JPH0529524Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は各種のロープ類の結合に供される合
成樹脂製のバツクルの提供に関し、より詳細には
偏平係止部を有する雄具を雌具における操作穴内
に挿通して捻ることによつて両者の係止状態を作
り出すようにしたバツクルの提供に関する。

（従来の技術） 従前におけるこの種のロープの端末相互を掛合
せる手段としては通例金属製のフツク類が利用さ
れることが多く、この金属製のフツクを利用する
場合にも単純な鉤部分とループ状とされたロープ
端末との単なる係合による場合と、一方のロープ
端末の環部に掛合されたフツクが該環部より抜け
出さないようにフツクの開口部分を弾性片で閉塞
したり、あるいはフツク自体に螺装した螺管を捻
回移動して該フツクの開口部分を閉塞することが
一般になされていた。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら従前におけるこの種の金属製フツ
クと、この金属製フツクを掛り合せるループ部と
よりなるロープ等の連結手段は製作コストが割安
である利点を有する反面、相互の掛け合せに際し
ロープ等を掛け合せ位置より大目に引き合せる必
要があり、当然ロープ等の連結後に、このロープ
等の引張り相当幅の緩み戻しを生ずる欠点を有し
ていた。又、この種のロープ等の端末の連結が自
動車のタイヤチエーン用ロープである場合には通
例ロープの連結がタイヤの裏側とされていること
より特に盲状での作業とされることゝなり、ロー
プ等の連結操作に際し、ロープ等を充分に引き絞
る力と、都合良く相互を係合させる技術が必要と
されていた。

又、金属製の環部に掛り合されるフツク自体
に、フツクの開口部分を閉塞する弾性片を用いる
方法でも前記と同様の欠点を有し、しかも弾性片
自体が錆び出し、あるいは泥の付着に伴つて効果
的に動作しなくなる不都合を有する割にコスト高
とされる傾向を有していた。

更に、フツクの開口部分に螺管を用意し、この
螺管の螺動に伴つてフツクの開口部分を閉塞する
方法でも前記の従来例と同様の欠点を有している
と共に更に操作が難しく、しかもコスト高となる
欠点を有していた。

又、叙上における金属製の連結具をタイヤチエ
ーンの連結具として用いた場合にはホイールやタ
イヤ等を傷つけ易い欠点を有していた。

本考案に係るバツクルは、かゝる従来例におけ
る不都合を回避する意図からロープ等の連結用の
合成樹脂製のバツクルの提供を目的とするもので
ある。

（問題点を解決するための手段） 本考案に係るバツクルは叙上の目的を達成する
手段として、相互に嵌合いの上、捻回係合される
一対の雄具Ａと、雌具Ｂとで構成し、これらの雄
具Ａと、雌具Ｂとを合成樹脂のインジエクション
成形等により成形提供することゝした。

そして雄具Ａは、ロープＣ等の繋着部を有する
摘み部１と、この摘み部１から突設されている頸
部２と、この頸部２の自由端部に一体に設けられ
ている偏平係止部３とで構成されており、この偏
平係止部３は前記頸部２から両側方に張り出され
る板状の係合顎部４を頸部２の側に有していると
共に、該顎部４に凹部４ａ，４ａが設けられてい
る。

又、雌具Ｂは、一方の側にロープＣ等の繋着部
を有すると共に前記雄具Ａの偏平係止部３と、少
なくとも前記の頸部２の一部が装脱自在に挿入さ
れる操作穴５を他方の側に有しており、該雌具Ｂ
の操作穴５は少なくとも前記雄具Ａの偏平係止部
３が挿入される断面が略長方形状の穴部５′を有
しており、この穴部５′の内奥側には該穴部５′の
夫々の長径側に面して該操作穴５に連通する窓穴
６，６が開口されている。そして、この開口され
た窓穴６，６の一つの側縁部であつて前記操作穴
５の挿入口の側に係合突部７が設けられている。

そして前記の雌具Ｂの操作穴５に嵌挿された雄
具Ａの偏平係止部３が、該操作穴５の穴部５′の
内奥で略90度捻回されて、その顎部４が雌具Ｂの
窓穴６の側縁部に係当されると共に該偏平係止部
３の自由端側が前記操作穴５の奥壁８に当接さ
れ、この操作穴５の奥壁と、雌具Ｂの窓穴６の側
縁部との間に雄具Ａの偏平係止部３が弾性的に支
承され、且つ雄具Ａの凹部４ａに雌具Ｂの前記係
合突部７が係合される構成とされている。

（作用） 本考案に係るバツクルは叙上の構成よりなるこ
とから雌具Ａの断面が略長方形状の穴部５′に雄
具Ａの偏平の係止部３を嵌め合い状に挿入し、こ
の偏平係止部３の顎部４が雌具Ｂの窓穴６の入口
側に位置づけられた状態で偏平係止部３の自由端
側が雌具Ｂの操作穴５の内奥に位置する奥壁８に
当接するようにして、この雄具Ａを略90度分捻
り、雄具Ａと雌具Ｂとの弾性変形を利用して、雄
具Ａの偏平係止部３の顎部４の凹部４ａに雌具Ｂ
の窓穴６に設けられた突部７を弾発状態で係止さ
せて相互の結合状態を作り出す。

又、雄具Ａを雌具Ｂの奥壁８の方向に押し入れ
る状態で再度雄具Ａを90度の範囲で捻り戻すこと
により前記の偏平係止部３の顎部４が雌具Ｂの窓
穴６の突部７を超えて該雌具Ｂの操作穴５内に戻
し入れられ、この雄具Ａの偏平係止部３が前記操
作穴５の穴部５′に沿つて抜き出される。

（実施例） 以下本考案に係る典型的なバツクルの一実施例
を添付の図面について説明する。

先ず、第１図〜第７図で示されるバツクルにお
いては雄具Ａと、雌具Ｂとはインジエクシヨン成
形等で成形提供される合成樹脂製品とされてお
り、雄具Ａは略変形方形状をなす摘み部１の一方
の側にロープＣの繋着部を構成する通孔９をもつ
て繋着桿部１０が形成され、且つ他方の側に厚肉
の円盤状の台部１１を介して頸部２が突設されて
いる。そして、この頸部２の自由端部には偏平係
止部３が該頸部２から夫々側方に張り出すように
一体に設けられており、この頸部２から側方に張
り出された偏平係止部３の該頸部２の側の縁部が
顎部４とされ、且つ、この顎部４には凹部４ａが
設けられている。又、偏平係止部３は自由端に向
けて幅が緩やかに狭くなるようにされ、追つて説
明する雌具Ｂに対する挿入が円滑になるように形
成されていると共に自由端部に隆起凸部１２を設
けて、追つて説明する雄具Ａの捻り操作を用意に
する構成としている。

尚、偏平係止部３は当然のことながら、その厚
味側の幅ｘが面側の幅x′より狭いものとされてい
れば良く、必ずしも図示例の形状に限定されるも
のでなく、前記顎部４が所謂楔状の凹部４ａを有
する場合もある。

次いで雌具Ｂには一方の側にロープＣの繋着部
を構成する通孔１３をもつて繋着桿部１４が形成
されていると共に、他方の側には前記雄具Ａの偏
平係止部３と顎部４とが装脱自在に挿入される操
作穴５が設けられている。そして、この操作穴５
は、前記の雄具Ａの偏平係止部３が挿入される断
面が略長方形状の少なくとも前記偏平係止部３の
幅ｘ，x′の嵌挿される穴部５′を有しており、こ
の断面が略長方形状をなす穴部５′の内奥側には
該穴部５′の夫々の長径側に面して、前記操作穴
５に連通する窓穴６，６が設けられている。尚、
前記の偏平係止部３の挿入される断面が略長方形
状の穴部５′は操作穴５の全幅に亘つて設けられ
ているが、前記窓穴６の開設位置から操作穴５の
入口側に向けた一部に設けられている場合でも良
い。次いで、開設された窓穴６における前記操作
穴５の入口側に位置する窓縁に沿つた操作穴５の
側に突部７が凸条様に設けられていると共に、こ
の開設窓穴６，６は前記穴部５′の長径側の面の
互いに異つた側に偏つて開設され、一方の窓縁６
ａが操作穴５の一つの壁面５ａと略面一の状態で
設けられ、且つ他方のこれに対向する窓縁６ｂ，
６ｂが前記壁面５ａから立上り状態で設けられた
係止板部１５により前記操作穴５の壁面５ａから
所定間隔を介して設けられている。

次いで、前記の操作穴５の奥壁８は、前記通孔
１３に連通して雌具Ｂの片側の面から設けられた
凹欠部１６と該操作穴５とを区分する板部１７を
もつて作られており、該奥壁８の面には前記雄具
Ａの偏平係止部３の自由端側にある凸部１２に接
触する隆起凸部１８が設けられている。尚、この
板部１７は前記操作穴５に挿入される雄具Ａの押
し込みに伴つて弾性変形を生じ易いように、この
板部１７に沿つた前記の係止板部１５に夫々操作
穴５の壁面５ａに到る割溝１９が設けられている
と共に前記凹欠部１６に連通するスリツト２０が
前記雌具Ｂの他方の側の面に該板部１７に沿つて
設けられている。

又、雌具Ｂにおける前記窓穴６の設けられてい
る操作穴５の入口縁には前記雄具Ａの台部１１の
厚幅に相当する段部２１を設けると共に、前記の
顎部４の張り出されている側の台部１１の夫々の
側縁を該雄具Ａにおける摘み部１のこれに対応す
る面と略面一状とすることにより、雌具Ｂに挿入
した雄具Ａと略90度捻回した状態で雄具Ａの摘み
部１の面と雌具Ｂを構成する操作穴５の穴縁とが
略面一状とされ、しかも台部１１が前記段部２１
内に納められると共に、この台部１１が段部２１
の設けられていない操作穴５の面で支承されるこ
とゝなり、雌具Ａと雌具Ｂとのガタの無い結合状
態を作り出すことができる。

又、前記の偏平係止部３における顎部４から凸
部１２に到る距離を前記窓穴６の穴縁にある突部
７から奥壁８の凸部１８に到る距離より稍々長め
に設け、しかも前記顎部の長さを、該窓穴６の穴
縁にある突部７から前記段部２１に到る距離と略
同一又は僅かに長目に設定することにより雄具Ａ
と、雌具Ｂとの更にガタの無い良好な結合状態を
作り出すことができる。

叙上実施例では雄具Ａを偏平係止部３の幅x′側
を雌具Ｂの操作穴５の長径側に合せて挿入し、雄
具Ａの偏平係止部３が雌具の奥壁８に接触した状
態で、更にこれを押し込むことにより板部１７の
弾性変形をもたらし、この状態で偏平係止部３を
90度捻回することにより偏平係止部３の顎部４が
窓穴６の突部７を超えて該顎部４の凹部４ａが該
突部７に係合されることゝなる。従つて、この状
態で雄具Ａの押圧を解除することにより雄具Ａの
偏平係止部３は板部１７の奥壁８の面と、窓穴６
の突部７との間で弾性的に挾持されることゝな
る。

この場合、前記のロープＣ等の通孔９，１３が
雄具Ｂに挿入した雄具Ａを90度捻つた状態で雌具
Ｂの操作穴５の長径方向と同一の方向とすること
によりロープＣ等の繋着の方向と、雌雄具の結合
の方向とが略直線状とされ、より良好な、即ち繋
着ロープＣ等の捻れの無い結合が可能とされた。

又、前記係止板部１５の介在により、雌具Ｂに
挿入された雄具Ａの偏平係止部３は少なくとも一
方向以外に捻り出されることが無く、ロープＣ等
の捻れ癖等を考慮して、その位置決めすることに
より雄具Ａの予期せざる解放、抜け出しが効果的
に防止されることゝなる。

次いで第８図〜第１１図に示されるバツクルの
実施例について説明する。この実施例では前記板
部１７を凹欠部１６に操作穴５とによつて構成す
ることなく、凹欠部１６と操作穴１５の奥壁８と
の間に更にスリツト２０ａを設け、このスリツト
２０ａと操作穴１５とをもつて完全に独立した板
部１７を形成することによりロープＣ等の操作に
よる板部１７に対する悪影響の生ずる余地を一切
無くし、常時一定の弾性変形を挿入雄具Ａにより
板部１７にもたらす構成としている。

更に第１２図〜第１４図で示されている実施例
について説明する。この実施例では雄具の摘み部
１より前記実施例に比して更に偏平状にし、これ
に対応する偏平係止部３の幅x′を狭いものとする
ことにより雌具Ｂに対する挿入をより円滑容易に
する構成としている。この実施例における雄具Ａ
の偏平係止部３の幅ｘが該雄具Ａの頸部２の径寸
法と略同一であることより雌具Ｂに設けられる操
作穴５は概ね方形状の入口部となつており、該操
作穴５は更にその内奥で略長方形状の穴部５′と
なるように前記実施例の窓穴６に相当する窓穴６
における該操作穴５の入口側より一対の弾性片２
２，２２が設けられ、この弾性片２２の自由端縁
を前記窓穴６の一つの窓縁とし、この弾性片２２
の自由端側にある突部７ａを前記係合突部７と同
様に機能させている。そして、この実施例では弾
性片２２，２２が夫々自由端側に向けて、その相
互間の間隔が狭くなる構成とし、しかもこの一対
の弾性片２２，２２の挾持能力を高める意図で半
円弧状の板バネ２３の夫々の自由端を該弾性片２
２，２２の外側面に係当し、該弾性片２２，２２
が内窄まり様の応力を受けるように構成してい
る。

更に、前記弾性片２２の弾性変形が確実とされ
るように弾性片２２を構成している基部側の雌具
Ｂに前記操作穴５に連通し、しかも、この操作穴
５に直交する向きに割溝２４を設け、弾性片２２
が操作穴５の穴部５′に押し入れられた際に夫々
外方に向けて比較的自由に弾性変形を生ずる構成
としている。

尚、前記の板バネ２３は半円弧状をなし、夫々
の自由端が内側に向けて折返し状に折曲げられて
いると共に前記の弾性片２２の夫々の外側の面に
設けられた溝７ｂに係止されて前記操作穴５の奥
壁８に向けて伸び、この奥壁８の一部を構成する
ものとして、この奥壁と共に挿入される雄具Ａの
偏平係止部３の自由端部を支承する手段とされて
いる。

又、雌具Ｂに挿入される雄具Ａの頸部２であつ
て、前記の偏平係止部３の顎部４の張り出されて
いない側の両面テーパの面２５を該偏平係止部３
に連続して設けることにより雄具Ａによる弾性片
２２の拡開動作を容易とし、しかも抜き出し時に
は該テーパの面２５を弾性片２２，２２が押し出
すように機能することにより雄具Ａを90度捻回し
て偏平係止部３の幅ｘが弾性片２２，２２間の間
隔に一致された状態で該雄具Ａは雌具Ｂより弾き
出される特長を有している。

（効果） 本考案に係るバツクルは叙上における特長ある
構成よりして、タイヤチエーン等のロープ用のジ
ヨイント等に最適のものとされ、バツクルが合成
樹脂製であることよりホイールやタイヤ等を傷つ
けることが無く、又、装着が単なる嵌め合いであ
ることから無理にロープ等を引つ張る必要が無
く、ロープ等の届いた範囲で直接相互の端部が連
結されることから連結されたロープ等の緩み戻し
が無い特長を有している。又、相互に結合された
雄具Ａと雌具Ｂとは共に弾性的に支承されている
と共に90度捻回された状態でのみ解放されること
から通常の使用状態での予期しない解放を生ずる
ことが無い。

更に雄具の扁平係止部３の顎部４にある凹部４
ａと、雌具Ｂの窓穴６の係合突部７及び７ａとの
間の弾性変形を利用した山越えにより捻回操作時
における節度感をもたらすことができる。

尚、実施例においては偏平係止部３が90度以上
捻回されない構成としてあり、常に一定方向に向
けた捻り操作以外の外力により雄具Ａが雌具Ｂよ
り解放されないようにされており、ロープＣ等が
常に一方向に向けて捻れ込まれているような状態
でのロープ等の繋着に最適とされている。

又ロープＣ等を通す通孔９，１３を雄具Ａと雌
具Ｂの長幅の方向に向けて設けることによりロー
プＣを通して使用した際の雄具Ａと雌具Ｂとの厚
幅（短幅側）が薄く設計できる特長を有してい
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の典型的な一実施例を示すバツ
クルの分離斜視図、第２図は同一部破断斜視図、
第３図は同結合状態を示す斜視図、第４図は同断
面図、第５図は同正面図、第６図は組付け前の同
正面図、第７図は同組付け前の平面図、第８図は
他の実施例を示す分離状態の斜視図、第９図は同
正面図、第１０図は同平面図、第１１図は同組付
け状態を示す正面図、第１２図は更に他の実施例
を示す部分の分離状態を示す要部破断正面図、第
１３図は同平面図、第１４図は組付け状態を示す
断面図である。 １……摘み部、２……頸部、３……偏平係止
部、４……顎部、５……操作穴、６……窓穴、７
……係止突部、８……奥壁、９……通孔、１０…
…繋着桿部、１１……台部、１２……凸部、１３
……通孔、１４……繋着桿部、１５……板部、１
６……凹欠部、１７……板部、１８……凸部、１
９……割溝、２０……スリツト、２１……段部、
２２……弾性片、２３……板バネ、２４……割
溝、２５……テーパの面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ロープ等の繋着部を有する摘み部と、この摘み
   部から一体に突設された頸部と、該頸部の自由端
   部に該頸部から側方に張り出して一体に設けられ
   た偏平係止部とからなる合成樹脂製の雄具と、前
   記雄具の偏平係止部と、少なくとも前記頸部の一
   部とが装脱自在に挿入される操作穴を一方の側
   に、且つ他方の側にロープ等の繋着部が設けられ
   ている合成樹脂製の雌具とよりなり、 前記雌具の操作穴は少なくとも前記雄具の偏平
   係止部が挿入される断面が略長方形状の穴部を有
   していると共に、該穴部の内奥側であつて該穴部
   の夫々の長径側には前記操作穴に連通する窓穴が
   開口されており、且つ該窓穴における前記操作穴
   の挿入口側の側縁部には係合突部が、更に前記雄
   具の偏平係止部における前記頸部側には係合凹部
   が夫々設けられていると共に、前記操作穴に挿入
   捻回される前記雄具の偏平係止部が該操作穴奥壁
   と前記凹部に係合される前記係合突部との間に弾
   性的に支承されることを特徴とするバツクル。