JPH0528621U - 金型温度調節装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 金型の冷却精度を向上すると共に、金型の製
作を容易にする。 【構成】 金型１０，１２の冷却水通路１４，１６にお
いて、冷却水を供給する電磁開閉弁４０に対し常時開放
のバイパス路５４を併設し、冷却水量を射出成形時には
ポンプ２０の吐出量全量に設定し、また型開きによる製
品の取出し時には小量のバイパス流量に設定する。これ
により、金型温度を、温度検出器５２によって検出する
冷却水出口温度から正確に類推することができる。従っ
て、従来設けられていた金型温度検出孔を不要とし、冷
却水通路の設定が自由となり、冷却精度を向上し得る同
時に金型の構成が簡単となる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、プラスチックの射出成形用金型或いは圧縮成形用金型の温度調節装 置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に、例えば熱可塑性プラスチックの射出成形においては、溶融プラスチッ クを冷却固化するために金型内に冷却用熱媒体（通常冷却水）を供給して金型温 度を調節するが、この場合金型温度は、射出成形サイクルを短縮するためには低 温が望ましく、成形品の品質を確保するためにはむしろ反対に比較的高温が要求 される。したがって、金型温度は成形品の性状に対応して設定されて適宜所定の 温度に維持される。

【０００３】 次に、このような金型温度調節装置を具体的に説明すると、図２において、両 金型１０，１２にはそれぞれ冷却水通路１４，１６が設けられており、そしてこ の通路１４，１６内に冷却水または温水タンク１８内の冷却水または温水をポン プ２０、供給管２２、還り管２４を介して循環することにより、金型１０，１２ が冷却または加熱される。しかるに、ここで金型１０，１２のキャビティ２６近 傍にはそれぞれその検出孔２８，３０内に金型温度検出器３２，３４が設けられ ており、また冷却水または温水タンク１８には加熱を行うための電気ヒータ３６ と低温冷却水を補給するための電磁開閉弁３８とが設けられている。そして、こ の電気ヒータ３６または電磁開閉弁３８を温度検出器３２，３４の検出信号によ り制御することにより、タンク１８内の冷却水または温水の温度が補償的に制御 されて、金型温度が所定温度に調節されるように構成されている。なお、供給管 ２２には冷却水の供給、遮断用の電磁開閉弁４０が設けられていて、金型１０， １２への冷却水は射出成形工程の間にのみ供給される。また、参照符号４２，４ ４は、それぞれ温度検出器ならびに連結ホースを示す。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、前述した従来の金型温度調節装置は、金型内に温度検出器が設 けられていることから、以下に述べるような難点を有していた。

【０００５】 すなわち、一般に金型においては、その冷却水通路は、成形品の各部をできる だけ均一に冷却するため、例えばキャビティおよび融溶プラスチックの流路は冷 却水通路を密にすると共に、必要に応じて冷却水溜りを設けることが望まれる。 一方、温度検出孔は、プラスチック固化温度をできるだけ適正に保持するため、 キャビティ面近傍の代表的位置に設定することが望まれる。しかるに、従来の装 置においては前述したように温度検出器が金型内に設けられることから、金型内 において冷却水通路と温度検出孔とが互いに自由度を制約されて設けられ、この ため金型の加工が煩雑化する結果を招いていた。

【０００６】 そこで、本考案の目的は、金型内に温度検出孔を設けることを不要とし、金型 冷却精度を向上すると共に金型加工を容易にし、しかも金型温度を正確に類推す ることができる金型温度調節装置を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

先の目的を達成するために、本考案に係る金型温度調節装置は、冷却および加熱 用熱媒体を開閉弁を介して射出成形工程の間に金型へ供給して金型の温度を調節 する金型温度調節装置において、開閉弁に常時開放のバイパス路を設けると共に 金型の冷却および加熱用熱媒体排出口に温度検出器を設け、金型内を通過する冷 却および加熱用熱媒体の温度を常時検出することにより、金型内温度を類推する よう構成することを特徴とする。

【０００８】

【作用】

金型温度検出器は、金型の冷却および加熱用熱媒体排出口に冷却水出口温度検 出器として設けられるので、金型の冷却および加熱用熱媒体通路の設定が自由と なり、金型の冷却精度が向上すると同時に金型の加工が容易となる。一方、金型 内温度は、電磁開閉弁を閉じた時にも小量の冷却水を供給するように構成するこ とにより、常時金型内温度を検出することができ、これにより金型および成形品 の性状に対応して実際の金型温度を正確に類推して、その温度調節を適正に行う ことが可能となる。

【０００９】

【実施例】

次に、本考案に係る金型温度調節装置の一実施例につき添付図面を参照しなが ら以下詳細に説明する。なお、説明の便宜上、図２に示す従来の構造と同一の構 成部分については同一の参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。

【００１０】 図１において、本考案の金型温度調節装置の全体的構成は、図２に示す従来の 装置のそれと基本的に同一である。そこで、先ずこれについて簡単に説明すると 、金型１０，１２は、その冷却水通路１４，１６内に冷却水または温水タンク１ ８内の冷却水または温水をポンプ２０、供給管２２、還り管２４を介して循環す ることにより冷却または加熱される。そして、前記タンク１８には加熱用の電気 ヒータ３６と冷却水供給用の電磁開閉弁３８とが設けられており、これにより冷 却水温度が所定値に制御されて金型温度が所定温度に調節される。なお、図中、 参照符号２６はキャビティ、４０は冷却水供給遮断用の電磁開閉弁、４２温度検 出器、そして４４は連結ホースを示す。

【００１１】 しかるに、本考案の金型温度調節装置においては、金型１０，１２の金型温度 を一定に保つために冷却水（または温水）排出用の継手部５０に熱媒体である流 体の温度を検出するための温度検出器５２を設ける。そして、さらに冷却水（ま たは温水）供給遮断用の電磁開閉弁４０には、常時開放のバイパス路５４を設け る。なお、バイパス路５４には、バイパス流量を適宜設定するオリフィスあるい は調節弁５６を設けることができる。

【００１２】 このような構成において、前記温度検出器５２による温度検出信号は、金型調 節装置に供給され、適宜温度調節器を介して電磁開閉弁４０を動作させることに より、金型温度を精度よく一定に保持することが可能となる。なお、金型を暖め る際に、タンク１８内の熱媒体は金型設定温度よりも高くし、また冷却の際は、 金型設定温度よりも低くすることが必要である。

【００１３】 この結果、金型温度が、従来のこの種の装置と比較して安定化すると同時に、 この金型温度を、金型および成形品の性状に対応して冷却水出口温度から正確に 類推することが可能となる。しかも、冷却水通路１４，１６には、従来における ような金型温度検出孔は設けないので、その設定が自由となり、例えばキャビテ ィ２６および溶融プラスチック流路は通路密度を大きくすると共に必要に応じて 冷却水溜りを設定することも自由となる。したがって、冷却精度が向上すると同 時に、金型製作も容易となる。

【００１４】 このように、本考案によれば、金型温度調節を向上し得ると同時に、金型製作 も容易化することができる。そして、これによって、殊に小量多品種を要求され る現状において、成形品の品質並びに価格を大幅に改善できる利点が発揮される 。

【００１５】 以上、本考案を好適な一実施例について説明したが、本考案は前記実施例に限 定されることなく、その精神の範囲内において多くの設計変更が可能である。

【００１６】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案に係る金型温度調節装置は、金型の冷却水通路に 冷却水を供給する開閉弁にバイパス通路を設けることにより、金型温度が安定化 すると同時に、この金型温度を冷却水出口温度から、金型および成形品に対応し て正確に類推することが可能となる。しかも、金型内には従来のこの種装置にお ける金型温度検出孔が不要となるので、冷却水通路の設定が自由となり、冷却精 度が向上すると同時に、金型内構成が簡単となりその製作が容易となる。したが って、殊に小量多品種が要求される現状におて、成形品の品質ならびに価格を大 幅に改善することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る金型温度調節装置の一実施例を説
明するフローシート図である。

【図２】従来の金型温度調節装置を説明するフローシー
ト図である。

【符号の説明】

１０，１２ 金型 １４，１６ 冷却水
通路 １８ 冷却水または温水タンク ２０ ポンプ ２２ 供給管 ２４ 還り管 ２６ キャビティ ３１ 電気ヒータ ３８ 電磁開閉弁 ４０ 電磁開閉弁 ４２ 温度検出器 ４４ 連結ホース ５０ 継手部 ５２ 温度検出器 ５４ バイパス路 ５６ 調節弁

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ２９Ｃ 45/73 6949−4Ｆ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 冷却および加熱用熱媒体を開閉弁を介し
   て射出成形工程の間に金型へ供給して金型の温度を調節
   する金型温度調節装置において、開閉弁に常時開放のバ
   イパス路を設けると共に金型の冷却および加熱用熱媒体
   排出口に温度検出器を設け、金型内を通過する冷却およ
   び加熱用熱媒体の温度を常時検出することにより、金型
   内温度を類推するよう構成することを特徴とする金型温
   度調節装置。