JPH05292961A - バチルス由来の精製パラ−ニトロベンジルエステラーゼ - Google Patents

バチルス由来の精製パラ−ニトロベンジルエステラーゼ

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JPH05292961A
JPH05292961A JP4338706A JP33870692A JPH05292961A JP H05292961 A JPH05292961 A JP H05292961A JP 4338706 A JP4338706 A JP 4338706A JP 33870692 A JP33870692 A JP 33870692A JP H05292961 A JPH05292961 A JP H05292961A
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pnb
esterase
reducing agent
pnb esterase
concentrate
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JP4338706A
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Shigeyuki Usui
茂之 臼井
Chang-An Yu
チャン−アン・ユー
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OKURAHOMA STATE UNIV
Oklahoma State University
Original Assignee
OKURAHOMA STATE UNIV
Oklahoma State University
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    • C12N9/14Hydrolases (3)
    • C12N9/16Hydrolases (3) acting on ester bonds (3.1)
    • C12N9/18Carboxylic ester hydrolases (3.1.1)
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P35/00Preparation of compounds having a 5-thia-1-azabicyclo [4.2.0] octane ring system, e.g. cephalosporin

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 バチルス属由来の精製パラ-ニトロベンジル
エステラーゼ(PNBエステラーゼ)とその精製法を提供
する。 【効果】 本発明のPNBエステラーゼはセファロスポ
リン化合物および1-カルバセファロスポリン化合物の
PNBエステルを脱エステル化して対応する遊離酸に変
換する反応を触媒する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酵素技術の分野に関す
る。具体的には、本発明は、バチルス属由来の酵素p-
ニトロベンジルエステラーゼ(PNBエステラーゼ)およ
びこの酵素を精製型として調製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】セファロスポリンおよび1-カルバセフ
ァロスポリンのエステルはこれら抗生物質の遊離酸型の
合成に際して中間体として一般に使用されている。セフ
ァロスポリン類の製造についてはシャウベット(Chauvet
te),米国特許第4064343号によって広く教示され
ている。1−カルバセファロスポリン類の製造について
はクリステンセン(Christensen)ら,米国特許第4226
866号、ムンロー(Munroe),米国特許第479110
6号、およびヒラタ(Hirata)ら,米国特許第47089
56号によって広く教示されている。
【0003】PNBエステル官能基は、セファロスポリ
ンおよび1−カルバセファロスポリンの酸性カルボン酸
官能基を、その分子の他の部位での反応を行う間、遮断
または保護するために一般に使用されている。例えばガ
ルブレヒト(Garbrecht),米国特許第3632850号
は、セファレキシン合成におけるp-ニトロベンジルエ
ステル基の使用について記述している。この合成の第1
段階では、このエステルを酸性条件下での水素化分解に
よって切断する。米国特許第3781282号において
ガルブレヒトは、ジメチルホルムアミドなどのアミド型
溶媒中の亜鉛および酸によるセファロスポリンのp-ニ
トロベンジルエステルの脱エステル化について記述して
いる。ジャクソン(Jackson),米国特許第3799924
号は、約7以上のpHにおいて亜ジチオン酸ナトリウム
または亜ジチオン酸カリウムで処理することによるセフ
ァロスポリンエステルのp-ニトロベンジルエステル基
の除去について記述している。ハットフィールド(Hatfi
eld),米国特許第4091214号は、亜鉛とα-ヒドロ
キシカルボン酸を含有する不活性溶媒を用いて還元的に
切断することからなるセファロスポリン化合物のエステ
ルの脱エステル化法について記述している。ヒラタら,
米国特許第4708956号は、1-カルボセファロス
ポリン化合物からパラ-ニトロベンジル保護基を除去す
る方法について記述している。これらの脱エステル化法
には、溶媒の再利用コストが高いこと並びに有機溶媒が
汚染を引き起こすという潜在的な問題が伴う。
【0004】上記方法の代替法である、セファロスポリ
ンおよびカルバセファロスポリン抗生物質の合成におい
て使用されるPNB遮断基を除去するための酵素法には
明瞭な利点があろう。温和な条件下で進行するこのよう
な反応は有機溶媒と金属触媒を使用することなく水性反
応混合物中で完結し得る。ブラノン(Brannon),米国特許
第3972774号は、セファロスポリンエステルをバ
チルス属の微生物から得られる粗調製物と反応させるこ
とからなる、セファロスポリンエステルからのPNBエ
ステルの除去法について記述している。しかし、この切
断に寄与する酵素は単離されておらず、またその切断が
単一の酵素によって起こるのかどうかも決定されなかっ
た。
【0005】セファロスポリンおよび1-カルバセファ
ロスポリンのp-ニトロベンジルエステルはこれら抗生
物質の遊離酸型の合成において重要であるから、このエ
ステル基の改善された除去法は常に研究の対象となって
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はバチルス属の
微生物由来の精製PNBエステラーゼを提供する。本酵
素は約54000ダルトンの分子量を有する単量体であ
る。このPNBエステラーゼは、セファロスポリン化合
物および1-カルバセファロスポリン化合物のPNBエ
ステルの対応する遊離酸型への脱エステル化を触媒す
る。また本発明はバチルス種から本酵素を精製する方法
をも提供する。この方法は硫酸アンモニウム分画、pH
処理、アニオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、吸
着-脱着クロマトグラフィー、およびアフィニティーク
ロマトグラフィーの組合わせからなる。
【0007】
【課題を解決する方法】本発明はバチルス属の微生物由
来の酵素PNBエステラーゼを実質的に精製された形態
で提供する。本明細書で使用する場合、実質的に精製さ
れた形態とはバチルス細胞抽出物より10倍以上高い比
活性を意味する。さらに本発明は、セファロスポリンま
たは1-カルバセファロスポリンの遊離酸型をそのPN
Bエステル型から製造する方法において有用な精製酵素
の単離法をも提供する。本酵素は、SDS-ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって決定
した場合約54000ダルトンの分子量を有する単量体
型タンパク質である。本酵素のアミノ酸組成を表1に示
す。このアミノ酸組成は、後述のように高性能液体クロ
マトグラフィー並びに従来法によって決定した。本発明
が提供するPNBエステラーゼは約4〜50℃および約
5.5〜8.5のpHで安定である。
【表1】
【0008】また本発明は、セファロスポリンエステル
および1-カルバセファロスポリンエステルからp-ニト
ロベンジル基を除去して対応するセファロスポリン酸お
よび1-カルバセファロスポリン酸を製造するための酵
素的切断法をも提供する。この方法は、セファロスポリ
ンエステルまたは1-カルバセファロスポリンエステル
を好ましくは水性媒質中25〜40℃で本発明の実質的
に精製されたPNBエステラーゼと反応させ、得られる
セファロスポリン酸または1-カルバセファロスポリン
酸を回収することからなる。
【0009】本方法は、セファクロルおよびロラカルベ
フを製造するにあたって、その合成中これらの抗生物質
の4-カルボキシル基がパラ-ニトロベンジル基で保護さ
れている場合にとりわけ価値がある。
【0010】ロラカルベフ核遊離酸は、フェニルグリシ
ンメチルエステルがこの化合物と反応してロラカルベフ
とメタノールを生成する反応において、ペニシリンGア
ミダーゼの基質である。同様に、ペニシリンGアミダー
ゼは、セファクロル核遊離酸またはセファレキシン核遊
離酸がフェニルグリシンメチルエステルと反応してセフ
ァクロルまたはセファレキシンとメタノールを与える変
換を触媒する。
【0011】PNBエステラーゼのアミノ末端22残基
のアミノ酸配列を気相シークエンサーを伴う自動エドマ
ン分解によって決定した。得られた配列は次の通りであ
る:Met Thr His Gln Ile Val Thr Thr Gln Tyr Gly Ly
s Val Lys Gly Thr Thr GluAsn Gly Val His(配列番号
1)。
【0012】プロテアーゼで消化したPNBエステラー
ゼから次の内部アミノ酸配列が得られた:Glu Asn Ile
Phe Gln Leu Phe Phe Gln Pro Ala Leu Asp(配列番号
2);Ala Phe His Ala Leu Glu Leu Pro Phe Val Phe G
ly Asn Leu Asp Gly Leu GluXaa Met Ala Lys(配列番
号3);Gly Ile Pro Tyr Ala Lys Pro Pro Val Gly Gln
Trp Trp Phe Lys(配列番号4)。
【0013】後述の実施例1Dの方法に従って、他の酵
素の阻害剤として知られている種々の化合物がPNBエ
ステラーゼのPNBエステラーゼ活性に与える効果を測
定した。その結果を表2に示す。PNBエステラーゼ活
性は3つのセリン特異的化合物(フッ化フェニルメチル
スルホニル、p-ニトロフェニルリン酸ジエチルおよび
フルオロリン酸ジイソプロピル)と1つのヒスチジン特
異的化合物(ピロ炭酸ジエチル)によって強く阻害され
る。本酵素はアルギニン特異的化合物(フェニルグリオ
キサール)、カルボキシル指向性化合物(ジシクロヘキシ
ルカルボジイミド)および2つのスルフヒドリル指向性
化合物[5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)および
塩化水銀]によって中程度に阻害された。PNBエステ
ラーゼはトリプシンの基質であるN-ベンゾイルフェニ
ルアラニンナプチルアミドによって中程度に阻害され
た。
【表2】 PNBエステラーゼに対する阻害剤の効果 化合物(1mM) 阻害率(%) 無添加 0 フッ化フェニルメチルスルホニル 100 p-ニトロフェニルリン酸ジエチル 100 フルオロリン酸ジイソプロピル 100 ピロ炭酸ジエチル 100 ジシクロヘキシルカルボジイミド 78 フェニルグリオキサール 91 5,5'-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸) 69 N-ベンゾイルフェニルアラニンナプチルアミド 66 HgCl2 100 FeSO4 100 Zn(OCOCH3)2 97 2-メルカプトエタノール 0 EDTA 0
【0014】表3にPNBエステラーゼの基質特異性を
示す。
【表3】 PNBエステラーゼの基質特異性 基質 濃度 相対活性 Kmmax (nM) (%) (mM) (単位/mg) ロラカルベフ-PNB 0.5 100 1.1 12.8 (オキサレート) ロラカルベフ-PNB 0.5 41 1.0 4.4 (トシレート) ロラカルベフ核-PNB 1.0 52 1.1 6.8 0.5 35 セファクロル核-PNB 0.5 16 1.1 2.0 セファレキシン-PNB 0.5 12 1.3 1.7 (トシレート) 酢酸p-ニトロフェニル 1.6 6300 0.56 381.7 酢酸p-ニトロベンジル 5.0 268 酢酸ベンジル 2.0 57 酢酸α-ナフチル 2.0 57 N-ベンゾイル-DL- 0.5 43 フェニルアラニン-β-ナプチルエステル
【0015】本発明が提供する酵素はバチルス属の微生
物から得ることができる。これらの生物の多くは公知で
あり、入手可能である。これらの生物には例えばバチル
ス・ズプチリス(枯草菌)NRRL B558、バチルス
・シルクロンスATCC 966、バチルス・セレウス
NRRL B569、バチルス・リシェホルミスATC
C 7072、バチルス・セレウスATCC 9634、
バチルス・ズプチリスNRRL 1471、バチルス・
ズプチリスNRRL B-8097およびバチルス・ズプ
チリスATCC 6633などが含まれる。PNBエス
テラーゼを単離する際の供給源として使用した特定の生
物はバチルス・ズプチリスNRRL B-8097であ
る。この微生物の培養はノーザン・リジョナル・リサー
チ・ラボラトリー(米国農務省、イリノイ州61604
ペオリア)の永久保存株に寄託されており、受託番号B-
8097の下で入手することができる。
【0016】後述するPNBエステラーゼ精製法は、本
酵素を様々な濃度で含有するバチルス属の生物に適用す
ることができる。本酵素が妥当な量で存在するのであれ
ば、出発微生物中の酵素量は制約とならない。
【0017】上記生産生物の細胞を培養培地から従来法
で収集することによって、その全細胞から粗酵素調製物
が得られる。この細胞を緩衝液A[10mMリン酸カリウ
ム(pH7.0)、1mM 2-メルカプトエタノール(2-M
E)、0.5mM EDTA]に懸濁する。その懸濁液を0℃
で超音波処理し、遠心分離し、無細胞抽出物を集める。
【0018】実質的に純粋なPNBエステラーゼの調製
法は次の工程からなる。 a)PNBエステラーゼを含有する水性無細胞抽出物に
約pH7で硫酸アンモニウムを加えて硫酸アンモニウム
濃度を約45%〜80%飽和度にし、得られた沈殿物を
集める。 b)約pH7に緩衝化した沈殿物の溶液を還元剤の存在
下で透析する。 c)その透析物を約pH5に酸性化し、沈殿を除去し、
該透析物を約pH8.5に調節する。 d)該透析物を弱アニオン交換樹脂でのクロマトグラフ
ィーにかけ、還元剤の存在下で約pH7の緩衝液中の
0.05Mから0.3Mへの直線的なNaCl勾配を用いて
該樹脂からPNBエステラーゼを溶出させる。 e)工程dのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
縮する。 f)工程eの濃縮物を、還元剤の存在下で約pH8.0
の多糖型ゲルを通して濾過する。 g)工程fのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
縮し、pH8.5に緩衝化した濃縮物の溶液を還元剤の
存在下で透析する。 h)工程gの濃縮物を約pH8.5のアニオン交換樹脂
でのクロマトグラフィーにかけ、還元剤の存在下で約p
H6の緩衝液中の0.1Mから0.3Mへの直線的なNaC
l勾配を用いて該樹脂からPNBエステラーゼを溶出さ
せる。 i)工程hのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
縮し、約pH5.0に緩衝化した濃縮物の溶液を還元剤
の存在下で透析し、その透析物を集める。 j)上記透析物を約pH6のリン酸カルシウム-セルロ
ースでのクロマトグラフィーにかけ、還元剤の存在下で
約pH7の0.01Mから0.10Mへの直線的なリン酸カ
リウム勾配を用いてPNBエステラーゼをそこから溶出
させる。 k)工程jのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
縮し、約pH8に緩衝化した濃縮物の溶液を還元剤の存
在下で透析し、その透析物を集める。 l)上記透析物を約pH8のp-アミノベンズアミジン-
アガロースでのクロマトグラフィーにかけ、還元剤の存
在下で約pH8の0Mから0.30Mへの直線的なNaC
l勾配を用いてPNBエステラーゼをそこから溶出させ
る。 m)工程lのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
縮する。 この際、上記a〜mの工程を約0℃〜4℃の温度で行
う。
【0019】本方法の鍵となる特徴は、PNBエステラ
ーゼの活性を維持しつつこの酵素の他のタンパク質から
の分離を可能にする一連の緩衝液とクロマトグラフィー
用樹脂の使用にある。
【0020】上記精製法では、2-ME以外の還元剤も
緩衝液中で使用することができる。例えばジチオスレイ
トール、N-アセチル-L-システイン、および類似のス
ルフヒドリル試薬を使用することができる。2-MEが
好ましい。
【0021】本法の以降の工程のためにクロマトグラフ
ィー溶出液の体積を減じるべく、溶出液の限外濾過を従
来法で行う。
【0022】本明細書に記載するPNBエステラーゼの
アミノ末端アミノ酸配列および内部アミノ酸配列は、P
NBエステラーゼをコード化する遺伝子のクローニング
にとって有用である。組換えDNA技術を用いるPNB
エステラーゼ遺伝子のクローニングと発現は、より多量
の本酵素を提供する潜在能力を有する。
【0023】本発明は、PNBエステラーゼを発現する
ことができる組換え宿主細胞から実質的に精製された形
態のPNBエステラーゼを調製する方法であって、次の
工程からなる方法を提供する。 a)PNBエステラーゼを含有する水性無細胞抽出物に
約pH7で硫酸アンモニウムを加えて硫酸アンモニウム
濃度を約45%〜85%飽和度にし、得られた沈殿物を
集める。 b)約pH7に緩衝化した沈殿物の溶液を還元剤の存在
下で透析する。 c)その透析物を約pH5に酸性化し、沈殿を除去し、
該透析物を約pH8.5に調節する。 d)該透析物を弱アニオン交換樹脂でのクロマトグラフ
ィーにかけ、還元剤の存在下で約pH7の緩衝液中の
0.05Mから0.3Mへの直線的なNaCl勾配を用いて
該樹脂からPNBエステラーゼを溶出させる。 e)工程dのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
縮する。 f)その透析物を約pH8のp-アミノベンズアミジン-
アガロースでのクロマトグラフィーにかけ、還元剤の存
在下で約pH8の0Mから0.30Mへの直線的なNaC
l勾配を用いてPNBエステラーゼをそこから溶出させ
る。 g)工程fのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
縮し、pH8.5に緩衝化した濃縮物の溶液を還元剤の
存在下で透析する。 h)工程gの濃縮物を約pH8.5のアニオン交換樹脂
でのクロマトグラフィーにかけ、還元剤の存在下で約p
H6の緩衝液中の0.1Mから0.3Mへの直線的なNaC
l勾配を用いてPNBエステラーゼを該樹脂から溶出さ
せる。 i)工程hのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
縮し、約pH5.0に緩衝化した濃縮物の溶液を還元剤
の存在下で透析し、その透析物を集める。この際、上記
a〜iの工程を約0℃〜4℃の温度で行う。
【0024】本発明のさらなる理解を助けるべく以下に
実施例を記載する。使用した特定の材料、種および条件
は本発明をさらに例示するためのものであって、本発明
の妥当な範囲を制限しようとするものではない。
【0025】実施例1バチルス・ズプチリスからのP
NBエステラーゼの単離と精製 A.無細胞抽出物の調製 バチルス・ズプチリスNRRL B-8079の培養を従
来法で収集し、凍結した。凍結バチルス・ズプチリス
(760g)を融解し、2リットルの緩衝液A中でホモジ
ナイズ(均質化)した。24000×gで30分間遠心分
離することにより無細胞抽出物を得た。この抽出物に最
終濃度2.0mg/mlで硫酸プロタミンを加え、その混合
物を1時間撹拌した。生成した沈殿を遠心分離によって
除去した。以下の単離操作ではその上清を無細胞抽出物
として使用した。
【0026】B.粗PNBエステラーゼの単離 上記抽出物の硫酸アンモニウム分画を行った。45〜8
0%硫酸アンモニウム飽和度で生成した沈殿を遠心分離
によって集め、緩衝液Aに溶解した後、同緩衝液に対し
て終夜透析した。透析した試料を1N酢酸でpH5.0
に酸性化し、10分間インキュベートし、これを遠心分
離にかけることによって沈殿物を除去した。その上清に
は粗PNBエステラーゼが含まれていた。
【0027】C.PNBエステラーゼの精製 上記上清を2N NH4OHでpH8.5に調節し、緩衝
液B[10mM トリス塩酸(pH8.5)、50mM NaC
l、1mM 2-ME、0.5mM EDTA]で平衡化した弱
アニオン性樹脂[DE52カラム、3.7×35cm、ファ
ルマシア,インコーポレイテッド製(ニュージャージー州
08854ピスカタウェイ)]に充填した。このカラムを
350mlの緩衝液Bで洗浄し、1750mlの緩衝液C
[10mMトリス塩酸(pH7.0)、50mM NaCl、1m
M 2-ME、0.5mM EDTA]で再度洗浄した。緩衝液
C中のNaCl勾配(50〜300mM、3500ml)を用
いてPNBエステラーゼを溶出させた。PNBエステラ
ーゼの分画を合し、アミコンPM-10膜[アミコン製
(マサチューセッツ州01923ダンバース)]での限外
濾過によって濃縮した。濃縮した粗PNBエステラーゼ
溶液を、緩衝液D[10mMトリス塩酸(pH8.0)、1mM
2-ME、0.5mM EDTA]で平衡化した多糖型ゲル
(セファクリルS-200HRカラム、5.0×95cm、
ファルマシア,インコーポレイテッド製)を用いるゲル濾
過にかけた。酵素活性を含有する分画を合わせ、限外濾
過によって濃縮し、緩衝液Bに対して終夜透析した。透
析した溶液を、緩衝液Bで平衡化したアニオン交換樹脂
(Q-セファロースカラム、2.6×20cm、ファルマシ
ア,インコーポレイテッド製)に充填した。このカラムを
100mlの緩衝液Bで洗浄し、次いで500mlの緩衝液
E[10mM MES-NaOH(pH6.0)、100mM N
aCl、1mM 2-ME、0.5mM EDTA]で洗浄し
た。緩衝液E中の直線的NaCl勾配(100〜300m
M、1500ml)を用いてPNBエステラーゼを溶出させ
た。PNBエステラーゼを含有する分画を合わせ、限外
濾過によって濃縮し、1mM 2-MEと0.5mMエチレン
ジアミンテトラ酢酸を含む10mM 酢酸ナトリウム(pH
5.0)に対して終夜透析した。
【0028】沈殿物を遠心分離によって除去した後、そ
の酵素溶液を、1mM 2-MEと0.5mM EDTAを含む
10mM酢酸ナトリウム(pH5.0)で平衡化したリン酸
カルシウム-セルロールカラム(1.6×20cm)に充填し
た。ここで使用する細かく粉砕されたリン酸カルシウム
はイェナー(Jenner),米国特許第3737516号に従
って調製することができる。このカラムを250mlの同
緩衝液で洗浄した後、1mM 2-MEと0.5mM EDTA
を含む10〜50mMの直線的リン酸カリウム(pH7.
0)勾配(250ml)を用いてPNBエステラーゼを溶出
させた。PNBエステラーゼ活性を含有する分画を合
し、限外濾過によって濃縮した後、緩衝液Dに対して終
夜透析した。
【0029】透析した酵素溶液を、緩衝液Dで平衡化し
たp-アミノベンズアミジン-アガロースカラム(1.0×
20cm、ファルマシア,インコーポレイテッド製)に充填
した。このカラムを50mlの緩衝液Dで洗浄した後、緩
衝液D中の直線的NaCl勾配(0〜300mM、100m
l)を用いてPNBエステラーゼを溶出させた。緩衝液D
中のほぼ160〜220mM NaClで溶出したPNB
エステラーゼ活性を伴う分画を合し、限外濾過によって
濃縮したところ、これは精製酵素であった。
【0030】上述の精製におけるすべての工程を0〜4
℃の温度で行った。この単離および精製の各工程で得ら
れたPNBエステラーゼ活性について試料を検定するこ
とにより、精製の進行を追跡した。表4は各工程後に得
られた結果を表す。
【表4】 バチルス・ズプチリス培養基からのPNBエステラーゼの精製 ロラカルベフ セファレキシン 工程 タンパク質1 活性 比活性 活性 比活性 (mg) (U) (U/mg) (U) (U/mg) 無細胞抽出物 41400 95.2 2.3 9.81 0.24 45-80%AmSO4分画 18400 49.6 2.7 5.64 0.31 pH処理 11000 44.2 4.0 5.18 0.47 DE52溶出液 2300 52.0 22.6 6.15 2.67 セファクリルS-200溶出液 985 47.5 48.2 5.98 6.07 Q-セファロース溶出液 16 20.5 1280 1.72 108リン 酸カルシウム-セルロース溶出液 6.9 11.7 1690 1.04 150 p-アミノヘ゛ンス゛アミシ゛ン- 4.0 8.0 2030 0.87 220 アカ゛ロース溶出液 総タンパク質量はローリー(Lowery,O.H.)らの方法[J.
Biol.Chem.193:265(1951)]で決定した。
【0031】D.PNBエステラーゼ活性の検定法 5μmolのビストリスプロパン塩酸(pH6.5)、0.5
μmolの基質(ロラカルベフPNBエステルまたはセファ
クロルPNBエステル)および適量の酵素溶液を含有す
る1mlの反応混合物を恒温振盪機中37℃で30分間イ
ンキュベートした。等体積ののアセトニトリルを添加す
ることによって反応を停止させた。次に、この混合物を
遠心分離することによってタンパク質を除去し、その上
清溶液を、生成物の生成と基質の消失について高性能液
体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。80%の
1mMトリエチルアミン塩酸(pH2.5)と20%のメタ
ノールを含有する緩衝液Aおよびメタノールを含有する
緩衝液Bによって形成される直線的勾配を1ml/分の流
速で用いて、C-18逆相カラム[ノバ-パックC18ラジ
アルパックカートリッジ(8×100mm)、ミリポア・ベ
ッドフォード製(マサチューセッツ州)]でHPLCを行
った。
【0032】使用したHPLC系はビスタ5560ユニ
ット[バリアン・アソシエーツ製(テキサス州シュガーラ
ンド)]とモデル230-401自動試料採取注入器[ギル
ソン・メディカル・エレクトロニクス製(ウィスコンシ
ン州ミドルトン)]を含むバリアンHPLCシステムであ
った。生成物の形成を254nmで監視することによって
PNBエステラーゼ活性を決定した。
【0033】酢酸p-ニトロフェニルが加水分解してp-
ニトロフェニルアルコールとアセテートに変化する際の
吸収変化を利用して、PNBエステラーゼの分光光度測
定検定法を開発した。この検定法で活性を示す酵素分画
は必ずしもPNBエステラーゼ活性を有するわけではな
いが、PNBエステラーゼはこの検定法で活性を示すで
あろう。精製PNBエステラーゼに関するこの検定法の
結果は、HPLC検定法の結果と十分な相関関係にあっ
た。したがってこの検定法は、一般に多数の検定を伴う
本酵素の精製に有益である。この検定を、100μMト
リス塩酸(pH7.0)、1.6μM酢酸p-ニトロフェニル
および1〜20μlの酵素溶液を含有する1mlの検定混
合物中室温で行った。カリー(Cary)分光光度計モデル2
19もしくはベックマンDU-50で405nmの吸収変
化を測定することにより活性を追跡した。
【0034】E.分子量決定 ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気
泳動(SDS-PAGE)によるPNBエステラーゼの分
子量決定を次のように行った。2%SDSおよび5%
2-MEで処理した精製PNBエステラーゼ 2μgをゲ
ルに乗せた。ラエムリのタンパク質標品(Laemmli,U.K.,
1970,Nature 227:680-682)と共に電気泳動を行った。使
用したタンパク質標品は(1)ホスホリラーゼB(分子量
(M.W.)=92500)、(2)ウシ血清アルブミン(M.
W.=66200)、(3)卵白アルブミン(M.W.=45
000)、(4)炭酸脱水酵素(M.W.=31000)、
(5)大豆トリプシンインヒビター(M.W.=2150
0)、および(6)リゾチーム(M.W.=14400)であ
った。
【0035】図1は、ゲル上での移動度に対する分子量
の片対数プロットである。プロット中の数字は使用した
上記タンパク質標品の括弧内の番号を表す。EはPNB
エステラーゼを表す。
【0036】F.アミノ酸配列およびアミノ酸組成 ハインリクソン(Heinrikson)とメレディス(Meredith)の
方法(1984,Anal.Biochem.136,65-74)およびビドリング
マイヤー(Bidlingmeyer)らの方法(1984,J.Chromatog.33
6:93-104)に従い、フェニルイソチオシアネート(PIT
C)を用いてフェニルチオカルバモイルアミノ酸(PTC
-アミノ酸)に誘導体化した後、HPLC逆相によってア
ミノ酸を分析した。
【0037】精製PNBエステラーゼを水に対して充分
に透析し、酸洗浄したチューブ中で凍結乾燥した後、6
N HClを用いて110℃で24時間加水分解した。
加水分解物をPITCと反応させ、生成したPTC-ア
ミノ酸を、外部アミノ酸標準とウルトロスフェアー-O
DSカラム(0.46cm×25cm)(ベックマン製)を用い
るHPLCによって定量した。(A)50mM酢酸アンモニ
ウム(pH6.0)および(B)アセトニトリル/メタノー
ル/0.22M酢酸アンモニウム(pH6.0)混合液(4
4:10:46)からなる溶媒勾配を用いてPTC-アミノ
酸を溶出させた。さらに、PNBエステラーゼのアミノ
酸組成を従来のニンヒドリン法でも分析した。
【0038】放出されるアミノ酸フェニルチオヒダント
イン誘導体(PTH-アミノ酸)のオンライン検出を伴う
モデル470A気相タンパク質シークエンサーを用い
て、アミノ酸配列分析をエドマン分解によって行った。
上記誘導体を、アプライド・バイオシステムズ(カリフ
ォルニア州フォスターシティー)のモデル120A PT
H-アミノ酸分析装置で検出した[アプライド・バイオシ
ステムズ・プロテイン・シークエンサー・ブレティンN
o.12(1985)]。水に対して充分に透析して凍結乾
燥した精製PNBエステラーゼを0.1%トリフルオロ
酢酸の入った5%アセトニトリルに溶解した後、ポリブ
レン塗被ガラス製ミクロ繊維フィルター中に吸着させ
た。
【0039】実施例2バチルス・ズプチリス(NRR
L B-8079)DNAのゲノムライブラリーからのP
NBエステラーゼ遺伝子(pnbA)の単離 A.菌株の説明と遺伝子型 バチルス・ズプチリス株NRRL B-8079を、セフ
ァロスポリンからパラ-ニトロベンジルエステルを除去
することができる微生物を同定するべく設計されたスク
リーニング法で単離した(Brannonら,J.Antibiotics XXI
X No.2:121-124,1976)。バチルス・ズプチリスNRRL
B-8097はノーザン・リジョナル・リサーチ・ラボ
ラトリー(NRRL)(米国農務省,イリノイ州6160
4ペオリア)の永久保存株に寄託されており、受託番号
B-8079の下で入手可能である。エシェリシア・コ
リ(大腸菌)K12 DH5αTM[マックス・エフィシェン
シーDH5αTMコンピテント・セル;ギブコ BRL製
(メリーランド州ガイサースブルク)]は、高い形質転換
能と大腸菌プラスミドの維持にとって安定な環境を提供
するために開発されたrec-株である。この大腸菌
株を、バチルス・ズプチリス株NRRL B-8079ゲ
ノムライブラリー用の宿主細胞として使用した(実施例
2Jを参照のこと)。クローン化したPNBエステラー
ゼ遺伝子の高レベル発現にはrec+大腸菌K12 R
V308を使用した。この大腸菌株は、大腸菌中で異種
タンパク質を工業的規模で発現させる際の宿主として好
ましい。大腸菌K12/RV308はNRRLに寄託さ
れており、受託番号B-15624の下で入手可能であ
る。
【0040】B.菌株の培養 トリプチカーゼR-ソイ・ブロス(TSB;ベクトン・デ
ィッキンソン・マイクロバイオロジー・システムズ製)
およびルリア・ブロス(L-ブロス;1リットルあたり1
0g ディフコ・バクト-トリプトンR、10g NaClお
よび5g 酵母エキス)を液体培養用の生育培地として使
用した。固体培地上での培養は2%(w/v)寒天を補足
したL-ブロス(L-寒天)上で生育させた。必要な場合に
は次の濃度で抗生物質を培地に添加した:アンピシリン
(50μg/ml)、テトラサイクリン(5μg/ml)。β-ガ
ラクトシダーゼ活性を検出するために、5-ブロモ-4-
クロロ-3-インドリル-D-ガラクトシド[X-gal;シ
グマ・ケミカル・カンパニー製(ミズーリ州63178
セントルイス)]を20μg/mlの濃度で培地に添加し
た。
【0041】C.大腸菌K12 DH5α、大腸菌K1
2 RV308および大腸菌W ATTC 11105の
形質転換 大腸菌K12 DH5α感応細胞をBRLから入手し、
製造者の実験案を用いてこれを形質転換した。別法とし
て、大腸菌K12 DH5α、大腸菌K12 RV308
または大腸菌W ATCC 11105の培養50mlをL
-ブロス中でOD590が約0.5吸光度単位になるまで生
育させ、その細胞を遠心分離によって集めた。細胞ペレ
ットを冷たい100mM CaCl2 25mlに再懸濁し、
氷上で25分間インキュベートした。その細胞を遠心分
離によって集め、冷たい100mMCaCl2 2.5ml中
に再懸濁し、氷上で終夜インキュベートした。感応細胞
を直接使用するか、もしくは形質転換に使用する準備が
調うまで−70℃で保存した。
【0042】感応性大腸菌細胞を形質転換するために、
感応細胞懸濁液100μlを−70℃の貯蔵庫から取り
出し、氷上で融解させる。ポリプロピレン製チューブ中
で細胞をプラスミドDNAの溶液(1ng/ml)5μlと穏
やかに混合し、得られた溶液を氷上で30分間インキュ
ベートした。このチューブを42℃の水槽に移し、振盪
せずに45秒間インキュベートした。この熱ショック処
理後、チューブを氷上に2分間静置した。次に、チュー
ブを氷から取り出し、予め室温にインキュベートしてお
いたS.O.C.培地(2%バクト-トリプトンR、0.5%
酵母エキス、10mM NaCl、2.5mM KCl、10m
M MgCl2、10mM MgSO4、20mMグルコース)
0.9mlを加えた。次に、その細胞懸濁液を37℃22
5rpmで1時間振盪し、その一部をアンピシリンの入っ
たL-寒天上に植菌した。37℃でインキュベートした
後、形質転換体と推定される菌をプレートから選び取っ
た。形質転換体と推定される菌の帰属を、水平ゲル電気
泳動を用いてプラスミドDNAのサイズを測定すること
によって確認した(Sambrookら,1989)。選択したクロー
ンから得たプラスミドDNAを制限酵素分析によって特
徴づけた。
【0043】D.プラスミドDNAの単離 標準的なアルカリ-SDS法(Sambrookら,1989)を用いて
大腸菌株からプラスミドDNAを単離した。別法とし
て、プラスミドDNAを次のように単離した。50mg/
mlのアンピシリンを含有するL-寒天上で生育する形質
転換体コロニーの一部を50mg/mlのアンピシリンを含
むL-ブロス 1リットルに移し、これを空気振盪機中3
7℃で約16時間インキュベートした。ベックマンJA
-10ローターを用いる4℃,8000rpm,10分間の遠
心分離によって500mlチューブ中に細胞を収集した。
細胞ペレットをpH8.0のTE(10mMトリス塩酸、1
mMEDTA)で洗浄し、50mMトリス塩酸(pH8.0)、
25%ショ糖中に再懸濁して全量を10mlとした。25
mMトリス塩酸(pH8.0)中の20mg/mlリゾチーム[シ
グマ・ケミカル・カンパニー(ミズーリ州セントルイ
ス)]1mlを撹拌しながら加え、その混合物を氷上で30
分間インキュベートした。200mM EDTA 4mlを加
えた後、氷上で10分間インキュベートし、次いでブリ
ージ/DOC溶菌溶液[1%ブリージ58、0.4%デオ
キシコレート、50mMトリス塩酸(pH8.0)、60mM
EDTA]15mlを添加した。混合するためにチューブ
を穏やかに反転させ、氷上で15〜30分間インキュベ
ートした。ベックマンJA-20ローター中18000r
pmで1時間遠心分離することにより細胞残渣を除去し
た。上清を静かに移すことにより約30mlを得、これに
10mg/mlのRNAse A(シグマ・ケミカル・カンパ
ニー製)150mlを加えた。37℃で1時間インキュベ
ートした後、10mg/mlのプロテイナーゼK(ベーリン
ガー・マンハイム製)150mlを加え、次いで37℃で
さらに1時間インキュベートした。1/10体積の3M
酢酸ナトリウム(pH7.0)を添加し、次いで3体積の
氷冷無水エタノールを添加することによってDNAを沈
殿させた。ベックマンJA-14ローター[ベックマン・
インストルメンツ,インコーポレイテッド製(カリフォル
ニア州92634フラートン)]中8000rpmで30分
間の遠心分離によってDNAを回収した。風乾したペレ
ットをTE(pH8.0)に再懸濁して全量を9mlにし、
これに塩化セシウム(ベーリンガー・マンハイム製)9g
および10mg/ml臭化エチジウム 0.5mlを加えた。得
られた溶液を2つの5.1mlチューブ,クイック-シール
(Quik-Seal)(ベックマン・インストルメンツ,インコーポ
レイテッド)に移し、ベックマンVTi65.2超遠心ロ
ーター中65000rpmで6時間遠心分離した。紫外光
下でプラスミドバンドを可視化し、これを注射器で取り
出した。臭化エチジウムを除去するために得られたDN
A溶液を塩飽和イソプロパノールで抽出し、1000倍
体積のTE(pH8.0)に対して16時間透析した。必
要になるまで、DNA溶液を−20℃で保存した。
【0044】E.ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅 DNAサーマルサイクラー(DNA Thermal CyclerTM)
とジーン-アンプ(Gene-AmpTM)試薬キット[パーキン-エ
ルマー・シータス製(コネチカット州06859ノルウ
ォーク)]を用い、製造者の指針に従ってポリメラーゼ連
鎖反応を行った。次のインキュベーションを1サイクル
として30サイクルの増幅を行った:93℃で1分、次
いで40℃で2分、次いで72℃で4分。72℃で10
分間インキュベートすることによって合成を完結させ
た。
【0045】F.ヌクレオチド配列の分析 キアゲン(Qiagen)DNA結合カラム[キアゲン,インコー
ポレイテッド(カリフォルニア州チャトスワース)]を用
い、製造者が示す実験案に従って、大腸菌培養のアルカ
リ溶菌液から配列決定用の高次コイルプラスミドDNA
鋳型を精製した。蛍光性色素標識ジデオキシヌクレチ
ド、高次コインプラスミド鋳型および配列特異的オリゴ
ヌクレオチドプライマーを用い、サイクル配列決定法
[アプライド・バイオシステム,インコーポレイテッド
(ABI)(カリフォルニア州94404フォスターシテ
ィー)]に従って、ジデオキシヌクレオチド鎖終結(チェ
ーン・ターミネーション)配列決定反応を行った。配列
決定反応液をABIモデル373A自動DNAシークエ
ンサーで分析した。ヌクレオチド配列を集め、編集し、
デベルックス(Devereux)らのGCGコンピュータープロ
グラム(1985,Nucleic Acids Res.12:387-395)を用いて
分析した。
【0046】 G.オリゴヌクレオチドプローブの合成と末端ラベル化 バチルス・ズプチリスNRRL B-8079から精製し
たPNBエステラーゼ[比活性約2.2U/mg(ロラカル
ベフPNBエステルの対応する遊離酸への加水分解に基
づく)]25ピコモルを自動気相シークエネーターでの分
析(Hewickら,1981,J.Biol.Chem.256:7990;Hunkapiller
およびHood,1978,Biochemistry 17:2124)にかけること
により、この酵素のアミノ末端配列を得た。PNBエス
テラーゼのアミノ末端のアミノ酸配列は、Met Thr His
Gln Ile Val Thr Thr Tyr Gly Lys Lys Val Lys Gly Th
r Gln Glu Asn Gly Val His(配列番号1)であった。
【0047】この配列と公知のバチルス・ズプチリスに
関するコドン使用則[Harwoodら,“Molecular Biologica
l Methods for Bacillus",ジョン・ウィリー・アンド・サ
ンズ・リミテッド,イングランド,ウエスト・サセックス
(1990)]に基づき、β-シアノエチルホスホルアミダ
イト化学を用いるアプライドバイオシステムズ,インコ
ーポレイテッド・モデル380B DNA合成装置で、
製造者の指針に従って、2つのオリゴヌクレオチドプロ
ーブを合成した。PNB1およびPNB2と命名したこ
れらオリゴヌクレオチドプローブを次に示す。ここでは
左から右に5'から3'の方向で表す。 PNB1:ATGACACATC AAATTGTCAC AACATATGGC AAAAAAGTCA A(配列番号5) PNB2:TATGGCAAAA AAGTCAAAGG CACACAAGAA AATGGCGTCC A(配列番号6)
【0048】上記一本鎖DNAセグメントをまずカラム
精製(オリゴヌクレオチド・ピュリフィケーション・カ
ートリッジ;アプライド・バイオシステムズ,インコー
ポレイテッド製)し、次に以下のように末端ラベル化し
た。キナーゼ緩衝液[50mMトリス塩酸(pH7.6)、1
0mM MgCl2]中のT4ポリヌクレオチドキナーゼ8
単位および[γ-32P]アデノシン三リン酸(ATP;50
00Ci/ml)12μlを含有する20μlの反応混合物
に、各プローブ10ピコモルを添加した。37℃で35
分間反応させ、キナーゼを不活化するために70℃で5
分間インキュベートした後、セファデックスG-50ニ
ックカラム[ファルマシア,インコーポレイテッド製(ニ
ュージャージー州08854ピスカタウェイ)]を用い
て、取り込まれなかった[γ-32P]ATPを反応混合物
から除去した。
【0049】H.バチルス・ズプチリスNRRL B-8
079からのゲノムDNAの単離 TSB中25℃で16時間生育して対数増殖中期に達し
たバチルス・ズプチリスNRRL B-8079の培養2
リットルから全DNAを単離した。遠心分離によって細
胞を収集し、緩衝液[50mMトリス塩酸(pH8.0)、5
0mM EDTA]20ml中に再懸濁した。細胞の溶解を次
の2工程で達成した:(i)1mg/mlのリゾチーム[卵白
由来:カルバイオケム製(カリフォルニア州ラ・ジョ
ラ)]を添加し、その懸濁液を37℃で20分間インキュ
ベートし、次いで(ii)溶菌緩衝液[0.5%ドデシル硫酸
ナトリウム(SDS)、50mMトリス(pH7.5)、0.4
M EDTA、1mg/mlプロテイナーゼK]4mlを添加
し、50℃で30分間インキュベートする。2回フェノ
ール抽出し、次いで1回クロロホルム抽出することによ
ってDNAを精製した後、エタノールで沈殿させ、これ
をガラス棒に巻き取ることによって回収した。1mM E
DTAと0.2mg/mlリボヌクレアーゼ(ウシ膵臓由来;
シグマ・ケミカル・カンパニー製)を含有する40mMト
リス塩酸緩衝液(pH7.5)中にDNAを穏やかに再懸
濁し、その調製物を25℃で30分間インキュベートす
ることによって、上記調製物からRNAを除去した。フ
ェノールとクロロホルムで再抽出し、これをTE(pH
7.5)に再懸濁することによってさらなる精製を達成し
た。
【0050】I.オリゴヌクレオチドプローブを用いる
EcoRI制限断片のサザンハイブリッド形成 バチルス・ズプチリスNRRL B-8079から得たゲ
ノムDNAをEcoRIで消化し、1%アガロス-TBE
ゲル(Sambrookら,1989)での電気泳動にかけた。次に、
サイズ分画したDNAをサザンブロッティング(Sambroo
kら,1989)によってハイボンド-N+ ナイロン膜[アマシ
ャム製(米国イリノイ州アルリングトン・ハイツ)]に転
写し、紫外光で5分間処理することによって上記基盤に
架橋させた。そのDNAを、6×SSC[1×SSC(p
H7.0)は0.15M NaCl、0.015Mクエン酸ナ
トリウムを含有する]、5×デンハルト溶液[1×デンハ
ルト溶液は0.2g/l フィコール400、0.2g/l ポ
リビニルピロリドンおよび0.2g/l ウシ血清アルブ
ミン(フラクションV)を含有する]、0.25%SDS、
および超音波処理によって断片化した20μg/mlウシ
胸腺DNAを含有するハイブリッド形成緩衝液中70℃
で1〜2時間予備ハイブリッド形成させた後、[32P]-
標識オリゴヌクレオチド(実施例2Gに記述したように
調製したもの)を含有する新鮮なハイブリッド形成緩衝
液を加えて最終プローブ濃度を0.5ピコモル/mlにし
た。このインキュベーション混合物の温度を終夜インキ
ュベーションの間に45℃に低下させた。次に、各プロ
ーブについて最適化した厳密度条件を用いてこの膜を洗
浄した。PNB1にハイブリッド形成させた膜は、4×
SSC、0.25%SDS中45℃で3回連続して25
分間洗浄した。PNB2にハイブリッド形成させた膜
は、0.5×SSC、0.25%SDSを用いて同様に洗
浄した。洗浄後、膜を室温で乾燥し、フィルムにさらし
た。
【0051】上記の方法を用いることによって、約6kb
の大きさのEcoRI断片を示すバンドがプローブPNB
1およびPNB2とハイブリッド形成することがわかっ
た。
【0052】J.EcoRI断片の濃縮ライブラリーの構
築とpNBE1の単離 バチルス・ズプチリスNRRL B-8097ゲノムDN
AをEcoRIで完全に消化し、水平1.2%アガロース
ゲル(40mMトリス酢酸および1mM EDTAからなる1
×TAE緩衝液中,2V/cm)中で16時間電気泳動に
かけた。このゲルを臭化エチジウム希釈液(1mg/ml)中
で染色し、長波長紫外光下でDNAバンドを可視化し
た。大きさが約6kbのDNAに対応するゲルの領域であ
って、かつ、PNB1およびPNB2とハイブリッド形
成することが既にわかっているバンドをまたぐゲルの領
域から切片を取り出した。サムブルックらの手法(Sambr
ook,1989)に従い、これにわずかな調整を加えて、ゲル
切片からDNA断片を溶出させた。簡単に述べると、ゲ
ル切片を0.2×TAE緩衝液200μlと共に透析袋中
に入れ、クリップで封印し、0.2×TAE緩衝液中で
約3時間電気泳動した。透析袋の内容物を0.2×TA
Eによる洗浄液400μlと共に低塩緩衝液[0.2M N
aCl、20mMトリス塩酸(pH7.5)、1.0mM ED
TA]2.4mlと混合し、これを製造者の実験案に従って
調製したエルーチップ-dカラム[シュライシャー・アン
ド・シュネル製(ニューハンプシャー州キーン)]に充填
した。低塩緩衝液で洗浄した後、400μlの高塩緩衝
液[1.0M NaCl、20mMトリス塩酸(pH7.5)、
1.0mM EDTA]を2回用いてDNAを上記カラムか
ら溶出させ、そのDNAを氷冷無水エタノール800μ
lの添加によって沈殿させ、次いでエッペンドルフ54
15C微量遠心機中14000rpmで40分間遠心分離
した。風乾した2つのペレットをTE(pH7.5)20m
lに溶解することによって合わせ、その溶液を連結操作
まで−20℃で保存した。これらの断片を、EcoRI
消化とそれに続くウシ腸アルカリ性ホスファターゼ[カ
ルバイオケム製(カリフォルニア州ラ・ジョラ)]での5'
リン酸基除去によって予備処理したベクターpUC19
[ギブコ BRL製(メリーランド州ガイサースブルク)]
中に連結した。
【0053】得られたプラスミドを用いて感応性大腸菌
K12 DH5α細胞を形質転換し、次いでそれらの細
胞をアンピシリンとX-Galの入ったL-寒天プレート
に植菌した。ベクターとしてプラスミドpUC19を使
用することにより、青/白選択を用いて、挿入DNAを
含有するクローンを特異的に選択することができる。β
-ガラクトシダーゼのα-ペプチドをコード化するlac
Z遺伝子の一部を含むpUC19ベクターのみを含有す
る形質転換体は、X-Galの切断で生じる青色によっ
て検出される活性な酵素を生産する。対照的に、Eco
I部位に挿入物を含有する単離体は上記α-ペプチドの
読み枠を破壊し、X-Galを変換することができない
ので、この単離体はX-Galを含有する培地上で白色
のままである。100以上の白いアンピシリン耐性コロ
ニーを選択し、表現型の安定性を試験するために同寒天
上に再植菌した。
【0054】白コロニーからプラスミドDNAを単離
し、これをゲル電気泳動によって分析した。必要な9kb
の大きさ(2.686kbのpUC19DNA+約6kbの挿
入DNA)のプラスミドDNAを含有する7つのコロニ
ーをさらなる研究のために選択した。PNB2プローブ
を用いるサザンハイブリッド形成によって試験したとこ
ろ、1つのプラスミドpNBE1が強いハイブリッド形
成信号を示した。プラスミドpNBE1をEcoRIで消
化すると予期される大きさの2つの断片、即ち、直線化
したpUC19(2.686kb)に対応する1断片と挿入
断片に対応する約6kbの大きさのもう1つの断片が得ら
れた。
【0055】K.プラスミドpNBE1上のpnbAの
転写の方向の解明 pUC19のlacZ遺伝子に対するpnbAの転写の
方向と、pNBE1挿入物中のATG転写開始部位のお
よその位置を決定するために、pNBE1を用いて2回
のPCR増幅を行った。第1の増幅ではPNB2オリゴ
ヌクレオチドプローブと順方向(−20)M13DNA配
列決定用プライマー(ニュー・イングランド・バイオラ
ブス製)を使用した。第2の増幅でもPNB2を使用し
たが、もう1つのプライマーは逆方向(−24)M13配
列決定用プライマーであった。その結果、(−20)順方
向配列決定用プライマーを用いた反応のみが増幅した断
片を与えることがわかった。増幅された断片の大きさを
決定したところ、2.0kbであった。したがって、pn
AのATG開始部位はpUC19のマルチクローニン
グ部位の開始部位から約4kb(キロ塩基対)下流に位置
し、lacZ遺伝子と同じ方向に転写される。
【0056】L.機能的pnbA遺伝子の確認 全pnbA遺伝子がpNBE1上に存在するかどうか、
また、それが大腸菌中で発現することができるかどうか
を決定するために、プラスミドpNBE1で形質転換し
た大腸菌K12 DH5α細胞の抽出物をエステラーゼ
活性について検定した。L-ブロス中で対数増殖中期ま
で生育した培養約75mlから細胞抽出物を調製した。8
000rpmで10分間の遠心分離によって細胞を収集
し、10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中で洗
浄し、遠心分離した。細胞ペレットを再懸濁(1g細胞/
4ml緩衝液)し、30秒間の超音波破砕[ソニケーター(S
onicatorTM)セル・ディスラプター・モデルW185F;
ヒート・システムズ-ウルトラソニックス,インコーポレ
イテッド製(ニューヨーク州プラインビュー)]に4回さ
らすことによって破壊した。微量遠心機中最大速度で2
0分間の遠心分離によって細胞残渣を除去した。精製P
NBエステラーゼはβ-ラクタム系抗生物質のp-ニトロ
ベンジルエステルだけでなく酢酸p-ニトロフェニルの
切断をも触媒するので、この反応を利用してp-ニトロ
フェノールの生成を分光光度測定法で都合よく監視する
ことができた。0.5M 酢酸p-ニトロフェニル[1:99
(v/v)アセトニトリル/水中]400μl、167mMト
リス塩酸(pH7.0)600μlおよび無細胞抽出物1〜
20μlを含有する反応混合物を用いた。ギルフォード
・レスポンスII分光光度計を用いてOD405の増大を監
視することにより、p-ニトロフェノールの生成を分光
光度測定法で測定した。別法として、爪楊枝を用いてコ
ロニーの一部を上記反応混合物中に添加することによ
り、全細胞を使って酵素活性を定性的に明らかにするこ
ともできた。これらの方法による全細胞と無細胞抽出物
の検定は共に、プラスミドpNBE1が無傷のpnb
遺伝子を含有すること並びに該遺伝子が発現して活性な
酵素を生産したことを立証した。プラスミドを保持しな
い大腸菌K12 DH5α細胞中、あるいは上記ゲノム
ライブラリーから得られる他の非ハイブリッド形成性プ
ラスミドを保持する大腸菌K12 DH5α細胞中には
有意な活性が検出されなかった。
【0057】M.pnbA遺伝子のサブクローニング 上述のPCR実験から得られた情報およびpNBE1の
一制限酵素消化および二重制限酵素消化の結果を用い
て、上記6.0kbEcoRI断片の予備的な物理的地図を
作成することができた。プラスミドpNBE1の制限酵
素部位と機能地図を図2に示す。次に、pNBE1を
paIIで部分消化した後、EcoRIで完全消化し、得られ
HpaII-EcoRI断片をAccI-EcoRIで消化したp
UC19に連結することによって、このプラスミドの一
連のサブクローンを作成した。上記挿入物のHpaII部位
とpUC19のAccI部位はこの連結によって再生され
なかった。次に、得られたプラスミドを大腸菌K12
DH5α細胞中に導入し、アンピシリン耐性コロニーを
選択し、それらをエステラーゼ活性について試験した。
いくつかの陽性クローンからプラスミドDNAを単離
し、それらを分析してそのHpaII-EcoRI挿入物の大
きさを決定した。活性な酵素をコード化する最も小さい
挿入物は2.3kbであった。このプラスミドベクターを
pNBHpE2.3と命名した。
【0058】さらにサブクローニング実験を行ったとこ
ろ、上記2.3kb挿入物の遠位末端にあるSalI-Eco
I断片が機能的なpnbA遺伝子にとっては必要ないこ
とがわかった。pNBHpE2.3をまずHindIIIとSa
lIで消化し、これをHindIIIとSalIで消化したpU
C19に連結した後、大腸菌K12 DH5α細胞中に
導入した。この構築によって得られたプラスミドをpN
BH3S1.9と命名した。pNBH3S1.9は1.9k
bのHpaII-SalI挿入物を含有し、活性なPNBエステ
ラーゼタンパク質をコード化していた。このプラスミド
から得られる挿入DNAをpBluesript SK(−)[スト
ラタジーン製(カリフォルニア州ラ・ジョラ)]中にサブ
クローニングし、そのヌクレオチド配列を決定するべく
分析した。
【0059】実施例3大腸菌におけるpnbA遺伝子
の高レベル発現 クローン化したPNBエステラーゼ遺伝子の大腸菌にお
ける発現を、ベクターpNB106Rを構築することに
よって改善した。プラスミドpNB106Rはプラスミ
ドコピー数の制御に寄与するrop遺伝子を含有する(C
esareniら,1982,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 79:6313)。プ
ラスミドpNB106Rの制限酵素部位と機能地図を図
3に示す。
【0060】A.大腸菌K12 DH5α/pNB10
6R、大腸菌K12 RV308/pNB106Rおよ
び大腸菌W ATCC11105/pNB106Rの構
築 異種遺伝子を改良型バクテリオファージラムダpLプロ
モーターから温度誘導的に発現させるべく、プラスミド
pNBH3S1.9から得られる1.9kbのDNA断片を
温度誘導性高レベル発現ベクターpHKY338中にサ
ブクローニングすることによってプラスミドpNB10
6Rを作成した。大腸菌K12 RV308/pHKY
338はノーザン・リジョナル・リサーチ・ラボラトリ
ー(NRRL)[米国農務省(イリノイ州61604ペオリ
ア)]の永久保存株に1992年1月31日付けで寄託さ
れており、受託番号NRRL B-18945の下で入手
することができる。このプラスミドは特に重要な2つの
DNA領域、即ち(i)大腸菌中での該プラスミドの複製
と維持を可能にするpBR322から誘導された配列で
あって、その中のpBR322のアンピシリン耐性遺伝
子がラムダcI抑制遺伝子で置換されている配列および
(ii)テトラサイクリン遺伝子の下流に位置する改良型ラ
ムダプロモーターpL106(米国特許出願第07/7
39280号)がカナマイシン耐性遺伝子の読取り枠(O
RF,オープンリーディングフレーム)に直に隣接して
いる配列、を含有する。上記プロモーターは“枠外"2
シストロン集合を介して上記ORFの転写を制御する(S
chonerら,1990,Methods in Enzymology 185:94)。プラ
スミドpHKY338は、NdeIとBamHIでの消化に
よってカナマイシン耐性遺伝子の読取り枠を容易に除去
できるように構築された。ATG転写開始コドンの部位
NdeI制限部位を有し、かつ、潜在的転写終止配列の
下流にBamHI互換性制限部位を有するORFはすべて
pHKY338中に挿入することができる。そうすれ
ば、これによって得られる挿入されたORFはバクテリ
オファージラムダpLプロモーターからの発現にとって
適正に並ぶことになる。
【0061】クローン化した1.9kbのバチルス・ズプ
チリスDNAはNdeI部位を所望の位置に含有していな
かったので、pnbA ORFのATG転写開始部位に
それを導入する方法を開発した。この方法には、pnb
A遺伝子のアミノ末端断片とカルボキシ末端断片を作成
するために別個の構築を行い、次にそれら2つの断片を
pHKY338ベクターから得られる第3の断片に連結
することが含まれる。上記3断片の構築を以下のように
達成した。
【0062】i)アミノ末端断片 PNBエステラーゼのアミノ末端部をコード化し、か
つ、そのATG転写開始部位の5'側に隣接するNde
部位を含有する261bpの断片をPCR技術(実施例2
Eを参照のこと)を用いて合成した。このPCR増幅は
次の2つのプライマーを用いて行った(左から右に5'か
ら3'の方向で記載する)。 1.PNBNDE1:AAAAAGGGAG AGAACCATAT GACTCATC
AA ATAG(配列番号7) 2.PNB5:TTGACATACA AGCAATCCTC(配列番号8)
【0063】上で下線を付したPNBNDE1の配列は
NdeI制限部位を表す。このプライマーの最初の3塩基
はクローン化したPNBエステラーゼ遺伝子と合致しな
い。他方のプライマーPNB5はATG開始部位から2
15bp下流に位置するAccI部位の下流約25塩基対(b
p)にアニールする。上記増幅がもたらした261bpの断
片を、クロウ(Crowe)らが記述した方法(1991,Nuc.Acid
Res.19:184)に従い、これにわずかな変更を加えてプロ
テイナーゼK(トリチラチウム・アルブム由来のプロテ
アーゼ・タイプXXVIII)で処理した。次いでその断片を
標準的な方法を用いてNdeIおよびAccIで消化し、フ
ェノール抽出し、エタノール沈殿することによって、後
述の連結反応で使用する180bpの断片を作成した。
【0064】ii)カルボキシ末端断片 本構築法ではアミノ末端断片とカルボキシ末端断片を接
合するために上記ORFの内部にあるAccI部位を使用
する必要があったので、該1.9kb断片上の他のAcc
部位(SalI/AccI)を除去する必要があった。これを
次の2工程で達成した:(i)ORFの断片を放出させる
ためのHindIIIおよびSalIによるpNBH3S1.9
の消化、および(ii)上記放出断片の、HindIIIおよび
hoIで消化したpBluescript SK(−)への連結。該
1.9kb断片のSalI/AccI部位をpBluescript S
K(−)のXhoI部位に挿入することによって3部位すべ
てが除去された。この連結混合物を大腸菌K12 DH
5α中に導入し、推定のクローンをスクリーニングし、
制限消化によって構造を確認することによって、該OR
F上にAccI部位が1つしかないpNBH3(SX)sk
を単離した。カルボキシ末端にBamHIを導入するには
もう1つの構築が必要であった。pNBH3(SX)sk
EcoRIおよびKpnIで消化してORFの断片を放出
させ、次いでこの断片を、やはりEcoRIとKpnIで消
化したpUC19中に連結することによって、これを達
成した。この連結混合物をDH5α細胞中に導入し、次
いでクローンの選択と分析を行うことによって、該OR
F中に単一のAccI部位を持ち、かつ、そのカルボキシ
末端の下流に適切に位置するBamHI部位を含有するプ
ラスミドpNBEKucを単離した。
【0065】 iii)pHKY338から得られるベクター断片 pHKY338をNdeIとBamHIで消化してそのカナ
マイシン耐性遺伝子を除去し、その大制限断片をゲル単
離することによって、以下に記述する3断片連結反応用
のベクターを調製した。
【0066】NdeI-AccI消化PCR断片(180b
p)、pNBEKucのAccI-BamHI断片(1.7kb)お
よびpHKY338のNdeI-BamHI断片(6kb)を用
いて、3断片連結を行った。これによって、温度誘導性
ラムダpL合成プロモーターの制御下にある全pnb
ORFを含有するプラスミドベクターpNB106R
が生成した。得られたDNAを宿主株大腸菌K12 D
H5α中に導入した。次いで、プラスミドpNB106
Rを宿主株大腸菌K12 RV308および大腸菌W A
TCC 11105中に導入した。
【0067】実施例4プラスミドpNB106Rで形
質転換した大腸菌K12 DH5α、大腸菌K12 RV
308および大腸菌W ATCC11105の培養によ
るPNBエステラーゼの合成 プラスミドpNB106Rで形質転換した大腸菌K12
DH5α、大腸菌K12 RV308および大腸菌W
ATCC11105の培養によるPNBエステラーゼの
合成を以下のように誘導した。上記株の凍結保存培養を
5μg/mlテトラサイクリンの入ったL-ブロスに植菌し
た。30℃で16時間生育させた後、細胞を新鮮なL-
ブロス+テトラサイクリンに継代(4%v/v)し、対数
増殖中期まで生育させた。培養の温度を40℃に上げる
ことによって酵素合成の誘導を達成した。定期的に培養
から試料を採取し、無細胞抽出物中の酵素活性を実施例
1に記述したように検定することによってPNBエステ
ラーゼ合成の速度を測定した。
【0068】また、PNBエステラーゼタンパク質量の
相対的増大を監視することができるよう、無細胞抽出物
をSDS-PAGEでも分析した。
【0069】実施例5PNBエステラーゼの組換え大
腸菌株からの精製 以下に記述する方法によって大腸菌K12 DH5α/
pNB106RからPNBエステラーゼを精製した。そ
の概略を表5に示す。この方法を、実施例1に記述し表
4に要約したバチルスからの精製と比較することができ
る。バチルスからの精製が8工程を必要とし、4140
0mgの粗タンパク質から4.0mgの純粋な酵素が得られ
たのに対し、組換え大腸菌株からはわずか6工程でわず
か200mgの粗タンパク質から10mgの純粋な酵素が得
られたことに気付くであろう。このように組換え大腸菌
を供給源として使用した場合、より簡単なこの精製工程
が、天然の生産菌バチルス・ズプチリスを酵素供給源と
して使用する、より複雑な従来の精製工程より3250
倍効率的であった。
【0070】実施例4の方法に従って生育させた大腸菌
K12 DH5α/pNB106Rの凍結細胞(5.4g)
を融解し、0.5mM EDTAと1mM β-メルカプトエタ
ノールを含有する10mMリン酸カリウム(pH7.0)(緩
衝液1)20ml中でホモジナイズした。この細胞ホモジ
ネートの遠心分離(28000×g,15分)によって無
細胞抽出物を得た後、これを10mM酢酸ナトリウム(p
H5.0)500mlに対して終夜透析した。その透析物を
2N NH4OHでpH7.0に調節し、硫酸アンモニウ
ム分画にかけた。45〜85%硫酸アンモニウム飽和度
で生成した沈殿物を100mM NaClの入った10mM
トリス塩酸(pH8.5)(緩衝液2)20mlに溶解し、こ
れを同緩衝液500mlに対して終夜透析した。その透析
物を、緩衝液2で平衡化したDE-52カラム(1.6×
20cm)に充填した。このカラムを100mlの緩衝液2
および100mM NaClを含有する10mM MES-N
aOH(pH6.5)(緩衝液3)200mlで洗浄し、緩衝
液3中の100mMから300mMへの直線的NaCl勾配
375mlを用いてPNBエステラーゼを溶出させた。1
80〜210mM NaClで溶出したエステラーゼ含有
分画を合し、これを限外濾過(アミコンPM-30膜)で
20mlに濃縮し、10mMトリス塩酸(pH8.0)(緩衝液
4)500mlに対して終夜透析した。透析したエステラ
ーゼを、緩衝液4で平衡化したp-アミノベンズアミジ
ン-アガロースカラム(1.0×20cm)に充填した。この
カラムを50mlの緩衝液4で洗浄した後、緩衝液4中の
0から300mMへの直線的NaCl勾配180mlを用い
てこのカラムからエステラーゼを溶出させた。120〜
150mM NaClで溶出したエステラーゼを集め、限
外濾過によって15mlに濃縮し、500mlの緩衝液2に
対して終夜透析した。その透析物を、緩衝液2で平衡化
したQ-セファロースカラム(1.0×20cm)に充填し
た。このカラムを50mlの緩衝液2、50mlの10mM
MES-NaOH(pH6.0)および100mM NaCl
(緩衝液5)で順次洗浄した後、緩衝液5中の100mM
から300mMへの直線的NaCl勾配150mlでこの
カラムからエステラーゼを溶出させた。180〜210
mM NaClで溶出したエステラーゼを集め、限外濾過
によって1mlに濃縮した。得られたエステラーゼ調製物
をSDS-PAGEで確認したところ、これは電気泳動
的に純粋であった。精製データを表5に要約する。
【表5】
【0071】組換え大腸菌を酵素供給源として用いるこ
の新しい精製法はかなり簡単であるから、大規模生産に
これを適用した場合、同じ酵素をバチルス・ズプチリス
から得るのに必要な精製法より安価であろう。これは、
組換え大腸菌株中で得られるPNBエステラーゼの量が
かなり増大していることの直接的な結果である。
【0072】分子量、ウエスタンブロット分析および基
質特異性について、組換え大腸菌から精製したPNBエ
ステラーゼを天然の酵素と比較した。分子量の測定は上
記2つの供給源から得られる酵素について54000の
値を与え、またこれら2つの酵素調製物を天然精製エス
テラーゼに対して調製した抗体を用いて試験したとこ
ろ、同一の沈降素バンドが得られた。両酵素はセファク
ロルPNBエステル、セファクロル核PNBエステル、
ロラカルベフPNBエステル、およびロラカルベフ核P
NBエステルを加水分解した。天然のPNBエステラー
ゼと組換え大腸菌株中で生産される対応するPNBエス
テラーゼは機能的に同一であり、構造的にも巨視的には
同一物であると思われる。
【0073】
【配列表】
【0074】配列番号:1 配列の長さ:22 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Met Thr His Gln Ile Val Thr Thr Gln Tyr Gly Lys Val Lys Gly 1 5 10 15 Thr Thr Glu Asn Gly Val His 20
【0075】配列番号:2 配列の長さ:13 配列の型:アミノ酸 トポロジ:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Glu Asn Ile Phe Gln Leu Phe Phe Gln Pro Ala Leu Asp 1 5 10
【0076】配列番号:3 配列の長さ:22 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Ala Phe His Ala Leu Glu Leu Pro Phe Val Phe Gly Asn Leu Asp 1 5 10 15 Gly Leu Glu Xaa Met Ala Lys 20
【0077】配列番号:4 配列の長さ:15 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Gly Ile Pro Tyr Ala Lys Pro Pro Val Gly Gln Trp Trp Phe Lys 1 5 10 15
【0078】配列番号:5 配列の長さ:41 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA 配列 ATGACACATC AAATTGTCAC AACATATGGC AAAAAAGTCA A 41
【0079】配列番号:6 配列の長さ:41 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA 6 配列 TATGGCAAAA AAGTCAAAGG CAC
ACAAGAA AATGGCGTCC A 41
【0080】配列番号:7 配列の長さ:34 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA 配列 AAAAAGGGAG AGAACCATAT GAC
TCATCAA ATAG 34
【0081】配列番号:8 配列の長さ:20 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:DNA 配列 TTGACATACA AGCAATCCTC 20
【図面の簡単な説明】
【図1】 SDS-PAGEによる移動度に対するタン
パク質標品およびPNBエステラーゼの分子量の片対数
プロット。
【図2】 プラスミドpNBE1の制限酵素部位および
機能地図。
【図3】 プラスミドpNB106Rの制限酵素部位お
よび機能地図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:125) (C12N 15/55 C12R 1:125) (C12P 35/02 C12R 1:125)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に精製された形態にあるp-ニトロ
    ベンジルエステラーゼ。
  2. 【請求項2】 請求項1のPNBエステラーゼを実質的
    に純粋な形態で調製する方法であって、次のa)〜m)
    の工程を約0℃〜4℃の温度で行うことからなる方法。 a)PNBエステラーゼを含有する水性無細胞抽出物に
    約pH7で硫酸アンモニウムを加えて硫酸アンモニウム
    濃度を約45%〜80%飽和度にし、得られた沈殿物を
    集める。 b)約pH7に緩衝化した沈殿物の溶液を還元剤の存在
    下で透析する。 c)その透析物を約pH5に酸性化し、沈殿を除去し、
    該透析物を約pH8.5に調節する。 d)該透析物を弱アニオン交換樹脂でのクロマトグラフ
    ィーにかけ、還元剤の存在下で約pH7の緩衝液中の
    0.05Mから0.3Mへの直線的なNaCl勾配を用いて
    該樹脂からPNBエステラーゼを溶出させる。 e)工程dのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
    縮する。 f)工程eの濃縮物を、還元剤の存在下で約pH8.0
    の多糖型ゲルを通して濾過する。 g)工程fのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
    縮し、pH8.5に緩衝化した濃縮物の溶液を還元剤の
    存在下で透析する。 h)工程gの濃縮物を約pH8.5のアニオン交換樹脂
    でのクロマトグラフィーにかけ、還元剤の存在下で約p
    H6の緩衝液中の0.1Mから0.3Mへの直線的なNaC
    l勾配を用いて該樹脂からPNBエステラーゼを溶出さ
    せる。 i)工程hのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
    縮し、約pH5.0に緩衝化した濃縮物の溶液を還元剤
    の存在下で透析し、その透析物を集める。 j)上記透析物を約pH6のリン酸カルシウム-セルロ
    ースでのクロマトグラフィーにかけ、還元剤の存在下で
    約pH7の0.01Mから0.10Mへの直線的なリン酸カ
    リウム勾配を用いてPNBエステラーゼをそこから溶出
    させる。 k)工程jのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
    縮し、約pH8に緩衝化した濃縮物の溶液を還元剤の存
    在下で透析し、その透析物を集める。 l)上記透析物を約pH8のp-アミノベンズアミジン-
    アガロースでのクロマトグラフィーにかけ、還元剤の存
    在下で約pH8の0Mから0.30Mへの直線的なNaC
    l勾配を用いてPNBエステラーゼをそこから溶出させ
    る。 m)工程lのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
    縮する。
  3. 【請求項3】 PNBエステラーゼを発現させることが
    できる組換え宿主細胞から実質的に精製された形態のP
    NBエステラーゼを調製する方法であって、次の工程か
    らなる方法。 a)PNBエステラーゼを含有する水性無細胞抽出物に
    約pH7で硫酸アンモニウムを加えて硫酸アンモニウム
    濃度を約45%〜85%飽和度にし、得られた沈殿物を
    集める。 b)約pH7に緩衝化した沈殿物の溶液を還元剤の存在
    下で透析する。 c)その透析物を約pH5に酸性化し、沈殿を除去し、
    該透析物を約pH8.5に調節する。 d)該透析物を弱アニオン交換樹脂でのクロマトグラフ
    ィーにかけ、還元剤の存在下で約pH7の緩衝液中の
    0.05Mから0.3Mへの直線的なNaCl勾配を用いて
    該樹脂からPNBエステラーゼを溶出させる。 e)工程dのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
    縮する。 f)その透析物を約pH8のp-アミノベンズアミジン-
    アガロースでのクロマトグラフィーにかけ、還元剤の存
    在下で約pH8の0Mから0.30Mへの直線的なNaC
    l勾配を用いてPNBエステラーゼをそこから溶出させ
    る。 g)工程fのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
    縮し、pH8.5に緩衝化した濃縮物の溶液を還元剤の
    存在下で透析する。 h)工程gの濃縮物を約pH8.5のアニオン交換樹脂
    でのクロマトグラフィーにかけ、還元剤の存在下で約p
    H6の緩衝液中の0.1Mから0.3Mへの直線的なNaC
    l勾配を用いてPNBエステラーゼを該樹脂から溶出さ
    せる。 i)工程hのPNBエステラーゼ含有溶出液を合し、濃
    縮し、約pH5.0に緩衝化した濃縮物の溶液を還元剤
    の存在下で透析し、その透析物を集める。
  4. 【請求項4】 セファロスポリンPNBエステルまたは
    1-カルバセファロスポリンPNBエステルからp-ニト
    ロベンジル基を除去する方法であって、該エステルを請
    求項1のPNBエステラーゼと反応させることからなる
    方法。
  5. 【請求項5】 該反応によってセファクロルまたはロラ
    カルベフが生成する請求項4の方法。
JP4338706A 1991-12-20 1992-12-18 バチルス由来の精製パラ−ニトロベンジルエステラーゼ Pending JPH05292961A (ja)

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