JPH09227972A - 超塑性を有するTiAl金属間化合物基合金材料とその製造方法 - Google Patents

超塑性を有するTiAl金属間化合物基合金材料とその製造方法

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JPH09227972A
JPH09227972A JP5824596A JP5824596A JPH09227972A JP H09227972 A JPH09227972 A JP H09227972A JP 5824596 A JP5824596 A JP 5824596A JP 5824596 A JP5824596 A JP 5824596A JP H09227972 A JPH09227972 A JP H09227972A
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tial
alloy material
superplasticity
high temperature
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JP5824596A
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Toshihiro Hanamura
年裕 花村
Keizo Hashimoto
敬三 橋本
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温引張強度および高温・室温引張延性に優
れたTiAl金属間化合物基合金およびその製造方法を
提供する。 【解決手段】 TiAlを主成分とする金属間化合物基
合金材料において、粒界に微細アルミナ(Al2 3
とTiB2 およびβ相の滑らかな複合析出組織を伴う微
細γ粒組織を形成することにより高温での超塑性を発現
せしめる。また、それは母合金溶製時に、10〜500
nmの微細ボライドを分散させておき、母合金の溶解に
際し、坩堝を酸素溶出の少ない坩堝を用い溶解し、凝固
時の冷却速度を103 ℃/sec 以上とし、さらにγ+α
からαへの変態温度以上の温度で1時間以上保持した
後、徐冷することで製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高温引張強度および
高温・室温引張延性に優れたTiAl金属間化合物基合
金およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】耐環境性構造材としての材料開発が進め
られている材料にTiAl金属間化合物基合金材料があ
る。この材料は優れた高温強度特性を有するために将来
の高温構造用材料としての開発が進められている。この
材料で注目されているのは高温強度であり、従来のNi
基およびCo基超合金の特性値に匹敵するものである。
さらにTiAlの比重が3.8であり、超合金の比重が
10近い点を考えれば高温の比強度ではTiAlが勝る
ものである。しかし、TiAlをはじめ、これら超合金
等の合金系高温強度材料の使用温度は900℃が限界で
あり、900〜1100℃において充分強度のある金属
系材料はなかった。むしろ、1000℃以上の温度域に
おいてはセラミックス、C/C(カーボン・カーボンフ
ァイバー)等の非金属系材料が使用されている。しか
し、これらの材料は高温強度は高いが、殆どの場合破壊
は弾性応力内で起こり、延性がほとんどないため、安全
性を考慮すれば延性を有する合金系材料が望まれる。
【0003】また従来技術として、金属間化合物系薄板
を製造するニア・ネット・シェイプの鋳造技術がある。
ニア・ネット・シェイプの薄板製造技術は最近急速に進
展しており、特に金属材料系ではステンレス・薄板製造
などへの応用が進んでいる。その薄板製造技術として
は、種々の鋳造方法が提案されているが、その中で双ロ
ール法は厚みの一様な連続した薄板を製造するのに適し
ている。上記技術の金属間化合物材料への適応例として
は、微量のボロンを添加することにより延性が改善され
たニッケル・アルミニウム金属間化合物(Ni3 Al)
の例が知られている。例えば1988年11月に開催さ
れた「ニア・ネット・シェイプ製品の鋳造、"Casting o
f Near Net Shape Products"」に関する国際会議報告
書、"Proceedings of an International Symposium of
Near Net Shape Products, 315〜333頁、 The Metallur
gical Society発行" がある。また、TiAl金属間化合物
薄板の公知の製造方法は特開平3-809697号公報に開示さ
れている。その他、TiAl金属間化合物基合金の組織
制御により、粒界のβ相を析出させ超塑性特性を付加す
る技術は特開平5-70873 号公報および特開平5-209243号
公報にあり、第三元素としてCrを添加し、3〜5元合
金系で高温加工を施すことにより、超塑性変形能を向上
させている。また、この超塑性による形状付与後に高温
強度を維持させるための相変態熱処理技術として特開平
5-186842号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のTiAl金属間
化合物基合金は超合金に匹敵する高温強度をもち、かつ
比重が3.8と超合金の1/2以下の軽量性を有するた
め、次世代航空機用材料として有望な材料である。しか
し、強度材としての使用可能な温度範囲は高温での強度
低下、クリープ特性低下のために、使用限界として90
0℃までに限られ、900℃以上で充分な強度と軽量性
を有する材料は金属系のものではなく、充分な延性を有
しないC/C(カーボン/カーボン・ファイバー)かフ
ァイン・セラミックスに限られていた。
【0005】これまで、この問題を解決するために、本
発明者等は高温強度、高温延性、室温強度および室温延
性に優れたTiAl金属間化合物基合金材料およびその
製造技術を提供するために、従来のTiAl金属間化合
物基合金のマトリックスに加え、マトリックス中に粒径
500nm以下の微細酸化物(Al2 3 )を10μm
以下の間隔で分散させることにより、高温強度を高める
技術として特許(特願平07-079596 号)を出願した。こ
の技術によるTiAl金属間化合物材料はセラミックス
と同等に近い高温強度を有し、かつ高温延性を保持して
いる。しかし、常温延性は1%を超えていないことおよ
び高温での変形能が不足するという問題がある。
【0006】また、組織制御により、超塑性特性を付加
する技術は特開平5-70873 号公報に開示があり、この場
合第三元素としてCrを添加し、高温加工を施すことに
より超塑性変形能を出させている。しかしながら、鋳造
まゝ(as-cast)の板材から恒温鍛造等の高温加工処理を
施さずに、熱処理のみで超塑性特性を付加した技術は未
だ達成されていない。
【0007】本発明は、前記高温強度特性を高めたTi
Al金属間化合物材の高温強度を保持しながら、常温延
性および高温超塑性特性を向上することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記を要旨と
して、上記の目的を達成するものである。 (1) TiAl金属間化合物合金において、粒界に微細ア
ルミナ(Al2 3 )と微細ボライドおよびTiβ相か
らなる滑らかな複合析出組織が形成される微細なTiA
lγ粒組織を有し、高温で超塑性特性に優れたTiAl
金属間化合物を主成分とするTiAl金属間化合物基合
金材料。
【0009】(2) (1) の合金材料として、さらにβ相安
定化元素としてのCr、Mn、V、Wのうち一種または
2種以上を合計で1〜3 at.%含有すること特徴とする
高温で超塑性特性に優れたTiAl金属間化合物を主成
分とするTiAl金属間化合物基合金材料。 (3) 前記微細アルミナとして、径が100〜500nm
のものを1〜10μmの間隔で分散させたことを特徴と
する(1) または(2) 記載の高温で超塑性特性に優れたT
iAl金属間化合物を主成分とするTiAl金属間化合
物基合金材料。
【0010】(4) 前記微細アルミナ中の酸素を含め、全
酸素濃度が1000〜2500ppmであることを特徴
とする(1) から(3) のいずれかに記載の高温で超塑性特
性に優れたTiAl金属間化合物を主成分とするTiA
l金属間化合物基合金材料。 (5) 前記微細ボライドの径が10〜500nmあること
を特徴とする(1) から(4) のいずれかに記載の高温で超
塑性特性に優れたTiAl金属間化合物を主成分とする
TiAl金属間化合物基合金材料。
【0011】(6) 前記合金材料の形状が板状であること
を特徴とする(1) から(5) のいずれかに記載の高温で超
塑性特性に優れたTiAl金属間化合物を主成分とする
TiAl金属間化合物基合金材料。 (7) 前記高温での超塑性特性として、1200℃で7.
2x10-4 sec-1の歪み速度の引張試験において、伸び
300%以上の延性を有し、歪速度感度指数mが0.3
超を示すことを特徴とする(1) から(6) のいずれかに記
載の高温で超塑性特性に優れたTiAl金属間化合物を
主成分とするTiAl金属間化合物基合金材料。
【0012】(8) TiAl金属間化合物を主成分とする
TiAl金属間化合物基合金材料の製造方法において、
母合金溶製時に、10〜500nmの微細ボライドを分
散させておき、母合金の溶解に際し、坩堝を酸素溶出の
少ない坩堝を用いて溶解し、その後、凝固時の冷却速度
を103 ℃/sec 以上とし、さらにγ+α相からα相へ
の変態温度以上の温度で1時間以上保持した後、室温ま
で徐冷することを特徴とする高温で超塑性特性に優れた
TiAl金属間化合物を主成分とするTiAl金属間化
合物基合金材料の製造方法。
【0013】(9) 前記坩堝として、カルシア坩堝または
カルシア粉末をコーティングしたアルミナ坩堝を用いる
ことを特徴とする(8) 記載の高温で超塑性特性に優れた
TiAl金属間化合物を主成分とするTiAl金属間化
合物基合金材料の製造方法。 (10)前記凝固時の冷却速度を103 ℃/sec 以上とし
て、双ロール直接薄板鋳造法を用いることを特徴とする
(8) または(9) 記載の高温で超塑性特性に優れたTiA
l金属間化合物を主成分とするTiAl金属間化合物基
合金材料の製造方法。
【0014】以下に、本発明の技術的特徴を説明する。
従来のTiAl金属間化合物基合金のマトリックスに加
え、マトリックス中に粒径500nm以下の微細酸化物
(Al2 3 )を1〜10μmの間隔で分散させ、第二
相分散強化組織とした。さらに、複合析出化を行うため
に粒径10〜500nmのTiB2 を複合分散させた。
【0015】本発明ではプロセスとして以下の特徴を有
する。母合金の製造において溶湯の注湯の直前に10〜
500nm径のTiB2 を添加してTiB2 をマトリッ
クス中に微細分散した。ここで10〜500nm以下の
径と特定したのは10nm未満では分散効果が小さく、
500nm超ではTiB2 の凝集が起こり、材料の延
性、靱性に有害な粗大化が起こるからである。
【0016】母合金の溶解に際し、高周波溶解に使用す
る坩堝としてカルシア(CaO)粉末をコーティングし
たアルミナ(Al2 3 )坩堝を用い、坩堝からのコン
タミを抑えるとともに、双ロール容器内においてTi板
を1000℃近くに加熱し、容器内部の酸素をゲッタリ
ングすることにより、雰囲気中の酸素濃度を0.2%以
下に低減させて103 ℃/sec 以上の急冷速度にて双ロ
ール直接薄板鋳造を行う。
【0017】この状態でできた薄板の組織は、粒界にA
2 3 とTiB2 の複合析出相およびβ相をもつが、
粒界が滑らかでないため、超塑性特性を有さない。その
ため、さらに、γ+αからαへの変態温度以上における
焼鈍を加え、第二相(γ粒界におけるAl2 3 /Ti
2 /β相の複合析出相)を伴うγ粒界を円滑化して超
塑性特性を高める。
【0018】請求項で述べた「粒界に微細アルミナ(A
2 3 )と微細ボライドおよびTiβ相の滑らかな複
合析出組織が形成される微細なTiAlγ粒組織」の模
式的図を図8に示す。図8から、SEM観察ではβ相上
にアルミナ−TiB2 の複合析出物が認められる。これ
から、アルミナを核にしてTiB2 が析出し、まわりの
B濃度が低減し、マトリックス粒の析出を起こさせ、微
細粒組織化を促進する機構が働いたことがわかる。ま
た、熱処理により、α領域でラメラ相が壊され、滑らか
な粒界が形成され、このため、粒界すべりの抵抗が無く
なり、超塑性が促進されたことを示す。特に、恒温鍛造
等のthermo-mechanical treatment を経ずにこれだけの
微細組織(10μm径)を鋳造+熱処理のみで得たこと
が本発明の最大の特徴である。鋳造+熱処理のみでは、
通常では、最高150μm程度の粗大粒組織が限界であ
る。すなわち、マトリックスであるTiAl(γ相)の
3つの粒界に存在しているのがTiB2 /Ti(β相)
/Al2 3 の複合組織で超塑性におけるγ粒の粒界す
べりの潤滑の役割をもつ。
【0019】また、比較例として、高温での焼鈍がなく
粒界面がラメラで凹凸になっている微細組織の模式図を
図9に示す。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の高温強度発現機
構について説明する。本発明では従来のTiAl金属間
化合物基合金のマトリックスに加え、マトリックス中に
粒径500nm以下の微細酸化物(Al2 3 )を1〜
10μmの間隔で分散させることにより、高温強度を高
めることができる。
【0021】この理由を以下に説明する。一般に合金材
料における強度発現温度域は、その材料の絶対温度で表
示した場合の融点の0.6倍の温度までとされている。
それ以上の温度においては拡散が支配的となり、材料が
低い応力でずるずると変形してしまうためである。その
ため、クリープ変形が主体となる。TiAlの場合、二
元系においては融点が1470℃であるから絶対温度で
は1743K、その0.6倍は1046Kである。つま
り、772℃が強度発現の限界であると考えられる。こ
れ以上の温度になると粒界すべり、粒内での転位による
すべりが活性化され、降伏応力の低下、強度の低下が認
められる。従来の熱処理または恒温鍛造処理を行ったT
iAl金属間化合物基合金においては、800℃強度1
80〜300MPa、1000℃強度80〜150MP
a、1100℃強度〜40MPaであった。
【0022】これに対し、微細酸化物分散を行ったマト
リックスでは上記の降伏応力、強度の低下の原因を解消
することによって強度を高めることができる。まず、粒
界すべりについては、粒界上の微細酸化物の存在によ
り、高温における結晶粒の安定性が増し、粒界がピン止
めされることになり強度が向上する。また、粒内の転位
がすべる場合、粒内の微細酸化物に転位が集積し、それ
以上の転位の運動が妨げられ、強度が増加する。また、
このように転位の増殖が抑制されているために、再結晶
化のための駆動力である集中した転位密度の増加が低減
し、動的再結晶による強度の低下を妨げることができ
る。これら、粒界すべりの抑制、粒内すべりの抑制、動
的再結晶の抑制の相乗効果により高温強度が達成でき
る。
【0023】また、上記の高温強度を達成するために
は、径10〜500nmの微細酸化物を分散させること
が必要であり、さらに、径100〜500nmの微細酸
化物を分散させることがより好ましい。この場合10n
m未満では転位との相互作用が弱まり強度が落ちるた
め、500nm超では酸化物が大きすぎて割れ発生の起
点として作用してしまい、材料の延性を落とすためであ
る。またこの範囲の酸化物を得るためには酸素濃度10
00〜2500重量ppmが望ましい。この範囲未満で
は酸化物の量が少なすぎ、十分な強度向上が見られず、
この範囲超では酸化物が粗大化して亀裂の発生サイトと
して働き、材料の延性、靱性を低下するためである。
【0024】本材料の高温強度特性は、大部分が微細酸
化物分散によっているため、TiAlの組成はTiAl
を主成分とするβ安定化元素である添加元素(Cr、M
n、V、Wの一種または2種以上:1〜3原子%)を含
有する範囲であればこの要件を満たすことが可能であ
る。Cr,Mn,V、Wは恒温鍛造を付加することによ
り、組織を微細化するとともにγ粒界にβ相を析出させ
るために、高温で超塑性能を高め、高温延性を向上させ
る効果を有する。
【0025】組織を微細化すると常温の強度、延性は向
上するが、細粒のために粒界すべりが助長され、高温の
強度は低下する傾向が一般的である。しかし、本発明は
上記のように微細酸化物を分散させるとともにTiB2
の添加により、高温強度を急激に低下させずに高温延
性、さらには常温延性(0→2%以上)を向上できる。
【0026】次に、本発明の室温延性発現機構について
説明する。TiAlの常温延性を高める要因としてこれ
まで確立しているうちで重要な因子として組織の均一微
細化がある。しかし、このためには1200℃近くの高
温領域にて低歪速度で恒温鍛造を行うプロセスが必要で
あった。通常の鋳造組織では、例えばTi:50原子
%、Al:50原子%の組成の二成分系においては鋳造
ままの組織の結晶粒径は〜2mmと粗大化するのが一般
である。また、薄板直接鋳造によるTiAl薄板は鋳造
ままの段階で、板厚が1.5mmと薄いために組織制御
に必要な引き続く恒温鍛造による80%程度の圧下がか
けられない問題がある。
【0027】本発明においてはこの問題解決のために、
鋳造ままの状態において〜10μmの均一微細粒を得る
機構を得た。この機構について以下に説明する。まず、
上記高温強度で用いたアルミナ微細粒を結晶粒微細化の
ための結晶核の発生サイトとする。しかし、アルミナ単
独ではこれを核とした結晶粒成長が容易ではないため、
アルミナに複合的に析出するもうひとつの析出相を用い
る。この析出相はTiAlの溶湯中には溶融状態として
存在し、TiAlの凝固の際にアルミナ上に整合析出す
ることが望ましい。この析出に伴いアルミナ周囲のこの
析出物の構成元素が低減することにより、アルミナ周囲
の局所領域において核発生の潜伏時間が縮小され、核発
生が起こる。アルミナが予め微細に多数分散されていれ
ば、核発生が多くの領域で同時に起こるために微細粒組
織が得られることになる。
【0028】ここでアルミナおよびマトリックス相であ
るγTiAl相の両者に整合である析出物としてTiB
2 を考案し、実験を行った。その結果、通常のVIM
(真空高周波)溶解、通常のインゴット鋳造で〜100
μm の均一微細粒組織を得ることができた。これよりさ
らに微細化を行うためには、過冷却による効果を合わせ
ることが効果的である。これには急冷を利用することが
できる。TiB2 を分散させたTiAl母合金を双ロー
ル直接鋳造を行うことで結晶粒径を〜10μm にコント
ロールできた。この微細均一組織によって、双ロール鋳
造まま+HIP(高温静水圧プレス)処理+1000℃
の歪取り焼鈍後に、2%以上の室温引張延性を得ること
ができた。
【0029】本発明の超塑性発現機構について説明す
る。鋳造まま、またはHIP処理後のTiAl薄板の組
織は粒界にAl2 3 とTiB2 の複合析出相およびβ
相をもつが、ラメラの張り出した粒界をもち、粒界が凹
凸であることが特徴である(図9参照)。このように、
γ粒の微細化が達成されていても粒界が滑らかでないた
め、超塑性を有さないという問題がある。この問題を克
服するため、さらに、1400℃における焼鈍を加え、
第二相(γ粒界におけるAl2 3 /TiB2 /β相の
複合析出相)を伴うγ粒界を円滑化して超塑性特性を高
めることが可能となる。この理由は1400℃では、T
iAlのα単一相領域であるため、鋳造ままで形成され
ていたα2 /γラメラ構造が崩れ、粒界が滑らかになる
ためである。通常、この場合はα粒の粗大化(〜1m
m)が起こるが、この場合は粒界がTiB2 相によりピ
ン止めされているため、粗大化抑制作用が働き、熱処理
後も熱処理前の結晶粒径(〜10μm)を保ったままで
ある。
【0030】本発明の組織規定の滑らかさとは、図10
および図11の、組織と温度の関係に示されるように、
1400℃の熱処理にて粒界の第二相が滑らかになるこ
とから、1300〜1400℃間に相変態点があると考
えられる。この温度以上ではマトリックスはα単一相領
域に入り、ラメラ組織が消滅する。そのため、粒界が丸
く滑らかになる。なお、図10(a)(d)は1400
℃、(b)(e)は1300℃、(c)(f)は120
0℃、図11(a)(c)は1100℃、(b)(d)
は1000℃で1時間保持後水冷した1 at.%TiB2
添加VIM試料の光学顕微鏡組織で、各50倍および2
00倍の組織写真である。また、結晶粒方位は、高温塑
性変形後の組織が等軸粒の微細結晶組織であることから
集合組織的な方位性は無く、ランダム組織と考えられ
る。以上の組織と超塑性特性の関係では、前記図10お
よび11に示される熱処理組織で1400℃以下のもの
では、1200℃での延性は100%近くあるものの超
塑性は認められない。しかし、1400℃の処理のもの
では304%の延性と歪速度感度指数m=0.33の超
塑性が出ることから、粒界の滑らかさと超塑性の関係が
明らかに認められた。
【0031】なお、図10および11では、熱処理によ
る組織変化を観察し、粒界の滑らかさを出す最適条件を
調査したものであるが、実際のTiAl双ロール材は組
織が10μm以下と細かいために粒界の微細な構造を観
察できないため、双ロール材の組織変化とは組織の大き
さ以外は本質的に変わり無いと考えられる同じ組成のV
IM材を用いて実験したものである。そのため、組織が
10倍以上大きくなっている。
【0032】次に、本発明の製造プロセスについて説明
する。本発明の課題である材料中へのコンタミ混入の解
決策として、合金の溶解に際し、高周波溶解に使用する
坩堝をカルシア(CaO)粉末をコーティングしたアル
ミナ(Al2 3 )坩堝を用い、坩堝からの酸素等のコ
ンタミを抑える。この理由は、アルミナと比較してカル
シアは熱力学的に安定であり、アルミナが、原料である
Tiと反応して還元されるのに対し、カルシアはTiと
の反応が殆ど無いことによる。
【0033】また、双ロール鋳造設備の容器内におい
て、Ti板を1000℃近くに加熱し、容器内部の酸素
をゲッタリングすることにより雰囲気中の酸素濃度を低
減させる。この際、雰囲気中、酸素濃度は200ppm 以
下にすることが必要であるが、100ppm 以下に下げる
ことはより望ましい。この雰囲気中酸素濃度100ppm
以下と坩堝コーティングの併用により、直接鋳造材中の
酸素濃度を0.25wt%以下に低減できる。これによ
りマトリックス中の酸化物を最適状態にコントロールで
きる。また、雰囲気中の酸素濃度200ppm 以下でも酸
化物のコントロールは可能である。
【0034】酸化物を10〜500nmの微細粒として
分散可能な理由は高周波溶解によって母材の溶解中、常
に溶湯が高周波によって引き起こされる強い対流中で撹
拌されており、双ロールの直接鋳造によりそれをそのま
ま凍結することによる。一般にアルミナ酸化物は凝集し
て粗大化しやすく、酸素濃度1.5wt%においては通
常のインゴットに鋳込んだ状態で50μm径に粗大化し
てしまう。双ロールを用いて凍結しても2〜3μmにな
ってしまうが、本発明による0.25wt%の低酸素濃
度と双ロールの組み合わせによって10〜500nm径
の微細酸化物の分散が達成できた。
【0035】組織微細化に必要なTiB2 の添加は母合
金のVIM溶製の際、モールドへの注湯の2〜3分前に
溶湯中にTi箔にくるんだ状態で挿入する。これによっ
て、溶湯中の滞在時間を少なくすることにより、TiB
2 の凝集を防止される。以下に、本発明について実施例
によってさらに詳述する。
【0036】
【実施例】図1に示す本発明の実施のための直接鋳造薄
板製造機について説明する。本実施例の鋳造機の概略は
次のような構成からなる。図1において金属間化合物を
溶解する坩堝1の下方に、溶湯を均一供給するためのタ
ンディシュ2を配置し、その直下に冷却ドラム3とサイ
ド・ダム4で構成する湯溜り部5(鋳型)を設け、これ
らを雰囲気調整器7内に配設する。8は不活性ガス導入
機構、9は排出機構である。
【0037】アルミニウム地金とスポンジチタンをT
i:50原子%、Al:47原子%、Cr:3原子%の
組成で配合し、これを高周波溶解(VIM)にて溶解し
て母合金を溶製した。その際、最終的な溶湯の注湯の段
階で粒径が10〜500nmで1原子%相当のTiB2
粉末をAl箔にくるんだものを溶湯に添加した。これに
より、γTiAlマトリックス中へのTiB2 粉末の分
散を行った。
【0038】次に、溶解前に高周波溶解に使用する坩堝
をカルシア(CaO)粉末をコーティングしたアルミナ
(Al2 3 )坩堝を用意した。母合金を2000〜3
500gの重量範囲で切り出した物を上記坩堝に投入
し、容器を密閉し、真空にひいた後、Arガス雰囲気に
置換した。Ar雰囲気中、双ロール鋳造設備の容器内に
おいて、Ti板を1000℃近くに加熱し、容器内部の
酸素をゲッタリングすることにより雰囲気中の酸素濃度
を低減させた。この際、双ロール鋳造機の容器内部の酸
素濃度を、酸素濃度計により連続的にモニターした。ゲ
ッタリング前の酸素濃度は1%であったが、ゲッタリン
グにより0.2%以下に低減できた。ゲッターの100
0℃の加熱は双ロール板製造完了まで継続した。
【0039】次に、上記のAr雰囲気中において母合金
を加熱溶解し、一旦1700℃の温度に調整した後、幅
4mm、長さ95mmの開口部をもつタンディシュを介
して湯溜り部5に注入した。該湯溜り部5を構成する冷
却ドラム3は直径300mm、幅100mmの一対の銅
合金製であって内部冷却されており、従って溶湯を一定
のドラム支持力でかつ、103 ℃/sec の冷却速度によ
り急冷凝固し連続板状鋳片を作製した。この際板厚は双
ロール間隔(1.5mm )、ロール回転速度(0.44m/s )、
溶湯傾注の際の溶湯温度(1600℃)の設定により1.5
mmに統一した。
【0040】冷却ドラム3から送り出された鋳片6は、
雰囲気調整容器7内で1℃/sec の冷却速度で徐冷され
ながら搬送容器に挿入された。得られた鋳片の鋳造方向
における断面組織では、従来のものは鋳造ままの凝固組
織は鋳片の両表面から中心部に向かう柱状晶のみか、あ
るいは前記柱状晶と鋳片中心部付近に存在する等軸晶と
の混合組織から構成されているのが一般である。しか
し、本材料においてはアルミナ/ボライドの複合析出効
果により達成された均一微細粒組織が全面に存在してい
るのが確認された。
【0041】本発明法で得られた鋳片のミクロ組織はT
iAl金属間化合物基合金においてはこのようにして得
た鋳片の室温および高温における機械的性質(引張試験
の降伏応力、引張強度および引張延性)を評価した。 試験雰囲気:真空(5x10-5torr) 歪速度:7.2x10-4 sec-1) 表1に実施例及び比較例の試料の組成および加工・熱処
理条件を示す。
【0042】
【表1】
【0043】TiB2 添加による組織微細化の例とし
て、板厚断面の光学顕微鏡組織を図2はTiB2 無添加
の比較例で、(a)表面近傍、(b)中心である。図3
は0.5原子%TiB2 添加の本発明材で、(a)表面近
傍、(b)中心である。図4は1 原子%TiB2 添加の
本発明材で、(a)表面近傍、(b)中心である。この
ようにTiB2 の添加により組織の微細化が顕著におこ
り、1原子%の添加では10μm レベルになる。双ロー
ルによる急冷を行わないTiB2 無添加の300ppm 酸
素材(50原子%Ti- 50原子%Al)では結晶粒径
は〜2mmにも粗大化する。
【0044】基本組成をTi−47Al−3Cr(原子
%)とし、TiB2 を0、0.5、1原子%添加させて
組織を変化させた双ロール直接鋳造薄板のHIP処理後
の引張特性を試験温度の関数としてプロットした図を図
5および6に示す。ここで図5は強度、図6は破断伸び
を示す。強度の温度変化を見ると、低温側ではTiB 2
を添加することによって強度が増加することが認められ
る。これに対し、1000℃以上の試験温度になると、
TiB2 を添加した試料の方が、反対に強度が低下する
現象が認められる。これはTiB2 の添加によって、結
晶粒の微細化が達成されたことにより1000℃以下の
低温側では、Hall-Petchの関係 σ=σ0 +kd-1/2 σ0 、k:材料定数、
d:結晶粒径 で表されるように、粒径が微細化することによる強化機
構が働いたものと見られる。これに対し、拡散機構が支
配的となる1000℃以上の高温側では、細粒化が反対
に粒界すべりを助長し、強度が低下したと推定される。
【0045】一方、延性に関しては、3種の試料とも試
験温度が上昇するに従って大きくなる傾向を示すが、T
iB2 の添加量が多くなると、延性の向上が大きくなる
ことが見られる。これはTiB2 の添加により結晶粒が
微細化したことによるものと考えられる。本発明材はこ
のようにTiB2 の添加により、高温強度を急激に低下
させずに高温延性、さらには常温延性(0→2.12
%)を向上できる。
【0046】しかし、1原子%添加に試料においても1
200℃での高温ですら、100%レベルの延性しか得
られない。超塑性の発現のためには、このレベルの組織
微細化のみでは不十分である。この高温延性をさらに改
善するために、次に熱処理による組織制御が試みられ
た。この結果を次に示す。このTiAl直接薄板鋳造材
に熱処理により超塑性を付加するため、系統的に熱処理
条件を変化させて最適な組織を得る実験を行った。
【0047】熱処理条件として、二元系状態図のTi-
48原子%Al組成の高温相を参考とした。第三元素を
添加することにより、高温にあるα単相/α+γ二相の
境界温度が低下することが知られている。特にCr添加
などでは顕著に見られる。本実施例で使用した3Cr-
1TiB2 添加の組成でも、この境界温度の低下が見込
まれるが確定的なデータが得られていない。このため、
α単相領域およびα+γ二相領域の2種類の高温相中で
の熱処理を狙いとして、1400℃以下1000℃まで
の温度域を100℃毎に区切り、1400℃、1300
℃、1200℃、1100℃、1000℃の各温度で1
時間保持後、水冷する熱処理を施した。(前述の図9、
10) この熱処理後の組織観察結果から、特徴的なことは1原
子TiB2 添加試料では1000℃の低温域から140
0℃の高温域のすべての温度域での熱処理において、熱
処理後の結晶粒径に粗大化が見られない。一方、Cr添
加TiAl双ロール材の熱処理では、1400℃の熱処
理後に結晶粒の粗大化が見られ、600μm以上になっ
た。このことより、TiB2 添加による結晶粒粗大化抑
制効果が顕著に働いていることが認められる。これに対
し、TiB2 添加量が0.1原子%の試料ではこの一連
の熱処理温度域中、低温での熱処理では粗大化が抑制さ
れている。しかし、1400℃では粒界の第二相を横切
るラメラ組織の発達が見られ、結晶粒の粗大化が進行し
ていることが顕著に認められた。1原子%TiB2添加
試料と0.1原子%TiB2 添加試料の違いは、TiB
2 の添加量のみであることから、結晶粒粗大化抑制はT
iB2 添加量に左右され、0〜1原子%の範囲では添加
量が多いほど抑制効果が大きい傾向を示すことが認めら
れた。
【0048】また、マトリックスの結晶粒界構造の変化
であるが、これは1原子%TiB2添加試料で顕著に認
められた。鋳造まゝ(as-cast)または低温側の熱処理で
は、結晶粒径はラメラコロニー中のラメラが結晶粒界を
形成し、隣り合うラメラコロニー同士のラメラが交錯す
る状態で結晶粒界ができている。このため、高温変形を
考えると、このラメラの凹凸が粒界滑りの障害となる可
能性が高い。これに対し、高温側で熱処理を行った試料
では、ラメラコロニー組織は残存しているものの、ラメ
ラコロニーの界面にはラメラの突き出しは見られず、ラ
メラコロニー全体が滑らかな第二相で覆われている状態
が観察された。この状態では高温変形を考えると、粒界
滑りの障害となる組織が粒界に存在しないため、粒界滑
りが助長される組織になっていると考えられる。この粒
界の円滑化がどういう機構で起こったかは定かではない
が、一旦、粒界のラメラの凹凸組織が完全に消滅してい
ることから、α単相領域のような相変態が起こる領域に
入り、粒界組織の相変態が起こったものと推定される。
【0049】上記の実験で得られた熱処理の最適条件で
ある1400℃熱処理(1400℃x1hr→空冷→1
000℃x24hr→徐冷)を本試料に施すことによ
り、高温延性としての伸び304%に増加できた。この
時の歪速度感度指数はm=0.33であり、0.3を越
えることから超塑性特性を有することが確認された。こ
の光学顕微鏡組織を図7(a)および(b)に示す。こ
こで、図7(a)は表面近傍、図7(b)は中心であ
る。この写真で見られるように焼鈍後の組織は微細組織
を保ったままで粒界が滑らかになっているのが認められ
た。
【0050】また、従来TiAl材との比較および超合
金の特性との比較を行うと本発明材料は従来の高温強度
合金を大きく上回る特性を有する。また、本発明材料は
比重が3.8とセラミックス並みに低いために比強度も
高くなる。また、本発明材料において常温延性を確認す
るために室温及び高温における機械的特性値を表2に、
比較材としてTiB2 を添加していない直接鋳造TiA
l材の機械的特性を表3に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】以上の通り、本発明によれば、得られた鋳
片または処理薄板の機械的性質は著しく改善された。こ
れは主に、不純物混入の低減により材料中の酸素濃度が
低減した結果最適値の酸素量が得られ、さらに高周波に
よる撹拌によって酸化物が微細に分断され、その状態を
双ロール直接鋳造によって凍結できたためと考えられ
る。また更に熱処理を行うことにより粒界性状が改善さ
れ、超塑性を得ることができた。
【0054】また、アルミナ/ボライド複合析出効果に
よる均一微細組織達成により、この高温強度を保った状
態で室温における2%以上の延性が得られた。本発明の
プロセス上の特徴は次のように、まとめられる。 〔通常のプロセス〕 プラズマ溶解によるインゴット溶製→アルゴン雰囲気
下、1200℃、歪み強度10-4 sec-1での恒温鍛造
(〜80%圧下)→微細組織形成 〔本発明のプロセス〕 双ロール薄板直接鋳造により薄板直接鋳造→1400
℃、1時間の熱処理→微細組織形成 すなわち、従来の方法では、恒温鍛造のプロセス(アル
ゴン雰囲気下、1200℃、歪み強度10-4 sec-1での
恒温鍛造 〜80%圧下)に4時間近く要し、また材料
も円柱状に切り出す必要があり、手間とコストを要し
た。
【0055】本発明ではこのプロセスを省くことがで
き、大幅なコスト削減技術を達成可能である。
【0056】
【発明の効果】以上の実施例からも明らかな如く、本発
明により製造されたTiAl材は比重が3.8とセラミ
ックス並みに低い為に比強度も高くなる。この様に本発
明材は高温比強度特性において合金系として最高強度を
有するために、高温構造材として従来の材料を代替し、
特性を高める効果があるといえる。
【0057】用途として考えられるのは自動車用の排気
バルブ、ターボ・チャージャー、ジェット機のエンジン
のタービン・ブレード等広範な用途が考えられる。ま
た、1000℃において、セラミックスに匹敵する強度
を有し、なおかつ延性が25%以上あることはセラミッ
クスの延性が0に等しいこと、さらに常温における延性
がセラミックスでは殆ど不可能であるのに対し、2%以
上の延性が得られることを考慮すれば高温強度材として
の使用の安全性が高い材料であり、セラミックスの代替
としても有望であると考えられ、工業上極めて有用であ
る。
【0058】また、加工性を考えた場合、超塑性を有す
るため、高温で所望の形状に加工可能となり、工業利用
性が更に高められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する装置の概略を示す側断面図で
ある。
【図2】比較材板厚断面の光学顕微鏡金属組織写真(Ti
-47Al-3Cr ;TiB2 無添加、熱処理なし)である。
【図3】比較材板厚断面の光学顕微鏡金属組織写真で、
Ti-47Al-3Cr 、0.5 原子%TiB2 添加、熱処理なしの
(a)表面近傍、(b)中心である。
【図4】比較材板厚断面の光学顕微鏡金属組織写真で、
Ti-47Al-3Cr 、1 原子%TiB2 添加、熱処理なしの
(a)表面近傍、(b)中心である。
【図5】TiB2 添加量を0、0.5、1原子%と3種
類変えた直接鋳造TiAl材の引張強度変化を示す図
(基本組成:Ti-47Al-3Cr )である。
【図6】TiB2 添加量を0、0.5、1原子%と3種
類変えた直接鋳造TiAl材の延性変化を示す図(基本
組成:Ti-47Al-3Cr )である。
【図7】本発明材板厚断面の光学顕微鏡金属組織写真で
ある。
【図8】本発明材料の組織を説明する模式図である。
【図9】比較例材料の組織を説明する模式図である。
【図10】熱処理温度の変化による光学顕微鏡金属組織
写真で、(a)(d)1400℃、(b)(e)130
0℃、(c)(f)1200℃で1時間保持後、水冷し
たものである。
【図11】熱処理温度の変化による光学顕微鏡金属組織
写真で、(a)(c)1100℃、(b)(d)100
0℃で1時間保持後、水冷したものである。
【符号の説明】
1…坩堝 2…タンディシュ 3…冷却ドラム 4…サイド・ダム 5…湯溜り部 6…鋳片 7…雰囲気調整容器 8…不活性ガス導入機構 9…排気機構 10…ゲッター用の加熱炉とゲッター材としてのTi板

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 TiAl金属間化合物合金において、粒
    界に微細アルミナ(Al2 3 )と微細ボライドおよび
    Tiβ相からなる滑らかな複合析出組織が形成される微
    細なTiAlγ粒組織を有し、高温で超塑性特性に優れ
    たTiAl金属間化合物を主成分とするTiAl金属間
    化合物基合金材料。
  2. 【請求項2】 請求項1の合金材料として、さらにβ相
    安定化元素としてのCr、Mn、V、Wのうち一種また
    は2種以上を合計で1〜3 at.%含有すること特徴とす
    る高温で超塑性特性に優れたTiAl金属間化合物を主
    成分とするTiAl金属間化合物基合金材料。
  3. 【請求項3】 前記微細アルミナとして、径が100〜
    500nmのものを1〜10μmの間隔で分散させたこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の高温で超塑性特
    性に優れたTiAl金属間化合物を主成分とするTiA
    l金属間化合物基合金材料。
  4. 【請求項4】 前記微細アルミナ中の酸素を含め、全酸
    素濃度が1000〜2500ppmであることを特徴と
    する請求項1から3のいずれかに記載の高温で超塑性特
    性に優れたTiAl金属間化合物を主成分とするTiA
    l金属間化合物基合金材料。
  5. 【請求項5】 前記微細ボライドの径が10〜500n
    mあることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記
    載の高温で超塑性特性に優れたTiAl金属間化合物を
    主成分とするTiAl金属間化合物基合金材料。
  6. 【請求項6】 前記合金材料の形状が板状であることを
    特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の高温で超
    塑性特性に優れたTiAl金属間化合物を主成分とする
    TiAl金属間化合物基合金材料。
  7. 【請求項7】 前記高温での超塑性特性として、120
    0℃で7.2x10-4 sec-1の歪み速度の引張試験にお
    いて、伸び300%以上の延性を有し、歪速度感度指数
    mが0.3超を示すことを特徴とする請求項1から6の
    いずれかに記載の高温で超塑性特性に優れたTiAl金
    属間化合物を主成分とするTiAl金属間化合物基合金
    材料。
  8. 【請求項8】 TiAl金属間化合物を主成分とするT
    iAl金属間化合物基合金材料の製造方法において、母
    合金溶製時に、10〜500nmの微細ボライドを分散
    させておき、母合金の溶解に際し、坩堝を酸素溶出の少
    ない坩堝を用いて溶解し、その後、凝固時の冷却速度を
    103 ℃/sec 以上とし、さらにγ+α相からα相への
    変態温度以上の温度で1時間以上保持した後、室温まで
    徐冷することを特徴とする高温で超塑性特性に優れたT
    iAl金属間化合物を主成分とするTiAl金属間化合
    物基合金材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記坩堝として、カルシア坩堝またはカ
    ルシア粉末をコーティングしたアルミナ坩堝を用いるこ
    とを特徴とする請求項8記載の高温で超塑性特性に優れ
    たTiAl金属間化合物を主成分とするTiAl金属間
    化合物基合金材料の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記凝固時の冷却速度を103 ℃/se
    c 以上として、双ロール直接薄板鋳造法を用いることを
    特徴とする請求項8または9記載の高温で超塑性特性に
    優れたTiAl金属間化合物を主成分とするTiAl金
    属間化合物基合金材料の製造方法。
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