JPH05283727A - 太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール

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JPH05283727A
JPH05283727A JP4105986A JP10598692A JPH05283727A JP H05283727 A JPH05283727 A JP H05283727A JP 4105986 A JP4105986 A JP 4105986A JP 10598692 A JP10598692 A JP 10598692A JP H05283727 A JPH05283727 A JP H05283727A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高湿度の環境でも、出力低下が少なく、安定
に性能を発揮する太陽電池モジュールを提供することを
目的とする。 【構成】 導電性基体上に、裏面電極層、光電変換部材
としての半導体層、透明導電層及び集電電極を少なくと
も形成してなる光起電力素子101の光照射側表面が、
フッ素樹脂フィルム104で被覆された太陽電池モジュ
ールにおいて、該フッ素樹脂フィルム104の少なくと
も一方の面を、透明な無機化合物105でコーティング
したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、太陽電池モジュールに
係わり、より詳しくは、太陽電池モジュールの表面被覆
材に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、CO2の増加による温室効果で地
球の温暖化が生じることが予測され、クリーンなエネル
ギーの要求がますます高まっている。また、CO2を排
出しない原子力発電も、依然として放射性廃棄物処理の
問題が解決されておらず、より安全性の高いクリーンな
エネルギーが望まれている。
【0003】将来期待されているクリーンなエネルギー
の中でも、特に太陽電池はそのクリーンさと安全性と取
扱い易さから期待が大きい。
【0004】各種太陽電池の中で、非晶質シリコンや多
結晶シリコン,銅インジウムセレナイドなどの化合物半
導体は、薄膜で大面積に製造でき、製造コストも安価に
なると予想され、熱心に研究されている。
【0005】更に、太陽電池の中でも、耐候性、耐衝撃
性、可とう性に優れていることから、基板材にステンレ
ス等の金属基板を用いる場合がある。ステンレス基板な
どの金属基板は電解研磨などの特殊な処理をのぞいて、
ガラス基板などに比較して平坦性が劣り、その上に薄膜
の光起電力素子を形成する場合には、欠陥が発生し易
く、耐候性に問題があった。
【0006】これら光起電力素子は、一般的に金属基板
上に裏面電極層、光電変換層としての半導体層、透明導
電層、集電電極が形成された構成である。また、金属基
板に形成した光起電力素子を用いた太陽電池モジュール
を作製する場合には、軽量という特徴を生かすために、
光入射側の表面をフッ素樹脂などの材料で被覆する場合
が多い。
【0007】上記構成の従来の太陽電池モジュール、す
なわち、金属基体上に形成した光起電力素子を複数個接
続し、耐候性と透光性を有した樹脂で被覆した太陽電池
モジュールには、光照射の下で温湿度サイクル試験を行
うと、水分の影響により出力が低下するという問題があ
る。そこで、光照射の下での温湿度サイクル試験でも、
出力が低下しないモジュール構成あるいは材料の開発が
強く望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の従来
の欠点を解決し、高湿度の環境でも、出力低下が少な
く、安定に性能を発揮する太陽電池モジュールを提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来の
欠点を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、表面被覆材
の表面を無機化合物でコーティングすることによって、
外部から太陽電池モジュールヘの透湿を抑え、高湿度の
環境での出力低下を低減できることを見いだした。
【0010】本発明の太陽電池モジュールは、導電性基
体上に、裏面電極層、光電変換部材としての半導体層、
透明導電層、集電電極を少なくとも形成してなる光起電
力素子の光照射側表面がフッ素樹脂フィルムで被覆され
た太陽電池モジュールにおいて、該フッ素樹脂フィルム
の少なくとも一方の面を無機化合物でコーティングした
ことを特徴とする。
【0011】
【作用】以下に、本発明の作用と共に発明の構成を詳細
に説明する。
【0012】図1に、本発明の太陽電池モジュール例の
概略断面図を示した。図1において、100は裏面補強
板、101は直並列化された光起電力素子、102は接
着層、103は無機化合物をコーティングしたフッ素樹
脂フィルム、104はフッ素樹脂フィルム、105は無
機化合物層である。
【0013】図1(a)は、光入射側とは反対側に無機
化合物層をコーティングしたフッ素樹脂フィルムで表面
被覆をした太陽電池モジュールを示し、(b)は光入射
側に無機化合物をコーティングしたフッ素樹脂フィルム
を使用した場合の太陽電池モジュールを示している。も
ちろん、両面を無機化合物でコーティングしたフッ素樹
脂フィルムで太陽電池を被覆することも可能である。
【0014】図1に示したように、フッ素樹脂フィルム
の表面の少なくとも一方の面をコーティングすることに
より、外部からの水分の侵入を抑え、太陽電池の出力低
下を低減することが可能となる。従って、高湿度雰囲気
での光照射でも太陽電池の出力は安定して得ることがで
きる。
【0015】本発明の無機化合物としては、例えば酸化
珪素、窒化珪素、炭化珪素、アルミナ、酸化チタン、酸
化マグネシウム及び酸化ジルコニアから選択される少な
くとも1種類以上のものが使用される。
【0016】本発明の太陽電池モジュールに用いるフッ
素樹脂フィルムに無機化合物をコーティングするのは、
フッ素樹脂の濡れ性が悪いために、一般の方法(例えば
塗布など)では困難であるが、プラズマCVD(Chemic
al Vapor Deposition)法、あるいはスパッタ法などの
方法を採用することでフッ素樹脂表面にもコーティング
することが可能になる。
【0017】これらの無機化合物のコーティングをスパ
ッタ法で行う場合、上記無機化合物のターゲットを用い
スパッタ蒸着して、あるいは上記無機化合物を構成する
金属をターゲットにして反応性ガスの雰囲気でスパッタ
してフッ素樹脂上に薄膜コーティングを行う。スパッタ
リングは通常アルゴン雰囲気下で行うが、上記無機化合
物が酸化物の場合には、反応性ガスには、例えば酸素ガ
スを、窒化物の場合には、例えば窒素ガスあるいはアン
モニアガスを、炭化物の場合には、例えばメタンガスあ
るいはアセチレンガスなどをアルゴンガスに添加して行
う。フッ素樹脂とコーティング膜の密着性を高めるため
に、スパッタリング時に水素ガスを少量導入するのが好
ましい。
【0018】プラズマCVD法で無機化合物をコーティ
ングするには、酸化珪素は珪素元素と酸素元素を含有す
るガスから、窒化珪素は珪素元素と窒素元素を含むガス
から、炭化珪素は珪素元素と炭素元素を含有するガスか
ら、アルミナはアルミニウム元素と酸素元素を含有する
ガスあるいはガス状にしたものから、酸化チタンはチタ
ン元素と酸素元素を含有するガスあるいはガス状にした
ものから、酸化ジルコニアはジルコニア元素と酸素元素
を含有するガスあるいはガス状にしたものから、RF
(ラジオ)波あるいはマイクロ波のような高周波放電で
プラズマ化して、フツ素樹脂上に無機化合物のコーティ
ングを施す。
【0019】上記プラズマCVDの具体的な原料ガスと
しては、珪素元素を含む原料では、例えばSiH4、S
26、SiH2Cl2など、酸素元素を含む原料では、
例えばO2、N2Oなど、窒素元素を含む原料では、例え
ばN2、NH3など、炭素元素を含む原料では、例えばC
4、C22など、アルミニウムを含む原料では、例え
ばAl(OC253,Al(C253、AlCl3
ど、チタニウムを含む原料では、例えばTi(OC
254,Ti(OC494、TiCl4など、ジルコ
ニアを含む原料では、例えばZr(O2524などが
使用できる。室温で液状の原料を使用する場合は、例え
ば加熱、あるいは不活性ガスでバブリングして、ガス化
して使用する。コーティング膜の原料ガスに水素が含ま
れてない場合は水素ガスを混合することが望ましい。
【0020】本発明の太陽電池モジュールの作製方法
は、一例として、裏面補強板に接着シートで挟んだ光起
電力素子を載せ、フッ素樹脂フィルムをかぶせ、減圧下
で1Kg/cm2程度の圧力を加えて、所定時間加熱し
てラミネートして作製する方法がとられる。
【0021】フッ素樹脂フィルムとしては、例えばET
FE(四フッ化エチレンーエチレン共重合体),PCT
FE(三フッ化塩化エチレン樹脂),PFA(四フッ化
エチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体),FEP(四フッ化エチレン―六フッ化プロピレン
共重合体),PVDF(フッ化ビリニデン樹脂),PV
F(フツ化ビニル樹脂)などが使用される。
【0022】本発明の太陽電池モジュールのフッ素樹脂
フィルムの接着層としては、例えば酢酸ビニルーエチレ
ン共重合体(EVA)、PVB(ポリピニルブチラー
ル)、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素化ポリイ
ミド樹脂、アクリル樹脂などの透明な樹脂を主成分とす
る接着剤を使用する。上記接着剤には、架橋剤が含有さ
れ、接着剤の光劣化を抑制するために、紫外線吸収剤が
含有されていることが望ましい。
【0023】さらに、太陽電池モジュールの光電変換効
率の低下を少なくするために、上記接着剤層の光透過率
は、400nm以上の波長領域で、80%以上であるこ
とが好ましい。また、入射光の反射によるロスを少なく
するためには、接着剤層の屈折率は、1.4〜2.0の
範囲であることが好ましい。
【0024】本発明の太陽電池モジュールに用いる光起
電力素子としては、一例として図2の概略断面図に示し
た構成になっている。図2において、200は導電性基
体、201は裏面電極層、202は光電変換部材として
の半導体層、203は透明導電層、204は集電電極で
ある。201の裏面電極層は200の導電性基体で兼ね
ることもできる。
【0025】導電性基体200としては、例えばステン
レススチール,アルミニウム,銅,チタン,カーボンシ
ート,亜鉛メッキ鋼板等、及び導電層が形成してあるポ
リイミド,ポリエステル,ポリエチレンナフタライド,
エポキシなどの樹脂フィルムやセラミックス等が挙げら
れる。
【0026】半導体層202としては、例えば非晶質シ
リコン、結晶シリコン、銅インジウムセレナイドなどの
化合物半導体等が好適に用いられ、半導体層の構成とし
ては、pin接合、pn接合、ショットキー型接合が用
いられる。
【0027】非晶質シリコンを用いる場合は、例えばシ
ランガスなどのプラズマCVDにより形成する、多結晶
シリコンの場合は、例えば溶融シリコンのシート化ある
いは非晶質シリコンの熱処理により形成する、CuIn
Se2/CdSの場合は、例えば電子ビーム蒸着やスパ
ッタリング,電析(電解液の電気分解による析出)など
の方法で形成する。
【0028】また、半導体層は、少なくとも裏面電極層
201と透明導電層203にサンドイッチされた構造に
なっている。
【0029】裏面電極層201には、金属層あるいは金
属酸化物、あるいは金属層と金属酸化物層の複合層が用
いられる。金属層の材質としては、例えばTi,Cr,
Mo,W,Al,Ag,Ni,Cu,Auなどが用いら
れ、金属酸化物層としては、例えばZnO,TiO2
SnO2などが採用される。上記金属層および金属酸化
物層の形成方法としては、例えば抵抗加熱蒸着,電子ビ
ーム蒸着,スパッタリング法などがあげられる。
【0030】透明導電層203に用いる材料としては、
例えばIn23、SnO2、In23−SnO2(IT
O),ZnO,TiO2、Cd2SnO4、高濃度不純物
ドープした結晶性半導体層などがあり、その形成方法と
しては、例えば抵抗加熱蒸着法,電子ビーム蒸着法,ス
パッタリング法,スプレー法,CVD法,不純物拡散法
などがある。
【0031】光起電力素子は、まず導電性基体200上
に、裏面電極層201、半導体層202、透明導電層2
03を順次形成した後、集電電極を形成して作製する。
集電用グリッド電極の材料としては、例えばTi、C
r、Mo、W、Al、Ag、Ni、Cu、Sn,Au,
Pd等の金属及び銀ペーストなどの導電性ペーストが用
いられる。
【0032】グリッド電極の形成方法には、例えばマス
クパターンを用いたスパッタリング、抵抗加熱、CVD
の蒸着方法、あるいは全面に金属層を蒸着した後にエッ
チングしてパターニングする方法、光CVDにより直接
グリッド電極パターンを形成する方法、グリッド電極パ
ターンのネガパターンのマスクを形成した後にメッキに
より形成する方法、導電性ペーストを印刷して形成する
方法などがある。グリッド電極材に銀を使用しない場合
にはグリッド電極と集電バスバーを接着する導電性接着
剤に銀ペーストが用いられる。
【0033】導電性ペーストは、通常、例えば銀、金、
銅、ニッケル、カーボンなどの微粉末金属をバインダー
ポリマーに分散させたものが使用される。バインダーポ
リマーとしては、例えばポリエステル、エポキシ、アク
リル、アルキド、ポリビニルアセテート、ゴム、ウレタ
ン、フェノール等の樹脂がある。
【0034】本発明の太陽電池モジュールの背面材とし
ては必要に応じて、例えば各種絶縁性樹脂、セラミック
ス、ガラス、絶縁被覆した金属基板、アルミニウムラミ
ネートフィルム、無機化合物をコーティングしたフッ素
樹脂フィルムなどが用いられる。
【0035】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明す
る。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0036】(実施例1) (無機化合物のコーティング)図3のプラズマCVD装
置を用い、ETFEフッ素樹脂フィルムに窒化珪素膜の
コーテイングを行った。。
【0037】処理方法は、以下の通りである。まず、プ
ラズマ処理装置の送りロール307側にコイル状のET
FE樹脂フィルム300を装着し、200℃に加熱し、
10-6Torrの真空度まで排気した後、ガス導入管3
06からSiH4ガスを6sccm,NH3ガスを172
sccm,H2ガスを54sccmの流量で導入し、堆
積室305内の圧力を0.2Torrに調節した。次
に、13.56MHzの高周波電源304から300ワ
ットの出力を供給して放電し、プラズマを発生させた。
同時に、巻取りロール308でコイル状のETFE樹脂
フィルムを巻取りながら、窒化珪素膜をETFE樹脂フ
ィルム上に1μmコーティングした。
【0038】(光起電力素子の作製)アモルフアスシリ
コン(a−Si)光起電力素子を作製した。以下、図2
を参照して、作製手順を説明する。
【0039】洗浄した0.125mm厚のステンレス基
体200上に、スパッタ法によって裏面電極201とし
て、Al膜厚500nm、ZnO膜厚500nmを順次
形成した。ついで、プラズマCVD法により、SiH4
とPH3とH2からn型a−Si層を、SiH4とH2から
i型a−Si層を、SiH4とBF3とH2からp型微結
晶μc−Si層を形成し、n層膜厚15nm/i層膜厚
400nm/p層膜厚10nm/n層膜厚10nm/i
層膜厚80nm/p層膜厚10nmの積層構成の半導体
層202を形成した。次に、透明導電203として、O
2雰囲気下でInを抵抗加熱法で蒸着することによっ
て、In23を70nm形成した。
【0040】続いて、銀ペースト(Dupont Inc製#550
4)をスクリーン印刷機で格子状に印刷した後、125
℃で熱処理をして集電電極204を形成し、アモルファ
スシリコン光起電力素子を作製した。
【0041】(太陽電池のモジュールの作製)上記窒化
珪素でコーティングしたETFE樹脂フィルムから所定
の大きさ切り出し、太陽電池モジュールの表面被覆材と
して使用した。透明な接着剤として架橋剤と紫外線吸収
剤を添加して成形したシート状のEVAを用いた。背面
材としては、絶縁処理した亜鉛鋼板を用いた。
【0042】前記方法で作製した光起電力素子を所望の
出力が得られるように直並列接続した後に、図1(a)
の構成で、すなわちETFE樹脂フイルムの窒化珪素コ
ーティング層が、接着層EVA102に接触するように
配置して、光入射側からETFEフィルム103/EV
A102/光起電力素子101/EVA102/絶縁処
理した亜鉛鋼板100の順に重ねた後、真空ラミネータ
ーに入れ、1Torr程度に真空排気し大気圧の圧力を
かけた状態で、140℃で30分間加熱して太陽電池の
表面被覆を施した。ただし、太陽電池の出力端子は、あ
らかじめ背面材の亜鉛鋼板に出力端子用の孔を開けてお
いて取り出しておいた。
【0043】(評価試験)表面被覆した太陽電池モジュ
ールの評価試験を以下の方法で行なった。環境試験機に
て、100mW/cm2の光を照射しながら、低温側は
−40℃、高温側は85℃、相対湿度85%の条件で、
温湿度サイクル試験を10サイクル行い、試験前後の光
起電力素子のAM1.5、100mW/cm2の光照射
下の出力を10サンプル測定し比較評価した。
【0044】試験後の太陽電池モジュールの平均の出力
低下は、4%以下であった。これに対して、窒化珪素の
コーティングを行わなかった未処理のETFE樹脂フイ
ルムを用いて表面被覆した太陽電池モジュールを上記同
一の試験を行った場合には、試験後の平均の出力低下は
15%以上となった。
【0045】(実施例2) (無機化合物のコーティング)図3の構成のマグネトロ
ンスパッタ装置を用いて、PCTFE樹脂フィルム上に
酸化珪素膜をコーティングした。ターゲット材302に
は二酸化珪素をもちいた。先ず、PCTFE樹脂フィル
ムを250℃に加熱し、10-6Torrの真空度まで排
気した後、ガス導入管306からをArガス6scc
m,O2ガス2sccm、H2ガスを1sccmの流量で
流し、スパッタ処理室305内の圧力を5mTorrに
調節した。次に、13.56MHzの高周波電源から2
00ワット供給して、2μm厚の酸化珪素のコーテイン
グを施した。
【0046】(光起電力素子の作製)実施例1と同様に
して光起電力素子を作製した。
【0047】(太陽電池のモジュールの作製)太陽電池
モジュールの被覆は、図1(b)の構成でPCTFEフ
ィルム/EVA/グラスファイバーシート/EVA/光
起電力素子/EVA/グラスファイバーシート/EVA
/絶縁処理した亜鉛鋼板の順に積み重ね、実施例1と同
様の方法で太陽電池モジュールを作製した。
【0048】(評価試験)被覆した太陽電池モジュール
の評価試験方法も実施例1と同様とした。試験後の太陽
電池モジュールの平均の出力低下は、2%以下であっ
た。これに対して、酸化珪素のコーティングを行わなか
った未処理のPCTFE樹脂フィルムを用いて表面被覆
した太陽電池モジュールを上記同一の試験を行った場合
には、試験後の平均の出力低下は8%以上であった。
【0049】(実施例3) (無機化合物のコーティング)図4に示した概略構成の
マイクロ波放電プラズマCVD装置を用いて、FEP樹
脂フィルムの片面にアルミナのコーティングを行った。
【0050】コーティング方法は、以下の通りである。
まず、FEP樹脂フィルムを200℃に加熱し、10-6
Torrの真空度まで排気した後、ガス導入管406か
ら、Arガス100sccmでAl(OC253をバ
ブリングしたガスと、O2ガス300sccmを導入
し、堆積室405の内圧を0.1Torrに保った。次
に、マイクロ波電源404からマイクロ波導波管403
と導入窓402を通して300ワットのマイクロ波を導
入して放電させ、FEPフィルム401上にマイクロ波
プラズマCVDでアルミナを1μmコーティングした。
【0051】(光起電力素子の作製)本実施例では、半
導体層が多結晶シリコンの光起電力素子を作製した。ま
ず、スパッタ法にてCrをコーティングしたステンレス
基板上に、液相成長法にて水素ガス雰囲気中の炉内で、
純度6NのSnにSbドープのSiを溶かした溶液を、
1000℃から900℃まで毎分2℃の速度で降温し
て、毎分0.4ミクロンの速度で、約30ミクロンの多
結晶シリコン膜を成長させた。続いて、プラズマCVD
法で、SiH4とBF3とH2からp型微結晶μc−Si
層を堆積して接合を形成した後、膜厚60nmのITO
を抵抗加熱法で蒸着し、更に集電電極としてCr(膜厚
50nm)/Ag(1μm)/Cr(50nm)を電子
ビームによるマスク蒸着によって形成し、光起電力素子
を作製した。
【0052】(太陽電池のモジュールの作製)表面被覆
する太陽電池モジュールの構成は、図1(a)において
FEP樹脂フィルム103/透明な弗素化ポリイミド系
接着剤102/光起電力素子101/透明な弗素化ポリ
イミド系接着剤102/ポリエステルフィルムでラミネ
ートしたアルミ箔100の構成にして、表面被覆は、実
施例1と同様な手順で行なった。
【0053】(評価試験)被覆した太陽電池モジュール
の評価試験方法は実施例1と同様とした。試験後の太陽
電池モジュールの平均の出力低下は、3%以下であっ
た。これに対して、アルミナのコーティングを行わなか
った未処理のFEP樹脂フイルムを用いて表面被覆した
太陽電池モジュールを上記同一の試験を行った場合に
は、試験後の平均の出力低下は11%以上であった。
【0054】以上述べたように、実施例1、2、3の太
陽電池モジュールの評価試験とコーティング未処理の樹
脂フィルムで被覆した太陽電池モジュールの評価試験の
結果から、本発明の無機コーティングした樹脂フィルム
を使用して表面被覆をすることによって、高湿度下環境
においても太陽電池性能低下は大幅に抑えられることが
わかる。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、高湿度の環境において
も、出力低下が極めて少ない太陽電池モジュールを提供
することができる。したがって、本発明の構成を採用す
ることによって、長期間の屋外環境にも安定した出力性
能を発揮することが可能な太陽電池モジュールを提供す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池モジュールの概略断面図の一
例である。
【図2】本発明の太陽電池モジュールを形成する光起電
力素子の概略断面図の一例である。
【図3】フッ素樹脂フィルムに無機化合物をコーティン
グするためのRFプラズマCVD装置(あるいはスパッ
タ装置)を示す概念図である。
【図4】フッ素樹脂フィルムに無機化合物をコーティン
グするためのマイクロ波プラズマCVD装置を示す概念
図である。
【符号の説明】
100 背面材、 101 光起電力素子、 102 接着層、 103 無機化合物をコーティングしたフッ素樹脂フィ
ルム、 104 フッ素樹脂フィルム、 105 無機化合物層、 200 導電性基体、 201 裏面電極層、 202 半導体層、 203 透明導電層、 204 集電電極、 300,400 コイル状フッ素樹脂フィルム、 301,401 フッ素樹脂フイルム、 302 カソード電極(ターゲット)、 303 アノード(アース)電極、 304 高周波電源、 305,405 プラズマ処理室、 306,406 ガス供給管、 307,407 送りロール、 308,408 巻き取りロール、 309,409 プラズマ、 402 マイクロ波導入窓、 403 マイクロ波導波管、 404 マイクロ波電源。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に、裏面電極層、光電変換
    部材としての半導体層、透明導電層及び集電電極を少な
    くとも形成してなる光起電力素子の光照射側表面が、フ
    ッ素樹脂フィルムで被覆された太陽電池モジュールにお
    いて、該フッ素樹脂フィルムの少なくとも一方の面を、
    透明な無機化合物でコーティングしたことを特徴とする
    太陽電池モジュール。
  2. 【請求項2】 前記無機化合物は、酸化珪素、窒化珪
    素、炭化珪素、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウ
    ム及び酸化ジルコニアから選択される少なくとも1種類
    の無機化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の太
    陽電池モジュール。
  3. 【請求項3】 前記無機化合物は、プラズマCVD法ま
    たはスパッタ法によりコーティングされたことを特徴と
    する請求項1または2記載の太陽電池モジュール。
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