JPH0529524U - 足底装具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の足底装具と併用して、足指のクロ−イ
ングそのものを改善し、歩行を助けると共に、足指の屈
曲拘縮を防止する。 【構成】 板状本体１は弾性及び柔軟性に富む素材にて
足底２全体と接する大きさに形成してある。上記板状本
体１の前部１ａ上面には、歩行時、足底２に加わる荷重
により圧迫されて扁平に変形し、この動きに伴なってク
ロ−イングによって屈曲している足指３を伸展すると共
に、足指３の背屈を円滑するための隆起部４が設けてあ
る。この隆起部４は、板状本体１の前部１ａ上面にあっ
て、指尖部３ａから第１ないし第５中足骨々頭の足底面
３ｂに接する部位までの範囲で、第２指の中節骨基底部
３ｃで頂点４ａとなるよう所要の高さに設けられ、扁平
に変形自在で、かつ元形に復帰自在である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、脳血管障害など中枢神経系の疾患によりひきおこされる足指のクロ −イング（ハンマ−ト−）の改善に適用される足底装具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

脳卒中、中枢神経系の疾患により、マン・ウェルニッケ肢位という特殊な肢位 になる。 上肢は、屈曲位に固定され、下肢は、股関節、膝関節が伸展位となり、足関節 は内反尖足位（足部が下垂し、自力で持ち上げることが不能な状態）、足指は図 ６に示したようにクロ−イングをおこす。

【０００３】 これらの症状に対して各種の足底装具が用いられている。 現在知られている足底装具のうち、主なるものとしては、図８に示す硬質プラ スチック製のシュ−ホ−ンブレ−スａや図９に示す金属支柱付靴型装具ｂがある 。

【０００４】 上記シュ−ホ−ンブレ−スａでは、図示の如く、クロ−イングにより屈曲した 足指ｄを、当該装具の足底部ｅで支えることで対処している。

【０００５】 上記金属支柱付靴型装具ｂでは、足指のクロ−イングによる指尖部の疼痛軽減 を目的として、指尖のあたる部分を陥入させた厚さ３〜５ｍｍ程度の軟質プラス チック製の足底板（中敷）を挿入するか、または、当該装具ｂの中底の指尖が当 る部分を直接陥入させ、除圧することにより疼痛に対処している。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

上述の如く、従来の足底装具では、足指を伸展させ、クロ−イングを根本的に 改善することは不可能であるだけでなく、歩行時の自然な足指の動き（背屈）を 阻害する要因ともなっている問題がある。

【０００７】 本考案は、上記従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたもので 、上記した従来の足底装具等と併用して足指のクロ−イングそのものを改善する ことで、指尖部の疼痛を除去し、かつ足指の屈曲拘縮を防止できるようにした足 底装具を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の足底装具は、適度な弾性と柔軟性を有す る素材にて、足底全体に対応する大きさに形成した板状本体の前部上面に、指尖 部から第１ないし第５中足骨々頭の足底面に接する部位までの範囲で、第２中節 骨基底部で頂点となる所要高さの扁平に変形自在で、かつ復元自在な隆起部を設 けたことを特徴とする。

【０００９】

【作用】

当該足底装具は、上記した従来のシュ−ホ−ンブレ−ス、金属支柱靴型装具の 足底板として併用される。 上記装具を、その隆起部上に、足指の第２中節骨基底部を載せた状態で患者が 着用し、歩行すると、足底面による荷重によって板状本体の前部上面の隆起部が 圧迫されて扁平に弾性変形される。

【００１０】 この時、板状本体の前部は前方へ伸長されるが、この動きに伴なって、クロ− イングによって屈曲している足指が伸展される。 足指は、歩行時の踏み返しの瞬間に伸展されるため、疼痛を生ずることなく、 足指の背屈が円滑に行なわれることとなって、屈曲拘縮に陥ることを防止できる 。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の実施例について図面を参照して説明する。 図１ないし図５に示したように、板状本体１は、弾性変形及び復元自在に、適 度な弾性と柔軟性に富んだゴム、またはプラスチック等の素材にて一体に形成さ れている。

【００１２】 この板状本体１は、従来の靴の中敷（図示せず）と同様、足底２の全体に接す る大きさで、かつその厚さＡは、図３に示す如く、例えば２ｍｍ〜４ｍｍ程度に 設定されている。

【００１３】 上記板状本体１の前部１ａ上面、即ち足指３の基部から指尖部３ａが接する部 分は、図６に示した如く、クロ−イングにより屈曲した足指３を伸展させること を目的として、隆起部４が形成させてある。

【００１４】 上記隆起部４は、前方は指尖部３ａから後方は第１ないし第５中足骨々頭の足 底面３ｂに接する部位までの範囲で、かつ第２指の中節骨基底部３ｃと接する部 分が頂点４ａとなるよう、高さＨを最大１５ｍｍまでの間で略長円丘形状、もし くは略カマゴコ形状等に、なだらかに突設させてある。そして、前記したその材 質により、扁平に変形自在で、かつ復元自在となっている。

【００１５】 而して、当該足底装具は、従来の前記したシュ−ホ−ンブレ−スａ及び金属支 柱付靴型装具ｂの外に、図７に示した如く、前端部を切欠いた装具ｃの足底板と して併用される。 ところが、板状本体１は、既述した通り弾性及び柔軟性に富んだ素材にて成形 されるため曲げ強度が小さく、ために上記の装具ｃと併用すると、前部１ａの底 屈、即ち、装具ｃの前端部の切欠きｇのため足指３が図示の矢印Ｂ方向へ下垂す ることを防止することができなくなる。

【００１６】 従って、かゝる場合は、図１及び図２に示したように、板状本体１に周縁部１ ｂを一体に立設して、当該板状本体１を略トレイ形状（皿形状）に成形すること により、全体の剛性を増大させると同時に足底２の適合性を増大させる。 また、板状本体１の外周縁を厚肉に形成することで、全体の剛性を増大させる ようにしても良い。

【００１７】 さらに、上記したシュ−ホ−ンブレ−スａや靴型装具ｂのように、足底面全体 の強度が確保されている場合、板状本体１の前部１ａの座屈はおこらない。 従って、上記したようにして板状本体１の剛性を増す必要はないから、板状本 体１を図４及び図５に示したように、前記した周縁部１ｂを立設することなく平 板状に成形することができ、斯くして患者の足に合わせて適当な大きさに切断し て使用できるため、フリ−サイズとすることができる。

【００１８】 また、上記した隆起部４は、図１及び図２に示した実施例では、板状本体１の 前部１ａ上面にあって、板状本体１の幅方向（前後方向と直角方向）へ所要長さ に単体として突設させてあるが、図４に示した如く、板状本体１の幅方向一杯に 長く設けることも可能であり、さらに、各足指３・・・の各中節骨基底部と接す るよう、板状本体１の幅方向へ所定の間隔をおいて、複数体を並設させることも 可能である。

【００１９】

【考案の効果】

本考案は、以上説明したように構成されているので、これを足底板として従来 の装具と併用することにより、歩行時において、体重が足底面に加わることで、 隆起部が圧迫されて扁平に変形し、その結果、本体の前部が前方へ伸長し、この 動きに伴なってクロ−イングによって屈曲している足指が伸展されると共に、こ の足指の伸展は、足の踏み返しの瞬間に行なわれることとなる為、足指に疼痛を 生ずることがなく、歩行を助けることができる。 また、足指の背屈が円滑に行なわれることで、足指が屈曲拘縮に陥ることも防 止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る足底装具の実施例を示した平面図
である。

【図２】図１に示した実施例の側面図である。

【図３】図１に示した実施例の隆起部が圧迫扁平化さ
れ、屈曲している足指が背屈した状態を示した断面図で
ある。

【図４】本考案に係る足底装具の他の実施例を示した平
面図である。

【図５】図４に示した実施例の側面図である。

【図６】足指のクロ−イング状態を示した側面図であ
る。

【図７】使用状態の一例を示す側面図である。

【図８】従来の足底装具を示す側面図である。

【図９】従来の足底装具の他例を示す側面図である。

【符号の説明】

１ 板状本体 １ａ 板状本体の前部 ２ 足底 ３ 足指 ３ａ 指尖部 ３ｂ 第５中足骨々頭の足底面 ３ｃ 第２指の中節骨基底部 ４ 隆起部 ４ａ 頂点

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 適度な弾性と柔軟性を有する素材にて、
   足底全体に対応する大きさに形成した板状本体の前部上
   面に、指尖部から第１ないし第５中足骨々頭の足底面に
   接する部位までの範囲で、第２中節骨基底部で頂点とな
   る所要高さの扁平に変形自在で、かつ復元自在な隆起部
   を設けたことを特徴とする足底装具。