JPH052951Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の技術分野］ この考案は、光源ランプからの光を液晶表示パ
ネルに照射して、液晶表示パネルに表示された画
像をスクリーンに拡大投影する液晶プロジエクタ
に関する。

［従来技術］ 上記液晶プロジエクタは、箱型をなしたプロジ
エクタ本体の前面に投影レンズを設け、内部に前
方から集光フレネルレンズ、液晶表示パネル、透
明板および光源ランプをそれぞれ順に設けてい
て、光源ランプからの照明光が光軸に沿つて透明
板、液晶表示パネル、集光フレネルレンズ、投影
レンズを通過する過程において、透明板にて照明
光に含まれている赤外線成分が吸収され、液晶表
示パネルを裏面側から照明してこれに表示された
テレビジヨン画像等の表示像を光像とし、この光
像が集光フレネルレンズにて投影レンズに集光さ
れ、かつ、投影レンズにて拡大されてスクリーン
面に投影されるようになつている。

このような液晶プロジエクタにおいては通常、
光源ランプからの照明光に含まれている赤外線成
分や、プロジエクタ本体内の昇温（光源ランプ等
が発生する熱で）による加熱から液晶表示パネル
内の熱に弱い液晶物質を保護するための液晶冷却
器が備えられ、これによつて液晶プロジエクタを
長時間使用し続けても液晶表示パネルが正常に表
示動作できるようになつている。液晶冷却器は、
加熱によつて昇温する液晶表示パネルから吸熱し
て液晶表示パネル内の液晶物質に熱影響を及ぼさ
ないようにするものであり、冷媒を収容している
密閉型の冷却容器の前面に液晶表示パネルを取り
付け、この液晶表示パネルの熱を冷媒が吸熱し、
これによつて昇温した冷媒とプロジエクタ本体内
を流れる外気との間で熱交換を行なつて液晶表示
パネルを冷却するように構成されている。

第３図は上記従来の液晶表示パネル１００と、
これの前方に配置された集光フレネルレンズ１０
１と、液晶表示パネル１００を冷却容器１０２の
前面に取り付けている液晶冷却器１０３とを示し
ている。

冷却容器１０２はその前後面部が開口されてい
て、この開口部１０４，１０５をガラス等の透明
板１０６，１０７にて閉塞してなる構造とされて
いる。そして、一般にこの内部に収容される冷媒
１０８にはエチレングリコール水溶液（40％水溶
液）等の液体冷媒が用いられ、かつ、昇温した冷
媒１０８と外気との熱交換手段にはヒートパイプ
１０９が用いられている。ヒートパイプ１０９は
冷却容器１０２の上部に両側壁を貫通するように
取り付けられ、冷却容器１０２内に位置する中央
部分で冷媒１０８から吸熱し、冷却容器１０２外
に位置する両側部分で外気中に放熱するようにな
つている。

液晶表示パネル１００は二枚のガラス基板１１
０，１１１間に液晶物質を封入してなる液晶セル
１１２と、この液晶セル１１２のそれぞれのガラ
ス基板１１０，１１１の外側に配置される偏光板
１１３，１１４とによつて構成されるが、例示の
場合には、冷媒１０８の吸熱効率を向上させるた
めに、ガラス基板１１１の外側に配置される変更
板１１４をガラス基板１１１の外面に重ね合わさ
ずに冷却容器１０２の後面側の開口１０５を塞い
でいる透明板１０７の外面に接着し、ガラス基板
１１１の外面を冷却容器１０２の前面側の開口１
０４を塞いでいる透明板１０６の外面に接着して
いる。

［問題点］ しかし、このように構成されている従来構造で
は、第４図に示すように、液晶表示パネル１００
とその前方に配置されている集光フレネルレンズ
１０１との間は液晶表示パネル１００のガラス基
板１１０，１１１や集光フレネルレンズ１０１と
屈折率が大きく異なる空気層１１５となつている
ために、矢印のように光源ランプからの照明光ａ
が液晶表示パネル１００から集光フレネルレンズ
１０１に向かうとき、液晶表示パネル１００と空
気層１１５との界面１１６、および空気層１１５
と集光フレネルレンズ１０１との界面１１７にお
ける表面反射が大きく、従つて、液晶表示パネル
１００を通過した照明光ａの輝度を著しく低下さ
せていた。また、例示の場合には冷却容器１０２
の前面の透明板１０６とこれの外面に接合される
液晶表示パネル１００のガラス基板１１１との間
にも空気層１１８が形成されるので、照明光ａが
冷却容器１０２から液晶表示パネル１００に向か
うとき、透明板１０６と空気層１１８との界面１
１９および空気層１１８とガラス基板１１１との
界面１０２においても表面反射があり、冷却容器
１０２を通過した照明光ａの輝度が低下し、これ
らによつて輝度損失が非常に大きくなつてスクリ
ーンに映し出される画像性能に影響を与えてい
た。

例示構造の場合の輝度損失を数値的に示すと、 垂直入射の反射率は｛（N₁−N₂）／（N₁＋
N₂）｝²で与えられ、 ここでガラス、アクリル樹脂、空気の屈折率は
それぞれ1.45、1.49、1.0であるので、 上記界面１１６，１１７，１１９，１２０での
反射率は、 界面１１９の場合、（１−1.49／１＋1.49）²＝
0.039％ 界面１１６，１１７，１２０の場合、（1.45−
１／1.45＋１）²＝0.034％となり、 全体では｛（１×（１−0.034）｝³×（１−0.039）
＝
0.866％となつて、約13.4％の輝度損失があつた。
なお、ガラス基板１１０とこれの外面に接着され
る偏光板１１３との間にも空気層が形成される
が、ここではこれを考慮していない。

［考案の目的］ この考案は上述の如き事情に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、液晶表示パネル
から集光フレネルレンズに向かう照明光の輝度低
下を抑えて、スクリーン面に映し出される画像性
能の向上を図つた液晶プロジエクタを提供するこ
とにある。

［考案の要点］ この考案は上記目的を達成するため、液晶表示
パネルとこれの前方又は後方に配置されたレンズ
との間を、液晶表示パネルのガラス基板やレンズ
に近い屈折率を有した液体層としたことを要点と
している。

［実施例］ 以下、この考案に係る液晶プロジエクタの一実
施例を第１図に基づいて説明する。

同図において、１は箱型をなしたプロジエクタ
本体であり、このプロジエクタ本体１の前面には
投影レンズ２が設けられ、内部には前方から集光
フレネルレンズ３、液晶表示パネル４、液晶冷却
器５、透明板６、光源装置７が順次配置され、上
部中央には送風フアン８が設けられている。

投影レンズ２は液晶表示パネル４の表示像を図
示しないスクリーン面に投影するためのもので、
プージエクタ本体１の前面に貫通固定した筒体９
に螺合された鏡筒１０内に設けられており、鏡筒
１０を回すことにより投影像を結像させるスクリ
ーンの位置に応じて焦点調節できるようになつて
いる。

投影レンズ２の後方に配置された集光フレネル
レンズ３と、この集光フレネルレンズ３の後方に
配置された液晶表示パネル４と、この液晶表示パ
ネル４の後方に配置された液晶冷却器５は第２図
に示すように一体化されてプロジエクタ本体１の
底壁１ａ上に載置固定されている。

集光フレネルレンズ３は液晶表示パネル４の表
示像を投影レンズ２に集光させるためのもので、
アクリル樹脂等からなる透明板の一面にその全面
に亘つて多数の環状凸レンズ部を同心円状に形成
したサーキユラフレネルレンズとされている。

液晶表示パネル４は例えばテレビジヨン画像を
表示する透過型のドツトマトリツクス液晶パネル
であり、二枚のガラス基板１１，１２間に液晶物
質１３を封入してなる液晶セル１４と、この液晶
セル１４の両ガラス基板１１，１２の外面側に配
置される偏光板１５，１６とからなつている。

液晶冷却器５は液晶表示パネル４の熱を吸熱し
て内部の液晶物質１３を熱から保護するためのも
のであり、内部にエチレングリコール水溶液（40
％水溶液）等の液体冷媒１７を収容している密閉
型の冷却容器１８の一側（前面側）に液晶表示パ
ネル４と集光フレネルレンズ３とを取り付け、上
部にヒートパイプ１９を取り付けた構成とされて
いる。このような液晶冷却器５は加熱された液晶
表示パネル４の熱を液体冷媒１７が吸熱し、この
吸熱によつて昇温した液体冷媒１７とプロジエク
タ本体１内を流れる外気Ａとの間でヒーパイプ１
９が熱交換して液体冷媒１７を冷却する。また、
冷却容器１８は垂直型をなした枠体の前面側開口
を枠体に接着される液晶表示パネル４の一方のガ
ラス基板１２で閉塞するとともに後面側開口を枠
体に接着されるガラス等の透明板２０で閉塞した
構造とされ、ヒートパイプ１９は冷却容器１８の
枠体上部にその両側壁を貫通して取り付けられて
いて、冷却容器１８内に位置する中央部分を吸熱
部とし、外部に突出する両側部分を放熱部として
いる。

上記のように液晶冷却器５の前面に取り付けら
れた液晶表示パネル４と集光フレネルレンズ３と
の間は液晶表示パネル４のガラス基板１１および
集光フレネルレンズ３に近い屈折率を有した液体
で形成された液体層２１とされている。この場
合、液体層２１を形成する液体には液晶冷却器５
内に収容されているエチレングリコール液等が用
いられ、このような液体は液晶表示パネル４と集
光フレネルレンズ３との間に介在される密閉型の
容器２２内に収容されている。この容器２２は液
晶冷却器５の冷却容器１８と同じく垂直型をなし
た枠体から構成されており、前面側開口を枠体に
接着される集光フレネルレンズ３で閉塞するとと
もに後面側開口を枠体に接着される液晶表示パネ
ル４の一方のガラス基板１１で閉塞した構造とさ
れ、かつ、枠体上部に冷却容器１８と同様のヒー
トパイプ２３を取り付けている。要するにこの場
合の容器２２は冷却容器１８と同じものであり、
両者の間に液晶表示パネル４の液晶セル１４を介
在させた構造となつている。そして、冷却容器１
８の後面開口を塞いでいる透明板２０の外面に液
晶表示パネル４の一方の偏光板１６を接着し、容
器２２の前面開口を塞いでいる集光フレネルレン
ズ３の外面に液晶表示パネル４の他方の偏光板１
５を接着している。

液晶冷却器５の後方に配置された透明板６は光
源装置７からの照明光a′に含まれている赤外線成
分を吸収するためのものであり、赤外線吸収フイ
ルタ又は耐熱ガラス等から構成され、プロジエク
タ本体１の底壁１ａ上に垂直固定された板状の保
持枠２４にこの中央部に形成されている開口２５
を塞ぐように固定されている。

透明板６の後方に配置された光源装置７は、光
源ランプとしての放電ランプ（キセノンランプ）
２６と、この放電ランプ２６の後方にあつて放電
ランプ２６が発光する光を前方に平行な照明光
a′として反射させるリフレクタ２７とからなつて
いる。リフレクタ２７はプロジエクタ本体１の底
壁１ａ上に固定された筒型の保持板２８に嵌合支
持され、また、放電ランプ２６はその口金２９を
リフレクタ２７中心部の支持穴３０に嵌挿してい
る。

プロジエクタ本体１の上部中央に配置された送
風フアン８はプロジエクタ本体１内に外気Ａを流
通させるためのもので、プロジエクタ本体１の上
壁１ｂ下面に一体に設けられたシユラウド３１内
に回転可能に設置されていて、その回転駆動によ
つて、プロジエクタ本体１の前後面に形成されて
いるスリツト状の吸気孔３２，３３から外気Ａが
取り入れられ、プロジエクタ本体１内を矢印のよ
うに流れてプロジエクタ本体１の上壁１ｂに形成
されたスリツト状の排気孔３４から外部に排出さ
れる。このようにして外気Ａがプロジエクタ本体
１内を流れる過程において外気Ａはプロジエクタ
本体１内の光源装置７等の各構成要素を空冷する
とともに、液晶冷却器５のヒートパイプ１９およ
び容器２２のヒートパイプ２３において液体冷媒
１７および液体層２１を形成する液体との間で熱
交換して液晶表示パネル４を冷却する。

このように構成された実施例の液晶プロジエク
タは、光源装置７の放電ランプ２６を点灯し、液
晶表示パネル４にテレビジヨン画像等を表示させ
ると、図示のようにリフレクタ２７によつて反射
された放電ランプ２６の照明光a′は液晶表示パネ
ル４の中心と図示しないスクリーン中心とを結ぶ
光軸Ｏに平行して液晶表示パネル４に向かう。そ
して、このリフレクタ２７によつて反射された放
電ランプ２６からの照明光a′は、まず、透明板６
を通過して赤外線成分を吸収され、次いで液晶冷
却器５を通過して液晶表示パネル４を裏面側から
照明する。この液晶表示パネル４を通過した光、
すなわち液晶表示パネル４の表示像に対応する光
像は集光フレネルレンズ３によつて投影レンズ２
に集光され、投影レンズ２によつて拡大されてス
クリーン面に投影される。この場合、放電ランプ
２６からの照明光a′が第２図に示すように液晶表
示パネル４から集光フレネルレンズ３に向かうと
き、両者の間は液晶表示パネル４のガラス基板１
１および集光フレネルレンズ３に近い屈折率を有
した液体層２１であるために、液晶表示パネル４
と液体層２１との界面３５および液体層２１と集
光フレネルレンズ３との界面３６での表面反射が
非常に小さく抑えられ、輝度の低下が殆どなくな
る。また、ここでは冷却容器１８の枠体の開口を
液晶セル１４のガラス基板１２で塞いでいるため
に冷却容器１８と液晶表示パネル４との間に空気
層はなく、従つて照明光a′が液晶冷却器５から液
晶表示パネル４に向かうときの表面反射も非常に
小さく抑えられて、輝度低下が殆どなく、これら
からプロジエクタ本体１内を通過する照明光a′の
輝度損失が著しく小さくなつている。

また、放電ランプ２６からの照明光a′に含まれ
ている赤外線成分およびプロジエクタ本体１１内
の昇温によつて加熱された液晶表示パネル４（液
晶セル１４）は液晶冷却器５によつて冷却される
が、これと同時に容器２２によつても冷却され、
かつ、液晶セル１４のガラス基板１１，１２が液
体冷媒１７および液体層２１を形成する液体と直
接に接していることから液晶表示パネル４の冷却
効率が著しく高められている。

更に、液晶セル１４のガラス基板１２によつて
冷却容器１８の一方の開口を塞いでいるので、液
晶冷却器５には一方の透明板が不要となり、か
つ，透光率も高められている。

なお、例示の場合、容器２２内に収容されて液
体層２１を形成する液体を液晶冷却器５内に収容
される液体冷媒１７と同様にエチレングリコール
水溶液等として液晶表示パネル４の冷却機能を伴
わせもたせるようにしたが、この冷却機能を有さ
ぬ構成とすることもある。

また、例示の場合、集光フレネルレンズ３の外
面に偏光板１５を配置したが、この偏光板１５は
集光フレネルレンズ３の内面側に配置することも
ある。

［考案の効果］ 以上説明したように、この考案に係る液晶プロ
ジエクタは、液晶表示パネルとこの液晶表示パネ
ルの前方に配置されたレンズとの間を、液晶表示
パネルのガラス基板若しくはレンズに近い屈折率
を有した液体層としたので、液晶表示パネルから
レンズに向かう照明光の表面反射が非常に小さく
抑えられるので輝度損失が低下し、スクリーン面
に映し出される画像性能が高められる効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例による液晶プロジ
エクタの断面図、第２図は同液晶プロジエクタの
液晶表示パネルと集光フレネルレンズと液晶冷却
器とを示した拡大断面図、第３図は従来の液晶プ
ロジエクタの液晶表示パネルと集光フレネルレン
ズと液晶冷却器とを示した断面図、第４図は同要
部の拡大断面図である。 ３……集光フレネルレンズ、４……液晶表示パ
ネル、１１，１２……ガラス基板、１５，１６…
…偏光板、２１……液体層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 光源ランプからの光を液晶表示パネルに照射し
   て前記液晶表示パネルに表示された画像をスクリ
   ーンに拡大投影する液晶プロジエクタにおいて、
   前記液晶表示パネルとこの液晶表示パネルの前方
   又は後方に配置されたレンズとの間を、前記液晶
   表示パネルのガラス基板若しくは前記レンズに近
   い屈折率を有した液体層としたことを特徴とする
   液晶プロジエクタ。