JPH05279392A - ヒトヘモグロビン誘導体と、その合成方法と、それによって得られる物質と、この物質および誘導体の利用 - Google Patents

ヒトヘモグロビン誘導体と、その合成方法と、それによって得られる物質と、この物質および誘導体の利用

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JPH05279392A
JPH05279392A JP4239057A JP23905792A JPH05279392A JP H05279392 A JPH05279392 A JP H05279392A JP 4239057 A JP4239057 A JP 4239057A JP 23905792 A JP23905792 A JP 23905792A JP H05279392 A JPH05279392 A JP H05279392A
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Edith Dellacherie
デラシェリー エディス
Daniel Sacco
サッコ ダニエル
Michel Grandgeorge
グランジョルジュ ミシェル
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Pasteur Merieux Serum et Vaccines SA
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    • C07K14/805Haemoglobins; Myoglobins
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヒトヘモグロビン誘導体と、その合成方法
と、それによって得られる物質と、この物質および誘導
体の利用。 【構成】 ヘモグロビンテトラマーと少なくとも4つの
−COO- 基を有するポリカルボキシル化合物とを共有
カップリングさせて得られるヒトヘモグロビンテトラマ
ーの誘導体であって、上記ポリカルボキシル化合物はヘ
モグロビンの2つのダイマー間を内部架橋させ且つヘモ
グロビンの天然のアロステリックエフェクターが存在し
ない状態でも生体内で上記結合を利用できるような酸素
親和性をヘモグロビンに与えるものであることを特徴と
する誘導体。ポリカルボキシル化合物はベンゼンヘキサ
カルボキシレート、ベンゼンテトラカルボキシレートに
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、血管内に良好に存続し
且つ天然のヘモグロビンよりも酸素親和性が低い新規な
ヘモグロビン誘導体に関するものであり、特に、インビ
ボでヘモグロビンの天然のアロステリックエフェクター
(2,3−ジホスホグリセレート、DPG)の非存在下
でも酸素を運搬するのに利用可能なヘモグロビン誘導体
に関するものである。本発明はさらにこの誘導体の合成
方法と、それによって得られた物質と、この誘導体およ
び物質の酸素運搬剤、特に輸血における酸素運搬剤とし
ての利用に関するものである。
【0003】
【従来の技術】フランス国特許出願第 2,600,894号およ
び第 2,630,329号には、ポリアニオン部位、特にベンゼ
ンカルボキシレート部位、例えばポリカルボキシレート
部位を有する水溶性ポリマーは水溶性カルボジイミドの
存在下でヒトヘモグロビンに共有状態で結合できるとい
うこと、また、オキシ型ヘモグロビンと反応させた場合
でも、得られた結合体(conjugues) は(DPGの非存在
下で) 元の蛋白よりも酸素親和性が大幅に低くなるとと
いうことが示されている。
【0004】ベンゼンヘキサカルボキシレートに由来す
る部位をモノ置換したポリオキシエチレンをオキシヘモ
グロビンに結合して得られる結合体をさらに詳細に研究
した結果から、蛋白のアロステリックポケット(特にこ
のポケットにある末端βN−バリンのα−アミノ基)が
ポリマー固定用の特異な結合部位であるということが分
かっている〔デラシェリー(E. DELLACHERIE)とレオナー
ド(M. LEONARD)の "J.Protein Chem." 1991, (10)、6
1-67 〕。ヘモグロビンのアロステリック部位付近に陰
イオン基が存在すると、ヘモグロビンの酸素に対する親
和性が低下し、ポリマーの存在によって分子サイズが大
きくなり、変成ヘモグロビンは天然型のヘモグロビンよ
りもインビボで血管内に長く存続する(生体膜を通して
の拡散が大幅に減少する)。
【0005】これらのポリマー結合体を使用した場合に
は4つの大きな欠点、すなわち、反復使用した場合にア
ナフィラキシーショックの危険があり(デキストランで
観察される)、高分子量であるため服用できないという
問題(マルチテトラマーの形成)があり、これらの結合
体を含む溶液は粘性が高く、組織透過性が制限され、し
かも、ポリマーの価格が高いといった欠点がある。
【0006】また、オキシヘモグロビンとフマル酸等の
カルボン酸でエステル化された,3,5−ジブロモサリ
チル酸とを反応させることも提案されている〔エストッ
プ(T. N. Estop)達およびブキ(E.Bucci) 達、Internati
onal Symposium on Red Cell Substitutes, Holiday In
n, Fisherman's Wharf, San Francisco, California,
USA,16〜19, May 1989〕。デボア(A. Desbois)達は
2〜6個のカルボキシル基を有するポリカルボキシレー
トの酸素に対するヘモグロビンの挙動を研究している
〔J. Mol. Biol. 1975,92 (3) 479〜49〕。これは共有
結合の問題ではなく、ポリカルボキシレートとヘモグロ
ビンとの単なる相互作用の問題である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本出願人は、驚くべき
ことに、ある反応条件下では、遊離のベンゼンポリカル
ボン酸、好ましくはテトラ−ベンゼンヘキサカルボン酸
をオキシヘモグロビンに固定すると、天然のエフェクタ
ーが存在しない場合でも生体内で使用できる酸素親和性
を有し、しかも、ダイマーに分解しないヘモグロビン誘
導体ができるということを見出した。この後者の特性に
より、ヘモグロビンが血管および腎臓で失われるという
問題が解決され、従来用いられてきたポリマーが不要に
なり、従って、制御が困難な試薬での架橋を行わずに済
むようになる。本出願人はさらに、この現象を少なくと
も4つの−COO- 基を有する小さな分子のポリカルボ
キシル化合物にも適用することができることを見出し
た。すなわち、驚くべきことに、これらの分子はヘモグ
ロビンのαβダイマー間に分子間架橋(pont)を形成し
て、蛋白質を内部架橋させるということが分かった。こ
の架橋には2つの共有結合が関与するため、十分な効果
因子の役目をするためには少なくともさらに2つのカル
ボキシル基を持つ必要がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の対象物は、ヘモ
グロビンテトラマーと少なくとも4つの−COO- 基を
有するポリカルボキシル化合物との共有カップリングさ
せて得られるヒトヘモグロビンテトラマーの誘導体であ
って、上記ポリカルボキシル化合物はヘモグロビンの2
つのダイマー間を内部架橋させ且つヘモグロビンの天然
のアロステリックエフェクターが存在しない状態でも生
体内で上記結合を利用できるような酸素親和性をヘモグ
ロビンに与える、換言すれすば、血液が送られた組織で
酸素を放出できるように酸素と可逆的に結合可能な酸素
親和性をヘモグロビンに与えるものであることを特徴と
する誘導体にある。共有カップリングは酸素の存在下で
も不存在下でも起こり、従って、オキシヘモグロビンで
もデオキシヘモグロビンでも起こる。
【0009】ポリカルボキシル化合物(molecules polyc
arboxyliques) は4〜6つの−COO- 基を有するのが
好ましく、飽和または不飽和の単環状分子あるいは主鎖
に4〜6個の炭素原子を有する直鎖または側鎖を有する
分子であるのが好ましい。好ましいポリカルボキシル化
合物としてはポリカルボキシルベンゼン、特にヘキサま
たはテトラカルボキシルベンゼンと、ポリカルボキシル
シクロヘキサンとを挙げることができる。
【0010】本発明の他の対象は、少なくとも一部に本
発明の誘導体を含むヒトヘモグロビンテトラマーをベー
スとした酸素運搬溶液にある。
【0011】本発明のさらに他の対象は、ヘモグロビン
分子のテトラマー、好ましくはオキシヘモグロビンと上
記のポリカルボキシル化合物とを、ヘモグロビン分子の
2つのダイマー間で架橋が形成されるような条件下で、
共有カップリングさせることを特徴とするヘモグロビン
テトラマー誘導体の合成方法にある。
【0012】このカップリングは共有結合に適した試
薬、例えばN’−エチル−N−(3−ジメチルアミノプ
ロピル)カルボジイミドクロロハイドレート(EDC
I)あるいはペプチド合成で従来から用いられている他
の任意の試薬の存在下で行うのが好ましい。
【0013】カップリングは架橋率が約50%以上、好ま
しくは80%以上となり且つ誘導体のP50が1000Pa以上、
好ましくは1300Pa以上となる条件で行うのが好ましい
(P50は温度25℃、pH 7.2の0.05Mトリスバッファー中
で測定)。
【0014】ベンゼンヘキサカルボキシレート(BH
C)の場合には、ヘモグロビンとの共有カップリングを
モル比BHC/HbおよびEDCI/Hbをそれぞれ3およ
び8または5および6にすることができる。ベンゼンテ
トラカルボキシレート(BTC)の場合には、モル比B
TC/HbおよびEDCI/Hbをそれぞれ5および32にす
ることができる。本発明の有利な特徴の1つはカップリ
ングを塩化ナトリウムの存在下に行うことができる点に
ある。
【0015】本発明のさらに他の対象物は上記方法で得
られる安定化されたヘモグロビンテトラマー溶液、特
に、P50が1000Pa以上、好ましくは1300Pa以上であるヘ
モグロビン誘導体を50%以上、好ましくは80%以上含む
安定化されたヘモグロビンテトラマー溶液にある。
【0016】本発明の変成ヘモグロビンテトラマーは、
人体組織または器官への酸素の運搬を改善したい全ての
場合、例えば大量出血の場合(代用血液として)、各種
の血管抵抗が生じた場合(赤血球よりも小さい酸素運搬
体として)あるいは代用血液を用いてシャントを作らな
ければならない血管形成術の場合の酸素運搬体として人
体の治療分野で利用することができる。従って、本発明
のさらに他の対象は、本発明の誘導体またはその溶液を
用いて調製した人体用の酸素運搬体にある。
【0017】以下、図1〜5を参照して、N’−エチル
−N−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
クロロハイドレート(EDCI)の存在下で、ベンゼン
ヘキサカルボキシレート(BHC)とベンゼンテトラカ
ルボキシレート(BTC)とをヘモグロビンに共有カッ
プリングさせた本発明の実施例を詳細に説明する。
【0018】図1は、未変成ヘモグロビンがダイマーに
解離することを示す、セファクリル(Sephacryl) S−10
0 ゲルを用いたサイズ排除クロマトグラフィーの結果を
示しており、実線のピークはテトラマーに相当し(0.05
Mリン酸バッファー)、テトラマーよりも後に見られる
破線のピークはダイマーに相当する(1M塩化マグネシ
ウム)。検出波長は 254 nm である。図2は、リン酸を
溶出液としたゲル濾過(TSK G4000 SW)で得られ
る本発明の誘導体の代表的な溶出曲線 (クロマトグラ
ム) である。矢印は未変成へモグロビンおよびベンゼン
ポリカルボン酸(BHCおよびBTC)の溶出位置を示
している。検出波長 254 nm である。図3は、カチオン
交換カラム Mono Sで誘導体4(実施例4、表1)を溶
出した時の溶出曲線である。検出波長は 415 nm であ
る。図4と図5は、実施例4(表1)と実施例7(表
2)で得られた物質を MgCl2を溶出液としてセファクリ
ル(Sephacryl) S−100 でゲル濾過して得られた溶出曲
線である。検出波長は 254 nm である。
【0019】実施例で用いたヘモグロビン誘導体の分析
方法は以下の通りである。 (1) サイズ排除クロマトグラフィーではTSK G4000
SWカラム(30cm)(Touzart and Matignon 社製、フラン
ス)を使用し、0.05Mのリン酸バッファー(pH 7.2)で
0.7ml/分で溶出して、変成ヘモグロビンのサイズ(特
に分子間架橋がないことを確認するため) を確認し且つ
ベンゼンポリカルボン酸の残留がないことを確認する。 (2) イオン交換クロマトグラフィーでは Mono Sカラム
(25cm)(Pharmacia製、スウェーデン)を用い、10mMの
マロン酸バッファー(pH5.7) に0から0.3 MのLiCl濃度
勾配を付けて溶出し、未変成ヘモグロビンテトラマーの
比率を調べる(流速 2.5ml/分)。 (3) セファクリル(Sephacryl) S−100 ゲル(1.6 ×40
cm)を用いたサイズ排除クロマトグラフィーでは1Mの
MgCl2 を含む 0.1%のトリスバッファー(pH7.0)で50ml
/時で溶出して、変成ヘモグロビンのダイマーへの解離
を定量する。図1に示すように、この条件下では未変成
ヘモグロビンは完全にαβダイマーに解離する。 (4) P50(ヘモグロビンの50%が酸素と結合する時の酸
素分圧)の測定は0.05Mのトリスバッファー(pH7.2)で
25℃で行う。
【0020】
【実施例】実施例1〜5 (表1) 濃度 1.4mMの自然に酸素と結合したヒトヘモグロビン
の溶液10mlに、予め0.1Mの水酸化ナトリウムを用いてp
H 5.8とした濃度7.8mMのBHC水溶液 5.5ml(実施例
1、2および4)または 9.25ml(実施例3および5)を
添加する。この混合溶液のpHを 0.1Mの塩酸を用いて
6.5にし、蒸留水を用いて最終容積を30mlにする。次い
で、11mg(実施例1)、16.5mg(実施例2および3)ま
たは22mg(実施例4および5)のEDCIを攪拌しなが
ら加える。20℃で2時間反応を継続すると誘導体(架橋
ヘモグロビン)1〜5を得る。
【0021】実施例6(表1) 上記実施例と同様に操作するが、ヘモグロビン溶液は10
ml(1.4mM)とし、0.1 M−NaCl溶液を用いて調製した
BHC溶液 5.5ml(7.8mM)と、EDCIは22mg用い
た。溶液のpHを 0.1M−HClを用いて 6.5とし、最終濃
度を 0.1Mにするために塩化ナトリウム溶液を用いて最
終容積を30mlにする。誘導体(架橋ヘモグロビン)6を
得る。
【0022】実施例7〜9(表2) 濃度 1.4mMのオキシヘモグロビン溶液10mlに、予め
0.1Mの水酸化ナトリウムを用いて pH 5.8 にした濃度1
5mMのBTC水溶液それぞれ 4.7ml、 9.4ml、18.8ml
添加する。この混合液のpHを 0.1Mの塩酸を用いて 6.5
とし、蒸留水で最終容積を30mlにする。攪拌しながら、
EDCIを各々22、44および88mg添加し、20℃で2時間
反応を継続すると誘導体(架橋ヘモグロビン)7、8お
よび9を得る。
【0023】実施例10〜20(表2) 実施例7〜9と同じ操作を行うが、BTC水溶液の量を
各々18.8ml, 4.7ml,4.7mlとし、EDCIの量を各々6
6、44、88mgにする。誘導体(架橋ヘモグロビン)10、1
1および12を得る。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】 (注) (a) Mono S(カチオン交換)で得られたクロマトグラム
で求めた%。 (b) 1M-MgCl2媒体でセファクリル S-100を用いたクロマ
トグラムで求めた%。 (c) 温度25℃、pH 7.2の0.05Mトリスバッファー中で測
定。同一条件で測定した未変成ヘモグロビンのP50は 5
00Paであり、 DPGの存在下ではP50の最大値は1330Paで
ある。 (d) 本発明による架橋ヘモグロビン分子と、ポリカルボ
キシル分子が架橋を形成せずに結合しているヘモグロビ
ン分子(例えば蛋白の外側に結合しているもの)とを含
む;(e) = 100−(a) 。 Hb4 =常にテトラマーの形で存在するヘモグロビン(セ
ファクリル S-100を用いたクロマトグラフ−図4に見ら
れるように、MgCl2 のような解離媒体中でもテトラマー
の形で存在する)。
【0026】各実施例化合物を解析する際には架橋率と
誘導体のP50値とを同時に考慮しなければならない。適
当な溶液はP50値が少なくとも1000で架橋ヘモグロビン
を少なくとも50%(80%含むものは非常に好ましい)含
む必要がある。
【0027】ポリカルボキシルベンゼンで得られる結果
にバラつきがあることから、反応条件、特にポリカルボ
キシル分子/Hbのモル比およびEDCI/Hbのモル比
(EDCIは共有結合を生じさせる役目をする)が重要
性であり、場合によっては、塩化ナトリウムの存在(実
施例6)が重要であるということが分かる。各ポリカル
ボキシル分子に対する最適条件は当業者が容易に見出す
ことができる。前記実施例では、実施例4、6および12
が非常に満足できるものであり、少し劣るのは実施例2
である。
【0028】実施例4に基づく図3から、BHCとのカ
ップリング後に複数の生成物が観察される。これらの生
成物は互いに異なる酸性度を有している(アニオン交換
カラムにおいて未変成のテトラマーよりも早く溶出する
分子)。実施例4での未変成ヘモグロビンの割合は20%
である。変成生成物の酸性度の大小は、分子に結合した
BHCの酸性残留物の数に依存する。
【0029】図4と図5は実施例4(架橋率80%、P50
=1200)と実施例7(架橋率13%、P50=2025)での塩
化マグネシウム媒体を用いたゲル濾過の溶出曲線を示し
ている。これらの結果は架橋テトラマーとダイマーとの
比率を明確に示している(図1に示すように、塩化マグ
ネシウム媒体中ではヘモグロビンはダイマーへ完全に解
離する)。
【0030】誘導体1〜12間のサイズ分布および未変成
のヘモグロビンに対するサイズ分布を検討した。図2の
クロマトグラムは未変成ヘモグロビンと一致した単一の
ピークを示す。このことは、ヘモグロビン間に分子間架
橋がないという極めて結果を示している。しかも、BH
CおよびBTCの溶出位置にピークは全く見られない。
【0031】本発明の他の重要な利点はオキシヘモグロ
ビンに適用できるという点にある。従って、取り扱いが
極めて容易である。デオキシヘモグロビンを用いた場合
でも当然同じ結果が得られる。実施例1〜12ではEDC
Iの存在下で共有カップリングを行ったが、ペプチド合
成で通常使用されている他のカップリング法を採用する
ことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 未変成ヘモグロビンがダイマーに解離するこ
とを示す、セファクリル(Sephacryl) S−100 ゲルを用
いたサイズ排除クロマトグラフィーのクロマトグラム。
【図2】 リン酸を溶出液としたゲル濾過(TSK G
G4000 SW)で得られる本発明の誘導体の溶出曲線 (ク
ロマトグラム) 。
【図3】 カチオン交換カラム Mono Sで誘導体4(実
施例4、表1)を溶出した時の溶出曲線。
【図4】 実施例4(表1)で得られた物質を MgCl2
溶出液としてセファクリル(Sephacryl) S−100 でゲル
濾過して得られた溶出曲線。
【図5】 実施例7(表2)で得られた物質を MgCl2
溶出液としてセファクリル(Sephacryl) S−100 でゲル
濾過して得られた溶出曲線。
フロントページの続き (72)発明者 ダニエル サッコ フランス国 54000 ナンシー ブルバー ル シャルル サンク 11 (72)発明者 ミシェル グランジョルジュ フランス国 69670 ヴォーニュレー リ ュ ドュ ルクレ 12

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘモグロビンテトラマーと少なくとも4
    つの−COO- 基を有するポリカルボキシル化合物とを
    共有カップリングさせて得られるヒトヘモグロビンテト
    ラマーの誘導体であって、上記ポリカルボキシル化合物
    はヘモグロビンの2つのダイマー間を内部架橋させ且つ
    ヘモグロビンの天然のアロステリックエフェクターが存
    在しない状態でも生体内で上記の結合を利用できるよう
    な酸素親和性をヘモグロビンに与えるものであることを
    特徴とする誘導体。
  2. 【請求項2】 ポリカルボキシル化合物が4〜6個の−
    COO- 基を有する請求項1に記載のヘモグロビン誘導
    体。
  3. 【請求項3】 ポリカルボキシル化合物が飽和または不
    飽和の単環状分子あるいは主鎖に4〜6個の炭素原子を
    有する直鎖または側鎖を有する分子である請求項1また
    は2に記載のヘモグロビン誘導体。
  4. 【請求項4】 単環状分子が複数のカルボキシル基を有
    するベンゼンである請求項3に記載のヘモグロビン誘導
    体。
  5. 【請求項5】 ポリカルボキシル化合物が6つのカルボ
    キシル基を有するベンゼンである請求項4に記載のヘモ
    グロビン誘導体。
  6. 【請求項6】 ポリカルボキシル化合物が4つのカルボ
    キシル基を有するベンゼンである請求項4に記載のヘモ
    グロビン誘導体。
  7. 【請求項7】 ポリカルボキシル化合物が複数のカルボ
    キシル基を有するシクロヘキサンである請求項3に記載
    のヘモグロビン誘導体。
  8. 【請求項8】 少なくとも一部が請求項1〜7のいずれ
    か一項に記載の誘導体で構成されるヒトヘモグロビンテ
    トラマーをベースとした酸素運搬溶液。
  9. 【請求項9】 ヘモグロビン分子のテトラマー、好まし
    くはオキシヘモグロビンと、請求項1〜7のいずれか一
    項に記載のポリカルボキシル化合物とを、ヘモグロビン
    分子の2つのダイマー間で架橋が形成されるような条件
    下で、共有カップリングさせることを特徴とするヘモグ
    ロビンテトラマー誘導体の合成方法。
  10. 【請求項10】 カップリングを共有結合に適した試薬
    の存在下で行う請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 上記試薬がN’−エチル−N−(3−
    ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドクロロハドレ
    ート(EDCI)である請求項10に記載の方法。
  12. 【請求項12】 架橋率が少なくとも約50%、好ましく
    は約80%以上で、誘導体のP50値が約1000Pa以上、好ま
    しくは約1300以上となるような条件下でカップリングを
    行う請求項8〜10に記載の方法。
  13. 【請求項13】 ヘモグロビンとベンゼンヘキサカルボ
    キシレート(BHC)との共有カップリングを、BHC
    /Hbのモル比およびEDCI/Hbのモル比を各々3およ
    び8または5および6の付近にして行う請求項9に記載
    の方法。
  14. 【請求項14】 ヘモグロビンとベンゼンテトラカルボ
    キシレート(BTC)との共有カップリングを、BTC
    /HbおよびEDCI/Hbのモル比を各々約5および32の
    付近にして行う請求項9に記載の方法。
  15. 【請求項15】 塩化ナトリウムの存在下でカップリン
    グを行う請求項9〜13のいずれか一項に記載の方法。
  16. 【請求項16】 請求項9〜15のいずれか一項に記載の
    方法により得られる安定化されたヘモグロビンテトラマ
    ー溶液。
  17. 【請求項17】 P50値が1000Pa以上、好ましくは1300
    以上であるヘモグロビン誘導体を50%、好ましくは80%
    以上含む請求項16に記載の溶液。
  18. 【請求項18】 請求項1〜8のいずれか一項に記載の
    誘導体および請求項16または17に記載の溶液を用いて製
    造したヒトの酸素運搬体。 【0001】
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