JPH05273418A - リッジ型三次元光導波路とその製造方法 - Google Patents

リッジ型三次元光導波路とその製造方法

Info

Publication number
JPH05273418A
JPH05273418A JP6728392A JP6728392A JPH05273418A JP H05273418 A JPH05273418 A JP H05273418A JP 6728392 A JP6728392 A JP 6728392A JP 6728392 A JP6728392 A JP 6728392A JP H05273418 A JPH05273418 A JP H05273418A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
waveguide
ridge
polarization
dimensional
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6728392A
Other languages
English (en)
Inventor
Honchin En
本鎮 袁
Yasuji Hiramatsu
靖二 平松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ibiden Co Ltd filed Critical Ibiden Co Ltd
Priority to JP6728392A priority Critical patent/JPH05273418A/ja
Publication of JPH05273418A publication Critical patent/JPH05273418A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Integrated Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は幾何的形状因子による伝搬損失を低減
させ、低伝搬損失リッジ型三次元導波路の作製を目指す
ものである。 【構成】 単一分極化された誘電体材料の少なくとも一
部分の分極方向を反転させエッチングによりリッジ構造
を形成した後、光導波路を形成するか、二次元導波路上
の少なくとも一部分の分極方向を反転させエッチングに
より三次元導波路を形成するリッジ型三次元導波路の製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リッジ型三次元光導波
路, とくに第2高調波発生(SHG)素子、光偏向器、
光変調器、光スイッチ、光増幅器あるいは光集積回路な
どの光デバイスとして有用なリッジ型光導波路とその製
造方法に関し、とりわけリッジ部側面の荒れが少なく、
低伝搬損失で光の閉じ込め性に優れた光導波路とそれの
製造方法に関して提案する。
【0002】
【従来の技術】近年、レーザ光を利用した光情報処理装
置の発展にはめざましいものがあるが、なかでも、光偏
向器、光変調器、光増幅素子、光スイッチなどの光デバ
イスについては、電気光学効果や非線形光学効果、磁気
光学効果などの光学的特性に優れ、伝搬損失の低い高品
質の光導波路の使用が不可欠である。
【0003】光導波路には、基板上に厚さ数μmの平面
状薄膜を設けたスラブ(平面)型光導波路と、更にその
面内にも帯状に屈折率差を設けるか、あるいは段差すな
わち膜厚差を設け、帯状領域のみ導波するようにしたチ
ャンネル型光導波路とがあるが、チャンネル型光導波路
の方が光の閉じ込め効率が高くできるため有利とされて
いる。
【0004】チャンネル型光導波路の基本的な形状とし
ては、埋め込み型、リッジ型、装荷型があるが、光変調
器などの光デバイスに応用した場合、リッジ型の光導波
路とすることが望ましい。それは、この形状の光導波路
の方が光の閉じ込め効率が高く、加工も容易にできるか
らである。
【0005】従来、リッジ型三元導波路は、西原、春
名、栖原著、「光集積回路」P195 オーム社(198
5)に示されているように、フォトリソグラフィー技術
と蒸着、リフトオフにより二次元導波路上にリッジ型導
波路にしたい部分のみTi等のマスクが蒸着された状態
とし、ついで、Ar等のプラズマで物理的にドライエッ
チングを行なって作製していた。Ti下の材料は、Ti
が完全に消失するまではエッチングされないのでリッジ
型三次元導波路となる。
【0006】他の物理的エッチングによる三次元化方法
としては、マスクとしてTiの変わりにNi,エッチン
グガスとしてCCl2 2 ,Ar,O2 を用い物理的エ
ッチングに化学的エッチング作用を加えLiNbO3
結晶性に与えるダメージの低減やマスクとLiNbO3
のエッチング比(LiNbO3 エッチング速度/マスク
のエッチング速度)を大きくしようとする反応性イオン
エッチングが、「Appl.Phys Lett.」V
ol.38 No. 11(1981)に示されている。さ
らに反応性ガスをビームにして試料に照射することでさ
らにエッチング比を大きくしようとする試みが「Jou
rnal of Lightwavetech.」Vo
l.LT−2,No. 4(1984)に示されている。
【0007】一方、弗酸、硝酸/弗酸混合液等を用い
て、化学的なエッチングで三次元導波路を形成する方法
も試みられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
物理的、または化学的エッチング法で三次元導波路を作
製する技術は、以下に述べる問題点がある。
【0009】物理的ドライエッチング法でリッジ型三次
元導波路を作製する場合、エッチング速度が概して遅
く、かつ装置のスループット、すなわち処理能力が低く
経済的に不利となる、エッチングプロセス中に反応生成
物あるいは反応容器に起因する汚染物が試料表面に付着
する、加速イオン衝撃によって試料に損傷を与える、電
極間の放電状態あるいは反応ガスの流形によってエッチ
ング速度が不均一となるなどの欠点あった。
【0010】さらに、エッチングマスクとLiNbO3
のエッチング比が小さいために、マスク材の膜厚は厚く
する必要があった。エッチングマスクの形成には一般的
にリフトオフ法が採用されているが、リフトオフ法で厚
いエッチングマスクを作成すると側壁は非常に荒れた面
となってしまう。
【0011】物理的ドライエッチング法ではエッチング
機構が物理的なエッチングのみであるので、マスクの側
壁の形状がそのまま導波路のリッジ部に転写されるの
で、リッジ型三次元導波路の側壁は非常に荒れたものと
なってしまう。このリッジ部の側壁の荒れが散乱損失の
原因となり伝搬損失が大きくなってしまう。
【0012】このほか反応性イオンエッチングや反応性
イオンビームエッチングが行われているが、装置が非常
に高価, 大面積化が困難, 大きなエッチング比が得られ
ていない等の問題がある。
【0013】一方、化学的なエッチングで三次元導波路
を形成する方法においては、エッチングマスクとして適
当なものがなく、さらに、エッチング速度の充分な再現
性を得ることが困難で、また等方的であることから、1
μm以下の加工精度が要求される場合には満足な結果が
得られないという欠点があった。
【0014】本発明の目的は、従来技術の上述した問題
点を解決し、リッジ型三次元導波路の側壁の荒れを無く
し、伝搬損失の低いリッジ型三次元導波路を簡単な工程
で、経済的に作成する方法を提案するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来技術
の問題点を克服するために鋭意研究を重ねた結果、単一
分極化された誘電体の+分極面と−分極面のエッチング
速度比が大きく異なることを利用して異方性化学エッチ
ングをし、この方法によってリッジ型形状を作成すれ
ば、再現性、膜厚均一性に優れ、かつ薄膜結晶性が全く
劣化せず、側壁の荒れを低減し、伝搬損失の低いリッジ
型光導波路が極めて容易に得られることを新規に見出し
た。
【0016】すなわち、本発明は、単一分極化された誘
電体材料上にリッジ型導波路を形成すると共に、そのリ
ッジ部の分極方向が当該リッジ部以外のスラブ部におけ
る分極方向とは逆向きに形成されてなるるリッジ型三次
元光導波路であって、前記リッジ型導波路は、このリッ
ジ部の分極方向を周辺のスラブ部の分極方向とは逆方向
に反転させて得たものであり、そして、前記リッジ型三
次元光導波路の表面がプラス分極面であり、その周辺の
スラブ部の表面がマイナス分極面である光導波路であ
る。
【0017】また、本発明は、少なくとも以下の工程;
単一分極化された誘電体材料からなる二次元導波路上に
導電性薄膜を用いてパターンを形成する工程、熱処理を
行い前記単一分極化された誘電体の分極方向の一部を反
転せしめる工程、化学的ウェットエッチングによりリッ
ジ形状を形成する工程、を経て製造することを特徴とす
るリッジ型三次元光導波路の製造方法、および、少なく
とも以下の工程;単一分極化された誘電体材料上に導電
性薄膜を用いてパターンを形成する工程、熱処理を行い
前記単一分極化された誘電体の分極方向の一部を反転せ
しめる工程、化学的ウェットエッチングによりリッジ形
状を形成する工程、誘電体材料上の少なくとも一部に光
導波路を形成する工程、を経て製造することを特徴とす
るリッジ型三次元光導波路の製造方法、を提案する。
【0018】
【作用】本発明の製造方法では、少なくとも次のような
工程;すなわち、単一分極化された誘電体の一方の分極
面上に導電性薄膜を用いて所望のパターンを形成する工
程、熱処理を行い前記単一分極化された誘電体の分極方
向の一部を反転せしめる工程、化学的ウェットエッチン
グによりリッジ形状を形成する工程、またはさらに誘電
体の少なくとも一部に光導波路を形成する工程を経るこ
とが必要である。
【0019】このような製造方法によることが本発明光
導波路の作成において不可欠となる理由は次のように説
明される。単一分極化された誘電体に導体パターンを形
成し、これを熱処理すれば、単一分極化された誘電体に
はピロ電気が誘発される。さらに、その導体パターンの
形成により、誘電体表面電荷分布が不均一となり、部分
的に電界が強くなる部分を生成し、その強い電界部で部
分分極反転が生じる。次に、この分極反転が生じた誘電
体を、化学的ウェットエッチングすると、プラス分極面
とマイナス分極面のエッチング速度が異なるために、必
然的にリッジ構造を形成することができるようになるの
である。
【0020】ところで、分極反転技術は、従来Ti拡散
法、SiO2 装荷法、電子線照射法等が知られている
が、Ti拡散法、SiO2 装荷法では異種元素の混入に
よる誘電体結晶の特性の変化(例えば屈折率の変化、結
晶性の低下等)が起こり、電子線照射法ではかなり大掛
かりな装置が必要となり経済的でなかった。これに対
し、本発明の分極反転法では、Ti拡散やプロトン交換
のように、結晶構造に影響を与えないため、光学的特性
に優れた導波路を製造でき、また、その工程も極めて簡
単であり、コストパフォーマンスに優れる。
【0021】次に、本発明の三次元導波路の作成方法を
説明するが、本発明は表1に示されるように、エッチン
グ速度比と導電性薄膜を形成する面の分極方向の組合せ
によって4つの組合せが存在する。ここでは組合せ番号
4を例にして、図1を用いて説明する。
【表1】
【0022】まず、誘電体からなるマイナス分極面をも
った二次元導波路を作成する。ここでマイナス分極面を
もった二次元導波路とは、リッジ型三次元導波路を形成
する面がマイナス分極を持っていることを示す。
【0023】二次導波路の作成方法としては、単一分極
化された誘電体のマイナス分極面をイオン交換法、イオ
ン拡散法を用いて作製することが可能である。イオン交
換法で用いるイオン源としては、プロトンが挙げられ
る。また、イオン拡散法の拡散源としては、チタン、酸
化マグネシウム、ナトリウム等が挙げられる。または、
任意の基板上にPVD法、CVD法、液相エピタキシャ
ル成長法等により単一分極化された−分極面をもつ誘電
体を形成することも可能である。
【0024】本発明では、二次元導波路を作成した後、
分極反転させるだけなく、分極反転を行い、エッチング
処理によりリッジ部を形成した後、イオン交換法やイオ
ン拡散法により二次元導波路を作成し、三次元導波路と
してもよい。
【0025】本発明の光導波路は、液相エピタキシャル
成長法によって形成された二次元導波路であり、基板と
薄膜導波層の結晶格子を互いに整合(格子整合)された
ものであることが望ましい。それは、このように基板と
薄膜導波層とを格子整合させると、格子の歪みや結晶欠
陥が極めて少なくなり、マイクロクラックなどのない高
品質の薄膜導波層を形成することができるからである。
【0026】このような格子整合に当たって、前記薄膜
導波層の格子定数は、基板の格子定数の99.81〜1
00.03%であることが望ましい。この理由は、薄膜
導波層の格子定数が、基板の格子定数の99.81%よ
り小さくなると薄膜導波層にクラックが発生し、また、
薄膜導波層の格子定数が、基板の格子定数の100.0
3%より大きくなると薄膜導波層にファセットが発生す
るため、いずれの場合においても光学用途に使用できる
高品質の薄膜導波層を得ることが困難となるためであ
る。
【0027】本発明において、前記薄膜導波層と基板と
の組み合せは、特に限定されるものではないが、例え
ば、薄膜導波層としては、LiNbO3 、α−石英、K
TiOPO4 (KTP)、β−BaB2 4 (BB
O)、KH2 PO4 (KDP)、KD2 PO4 (KD*
P)、NH4 2 PO4 (ADP)、C5 2 AsO4
(CDA)、C2 2 AsO4 (CD* A)、RbH2
PO4 (RDP)、RbH2AsO4 (RDA)、Be
SO4 ・4H2 O、LiClO4 ・3H2 O、LiCl
3 、α−LiCdBO3 、LiB3 5 (LBO)、
3 Fe5 12、(Bi,Y)3 (Al,Fe)5 12
などのガーネット、Ba2 NaNb5 15(BNN)、
(Sr,Ba)Nb2 6 などが使用でき、この薄膜導
波層に組み合わせて用いる基板としては、例えば、Li
TaO3 、LiTaO3 薄膜が形成されたLiNb
3 、SiO2 、α−サファイア、BeO、ZnO、G
3 Ga5 12などのガーネット、KTP、BBO、L
BO、KDPおよび類似化合物、ソーダガラス、パイレ
ックスガラスなどが用いられる。
【0028】特に、薄膜導波層としてLiNbO3 を用
い、基板としてLiTaO3 を用いる組み合せは最も望
ましい形態である。それは、これらの単結晶は、結晶構
造が互いに類似しており、格子整合させやすいからであ
る。
【0029】本発明で使用される単一分極化された誘電
体の導体パターンを形成する面は、各誘電体結晶のC面
(結晶軸の(001)方向を法線ベクトルとする面)で
あることが望ましい。この理由は、C面は種々のデバイ
スに適応性が高く、また前述の液相エピタキシャル成長
が容易であるからである。
【0030】ついで、加工後リッジ型三次元導波路とな
る部分を除き、導電性薄膜でマスクする。その際のパタ
ーニングは、フォトリソグラフ技術、蒸着技術、リフト
オフ法やエッチング技術を組み合わせて行う。中でも導
電性薄膜を蒸着し、ついでフォトリソグラフィーにより
エッチングレジストを形成し、化学エッチングによりリ
ッジ型三次元導波路となる部分の導電性薄膜を溶解除去
する方法が作業性や工程の簡便性から優れている。
【0031】ここで使用される導電性薄膜は次の熱処理
工程で酸化され導電性を失わず、かつ二次元導波路中に
拡散されないものであれば特に限定されない。このよう
な性質を有する物質としては、金、銀、チタン、タンタ
ル、銅、アルミニウム、クロム、ニッケル、白金、鉄等
が挙げられる。中でも金、タンタル、クロムが高温での
安定性や薄膜形成が容易であることから望ましい。
【0032】ついで導電性薄膜が形成された試料を熱処
理する。誘電体を加熱する事によりピロ電気(誘電体の
ピロ電気効果により発生する電気成分。以下同様)の発
生とそれに伴う電界のエッジ効果により導電性薄膜が形
成されていない部分の誘電体が分極反転する。
【0033】熱処理温度は300℃以上で誘電体のキュ
リー点未満であることが望ましい。その理由は、300
℃未満であると十分なピロ電気の発生が期待できず、キ
ュリー点以上ではピロ電気効果そのものが消失してしま
うためである。熱処理温度は、導体を構成する元素の急
激な拡散が生じる温度より低いことが望ましい。
【0034】熱処理雰囲気は前記導電性薄膜を熱処理中
に酸化させたり、ピロ電気を放電させたりしなければ特
に限定されない。乾燥空気、窒素、アルゴンなどが推奨
される。
【0035】また、熱処理時間は10分〜3時間が望ま
しい。この理由は熱処理時間が10分より短いと十分に
分極反転が起こらず、また、3時間より長いと誘電体の
光学特性に悪影響を与える場合があるからである。
【0036】分極反転層の厚みはリッジ型三次元導波路
最大段差に相当するため、光の閉じ込め性から考えて、
少なくとも二次元導波路厚みの半分は分極反転される必
要がある。
【0037】次にプラス分極面とマイナス分極面では腐
食液に対するエッチング速度が大きく異なることを利用
し、二次元導波路内にプラス面とマイナス面が存在する
場合、その二次元導波路をエッチングすることによりリ
ッジ型三次元導波路となる。この説明ではエッチング速
度がマイナス分極面>>プラス分極面の関係にあるの
で、エッチングすることによりマイナス分極面が溶解除
去されプラス分極面からなるリッジ型三次元導波路がで
きる。
【0038】本発明で使用されるエッチング方法として
は、HF−HNO3 、HCl−HNO3 、HF、HC
l、などの腐食液によるエッチングが挙げられる。
【0039】本方法ではドメイン反転処理でプラス分極
域とマイナス分極域の界面が平滑に形成されたため、ウ
ェットエッチングによる二次元導波路からリッジ型三次
元導波路への加工で導波路部の側壁の荒れが極めて少な
いリッジ型三次元導波路が得られる。
【0040】ついで本発明の三次元導波路について説明
する。本発明の導波路は、単一分極化された誘電体材料
上に形成された三次元導波路であって、その周囲の分極
方向と逆向きの分極方向を有する三次元導波路であるこ
とが必要である。
【0041】この理由は、本発明の三次元導波路の加工
方法がプラス分極面とマイナス分極面のウェットエッチ
ング速度が異なることによっているためである。
【0042】本発明の三次元導波路は、その分極方向が
導波路周囲のスラブ部の分極方向とは逆方向に反転させ
たものであることが望ましい。この理由は、誘電体全面
と比べ導波路部分の面積が小さく、反転処理がより低温
度、短時間で実現でき、誘電体の光学特性を劣化させな
いからである。
【0043】本発明の三次元導波路は、その表面は、プ
ラス分極面、非三次元光導波路部分の表面がマイナス分
極面であることが望ましい。この理由は、以下の実験事
実に基づいている。 (1)LiNbO3 単結晶の−C面および+C面上にス
ピナによりポジレジストを1μm塗布し、フォトリソグ
ラフィーにより導波路となる部分にのみレジストが残る
ようにパターンを作成した。次に基板全面にTaをスパ
ッタリングにより厚さ750Å蒸着した。続いて有機溶
剤に浸すことによりレジストを溶解除去した。この時、
レジスト上のTaも同時に除去され導波路となる部分に
幅8μmの窓が開いたマスクパターンを作成した。 (2)続いて二つのサンプルを、乾燥空気中650℃で
45分熱処理を行い導波路となる部分のみ分極方向を反
転させる処理をおこなった。 (3)HF:HNO3 =1:2の沸騰液中にて化学エッ
チングして分極状態を確認した結果、−C面上にTa膜
を形成したサンプルは分極反転を起こしていたが、+C
面上にTa膜を形成したサンプルは分極反転が確認でき
なかった。 この結果より、本発明の方法においてはマイナス分極面
からプラス分極面に反転するのは比較的容易であるが、
プラス分極面からマイナス分極面に反転するのは容易で
ない。このため、三次元導波路の表面は、プラス分極
面、非三次元光導波路部分の表面がマイナス分極面であ
る構成にすることが高精度の三次元導波路を作成する上
で必要である。
【0044】本発明の三次元導波路は、リッジ型導波路
であることが望ましい。この理由は、光を導波路に閉じ
込めやすいからである。
【0045】前記リッジ部の幅は、1〜15μmが望ま
しい。この理由は、1μm以下では光の閉じ込め性が悪
く、15μm以上では導波される光がマルチモードとな
ってしまい実用的でない。
【0046】
【実施例】
実施例1 (1)2インチLiNbO3 単結晶の−C面に厚さ0.
05μmのTi膜をスパッタリングにより形成した。 (2)ついでこの試料を1000℃で60分間熱処理
し、Ti拡散二次元導波路を形成した。硝酸中で洗浄す
ることにより残留したTi膜を溶解除去した。これらの
処理を施しても分極方向は変化しなかった。 (3)次に基板の−C面に導電性薄膜であるクロムを
0.5μmスパッタリングにより付着させた。その後ス
ピンコート法によりエッチングレジストをコートし、次
いでフォトリソグラフィーにより導波路となる部分のみ
幅5μmの窓が開いたエッチングマスクを形成した。最
後に濃塩酸中でクロムをエッチングし導波路となる部分
のみ窓の開いた導電性薄膜を形成した。 (4)続いてアルゴン雰囲気中450℃で50分熱処理
を行い導波路となる部分のみ分極方向を反転させた。 (5)上記(4)まで処理を行った試料を濃塩酸中でエ
ッチングしクロムを溶解除去した。 (6)引続きHF:HNO3 =1:2の沸騰液中にて3
分間化学エッチングしたところマイナス分極面の部分が
より多くエッチングされ幅5μm,リッジ高さ1μmの
LiNbO3 リッジ型三次元導波路となった。 (7)上記(6)で作製したLiNbO3 三次元導波路
のリッジ部側壁の荒れを非接触式表面粗さ計と走査型電
子顕微鏡を用いて測定したところ、最大表面粗さは0.
04μmであった。 (8)また、カットバック法およびプリズム移動法を用
いて作成した三次元導波路の伝搬損失を測定したところ
伝搬損失は、0.9dB/cmであった。
【0047】実施例2 (1)LiTaO3 単結晶の−C面上にスピナによりポ
ジレジストを1μm塗布し、フォトリソグラフィーによ
り導波路となる部分にのみレジストが残るようにパター
ンを作成した。次に基板全面にTaをスパッタリングに
より厚さ800Å蒸着した。続いて有機溶剤に浸すこと
によりレジストを溶解除去した。この時、レジスト上の
Taも同時に除去され導波路となる部分に幅10μmの
窓が開いたマスクパターンを作成した。 (2)続いて乾燥空気中500℃で50分熱処理を行い
導波路となる部分のみ分極方向を反転させた。 (3)上記(2)まで処理を行った試料を250℃ピロ
リン酸中で1時間処理してプロトン交換を行った。引続
き空気中300℃で2時間熱処理した。 (4)試料を硝酸中でエッチングしTa膜を溶解除去し
た。 (5)HF:HNO3 =1:2の沸騰液中にて3分間化
学エッチングしたところ+分極面の部分がより多くエッ
チングされ幅10μm,リッジ高さ0.8μmのLiT
aO3 リッジ型三次元導波路となった。 (6)上記(5)で作製したLiTaO3 三次元導波路
の特性を実施例1と同様に評価したところ、リッジ部側
壁の最大表面粗さは0.07μmであり、伝搬損失は、
1.6dB/cmであった。
【0048】実施例3 (1) Li2 CO3 19.6g、V2 5 51.9
g,Nb2 5 18.9g、Na2 CO3 9.7g、M
gO 0.3g秤量(Li2 CO3 42.7モル%、V
2 5 45.9モル%、Nb2 5 11.4モル%、N
2 CO3 をLi2CO3 に対して25.6モル%、M
gOを前記溶融物組成から析出可能なLiNbO3 の理
論量に対して5モル%添加(MgO/(LiNbO3
MgO)×100=5モル%を満たすようにMgOを添
加)した混合物を白金ルツボに入れ、エピタキシャル成
長装置中で空気雰囲気下で1050℃まで加熱してルツ
ボの内容物を溶解させ、19.5時間攪拌した。溶融体
を1時間当たり120℃の冷却速度で1000℃まで、
さらに1時間当たり60℃の冷却速度で939℃まで徐
冷した。 (2) 2インチφ、厚さ1mmのLiTaO3 単結晶1
の(0001)面を光学研磨した後、液相エピタキシャ
ル成長法によりLiNbO3 単結晶薄膜2を3μmの膜
厚でエピタキシャル成長させた。(図1 工程A) (3) 得られた薄膜結晶表面は鏡面であり、薄膜の結
晶性を2結晶法ロッキングカーブにて評価したところ、
ピーク半価幅は25secであった。得られた薄膜結晶
の、波長0.83μmの半導体レーザに対する伝搬損失
をプリズム移動法によって測定したところ、0.8dB
/cmであった。また、薄膜の分極状態は単分極化されて
いて、その分極方向はマイナス面であった。 (4)LiNbO3 二次元導波路上にスピナによりポジ
レジストを1μm塗布し、フォトリソグラフィーにより
導波路となる部分にのみレジストが残るようにパターン
を作成した。次に基板全面にTiをスパッタリングによ
り厚さ0.3μm蒸着した。続いて有機溶剤に浸すこと
によりレジストを溶解除去した。この時、レジスト上の
Tiも同時に除去され導波路となる部分に幅5μmの窓
が開いたマスクパーンが作成された。 (5)続いて窒素雰囲気中380℃で1時間熱処理を行
い導波路となる部分のみ分極方向を反転させた。 (6)上記(5)まで処理を行った試料を硝酸中でエッ
チングしチタンを溶解除去した。 (7)引続き50℃のHF:HNO3 =1:2の溶液中
にて14分間化学エッチングしたところ−分極面の部分
がより多くエッチングされ幅5μm,リッジ高さ1.2
μmのLiNbO3 リッジ型三次元導波路となった。 (8)上記(7)で作製したLiNbO3 三次元導波路
の特性を実施例1と同様に評価したところ、リッジ部側
壁の最大表面粗さは0.03μmであり、伝搬損失は、
0.9dB/cmであった。 (9) 得られた導波路の結晶性を2結晶法ロッキング
カーブにて評価したところ、ピーク半価幅は26sec
であり殆ど劣化していなかった。
【0049】比較例1 (1)1インチLiNbO3 単結晶の−C面にTi膜を
0.05μmスパッタリングにより形成した。 (2)ついでこの試料を1000℃で30分間熱処理
し、ついで硝酸中で洗浄して残留したTi膜を溶解除去
してチタン拡散二次元導波路を形成した。 (3)LiNbO3 2次元導波路上にレジストを塗布
し、フォトリソグラフィ技術によりレジストに10μmの
窓開けを行った。 (4)基板全面にTiを1μmスパッタリングにより蒸
着した。続いて、その基板を溶剤に浸し、レジスト上の
マスクを除去(リフトオフ)した。 (5)リフトオフ後の基板全面をドライエッチングし、
リッジ型三次元導波路とした。 (6)上記(5)で作製したLiNbO3 三次元導波路
のリッジ部側壁の荒れを非接触式表面粗さ計と走査型電
子顕微鏡を用いて測定したところ、最大表面粗さは0.
5μmであった。 (7)また、カットバック法およびプリズム移動法を用
いて作成した三次元導波路の伝搬損失を測定したところ
伝搬損失は、7.0dB/cmであった。
【0050】比較例2 (1) 2インチφ、厚さ1mmのLiTaO3 単結晶の
(0001)面を光学研磨した後、液相エピタキシャル
成長法によりLiNbO3 単結晶薄膜を3μmの膜厚で
エピタキシャル成長させた。 (2)LiNbO3 2次元導波路上に耐弗酸レジストを
塗布し、フォトリソグラフィ技術によりレジストに5μ
mのパターンを作製した。 (3)基板全体を50℃のHF:HNO3 =1:2の溶
液中にて14分間化学エッチングし幅4.5μm,リッ
ジ高さ1.2μmの三次元導波路を得た。 (4)レジストを取り除き、三次元導波路の状態を調べ
たところ、サイドエッチングにより導波路幅がマスクよ
りも狭くなっていた。また、三次元導波路の特性を比較
例1と同様に評価したところ、リッジ部の側壁の最大表
面粗さは0.9μmであり伝搬損失は6dB/cmであっ
た。
【0051】比較例3 本比較例は、基本的には、比較例1と同じであるが、分
極反転方法として、コロナ放電法を使用した。 (1)1インチのLN単結晶の−C面に厚さ0.04μ
mのTi膜をスパッタリングにより形成した。 (2)酸素雰囲気中、1000℃で60min 熱処理し、
ついでHF−HNO3 溶液で試料表面を洗浄して、チタ
ン拡散二次元導波路を形成した。 (3)この二次元導波路上にレジストを塗布し、通常の
フォトリソグラフィ技術により、5μmレジストパター
ンを形成した。 (5)真空スパッタ装置でTa膜を0.3μm形成し、
リフトオフにより窓幅5μmのTa膜パターンを形成し
た。 (5)針状W電極を用い、電圧7000V,電流60μ
A,電極距離10mm基板温度300℃の条件でコロナ放
電を2時間行った。 (6)HF−HNO3 溶液中,50℃で30min エッチ
ングし、導波路が形成されなかった。
【0052】
【発明の効果】パターン制御性に優れるドメイン反転処
理と選択性の大きな異方性化学エッチングを利用して三
次元導波路が作製できるため、従来問題となっていたリ
ッジ部の側壁の荒れが解消されることにより導波光の伝
搬損失が低下する。また、微細加工が可能であり、工程
が簡便なため経済的に有利となる。さらに、分極反転工
程で異種元素の拡散が無く、誘電体の特性を損なうこと
が無い。このためこのリッジ型三次元導波路は光の閉じ
込めが良く光デバイス一般に広く使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は単分極化された誘電体材料からなる二次
元導波路にリッジ型三次元導波路を形成する方法であ
る。
【図2】図2は単分極化された誘電体材料にリッジ型三
次元導波路を形成する方法である。
【符号の説明】
1基板 2二次元導波路 3導電性薄膜 4分極反転領域 5誘電体結晶 6イオン交換導波路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一分極化された誘電体材料上にリッジ
    型導波路を形成すると共に、そのリッジ部の分極方向が
    当該リッジ部以外のスラブ部における分極方向とは逆向
    きに形成されてなるるリッジ型三次元光導波路。
  2. 【請求項2】 前記リッジ型導波路は、このリッジ部の
    分極方向を周辺のスラブ部の分極方向とは逆方向に反転
    させて得たものである請求項1に記載の光導波路。
  3. 【請求項3】 前記リッジ型三次元光導波路の表面がプ
    ラス分極面であり、その周辺のスラブ部の表面がマイナ
    ス分極面である請求項1または2に記載の光導波路。
  4. 【請求項4】 少なくとも下記の工程;単一分極化され
    た誘電体材料からなる二次元導波路上に導電性薄膜を用
    いてパターンを形成する工程、熱処理を行い前記単一分
    極化された誘電体の分極方向の一部を反転せしめる工
    程、化学的ウェットエッチングによりリッジ形状を形成
    する工程、を経て製造することを特徴とするリッジ型三
    次元光導波路の製造方法。
  5. 【請求項5】 少なくとも下記の工程;単一分極化され
    た誘電体材料上に導電性薄膜を用いてパターンを形成す
    る工程、熱処理を行い前記単一分極化された誘電体の分
    極方向の一部を反転せしめる工程、化学的ウェットエッ
    チングによりリッジ形状を形成する工程、誘電体材料上
    の少なくとも一部に光導波路を形成する工程、を経て製
    造することを特徴とするリッジ型三次元光導波路の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 前記導電性薄膜を用いて形成されたパタ
    ーンは、誘電体材料のマイナス分極面に形成される請求
    項4または5に記載の製造方法。
JP6728392A 1992-03-25 1992-03-25 リッジ型三次元光導波路とその製造方法 Pending JPH05273418A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6728392A JPH05273418A (ja) 1992-03-25 1992-03-25 リッジ型三次元光導波路とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6728392A JPH05273418A (ja) 1992-03-25 1992-03-25 リッジ型三次元光導波路とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05273418A true JPH05273418A (ja) 1993-10-22

Family

ID=13340498

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6728392A Pending JPH05273418A (ja) 1992-03-25 1992-03-25 リッジ型三次元光導波路とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05273418A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002501468A (ja) * 1997-04-17 2002-01-15 イギリス国 エッチング方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002501468A (ja) * 1997-04-17 2002-01-15 イギリス国 エッチング方法
JP4667544B2 (ja) * 1997-04-17 2011-04-13 キネティック リミテッド エッチング方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5652674A (en) Method for manufacturing domain-inverted region, optical wavelength conversion device utilizing such domain-inverted region and method for fabricating such device
JP3261594B2 (ja) タンタル酸リチウム単結晶、単結晶基板および光素子
JP2750231B2 (ja) 導波路型第2高調波発生素子の製造方法
JPH103100A (ja) 光導波路部品、光学部品、光導波路部品の製造方法および周期分極反転構造の製造方法
CN110764188A (zh) 一种铌酸锂脊型光波导的制备方法
JPH08220578A (ja) 分極反転領域の製造方法ならびにそれを利用した光波長変換素子及びその製造方法
Cheng et al. Wet-etched ridge waveguides in Y-cut lithium niobate
JP3332363B2 (ja) 分極反転領域の製造方法ならびにそれを利用した光波長変換素子及びその製造方法
JPH05273418A (ja) リッジ型三次元光導波路とその製造方法
JP4081398B2 (ja) 光波長変換素子
JPH0517295A (ja) ドメイン反転処理が施されたニオブ酸リチウム単結晶薄膜
JPH05215928A (ja) リッジ型三次元導波路の製造方法
JPH05313033A (ja) 光導波路、製造方法、および光素子
WO2001061401A1 (fr) Guide d'ondes optiques et procede de realisation
JP3096747B2 (ja) チャンネル型光導波路の形成方法
KR100439960B1 (ko) 열확산법을 이용한리드마그네슘니오베이트-리드티타네이트 광도파로 및 그의제조방법
JPH05313219A (ja) 分極反転格子タンタル酸リチウム単結晶基板および光素子
Li et al. On the fabrication of annealed proton exchanged waveguides with electric field poled domain reversals in Z‐cut LiNbO3
JP3165756B2 (ja) 第2高調波発生素子及びその製造方法
JPH06174908A (ja) 導波路型回折格子の製造方法
Chang et al. A novel self-aligned fabrication process for nickel-indiffused lithium niobate ridge optical waveguides
JPH05105594A (ja) タンタル酸リチウム単結晶の製造方法および光素子
JP2951583B2 (ja) 光導波路部品、第二高調波発生デバイスおよび光導波路部品の製造方法
JP2764473B2 (ja) 光導波路の作成方法
JP2000131546A (ja) リッジ形3次元導波路製造方法