JPH05285988A - 射出成形機における金型の取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】金型の心出しを熟練を要することなく容易にで
きるようにし、成形精度の向上並びに作業能率の向上を
図る。 【構成】金型８は、ベッド４上に固定されるとともに型
締シリンダ１６，１６を保持する固定側型板１８と、従
来のタイバーとガイドピンを兼ねるガイドロッドとして
の型締シリンダ１６，１６の進退ロッド１６ａ，１６ａ
に固定された可動側型板２０とから構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、金型内に溶融樹脂を
充填して成形を行う射出成形機に関し、詳しくは、金型
の取付構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、射出成形機では、４本のタイバー
で支持された固定ダイプレートと移動ダイプレートにそ
れぞれ金型の固定側型板と可動側型板とが取り付けられ
て対向配置されているとともに、移動ダイプレートをタ
イバー上で駆動可能に型締シリンダが設けられ、固定ダ
イプレート側には金型内に溶融樹脂を充填する射出ユニ
ットが設けられている構成となっている。また、金型の
固定側型板と可動側型板との間にはガイドピンとこのガ
イドピンの嵌合孔が相対的に形成されており、ガイドピ
ンで型合わせ精度を得るようになっている。

【０００３】型締シリンダの動作で移動ダイプレートが
駆動されて型閉じがなされ、型締め状態で射出ユニット
により金型内へ溶融樹脂が充填されるようになってお
り、型締力はタイバーで伝達されるようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、例えばオー
ディオディスク等の成形においては高精度の型合せ（金
型の心出し）技術が要求されるが、上述のような従来の
構成では、ガイドピンに基づく型合せ精度に加えてタイ
バーに基づくいわゆる機械側の心出し精度が要求される
ために、精度出し要素が二元的となって高い熟練度を要
していた。

【０００５】また、図６に示すように、ダイプレート７
０に取り付けられた金型７２の面積はタイバー７４の存
在によって規制され、さらに有効成形面積Ｓはガイドピ
ン７６の存在によって規制されている現状にあり、金型
のスペース使用率の低さが指摘されている。

【０００６】本発明者の考察によれば、型締力を伝達す
るタイバー機能と型合せのためのガイドピン機能とを集
約することが可能であり、これによる精度出しの一元化
によって型合せ精度の向上を期待できる。

【０００７】そこで、この発明は、金型の心出しを熟練
を要することなく高精度にできるとともに、金型のスペ
ース使用率の向上を図れる射出成形機における金型の取
付構造の提供をその目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記目的を
達成すべく創案されたもので、その特徴は、一方の金型
に型締力を伝達するガイドロッドが摺動可能に設けられ
ているとともに、上記ガイドロッドに他方の金型が固定
されている構成にある。

【０００９】また、この発明によれば、上記ガイドロッ
ドが型締シリンダの進退ロッドである構成とすることが
できる。

【００１０】

【作用】この発明によれば、型締シリンダの動作で一方
の金型がタイバーとガイドピンを兼ねるガイドロッドの
軸上を移動して型閉じがなされるとともに型締めがなさ
れる。ガイドロッドによってタイバー機能とガイドピン
機能が集約されるので、金型の心出し精度が一元化さ
れ、精度出しが容易となるとともに高精度となる。ま
た、ダイプレートを介さない直接支持構成であるので、
金型の有効成形面積が拡大される。

【００１１】また、この発明によれば、型締シリンダの
進退ロッドがガイドロッドを兼ねる兼ねることによっ
て、構成の簡易化がなされる。

【００１２】

【実施例】図１乃至図５はこの発明の一実施例を示すも
ので、ビデオディスクやオーディオディスク等のいわゆ
る円盤状記録媒体を成形するディスク成形機への適用例
を示すものである。

【００１３】ディスク成形機２のベッド４上には成形機
本体６が設置されており、成形機本体６には、金型８
と、一端側がベッド４上に固定された支持ブラケット１
０に取り付けられた２本の平行な支軸１２，１２と、こ
れらの支軸１２，１２間に横架された射出ユニット１４
と、一端側が支軸１２，１２に連結されるとともに他端
側が金型８の一方の金型に支持された型締シリンダ１
６，１６とが備えられている。

【００１４】金型８は、ベッド４に固定されるとともに
型締シリンダ１６，１６を保持する固定側金型１８と、
従来のタイバーとガイドピンを兼ねるガイドロッドとし
ての型締シリンダ１６，１６の進退ロッド１６ａ，１６
ａに固定された可動側金型２０とから構成されている。
符号１８ａはノズル案内孔を示す。

【００１５】進退ロッド１６ａは、図４に示すように、
固定側金型１８と可動側金型２０にいわゆる共合せ加工
によって同軸心上に形成された軸孔１８ｂ，２０ａに挿
通されており、固定側金型１８では、ベアリング部材１
９で摺動摩耗による心ずれを規制された状態で円滑摺動
可能に支持されている。

【００１６】射出ユニット１４は、射出シリンダやスク
リュ等を有するとともに油圧シリンダ等の駆動源で支軸
１２の軸方向に移動可能に設けられたユニット本体２２
と、ホッパ等からなる材料供給装置２４と、先端にノズ
ル２６を有して型締シリンダ１６，１６間に位置付けら
れた加熱シリンダ２８とから概略構成されている。

【００１７】次にディスク成形機２の成形動作を説明す
る。図５に示すように、進退ロッド１６ａ，１６ａの退
動で可動側金型２０が移動して型閉じがなされるととも
に、射出ユニット１４が移動して固定側金型１８に対す
るノズル２６のタッチがなされる。型締めがなされた状
態で金型８内へ樹脂が充填される。型開きは、進退ロッ
ド１６ａ，１６ａの前進動でなされる。

【００１８】以上の構成によれば、タイバーとガイドピ
ンの機能を兼ねるガイドロッドとしての進退ロッド１６
ａで直に固定側金型１８と可動側金型２０とが支持され
るので、金型８と成形機側の精度出しが一元化され、こ
れによって金型８の心出しが熟練を要することなく容易
に行えるとともに、精度の向上がなされる。

【００１９】また、ガイドピンの不要によって金型８の
有効成形面積の拡大を図ることができる。

【００２０】また、この例では型締シリンダ１６の進退
ロッド１６ａ自体がガイドロッドとしてなるので、構成
の簡易化を図ることができる。

【００２１】次に図４に基づいて金型８の構成を説明す
る。固定側金型１８中央部にはスプルブシュ３０が取り
付けられており、型対向面にはキャビティの構成要素の
一方をなす固定側鏡面部３２がスプルブシュ３０に嵌合
されるとともに外周部をボルト３４で固定されて取り付
けられている。図中、明示しないが、固定側鏡面部３２
には転写母材としてのスタンパが取り付けられるように
なっており、スタンパは、内周押え部材（図示しない）
と外周押え部材３６とで保持されるようになっている。

【００２２】外周押え部材３６は、型間のスペーサを兼
ねるとともにキャビティの外周域を密閉するリング部材
３８と、このリング部材３８の内周に一体に形成される
スタンパ保持部４０とから構成されている。また、リン
グ部材３８の両側にはねじ孔３８ａが形成されており、
固定側金型１８又は可動側金型２０を貫通する通しボル
ト４２で人力による保持操作を要することなく固定側金
型１８と可動側金型２０とのいずれかに任意に取付変換
できるようになっている。

【００２３】これによって、スタンパ交換時の労力を軽
減できるとともに交換作業を容易且つ円滑に行うことが
できる。すなわち、従来のものにおいてはいずれか一方
の型板のみに着脱する構成であるため、スタンパ交換中
は重量物である外周押え部材３６を保持する必要がある
が、通しボルト４２を入れ換えることによって可動側金
型２０側に一時的に仮止めするすることができ、型閉じ
状態で通しボルト４２を再度入れ換えて締め付けること
によって、保持操作を要することなく固定側金型１８へ
取付け直すことができる。符号１８ｃ、２０ｂは通しボ
ルト４２の挿通孔を示す。

【００２４】一方、可動側金型２０の中央部にはゲート
カット部材４４が取り付けられており、型対向面にはキ
ャビティの構成要素の他方をなす可動側鏡面部４６が取
付けられている。ゲートカット部材４４は、可動側金型
２０に固定されるシリンダ部材４８と、スプルエジェク
タピンを有するとともにシリンダ部材４８内に進退動可
能に設けられるカットピン５０とから構成されている。
可動側鏡面部４６はシリンダ部材４８に嵌合されてお
り、外周部をボルト５２で固定されている。

【００２５】ゲートカット部材４４の取付用孔２０ｃ
と、スプルブシュ３０の取付用孔１８ｄは進退ロッド１
６ａの軸孔１８ｂ，２０ａと同時に共合せ加工によって
同軸心上に形成されており、これによって、型合せが高
精度に保たれる。

【００２６】なお、上記例ではディスク成形への適用例
を示したが、これに限られるものではなく、他の成形に
も適用できるものである。また、上記例では型締シリン
ダ１６の進退ロッド１６ａをガイドロッドとしたが、無
論、ガイドロッドで固定側金型１８と可動側金型２０と
を直に支持するとともに、進退ロッド１６ａを可動側金
型２０に接続する構成とすることもできる。

【００２７】

【発明の効果】この発明によれば、型締力を伝達するガ
イドロッドでタイバーとガイドピン機能を兼ねる構成と
することができるので、金型の精度出しが一元化され、
これによって金型の心出しを熟練を要することなく容易
に行うことができるとともに、精度の向上を図ることが
できる。また、ガイドピンが存在しないので、金型の有
効成形面積の拡大を図ることができる。

【００２８】また、この発明によれば、型締シリンダの
進退ロッドがガイドロッドとしてなるので、部品点数の
低減によって構成の簡易化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る射出成形機における金型の取付
構造の一実施例を示す概要斜視図である。

【図２】同平面図である。

【図３】同側面図である

【図４】金型の概要断面図である。

【図５】金型を閉じた状態の平面図である。

【図６】従来の金型の取付構造を示す概要図である。

【符号の説明】

８ 金型 １６ 型締シリンダ １６ａ 進退ロッド（ガイドロッド） １８ 固定側金型 ２０ 可動側金型

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】対向配置された一対の金型を型締シリンダ
   で型締めし、金型内に溶融樹脂を充填して成形を行う射
   出成形機において、 一方の金型に型締力を伝達するガイドロッドが摺動可能
   に設けられているとともに、上記ガイドロッドに他方の
   金型が固定されていることを特徴とする射出成形機にお
   ける金型の取付構造。
2. 【請求項２】上記ガイドロッドが型締シリンダの進退ロ
   ッドである請求項１記載の射出成形機における金型の取
   付構造。