JPH05279981A - 抄紙機の駆動制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 抄紙機の駆動制御装置において、マスタモー
タに対して揃速加速を可能とする。 【構成】 速度制御器に与えるべき基準信号が、速度基
準発生器の速度基準から、速度制御器の出力に一定比率
をかけ算し、速度基準を減算する垂下帰還器の出力を減
算するものとなる。したがって、メカニカルロスが、あ
らかじめ記憶されたメカニカルロスメモリからの速度基
準に対応したメカニカルロスと、速度基準の微分値と慣
性モーメントメモリにあらかじめ記憶されている駆動系
の慣性モーメントとのかけ算値との和となるフィードフ
ォワードのトルク基準に対しては、速度基準を減算しな
い。この結果、メカニカルロスト慣性モーメントがあら
かじめ設定された負荷の場合には、マスタモータと揃速
加速し、定常状態においてはほぼ同じ速度で制御するこ
とができるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、マスタモータに対し
て垂下特性付き速度制御を行なう抄紙機の駆動制御装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、抄紙機ロールの駆動電動機をマス
タモータに揃速させるために速度制御する抄紙機の駆動
制御装置では、垂下特性の補償なしに、単に速度基準に
対して慣性モーメントおよびメカニカルロスの補償を与
えてトルク基準とし、トルク制御を行なうようにしてい
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来の抄紙機の駆動制御装置では、抄紙機のロールの経
年磨耗によるロール径の変化や偏心などでマスタモータ
に対して厳密に揃速することができなくなってくる問題
点があった。

【０００４】この発明は、このような従来の問題点に鑑
みなされたもので、マスタモータに対する揃速加速が厳
密に制御できる抄紙機の駆動制御装置を提供することを
目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明の抄紙機
の駆動制御装置は、電源電力を所定の電力に変換する電
力変換器と、前記電力変換器により抄紙機ロールを可変
速駆動する駆動電動機と、前記駆動電動機の速度を検出
する速度検出器と、前記電力変換器が駆動電動機に供給
する電流を検出する電流検出器と、マスタモータに対す
る一定比率の速度基準を出力する速度基準発生器と、前
記速度基準発生器からの速度基準に対して、あらかじめ
速度基準に対するメカニカルロスを記憶したメカニカル
ロスメモリと、前記速度基準を微分する微分器と、駆動
系の慣性モーメントを記憶する慣性モーメントメモリ
と、前記慣性モーメントメモリに記憶された慣性モーメ
ントと前記微分器の出力をかけ算するかけ算器と、前記
速度基準と前記速度検出器からの速度信号とトルク基準
に対して一定比率を乗じた帰還信号とによって速度制御
を行なう速度制御器と、前記速度制御器の出力と前記か
け算器の出力と前記メカニカルロスメモリの出力の和を
トルク基準とし、前記電流検出器により帰還されるトル
ク帰還値によりトルク制御を行なうトルク制御器と、前
記トルク制御器の出力により、前記電力変換器の電力変
換率を制御する位相制御器とを備えたものである。

【０００６】請求項２の発明の抄紙機の駆動制御装置
は、電源電力を所定の電力に変換する電力変換器と、前
記電力変換器により抄紙機ロールを可変速駆動する駆動
電動機と、前記駆動電動機の速度を検出する速度検出器
と、前記電力変換器が駆動電動機に供給する電流を検出
する電流検出器と、マスタモータに対する一定比率の速
度基準を出力する速度基準発生器と、前記速度基準発生
器からの速度基準に対して、あらかじめ速度基準に対す
るメカニカルロスを記憶したメカニカルロスメモリと、
前記速度基準を微分する微分器と、駆動系の慣性モーメ
ントを記憶する慣性モーメントメモリと、前記慣性モー
メントメモリに記憶された慣性モーメントと前記微分器
の出力をかけ算するかけ算器と、前記速度基準と前記速
度検出器からの速度信号と自らの出力に対して一定比率
を乗じた帰還信号とによって速度制御を行なう速度制御
器と、前記速度制御器の出力と前記かけ算器の出力と前
記メカニカルメロスメモリの出力の和を基準とし、前記
電流検出器により帰還されるトルク帰還値によりトルク
制御を行なうトルク制御器と、前記トルク制御器の出力
により、前記電力変換器の電力変換率を制御する位相制
御器とを備えたものである。

【０００７】

【作用】請求項１の発明の抄紙機の駆動制御装置では、
電源電力を変換して駆動電動機に与え、ロールを可変速
駆動する電力変換器が位相制御器により制御されるが、
位相制御器はトルク制御器の出力により制御される。そ
して、このトルク制御器に対して、速度基準発生器の発
生する速度基準を微分する微分器の微分出力と、あらか
じめ与えられた駆動系の慣性モーメントを記憶する慣性
モーメントメモリの値とをかけ算するかけ算器の出力
と、速度基準からあらかじめ設定されたメカニカルロス
を発生し、定常トルク基準を出力するメカニカルロスメ
モリの出力とを合算し、フィードフォワードのトルク基
準を与える。

【０００８】また、速度制御器は、速度基準発生器から
の速度基準と、電動機の速度を検出する速度検出器の速
度帰還値と、自らの出力トルク基準と上記のフィードフ
ォワードのトルク基準との和に一定比率を掛け、速度基
準から減算して垂下特性を持たせて速度制御を行なう。
そしてこの速度制御器の出力とトルク基準の和を基準と
し、電力変換器の駆動電動機に与えるトルクを帰還する
電流検出器の電流検出信号によりトルクを制御するトル
ク制御器は、位相制御器へ位相制御基準を出力し、駆動
電動機の制御を行なう。

【０００９】こうして、駆動電動機の垂下特性制御を行
なうことにより抄紙機ロールのマスタロールに対する揃
速加速を行なう。

【００１０】また請求項２の発明の抄紙機の駆動制御装
置では、速度制御器に与えるべき基準信号が、速度基準
発生器の速度基準から、速度制御器の出力に一定比率を
かけ算し、速度基準を減算する垂下帰還器の出力を減算
するものとすることにより、メカニカルロスが、あらか
じめ記憶されたメカニカルロスメモリからの速度基準に
対応したメカニカルロスと、速度基準の微分値と慣性モ
ーメントメモリにあらかじめ記憶されている駆動系の慣
性モーメントとのかけ算値との和となるフィードフォワ
ードのトルク基準に対しては、速度基準を減算しない。

【００１１】この結果、メカニカルロスト慣性モーメン
トがあらかじめ設定された負荷の場合には、マスタモー
タと揃速加速し、定常状態においてはほぼ同じ速度で制
御することができるようになる。

【００１２】

【実施例】以下、この発明の実施例を図に基づいて詳説
する。

【００１３】図１は請求項１の発明の一実施例を示して
いる。図１において、１は電力変換器、２は駆動電動
機、３はこの駆動電動機２により可変速駆動されるロー
ルである。また、４は駆動電動機２の速度を検出する速
度検出器、５は電力変換器１に与えられる電流を検出す
る電流検出器、６は電力変換器１に対する位相制御を行
なう位相制御器（ＰＨＣ）、７はトルク制御器（Ｔ
Ｃ）、８は速度制御器（ＳＣ）である。さらに、９は速
度基準を与えるための速度基準発生器、１０は速度基準
対する微分器、１１はかけ算器、１２は駆動系の慣性モ
ーメント（ＧＤ₂ ）をあらかじめ記憶している慣性モー
メントメモリ、１３は速度基準に対するメカニカルロス
を出力するメカニカルロスメモリ、そして、１４は垂下
帰還器である。

【００１４】次に、上記構成の抄紙機の駆動制御装置の
動作について説明する。

【００１５】電源電力を変換して駆動電動機２に与え、
ロール３を可変速駆動する電力変換器１が位相制御器
（ＰＨＣ）６により制御されるが、位相制御器６はトル
ク制御器（ＴＣ）７の出力により制御されるようになっ
ている。

【００１６】そして、このトルク制御器７に対して、速
度基準発生器９の発生する速度基準を微分する微分器１
０の微分出力と、あらかじめ与えられた駆動系の慣性モ
ーメント（ＧＤ² ）を記憶する慣性モーメントメモリ１
２の値とをかけ算するかけ算器１１の出力と、速度基準
からあらかじめ設定されたメカニカルロスを発生し、定
常トルク基準を出力するメカニカルロスメモリ１３の出
力とを合算し、フィードフォワードのトルク基準を与え
るようにしている。

【００１７】また、速度制御器８は、速度基準発生器９
からの速度基準と、電動機２の速度を検出する速度検出
器４の速度帰還値と、自らの出力トルク基準と上記のフ
ィードフォワードのトルク基準との和に一定比率を掛
け、速度基準から減算して垂下特性を持たせる垂下帰還
器１４の値から速度制御を行なうようにしている。

【００１８】さらに、この速度制御器８の出力とトルク
基準の和を基準とし、電力変換器１の駆動電動機２に与
えるトルクを帰還する電流検出器５の電流検出信号によ
りトルクを制御するトルク制御器７は、位相制御器６へ
位相制御基準を出力するようにしている。

【００１９】こうして、速度制御器８に垂下特性制御を
行なわせるようにすることにより、抄紙機のロールをマ
スタロールに対して正確に揃速加速することができるよ
うになる。

【００２０】しかしながら、上記実施例の抄紙機の駆動
制御装置では、マスタモータが加速する時にも垂下特性
により速度基準を減らすため、同一セクションでありな
がらマスタモータと異なった速度基準で速度制御される
ことが起こり得て、なお揃速加速ができない場合が有り
得る。また、速度基準を与える速度基準発生器は、図２
に示すように駆動電動機のトルクが０に対する基準を与
えるために、トルクが０でない場合にはマスタモータと
異なる速度で制御される場合があり、このために、速度
基準値を与えることが操作員にとって煩わしくなること
も考え得る。

【００２１】このような点で改良を加えたのが図３に示
す請求項２の発明の抄紙機の駆動制御装置であり、マス
タモータと厳密な揃速加速ができ、しかも速度基準発生
器の速度基準設定を容易にするものである。この請求項
２の発明の一実施例の抄紙機の駆動制御装置について、
以下、図３に基づいて説明する。

【００２２】図３に示すように、この実施例の抄紙機の
駆動制御装置は、電力変換器１と、この電力変換器１に
より可変速駆動される駆動電動機２と、この駆動電動機
２により可変駆動される抄紙機ロール３と、駆動電動機
２の速度を検出する速度検出器４と、電力変換機１が駆
動電動機２に供給する電流を検出する電流検出器５とを
備えている。

【００２３】また、電力変換器１の電力変換率を制御す
る位相制御器（ＰＨＣ）６と、この位相制御器６を制御
するトルク制御器（ＴＣ）７と、このトルク制御器７に
対してトルク基準を与える速度制御器（ＳＣ）８を備え
ている。

【００２４】さらに、マスタモータに対して一定比率の
速度基準を速度制御器８に与える速度基準発生器９と、
この速度基準発生器９の速度基準を微分する微分器１０
と、かけ算器１１と、駆動系の慣性モーメント（Ｇ
Ｄ² ）を記憶し、かけ算器１１にその慣性モーメントを
与える慣性モーメントメモリ１２と、速度基準発生器９
からの速度基準に対するメカニカルロスをあらかじめ記
憶したメカニカルロスメモリ１３と、速度制御器８の出
力に一定の比率をかけた帰還量を速度基準から減算して
速度制御器８に入力とする垂下帰還器１４とを備えてい
る。

【００２５】そして、速度制御器８は、速度基準発生器
９からの速度基準と、速度検出器４からの速度信号と、
垂下帰還器１４により自らの出力に対して一定比率を乗
じた帰還信号との合算信号によって速度制御を行なうよ
うになっている。

【００２６】またトルク制御器７は、速度制御器８の出
力と、かけ算器１１の出力とメカニカルロスメモリ１３
の出力との和出力とを基準とし、電流検出器５により帰
還されるトルク帰還値によりトルク制御を行なうように
なっている。

【００２７】さらに位相制御器６は、このトルク制御器
７の出力によって電力変換器１の電力変換率を制御する
ようになっている。

【００２８】次に、上記構成の抄紙機の駆動制御装置の
動作について説明する。

【００２９】電力を変換して駆動電動機２に与え、ロー
ル３を可変速駆動する電力変換器１が位相制御器（ＰＨ
Ｃ）６の出力ａにより制御されるが、位相制御器６はト
ルク制御器（ＴＣ）７の出力ｂにより制御される。

【００３０】そして、このトルク制御器７に対して、速
度基準発生器９の発生する速度基準ｃを微分する微分器
１０の微分出力ｄと慣性モーメントメモリ１２にあらか
じめ与えられている駆動系の慣性モーメント（ＧＤ² ）
ｅとをかけ算するかけ算器１１の出力ｆと、速度基準発
生器９からの速度基準ｃに対応するメカニカルロスを発
生し、定常トルク基準を出力するメカニカルロスメモリ
１３の出力ｇとを合算し、フィードフォワードのトルク
基準ｈを与える。

【００３１】また、速度制御器８は、速度基準発生器９
からの速度基準ｃと、電動機２の速度を検出する速度検
出器４の速度帰還値ｉと、自らの出力トルク基準ｊに一
定比α率を掛けた値αｊとの和を、速度基準ｃから減算
して垂下特性を持たせる垂下帰還器１４の値ｋから速度
制御を行なう。

【００３２】さらに、この速度制御器８の出力ｊとフィ
ードフォワードのトルク基準ｈとの和を基準とし、電力
変換器１の駆動電動機２に与えるトルクを帰還する電流
検出器５の電流検出信号ｌを減算した信号ｍによりトル
クを制御するトルク制御器７は、位相制御器６へ位相制
御基準ｂを出力する。

【００３３】このようにして、この実施例の抄紙機の駆
動制御装置では、速度制御器８の基準信号ｋは、速度基
準発生器９の速度基準ｃから、速度制御器８の出力ｊに
一定の比率をかけ算する垂下帰還器１４の出力αｊと速
度検出器４の検出した速度信号ｉとを減算したものとな
り、メカニカルロスメモリ１３にあらかじめ記憶された
メカニカルロスｇと、速度基準ｃの微分値ｄと慣性モー
メントメモリ１２にあらかじめ記憶された慣性モーメン
トｅとのかけ算器１１の出力ｆとの和となるフィードフ
ォワードのトルク基準ｈに対しては速度基準ｃを減算す
ることはない。この結果、メカニカルロス、慣性モーメ
ントがあらかじめ設定された負荷の場合には、マスタモ
ータと揃速加速し、定常状態においてはほぼ同速にて制
御することができるようになる。すなわち、図４におい
て、Ａ点の速度基準を与えることができるようになるの
である。

【００３４】

【発明の効果】以上のように請求項１の発明によれば、
速度制御に垂下特性を持たせているために、抄紙機ロー
ルをマスタモータに対して正しく揃速加速することがで
き、抄紙機の運転を円滑ならしめることができる。

【００３５】また請求項２の発明によれば、速度制御器
の出力分のトルク基準値に対してのみ一定比率をかけて
得た垂下帰還量を速度基準信号に対して減算し、速度制
御に対する基準値とするようにしたので、トルク制御器
に与えられるトルク基準を帰還させて垂下帰還器により
一定比率をかけ、これを速度基準から減算して速度制御
器に対する基準値とする場合と異なり、垂下特性によっ
て速度基準を減らすことがなく、マスタモータといっそ
う厳密な揃速加速ができ、また操作員による速度基準発
生器の速度基準設定が容易になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１の発明の一実施例の回路図。

【図２】上記実施例の動作特性図。

【図３】請求項２の発明の回路図。

【図４】上記実施例の動作特性図。

【符号の説明】

１ 電力変換器 ２ 駆動電動機 ３ ロール ４ 速度検出器 ５ 電流検出器 ６ 位相制御器 ７ トルク制御器 ８ 速度制御器 ９ 速度基準発生器 １０ 微分器 １１ かけ算器 １２ 慣性モーメントメモリ １３ メカニカルロスメモリ １４ 垂下帰還器

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電源電力を所定の電力に変換する電力変
   換器と、 前記電力変換器により抄紙機ロールを可変速駆動する駆
   動電動機と、 前記駆動電動機の速度を検出する速度検出器と、 前記電力変換器が駆動電動機に供給する電流を検出する
   電流検出器と、 マスタモータに対する一定比率の速度基準を出力する速
   度基準発生器と、 前記速度基準発生器からの速度基準に対して、あらかじ
   め速度基準に対するメカニカルロスを記憶したメカニカ
   ルロスメモリと、 前記速度基準を微分する微分器と、 駆動系の慣性モーメントを記憶する慣性モーメントメモ
   リと、 前記慣性モーメントメモリに記憶された慣性モーメント
   と前記微分器の出力をかけ算するかけ算器と、 前記速度基準と前記速度検出器からの速度信号とトルク
   基準に対して一定比率を乗じた帰還信号とによって速度
   制御を行なう速度制御器と、 前記速度制御器の出力と前記かけ算器の出力と前記メカ
   ニカルロスメモリの出力の和をトルク基準とし、前記電
   流検出器により帰還されるトルク帰還値によりトルク制
   御を行なうトルク制御器と、 前記トルク制御器の出力により、前記電力変換器の電力
   変換率を制御する位相制御器とを備えて成る抄紙機の駆
   動制御装置。
2. 【請求項２】 電源電力を所定の電力に変換する電力変
   換器と、 前記電力変換器により抄紙機ロールを可変速駆動する駆
   動電動機と、 前記駆動電動機の速度を検出する速度検出器と、 前記電力変換器が駆動電動機に供給する電流を検出する
   電流検出器と、 マスタモータに対する一定比率の速度基準を出力する速
   度基準発生器と、 前記速度基準発生器からの速度基準に対して、あらかじ
   め速度基準に対するメカニカルロスを記憶したメカニカ
   ルロスメモリと、 前記速度基準を微分する微分器と、 駆動系の慣性モーメントを記憶する慣性モーメントメモ
   リと、 前記慣性モーメントメモリに記憶された慣性モーメント
   と前記微分器の出力をかけ算するかけ算器と、 前記速度基準と前記速度検出器からの速度信号と自らの
   出力に対して一定比率を乗じた帰還信号とによって速度
   制御を行なう速度制御器と、 前記速度制御器の出力と前記かけ算器の出力と前記メカ
   ニカルメロスメモリの出力の和を基準とし、前記電流検
   出器により帰還されるトルク帰還値によりトルク制御を
   行なうトルク制御器と、 前記トルク制御器の出力により、前記電力変換器の電力
   変換率を制御する位相制御器とを備えて成る抄紙機の駆
   動制御装置。