JPH05287406A - 高密度粉末焼結チタン合金の製造方法 - Google Patents

高密度粉末焼結チタン合金の製造方法

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JPH05287406A
JPH05287406A JP9547392A JP9547392A JPH05287406A JP H05287406 A JPH05287406 A JP H05287406A JP 9547392 A JP9547392 A JP 9547392A JP 9547392 A JP9547392 A JP 9547392A JP H05287406 A JPH05287406 A JP H05287406A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】延性及び疲労強度に優れた高密度粉末焼結チタ
ン合金を安価にかつ生産性良く製造することができる高
密度粉末焼結チタン合金の製造方法を提供することを目
的とする。 【構成】得ようとする合金組成の粉末を準備し、この粉
末を成形して成形体とし、次いでこの成形体を焼結させ
てα+β合金におけるβ単相とし、その後、この合金の
β変態温度をTβと表わした場合に、Tβ+50℃以上
からTβ−100℃以下に至る温度範囲を1〜10℃/
秒の速度で冷却する高密度粉末焼結チタン合金の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、機械的特性に優れた
高密度粉末焼結チタン合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】チタン合
金は軽量かつ高強度であり、しかも耐食性に優れている
ため産業部品から民生部品まで幅広い応用が期待されて
いる。特に、このような性質を生かして自動車部品に適
用することが検討されている。しかし、溶製材から機械
加工あるいは冷間加工によって製造する方法では、機械
的性質の優れたものが得られるものの、チタンは難加工
性材料であるため加工が難しく、コストが高いという欠
点がある。このような欠点を回避するため、チタン合金
の素粉末を混合し、所定の形状に成形した後、真空焼成
して焼結体を得る粉末冶金技術の適用が試みられてい
る。しかしながら、粉末冶金技術を用いた場合、製品に
空孔が残留するため、製品の機械的性質、特に延性及び
疲労強度が溶製材に比べて低いという問題がある。
【0003】これに対して、チタン合金溶製材では、β
域からの水冷によって微細なα相からなる組織とし、こ
れによって疲労強度を向上させる方法(特公平3−10
91号公報)が提案されており、この考え方をチタン焼
結体に適用して疲労強度を向上させるすることも考えら
れる。
【0004】実際、素粉末混合法で製造された焼結チタ
ン合金の疲労強度を向上させる技術として、β域から水
焼入れした後に、HIPを施す方法が提案されている
(特公平1−29864号公報)。また、焼結チタン合
金をβ域から焼入れた後、α+β域で焼鈍して疲労強度
を向上させる技術も提案されている(米国特許第4,5
36,234号)。これらは、いずれもα晶の微細化に
より、疲労亀裂発生抵抗の増大を意図したものである。
【0005】しかしながら、これらは上述のようにβ域
から水焼入れ又は油焼入れして急令する必要があるた
め、それによって焼結品の表層に脆い反応層が生じ、そ
の結果この反応層から疲労亀裂の発生が容易となる。従
って、所望の疲労強度を確保するためには、この反応層
を機械加工等により除去する必要がある。
【0006】すなわち、これらの方法は粉末冶金技術に
おけるニアネットシェープの焼結品が得られるというメ
リットをなくしてしまう。そればかりか、熱処理、HI
P、表層除去などの余分な工程を付加する必要があり、
実用的ではない。また、このようにして得られた粉末焼
結チタン合金は延性が不十分である。このように、延性
及び疲労強度に優れた高密度粉末焼結チタン合金を安価
にかつ生産性良く得る技術は未だ確立されていない。
【0007】この発明はかかる事情に鑑みてなされたも
のであって、延性及び疲労強度に優れた高密度粉末焼結
チタン合金を安価にかつ生産性良く製造することができ
る高密度粉末焼結チタン合金の製造方法を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決するために、得ようとする合金組成の粉末を準備
し、この粉末を成形して成形体とし、次いでこの成形体
を焼結させてα+β合金におけるβ単相とし、その後、
この合金のβ変態温度をTβと表わした場合に、Tβ+
50℃以上からTβ−100℃以下に至る温度範囲を1
〜10℃/秒の速度で冷却することを特徴とする高密度
粉末焼結チタン合金の製造方法を提供する。
【0009】本願発明者らは、延性及び疲労強度に優れ
た高密度粉末焼結チタン合金を安価にかつ生産性良く得
る方法について種々検討を重ねた結果、焼結後の冷却速
度を一定の範囲に制御し、適度に微細な組織を得ればよ
いことを見出した。
【0010】チタン合金の延性及び疲労強度は、α晶の
大きさ、及び形態に依存し、粗大な粒内の針状α及び粒
界の粒界αではすべりが発生しやすく、延性及び疲労強
度が低下する。通常の真空焼結では、焼結後に焼結体を
炉冷するが、この過程で焼結体のα晶が肥大化し、疲労
亀裂が発生しやすくなるため、疲労強度が低下してしま
う。一方、上述したように、β域から水焼入れしてα相
を微細化することができるが、この場合には表面に反応
層が形成するので疲労強度を上昇させるためにはこれを
除去する必要がある。また、このようにして得られたチ
タン合金は延性が不十分である。
【0011】本願発明者らは、以上のようなことを考慮
して、焼結後に炉冷よりも速く、水焼入れよりも遅い一
定範囲の速度でβ変態点近傍を冷却することにより、適
度な延性と疲労強度とのバランスを有する高密度粉末焼
結チタン合金が得られることを見出し、この発明を完成
するに至ったのである。以下、この発明について詳細に
説明する。
【0012】この発明においては、得ようとする合金組
成の粉末を準備し、この粉末を成形して成形体とする。
この場合に、粉末の組成をα+β型合金の組成になるよ
うにする。成形は通常粉末冶金の分野で用いられている
いずれの方法を用いてもよい。例えば、金型を用いて加
圧成形により成形体を形成することができる。
【0013】次いでこの成形体を焼結させるが、この焼
結処理は成形体をβ域に加熱することにより行われる。
この際に、上述したように焼結後の冷却速度は析出する
α晶の形態及び大きさを決定するため、冷却速度を一定
範囲に規定してα晶の形態及び大きさを制御する。この
場合に、冷却速度が1℃/秒未満ではα晶が粗大化し、
疲労強度が低下してしまう。一方、10℃/秒を超える
と非常に微細な組織となって高強度化するが、延性の低
下を招いてしまう。従って、この本発明ではこのような
不都合が生じない1〜10℃/秒の範囲に冷却速度を規
定するのである。
【0014】また、上述のように規定した冷却速度を適
用する温度範囲も組織の形態に大きく影響する。状態図
上α晶はTβ以下で析出するから上記冷却はβ単相域か
ら開始すればよいが、Tβ+50℃未満の温度から開始
した場合には、成分のずれ、あるいは部分的な偏析によ
り、冷却前に一部粗大なα晶が成長し粗大化するおそれ
がある。また、Tβ−100℃を超える温度で冷却を終
了すると、やはりα晶が成長し粗大化してしまう。この
ような粗大化したα晶は上述したように疲労強度には有
害であるから、冷却開始温度をTβ+50℃以上、冷却
終了温度をTβ−100℃以下に規定する。
【0015】このように規定される本発明は、ガス冷却
機能を備えた真空炉により実現される。このような真空
炉を使用すれば、成形体を焼結した後にArガス等の不
活性ガスを導入して焼結体を冷却することにより、再加
熱することなく、また表面に反応層を生じさせずに、生
産性良く安価に高密度粉末焼結チタン合金を製造するこ
とができる。
【0016】溶製材に対して本発明の熱処理を適用して
も、冷却中にβ粒が粗大化し、α晶が成長する結果、延
性及び疲労強度が低下してしまう。従って、本発明に規
定する熱処理条件は、粉末焼結チタン合金にのみ有効で
ある。これは、焼結体の場合には、焼結体に内在するポ
アがピンニングの役割を果たし、β域から溶製材にとっ
ては遅い上記範囲の冷却速度で冷却してもβ粒の粗大化
を阻止することができるからである。
【0017】この発明に適用されるチタン合金は、常温
においてα+β相が存在するものであればどのような合
金であってもよく、焼結前の混合粉末の組成を所望の合
金組成になるように調製すればよい。このような合金の
代表例はTi−6Al−4V合金であるが、重量%で、
1.0〜4.0%のFe、1.0〜4.0%のMo、
3.0〜7.0%のAl、2.0〜4.5%のV、及び
0.5%以下のOを含有し、残部がTi及び不可避的不
純物からなる合金を適用すればさらに良好な結果が得ら
れる。
【0018】以下、このような組成の合金が良好な特性
を示す理由について説明する。HIPなどの処理を施す
ことなく、低温短時間で緻密に焼結可能な組成を検討し
た。低温短時間で緻密に焼結させるためには焼結速度が
高いことが必要であるが、そのためにはTi中での拡散
速度が大きく、かつTiに対して合金元素として作用
し、機械的性質に悪影響を及ぼさない元素を適量添加す
ればよいという結論を得た。
【0019】βTi中での拡散速度が大きい元素を調査
した結果、Feがこのような元素に該当することがわか
った。すなわち、Feの拡散速度(拡散係数)は950
℃において10-11 オ−ダ−(m2 ・sec -1)であり、
Tiの自己拡散速度である10-13 よりも100倍大き
い。また、Feは強度上昇に寄与する。しかし、Feの
みではカ−ケンド−ル(Kirkendall)効果により、合金
成分側に気孔が生成されやすくなり、高密度化が妨げら
れる恐れがある。
【0020】このようなことを防止するために、本願発
明者らがさらに検討を重ねた結果、上述のような拡散速
度が大きな元素と共に、拡散速度が遅い、すなわち焼結
を遅らせる元素を添加すればよいことを見出した。
【0021】拡散速度が遅い元素を調査した結果、Mo
がこのような元素に該当することが判明した。Moの拡
散速度は10-10 のオ−ダ−であり、チタンの1/10
である。また、Moはβチタンに全率固溶し、合金元素
として機能する。
【0022】しかしながら、FeとMoとの複合添加は
緻密化を促進するものの、これらのみの添加では焼結体
の強度を十分なものにすることができない。焼結体の強
度を向上させる観点からさらに検討を重ねた結果、Fe
及びMoに加えてさらにAl及びVを適量添加し、かつ
Oの含有量をコントロ−ルすることにより、望ましい強
度を有する焼結チタン合金が得られることが判明した。
【0023】Alは置換型にTiへ固溶する唯一のα相
安定化元素であり、著しい固溶強化を示す。また、Ti
中での拡散速度が速いのでFe,Moとの複合添加で焼
結品の密度を上昇させる効果をも有する。Vは、Tiに
全率固溶するβ相安定化元素であり、Tiとの間に脆化
相である金属間化合物を形成することなく強度を上昇さ
せる作用を有する。すなわち、Vは主にβ相に固溶して
これを強化する。Oはα相に固溶して著しく強度を上昇
させる作用を有する。
【0024】真島らの研究(粉体および粉末冶金,19
87)によると、FeとTiとの2元系状態図において
固液共存領域に入らない組成近傍までは緻密化が進む可
能性がある。また、この2元状態図から、1200℃で
固液共存が発現する組成は、Feで15%(重量%以下
同じ)であることがわかる。しかし、この量が多いと延
性(靭性)が低下してしまう。また、Feの量が少なす
ぎても緻密化の効果が得られない。従って、Fe含有量
は1〜4%であることが好ましい。
【0025】Moは上述したようにβTi中での拡散速
度が遅い元素であり、拡散速度が大きいFeと並存する
ことにより高密度化を達成するものである。しかし、M
oの量が1%よりも少ない場合にはその効果が得られ
ず、4%を超えると緻密化の進行が遅れ、緻密化が十分
に図れない。従って、Moの含有量を1〜4%であるこ
とが好ましい。
【0026】Alは上述のようにα相を著しく固溶強化
させる元素である。しかし、その含有量が3%未満では
焼結品の強度を十分なものにすることができない。ま
た、7%を超えると脆化相であるDO19型のhcp規則
相α2 (Ti3 Al)が析出し、延性を劣化させる。従
って、Alの含有量を3〜7%が好ましい。
【0027】Vはβ相を固溶強化する作用を有するが、
その含有量が2%未満では焼結品の強度を十分なものに
することができない。一方、4.5%を超えると延性の
低下を招く。従って、Vの含有量は2〜4.5%が好ま
しい。
【0028】OはTi粒子及びマスタ−アロイ粉末(合
金成分)から持ち込まれ、上述したようにα相に固溶し
て著しく強度を上昇させる作用を有するが、この量が
0.5%を超えると延性を害する。従って、Oの含有量
を0.5%以下であることが好ましい。このような組成
範囲のチタン合金を用いれば、Ti−6Al−4V合金
を上回る材料特性を得ることができる。なお、このよう
な組成の合金を得るためには、上述したように、焼結前
の混合粉末の組成を所望の合金組成になるように調製す
ればよい。
【0029】この発明においては、得ようとする合金組
成の粉末の調製をチタン粉末と予め合金化された合金粉
末とを混合することにより行うことが好ましい。このよ
うにして粉末を調製した後その混合粉末を成形して焼結
することにより、均一性が良好となり、緻密化を促進す
ることができる。このような方法の例としては、特公平
2−50172号公報に記載されているものがある。こ
れは、
【0030】(a)2つ以上の金属からなる予備合金で
あって、チタンと合金化可能な合金形成粒子を高いエネ
ルギ−を付与できる粉砕機を用いて、平均粒径0.5乃
至20μmの大きさに粉砕し、
【0031】(b)これと平均粒径40乃至177μm
のチタン基金属粒子とを混合し、このチタン基金属粒子
の重量配合比が70乃至95%、残部が前記合金形成粒
子である粉末混合物を形成し、(c)前記粉末混合物
を、理論値の80乃至90%の密度を有する圧粉体に成
形し、(d)前記圧粉体を、液相が生成する温度未満で
焼結すること、を骨子としたものである。
【0032】この方法を用いることにより理論密度の9
9.0乃至99.8%の密度のチタン合金焼結体を得る
ことができ、単に素粉末を混合して作成したチタン合金
の94.5乃至96.5%よりもはるかに高い密度を得
ることが可能になる。機械的性質も溶製・鍛造チタン合
金とほぼ同一となる。従来用いられていた組成のチタン
合金ではこの方法により焼結温度1260℃で4時間か
かって焼結可能であったが、本発明の組成のチタン合金
では、さらに低温短時間で焼結することが可能となる。
【0033】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。 (実施例1)Ti−6Al−4Vの組成になるように、
平均粒径3.5μmの60Al−40Vのマスターアロ
イ粉末と、−100メッシュ(平均粒径約75μm)の
純チタン粉末とをVブレンダーによって混合した。そし
て、このようにして製造した混合粉末を鋼製金型に充填
し、圧力5.0ton /cm2 で図1の引張試験片(JIS
Z2550準拠)及び図2の疲労試験片を板厚が5mm
となるように成形した。得られた成形体(圧粉体)の密
度は理論値の約85%であった。
【0034】次に、冷却室を有し不活性ガスによって炉
内の冷却が可能な真空炉を用い、10-5Torrオーダーの
真空中において1250℃で4時間加熱処理して成形体
を焼結させた。
【0035】焼結後、加熱を停止し、表1に示す各条件
で冷却を行った。表1中番号1及び2は本発明に規定す
る条件で冷却した実施例であり、番号3〜6は本発明か
ら外れる条件で冷却した比較例である。
【0036】なお、焼結したTi−6Al−4V合金の
β変態温度Tβは、電気抵抗法による測定の結果、10
10℃であることが確認された。表1中の冷却速度は、
Tβ+50℃からTβ−100℃、すなわち1060℃
から910℃の間の平均の冷却速度を示したものであ
る。
【0037】
【表1】
【0038】得られた焼結体は全て密度が理論値の99
%を超えていた。そしてこれら焼結体は機械加工するこ
となく、そのまま引張試験及び疲労試験に共した。引張
試験では引張強さ及び標点距離25mmでの伸びを求め
た。一方、疲労試験は油圧サーボ試験機を用いて行い、
繰り返し速度10Hz、応力比0.1で107 回疲労強
度を求めた。得られた結果を表2にまとめて示す。
【0039】
【表2】
【0040】この表から明らかなように、本発明の範囲
内の実施例では優れた強度−延性バランス及び高い疲労
強度を有する粉末焼結チタン合金が得られることが確認
された。これに対して、比較例では強度−延性バランス
が悪いか、又は疲労強度が低い結果となった。
【0041】(実施例2)この実施例では、チタン合金
の組成を変化させた実験を行った。ここでは、Feを
1.0〜4.0%、Moを1.0〜4.0%、Alを
3.0〜7.0%、Vを2.0〜4.5%、Oを0.5
%以下としたチタン合金を作製した。この範囲の組成に
なるように、マスターアロイ粉末とスポンジチタン粉末
とを上述の条件と同一の条件で混合し、混合粉末を作製
した。そして、混合粉末を鋼製金型に充填し、圧力5.
0tonf/cm2 で図1及び図2に示すような形状の引張試
験片及び疲労試験片の成形体を得、1150℃で真空焼
成を行った。その結果、この組成範囲内のものはいずれ
も140分以内という短時間で全体の密度が99.5%
に達した。ちなみに、Ti−6Al−4Vでは1150
℃で20時間焼成しなければならず、上述の組成の合金
は極めて焼結性が良好であることが確認された。
【0042】次に、Feを2%、Moを2%、Alを
4.5%、Vを3%、Oを0.2%含み残部がTiから
なる上述の組成範囲内の成形体(圧粉体)について、上
述した冷却機能を有する真空炉を用い、10-5Torrオー
ダーの真空中において1150℃で2時間加熱処理して
成形体を焼結させた。
【0043】焼結後、加熱を停止し、表3に示す各条件
で冷却を行った。表3中番号7及び8は本発明に規定す
る条件で冷却した実施例であり、番号9〜12は本発明
から外れる条件で冷却した比較例である。
【0044】なお、この組成の合金のβ変態温度Tβ
は、電気抵抗法による測定の結果、905℃であること
が確認された。表3中の冷却速度は、Tβ+50℃から
Tβ−100℃、すなわち955℃から805℃の間の
平均の冷却速度を示したものである。
【0045】
【表3】
【0046】得られた焼結体は全て密度が理論値の99
%を超えていた。そして実施例1と同様の手法により、
焼結体の引張特性及び疲労強度を求めた。得られた結果
を表4にまとめて示す。
【0047】
【表4】
【0048】この表から明らかなように、本発明の範囲
内の実施例では優れた強度−延性バランス及び高い疲労
強度を有する粉末焼結チタン合金が得られることが確認
された。これに対して、比較例では強度−延性バランス
が悪いか、又は疲労強度が低い結果となった。次に、上
記実施例1及び2の結果を図3及び図4にまとめて示
す。
【0049】図3は引張強度と伸びとの関係を示したも
のである。この図から明らかなように、本発明の範囲内
の条件で製造された焼結体は、Ti−6Al−4V合金
で引張強さ97kgf /mm2 以上、伸び12%以上、Ti
−2Fe−2Mo−4.5Al−3V−0.2O合金で
引張強さ109kgf /mm2 以上、伸び10%以上の優れ
た強度−延性を有していることが確認された。
【0050】図4は冷却速度と疲労強度との関係を示し
たものである。この図から明らかなように、本発明の範
囲内の条件で製造された焼結体は、Ti−6Al−4V
合金で37kgf /mm2 以上、Ti−2Fe−2Mo−
4.5Al−3V−0.2O合金で40kgf /mm2 以上
の高い疲労強度を有していることが確認された。
【0051】また、いずれの図からも明らかなように、
Ti−2Fe−2Mo−4.5Al−3V−0.2O合
金は、Ti−6Al−4V合金よりも優れた特性を示す
ことが確認された。
【0052】
【発明の効果】この発明によれば、延性及び疲労強度に
優れた高密度粉末焼結チタン合金を安価にかつ生産性良
く製造することができる高密度粉末焼結チタン合金の製
造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例に用いた引張試験片を示す
図。
【図2】この発明の実施例に用いた疲労強度試験片を示
す図。
【図3】引張強度と伸びとの関係を示す図。
【図4】冷却速度と疲労強度との関係を示す図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年11月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】次に、冷却室を有し不活性ガスによって
結体の冷却が可能な真空炉を用い、10−5Torrオ
ーダーの真空中において1250℃で4時間加熱処理し
て成形体を焼結させた。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 得ようとする合金組成の粉末を準備し、
    この粉末を成形して成形体とし、次いでこの成形体を焼
    結させてα+β合金におけるβ単相とし、その後、この
    合金のβ変態温度をTβと表わした場合に、Tβ+50
    ℃以上からTβ−100℃以下に至る温度範囲を1〜1
    0℃/秒の速度で冷却することを特徴とする高密度粉末
    焼結チタン合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記混合粉末が、重量%で、1.0〜
    4.0%のFe、1.0〜4.0%のMo、3.0〜
    7.0%のAl、2.0〜4.5%のV、及び0.5%
    以下のOを含有し、残部がTi及び不可避的不純物から
    なることを特徴とする高密度粉末焼結チタン合金の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記合金組成の粉末は、チタン粉末と予
    め合金化された合金粉末とを混合した混合粉末であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の高密度粉末焼結
    チタン合金の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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