JPH05271508A - 回転成形用フッ素樹脂粉末 - Google Patents

回転成形用フッ素樹脂粉末

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JPH05271508A
JPH05271508A JP9890792A JP9890792A JPH05271508A JP H05271508 A JPH05271508 A JP H05271508A JP 9890792 A JP9890792 A JP 9890792A JP 9890792 A JP9890792 A JP 9890792A JP H05271508 A JPH05271508 A JP H05271508A
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道彦 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】成形体表面の平滑性に優れ、冷却時の収縮でク
ラックの発生がなく、ライニング時に基材との密着性に
優れる回転成形用フッ素樹脂粉末を提供する。 【構成】エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体
からなり、容量流速が3〜10g/10minである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は回転成形用フッ素樹脂粉
末に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂の回転成形方法は、継目のない
中空成形体またはライニング層を形成する方法として知
られていた。フッ素樹脂を用いて回転成形することは、
特開昭63−227311号公報、特開平3−2074
74号公報、特開昭59−167219号公報などによ
って提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】フッ素樹脂を回転成形
させる場合には、フッ素樹脂の非粘着性などの面から、
ライニングとした場合に基材との密着性が得られ難い。
また、フッ素樹脂は、融点が高く、かつ、融点と熱分解
点の差が比較的小さいため、成形が難しく、平滑な表面
層を有する成形体や、クラック等のない成形体を得るこ
とは難しかった。例えば、特開昭63−227311号
公報に提案されているような、パーフルオロ樹脂にて回
転成形を行うと、特にライニングの際に基材との密着性
が得られ難いため、予めプライマーを塗布する等の予備
処理を行う必要があった。
【0004】一方、特開昭59−167219号公報、
特開平3−207474号公報に提案されているよう
な、エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体から
なる樹脂を用いると、ライニング時の基材との密着性は
改善されるが、表面の平滑な成形体成形や、冷却時の収
縮によるクラック防止等においては必ずしも十分に改良
されていなかった。
【0005】本発明は従来技術の上記問題点を解決しよ
うとするものである。すなわち、ライニングにおいても
基材との密着性に優れ、かつ、成形体の表面平滑性に優
れ、冷却時の収縮によるクラックの発生がない、回転成
形用フッ素樹脂粉末を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、エチレン−テトラフル
オロエチレン系共重合体からなり、容量流速が3〜10
g/10minであるフッ素樹脂粉末である回転成形用
フッ素樹脂粉末を提供する。
【0007】本発明において、エチレン−テトラフルオ
ロエチレン系共重合体とは、基本的にエチレン、テトラ
フルオロエチレンからなる共重合体であるが、少量の他
の共重合成分を含むものであってもよい。エチレン、テ
トラフルオロエチレンの共重合割合は特に限定されない
が、それぞれがモル比で30/70〜70/30である
ことが好ましい。この範囲外のものは入手が難しくな
る。また、エチレンの単位の多すぎるものは耐薬品性な
どのフッ素樹脂特有の効果が薄くなり、好ましくない。
またテトラフルオロエチレンの単位の多すぎるものは、
製造が難しいため、入手が困難である。
【0008】また、前述の通り、本発明におけるエチレ
ン−テトラフルオロエチレン系共重合体は、エチレン、
テトラフルオロエチレンの他に少量の共重合成分を含む
ものであってもよい。かかる共重合成分としては、フッ
素化エチレン性不飽和単量体が使用される。具体的に
は、CH2 =CHR1 (R1 はポリフルオロアルキル基
またはポリフルオロアルコキシ基である。)で表される
ポリフルオロアルキルエチレンやポリフルオロアルコキ
シエチレンなどが例示される。ポリフルオロアルキルエ
チレンやポリフルオロアルコキシエチレンを少量共重合
したエチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体は耐
クラック性が改善されるため好ましい。共重合成分とし
ても、特に、パーフルオロブチルエチレンなどの炭素数
2〜7程度のパーフルオロアルキル置換エチレンや、ト
リフルオロプロポキシエチレンなどの炭素数2〜7程度
のポリフルオロアルコキシ置換エチレンが好ましい。
【0009】また、かかる共重合成分は、エチレン−テ
トラフルオロエチレン系共重合体中に10モル%以下、
特に5モル%以下とすることが好ましい。
【0010】本発明におけるエチレン−テトラフルオロ
エチレン系共重合体は容量流速が3〜10g/10mi
nのものである。特に6〜8g/10minのものが好
ましい。ここで、容量流速とは、ASTM D1238
に従って測定される値で、温度300℃、ピストン荷重
2.16kgにおける値である。容量流速が上記範囲よ
りも小さくても、大きくても、表面の平滑な表面が得ら
れ難くなり、好ましくない。
【0011】また、本発明の回転成形用フッ素樹脂粉末
は、平均粒径が100〜500μm、さらには200〜
400μmであることが好ましい。この平均粒径は、最
小の熱エネルギーで平滑な表面性を得るのに必要な条件
となる。
【0012】すなわち100μm未満の粒径であると、
金型の回転に合わせて、粒子が全体に一様にころがる前
に粒子全部が溶融し、だんご状になり金型の内面に均一
な厚さの成形品が得られ難い。たとえ加熱時間、温度を
増しても一度溶融した樹脂が大きく移動はしない。
【0013】また、500μm超になると、初期におい
ては十分なころがりが得られるが、加熱により粒子の表
面が溶けるのと中心が溶けるのに時間差が生じ“す”が
生じ易い。加熱時間、温度を増しても表面に皮膜ができ
ており、中の気泡は容易に抜けない。
【0014】また、本発明の回転成形用フッ素樹脂粉末
は、銅または銅化合物を含有していると熱安定性が向上
するため好ましい。ここで、銅化合物とは、酸化銅、容
易に酸化して酸化銅となる化合物、ハロゲン化銅などで
ある。容易に酸化して酸化銅となる化合物は、回転成形
時の温度、雰囲気下で酸化して酸化銅となる化合物であ
れば特に制限なく採用可能である。また、ハロゲン化銅
としては、臭化銅、ヨウ化銅などが例示される。
【0015】かかる銅または銅化合物は、エチレン−テ
トラフルオロエチレン系共重合体100重量部当り、3
重量部以下の範囲で使用することが好ましい。下限は特
に限定されず、10ppm以上の少量であっても充分に
効果が発揮される。
【0016】さらに、本発明の回転成形用フッ素樹脂粉
末は、繊維物質を含有することが好ましい。繊維物質が
含まれていると、流れ性が低下するため厚膜成形品また
は厚膜ライニングが容易になる。また、成形品の強度も
向上する。ここで繊維物質としては、炭素繊維またはガ
ラス繊維が好適である。また、繊維物質は、平均長さが
500μm程度以下のものが好適である。長すぎるもの
を配合すると、適当な大きさのフッ素樹脂粉末が得られ
難くなる。一方、フッ素樹脂粉末を平均粒径100〜5
00μmとすると、実際にはそこに含まれる繊維物質は
長さ500μm程度以下となる。
【0017】また、繊維物質はエチレン−テトラフルオ
ロエチレン系共重合体100重量部当り100重量部以
下とすることが好ましい。繊維物質の量が多すぎると繊
維物質が表面に露出して耐薬品性が低下したり、表面の
平滑性が低下したりするため好ましくない。好適には、
エチレン−テトラフルオロエチレン系共重合体100重
量部当り5〜50重量部の範囲である。
【0018】
【実施例】以下に実施例および比較例を挙げて本発明を
具体的に説明する。 実施例1、比較例 直径50cm、高さ80cmのステンレス(SUS30
1)製ボトルの内壁をサンドブラストした後、各種回転
成形用樹脂粉末を入れ、樹脂の融点以上の温度に加熱し
ながら2軸回転を行った。この2軸回転を続けながら、
樹脂の融点以上の温度に30分間保持した。この後、2
軸回転を続けながら室温まで冷却して、成形品を得た。
この成形品について以下の評価および成形性の評価を行
った。
【0019】なお、実施例1、比較例で用いた回転成形
用樹脂粉末は次の通りである。実施例1および比較例で
用いた樹脂は、エチレン/テトラフルオロエチレン/パ
ーフルオロブチルエチレン(49/49/2:モル比)
の共重合体であって、容量流速(MFR)8.0g/1
0minの共重合体100重量部および酸化銅100p
pmからなり平均粒径300μmのものを基本樹脂粉末
として用い、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)
の割合、MFR、酸化銅の量および平均粒径を変化させ
た時の成形性の変化および樹脂を変えた時の成形品評価
の結果を表1〜表5に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】
【表5】
【0025】実施例2 内径20cm、高さ35cmのフランジ付き鋼鉄製ボト
ル(SS50、容量10リットル)の内面を予めサンド
ブラスト仕上げを行い、本発明の実施例1の基本樹脂樹
脂を1.3kg投入する。入口のフランジ面は、同様の
大きさの平面でマスキングを行う。
【0026】前記実施例1と同様の条件で成形を行うフ
ランジ部のマスキングをはずした後のボトルは、樹脂の
肉厚2mmに鋼鉄製のボトルの内面に成形できており内
面は平滑でありかつクラック、気泡、黄変も一切なく、
白色のままであった。また、コーナー部への樹脂が十分
にまわっておりボトルの凹部、凸部における肉厚の差は
0.5mm以内であった。
【0027】
【発明の効果】本発明の回転成形用フッ素樹脂組成物
は、成形体表面の平滑性に優れ、冷却時の収縮によるク
ラックの発生もなく、また、ライニング用に使用した時
には基材との密着性に優れるという効果を有する。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレン−テトラフルオロエチレン系共重
    合体からなり、容量流速が3〜10g/10minであ
    るフッ素樹脂粉末である回転成形用フッ素樹脂粉末。
  2. 【請求項2】フッ素樹脂粉末が、平均粒径100〜50
    0μmの粉末である、請求項1の粉末。
  3. 【請求項3】エチレン−テトラフルオロエチレン系共重
    合体が、5モル%以下の量のフッ素化エチレン性不飽和
    単量体が共重合されてなる共重合体である、請求項1の
    粉末。
  4. 【請求項4】エチレン性不飽和単量体が、ポリフルオロ
    アルキルエチレンである、請求項3の粉末。
  5. 【請求項5】フッ素樹脂粉末が、銅または銅化合物を含
    有する、請求項1の粉末。
  6. 【請求項6】フッ素樹脂粉末が、繊維物質を含有する、
    請求項1の粉末。
  7. 【請求項7】繊維物質が、炭素繊維およびガラス繊維か
    ら選ばれる少なくとも一種である、請求項6の粉末。
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