JPH05286669A - ロープレスリニアモータエレベーター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 本発明は、リニア同期モータによりかご44の
移動方向をスムーズに切り換え、これにより運転効率を
向上させることを目的とするものである。 【構成】 かご44の両側に第１及び第２の電機子コイル
33，34を設け、これらに対応する第１及び第２の界磁部
41，42をかご44とは分割して設け、これら第１及び第２
の界磁部41，42を連結するシャフト43に、かご44を回動
可能に吊り下げた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、リニア同期モータの
推進力によりかごを移動させるロープレスリニアモータ
エレベーターに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図５は従来のトラクション方式のエレベ
ーターの一例を示す斜視図である。図において、昇降路
１の上部には、巻上機２及びそらせ車３が設けられてい
る。巻上機２及びそらせ車３に巻き掛けられたロープ４
には、かご５と釣合重り６とがつるべ式に吊り下げられ
ている。昇降路１には、かご５をガイドするかご用レー
ル７と、釣合重り６をガイドする釣合重り用レール８と
がそれぞれ一対ずつ設けられている。

【０００３】このような従来のエレベーターでは、行程
が長くなるとロープ４も長く重くなるため、例えば１０
００ｍ以上の超々高層ビル等に設置するのが実用的に困
難であった。このようなロープ式のエレベーターの問題
点を解決するための手段として、例えば特開平３−２３
１７１号公報には、リニアモータの推進力によりロープ
を使用せずにかごを昇降させるロープレスリニアモータ
エレベーターが示されている。

【０００４】図６は従来のロープレスリニアモータエレ
ベーターの一例を示す斜視図である。図において、昇降
路11の間口方向両側の壁面には、昇降方向に延びる断面
コ字状の電機子のヨーク12がそれぞれ取り付けられてい
る。各ヨーク12の内側の互いに対向する面には、それぞ
れ複数個の電機子コイル13が取り付けられている。

【０００５】昇降路11内には、ガイドレール14に沿って
昇降するかご15が設けられている。かご15の間口方向両
側の側面には、永久磁石或は超電導コイル等からなる界
磁16が、電機子コイル13に対向するように取り付けられ
ている。これらの電機子コイル13と界磁16とにより、リ
ニア同期モータが構成されている。また、かご15の上部
には、上部バッファ17が設けられている。

【０００６】図７は図６のエレベーターの制御系を一部
ブロックで示す構成図である。図において、各電機子コ
イル13は、電機子コイル13ａ〜13ｄに区分されており、
電機子コイル13ａ，13ｃは第１のインバータ18によって
駆動され、電機子コイル13ｂ，13ｄは第２のインバータ
19によって駆動される。電機子コイル13ａ〜13ｄと各イ
ンバータ18，19との間には、第１ないし第４の切換スイ
ッチ20〜23が設けられている。

【０００７】次に、動作について説明する。図７に示す
ようにかご15が電機子コイル13ａ上に位置するときは、
第１の切換スイッチ20が閉になり、第１のインバータ18
により電機子コイル13ａが励磁される。そして、励磁さ
れた電機子コイル13ａと界磁16との相互作用により、か
ご15を昇降させる推進力が生じる。

【０００８】また、図７の状態からかご15が下降し、電
機子コイル13ａから電機子コイル13ｂに乗り移るときに
は、第１のインバータ18により電機子コイル13ａが励磁
されたままの状態で、第２のインバータ19により電機子
コイル13ｂが励磁される。つまり、第１及び第２の切換
スイッチ20，21が閉となる。そして、かご15が電機子コ
イル13ｂに完全に乗り移った後、第１の切換スイッチ20
は開にされ、電機子コイル13ｂのみが励磁される。以下
同様に、各切換スイッチ21〜23を切り換えることによ
り、電機子コイル13ｃ，13ｄが順次励磁され、かご15が
下降する。また、かご15を上昇させる場合は、上記の逆
のシーケンスにより電機子コイル13ａ〜13ｄが励磁され
る。

【０００９】このようなロープレスリニアモータエレベ
ーターでは、昇降路面積を削減するために、図８に示す
ように、同一の昇降路11内に複数台のかご15を配置する
方式、いわゆるワンシャフトマルチカー方式が提案され
ている。図８において、昇降路11は、上昇専用路11ａ，
下降専用路11ｂ，上部連絡路11ｃ及び下部連絡路11ｄか
らなる循環路と、引き込み部11ｅとを有している。この
ような昇降路11内には、複数台のかご15、ここではかご
15Ａ〜15Ｍが設けられている。各かご15Ａ〜15Ｍの下部
には、それぞれ横行用の車輪が設けられている。

【００１０】上昇専用路11ａの上部には、かご15が上限
に到着したときにかご15を吊り、電機子コイル13間から
かご15を引き抜くための第１の吊り上げ機24が設けられ
ている。また、下降専用路11ｂの上部には、下降専用路
11ｂにかご15を挿入するための第２の吊り上げ機25が設
けられている。上昇専用路11ａ及び下降専用路11ｂに
は、各吊り上げ機24，25により吊り上げられたかご15を
横行させる際に敷設される第１及び第２の横行レール2
6，27が設けられている。各横行レール26，27は、かご1
5の昇降を妨げないようにそれぞれ出入可能になってい
る。

【００１１】下降専用路11ｂの下部には、かご15が最下
部に到着したときにかご15を支えて横行可能な位置まで
下動させるための第１のジャッキ28が設けられている。
また、上昇専用路11ａの下部には、かご15を支え、電機
子コイル13の位置まで押し上げるための第２のジャッキ
29が設けられている。

【００１２】このようなエレベーターでは、複数台のか
ご15Ａ〜15Ｍが上昇専用路11ａ，上部連絡路11ｃ，下降
専用路11ｂ及び下部連絡路11ｄの順に昇降路11内を循環
する。また、かご15Ａ〜15Ｍのいずれかに故障が発生し
た場合や運転台数を削減する場合などには、引き込み部
11ｅからかご15を退避させる。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た従来のロープレスリニアモータエレベーターにおいて
は、図８に示したようなワンシャフトマルチカー方式を
適用した場合に、地上一次駆動のリニアモータとは別の
駆動装置、即ち第１及び第２の吊り上げ機24，25や第１
及び第２のジャッキ28，29が必要となるため、運転中に
昇降と横行とを切り換えるための停止時間が必要とな
り、運転効率が低下するとともに、全体が高価になるな
どの問題点があった。

【００１４】この発明は、上記のような問題点を解決す
ることを課題としてなされたものであり、リニア同期モ
ータ以外の駆動装置を利用することなく、かごの移動方
向をスムーズに切り換えることができ、これにより運転
効率を向上させることができるとともに、全体を安価に
することができるロープレスリニアモータエレベーター
を得ることを目的とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明に係るロ
ープレスリニアモータエレベーターは、かごと界磁部と
を分割し、界磁部の移動方向の変化に対して上下方向の
姿勢を保つように、界磁部に対してかごを回動可能に吊
り下げたものである。

【００１６】請求項２の発明に係るロープレスリニアモ
ータエレベーターは、かごの両側に第１及び第２の電機
子コイルを設け、これらに対応する第１及び第２の界磁
部をかごとは分割して設け、これら第１及び第２の界磁
部を連結するシャフトに、かごを回動可能に吊り下げた
ものである。

【００１７】

【作用】この発明においては、かごを界磁部に対して回
動可能に吊り下げることにより、界磁部の姿勢の変化に
対してかごを常に垂直に保つ。

【００１８】

【実施例】以下、この発明の実施例を図について説明す
る。図１は請求項１及び請求項２の発明の一実施例によ
るロープレスリニアモータエレベーターを示す斜視図、
図２は図１のかごの正面図、図３は図２のIII−III線に
沿う矢視断面図である。

【００１９】図において、昇降路には、ガイドレールを
兼ねた断面略コ字状の第１及び第２の電機子側ヨーク3
1，32が互いに平行に設けられている。第１の電機子側
ヨーク31の内側の互いに対向する面には、それぞれ複数
個の第１の電機子コイル33が敷設されている。また、第
２の電機子側ヨーク32にも、第２の電機子コイル34が同
様に敷設されている。各電機子コイル33，34は、３相電
機子コイルである。

【００２０】第１及び第２の電機子側ヨーク31，32に
は、それぞれ第１及び第２の界磁支持部35，36が係合し
ており、各電機子側ヨーク31，32に案内されて移動可能
になっている。各界磁支持部35，36には、それぞれ断面
Ｔ字状の第１及び第２の界磁側ヨーク37，38が互いに平
行に固定されている。各界磁側ヨーク37，38には、永久
磁石或は超電導コイル等からなる第１及び第２の界磁3
9，40がそれぞれ第１及び第２の電機子コイル33，34に
対向するように固定されている。上記の各界磁支持部3
5，36，各界磁側ヨーク37，38及び各界磁39，40によ
り、それぞれ第１及び第２の界磁部41，42が構成されて
いる。

【００２１】第１及び第２の界磁部41，42は、移動方向
に対して直角に延びるシャフト43により互いに連結され
ている。シャフト43には、かご44が２個の回動機構45に
より回動自在に吊り下げられている。回動機構45は、昇
降時も横行時にも乗客が倒れないように、かご44の姿勢
を絶えず垂直一定方向に保つ働きをする。各回動機構45
とかご44との間には、各界磁部41，42の振動がかご44に
伝達されないように、油圧等を利用したダンパー46がそ
れぞれ介在している。なお、図１には、上昇中のかご44
Ａ、横行中のかご44Ｂ及び下降中のかご44Ｃが示されて
いる。

【００２２】また、かご44には、昇降時に使用される第
１のかご側ドア44ａと、横行時に使用される第２のかご
側ドア44ｂが設けられている。従って、図４に示すよう
に、横行時に乗降するフロア47ａの乗場側ドア48ａと、
昇降時に乗降するフロア47ｂの乗場側ドア48ｂとは、互
いに９０°異なる方向に向けて設けられている。

【００２３】上記のように構成されたロープレスリニア
モータエレベーターにおいては、図８に示したような循
環式のワンシャフトマルチカー方式を適用した場合、か
ご44と界磁部41，42とが分離されており、かご44が最上
階，最下階に達して移動方向が変化する場合でもかご44
の姿勢が保たれるようになっているので、地上一次のリ
ニア同期モータのみにより連続的に運転を行うことがで
きる。つまり、最上階や最下階で運転を一旦停止する必
要がなく、運転速度を速くして運転効率を向上させるこ
とができる。また、他の駆動装置を必要としないため、
全体が安価になる。さらに、横行時の推進力は、昇降時
と比較して非常に小さく、推進力は昇降時の能力で決定
されるため、昇降と横行とを連続運転しても問題はな
い。

【００２４】また、この実施例では、電機子コイル33，
34及び界磁39，40の取付方向が、図６と比較して９０°
異なっているとともに、界磁支持部35，36が電機子側ヨ
ーク31，32に案内されるようになってるので、昇降から
横行に変化する場合でも界磁39，40が電機子コイル33，
34に接触するようなことはない。

【００２５】さらに、循環式でなくても連続的に昇降及
び横行を行えるので、電機子コイル33，34を配置した引
き込み線を設ければ、先のかご44が故障した場合の追い
越し等もスムーズに行える。また、この実施例では、か
ご44に第２のかご側ドア44ｂを設けるとともに、これに
対応する乗場側ドア48ａを設けたので、横行時の乗降も
可能となる。さらに、かご44と界磁39，40とを分離した
ので、振動吸収用のダンパー46を容易に取り付けられ、
乗り心地を良くすることができる。

【００２６】なお、上記実施例では循環式のものを示し
たが、循環式のワンシャフトマルチカー方式のみだけで
なく、昇降路が斜行している場合などであっても、２次
元，３次元の移動が容易に可能となる。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明の
ロープレスリニアモータエレベーターは、かごと界磁部
とを分割し、界磁部の移動方向の変化に対して上下方向
の姿勢を保つように、界磁部に対してかごを回動可能に
吊り下げたので、リニア同期モータにより、かごの移動
方向をスムーズに切り換えることができ、これにより運
転効率を向上させることができるとともに、全体を安価
にすることができるなどの効果を奏する。

【００２８】また、請求項２の発明のロープレスリニア
モータエレベーターは、かごの両側に第１及び第２の電
機子コイルを設け、これらに対応する第１及び第２の界
磁部をかごとは分割して設け、これら第１及び第２の界
磁部を連結するシャフトに、かごを回動可能に吊り下げ
たので、上記請求項１の発明の効果に加えて、かごの移
動の安定性を向上させることができるなどの効果を奏す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１及び請求項２の発明の一実施例による
ロープレスリニアモータエレベーターを示す斜視図であ
る。

【図２】図１のかごの正面図である。

【図３】図２のIII−III線に沿う矢視断面図である。

【図４】図１のエレベーターを有する建屋の乗場側ドア
の状態を示す構成図である。

【図５】従来のトラクション方式のエレベーターの一例
を示す斜視図である。

【図６】従来のロープレスリニアモータエレベーターの
一例を示す斜視図である。

【図７】図６のエレベーターの制御系を一部ブロックで
示す構成図である。

【図８】従来のワンシャフトマルチカー方式のロープレ
スリニアモータエレベーターの一例を示す構成図であ
る。

【符号の説明】

３３ 第１の電機子コイル ３４ 第２の電機子コイル ３９ 第１の界磁 ４０ 第２の界磁 ４１ 第１の界磁部 ４２ 第２の界磁部 ４３ シャフト ４４ かご

【手続補正書】

【提出日】平成４年１１月３０日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【特許請求の範囲】

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１６

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１６】請求項２の発明に係るロープレスリニアモ
ータエレベーターは、かごの両側に第１及び第２の電機
子コイルを設け、これらに対応する第１及び第２の界磁
部をかごとは分割して設け、これら第１及び第２の界磁
部を連結するシャフトに、かごを回動可能に吊り下げた
ものである。請求項３の発明に係るロープレスリニアモ
ータエレベーターは、垂直方向に移動する際に使用する
第１のかご側ドアと水平及び斜め方向に移動する際に使
用する第２のかご側ドアとをかごに設け、これらに対応
する位置に乗場側ドアを配置したものである。

【手続補正３】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１８

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１８】

【実施例】以下、この発明の実施例を図について説明す
る。図１は請求項１ないし請求項３の発明の一実施例に
よるロープレスリニアモータエレベーターを示す斜視
図、図２は図１のかごの正面図、図３は図２のIII−III
線に沿う矢視断面図である。

【手続補正４】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００２８

【補正方法】変更

【補正内容】

【００２８】また、請求項２の発明のロープレスリニア
モータエレベーターは、かごの両側に第１及び第２の電
機子コイルを設け、これらに対応する第１及び第２の界
磁部をかごとは分割して設け、これら第１及び第２の界
磁部を連結するシャフトに、かごを回動可能に吊り下げ
たので、上記請求項１の発明の効果に加えて、かごの移
動の安定性を向上させることができるなどの効果を奏す
る。さらに、請求項３の発明のロープレスリニアモータ
エレベーターは、垂直方向に移動する際に使用する第１
のかご側ドアと水平及び斜め方向に移動する際に使用す
る第２のかご側ドアとをかごに設け、これらに対応する
位置に乗場側ドアを配置したので、上記請求項１の発明
の効果に加えて、かごの移動経路のどのような位置でも
かごに乗降することができ、このエレベーターをより有
効に利用できるという効果を奏する。

【手続補正５】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】図１

【補正方法】変更

【補正内容】

【図１】請求項１ないし請求項３の発明の一実施例によ
るロープレスリニアモータエレベーターを示す斜視図で
ある。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 昇降路に沿って敷設されている複数個の
   電機子コイルと、 この電機子コイルに対向する界磁を有し、リニア同期モ
   ータの推進力によって上記電機子コイルに沿って移動す
   る界磁部と、 この界磁部の移動方向の変化に対して上下方向の姿勢を
   保つように、上記界磁部に回動可能に吊り下げられてい
   るかごとを備えていることを特徴とするロープレスリニ
   アモータエレベーター。
2. 【請求項２】 昇降路に沿って互いに平行に敷設されて
   いるそれぞれ複数個の第１及び第２の電機子コイルと、 上記第１の電機子コイルに対向する第１の界磁を有し、
   リニア同期モータの推進力によって上記第１の電機子コ
   イルに沿って移動する第１の界磁部と、 上記第２の電機子コイルに対向する第２の界磁を有し、
   リニア同期モータの推進力によって上記第２の電機子コ
   イルに沿って移動する第２の界磁部と、 上記第１及び第２の界磁部の移動方向に対して直角に延
   び、上記第１及び第２の界磁部を連結しているシャフト
   と、 上記第１及び第２の界磁部の移動方向の変化に対して上
   下方向の姿勢を保つように、上記シャフトを軸に回動可
   能に吊り下げられているかごとを備えていることを特徴
   とするロープレスリニアモータエレベーター。