JPH0527441A - 光または放射線感応性組成物とパターン形成方法とホトマスクの製造方法および半導体装置の製造方法 - Google Patents

光または放射線感応性組成物とパターン形成方法とホトマスクの製造方法および半導体装置の製造方法

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JPH0527441A
JPH0527441A JP3127776A JP12777691A JPH0527441A JP H0527441 A JPH0527441 A JP H0527441A JP 3127776 A JP3127776 A JP 3127776A JP 12777691 A JP12777691 A JP 12777691A JP H0527441 A JPH0527441 A JP H0527441A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光に対する感度が十分あり、遠紫外光等の短
波長光を用いたリソグラフィには適した光または放射線
感応性組成物を提供することである。 【構成】 主成分たるポリマーあるいはオリゴマーは、
化学組成の骨格がシロキサン構造(−Si−O−)して
いる。光または放射線により生じたアニオン種またはカ
チオン種により縮重合するような末端基あるいは側鎖基
を持つポリマーである。このため本発明の光または放射
線感応性組成物は光または放射線を照射した後、溶剤に
対して不溶化する。この時、現像液としては有機溶媒を
用いることができるだけでなく、末端基に極性を持たせ
ることによりアルカリ水溶液によっても現像できる。本
発明において光または放射線とは可視光、紫外光、遠紫
外光、真空紫外光、X線、γ線、電子線、イオン線等を
含むものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光または放射線(以下光
または放射線という場合、可視光、紫外線、遠紫外線、
X線、電子線、イオン線をさす)感応性組成物とそれを
用いたパターン形成方法、ホトマスクの製造方法および
半導体装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体装置の微細化につれて、リ
ソグラフィ工程で微細な所定のレジストパターンを得る
ことが必要である。リソグラフィ工程は、基板上に塗布
されたレジストに、マスクを介して光を照射する。マス
クには、光を遮断する遮光部と、光が透過する透過部と
で構成されている。照射される光は、マスク上のパター
ンをレンズで縮小して転写する縮小投影露光装置から照
射される。
【0003】図16(a)に従来用いられているレジス
トの化学式を示す。このレジストはアルカリ水溶液に対
して可溶となる高分子材料、例えばノボラック樹脂やフ
ェノール樹脂などを主成分としている。さらに、これに
感光剤、例えばナフトキノンジアジド化合物を混合させ
ることで、光や放射線に対して感応性のあるレジスト材
料となっている。感光剤のナフトキノン化合物は光また
は放射線が照射されるとカルボン酸が生成する。このカ
ルボン酸は、現像液であるアルカリ水溶液に対して溶け
て、レジストパターンが形成されるポジ型のレジスト材
料である。。
【0004】しかし、上記の光または放射線に感応する
材料では、光を照射してレジストが可溶性にするまでの
光または放射線を照射しなければならない量が比較的高
い、すなわちレジストとして感度が低い。このため、所
望のレジストパターンをを得るためには、比較的長時間
にわたって光または放射線の照射を行なわなければなら
ないという欠点を有する。
【0005】この問題を解決するために、化学増感型レ
ジストとよばれるレジストの開発が進められている。こ
のレジストは感光剤として光または放射線が照射される
ことにより酸を発生する化合物(酸発生剤)と、酸が存
在すると化学反応を起こすような化合物とから構成され
ている。すなわち、このレジストは、露光することによ
って感光剤である酸発生剤から生じた酸によってレジス
トの溶解速度を変化させるのでなく、露光によって酸発
生剤から生じた酸を触媒として、レジスト中に存在して
いる他の成分が化学反応を起こし、現像液に対するレジ
ストの溶解速度を変化させるものである。このようなレ
ジストは光または放射線が照射されることによって生じ
る感光剤の変化を、酸という触媒によって増幅する。こ
のため高感度のレジストとなる。
【0006】このような化学増感型レジストは、米国特
許4,491,628号に記載されている。すなわち、
種々の tert-ブチルエステルポリマーを主成分とし、酸
発生剤としてオニウム塩を含むレジストがある。このレ
ジストの化学式の例を図16(b)に示す。tert-ブチ
ルエステルとしてtert-ブトキシカルボニルオキシスチ
レンを用い、酸発生剤としてトリフェニルスルフォニウ
ムフロロアンチモネートを用いたレジストが示されてい
る。このレジストでは、光または放射線を照射すること
によりオニウム塩が酸を発生する。この酸による触媒作
用により tert-ブチルエステルが加水分解を起こす。こ
の作用によってレジスト皮膜で光または放射線が照射さ
れた領域は親油性から親水性に変化する。
【0007】また現在、光または放射線に感応するレジ
スト材料では、段差の大きい場所で高い解像度のレジス
トパターンを形成することができることが求められてい
る。
【0008】このような要請に応えるため、多層レジス
ト法が開発されている。これは、段差を平坦にするため
に厚い有機膜を形成する。その上にレジストパターンを
形成するための薄いレジスト膜を形成する。その後、こ
のレジストパターンをマスクにしてドライエッチングを
用いて下層の厚い有機膜をエッチングし、レジストパタ
ーンを転写する。多層レジスト法には、次の2つの方法
がある。
【0009】まず、レジストパターンを下層の厚い有機
膜に転写するために、下層の厚い有機膜と上層のレジス
ト膜との間に、酸素によるドライエッチングに対して耐
性を持つ塗布シリコン酸化膜等の中間層を設ける3層構
造の多層レジスト法がある。
【0010】もう一つは、上層のレジスト膜に酸素によ
るドライエッチングに対して耐性のある材料を用いる2
層レジスト法がある。
【0011】2層レジスト法は、多層レジスト法と比べ
て工程が簡単であるため有望視されている。2層レジス
ト法で用いられるレジストのほとんどが、シリコンがレ
ジスト中に含まれた材料である。シリコンはドライエッ
チングを行なう場合の、酸素プラズマに対して安定で、
ほとんどエッチング除去されない。シリコンを含んだレ
ジストパターンをマスクとして下層の厚い有機膜を酸素
プラズマにより容易にエッチングされる。このため、高
解像のレジストパターンの転写を行なうことができる。
【0012】2層レジスト法で用いられるシリコン含有
レジストは、(1)重合型単成分系レジスト、(2)ナ
フトキノン化合物を感光剤とした2成分系レジスト、
(3)化学増幅型レジストの3種類に分類できる。
【0013】重合型単成分系レジストとしては、ジャパ
ン・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス、2
2巻、L659ー660項、1983年(M.Morita, e
t.al., Jpn.J.Appl.Phis.,22,L659 (1983))に示された
レジストがある。このレジストの図17(a)に示した
ポリシロキサン構造のSNR(Silicon-based Negative
Resist)がある。このレジストは電子線及び遠紫外線に
ネガ型のレジストとしての感度を持ち、電子線に対する
感度は4.5μC/cm2である。現像液には有機溶媒、例
えば、ジイソブチルケトンとシクロヘキサノンの混合溶
剤が用いられる。これ以外にも、単成分型シリコン含有
レジストは数多く開発されている。例えば、エス・ピー
・アイ・イー、539巻、70−73頁、1985年
(R.G.Brault, R.L.Kubena and R.A.Metzger, SPIE, 53
9,70 (1985))には図17(b)に示されるような末端基
にトリシリルメチル基を持つポリシルセスキオキサンが
単成分レジストになることが報告している。このレジス
トの電子線に対する感度は40μC/cm2である。現像液
には有機溶媒としてエチレングリコールモノエチルエー
テルが用いられる。
【0014】ナフトキノン化合物を感光剤とし、シリコ
ンを含有したアルカリ溶液に可溶となる樹脂をベース樹
脂とした2成分系レジストとしては、ジャーナル・オブ
・エレクトロケミカル・ソサイアティ、132巻、90
9−913頁(Y.Saotomo, et.al., J.Electrochem.So
c., 132, 909 (1985))に記載されている。例えば、図1
7(c)に示す、トリメチルシリルメチル基を付加した
ノボラック樹脂をベースポリマーとし、ナフトキノン化
合物を感光剤としている。ベースポリマーには水酸基が
あり、アルカリ溶液に可溶となる。このため、現像液に
は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液な
どのアルカリ水溶液が用いられる。
【0015】また、エス・ピー・アイ・イー、920
巻、291−294頁、1988年(S.Imamura et.a
l., SPIE, 920,291 (1988)) に記載されたレジストを図
17(d)に示す。このレジストは、アセチル化ポリフ
ェニルシルセスキオキサンをベースポリマーとして用い
ている。この樹脂もまたアルカリ水溶液に可溶となる。
このため、ナフトキノン化合物を感光剤として加えるこ
とによってアルカリ水溶液による現像ができるポジ型レ
ジストとして使用できる。このレジストの紫外線感度は
g線に対し100mJ/cm2、i線に対しては40mJ/cm2
ある。
【0016】これ以外にも、ナフトキノン化合物を感光
剤として用い、シリコンを含有したアルカリ溶液に可溶
となる樹脂をベースポリマーとして用いたレジストは数
多く開発されている。これらのレジストの特徴はアルカ
リ水溶液での現像が可能であること、ナフトキノン化合
物を感光剤として用いているため感度がほぼ100mJ/c
m2程度となることである。
【0017】化学増幅型シリコン含有レジストは、上記
したように化学増幅型であるため高感度であり、高解像
度のレジストパターンを形成することができる。このよ
うなレジストとしては、例えば特開昭60−52845
に記載されている。感光剤として、光が照射されるとカ
チオンまたはアニオン種を発生する化合物、および、発
生したカチオンまたはアニオン種との反応によってシリ
ル基が離脱する樹脂をベースポリマーとして用いるレジ
ストが知られている。このレジストの例を図17(e)
に示した。図17(e)は、光または放射線が照射され
ると酸を発生する化合物にオニウム塩を用い、シリル基
が離脱するポリマーとしてポリトリメチルシロキシスチ
レンを用いたものである。
【0018】同様の構造のレジストとして、染料として
ペリレン(C20H12)を加えて紫外線(波長436nm)
に感度を持たせたレジストについて、プロシーディング
・マイクロサーキット・エンジニアリング、471頁、
1984年 (F.Buiguez, et.al., Proc. Microcircuit
Engineering p.471 (1984)に示されている。また、エス
・ピー・アイ・イー、920巻、13−20頁、198
8年(A.Steinmann et.al., SPIE, 920, 13 (1988)) に
記載されたレジストについて図17(f)に示す。光ま
たは放射線が照射されることで酸を発生する化合物とし
てオニウム塩を用い、ベースポリマーとしてポリトリメ
チルシリルフタルアルデヒドを用いたレジストである。
オニウム塩は遠紫外線(<300nm)にしか感度を持
たない。このため、増感剤としてペリレンを加えること
によりg線(436nm)に対する感度をもたせてい
る。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】従来から広く用いられ
てきた、ホトレジストであるノボラック樹脂に感光剤と
してナフトキノン化合物を加えた材料は、既に述べたよ
うに光に対する感度が十分でないこと、及び紫外線に対
する吸光度が大きいため、遠紫外光等の短波長光を用い
たリソグラフィには適していないという欠点があった。
【0020】これを解決するために種々の化学増幅型レ
ジストが開発されている。しかし、これらの化学増幅型
レジストを用いても、半導体装置の微細化が進み、大き
な段差が生じた基板上に微細なレジストパターンを形成
する場合には、レジストの解像できる能力を維持し、さ
らに露光光の焦点深度にのバラツキによる解像できる能
力の低下を防ぐために、多層レジスト法が必須となる。
【0021】種々の多層レジスト法を比較した場合、シ
リコンを含有したレジストを用いる2層レジスト法は、
プロセスが簡便であり、現行の半導体製造プロセスとの
整合性が良いことから最も有望であると考えられてい
る。しかし、現在までに開発されているシリコンを含有
したレジストの材料自体にまだ多くの問題を含んでい
る。このため、半導体製造プロセスに広く用いられるま
でには至っていない。
【0022】前述のシリコンを含有したレジストの分類
にしたがって、以下にその問題点を述べる。
【0023】単成分レジストのほとんどは重合型のレジ
ストである。また、露光後の現像時の現像液に有機溶剤
を用いている。現在、通常のホトレジストの現像液に
は、アルカリ水溶液、主として数%濃度の水酸化テトラ
メチルアンモニウム(TMAH)水溶液が用いられてい
る。アルカリ現像液と比べて有機溶媒による現像では、
現像液が高価でコストが高くつく。また、アルカリ現像
液は水で薄めると人体に悪い影響を与えることがないの
に対して、有機溶剤は水に対して溶解せず、処理するの
に膨大な設備が必要となる。また、有機溶剤は、人体に
対しても種種の疾病の原因となる。このため、作業時の
安全性、さらに公害に対する問題等が生じる。
【0024】また、有機溶媒を用いた現像では、レジス
トパターンとなるレジストの残存部に現像液が浸透し、
体積が膨張するいわゆる膨潤が生じる。このように膨潤
によるレジストパターンの解像度が低下するという問題
がある。
【0025】ナフトキノン化合物を感光剤として含有し
たシリコンを含んだアルカリ溶液に溶解する樹脂をベー
スポリマーとした2成分系レジストでは、アルカリ水溶
液の現像液で現像することができる。しかし、感光剤と
して従来のホトレジストの感光剤と同じナフトキノン化
合物を用いているため、光に対する感度はホトレジスト
と同等であり、これを高めることは困難である。
【0026】また、短波長光に対するナフトキノン化合
物の吸光度が大きい。このため、短波長光に対して十分
な感度が期待できない。また、現在のこの種のレジスト
の解像度は、最新のホトレジストの解像度に及ばない。
これはシリコンを含有したアルカリ溶液に可溶となる樹
脂の現像液に対する溶解速度の最適化がされていないこ
とによる。
【0027】シリコンを含有した化学増幅型レジストに
はアルカリ水溶液での現像ができるものがある。また、
光に対する感度も、光を照射する事で発生する酸によっ
て増幅され、解像度を低下させることなく向上させるこ
とができる。さらに、このレジストでは感光剤の濃度を
従来のホトレジストに比べて少なくすることができる。
このため、短波長光を感光剤が吸収することで生じる解
像度の低下を防ぐことができる。このレジストの問題点
は、シリコンの含有量がドライエンチングを行なうのに
十分でない点である。すなわち、露光後、レジストパタ
ーンを形成した後に、酸素のドライエッチングで下層に
パターンを転写する。このレジストではシリコンの含有
量が少ないため、上層のシリコンを含有したレジストの
パターンもエッチングされてしまうという問題がある。
下層レジストに十分焼き固めたホトレジストを用いる場
合のシリコンを含有したポリマーのシリコン含有率と下
層レジストに対する選択比の関係を図8に示す。横軸に
シリコンの含有量を示し、縦軸にホトレジストとシリコ
ンが含有されたポリマーとのエッチング量の比である選
択比を示している。シリコンが含有されていないと。ド
ライエッチングに対する選択比は0すなわち、エッチン
グが進行する。シリコンの含有量が多くなるにつれて選
択比は向上する。図中のサンプル11、21は後の実施
例で形成したレジストである。シリコンを含有したレジ
ストは通常0.1−0.3μmの膜厚で形成される。下
層のレジスト膜厚は、基板の段差が大きければ大きいほ
ど厚くするが通常2−5μm程度である。このため、シ
リコンを含有したレジストとの選択比は20−50程度
あればよい。ただし、十分な選択比がないとシリコンを
含有したレジストパターンの幅が減少してしまう。以上
の観点から、下層ホトレジストとの選択比を50以上得
られるようにするのが望ましい。このためには、30%
以上のシリコン含有率のレジストが必要となる。また、
上記したようにパターン幅の転写の精度はホトレジスト
に対する選択比が高いほど、すなわちシリコン含有率が
高いほど向上する。図16(e)で示したポリトリメチ
ルシロキシスチレンのシリコン含有率は14%、図16
(f)で示したポリトリメチルシリルフタルアルデヒド
のシリコン含有率は20%である。高いパターン精度を
得るためには十分とは言えず、より多くのシリコンを含
むポリマーをベースポリマーして用いることが必要であ
る。
【0028】本発明の目的は、光に対する感度が十分あ
り、遠紫外光等の短波長光を用いたリソグラフィには適
した光または放射線感応性組成物を提供することであ
る。
【0029】また、本発明の目的は、大きな段差が生じ
た基板上でも微細なレジストパターンが形成でき、レジ
ストの解像できる能力を維持し、さらに露光光の焦点深
度にのバラツキによる解像できる能力の低下を防ぐ光ま
たは放射線感応性組成物を提供することにある。
【0030】また、本発明の目的は、露光後の現像時の
現像液にアルカリ現像液を用いることができ、現像液が
安価で、処理が容易で、作業時の安全性、さらに公害が
発生することがない光または放射線感応性組成物を提供
することにある。
【0031】また、本発明の目的は、露光後の現像時
に、膨潤が生じ、レジストパターンの解像度が低下する
ことがない光または放射線感応性組成物を提供すること
にある。
【0032】また、本発明の目的は、短波長光に対する
吸光度が小さい光または放射線感応性組成物を提供する
ことにある。
【0033】また、本発明の目的は、シリコンの含有量
がドライエンチングを行なうのに十分な選択比をもち、
パターン幅の転写の精度が高い光または放射線感応性組
成物を提供する事にある。
【0034】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の光および放射線感応性組成物は、シロキサ
ン結合を骨格とするポリマーと、感光剤とで構成されて
いる。
【0035】また、シロキサン結合を骨格とするポリマ
ーであって、光または放射線が照射されてアニオン種ま
たはカチオン種が生じることで、縮重合する末端基ある
いは側鎖基を持つ。
【0036】また、シロキサン結合を骨格とするポリマ
ーと、光もしくは放射線の照射により酸を発生する感光
剤とからなる。
【0037】また、シロキサン結合を骨格とするポリマ
ーと、光もしくは放射線の照射によりラジカルを発生す
る感光剤からなる。
【0038】また、シロキサン結合を骨格とするポリマ
ーと、光もしくは放射線の照射により酸またはラジカル
を発生する感光剤と、前記酸またはラジカルの触媒作用
で前記ポリマーが脱水反応あるいは脱アルコール反応を
起こす光および放射線感応性組成物。
【0039】また、シロキサン結合を骨格とするポリマ
ーであって、前記ポリマーの側鎖あるいは末端基の少な
くとも一部が水酸基あるいはアルコキシル基である。
【0040】また、シロキサン結合を骨格とするポリマ
ーと、前記ポリマーと混合された感光剤とからなり、放
射される光および放射線が、電子線の場合、前記感光剤
の濃度が0〜10重量%、前記放射される光が紫外線の
場合、前記感光剤の濃度が0.2〜10重量%である。
【0041】また、シロキサン結合を骨格とするポリマ
ーと、前記ポリマーと混合された感光剤と、前記感光剤
と混合された極性溶媒に溶解性の高い染料とで構成され
ている。
【0042】また、本発明のパターン形成方法は、基板
上に、平坦化層を形成する工程と、前記平坦化層上にシ
ロキサン結合を骨格とするポリマーと感光剤とでなるレ
ジストを形成する工程と、前記レジストの所定領域を露
光する工程と、前記レジストをアルカリ現像液で現像す
る。
【0043】また、本発明のホトマスクの製造方法は、
ホトマスク基板上に形成された照射される光の位相を変
化させる位相シフタであって、前記位相シフタがシロキ
サン結合を骨格とするポリマーで形成されている。
【0044】さらに、本発明の半導体装置の製造方法
は、基板に半導体素子が形成する工程と、前記基板上に
ボンディングパッドおよび保護膜を形成する工程と、前
記保護膜で前記ボンディングパッド部分に窓を開ける工
程と、前記保護膜および前記ボンディングパッドにシロ
キサン結合の骨格を持つポリマーを形成する工程と、前
記ポリマーを露光・現像して、前記基板上に前記ポリマ
ーを残す。
【0045】
【作用】本発明の光または放射線感応性組成物はシロキ
サン結合を骨格として有するポリマーまたはオリゴマー
と光もしくは電離放射線によりカチオン種またはアニオ
ン種を発生する化合物を主成分としている。このため、
光に対する感度が十分あり、遠紫外光等の短波長光を用
いたリソグラフィには適している。また、大きな段差が
生じた基板上でも微細なレジストパターンが形成でき、
レジストの解像できる能力を維持し、さらに露光光の焦
点深度にのバラツキによる解像できる能力の低下を防ぐ
ことができる。
【0046】また、露光後の現像時の現像液にアルカリ
現像液を用いることができ、現像液が安価で、処理が容
易で、作業時の安全性、さらに公害が発生することがな
い。
【0047】また、露光後の現像時に、膨潤が生じ、レ
ジストパターンの解像度が低下することがない。
【0048】また、短波長光に対する吸光度が小さいた
め、解像度の高いレジストパターンが得られる。
【0049】また、シリコンの含有量がドライエンチン
グを行なうのに十分な選択比をもち、パターン幅の転写
の精度が高い。
【0050】以上のように、本発明の光または放射線感
応性組成物は、シリコン含有率の高い高感度で高解像度
なレジストであり、この光または放射線感応性組成物を
用いることにより、少ない露光量で、すなわち安価な露
光費用で高精度なレジストパターンを形成することがで
きる。
【0051】
【実施例】本発明に適用される主成分たるポリマーある
いはオリゴマーは、化学組成の骨格がシロキサン構造
(−Si−O−)している。光または放射線により生じ
たアニオン種またはカチオン種により縮重合するような
末端基あるいは側鎖基を持つポリマーである。このため
本発明の光または放射線感応性組成物は光または放射線
を照射した後、溶剤に対して不溶化する。
【0052】この時、現像液としては有機溶媒を用いる
ことができるだけでなく、末端基に極性を持たせること
によりアルカリ水溶液によっても現像できる。本発明に
おいて光または放射線とは可視光、紫外光、遠紫外光、
真空紫外光、X線、γ線、電子線、イオン線等を含むも
のである。
【0053】本発明に使用するシロキサン骨格のポリマ
ーまたはオリゴマーは、感光剤と混合し、光または放射
線を照射することにより重合反応を起こす。ここで、シ
ロキサンを骨格しとするポリマーとは、図1(a)に示
すような単鎖状のシロキサン、あるいは図1(b)に示
すようなラダー型のシロキサンすなわちポリシルセスキ
オキサン、および図1(c)に示す3次元構造を持つシ
ロキサンである。図中に示す、繰り返し単位に含まれる
有機基(側鎖)であるR1,R2、および末端基R3,
R4は、水素原子、水酸基、炭素数1〜5の低級アルキ
ル基、炭素数1〜5の低級アルコキシル基、フェニル
基、ベンジル基、フェノキシ基、ベンジロキシ基、トリ
アルキルシリル基等を示す。
【0054】なお、本発明に適用されるシロキサンポリ
マーの含有率は既に述べたようにドライエッチングに対
する耐性を高くするために、高いほど望ましい。特に、
10wt%以上、好ましくは50wt%以上含まれてお
れば、他の繰り返し単位、例えばスチレン、αーメチル
スチレン、メチルメタクリレート、メチルアクリレー
ト、等を同時に含んでいてもよい。シロキサンポリマー
が10wt%以下では十分にパターンを転写することが
できない。
【0055】次にシロキサンポリマーであるオリゴマー
の重合方法について具体例を挙げて詳述する。 (1)梯子形シリコーン(ポリオルガノシルセスキオキ
サン)の重合法 三官能性の硅素化合物の加水分解により、図1(b)に
示す、梯子型(ラダー型)シリコーンが得られる。三官
能性の硅素化合物としてメチルトリクロロシランを用い
た例について説明する。メチルトリクロロシラン1モル
に対し2モルの蒸留水を、還流冷却器を備えた反応容器
中で、2ppmの塩酸を用いて重合する。このとき還流
加熱を4時間行なって加水分解および縮合することで重
合する。この後、それをフィルターによってろ過し、ブ
タノールで溶解させてポリメチルシルセスキオキサンの
溶液を得る。この溶液は、末端基として水酸基を持つポ
リメチルシルセスキオキサンであって、図1(b)の化
学式でR1,R2がメチル基、R3,R4が水酸基であ
る。
【0056】上記の反応は次式のようになる。
【0057】
【化1】
【0058】また、フェニルトリエトキシシランを原料
として、同様の反応によりポリフェニルシルセスキオキ
サン、図1(b)の材料でR1,R2がフェニル基、R
3,R4が水酸基であるものが得られる。
【0059】さらに、メチルトリエトキシシランを原料
とし同様の反応により末端基として水酸基とエトキシ基
をほぼ等量含むポリメチルシルセスキオキサン、図1
(b)の材料でR1,R2がメチル基、R3,R4が水
酸基とエトキシ基であるものが得られる。
【0060】上記の反応は次式のようになる。
【0061】
【化2】
【0062】(2)鎖状シリコーン(ポリオルガノシロ
キサン)の重合法 二官能性の硅素化合物の加水分解により、図1(a)に
示す、鎖状シリコーンが得られる。例えば、ジメチルジ
クロロシランを加水分解および縮合することによりポリ
ジメチルシロキサンが得られる。この材料は、末端基に
水酸基を持つており、図1(a)の材料でR1,R2が
メチル基、R3が水酸基である。 (3)3次元編目状シリコーンの重合法 四官能性の硅素化合物の加水分解により、図1(c)に
示す、3次元編目状鎖状シリコーンが得られる。例え
ば、テトラクロロシランを加水分解および縮合すること
によりシロキサンが得られる。シロキサンは末端基に水
酸基を持っており、図1(c)の材料でR1,R3,R
4が水酸基となるものがえられる。
【0063】いずれの構造のポリシロキサンであって
も、出発物質である硅素化合物の感応基が塩素であると
き、末端基、すなわち図1の材料のR3,R4は水酸基
となる。感応基がアルコキシ基(上式ではエトキシ基)
であるときは、末端基は水酸基とアルコキシ基がほぼ等
量ずつとなる。
【0064】以上に述べたように、出発物質を適当に選
ぶことにより、シロキサンの骨格をもつ構造、側鎖基お
よび末端基を目的に応じて変化させて重合することがで
きる。
【0065】シロキサンの骨格をもつ構造では、鎖状、
梯子状、または3次元編目状の選択を行なうことができ
る。ここで、側鎖基は図1の材料のR1,R2で示され
る基であり、末端基は図1の材料のR3,R4で示され
る基である。
【0066】本発明に用いる光または放射線が照射され
て酸を発生する感光剤(開始剤まてゃ酸発生剤)として
は下記の(1)−(3)を例示することができる。しか
し、光または放射線の照射により酸を発生するものであ
れば如何なるものでもよく、米国特許第3,779,7
78号および特開昭63−236028号に記載された
光分解により酸を発生させる化合物もた本発明の組成物
として使用することができる。
【0067】本発明に用いる光または放射線が照射され
て酸を発生する感光剤(開始剤まてゃ酸発生剤)につい
て説明する。 (1)オニウム塩 オニウム塩は光または放射線が照射されると、ブレンス
テッド酸を生じる。オニウム塩としては、ジアリ−ルヨ
ードニウム塩(Ar2+-)、トリアリ−ルスルホニ
ウム塩(Ar3+-)、トリアリ−ルセレニウム塩
(Ar3Se+-)などをだある。ここでアリ−ル(a
ryl;Ar)は、メチル基、メトキシ基、t−ブチル
基、ニトロ基、塩素、CH3CONH−基をもつ1〜3
置換または無置換のベンゼン等である。また、陰イオン
-は、PF6 -,AsF- 6,SbF6 -,BF4 -,ClO4
-,CF3SO3 -,FSO3 -,F2PO2 -等がある。 (2)ジアゾニウム塩 アリ−ルジアゾニウム塩(ArN2 +-)は、光または
放射線が照射されるとルイス酸を生じる。ここでアリル
(Ar)は、メチル基、メトキシ基、モルホリノ基、ニ
トロ基、塩素基をもつ1〜3置換または無置換のベンゼ
ン等である。また、陰イオンX-は、PF6 -,As
6 -,SbF6 -,BF4 -,FeCl4 -,SbCl6 -,S
nCl6 -等である。 (3)スルホン酸エステル α−ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステル、
N−ヒドロキシイミドスルホネート、α−スルホニロキ
シケトン、β−スルホニロキシケトン、p−ニトロベン
ジルジエトキシアントラセンスルホネート、o−ニトロ
ベンジルトシレート(o-Nitrobenzyl tosylate)、ベンゾ
イントシレート(Benzoin tosylate)等のスルホン酸エス
テルは光または放射線が照射されるとスルホン酸を発生
する。
【0068】本発明に用いる光または放射線が照射され
るとラジカルを発生する感光剤(開始剤)としては下記
の(1)−(3)を例示することができる。しかし、光
または放射線の照射により酸またはラジカルを発生する
ものであれば如何なるものでもよい。
【0069】本発明に用いる光または放射線が照射され
るとラジカルを発生する感光剤(開始剤)を示す。 (1)芳香族ケトン ベンゾフェノン、チオキサントン、キノン、チオアクリ
ドン等の芳香族ケトンは光または放射線が照射されると
ラジカルを生成する。 (2)多ハロゲン化炭化水素 多ハロゲン化炭化水素としてはCBr4,CCl4、RC
Cl3、RCBr3が光または放射線が照射されるとラジ
カルを生成する。
【0070】ここで、Rは水素原子、アルキル基、アリ
ール基またはアラルキル基をである。 (3)トリアジン化合物 トリアジン(C333)の水素原子のうち1〜3個が
トリクロロメチル基(CCl3−)で置換された構造の
トリアジン化合物もまた光または放射線が照射されると
ラジカルを生成する。具体的な例として、2,4,6-Tris(t
richloromethyl)-1,3,5-triazine, 2,4-Bis(trichlorom
ethyl)-6-(p-methoxy-phenyl)-1,3,5-triazine)等があ
る。
【0071】本発明のレジストパターンを形成するため
の材料は末端基に水酸基、またはアルコキシ基を有する
シロキサンポリマーであるオリゴマーを主成分としたも
の、および感光剤を主成分としたものである。これらの
材料を有機溶剤中に溶解して固形分濃度が5〜50重量
%のレジスト溶液を形成する。このレジスト溶液を基板
上にスピン塗布により被膜を形成させる。この被膜上に
光または放射線を用いて所定部分に照射する。照射部分
では、感光剤から酸またはラジカルが生成する。この酸
またはラジカルによる触媒作用でシロキサンポリマーが
脱水反応あるいは脱アルコール反応を起こし重合する。
元のシロキサンポリマーを溶解するような現像液を用い
ると、重合部分は現像液に不溶となるのでネガ形のレジ
ストパターンを得ることができる。得られたパターンを
マスクとして基板に対して適当なエッチング液またはプ
ラズマ等でエッチングする事により基板にレジストパタ
ーンを反映した微細パターンの加工ができる。
【0072】以下に具体例を挙げてさらに本発明を詳細
に説明する。第1の実施例のレジスト材料を図2に示
す。
【0073】図2(a)には、シロキサンを骨格とし、
その側鎖にメチル基、末端基に水酸基とエトキシ基を有
するポリメチルシルセスキオキサンが示されている。こ
れをベースポリマーとして用いる。あるいはこの材料が
単独でレジスト材料となる。
【0074】図2(b)には、トリフェニルスルフォニ
ウムトリフレート(Triphenylsulfonium triflate) を感
光剤(開始剤)とした光または放射線感応性組成物が示
されている。
【0075】ベースポリマーであるポリメチルシルセス
キオキサンはメチルトリエトキシシランを加水分解、縮
合する事により得ることができる。このポリマーの数平
均分子量は1310、重量平均分子量3320である。
【0076】このポリマーをエチルアルコールとブチル
アルコールの重量比が1:1の混合溶媒に溶解して、1
0重量%溶液とする。さらに、感光剤としてトリフェニ
ルスルフォニウムトリフレートをポリマー100重量%
に対して1−5重量%加えレジスト溶液を作成した。
【0077】以下、レジスト溶液でその感光剤濃度の違
うレジストを、(表1)に示す。
【0078】
【表1】
【0079】(表1)に示された感光剤濃度によって、
それぞれのレジスト材料はサンプル10、11、12、
13、15とよぶことにする。
【0080】このレジスト溶液をスピン塗布法により、
シリコン基板上に塗布する。塗布条件は、2000回転
/分で行い、膜厚は0.5μmとなる。この塗布された
レジスト溶液をホットプレートにより75℃で2分間乾
燥する。この後、加速電圧25kVの電子線により所定
のパターンを描画する。その後、水酸化テトラメチルア
ンモニウム(TMAH)の5%水溶液を現像液として用
いて、1分間のディップ現像を行なう。現像により未照
射部分は溶解し、除去されたレジストパターンが形成し
される。
【0081】各々の感光剤濃度のレジストの電子線感度
及び遠紫外線感度を(表1)にまとめた。
【0082】(表1)には、このようにして各々の感光
剤濃度の異なるレジストの電子線感度を求め、掲載して
ある。電子線感度は現像後に、初期膜厚の50%の膜厚
の得られる露光量として定義している。
【0083】また、図3に感光剤濃度が0%および1%
のサンプル10およびサンプル11の電子線に対する感
度曲線を示す。
【0084】従来から用いられているシリコンを含有し
たレジストであるSNRの電子線感度が7〜17μC/cm
2であるのと比較しても、このレジストの方が非常に高
い感度を持っていることがわかる。また、同様の実験か
らサンプル11、12、13、15のいずれのレジスト
も、0.18〜0.3μC/cm2の露光量で0.5μmラ
インアンドスペースパターンを解像することができる。
また、ネガ形レジストで解像度の低下を招く、膨潤も観
察されない。
【0085】さらに、サンプル10である感光剤を含ま
ないレジストであっても電子線感度が8μC/cm2と、従
来のレジストと同等の高い電子線感度を持っている。こ
のことは、感光剤を含まないベース樹脂が単独でも従来
のレジストと同様に利用できる。このサンプル10のレ
ジストは単成分のレジストであり、電子線感度が比較的
高く、シリコンの含有率が高い。さらに、アルカリ水溶
液での現像ができる。このため、本ベースポリマーを加
工することなく電子線用のレジストとして用いることが
できる。
【0086】サンプル10は、ポリマーの重量平均分子
量が3320である。また、現像にはTMAH 5%溶
液を現像液に用いた。
【0087】図4に、THAH溶液の濃度に対するシロ
キサンポリマー(図2(a)に図示)の溶解速度の関係
を示す。図中の●印は、シロキサンポリマーの分子量
(Mw:重量平均分子量)が7044であり、分子量分
散(Mn/Mw:数平均分子量と重量平均分子量の比)
が2.1である試料を示す。また、○印は、シロキサン
ポリマーの分子量(Mw)が3320であり、分子量分
散(Mn/Mw)が2.5である試料を示す。さらに、
△印は、シロキサンポリマーの分子量(Mw)が150
7であり、分子量分散(Mn/Mw)が1.39である
試料を示す。
【0088】これより、いずれの分子量のシロキサンポ
リマーも、TMAH濃度の増加とともに、その溶解速度
が速くなる。また、図中の2.38%と表示された直線
は、TMAH溶液の濃度が2.38%である地点を示し
ている。
【0089】また、シロキサンポリマーの分子量が低下
すると、TMAH溶液の濃度を高くしなければ溶解速度
を速めることができない。すなわち、TMAH溶液の濃
度が一定であれば、シロキサンポリマーの分子量が低い
ほど、溶解速度は遅くなる。このような現象は通常のポ
リマー(レジスト)の溶解特性と大きく異なっている。
【0090】一般には、ポリマーの分子量が低くなる
と、溶解速度が速くなる。このため、通常の放射線分解
型のポリマー、例えばPMMA等のポジ型レジストで
は、放射線が照射された領域は、ポリマーの分子量が低
くなる。一方、放射線架橋型のポリマー、例えばSNR
等のネガ型レジストでは、放射線が照射された領域は、
ポリマーの分子量が増加する。現像を行なうとポリマー
の分子量の低い領域が溶解し、分子量の高い領域は残存
する。すなわち、ポリマーの分子量が高い領域は溶解速
度が低く、分子量が低い領域は溶解速度が高くなること
を利用して現像が行なわれている。
【0091】図4に示したような溶解特性は、TMAH
溶液とシロキサンポリマーとの化学反応によって説明さ
れる。図2(a)に示したシロキサンポリマーはTMA
H溶液中で単純に溶解するだけではない。シロキサンポ
リマーの末端基である水酸基とエトキシ基は、アルカリ
性の化合物であるTMAHの触媒作用により縮合反応を
起こす。すなわち、シロキサンポリマーはTMAH溶液
の中で不溶化しながら溶解してゆく。
【0092】末端基がシロキサンポリマー中に占められ
ている割合が大きい低分子量のシロキサンポリマーにあ
っては、TMAH溶液に接触すると不溶化のための縮合
反応が急速に進む。このため、分子量が1万以下の領域
では、低分子量のシロキサンポリマーの方が高分子量の
それより溶解速度が小さくなる。
【0093】半導体装置の製造において、フォトレジス
トの現像液に2.38%のTMAH溶液が広く用いられ
る。そこで、2.38%のTMAH溶液で現像が可能と
なるポリマーであれば、従来の半導体製造装置および条
件の変更を行なうことなく使用することができる。本シ
ロキサンポリマーで構成されるレジストはネガ型レジス
トである。このため、シロキサンポリマーの溶解速度が
20nm/秒以上あればネガ型レジストとして使用する
ことができる。
【0094】図4に示したように、2.38%TMAH
溶液で現像を行い、シロキサンポリマーの溶解速度が2
0nm/秒以上であるためには、シロキサンポリマーの
分子量が3320では小さすぎることが解る。ベースポ
リマーとなるシロキサンポリマーの分子量が7044で
あると、2.38%のTMAH溶液に対する溶解速度が
十分大きくすることができる。すなわち、シロキサンポ
リマーの分子量が7044であれば現像をおこなってネ
ガ型レジストとして作用することができる。
【0095】このようにして分子量が7044であるシ
ロキサンポリマーをベースポリマーとするレジストの感
光剤濃度と感度との関係は表1に示した値とほぼ同等の
ものが得られる。
【0096】さらに、重量平均分子量が1507のシロ
キサンポリマーは、ガラス転移温度が室温より低い。す
なわち、基板上に塗布した場合、形成された膜自体が粘
性を示す。このため、分子量が1507のシロキサンポ
リマーをレジストのベースポリマーとして用いることに
は適さない。従って、分子量が1500以下のシロキサ
ンポリマーをベースポリマーとして用いるためには、塗
布後に高温での熱処理等により、ポリマー内の縮合反応
を進行させ粘性がなくなるようにする必要がある。
【0097】以上述べたことから明らかなように本シロ
キサンポリマーを単成分で電子線レジストとして用いる
場合、重量平均分子量は2千〜10万、さらに好ましく
は30万〜5万の重量平均分子量であることが望まし
い。
【0098】5重量%以下のTMAH溶液を現像液とし
て用いる場合には、本シロキサンポリマーの重量平均分
子量は4千〜2万程度であることが望ましい。
【0099】また、遠紫外線感度を測定するためにXe
−Hgランプを光源とするアライナーにより、所定パタ
ーンを持つホトマスクとコンタクトさせて遠紫外線露光
をおこない、露光後現像する。露光時の遠紫外線の照射
エネルギーは、25mW/cm2である。
【0100】レジストの遠紫外線に対する感度は、20
〜40mJ/cm2とかなり高い感度を持っている。
【0101】また、この露光装置を用いて、1μmのラ
インアンドスペースのレジストパターンの形成ができ
る。この値はコンタクトによる露光でのパターン形成と
してはかなり解像度が高い。
【0102】上述のように、このレジストは電子線と遠
紫外線に対して高い感度と高い解像度を示す。しかし、
本レジストの感光剤であるオニウム塩の遠紫外線に対す
る吸収ピークは250nm付近にある。吸収帯の裾とな
る波長313nmよりも長波長の光に対しては感光され
ない。このため、現在、半導体製造プロセスで広く用い
られている水銀ランプのg線(436nm)、i線(3
65nm)に対する感度を持たない。このため、適当な
感度を高めるための有機の染料を用いることで、g線や
i線に対する感度を持たせることができる。このような
レジストの形成は、感光剤であるオニウム塩を1重量%
含むサンプル11のレジストに、感度を増加させる有機
の染料であるフェノチアジン(C129SN)を3重量%加
える。これによってサンプル11のレジストは、g線に
対する感度が80mJ/cm2,i線に対する感度が60mJ/c
m2になる。
【0103】感度を増加させる有機の染料としてフェノ
チアジンを用いたのは、通常感度を増加さえる有機の染
料として用いられているペリレンでは、本レジストの溶
媒であるエチルアルコールとブチルアルコールの混合溶
媒に溶解しない。このため、このような極性溶媒に対し
て溶解性の高いフェノチアジンを用いた。
【0104】サンプル11のレジストを例にとって、本
発明の光または放射線感応性組成物の反応機構について
説明する。
【0105】感光剤であるオニウム塩は、光または放射
線が照射されると図5(a)に示すように酸を発生す
る。ベースポリマーであるポリメチルシルセスキオキサ
ンは、酸が存在するとその触媒作用によって、図5
(b)に示すように末端基の水酸基とエトキシ基が脱エ
チルアルコール反応を起こす。このようにして、ポリマ
ーの重合が進む。
【0106】一般に、ポリマーの分子量は大きいほど溶
媒に対する溶解性が低下する。すなわち、従来の重合型
のレジストでは、光が照射され分子量が大きくなること
で不溶化されることを利用してネガ型レジストとなる。
【0107】本レジストの場合、ポリメチルシルセスキ
オキサンがアルカリ水溶液に溶解するのは、主として末
端の水酸基が存在しているためである。図5(b)に示
した反応が進むことにより露光部は急速に不溶化する。
すなわち、本レジストでは露光部において、分子量が増
加することで不溶化するのと同時に、極性変化によって
不溶化が進行する。このため、露光部と未露光部の溶解
速度の差を顕著に大きくすることができる。このように
して、本レジストは非常に高い感度と高いコントラスト
の特性をもたせている。
【0108】なお、ここで用いたベースポリマーは、数
平均分子量が1310、重量平均分子量が3320であ
るが、この例に限られるものでなく望ましくはポリマー
の重量平均分子量は2千から50万であればよく、さら
に望ましくは重量平均分子量は3千から10万の範囲で
あればよい。
【0109】また、重量平均分子量を数平均分子量で割
った値である分子量分散は、この例では2.5である
が、分子量分散はできる限り1に近づけることが望まし
い。
【0110】第2の実施例であるレジスト材料を図6に
示す。このレジスト材料は、図6(a)に示すシロキサ
ン骨格の側鎖にフェニル基、末端基に水酸基とエトキシ
基を有するポリフェニルシルセスキオキサンがベースポ
リマーである。また、図6(b)に示すジフェニルヨー
ドニウムフロロアンチモネート(Diphenyliodonium fluo
roantimonate) が感光剤(開始剤)である。さらに、図
6(c)に示すペリレン(C2012)が増感材である。
これらの材料が混合された光または放射線感応性組成物
について述べる。
【0111】ここで、増感剤としてペリレンを加えたの
は、g線やi線に感度を持たせるためである。
【0112】以下、感光剤を加えないレジストをサンプ
ル20、感光剤と増感剤を1重量%づつ加えたレジスト
をサンプル21と呼ぶ。
【0113】ベース樹脂であるポリメチルシルセスキオ
キサンはフェニルトリエトキシシランを加水分解して、
縮合する事によりえられる。このポリマーの数平均分子
量は1900、重量平均分子量は3420である。
【0114】このポリマーを酢酸ブチルに溶解し10重
量%溶液とする。さらに、感光剤としてジフェニルスル
フォニウムフロロアンチモネートをポリマー100重量
%にたいし1重量%、ペリレンを1重量%加えレジスト
溶液を作成する。
【0115】このレジスト溶液をスピン塗布法により、
シリコン基板上に塗布した。塗布条件は2200回転/
分で、レジスト膜厚は0.5μmである。塗布されたレ
ジスト材料をホットプレートにより75℃で2分間乾燥
する。この後、g線を露光光源とするステッパ(露光波
長は436nm、レンズの開口数は0.45)またはi
線を露光光源とするステッパ(露光波長は365nm、
レンズの開口数は0.40)を用いて、所定の遮光膜パ
ターンを持つホトマスクを通して紫外線露光を行なう。
遠紫外線露光による照射エネルギーはいずれも250mW
/cm2である。さらに、メチルエチルケトンとイソプロピ
ルアルコールの体積比が1対1の混合溶液を現像液とし
て、1分間のディップ現像を行なう。
【0116】サンプル21のg線に対する感度は12mJ
/cm2、i線に対する感度は45mJ/cm2である。増感剤を
用いることにより本発明のレジストは紫外線(g線、i
線)に対しても、かなり高い感度を持たせることができ
る。また、この露光で、ともに0.8μmのラインアン
ドスペースのレジストパターンを形成することができ
る。
【0117】ここでは、有機溶媒を用いて現像を行なっ
ているが、TMAH水溶液によっても現像が可能であ
る。
【0118】第3の実施例であるレジスト材料を図7に
示す。図7(a)に示すシロキサン骨格の側鎖にメチル
基、末端基に水酸基を有するポリジメチルシロキサンを
ベースポリマーとし、図7(b)に示す2−(4'−メ
トキシー1'−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロ
メチル)ー1,3,5−トリアジン (2-(4'-methoxy-1'
-naphtyl)-4,6-bis(trichloromethyl)-1,3,5-triazine)
を感光剤(開始剤)とした光または放射線感応性組成物
について述べる。
【0119】ベース樹脂であるポリフェニルシルセスキ
オキサンはジメチルジクロロシランを加水分解、縮合す
ることで得られる。このポリマーの数平均分子量は19
60、重量平均分子量3640である。
【0120】このポリマーをブチルアルコールとエチル
アルコールとを重量比1:1に混合した溶媒に溶解し、
10重量%溶液とする。さらに、感光剤として上記トリ
アジン化合物をベースポリマー100重量%にたいし1
重量%加えレジスト溶液を作成した。このレジスト溶液
をスピン塗布法により、シリコン基板上に塗布した。塗
布条件は1700回転/分で、その時の膜厚は0.5μ
mである。塗布膜をホットプレートにより75℃で2分
間乾燥する。この後、i線ステッパ(露光波長365n
m、開口数0.40)を用いて、所定パターンを持つホ
トマスクを通して紫外線露光を行なう。この時露光に用
いた紫外線の照射エネルギーは250mW/cm2である。さ
らに、現像液としてTMAH 2.38%水溶液を用い
て1分間のディップ現像を行なう。このレジストのi線
に対する感度は33mJ/cm2である。また、この露光で、
1μmのラインアンドスペースのレジストパターンが形
成することがえきる。
【0121】第4の実施例のレジストを図8に示す。図
8(a)に示すシロキサン骨格の側鎖にヒドロキシベン
ジル基、末端基に水酸基を有するポリヒドロキシベンジ
ルシルセスキオキサンをベースポリマーとし、図8
(b)に示すニトロベンジルトスフェート(o-Nitroben
zyl tosylate)を感光剤(開始剤)とした光または放射
線感応性組成物について述べる。
【0122】このポリマーをブチルアルコールとエチル
アルコールとの重量比が1:1となる混合溶媒に溶解し
10重量%溶液とし、さらに、感光剤として上記ニトロ
ベンジルトスフェートをポリマー100重量%にたいし
1重量%加えレジスト溶液を作成した。
【0123】このレジスト溶液をスピン塗布方により、
シリコン基板上に塗布した。塗布条件は2100回転/
分で、その時の膜厚は0.5μmとする。塗布膜をホッ
トプレートにより75℃で2分間乾燥させる。この後、
Xe−Hgランプを光源とするアライナーにより、所定
パターンを持つホトマスクを通して遠紫外線露光を行な
う。この時露光に用いた紫外線の照射エネルギーは25
0mW/cm2である。さらに、現像液としてTMAH2.3
8%水溶液を用いて1分間のディップ現像を行なう。こ
のレジストのi線に対する感度は60mJ/cm2である。ま
たこの露光で、1μmのラインアンドスペースのレジス
トパターンが形成される。
【0124】以上述べた例ではベースポリマーは、重量
平均分子量3000程度のものについて説明したが、こ
の例に限られるものでなく望ましくはポリマーの重量平
均分子量は500から50万であればよく、さらに望ま
しくは重量平均分子量は1000から10万の範囲であ
ればよい。ただし、アルカリ水溶液による現像を行おう
とする場合には重量平均分子量を1万程度まで抑える必
要がある。また重量平均分子量を数平均分子量で割った
値である分子量分散はできる限り1に近づけることが望
ましい。
【0125】以上述べた3つの実施例では、感光剤の濃
度をベース樹脂に対し0〜5重量%のものを用いた。感
光剤濃度は実用的には0〜40重量%であればよい。感
光剤濃度が高いと塗膜中のシリコン含有量が低下し、図
9に示すようにプラズマエッチング耐性が低下するとい
う問題がある。また、シロキサンポリマーは次節に述べ
るように優れた特性を持っているため、感光剤濃度を出
来る限り下げて、シロキサンポリマーが膜中に存在する
割合を上げて使用する事が望ましい。シロキサンポリマ
ーは既に述べたように、感光剤を含まない場合にも、電
子線に対し充分な感度を有しておりレジストとして使用
することができる。しかし、紫外光あるいは遠紫外光に
対する感度は、感光剤濃度が0.2%以下であれば著し
く低下してしまうという問題がある。このため、感光剤
濃度は使用目的に応じて変化させる必要がある。以上の
ようにシロキサンポリマーを単独で用いる場合には、光
あるいは放射線に対する感度と、レジスト中のシリコン
含有量との兼ね合いで決まる。電子線レジストとして用
いるには感光剤濃度が0〜10重量%、紫外線用レジス
トとして用いるには0.2〜10重量%とするのが特に
効果的である。電子線レジストとして用いる場合には、
感光剤を含まない場合でも充分な感度を有しているた
め、特に高感度を必要とする場合以外はシロキサンポリ
マーの優れた特性を活かすために感光剤を含まないベー
スポリマーを単成分レジストとして用いることが有効で
ある。
【0126】本発明の光または放射線感応性組成物の特
性を以下に示す。第一に、本レジストは、図9に示すよ
うにシリコン含有率が高い。特に、図2に示したレジス
ト(サンプル11)はシリコン酸化膜(SiO2)に近
いシリコン含有率をもっている。このため高いプラズマ
耐性が実現できる。
【0127】図10に本レジストの光透過率を示す。図
中、実線はサンプル11で、膜厚が1μmの場合を示
す。破線はサンプル21で、膜厚が1μmの光透過率を
示す。
【0128】サンプル21の場合には、フェニル基の吸
収により300nm以下の波長の吸収が生じているが、
可視光から中紫外光までの光透過性は高い。これに対し
て、サンプル11の場合には、可視光から遠紫外光まで
全域で光透過性が高い。このように、本発明のレジスト
は光透過性に優れている。これは、ベースポリマである
シロキサン骨格の紫外線透過性が高いことと、化学増幅
反応を利用したレジストであるため感光剤の濃度が低く
抑えられるためである。
【0129】図11に熱重量分析の結果を示す。図中、
実線はサンプル11で、膜厚が1μmの場合を示す。破
線はポリイミドで、膜厚が1μmの熱重量分析の結果を
示す。
【0130】これらのサンプルを200℃で30分の硬
化を行なったのちの、加熱した時の重量減少の様子を示
す。
【0131】サンプル11は500℃を越すまでほとん
ど重量減少は生じず、500℃以上でもわずかな重量減
少を生じるだけである。この重量減少は側鎖のメチル基
の解離によるものである。ポリイミドは従来から耐熱性
高分子材料として広く用いられている。図から明らかな
ように、ポリイミドに比べても本レジストは高い耐熱性
を持っていることが解る。サンプル11を用いて、露光
・現像によって得られたレジストパターンを加熱して、
レジストパターンの熱変形を観察した。しかし、300
℃までレジストパターンには熱変形が観察されなかっ
た。通常のホトレジストではレジストパターンは約12
0℃程度で変形が始まる。これに対して本レジストのパ
ターンの耐熱性が顕著に高いことが解る。
【0132】さらに、本レジストの主成分はポリシロキ
サンであるため、他の有機膜と比較すると、電気絶縁性
が高く、硬度が高く、耐水性に優れ、吸湿性が低く、さ
らには、金属基板やシリコン基板に対して密着性が高
い、基板の凹凸に対して高い平坦化特性を持っている。
【0133】以上述べたように、本レジストは光感応性
があるとともに、高プラズマ耐性、高光透過率、高耐熱
性、高電気絶縁性、高硬度、高耐水性、低吸湿性、高い
密着性、高い平坦化性という特性を持っている。このた
め、実施例で既に述べたような微細加工用のレジスト材
料としてだけでなく、様々な用途がある。以下に本発明
のレジストを実際の半導体装置を作成するのに利用した
例について説明する。
【0134】本発明のレジストを電子線リソグラフィの
2層レジスト法の上層レジストとして用いた例について
図12を用いて詳しく説明する。
【0135】段差をもつ半導体基板1上に、膜厚2μm
のポリイミドを塗布する。この後、200℃で熱処理し
て、平坦化層2を形成する。平坦化層2上に本発明のレ
ジストを0.25μmの膜厚で塗布する(図12
(a))。
【0136】ここではレジストとして、図2に示した、
シロキサン骨格の側鎖にメチル基、末端基に水酸基とエ
トキシ基を有するポリメチルシルセスキオキサンがベー
スポリマー、トリフェニルスルフォニウムトリフレート
を感光剤としたレジストを用いた。ポリメチルシルセス
キオキサンの数平均分子量は3273、重量平均分子量
7044であり、感光剤濃度は2重量%である。
【0137】次に、このレジストを0.3μC/cm2の露
光量で所定領域を電子線露光する。この後、TMAH
2.38%溶液で現像を行なう(図12(b))。
【0138】さらに、酸素を用いたドライエッチングに
より平坦化層2をエッチングする。この時、上層のレジ
ストパターンはドライエッチングのマスクとして用いら
れ、電子線露光した所定領域のパターンが下層の平坦化
層2に転写される(図12(c))。この方法を用いる
ことにより、0.3μC/cm2という低い露光量で1μm
の段差を持つ半導体基板上に0.3μmのパターンを形
成することができる。
【0139】次に、本発明のレジストを位相シフトマス
クの位相シフタ材料として用いた例について図12、1
3を用いて詳しく説明する。
【0140】位相シフトマスクとは、パターンの微細化
を図るために、従来の投影露光装置を用いて露光時に用
いられるホトマスクに改良が加えられている。すなわ
ち、光学系を通って照射された光に位相差を与えて、よ
り微細なレジストパターンを形成する方法である。具体
的には、このようなホトマスク(以下、位相シフトマス
クと呼ぶ)を用いる方法として、例えば特開昭62−5
0811号公報や特開昭62−59296号公報等があ
る。
【0141】ここで提案されている方法は、ホトマスク
基板上に転写すべきパターンの原画が、遮光膜パターン
によって形成されている。さらに、遮光膜パターンをは
さむ、または遮光膜パターンの両側にある透明部パター
ンどちらか一方の透明部パターン上に透明膜のパターン
でなる位相シフタを設ける。位相シフタは露光時に照射
される光の位相を変化させるものである。
【0142】しかし、上記した従来のホトマスクの構成
で用いられる位相シフタは、遠紫外光までの光に対し透
明であることが必要である。また、ホトマスクを取り扱
う上で硬度が高く、衝撃に対しても強いこと、さらに
は、ダスト等が付着したときに洗浄するためにも、耐熱
性が高く、耐薬品性に優れているのがよい。さらに、洗
浄等との関係で、耐水性が高く、吸湿性が低く、さらに
は基板との密着性が高いことが要求される。
【0143】本レジストを用いて位相シフタを形成する
方法について説明する。図13(a)は石英基板4上に
クロム膜パターン5を持つフォトマスクである。
【0144】このマスク上に本発明のレジストを0.5
3μmの膜厚で塗布する図13(b))。
【0145】ここではレジストとして、シロキサン骨格
の側鎖にメチル基、末端基に水酸基とエトキシ基を有す
るポリメチルシルセスキオキサンを用いた。このレジス
トの重量平均分子量は7044である。ここで感光剤を
含まないレジストを用いたのは、感光剤による紫外光の
吸収をなくするためである。
【0146】このレジスト膜を70℃で熱処理した後、
25μC/cm2の露光量で電子線露光し、TMAH2.3
8%溶液で現像を行なってレジストパターンを形成する
(図13(c))。
【0147】本レジストの電子線露光の際には、クロム
膜パターン中の位置合わせマークを検出することにより
クロム膜パターンとレジストパターンの重ね合わせ露光
を行なっている。
【0148】さらに、このマスク基板を、200℃で熱
処理する事により未反応の末端基(−OH,−C25
H)を完全に反応させ安定化させる。
【0149】このようにして形成されたレジストは位相
シフタ6として用いられる。既に述べたようにこのレジ
ストは遠紫外光までの光に対し透明であり、耐熱性が高
く、また、耐薬品性も高い、さらに、洗浄等との関係
で、耐水性が高く、吸湿性が低く、さらには基板との密
着性が高い。
【0150】以上のように、図13に示した簡単な工程
で位相シフトマスクが形成できる。本レジストを位相シ
フタとして用いる別の位相シフトマスクの構成を図14
に示す。
【0151】図14(a)は、クロム膜パターン5の開
口部のひとつおきに位相シフタ6を配置したレベンソン
型の位相シフトマスクである。
【0152】図14(b)は、位相シフタ6のみのパタ
ーンから成り遮光膜を含まない透過型位相シフトマスク
である。
【0153】図14(c)は、クロム膜パターン5の開
口部から一定の幅だけ離れた位置に位相シフタ6を配置
したエッジ強調型位相シフトマスクである。
【0154】従来、位相シフトマスクの位相シフタとし
てはシリコン酸化膜(SiO2)や塗布酸化膜(SO
G)が用いられている。この様な位相シフタは、シリコ
ン酸化膜やSOG膜上にレジストパターンを形成し、こ
のレジストパターンをマスクとしてドライエッチングに
より位相シフタパターンを形成していた。この様な従来
法は製造工程が複雑であり、それに伴い欠陥密度が増加
するという問題があった。
【0155】本発明のレジストを位相シフトマスクに用
いる上述の方法は位相シフタ6のパターンを電子線描画
により、直接形成できるので位相シフトマスクの製造が
大幅に簡素化できる。
【0156】次に、本発明のレジストを半導体装置のチ
ップコート材として用いた例について図15を用いて詳
しく説明する。
【0157】図15(a)は、半導体素子が形成されて
いるシリコン基板1上には保護膜7のシリコン窒化膜
と、ボンディングパッド8が形成されている。すなわ
ち、シリコン基板1はシリコン窒化膜の保護膜7で被わ
れており、アルミ膜からなるボンディングパッド8の部
分だけが窓開けされている。
【0158】この基板1上に本発明のレジストを3.5
μmの膜厚で塗布し、70℃で熱処理する(図15
(b))。
【0159】ここではレジストとして、シロキサン骨格
の側鎖にフェニル基、末端基に水酸基とエトキシ基を有
するポリフェニルシルセスキオキサンをベースポリマー
とし、ジフェニルヨードニウムフロロアンチモネートを
感光剤とし、さらに増感材としてペリレンを含む組成物
を使用した。
【0160】ここで増感剤を含むレジストを使用したの
は、増感材により紫外光(g線、i線)に対する感度を
持たせるためである。
【0161】このレジスト膜をg線ステッパを用いて6
0mJ/cm2の露光量で露光し、TMAH2.38%溶液で
現像を行なうことにより半導体基板1上の回路部分にレ
ジスト膜を残すことが出来る(図15(c))。
【0162】さらに、この基板1の窓開けされたボンデ
ィングパッド8に金線9をワイヤーボンディングする。
以上の工程から、半導体装置が完成する。
【0163】このレジストは既に述べたように、耐熱性
が高くまた耐薬品性も高いので、このままでチップコー
トとしてとして利用できる。
【0164】従来、チップコート材料としてはポリイミ
ドが広く用いられてきた。ポリイミド膜にボンディング
パッド用の窓を開けるためには、ポリイミド上にレジス
トパターンを形成し、このレジストパターンをマスクと
してウェットエッチングにより行なう必要があった。
【0165】この様な従来法は製造工程が複雑である。
これに対して本発明のレジストをチップコート材料に用
いることにより、窓開けを紫外光露光によりおこなえる
ので工程が大幅に簡素化できる。
【0166】また、このレジストは既に述べたように紫
外光を含む光に対し透明性が高いので固体撮像素子(C
CD)や紫外線照射により消去を行なうEPROMの窓
材料としても特に有効である。
【0167】以上述べたように本レジストは、2層レジ
ストの上層レジスト、半導体装置の保護膜上のチップコ
ート材料、位相シフトマスクのための位相シフト層材料
以外にも種々の応用が可能である。
【0168】例えば、固体撮像素子の光を集光するのに
用いられるマイクロレンズ材料、あるいは半導体素子の
α線遮断膜材料、半導体装置の保護膜材料、半導体装置
の多層配線用の層間絶縁膜材料、半導体の多層配線のた
めの平坦化膜材料、バブルメモリデバイスの平坦化材
料、薄膜磁気ヘッドの絶縁層材料等にも利用できる。
【0169】これらの用途に用いた場合も上述の実施例
と同様に、露光により直接パターンが形成でき、なおか
つ形成されたパターンは、高プラズマ耐性、高い透明
性、高耐熱性、高電気絶縁性、高硬度、高耐水性、低吸
湿性、高い密着性、高い平坦化性等の優れた特性を持っ
ていることは言うまでもない。
【0170】さらに、以上説明した本レジストの応用の
実施例では、所定パターンの露光には紫外線および電子
ビームを用いる場合について示したが、この例に限られ
るものでなく、イオンビームまたはX線を用いることも
可能である。
【0171】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の光または放射線感応性組成物は、シリコン含有率の高
い高感度で高解像度なレジストであり、この光または放
射線感応性組成物を用いることにより、少ない露光量
で、すなわち安価な露光費用で高精度なパターン形成が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の光または放射線感応性
組成物の構造を示す図
【図2】本発明の第2の実施例の光または放射線感応性
組成物の構造を示す図
【図3】本発明の第1、第2の実施例のレジストの電子
線感度曲線を示す図
【図4】本発明の第2の実施例の光または放射線感応性
組成物の反応機構を示す図
【図5】ポリマーの分子量と現像液への溶解速度の関係
を示す図
【図6】本発明の第3の実施例の光または放射線感応性
組成物の構造を示す図
【図7】本発明の第4の実施例の光または放射線感応性
組成物の構造を示す図
【図8】本発明の第4の実施例の光または放射線感応性
組成物の構造を示す図
【図9】ポリマー中のシリコン含有率とドライエッチ耐
性の関係を示す図
【図10】本発明のレジストの光透過率を示す図
【図11】本発明のレジストの耐熱性を示す図
【図12】本発明の応用例である2層レジスト法を示す
【図13】本発明の応用例である位相シフトマスクを示
す図
【図14】本発明の応用例である位相シフトマスクを示
す図
【図15】本発明の応用例である半導体装置の断面図
【図16】従来のレジストの構造を示す図
【図17】従来のレジストの構造を示す図
【符号の説明】
1 基板 2 平坦化層 3 レジスト 4 石英基板 5 クロム膜パターン 6 位相シフタ 7 保護膜 8 ボンディングパッド 9 金線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03F 7/029 9019−2H 7/038 505 7124−2H H01L 21/027

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シロキサン結合を骨格とするポリマーと、
    感光剤とでなる光および放射線感応性組成物。
  2. 【請求項2】シロキサン結合を骨格とするポリマーは、
    光または放射線を照射されることにより重合反応を起こ
    す請求項1の光および放射線感応性組成物。
  3. 【請求項3】シロキサン結合を骨格とするポリマーが、
    単鎖状のシロキサン、ラダー型のシロキサン、または3
    次元構造を持つシロキサンである請求項1の光および放
    射線感応性組成物。
  4. 【請求項4】シロキサン結合を骨格とするポリマーの含
    有率が、10wt%以上である請求項1の光および放射
    線感応性組成物。
  5. 【請求項5】感光剤の濃度をベース樹脂の濃度に対して
    0〜40重量%である請求項1の光および放射線感応性
    組成物。
  6. 【請求項6】シロキサン結合を骨格とするポリマーであ
    って、光または放射線が照射されてアニオン種またはカ
    チオン種が生じることで、縮重合する末端基あるいは側
    鎖基を持つ光または放射線感応性組成物。
  7. 【請求項7】シロキサン結合を骨格とするポリマーと、
    光もしくは放射線の照射により酸を発生する感光剤でな
    る光および放射線感応性組成物。
  8. 【請求項8】感光剤がオニウム塩、ジアゾニウム塩また
    は、スルホン酸エステルである請求項6の光および放射
    線感応性組成物。
  9. 【請求項9】シロキサン結合を骨格とするポリマーと、
    光もしくは放射線の照射によりラジカルを発生する感光
    剤でなる光および放射線感応性組成物。
  10. 【請求項10】感光剤が芳香族ケトン、多ハロゲン化炭
    化水素または、トリアジン化合物である請求項8の光お
    よび放射線感応性組成物。
  11. 【請求項11】シロキサン結合を骨格とするポリマー
    と、光もしくは放射線の照射により酸またはラジカルを
    発生する感光剤と、前記酸またはラジカルの触媒作用で
    前記ポリマーが脱水反応あるいは脱アルコール反応を起
    こす光および放射線感応性組成物。
  12. 【請求項12】シロキサン結合を骨格とするポリマーで
    あって、前記ポリマーの側鎖あるいは末端基の少なくと
    も一部が水酸基あるいはアルコキシル基である光または
    放射線感応性組成物。
  13. 【請求項13】シロキサン結合を骨格とするポリマー
    と、前記ポリマーと混合された感光剤とからなり、放射
    される光および放射線が、電子線の場合、前記感光剤の
    濃度が0〜10重量%、前記放射される光が紫外線の場
    合、前記感光剤の濃度が0.2〜10重量%である光お
    よび放射線感応性組成物。
  14. 【請求項14】アルコキシル基を、−ORで示した場
    合、Rがアルキル基またはフェニル基である請求項11
    の光または放射線感応性組成物。
  15. 【請求項15】末端基が水酸基とアルコキシル基が1対
    1の割合で含むポリシルセスキオキサンである請求項1
    1の光または放射線感応性組成物。
  16. 【請求項16】シロキサン結合を骨格とするポリマー
    が、側鎖にアルキル基またはフェニル基を有するポリシ
    ルセスキオキサンである請求項11の光または放射線感
    応性組成物。
  17. 【請求項17】シロキサン結合を骨格とするポリマー
    と、前記ポリマーと混合された感光剤と、前記感光剤と
    混合された極性溶媒に溶解性の高い染料でなる光および
    放射線感応性組成物。
  18. 【請求項18】極性溶媒に溶解性の高い染料がフェノチ
    アジンである請求項16の光および放射線感応性組成
    物。
  19. 【請求項19】基板上に、平坦化層を形成する工程と、
    前記平坦化層上にシロキサン結合を骨格とするポリマー
    と感光剤とでなるレジストを形成する工程と、前記レジ
    ストの所定領域を露光する工程と、前記レジストをアル
    カリ現像液で現像するパターン形成方法。
  20. 【請求項20】ホトマスク基板上に形成された照射され
    る光の位相を変化させる位相シフタであって、前記位相
    シフタがシロキサン結合を骨格とするポリマーで形成さ
    れているホトマスクの製造方法。
  21. 【請求項21】ホトマスク基板上に形成された照射され
    る光の位相を変化させる位相シフタであって、前記位相
    シフタがシロキサン結合を骨格とするポリマーで形成さ
    れ、かつ、未反応の前記ポリマーの末端基を完全に反応
    させるホトマスクの製造方法。
  22. 【請求項22】基板に半導体素子が形成する工程と、前
    記基板上にボンディングパッドおよび保護膜を形成する
    工程と、前記保護膜で前記ボンディングパッド部分に窓
    を開ける工程と、前記保護膜および前記ボンディングパ
    ッドにシロキサン結合の骨格を持つポリマーを形成する
    工程と、前記ポリマーを露光・現像して、前記基板上に
    前記ポリマーを残す半導体装置の製造方法。
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