぬれ性が高まり、ダクタイ
ル鋳鉄の内部までより均一にベーナイト化処理すること
が可能になると考えられる。従って、従来のように、金
属を鍛造した後機械加工し、表面の焼入れを行って製品
を製造する必要がなくなる。これにより、作業性が良好
で工程を短縮でき、しかも寸法精度の高い製品を製造す
ることが可能となる。特に、請求項2記載のダクタイル
鋳鉄の熱処理方法においては、高温の過熱蒸気を吹き付
けてベーナイト形成温度領域まで急冷却したダクタイル
鋳鉄を更にベーナイト形成温度領域にある過熱蒸気に曝
すので、ダクタイル鋳鉄を効率良くベーナイト化処理す
ることが可能となる。これにより、ダクタイル鋳鉄は更
に均一にベーナイト化処理することが可能となるので、
安定した品質の製品を製造することが可能となる。
熱処理方法においては、従来の塩浴を使用することな
く、ダクタイル鋳鉄をベーナイト化処理することが可能
となるので、ベーナイト化処理後のダクタイル鋳鉄に付
着した塩に、人が触れる恐れが無く、しかも洗浄水も必
要なくなる。従って、熱処理したダクタイル鋳鉄の大量
生産が可能となり、しかも安全に製品を製造することが
可能となる。また、オーステナイト化されたダクタイル
鋳鉄に、高温の過熱蒸気を吹き付けることで、ダクタイ
ル鋳鉄の表面への過熱蒸気のぬれ性が高まり、ダクタイ
ル鋳鉄の内部までより均一にベーナイト化処理すること
が可能になると考えられる。従って、従来のように、金
属を鍛造した後機械加工し、表面の焼入れを行って製品
を製造する必要がなくなる。これにより、作業性が良好
で工程を短縮でき、しかも寸法精度の高い製品を製造す
ることが可能となる。特に、請求項2記載のダクタイル
鋳鉄の熱処理方法においては、高温の過熱蒸気を吹き付
けてベーナイト形成温度領域まで急冷却したダクタイル
鋳鉄を更にベーナイト形成温度領域にある過熱蒸気に曝
すので、ダクタイル鋳鉄を効率良くベーナイト化処理す
ることが可能となる。これにより、ダクタイル鋳鉄は更
に均一にベーナイト化処理することが可能となるので、
安定した品質の製品を製造することが可能となる。
【0025】請求項3記載のダクタイル鋳鉄の熱処理方
法においては、従来の塩浴を使用することなく、ダクタ
イル鋳鉄をベーナイト化処理することが可能となるの
で、ベーナイト化処理後のダクタイル鋳鉄に付着した塩
に、人が触れる恐れが無くなる。従って、熱処理したダ
クタイル鋳鉄の大量生産が可能となり、しかも安全に製
品を製造することが可能となる。
法においては、従来の塩浴を使用することなく、ダクタ
イル鋳鉄をベーナイト化処理することが可能となるの
で、ベーナイト化処理後のダクタイル鋳鉄に付着した塩
に、人が触れる恐れが無くなる。従って、熱処理したダ
クタイル鋳鉄の大量生産が可能となり、しかも安全に製
品を製造することが可能となる。
【図1】(a)、(b)はそれぞれ本発明の第1の実施
の形態に係るダクタイル鋳鉄の熱処理方法を適用した熱
処理装置の構成図、熱処理時の温度変化の説明図であ
る。
の形態に係るダクタイル鋳鉄の熱処理方法を適用した熱
処理装置の構成図、熱処理時の温度変化の説明図であ
る。
【図2】(a)、(b)はそれぞれ本発明の第2の実施
の形態に係るダクタイル鋳鉄の熱処理方法を適用した熱
処理装置の構成図、熱処理時の温度変化の説明図であ
る。
の形態に係るダクタイル鋳鉄の熱処理方法を適用した熱
処理装置の構成図、熱処理時の温度変化の説明図であ
る。
【図3】鋼中に合金元素が含まれていない場合のTTT
曲線の説明図である。
曲線の説明図である。
【図4】鋼中に合金元素が含まれている場合のTTT曲
線の説明図である。
線の説明図である。
10:熱処理装置、11:ダクタイル鋳鉄、12:加熱
装置、13:ダクタイル鋳鉄、14:冷却装置、15:
搬入口、16:搬出口、17:ローラ、18:ローラコ
ンベア、19:上流側端部、20:下流側端部、21:
搬出口、22:上の内壁、23:下の内壁、24:発熱
体、25:上流側端部、26:搬入口、27:下流側端
部、28:上の内壁、29:下の内壁、30:ノズル収
納部、31:ダクタイル鋳鉄、32:熱処理装置、3
3:ダクタイル鋳鉄、34:ダクタイル鋳鉄、35:冷
却装置、36:ダクタイル鋳鉄、37:搬出口、38:
天井設置型搬送装置、39:上流側端部、40:搬入
口、41:下流側端部、42:下側空間部、43:砂、
44:下流側上部、45:バーナー、46:吊り部材、
47:流動層
装置、13:ダクタイル鋳鉄、14:冷却装置、15:
搬入口、16:搬出口、17:ローラ、18:ローラコ
ンベア、19:上流側端部、20:下流側端部、21:
搬出口、22:上の内壁、23:下の内壁、24:発熱
体、25:上流側端部、26:搬入口、27:下流側端
部、28:上の内壁、29:下の内壁、30:ノズル収
納部、31:ダクタイル鋳鉄、32:熱処理装置、3
3:ダクタイル鋳鉄、34:ダクタイル鋳鉄、35:冷
却装置、36:ダクタイル鋳鉄、37:搬出口、38:
天井設置型搬送装置、39:上流側端部、40:搬入
口、41:下流側端部、42:下側空間部、43:砂、
44:下流側上部、45:バーナー、46:吊り部材、
47:流動層
Claims (3)
- 【請求項1】 ダクタイル鋳鉄を850〜1000℃に
加熱してオーステナイト化し、オーステナイト化した前
記ダクタイル鋳鉄を、所定温度領域まで急冷処理してベ
ーナイト化処理する熱処理方法において、オーステナイ
ト化された前記ダクタイル鋳鉄に、高温の過熱蒸気を吹
き付けてベーナイト形成温度領域まで急冷却することを
特徴とするダクタイル鋳鉄の熱処理方法。 - 【請求項2】 請求項1記載のダクタイル鋳鉄の熱処理
処理方法において、高温の過熱蒸気を吹き付けてベーナ
イト形成温度領域まで急冷却した前記ダクタイル鋳鉄を
更に該ベーナイト形成温度領域にある過熱蒸気に曝すこ
とを特徴とするダクタイル鋳鉄の熱処理方法。 - 【請求項3】 ダクタイル鋳鉄を850〜1000℃に
加熱してオーステナイト化し、オーステナイト化した前
記ダクタイル鋳鉄を、所定温度領域まで急冷処理してベ
ーナイト化処理する熱処理方法において、オーステナイ
ト化された前記ダクタイル鋳鉄を、砂を用いた流動層中
でベーナイト形成温度領域まで急冷却することを特徴と
するダクタイル鋳鉄の熱処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000137067A JP2001316723A (ja) | 2000-05-10 | 2000-05-10 | ダクタイル鋳鉄の熱処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000137067A JP2001316723A (ja) | 2000-05-10 | 2000-05-10 | ダクタイル鋳鉄の熱処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001316723A true JP2001316723A (ja) | 2001-11-16 |
Family
ID=18644907
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000137067A Pending JP2001316723A (ja) | 2000-05-10 | 2000-05-10 | ダクタイル鋳鉄の熱処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001316723A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005027657A (ja) * | 2003-07-08 | 2005-02-03 | Alker-Rapid-Pak Inc | 表面低温殺菌法 |
KR100650153B1 (ko) * | 2005-06-10 | 2006-11-27 | 선철곤 | 오스템퍼링 경화 방법 |
JP2017039977A (ja) * | 2015-08-20 | 2017-02-23 | 虹技株式会社 | 球状黒鉛鋳鉄とその製造方法 |
-
2000
- 2000-05-10 JP JP2000137067A patent/JP2001316723A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005027657A (ja) * | 2003-07-08 | 2005-02-03 | Alker-Rapid-Pak Inc | 表面低温殺菌法 |
KR100650153B1 (ko) * | 2005-06-10 | 2006-11-27 | 선철곤 | 오스템퍼링 경화 방법 |
JP2017039977A (ja) * | 2015-08-20 | 2017-02-23 | 虹技株式会社 | 球状黒鉛鋳鉄とその製造方法 |
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