JPH05272162A - 便器用消臭装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 排便時に発生する悪臭を使用者本人が感じな
いようにすることができるとともに、使用直後にトイレ
ルームに入った人についても悪臭を感じないようにする
ことができる消臭装置を提供する。 【構成】 人体の着座を感知する検知部１と、便器の内
側と外側を連通させる脱臭ダクト２と、ダクト２内に設
けられた送排風手段および脱臭部７とを備え、脱臭部７
には感覚中和消臭剤５を配置するようになっていて、検
知部１による着座の感知により便器の内側に感覚中和消
臭剤５を含む空気を所定時間送風して便器内部に発生す
る悪臭を消臭した後、便器内の空気を脱臭部７を経て便
器の外側に排出するようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、便器において排便の
際に発生する悪臭を消臭するための消臭装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、トイレルーム内において排便の際
に発生する悪臭の除去方法としては、たとえば、換気に
よる方法、芳香剤を散布するマスキングによる方法、フ
ァン付き脱臭装置を用いる方法等が行われている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、前述の従来
法には、以下のような欠点があった。換気による方法で
は、トイレルーム内に拡散した悪臭を換気扇等で排出す
るだけであるため、速効性がほとんどなく、続いて使用
者がトイレルーム内に入ると、悪臭を感じてしまう。

【０００４】前記のマスキングによる方法は、排便物自
体への消臭ではなく、排便後、トイレルーム内に芳香剤
を散布することにより拡散した悪臭をマスキングする
か、あるいは、トイレルーム内に常に芳香臭を存在さ
せ、悪臭をマスキングする方法である。前者の場合、排
便中には悪臭が感じられ、さらに芳香臭と悪臭とが混合
することによりさらに不快なにおいとなり、続いてトイ
レルーム内に入ると、不快な混合臭を感じてしまう。ま
た、後者の場合、使用する芳香剤の種類に対する人の嗜
好によって芳香剤の香りに嫌悪感を抱くことがあり、さ
らに、発生した悪臭と芳香剤の香りとが混合することに
より不快臭となり、前者と同じ現象が現れる。

【０００５】また、活性炭フィルターを備えた消臭装置
やそれらを組み込んだ便座では、発生した悪臭を完全に
捕集することができないため、排便中に悪臭を感じてし
まう問題があった。そこで、この発明は、排便時に発生
する悪臭を使用者本人が感じないようにすることができ
るとともに、使用直後にトイレルームに入った人につい
ても悪臭を感じないようにすることができるため、排便
により発生する悪臭に対して効率的かつ確実に消臭を行
うことができる消臭装置を提供することを課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、この発明にかかる便器用消臭装置は、便器に付属さ
せる消臭装置であって、人体が着座したことを感知する
検知部と、便器の内側と外側を連通させる脱臭ダクト
と、ダクトの一部に設けられた送排風手段および脱臭部
とを備え、前記脱臭部には感覚中和消臭剤を配置するよ
うになっていて、前記検知部による着座の感知により前
記送排風手段を駆動させて便器の内側に前記感覚中和消
臭剤を含む空気を所定時間送風して便器内部に発生する
悪臭を消臭し、その後、便器内の空気を前記脱臭部を経
て便器外側に排出するようになっているものである。

【０００７】この発明で用いられる感覚中和消臭剤は、
香気を発するものであって、その香気と臭気とが混合し
て互いに相殺される感覚的中和作用により、臭気強度を
低下させ、快・不快度を改善して、悪臭を消臭すること
ができるとともに、香気と臭気との混合後のにおいを不
快でなくすることができるものであることが必要であ
る。

【０００８】このような感覚中和消臭剤としては、特に
限定はされないが、たとえば、植物精油を有効成分とし
て含むもの等が挙げられる。感覚中和消臭剤は、１種の
みを用いてもよいし、２種以上を併用してもよい。植物
精油は、一般的には、植物の花、つぼみ、葉、葉柄、
実、茎、根、枝、幹、樹皮等の各器官から、主として水
蒸気蒸留、圧搾等により得られ、揮発性で香気を発する
ものである。

【０００９】植物精油を得るための植物の種類として
は、特に限定はされないが、たとえばミカン科、セリ
科、シンケイ科、フトモモ科、イネ科、モクセイ科およ
びクスノキ科等の植物が挙げられる。植物は、１種のみ
を用いてもよいし、２種以上を併用してもよい。使用で
きる植物精油の具体例としては、トイレ臭気に対して効
果のあるものであれば、特に限定はされないが、たとえ
ば、オレンジ油、レモン油、ベルガモット油、フェネル
スウィート油、キャラウェイ油、プチグレン油、ネロー
リ油、クローブ油、タイム（タチジャコウソウ）油、セ
ージ油、ユーカリ油、ローズマリー油、ラベンダー油、
ペパーミント油、ベイ油、パッチョリー油、ジャスミン
油、バンブー（竹）油、ジンジャー油、ベチバー油、シ
トロネーラ油、パルマローザ油、カシア油、シナモン
油、レモングラス油等が挙げられる。植物精油は、１種
のみを用いてもよいし、２種以上を併用してもよい。

【００１０】この発明で用いられる感覚中和消臭剤は、
必要に応じて、希釈剤として水や有機溶媒等を含んでい
てもよく、また、界面活性剤を含んでいてもよい。使用
できる有機溶媒としては、特に限定はされないが、たと
えば、メタノール、エタノール等のアルコール類や、メ
チルエチルケトン、アセトン等のケトン類等のような親
水性有機溶媒、あるいは、石油エーテル、ヘキサン、酢
酸エチル等のような疎水性有機溶媒が挙げられる。

【００１１】使用できる界面活性剤も、たとえば、陽イ
オン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、両性界面活性
剤、非イオン界面活性剤等、特に限定されない。感覚中
和消臭剤の使用形態については、特に限定はされない。
たとえば、液体状のものを用いてもよいし、ゲル化させ
たものを用いてもよい。あるいは、無機、有機もしくは
金属の多孔質担体に前述した液体状の植物精油を含浸さ
せたものを用いてもよい。

【００１２】感覚中和消臭剤の揮発量については、特に
限定はされないが、悪臭、異臭に対して使用する消臭剤
自身の、後で述べる臭気強度が２以下になるような量で
あることが好ましい。この範囲の上限を超えると、消臭
剤の香りが強くなりすぎるため、マスキング作用が発現
したり、特定空間に強い香りが長時間滞在することによ
り不快な感じを与えたり、前述した個人の香りに対する
嗜好差の問題が生じたりする恐れがあるからである。

【００１３】ここで、臭気強度とは、０、１、２、３、
４、５の６段階の数値で評価されるものであり、臭気強
度０は「臭気を感じない」、１は「臭気をかすかに感じ
る」、２は「臭気をやや強く感じる」、３は「臭気を強
く感じる」、４は「臭気を非常に強く感じる」、５は
「臭気を極端に強く感じる」を意味する。感覚中和消臭
剤の揮発量を調整する方法としては、特に限定はされな
いが、たとえば、消臭剤を容器中に入れた形で用い、容
器の開口率を調整する方法、送排風手段による風量を調
整する方法等が挙げられる。

【００１４】２種以上の感覚中和消臭剤を用いる場合、
それらを入れるための容器は、各消臭剤ごとに別々にし
てもよいし、同一のものであってもよい。また、容器
は、消臭剤によって溶解されない材料で作られているも
のであれば、特に限定はされないが、たとえば、アルミ
ニウム等の金属製やガラス製のものを用いてもよいし、
ポリ塩化ビニル等の膜や通気可能な微小孔を有する膜等
を用いてもよい。

【００１５】この発明の便器用消臭装置が取り付けられ
る便器の種類は、洋式、和式を問わず、何ら限定されな
い。検知部としては、人体の着座を感知できるものであ
れば、特に限定はされないが、人体が着座したときにそ
の重みを感知し作動するマイクロスイッチや、赤外線セ
ンサー、熱センサー等が例示される。

【００１６】送排風手段としては、特に限定はされない
が、正逆反転自在のモータにより駆動され、送風と排風
の両機能を併せ持つ送排風ファン等が例示される。しか
し、これに限定されない。たとえば、回転方向が互いに
反対である送風用と排風用の２つのファンを用いるよう
にしてもよいのである。脱臭部には、感覚中和消臭剤の
他に、必要に応じて、脱臭手段が設けられていてもよ
い。その場合は、消臭効果がさらに向上する。脱臭手段
としては、特に限定はされないが、たとえば、活性炭等
を含む脱臭フィルタ等が挙げられる。

【００１７】

【作用】人体の着座を検知部が感知すると、脱臭ダクト
から便器の内側に感覚中和消臭剤を含む空気を所定時間
送風して便器内部に発生する悪臭を消臭し、その後、便
器内の空気を脱臭ダクト内に取り込み、脱臭ダクト内の
脱臭部を経て便器外側に排出する。すると、脱臭ダクト
内に取り込むことができなかった悪臭については最初に
送り込んだ感覚中和消臭剤により消臭され、脱臭ダクト
内に取り込まれた悪臭は脱臭部に配置された感覚中和消
臭剤により消臭された後、便器外側へ排出される。その
ため、便器使用者本人は、排便中に悪臭を感じることが
なくなる。また、便器内の悪臭は消臭された後、便器外
へ排出されるので、トイレルーム内に悪臭が拡散せず、
使用直後にトイレルームに入った人も悪臭を感じること
がなくなる。

【００１８】

【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例を比較例
と併せて示すが、この発明は、下記実施例に限定されな
い。図１および２は、この発明にかかる便器用消臭装置
の一実施例を表す。図にみるように、この便器用消臭装
置は、人体の着座を感知する検知部１と、便器の内側と
外側を連通させる脱臭ダクト２とを備えている。脱臭ダ
クト２内には、正逆反転自在のファンモータ３およびフ
ァンモータ３により駆動される送排風ファン４からなる
送排風手段と、脱臭部７が設けられている。脱臭部７に
は、送排風ファン４と便器内側との間の所定位置に植物
精油を有効成分として含む感覚中和消臭剤５と、送排風
ファン４と便器外側との間の所定位置に活性炭を含む脱
臭フィルタ６とが配置されている。

【００１９】図３および４は、上記実施例の消臭装置を
取り付けた洋式便器を表す。図にみるように、便座８の
下には、人体が着座したときにその重みを感知し作動す
るマイクロスイッチからなる検知部１が便座８に沿って
配置されている。脱臭部７が内蔵された脱臭ダクト２
は、便器本体９の後ろ側に設置されている。使用者が便
座８に着座すると、検知部１が人体の着座を感知し、フ
ァンモータ３を数秒間正駆動させることにより、感覚中
和消臭剤５を含む空気を脱臭ダクト２から便器内に供給
して便器内部に発生する悪臭を消臭し、その後、ファン
モータ３を逆駆動させることにより、便器内部の空気を
脱臭ダクト２内に取り込み、脱臭ダクト２内の脱臭部７
で感覚中和消臭剤５と脱臭フィルタ６によりさらに消臭
して、便器外側へ排出するようになっている。

【００２０】上記消臭装置の消臭効果を以下のようにし
て調べた。上記実施例の消臭装置を取り付けた便器を１
０人のパネラーに使用してもらい、臭気強度官能試験を
行った。なお、植物精油としては、オレンジ油、ペパー
ミント油およびジャスミン油の３種類を併用した。その
結果、使用中に悪臭をかすかに感じたパネラーが１名い
たが、その他のパネラーは全員とも悪臭を感じなかっ
た。

【００２１】また、使用直後に、使用者以外の５名のパ
ネラーにより、トイレルーム内の臭気強度官能試験を行
った。その結果、パネラー全員とも悪臭を感じなかっ
た。このことから、上記実施例の消臭装置の消臭効果は
非常に高いことが確認された。次に、比較例として、感
覚中和消臭剤をまったく用いないこと以外は上記実施例
と同様の構成を持つ装置を便器に取り付け、トイレ使用
者１０名による同様の臭気強度官能試験を行ったとこ
ろ、排便直後に悪臭を感じた者が７名いた。このことか
ら、排便前に感覚中和消臭剤が便器内に存在していなけ
れば、使用者本人が悪臭を感じないようにすることは困
難であることが確認された。

【００２２】また、別の比較例として、消臭装置を便器
に取り付けずに、トイレルームに市販の芳香剤（商品名
「ピコレット」、ライオン（株）製）を設置し、上記と
同様の臭気強度官能試験を１０名のトイレ使用者により
行ったところ、芳香剤のにおいと排泄物のにおいが混合
して非常に不快感を覚えた者が８名、悪臭は感じられな
いが、芳香剤のにおいが嫌いまたは強すぎるために不快
感を覚えた者が２名いた。このことから、芳香剤では、
トイレルーム内を快適に消臭するのは困難であることが
確認された。

【００２３】

【発明の効果】この発明にかかる便器用消臭装置によれ
ば、排便時に発生する悪臭を使用者本人が感じないよう
にすることができるとともに、使用直後にトイレルーム
に入った人についても悪臭を感じないようにすることが
できるため、排便により発生する悪臭に対して効率的か
つ確実に消臭を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明にかかる便器用消臭装置の一実施例を
表す側断面図である。

【図２】上記実施例を表す平面断面図である。

【図３】上記実施例を取り付けた洋式便器を表す平面外
観図である。

【図４】上記実施例を取り付けた洋式便器を表す一部切
り欠き正面外観図である。

【符号の説明】

１ 検知部 ２ 脱臭ダクト ５ 感覚中和消臭剤 ７ 脱臭部 ９ 便器

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 便器に付属させる消臭装置であって、人
   体が着座したことを感知する検知部と、便器の内側と外
   側を連通させる脱臭ダクトと、ダクトの一部に設けられ
   た送排風手段および脱臭部とを備え、前記脱臭部には感
   覚中和消臭剤を配置するようになっていて、前記検知部
   による着座の感知により前記送排風手段を駆動させて便
   器の内側に前記感覚中和消臭剤を含む空気を所定時間送
   風して便器内部に発生する悪臭を消臭し、その後、便器
   内の空気を前記脱臭部を経て便器外側に排出するように
   なっている便器用消臭装置。
2. 【請求項２】 脱臭部には、脱臭手段も設けられている
   請求項１記載の便器用消臭装置。