JPH0529241Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば工業用水や農業揚水用貯水池
の漏水や海水の侵入等の防止等、地下水の浸透流
入を遮断するための薄形鋼板を打設する薄形鋼板
打設装置に関する。

（従来技術） 一般に地表より地中の地下水不透水地盤に到る
まで薄形鋼板を打設し、これによつて地下水の浸
透流入を遮断する方法が採られており、その薄形
鋼板の打設には薄形鋼板の貫入を無理なくスムー
ズに行わせるため、その打設に先行して地盤を攪
乱するオーガ式掘削刃を先端に設けたドリルを複
数使用したいわゆる多軸オーガ式薄形鋼板打設装
置が使用されている。

この多軸オーガ式薄形鋼板打設装置に要求され
る条件はできるだけ少ない軸数で薄形鋼板の打設
エリアが確保でき、しかも引抜き時に打設した薄
形鋼板を傷めないことであり、それには掘削時に
は拡大し、引抜き時に縮小する拡大ビツト方式の
掘削機構が適当である。しかるにこの方式では、
必然的に拡大ビツトが取付いている先端オーガ式
掘削刃は薄形鋼板下端より下方へ位置せざるを得
ないことになる。

よつてこの打設装置で薄形鋼板を打設する場
合、地下水の浸透流入の遮断をより効果的にする
ため掘削刃先端が設計深度に到達した後薄形鋼板
掘削刃で弛めた地盤の下部まで圧入する必要があ
る。

このため、従来は第６図に示すように掘削駆動
機１に対し、マンドレルに圧入ジヤツキ２，２を
介してマンドレル３を吊り下げ支持させるととも
にマンドレル３ａの背部に位置して掘削駆動機１
よりドリルを構成する駆動軸４，４を垂下させ、
その先端に拡大ビツト付きのオーガ式掘削刃５，
５を取付けた装置を使用し、マンドレル３の下端
の突起６，６に薄形鋼板７の下端のリング８を係
止させた状態でこの薄形鋼板７の下端より掘削刃
５，５を先行させて貫入させ、所定の設計深さに
達した後掘削刃５，５の拡大ビツトを縮めた状態
でマンドレルを圧入ジヤツキ２，２を動作させ、
マンドレル３を圧入させ、薄形鋼板７の下端が掘
削刃５，５より深い位置に達するまで貫入させる
ようにしている。

（考案が解決しようとする問題点） このような従来の装置では、マンドレル圧入ジ
ヤツキがマンドレル上端部と掘削駆動機との間に
設けられているため、ドリルと相対的にマンドレ
ルのみを貫入する際に、薄形鋼板の貫入力がマン
ドレルを介してその先端より伝えられるため、マ
ンドレルをそれに耐えるだけの構造にする必要が
あり、マンドレルが大型化し、貫入抵抗が大きく
なり、装置自体が高価となるという問題があつ
た。

本考案はこのような従来の問題を改善すること
を目的としてなされたものである。

（問題点を解決するための手段） 上述の如き従来の問題を解決するための本考案
の要旨とする構成は、打設すべき薄形鋼板を沿わ
せて地中に打設されるマンドレルと、該マンドレ
ルの背部に設けられ、下端に地盤攪乱用の掘削刃
を有し、前記マンドレルの打設に先行して貫入さ
れるドリルと、該ドリルに対して前記マンドレル
をその打設方向に相対動作されるマンドレル圧入
ジヤツキとを備えてなる薄形鋼板打設装置におい
て、前記マンドレル圧入ジヤツキを前記マンドレ
ルの下端部位置に取付けたことを特徴としてなる
薄形鋼板打設装置に存する。

（作用） この装置はドリルの掘削刃を旋回させつつマン
ドレルの先端部に先行させて土中に貫入させ、所
望の深さに達した際にドリルの駆動を停止させた
状態でマンドレル圧入ジヤツキによつてマンドレ
ルをその先端がドリルによつて攪乱された部分の
下部まで圧入した後、マンドレルに沿わせた薄形
鋼板を土中に置いてマンドレル及びドリルからな
る装置全体を引き抜く。

（実施例） 次に本考案の実施の一例を第１図〜第５図につ
いて説明する。

図中１０は装置ヘツドであり、この装置ヘツド
１０は図示しない走行装置付きの作業車に立設し
た支柱に固定した縦向きのガイドレール１１に摺
動自在に支持され、上端を作業車上にウインチに
より巻き取られるワイヤーロープ１２によつて吊
り持ちされている。

装置ヘツド１０の下端には減速機１３が固定さ
れ、その下に三本のドリル１４ａ，１４ｂ，１４
ｃは減速機１３を介し回動駆動される回転駆動軸
１５と、その下端に設けたオーガ式掘削刃１６及
び拡大ビツト１７とから構成されている。拡大ビ
ツト１７は第４図ロに示すように回転駆動軸１５
を掘進回転方向に対して逆向きに回転させること
によつてオーガ式掘削刃１６の直径と略同径に折
り畳まれ、掘進方向に回転させることによつて第
３図ロに示すように拡張されるようにしている。

この３本のドリルの内の２本のドリル１４ｂ，
１４ｃの前面位置にマンドレル１８が設けられて
いる。このマンドレル１８は上端に減速機１３の
下面前方に固定されたマンドレルヘツド１８ａと
そのマンドレルヘツド１８ａから垂下された二本
のガイド軸１８ｂ，１８ｂの下端に伸縮自在に嵌
合させる伸縮軸１８ｃ，１８ｃとからなり、伸縮
軸１８ｃ，１８ｃの下端に薄形鋼板係止用の突起
１８ｄ，１８ｄが突設されている。両伸縮軸１８
ｃ，１８ｃは連結桿１８ｅによつて連結されてい
る。この連結桿１８ｅの中央部分と各回転駆動軸
１５の共通の下部軸受１９との間にマンドレル圧
入ジヤツキ２０が介在されている。

下部軸受１９は回転駆動軸１５に対して軸方向
に移動不能に支持され、ジヤツキ２０の伸縮の反
力を受けるようにしている。

なお、図中２１はマンドレル１８ａに支持させ
た薄形鋼板支持ジヤツキであり、ワイヤー２２を
介してマンドレル１８に沿わせ、下端のリング８
を突起１８ｄ，１８ｄに係合させた薄形鋼板７の
上端を緊張するようにしている。

このように構成される装置の使用に際しては第
３図イに示すようにマンドレル圧入ジヤツキ２０
を縮めた状態で各ドリル１４ａ〜１４ｃを掘進方
向に回転させ、マンドレル１８とともに薄形鋼板
７を貫入させる。このとき拡大ビツト１７は第３
図ロに示すように拡張され第５図に示す如き掘削
軸跡ａ内を攪乱させつつ薄形鋼板７に先行して土
中に貫入される。

そして、所望の設計深さに達したとき、回転駆
動軸１５をその位置で逆転させると第４図ロに示
すように拡大ビツト１７が折り畳まれ薄形鋼板７
の下端延長位置から退避する。

この状態でマンドレル上端における薄形鋼板７
の緊張を解き、マンドレル圧入ジヤツキ２０を伸
長させることにより、伸縮軸１８ｃが掘削刃１６
により深い位置まで押し出されて薄形鋼板７の下
端を掘削刃１６で乱されていない不透水性の安定
地盤まで圧入させる。

然る後、薄形鋼板７を地中に残して装置全体を
引き上げる。

（考案の効果） 本考案は上述の如く構成され、マンドレル圧入
ジヤツキをマンドレルの下端位置に設置したこと
により、マンドレルにはマンドレル圧入ジヤツキ
による圧入時に圧縮方向の荷重がかからなくな
り、従つてマンドレルを細くすることが可能とな
り、全体の形状が小型化し、地中への圧入力も小
さくてよくなる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の装置全体を示す正
面図、第２図は同側面図、第３図イは掘削貫入時
の下端部の状態を示す断面図、第３図ロはその際
の拡大ビツトの状態を示す平面図、第４図イはマ
ンドレル圧入時の下端部の状態を示す断面図、第
４図ロはその際の拡大ビツトの状態を示す平面
図、第５図はドリルマンドレル及び薄形鋼板の相
対位置関係を示す平面図、第６図は従来の装置の
正面図である。 ７……薄形鋼板、８……リング、１４ａ，１４
ｂ，１４ｃ……ドリル、１５……回転駆動軸、１
６……オーガ式掘削刃、１７……拡大ビツト、１
８……マンドレル、１８ａ……マンドレルヘツ
ド、１８ｂ……ガイド軸、１８ｃ……伸縮軸、１
８ｄ……突起、１８ｅ……連結桿、２０……マン
ドレル圧入ジヤツキ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 打設すべき薄形鋼板を沿わせて地中に打設され
   るマンドレルと、該マンドルの背部に設けられ、
   下端に地盤攪乱用の掘削刃を有し、前記マンドレ
   ルの打設に先行して貫入されるドリルと、該ドリ
   ルに対して前記マンドレルをその打設方向に相対
   動作されるマンドレル圧入ジヤツキとを備えてな
   る薄形鋼板打設装置において、前記マンドレル圧
   入ジヤツキを前記マンドレルの下端部位置に取付
   けたことを特徴としてなる薄形鋼板打設装置。