JPH05294967A - 新規アデニン誘導体 - Google Patents

新規アデニン誘導体

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JPH05294967A
JPH05294967A JP10884391A JP10884391A JPH05294967A JP H05294967 A JPH05294967 A JP H05294967A JP 10884391 A JP10884391 A JP 10884391A JP 10884391 A JP10884391 A JP 10884391A JP H05294967 A JPH05294967 A JP H05294967A
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JP
Japan
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ethyl
adenine
compound
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phthalimide
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Application number
JP10884391A
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English (en)
Inventor
Akinobu Tanaka
昭宣 田中
Takehito Maruyama
岳人 丸山
Akinori Oda
晃規 小田
Takashi Suzuki
隆 鈴木
Yoshiaki Suzuki
吉昭 鈴木
Takashi Oritani
隆志 折谷
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】化1で表されるアデニン誘導体。 【化1】 〔R,R, はメチル基またはエチル基を示す。ただし、
ともにメチル基の場合を除く。Xは水素または塩素、Y
は水素または2−リボシル基を示す。〕 【効果】従来のサイトカイニン活性を示す合成品よりも
水に対する溶解性、生体への浸透性に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なアデニン誘導体
に関する。本発明に係るアデニン誘導体は、サイトカイ
ニン活性を示し、植物の細胞分裂促進、側芽の生長促
進、発芽促進、花芽形成と開花の促進、着果促進、果実
肥大、老化抑制および貯蔵器官における物質蓄積促進等
の植物生理作用の活性促進に有用な物質である。
【0002】
【従来の技術】従来、植物、殊に、穀物、果物、野菜の
生育を調節するために、数多くの化合物が見いだされて
いる。なかでも、サイトカイニンと総称される物質群に
属するものには、多くの生理作用が知られており、代表
的な化合物として、ゼアチン、カイネチンおよびベンジ
ルアデニンなどがある。このようなサイトカイニンは、
植物の細胞分裂促進、側芽の生長促進、発芽促進、花芽
形成と開花の促進、着果促進、果実肥大、老化抑制およ
び貯蔵器官における物質蓄積促進等の植物生理作用が知
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、サイトカイニン
活性を示す物質は天然に存在するが、天然物ではその量
も限られているし、また入手も容易でない。また、サイ
トカイニン活性を示す物質が多くの生理作用を有する割
には実用面での用途が限られているのが現状である。こ
の実用面での用途が限られている原因の一つに、従来知
られているサイトカイニンは、水に対する溶解性に乏し
く、植物への吸収、他の器官への転流が充分でないこと
が挙げられる。本発明は、従来の合成によるサイトカイ
ニンよりも水溶性に富み、また、天然のサイトカイニン
よりも入手が容易なサイトカイニン活性を示す物質を提
供するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の事
情に鑑み、サイトカイニン活性を示すとともに、水溶性
を有する化合物について数多くの研究、検討を重ねた結
果、アデニンのN6 窒素原子に化2で示されるような側
鎖と、アデニンの2位および9位にそれぞれ水素または
塩素および水素または化3で示される2−リボシル基が
結合したアデニン誘導体が有効であることを見いだし本
発明に到達した。
【0005】
【化2】 (R、R’はメチル基またはエチル基を示す。ただし、
ともにメチル基の場合を除く。)
【0006】
【化3】
【0007】すなわち、本発明は、下記の化1で示され
るアデニン誘導体およびその利用に関する。
【0008】
【化1】 (R、R’はメチル基またはエチル基を示す。ただし、
ともにメチル基の場合を除く。Xは水素または塩素、Y
は水素または2−リボシル基を示す。)
【0009】本発明に係る上記の化1で示されるアデニ
ン誘導体は、たとえば、次のような方法により得ること
ができる。6−クロロプリン、2,6−ジクロロプリン
または6−クロロプリンリボシドと化4で示される構造
を有するアミン誘導体とを、たとえばアルコール類等の
有機溶媒中で、トリアルキルアミン(たとえば、エチル
ジイソプロピルアミン)の存在下に加熱し、反応させる
ことにより合成できる。
【0010】
【化4】 (R、R’はメチル基またはエチル基を示す。ただし、
ともにメチル基の場合を除く。)
【0011】化4で示されるアミン誘導体を得る方法と
しては、たとえば、N−メトキシ−N−エチルアミン、
N−エトキシ−N−メチルアミンまたはN−エトキシ−
N−エチルアミンとN−(2−ハロエチル)フタルイミ
ドとを反応させて、化4で示されるアミンのフタルイミ
ド誘導体を得、これを加水分解して化4のアミンを合成
する方法がある。この場合には、6−クロロプリン、
2,6−ジクロロプリンまたは6−クロロプリンリボシ
ドとの反応に当たり、化4のアミンを単離することな
く、加水分解反応液を用いて6−クロロプリン、2,6
−ジクロロプリンまたは6−クロロプリンリボシドと反
応させることもできる。本発明における化1で表される
アデニン誘導体の物性を表1に示す。
【0012】
【表1】 表1 アデニン誘導体およびアデニン誘導体の塩の物性 ────────────────────────────── 化合物 R R, X Y mp(℃) ────────────────────────────── A CH3 C2H5 H H 165〜167 B CH3 C2H5 Cl H 250〜251 C CH3 C2H5 H rib* 79〜 81 D C2H5 CH3 H H 197〜200 E C2H5 CH3 Cl H 231〜232 F C2H5 C2H5 H H 170〜173 G C2H5 C2H5 Cl H 247〜249 H C2H5 C2H5 H rib* 70〜 73 ────────────────────────────── * rib :2−リボシル基
【0013】本発明に係る前記化1で表されるアデニン
誘導体は、植物ホルモン、サイトカイニン活性を有する
もので、植物生長調節剤として圃場で使用したり、ある
いは植物組織培養用の培地成分として利用できることが
期待される。次に、本発明に係るアデニン誘導体の合
成、ならびにその生理活性について、実施例および試験
例を示す。
【実施例】本発明を実施例によりさらに具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 N6 −[2−(N−メトキシ−N−エチルアミノ)エチ
ル]アデニン(化合物A)の合成 次のように、先ず側鎖アミンを合成し、これを6−クロ
ロプリンと反応させた。 (1)N−[2−(N−メトキシ−N−エチルアミノ)
エチル]フタルイミドの合成 N−(2−ブロモエチル)フタルイミド2.54g(1
0.0mmol)をジメチルスルホキシド15mlに溶
かし、ここにヨウ化ナトリウム4.50g(30.0m
mol)を加え、懸濁液とした。この懸濁液にN−メト
キシ−N−エチルアミン3.00g(40.0mmo
l)を加え、70℃で24時間加熱撹拌した。反応混合
物を室温に冷却後、50mlの飽和重曹水に注ぎ、クロ
ロホルムで抽出し、有機層を水洗した後、硫酸マグネシ
ウムで乾燥した。クロロホルムを留去し、残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤:クロロホル
ム)で精製し、1.07g(収率43%)のN−[2−
(N−メトキシ−N−エチルアミノ)エチル]フタルイ
ミドを白色結晶として得た。 融点:108 〜110 ℃1 H−NMR(CDCl3,TMS 内部標準); δ=1.06(t,J=7Hz,3H),2.77(q,J=7Hz,2H),2.97(t,J=6Hz,
2H),3.55(s,3H),3.90(t,J=6Hz,2H),7.78(m,4H)ppm (2)N6 −[2−(N−メトキシ−N−エチルアミ
ノ)エチル]アデニンの合成 0.350g(1.41mmol)のN−[2−(N−
メトキシ−N−エチルアミノ)エチル]フタルイミドを
10mlのメタノールに溶かし、これに0.080g
(1.60mmol)のヒドラジンハイドレートを加
え、8時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却後、
これにエーテル30mlを加え、0℃に1時間放置し
て、充分に固体を析出させた。吸引濾過により固体を除
き、濾液をエバポレーターにより10mlにまで濃縮し
た。この濃縮液を5mlのイソプロパノールに溶かし、
これに6−クロロプリン0.153g(0.990mm
ol)と、エチルジイソプロピルアミン0.25ml
(1.41mmol)を加えて8時間加熱還流した。反
応混合物をエバポレーターで濃縮した後、シリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開剤:クロロホルム/メタ
ノール=9/1)で精製し、0.170g(収率51
%)の標題化合物を白色固体として得た。 融点:165 〜167 ℃1 H−NMR(CDCl3,TMS 内部標準); δ=1.13(t,J=7Hz,3H),2.78(q,J=7Hz,2H),2.93(t,J=6Hz,
2H),3.57(s,3H),3.89(q-like,2H),6.49(t-like,1H),7.9
6(s,1H),8.42(s,1H)ppm 赤外吸収スペクトル(KBr ); νmax = 3200m ,2940 s ,2800 m ,1620 sh,1605 vs,132
5 m ,1095m ,1040 m ,930m ,890m ,640m cm-1 紫外吸収スペクトル; λmax(H2O) 209(20,800),267(20,000)nm λmax(0.1N HCl) 208sh,275(20,200)nm λmax(0.1N NaOH) 273(19,700),280shnm 元素分析;C10H16N6O としての計算値 C:50.83% H:6.82% N:35.56% 実測値 C:51.01% H:6.98% N:35.44%
【0014】実施例2 2−クロロ−N6 −[2−(N−エトキシ−N−メチル
アミノ)エチル]アデニン(化合物E)の合成 次のように、先ず側鎖アミンを合成し、これを2,6−
ジクロロプリンと反応させた。 (1)N−[2−(N−エトキシ−N−メチルアミノ)
エチル]フタルイミドの合成 N−(2−ブロモエチル)フタルイミド2.54g(1
0.0mmol)をジメチルスルホキシド15mlに溶
かし、ここにヨウ化ナトリウム4.50g(30.0m
mol)を加え、懸濁液とした。この懸濁液にN−エト
キシ−N−メチルアミン4.28g(57.1mmo
l)を加え、70℃で9時間加熱撹拌した。反応混合物
を室温に冷却後、50mlの飽和重曹水に注ぎ、クロロ
ホルムで抽出し、有機層を水洗した後、硫酸マグネシウ
ムで乾燥した。クロロホルムを留去し、残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(展開剤:クロロホルム)
で精製し、0.81g(収率33%)のN−[2−(N
−エトキシ−N−メチルアミノ)エチル]フタルイミド
を白色結晶として得た。 融点: 69 〜 71 ℃1 H−NMR(CDCl3,TMS 内部標準); δ=1.13(t,J=7Hz,3H),2.58(s,3H),2.93(t,J=6Hz,2H),3.
71(q,J=7Hz,2H),3.89(t,J=6Hz,2H),7.75(m,4H)ppm (2)2−クロロ−N6 −[2−(N−エトキシ−N−
メチルアミノ)エチル]アデニンの合成 0.330g(1.33mmol)のN−[2−(N−
エトキシ−N−メチルアミノ)エチル]フタルイミドを
5mlのメタノールに溶かし、これに0.080g
(1.60mmol)のヒドラジンハイドレートを加
え、8時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却後、
これにエーテル20mlを加え、0℃に1時間放置し
て、充分に固体を析出させた。吸引濾過により固体を除
き、濾液をエバポレーターにより5mlにまで濃縮し
た。この濃縮液を5mlのイソプロパノールに溶かし、
これに2,6−ジクロロプリン0.176g(0.93
1mmol)と、エチルジイソプロピルアミン0.23
ml(1.33mmol)を加えて5時間加熱還流し
た。反応混合物を室温に冷却後、50mlの飽和重曹水
に注ぎ、クロロホルムで抽出し、有機層を水洗した後、
硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、得
られた固体をメタノール−クロロホルムで再結晶して、
0.13g(収率36%)の標題化合物を白色結晶とし
て得た。 融点:231 〜232 ℃1 H−NMR(DMSO-d6,TMS 内部標準); δ=1.07(t,J=7Hz,3H),2.54(s,3H),2.82(t,J=6Hz,2H),3.
66(q,J=7Hz,2H),3.70(m,2H),7.86(br,1H),8.11(s,1H)pp
m 赤外吸収スペクトル(KBr ); νmax =3250 m ,3070 m ,2950 m ,1620 s ,1585 s ,135
0 m ,1295 m ,1245 m ,940 m,935m cm-1 紫外吸収スペクトル; λmax(H2O) 212(20,100),270(16,300)nm λmax(0.1NHCl) 212(20,500),271(14,900)nm λmax(0.1NNaOH) 277(15,900),284 sh nm 元素分析;C10H15ClN6O としての計算値 C:44.36% H:5.58% N:31.04% 実測値 C:44.30% H:5.78% N:30.81%
【0015】実施例3 N6 −[2−(N−エトキシ−N−エチルアミノ)エチ
ル]アデニンリボシド(化合物H)の合成 次のように、先ず側鎖アミンを合成し、これを6−クロ
ロプリンリボシドと反応させた。 (1)N−[2−(N−エトキシ−N−エチルアミノ)
エチル]フタルイミドの合成 N−(2−ブロモエチル)フタルイミド2.54g(1
0.0mmol)をジメチルスルホキシド15mlに溶
かし、ここにヨウ化ナトリウム4.50g(30.0m
mol)を加え、懸濁液とした。この懸濁液にN−エト
キシ−N−エチルアミン4.18g(47.0mmo
l)を加え、70℃で20時間加熱撹拌した。反応混合
物を室温に冷却後、50mlの飽和重曹水に注ぎ、クロ
ロホルムで抽出し、有機層を水洗した後、硫酸マグネシ
ウムで乾燥した。クロロホルムを留去し、残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤:クロロホル
ム)で精製し、1.03g(収率39%)のN−[2−
(N−エトキシ−N−エチルアミノ)エチル]フタルイ
ミドを無色油状物として得た。1 H−NMR(CDCl3,TMS 内部標準); δ=1.07(t,J=7Hz,3H),1.13(t,J=7Hz,3H),2.78(q,J=7Hz,
2H),2.98(t,J=6Hz,2H),3.73(q,J=7Hz,2H),3.89(t,J=6H
z,2H),7.78(m,4H)ppm (2)N6 −[2−(N−エトキシ−N−エチルアミ
ノ)エチル]アデニンリボシドの合成 0.320g(1.22mmol)のN−[2−(N−
エトキシ−N−エチルアミノ)エチル]フタルイミドを
5mlのメタノールに溶かし、これに0.080g
(1.60mmol)のヒドラジンハイドレートを加
え、8時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却後、
これにエーテル20mlを加え、0℃に1時間放置し
て、充分に固体を析出させた。吸引濾過により固体を除
き、濾液をエバポレーターにより5mlにまで濃縮し
た。この濃縮液を5mlのイソプロパノールに溶かし、
これに6−クロロプリンリボシド0.250g(0.8
54mmol)と、エチルジイソプロピルアミン0.2
1ml(1.22mmol)を加えて4時間加熱還流し
た。反応混合物をエバポレーターで濃縮した後、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(展開剤:クロロホルム
/メタノール=9/1)で精製し、0.100g(収率
21%)の標題化合物を白色吸湿性固体として得た。 融点: 70 〜 73 ℃1 H−NMR(CDCl3,TMS 内部標準); δ=1.10(t,J=7Hz,3H),1.13(t,J=7Hz,3H),2.78(q,J=7Hz,
2H),2.91(t,J=6Hz,2H),3.77(m,6H),4.27(m,1H),4.41(m,
1H),4.68(br,3H),4.99(m,1H),5.83(d,J=7Hz,1H),6.56(t
-like,1H),7.83(s,1H),8.14(s,1H)ppm 赤外吸収スペクトル(KBr ); νmax 3330 s ,3200 s ,2940 m ,1620 s ,1330 m1300
m ,1120 m ,1080 m ,1050 m cm-1 紫外吸収スペクトル; λmax(H2O) 210(16,900),267(18,900)nm λmax(0.1NHCl) 207 sh,265(17,100)nm λmax(0.1NNaOH) 267(19,600)nm 元素分析;C16H26N6O5 としての計算値 C:50.25% H:6.85% N:21.97% 実測値 C:50.30% H:6.98% N:22.13%
【0016】試験例1 クロロフィル保持効果によるサ
イトカイニン活性試験 培土を詰めた苗箱にイネの種子(品種:南京11号)を
播種し、ガラス室内(昼間25゜C/夜間15゜C)で
約1ヶ月間生育させた。6葉展開時の4葉の中央部か
ら、長さ1cmの葉片を切り取った。所定濃度の供試化
合物を含む被験液2mlを加えた内径32mmのガラス
管びんに、切り取った葉5枚を1組として浮かべた。暗
黒下、30゜Cに3日間置いた後、葉片を80%エタノ
ール10mlの入った試験管に入れ、80℃の湯浴に2
0分間浸漬して、クロロフィルを抽出した。冷却後、8
0%エタノールを加えて、10mlとし、665nmの
波長で吸光度を測定した。 無処理区に対する処理区の
クロロフィル保持効果による老化抑制率を次式により求
めた。結果を表2に示す。 a:処理区の3日後の吸光度 b:無処理区の3日後の吸光度 c:処理前の葉での吸光度
【0017】
【表2】 表2 クロロフィル保持効果によるサイトカイニン活性試験 ────────────────────────────── 老化抑制率(%) ────────────────────────────── 化合物 濃度 (mg/l) 0.1 1 ────────────────────────────── A 88 100 C 57 100 E 75 99 ヘ゛ンシ゛ルアテ゛ニン 83 95 ──────────────────────────────
【0018】試験例2 ヒモゲイトウのベタシアニンの
合成促進によるサイトカイニン活性試験 プラスチックの容器(19×28cm)に、濾紙を三重
に敷き、60mlの蒸留水で湿らせた。ヒモゲイトウの
種子を濾紙上にまき、暗黒下、27゜Cに3日間保ち、
発芽させた。均一な大きさの芽生えを選び、胚軸の上部
を切断し、種皮を取り除いた。この子葉と、胚軸の上部
3〜4mmを検定に用いた。内径32mmのガラス管び
んに、濾紙を二重にしき、所定濃度の供試化合物と、
0.5g/lのチロシンを含む0.0065Mリン酸カ
リウム緩衝液(pH6.3)を1ml加え、10本の子
葉切片を並べ、暗黒下、27゜Cに20時間保った。子
葉切片10本を3mlの蒸留水の入った試験管に入れ、
凍結、解凍を3度くり返してベタシアニンを抽出し、波
長542nmと620nmの吸光度を測定した。この2
つの吸光度の差から色素量を定量した。結果を表3に示
す。
【0019】
【表3】 表3 ヒモゲイトウのベタシアニンの合成促進によるサイトカイニン活性試験 ─────────────────────────────── ベタシアニン生成量(542nm と620nm の吸光度差) ─────────────────────────────── 化合物 濃度(mg/l) 0.1 1 ────────────────────────────── B 0.162 0.258 E 0.145 0.207 G 0.216 0.250 ヘ゛ンシ゛ルアテ゛ニン 0.134 0.212 無処理 0.036 ──────────────────────────────
【0020】試験例3 イネにおける吸収、移動性に関
する試験;イネ葉片に対する化合物の浸透クロロフィル
保持効果 イネの種子(品種:南京11号)を培土を詰めた苗箱に
播種し、ガラス室内(昼間25℃/夜間15℃)で約1
カ月間生育させた。7葉展開時の5葉の中央部から、長
さ30mmの葉片を切りとった。直径9cmのシャーレ
に円形濾紙1枚を敷き、2.5mlの蒸留水で湿らせ
た。この上にスライドグラス1枚をおき、このスライド
グラスの上に、切りとった5枚の葉片を、葉片の裏面が
上になるように並べた。この葉片の中央に、供試化合物
を0.1%Tween20水溶液で溶かして10mg/
lの濃度に調製した検液10μlを載せた。シャーレに
蓋をした後、暗黒下、30℃に5日間置き、検液を載せ
たところを中心に検液のクロロフィル保持効果によって
残った緑色の部分の長さを測定した。試験は2反復で行
った。結果を表4に示す。同じ濃度での比較では、ベン
ジルアデニンより化合物1、3、5の方が緑色部が大き
く広がっており、吸収、移動性のよいことが窺われた。
【0021】
【表4】 表4 イネにおける吸収、移動性に関する試験 ────────────────────────────── 緑色部の長さ(mm) ────────────────────────────── 無処理 9.8ヘ゛ンシ゛ルアテ゛ニン 17.2 A 21.0 C 17.4 E 17.4 ──────────────────────────────
【0022】参考例 本発明化合物および従来知られているサイトカイニン物
質について、水に対する溶解度を測定した。結果は、次
の表に示すように、従来良く知られた代表的な物質に比
べ、優れた溶解性を示した。 ────────────────────────────── 化合物 溶解度(g/100gH2 O)(20℃) ────────────────────────────── A 8.15 E 0.20 H 12.1 ベンジルアデニン 3×10-3 ゼアチン 0.14 カイネチン 2×10-3 ──────────────────────────────
【0023】
【発明の効果】本発明に係るアデニン誘導体は、サイト
カイニン作用を示すとともに、従来の合成品よりも水に
対する溶解性、生体への浸透性に優れ、植物生長調節剤
などとしての使用が期待される。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 隆 新潟県新潟市太夫浜字新割182番地 三菱 瓦斯化学株式会社新潟研究所内 (72)発明者 鈴木 吉昭 新潟県新潟市太夫浜字新割182番地 三菱 瓦斯化学株式会社新潟研究所内 (72)発明者 折谷 隆志 富山県婦負郡婦中町ねむの木3−12

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の化1で表されるアデニン誘導体。 【化1】 (R、R’はメチル基またはエチル基を示す。ただし、
    ともにメチル基の場合を除く。Xは水素または塩素、Y
    は水素または2−リボシル基を示す。)
JP10884391A 1991-04-12 1991-04-12 新規アデニン誘導体 Pending JPH05294967A (ja)

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JP10884391A JPH05294967A (ja) 1991-04-12 1991-04-12 新規アデニン誘導体

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