JPH05299208A - 電圧非線形抵抗器およびその製造方法 - Google Patents

電圧非線形抵抗器およびその製造方法

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JPH05299208A
JPH05299208A JP4098451A JP9845192A JPH05299208A JP H05299208 A JPH05299208 A JP H05299208A JP 4098451 A JP4098451 A JP 4098451A JP 9845192 A JP9845192 A JP 9845192A JP H05299208 A JPH05299208 A JP H05299208A
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film
resistor
voltage non
linear
linear resistor
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Kazuhiro Hayashi
和廣 林
Takehiro Niitsu
岳洋 新津
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 膜厚と膜質が均一でLSI回路への応用が可
能な薄膜形抵抗体膜を備えた電圧非線形抵抗器と、この
電圧非線形抵抗器を安価で高い生産性で得ることのでき
る製造方法を得る。 【構成】 絶縁基板1上に下部電極膜2、電圧非線形抵
抗体膜3、上部電極膜4を順次積層してなる電圧非線形
抵抗器において、電圧非線形抵抗体膜3、または下部電
極膜2と電圧非線形抵抗体膜3および上部電極抵抗体膜
4をMOD法により形成してなる。 【効果】 MOD法の採用で安価な製造設備で薄膜電極
層、および薄膜非線形抵抗体層の長所を備えた電極層お
よび電圧非線形抵抗器を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抵抗器とその製造方法
に係り、特にサージ吸収,電圧安定,あるいは過電圧抑
制等の用途に好適な非線形な電圧電流特性をもつ電圧非
線形抵抗器およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】印加電圧に対して急峻な抵抗値変化を示
し、電圧電流特性が非線形である,所謂電圧非線形抵抗
器としてバリスタ素子が知られている。このバリスタ素
子の抵抗体は、一般にセラミック焼結体が用いられてい
る。上記セラミック焼結体は、例えばZnOを主成分と
し、Bi2 3 ,SiO2,PbO,CoO,MnO等
の添加物を微量加えて焼結することにより作製される。
【0003】図5は上記従来のセラミック焼結合体を用
いた電圧非線形抵抗器の構造例を説明する模式図であっ
て、51,52は電極、53はZnO粒子、54は粒界
層、55,56は電極リードである。この電圧非線形抵
抗器の抵抗体は、上記ZnOにBi2 3 ,SiO2
PbO,CoO,MnO等を添加して、これを焼結する
ことにより、ZnO結晶53の成長と共に、その粒界5
4に上記Bi2 3 等の添加物の液相を生じさせること
によって形成されるショットキー障壁を利用して電圧非
線形特性を持たせるものである。
【0004】図6は上記従来のセラミック焼結合体を用
いた電圧非線形抵抗器の他の構造例を説明する模式図で
あって、61,62は電極、63はBaTiO3 粒子、
64,65は電極リードである。この電圧非線形抵抗器
の抵抗体は、BaTiO3 焼結体粒子63をAg電極6
1,62で挟み、BaTiO3 焼結体粒子63とAg電
極61,62との界面の電位障壁を利用して電圧非線形
特性を持たせるものである。
【0005】上記したセラミック焼結体を用いる電圧非
線形抵抗器は、小型化しても数ミリ程度の大きさととす
るのが限界で、IC回路やLSI回路への応用は非常に
困難である。この種の電圧非線形抵抗器をIC回路やL
SI回路に応用可能とする、すなわち抵抗器を微小化す
るために、当該抵抗体膜の厚膜化、あるいは薄膜化が検
討されている。
【0006】厚膜の電圧非線形抵抗器は、従来のセラミ
ック焼結体を用いたものに比べ、製造装置にかかるコス
トが低減され、抵抗器の小型化も可能である。しかし、
この場合も結晶粒子の大きさの限界から、最低でも数十
ミクロンの膜厚になり、LSI回路への応用という目的
は達成できない。そこで、LSI回路への応用には電圧
非線形抵抗器の薄膜化とこの薄膜抵抗体の生産性の向上
技術の開発が必要となる。
【0007】図7は従来の薄膜を用いた電圧非線形抵抗
器の構造を説明する模式図であって、71はガラス基
板、72はアルミニウム(Al)電極、73はZnO薄
膜、74はBi2 3 薄膜、75はZnO薄膜、76は
In−Ga電極である。同図に示したように、この種の
非線形抵抗器は、Al電極72を形成した絶縁基板であ
るガラス基板71上に、スパッタ法を用いて、例えばZ
nO薄膜73とBi2 3 薄膜74を、真空蒸着して順
次積層させ、ZnO薄膜層とBi2 3薄膜層の界面を
利用して電圧非線形抵抗特性を持たせるものである。
【0008】なお、この種の電圧非線形抵抗器をに関し
ては、例えば特開昭62−242302号公報、あるい
は特開昭63−250685号公報を、また、薄膜化に
よる電圧非線形抵抗器の従来技術は、例えば「ジャーナ
ル オブ アプライド フィジックス」(Journal of A
pplied Physics)vol.50,pp.555-558(1979) に開示があ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術に開示された電圧非線形抵抗体膜の薄膜化による
電圧非線形抵抗器は、その電極の形成および抵抗体膜の
形成は共に真空装置を用いた成膜プロセスを必要とする
ものである。この真空成膜プロセスは、真空チャンバー
への複数のガスの流入方法やチャンバー内圧力の制御が
難しく、大面積にわたり膜厚,膜質を均一に保つことが
困難である上に、スパッタ装置,真空蒸着装置といった
成膜装置の設備が高価であり、またそのランニングコス
トが高く、結果として成膜される薄膜のコストが高くな
るという問題があった。
【0010】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解消し、大面積にわたり膜厚と膜質が均一でLSI回路
への応用が可能な薄膜形抵抗体膜を備えた電圧非線形抵
抗器と、この電圧非線形抵抗器を安価で高い生産性で得
ることのできる製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の電圧非線形抵抗器は、その電極膜の形成お
よび非線形抵抗体膜の形成を共にMOD法(Metallo-Or
ganic-Deposition Process :メタロ・オーガニック・
デポジションプロセス)を用いることを特徴とする。
【0012】すなわち、本発明は、絶縁基板1上に下部
電極膜2、電圧非線形抵抗体膜3、上部電極膜4を順次
積層してなる電圧非線形抵抗器において、前記電圧非線
形抵抗体膜3がメタロ・オーガニック・デポジション法
により形成した抵抗体からなることを特徴とする。ま
た、本発明は、前記下部電極膜2,電圧非線形抵抗体膜
3および上部電極膜4がメタロ・オーガニック・デポジ
ション法により形成された電極体および抵抗体であるこ
とを特徴とする。
【0013】そして、前記請求項1の電圧非線形抵抗器
を製造する方法が、前記絶縁基板1上に形成した所定パ
ターンの下部電極膜2を形成する下部電極膜形成工程3
1と、前記下部電極膜2上に電圧非線形抵抗体用の有機
金属化合物ペーストを印刷する電圧非線形抵抗膜用ペー
スト印刷工程32と、前記電圧非線形抵抗体膜用ペース
トを乾燥後、焼成して電圧非線形抵抗体膜を形成する抵
抗体膜形成工程33と、前記抵抗体膜上に所定パターン
の上部電極膜4を形成する上部電極膜形成工程34とを
含むことを特徴とする。
【0014】さらに、前記請求項2の電圧非線形抵抗器
を製造する方法が、前記絶縁基板1上に金属有機物ペー
ストを印刷する下部電極膜用ペースト印刷工程41と、
前記絶縁基板1上に印刷した金属有機物ペーストを乾燥
後、焼成して金属膜を生成する下部電極膜用金属膜生成
工程42と、前記金属膜をフォトリソエッチング処理し
て所定パターンの下部電極膜2を形成する下部電極膜形
成工程43と、前記下部電極膜2上に電圧非線形抵抗体
膜用の有機金属化合物ペーストを印刷する電圧非線形抵
抗体膜用ペースト印刷工程44と、前記電圧非線形抵抗
体膜用ペーストを乾燥後、焼成して電圧非線形抵抗体膜
3を形成する抵抗体膜形成工程45と、前記抵抗体膜上
に金属有機物ペーストを印刷する上部電極膜用ペースト
印刷工程46と、前記非線形抵抗膜上に印刷した金属有
機物ペーストを乾燥後、焼成して金属膜を生成する上部
電極用金属膜生成工程47と、前記上部電極用金属膜を
フォトリソエッチング処理して所定パターンの上部電極
膜4を形成する上部電極膜形成工程48と、を含むこと
を特徴とする。
【0015】
【作用】上記MOD法を採用することによって、製造設
備が安価な厚膜プロセスで薄膜電極層、および薄膜非線
形抵抗体層の長所を備えた電極層および電圧非線形抵抗
器を製造できる。MOD法に使用される金属有機物は、
有機配位子錯体を含有するものであれば特に限定されな
いが、具体的な有機配位子としては、オクチル酸,安息
香り酸,ナフテン酸,ラウリル酸ステアリン酸,アビエ
チン酸,カブリル酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,リ
ノール酸,オレイン酸などのカルボン酸、ビスアセチル
アセトナトなどのα−ジケトン、カルバミン酸などを使
用することができる。
【0016】前記の金属有機物は溶媒に溶解させて、ガ
ラス基板等の耐熱性基板に塗布して成膜されるが、その
溶媒としては石油系溶剤,ミネラルスピリット,ターペ
ン油,ベンゼン,アルコール系溶剤,カルビトール系,
トルエン,セロソルブ系などの有機溶媒を仕様する金属
有機物に応じて選択できる。また、金属有機物が溶媒に
溶け難いものである場合には、必要に応じて、トリオク
チルフォスフインオキシド(TOPO),リン酸トリブ
チル(TBD)あるいはアミン類などの付加錯体を生成
する配位子を適量添加する。
【0017】前記金属有機物溶液は、そのまま塗布して
も構わないが、望ましくはその塗布法に応じて増粘剤ま
たは希釈剤を添加して粘度調整をすることが好ましい。
増粘剤としては例えば、ロジン,アビエチン酸,セルロ
ース,アクリル樹脂などを使用することができ、希釈剤
としてはα−ターピネオール,ブチルカルビトールアセ
テートなどを使用することができる。
【0018】溶液の粘度は、スピンコート法の場合は1
000cps以下、スクリーン印刷法の場合は3000
〜50000cpsの範囲で選択することが好ましい。
また、溶液の粘度を塗布法に応じた範囲内で変化させる
ことで、1回の塗膜・焼成で得られる酸化亜鉛(Zn
O)薄膜の膜厚を自由に選択できることは言うまでもな
い。
【0019】また、本発明で用いる耐熱性の絶縁基板
は、400〜700°C好ましくは600°C以上に加
熱しても変形や相変化のない基板であれば特に制限はな
く、たとえばホウケイ酸ガラス基板,石英ガラス基板,
アルミナ基板などが、その目的に応じて使用される。粘
度調整されたペーストは、スクリーン印刷法やスピンコ
ート法などにより、絶縁基板上に塗布され、目的とする
金属の有機物溶液で形成された塗膜を前記金属有機物が
分解、消失する温度(通常450〜600°C)で焼成
することが望ましい。
【0020】なお、焼成のための加熱方法は、耐熱性基
板を所定の温度に加熱できればよく、特に限定されな
い。具体的にはベルト式焼成炉などを使用することがで
きる。本発明による電圧非線形抵抗器はLSI回路への
応用が可能な薄膜型電圧非線形抵抗器を厚膜プロセスで
あるMOD法で製造するものであり、膜厚の調整や不純
物元素の添加、結晶度の調整が薄膜プロセスによる成膜
に比べて容易であるため、非常に汎用性が高い。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例につき、図面を参照し
て詳細に説明する。図1は本発明による電圧非線形抵抗
器の1実施例の構造を説明する(a)上面図、(b)
(a)のA−A断面図であって、1はガラス基板、2は
下部電極、3は電圧非線形抵抗体膜、4は銀膜からなる
上部電極である。
【0022】同図において、耐熱性の絶縁基板であるガ
ラス基板1上に銀膜からなる下部電極2が形成されてい
る。この下部電極2はスパッタリング等の真空成膜法に
より形成したものでも、あるいはMOD法による厚膜技
術で形成したものでもよく、この銀膜をフォトリソエッ
チング技術でパターニングして所要の下部電極2とした
ものである。
【0023】この下部電極2の上にMOD法によって電
圧非線形抵抗体膜3が形成されている。この電圧非線形
抵抗体膜3は、後述する方法によって形成される。そし
て、電圧非線形抵抗体膜3の上に上記下部電極と同様の
銀膜からなる上部電極4が形成されている。本発明は上
記の電圧非線形抵抗体膜3をMOD法により形成された
抵抗体とするものに限らず、下部電極2と上部電極4
も、電圧非線形抵抗体膜と同様のMOD法で形成したも
のとしてもよい。
【0024】すなわち、本発明による電圧非線形抵抗器
の他の実施例は、ガラス基板1上の下部電極と電圧非線
形抵抗体膜3および上部電極4の全てをMOD法により
形成したものである。その構造は図1と同様である。図
2は本発明による電圧非線形抵抗器の電圧電流特性を説
明するグラフ図であって、横軸は下部電極2と上部電極
4の間に印加する電圧V(V)を、縦軸は前記電圧に応
じて下部電極2と上部電極4間に流れる電流I(mA)
を示す。
【0025】同図に示したように、本発明による電圧非
線形抵抗器は、約40V以上の電圧が印加されることに
より、電圧非線形抵抗器内を電流が流れ始める非線形で
あることが分かる。次に、本発明による電圧非線形抵抗
器の製造法の1実施例を説明する。図3は本発明による
電圧非線形抵抗器の1実施例の製造方法を説明する工程
図であって、先ず、耐熱絶縁基板であるガラス基板に下
部電極を形成する(工程31)。
【0026】次に、この下部電極を含むガラス基板上に
前記した金属有機物からなるMOD法のペースト(オク
チル酸Baとオクチル酸Tiを原子量比Ba:Ti=
1:1になるよう混合し、Ba、Ti有機金属化合物の
混合物重量に対し40W%のリノール酸を添加し、スク
リーン印刷に適した粘度に調整したMODペーストを使
用したMOD法の電圧非線形抵抗体膜形成用ペースト)
をスクリーン印刷等で塗布する(工程32)。
【0027】塗布した電圧非線形抵抗体膜形成用ペース
トを乾燥後、600°Cで焼成し、電圧非線形抵抗体膜
となる抵抗体膜を形成する(工程33)。最後に、上記
電圧非線形抵抗体膜となる抵抗体膜の上に上部電極を形
成する(工程34)。これにより、電圧非線形抵抗体膜
を有する電圧非線形抵抗器が得られる。
【0028】図4は本発明による電圧非線形抵抗器の他
の実施例の製造方法を説明する工程図であって、先ず、
耐熱絶縁基板であるガラス基板上にMOD法の銀ペース
トを印刷する(工程41)。この銀ペーストを600°
Cで焼成して下部電極膜用の金属膜を形成する(工程4
2)。
【0029】上記金属膜にフォトレジストを塗布して所
要のパターンを有する露光マスクを介して露光し、所要
の電極パターンを形成するフォトリソエッチング処理に
より下部電極を形成する(工程43)。この下部電極を
含むガラス基板上に電圧非線形抵抗体膜となるオクチル
酸Baとオクチル酸Tiを原子量比Ba:Ti=1:1
になるよう混合し、Ba、Ti有機金属化合物の混合物
重量に対し40W%のリノール酸を添加し、スクリーン
印刷に適した粘度に調整したMODペーストを使用した
MOD法の電圧非線形抵抗体膜用ペーストを塗布する
(工程44)。
【0030】この電圧非線形抵抗体膜用ペーストを60
0°Cで焼成して電圧非線形抵抗体膜となる膜厚0.6
ミクロンのBaTiO3 からなる多結晶薄膜の抵抗体膜
を形成する(工程45)。次に、上記抵抗体膜上に、さ
らにこの上層に上記下部電極の形成と同様のMOD法の
銀ペーストを印刷し(工程46)、これを600°Cで
焼成して上部電極膜を生成する(工程47)。
【0031】この上部電極膜を所要パターンにフォトリ
ンエッチングして上部電極膜を形成する(工程48)。
これにより、電圧非線形抵抗体膜を有する電圧非線形抵
抗器が得られる。なお、上記製造法におけるMOD法に
よるBaTiO3 多結晶薄膜の代わりにMOD法による
ZnO多結晶薄膜を用いることもできる。
【0032】以下、このZnO多結晶薄膜を用いた電圧
非線形抵抗器の製造方法を説明する。このZnO多結晶
薄膜は、図3の工程32または図4の工程44におい
て、その電圧非線形抵抗体膜用ペーストとして、ジベン
ジルジチオカルバミン酸亜鉛,α−ターピネオール,ア
ビエチン酸,TOPOを重量比で10:6:3:1の割
合で混合した後、よく攪拌してジベンジルジチオカルバ
ミン酸亜鉛を完全に溶解させたものを前記と同様に下部
電極膜の上に印刷し,焼成することにより電圧非線形抵
抗体膜用の抵抗体膜を形成する。
【0033】この電圧非線形抵抗体膜を用いた電圧非線
形抵抗器の電圧電流曲線は、図2に示したものと比較し
て電圧に対する電流の立ち上がりがより急峻となる。こ
のジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛,α−ターピネオ
ール,アビエチン酸,TOPOを重量比で10:6:
3:1の割合で混合した電圧非線形抵抗体膜を用いる場
合の電極は、MOD法の金ペースト、あるいはITO等
のMOD法の透明電極ペーストなどを用いることも可能
である。
【0034】また、上記Zn以外の添加物金属として、
Bi,Pr,Pb,Sn,Sr,Co,Mg,Sb,M
n,Fe,Si,Cr,Ti,K,Cu,Ba,Al,
B等の有機金属化合物のうち1種ないし数種組み合せた
ものを、Znに対し0.3〜数mol%程加えたものを用
いた場合にも、良好な電圧非線形抵抗特性を得ることが
できる。
【0035】なお、電圧非線形抵抗体膜の形成方法とし
ては、前記MOD法のスクリーン印刷法以外にもMOD
法のスピンコート法,デイップコート法,ロールコート
法等の従来公知の種々の厚膜法を利用することができ、
上記実施例と同様に1ミクロン以下の膜厚に形成でき
る。そして、電圧非線形抵抗器の素子サイズもフォトリ
ンエッチングにより10ミクロンレベルにまで小さくす
ることができる。これによりLSI回路への応用が可能
な薄膜型電圧非線形抵抗器を、厚膜によるものと同様に
極めて安価に製造することができる。
【0036】ただし、4line/mm程度の密度であれば、
フォトリンエッチングなしでスクリーン印刷で直接パタ
ーニングすることができ、MOD法を用いることによっ
て、フォトマスクを1枚も使用せずに4line/mm程度の
電圧非線形抵抗器を製造することが可能になった。この
ことは、フォトマスク作製コストのみならず、フォトリ
ンエッチング工程にかかるコスト全ての削減に結び付
き、製造コストを大幅に低減できることになる。
【0037】また、BaTiO3 やZnO以外にもMO
D法により形成できる非線形抵抗体膜、例えばSrTi
3 等も本発明による電圧非線形抵抗器に利用できる。
MOD法によるこれら酸化物半導体は、膜厚の調整や不
純物元素の添加、結晶度の調整が薄膜プロセスによる膜
に比べ容易であるため、非常に汎用性が高い製造プロセ
スとなる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による薄膜
型電圧非線形抵抗器は、真空蒸着法,スパッタリング
法,あるいはCVD法等の薄膜成膜法に使用される高価
な真空設備を必要とせず、簡単な操作および装置で製造
を行うことが可能であるので製造コストが安価であり、
また、常圧操作であることから製造プロセスの連続化が
可能で生産性が高く、サージ吸収,電圧安定,あるいは
過電圧抑制等の用途に好適で、各種の電子素子に応用で
きる非常に汎用性が高いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による電圧非線形抵抗器の1実施例の
構造を説明する(a)上面図、(b)(a)のA−A断
面図である。
【図2】 本発明による電圧非線形抵抗器の電圧電流特
性を説明するグラフ図である。
【図3】 本発明による電圧非線形抵抗器の1実施例の
製造方法を説明する工程図である。
【図4】 本発明による電圧非線形抵抗器の他の実施例
の製造方法を説明する工程図である。
【図5】 従来のセラミック焼結合体を用いた電圧非線
形抵抗器の構造例を説明する模式図である。
【図6】 従来のセラミック焼結合体を用いた電圧非線
形抵抗器の他の構造例を説明する模式図である。
【図7】 従来の薄膜を用いた電圧非線形抵抗器の構造
を説明する模式図である。
【符号の説明】
1・・・・ガラス基板、2・・・・下部電極、3・・・
・電圧非線形抵抗体膜、4・・・・銀膜からなる上部電
極。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上に下部電極膜、電圧非線形抵
    抗体膜、上部電極膜を順次積層してなる電圧非線形抵抗
    器において、 前記電圧非線形抵抗体膜がメタロ・オーガニック・デポ
    ジション法により形成した抵抗体からなることを特徴と
    する電圧非線形抵抗器。
  2. 【請求項2】 絶縁基板上に下部電極膜、電圧非線形抵
    抗体膜、上部電極膜を順次積層してなる電圧非線形抵抗
    器において、 前記上部電極膜,電圧非線形抵抗体膜および下部電極膜
    がメタロ・オーガニック・デポジション法により形成さ
    れた電極体および抵抗体であることを特徴とする電圧非
    線形抵抗器。
  3. 【請求項3】 絶縁基板上に下部電極膜、電圧非線形抵
    抗体膜、上部電極膜を順次積層した電圧非線形抵抗器の
    製造方法において、 前記絶縁基板上に形成した所定パターンの下部電極膜上
    に電圧非線形抵抗体用の有機金属化合物ペーストを印刷
    する電圧非線形抵抗膜用ペースト印刷工程と、 前記電圧非線形抵抗体膜用ペーストを乾燥後、焼成して
    電圧非線形抵抗体膜を形成する抵抗体膜形成工程と、 前記抵抗体膜上に所定パターンの上部電極膜を形成する
    上部電極膜形成工程と、からなることを特徴とする電圧
    非線形抵抗器の製造方法。
  4. 【請求項4】 絶縁基板上に下部電極膜、電圧非線形抵
    抗体膜、上部電極膜を順次積層した電圧非線形抵抗器の
    製造方法において、 前記絶縁基板上に金属有機物ペーストを印刷する下部電
    極膜用ペースト印刷工程と、 前記絶縁基板上に印刷した金属有機物ペーストを乾燥
    後、焼成して金属膜を生成する下部電極膜用金属膜生成
    工程と、 前記金属膜をフォトリソエッチング処理して所定パター
    ンの下部電極膜を形成する下部電極膜形成工程と、 前記下部電極膜上に電圧非線形抵抗体膜用の有機金属化
    合物ペーストを印刷する電圧非線形抵抗体膜用ペースト
    印刷工程と、 前記電圧非線形抵抗体膜用ペーストを乾燥後、焼成して
    電圧非線形抵抗体膜を形成する抵抗体膜形成工程と、 前記抵抗体膜上に金属有機物ペーストを印刷する上部電
    極膜用ペースト印刷工程と、 前記電圧非線形抵抗膜上に印刷した金属有機物ペースト
    を乾燥後、焼成して金属膜を生成する上部電極用金属膜
    生成工程と、 前記上部電極用金属膜をフォトリソエッチング処理して
    所定パターンの上部電極膜を形成する上部電極膜形成工
    程と、からなることを特徴とする電圧非線形抵抗器の製
    造方法。
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