JPH05264409A - プロセス運用支援システム - Google Patents

プロセス運用支援システム

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JPH05264409A
JPH05264409A JP4064169A JP6416992A JPH05264409A JP H05264409 A JPH05264409 A JP H05264409A JP 4064169 A JP4064169 A JP 4064169A JP 6416992 A JP6416992 A JP 6416992A JP H05264409 A JPH05264409 A JP H05264409A
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聡 大石
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幸一 川口
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卓史 西谷
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  • Testing Of Devices, Machine Parts, Or Other Structures Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】プロセスの状態を表わすデータを取り込んで、
後段の処理手段で処理可能なデータに変換処理するプロ
セスデータ取り込み処理手段と、プロセスの状態を表わ
すデータに基づいてプロセスの状態を記号的に表現する
記号化データを生成する記号化処理手段と、記号化され
たデータを蓄積する記号化データ蓄積手段と、指定され
た範囲のデータを記号化データ蓄積手段から取り出し
て、表示データとして出力する表示処理手段と、上記表
示データを画面に表示すると共に、外部からの指示を受
け付ける入出力手段とを備える。記号化処理手段は、プ
ロセスの状態を表わすデータと、プロセスの状態を記号
的に表現する記号化データとの適合度を求める機能を有
する。記号化データ蓄積手段は、記号化データと共に適
合度を蓄積するものである。 【効果】プロセスの状態を示す情報の特徴を、監視する
オペレータの個人的条件に影響されることなく抽出で
き、プロセスの状態を正確に把握することができる。ま
た、これにより従来人間が考えている内容に近い知識処
理用の推論ルールを作成可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラント等のプロセス
の運用を支援するためのシステムに係り、特に、プロセ
スの状態を表す情報を、オペレータに対し容易に理解で
きる表現で提供することができるプロセス運用支援シス
テムに関する。
【0002】
【従来の技術】化学プラント等のプラントにおいては、
プラントのプロセス変動が最終製品に対して大きな影響
を与えるため、プロセスの傾向および変化の監視、制御
ループを構成する計器およびセンサの異常監視、およ
び、運転パターンに沿ってプロセスの運転がなされてい
るか否かの監視が必要となる。通常、プラントの運転を
監視するシステムでは、プロセスデータについて、予め
定めた基準と比較して、異常であると、アラームを出力
するようになっている。アラームを出力させるための要
素としては、例えば、プロセスの状態を表すデータに関
する上下限、変化率、偏差等が用いられている。プラン
トのオペレータは、それらについての監視あるいは制御
周期単位での瞬時的アラームの発生の有無により、プラ
ントに対する操作を行っている。
【0003】しかしながら、これらアラームは、発生し
てからでは既に遅いという場面が多々ある。そのため、
プラントの異常の前兆を捕らえて、事前に異常事態や事
故の回避のための対策を講ずることが必要となる。この
監視のためには、例えば、プロセスの状態を表す時系列
データの特徴を正確に把握することが必要である。そこ
で、従来は、プラントの運転に際し、これらのアラーム
処理のほかに、これと並行して、各種プロセスデータの
トレンドグラフを表示装置に表示して、オペレータに監
視させている。すなわち、オペレータは、これらのトレ
ンドグラフを常に監視して、プロセスの傾向および変化
を察知するようにして、プラントを運転している。この
トレンドグラフ監視は、特に、プラントの立ち上げ時、
グレードチェンジ時、シャットダウン時等の、プラント
の状態が大きく変化する場合に、オペレータにとって非
常に重要な仕事となっている。
【0004】一方、プラントの運転は、オペレータの個
人的経験や設計知識として予め考え出されているプラン
トの運転方案に基づいて行われている。また、プラント
の現在の運転状態が異常な状態となった場合、オペレー
タは、自身が経験した過去の事例の中で、似た事例を思
い出して、または、記録を探して、その時の状況におい
て採られた操作を参考にして、運転を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、プラントの
異常の前兆を捕らえるためには、過去どういうプロセス
の変化が発生したかを、トレンドグラフから読み取る必
要がある。この場合、トレンド上にあるプロセスの変化
を異常要因と判断するか否かは、オペレータの個人差に
より分かれるものである。ところが、従来の技術では、
この点についての配慮がなく、トレンドグラフからの異
常の前兆となる変化の読み取りが、オペレータ個人個人
の主観により判断されていた。このため、オペレータの
熟練度や、注意力、体調などにより、判断が左右される
ため、前兆現象の見落としたり、見誤ったりするという
問題が生じていた。
【0006】また、この種のプロセスでは、プロセスの
状態を表わすセンサ情報を受けるのみならず、そのセン
サ情報に基づいて、プロセスが異常か否か、また、異常
の場合の異常箇所を突き止めるための推論を行なうこと
が好ましい。このためには、ベテランの運転員の知識を
集め、これをルール化して、推論知識を構築する必要が
ある。
【0007】ところが、プロセスから種々の実測データ
について、オペレータの知識を用いてルール化しようと
する場合、実測データに対するオペレータの知識との組
み合わせが一様でなく、しかも、オペレータの知識は、
計測値とは異なり、曖昧に表現される。このため、ルー
ルが非常に多岐に渡って複雑化する。このため、ルール
の構築が容易ではないという問題がある。
【0008】本発明の第1の目的は、プロセスの状態を
示す情報の特徴を、監視するオペレータの個人的条件に
影響されること無く抽出できて、プロセスの状態を正確
に把握することができるプロセス運用支援システムを提
供することにある。
【0009】また、本発明の第2の目的は、プロセスの
特徴を、オペレータが容易に理解できるよう表現でき
て、この表現とオペレータの知識とをそのまま組み合わ
せることができて、ルールの構築が容易に行なえるプロ
セス運用支援システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るため本発明の第1の態様によれば、プロセスの状態を
表わすデータを取り込んで、後段の処理手段で処理可能
なデータに変換処理するプロセスデータ取り込み処理手
段と、プロセスの状態を表わすデータに基づいてプロセ
スの状態を記号的に表現する記号化データを生成する記
号化処理手段と、記号化されたデータを蓄積する記号化
データ蓄積手段と、指定された範囲のデータを記号化デ
ータ蓄積手段から取り出して、表示データとして出力す
る表示処理手段と、上記表示データを画面に表示すると
共に、外部からの指示を受け付ける入出力手段とを備
え、記号化処理手段は、プロセスの状態を表わすデータ
と、プロセスの状態を記号的に表現する記号化データと
の適合度を求める機能を有し、記号化データ蓄積手段
は、記号化データと共に適合度を蓄積するものであるこ
とを特徴とするプロセス運用支援システムが提供され
る。
【0011】表示処理手段は、記号化データの記号的表
現と共に、その適合度を表示するものとすることができ
る。
【0012】また、記号化処理手段は、標準ベクトルデ
ータおよびこの標準ベクトルデータの特徴を記号的に表
現する記号表現データを有する記号化処理用辞書と、入
力されたデータを折線近似してベクトル系列を生成し、
このベクトル系列について、記号化処理用辞書を用い
て、類似する標準ベクトル系列を検索し、最も類似する
標準ベクトルに対応する記号表現データを抽出して記号
化処理を行う記号化処理部と、入力データの折線近似ベ
クトル系列と、標準ベクトル系列との類似度を計算する
類似度計算処理部とを有し、類似度を、当該記号化デー
タの入力データに対する適合度として出力するものとす
ることできる。
【0013】本発明は、第2の目的を達成するため、上
記構成に加えて、記号化データとその適合度とを用いて
記述される推論ルールを生成する知識獲得入力手段を備
えることを特徴とする。
【0014】知識獲得入力手段は、プロセスの状態を表
わす記号化データの表現を、ファジィ推論のメンバーシ
ップ関数に対応させ、その適合度を、メンバーシップ関
数への適合度に対応させて、外部からの入力を受け付け
て、IF THENルールの記述を生成する機能を有す
るものとすることができる。
【0015】また、知識獲得入力手段は、プロセスで発
生する事象を定義するボックスと、その波及方向とボッ
クスの接続関係を定義する接続記号とで表現されるグラ
フのフォーマットを予め有し、上記ボックスに対して、
IF部に属することの指定、および、THEN部に属す
ることの指定を受け付け、IF部に属するボックスにつ
いては、事象の発生部位を示す名称、その事象の内容を
示す記号化データ、その適合度、および、適合度の適用
条件の入力を少なくとも受け付け、THEN部に属する
ボックスには、推論の結果の入力を受け付け、かつ、事
象が定義されたボックスについて、それらの間で、互い
の接続関係、および、それらの事象の波及方向を指定す
る接続記号の入力を少なくとも受け付ける機能を有する
ものとすることができる。
【0016】ここで、事象の波及方向を指定する接続記
号は、ボックスを並列に接続されするものはOR接続と
して、および、ボックスを縦列に接続するものはAND
接続として、それぞれ定義されるものとすることができ
る。
【0017】知識獲得入力手段は、上記ボックスのう
ち、IF部に属するボックスから、それらの接続記号の
論理関係に基づいてIF条件を生成し、これらのボック
スと論理的に接続される、THEN部に属するボックス
に基づいて、THEN部の結論を生成して、推論ルール
の記述を生成する機能を有することができる。
【0018】本発明は、推論ルールを知識として格納す
る知識ベースと、知識ベースの推論ルールを用いてプロ
セスの状態を推論する推論エンジンとをさらに有するこ
とができる。また、推論結果に基づいて、異常処置のガ
イドを入出力手段を介して出力する異常処置ガイド出力
手段とを有する構成とすることができる。
【0019】また、本発明は、推論ルールを知識として
格納する知識ベースと、知識ベースの推論ルールを用い
てプロセスの状態を推論する推論エンジンと、プロセス
の状態を表わす情報であって、センサで検出できない情
報を問い合わせて、その入力を促す表示、および、対応
する情報の入力を受け付けるプロセス状況問い合わせ手
段とをさらに有する構成とすることができる。
【0020】ここで、知識ベースは、プロセスの状態を
表わす記号化データおよびその適合度で記述されるIF
部と、それに対応して、その状態の判断に必要な、プロ
セスの状態を表わす情報であって、センサで検出できな
い情報の問い合わせ事項が記述されるTHEN部とを有
する、プロセス状況問い合わせルールを格納する構成と
することができる。
【0021】推論エンジンは、知識ベースの問い合わせ
ルールに基づく推論を実行して、必要な問い合わせ事項
を出力する機能を有することができる。
【0022】プロセス状況問い合わせ手段は、推論エン
ジンから出力される問い合わせ事項を、入出力手段を介
して表示する機能を有するものとすることができる。
【0023】また、本発明は、時系列的に並んだ複数の
記号化データに対して、新たな記号化データを命名する
記号化統合手段をさらに有する構成とすることができ
る。
【0024】
【作用】本発明では、プロセスデータ取り込み処理手段
により、プロセスの状態を表わすデータを取り込んで、
後段の記号化処理手段で処理可能なデータに変換処理す
る。記号化処理手段は、プロセスの状態を表わすデータ
の特徴を記号的に表現する記号化データを生成する。こ
の記号化処理手段では、例えば、入力されたデータを、
フィルタを用いて折線近似してベクトル系列を生成し、
このベクトル系列について、辞書を用いて、より少ない
ベクトルからなるベクトル系列に統合し、順次得られる
ベクトル系列をそれぞれ辞書に登録されている標準ベク
トル系列と比較して、類似する標準ベクトル系列の名称
を記号として抽出する。
【0025】記号化されたデータは、記号化データ蓄積
手段において記号化データ列として蓄積される。例え
ば、プラントのデータでは時系列的に変化するものが多
いので、この記号化データ列は、例えば、時系列に蓄積
される。もちろん、空間的に分布配列されるデータは、
例えば、トリー構造等の空間的な系列で蓄積することが
できる。
【0026】蓄積されているデータは、表示処理手段に
より、指定された範囲が記号化データ蓄積手段から取り
出されて、表示データとして出力される。この取り出す
範囲は、任意に設定することができる。例えば、現在を
含む1サンプリング周期のデータ、過去のある日時を含
む1ないし数周期のサンプリング周期のデータ等を指定
することができる。また、最新のデータを自動的に更新
して出力させるようにしてもよい。
【0027】入出力手段は、上記記号化データの出力指
示、記号化データの検索指示、プロセスに対する操作指
示等を行うと共に、上記表示データを画面に表示する。
ここで表示されるデータは、例えば、文字列等の記号化
されたデータであるので、オペレータは、その記号の持
つ意味に基づいて、プロセスの状態を、容易に、かつ、
個人差を生じること無く正確に把握することできる。
【0028】また、記号化された操作指示を用いること
により、オペレータがもつあいまいな指示を個人差な
く、プロセス運用に適用することが可能となる。
【0029】また、本発明は、知識獲得入力手段を備え
ることにより、記号化データとその適合度とを用いて記
述される推論ルールを生成することができる。すなわ
ち、例えば、知識獲得入力手段は、プロセスの状態を表
わす記号化データの表現を、ファジィ推論のメンバーシ
ップ関数に対応させ、その適合度を、メンバーシップ関
数への適合度に対応させて、外部からの入力を受け付け
て、IF THENルールの記述を生成する。
【0030】また、知識獲得入力手段は、プロセスで発
生する事象を定義するボックスと、その波及方向とボッ
クスの接続関係を定義する接続記号とで表現されるグラ
フのフォーマットを予め用意しておき、これに、必要な
事項を書き込むことで、FTA(Foult Trerance Anari
sys)を行なうグラフ(記号化有向グラフ)を形成する
ことができる。上記ボックスに対して、IF部に属する
ことの指定、および、THEN部に属することの指定を
受け付ける。IF部に属するボックスについては、事象
の発生部位を示す名称、その事象の内容を示す記号化デ
ータ、その適合度、および、適合度の適用条件の入力を
少なくとも受け付け、THEN部に属するボックスに
は、推論の結果の入力を受け付ける。かつ、事象が定義
されたボックスについて、それらの間で、互いの接続関
係、および、それらの事象の波及方向を指定する接続記
号の入力を少なくとも受け付ける。この場合、事象の波
及方向を指定する接続記号は、ボックスを並列に接続さ
れするものはOR接続として、および、ボックスを縦列
に接続するものはAND接続として、それぞれ定義され
る。
【0031】これによって、知識獲得入力手段は、上記
ボックスのうち、IF部に属するボックスから、それら
の接続記号の論理関係に基づいてIF条件を生成し、こ
れらのボックスと論理的に接続される、THEN部に属
するボックスに基づいて、THEN部の結論を生成し
て、推論ルールの記述を生成することができる。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0033】本発明は、プラント等からのプロセスデー
タの特徴を記号的表現を用いてオペレータに示すことが
できる点にその特徴の一つがある。そこで、プロセス運
用支援システムに関する実施例の説明に先き立って、該
支援システムにおける記号化処理手段として用いられる
記号化処理システムについて説明する。なお、ここで
は、記号化処理システムを独立の記号化装置として説明
するが、後述するプロセス運用支援システムの一構成要
素として構成し得ることはいうまでもない。
【0034】本発明における記号化装置の第1の実施例
の詳細を図1ないし図12を用いて説明する。
【0035】図1は記号化装置の構成を示すブロック図
である。同図において、110は通信装置であって、通
信網を通じて処理対象となるパターンデータの識別番
号,サンプリング周期,処理対象区間,換算係数などを
受信する。120はデータ記憶装置であって、プロセス
の状態を表わす情報が記憶される。プロセスの状態を表
わす情報としては、例えば、発電プラント、化学プラン
ト、水処理プラント等のプロセス制御分野では、プロセ
ス各部の温度,圧力,流量などの時系列的なデータまた
は空間的な分布パターンのデータが、また、金融,証
券,流通などの分野のデータ処理を行うプロセスでは、
経済指標,売上情報,経営情報などの時系列的なデータ
またはパターンデータが記憶されている。
【0036】130は入力処理部であって、前記通信装
置110からの信号により起動される。入力処理部13
0は、通信装置110から送られる前記識別番号,サン
プリング周期,処理対象区間の情報をもとに、データ記
憶装置120から該当するデータを、与えられたサンプ
リング周期で処理対象区間から抽出し、メモリ140に
送る。
【0037】折れ線近似処理部150は、メモリ140
に記憶されている入力パターンを折れ線で近似し、折れ
線を構成する線分のベクトル系列に変換し、結果を統合
処理部160に送る。155はフィルタ記憶部であり、
折れ線近似処理部150で用いられる特徴抽出フィルタ
が記憶されている。
【0038】160は統合処理部であって、前記折れ線
近似処理部150で得られた折れ線ベクトルの系列を統
合し、辞書検索処理部170に送る。165は統合処理
部160で用いられる統合パラメータが記憶されてい
る。
【0039】辞書検索処理部170は、統合処理部16
0から送られるベクトル系列と、標準パターン記憶部1
75に記憶されている事象のベクトル系列とを比較し、
対応候補のベクトル系列を検索する。175は標準パタ
ーン記憶部であり、入力パターンを識別するための事象
名に対応する標準パターンが、折れ線近似されたベクト
ル系列と各々のベクトル系列に対する名称として記憶さ
れている。標準パターンとそれに対応する名称は、予め
システムで用意しておく。なお、ユーザーが任意の名称
を登録するようにしてもよい。また、標準パターンとし
て、任意のパターンをその名称と共に登録することがで
きるようにしてもよい。
【0040】180は類似度計算処理部であって、辞書
検索処理部170で得られた対応候補のベクトル系列と
標準パターン記憶部175に記憶されている事象のベク
トル系列との類似度および尺度を計算し、尺度が一定の
範囲内であって類似度が一定値以上の標準パターンの事
象名,類似度,尺度,対応したデータの区間等をメモリ
190に送る。
【0041】メモリ190に記憶されている処理結果
は、前記通信装置110を介して、他の情報処理システ
ム等に送信される。
【0042】本実施例の記号化装置は、中央処理装置、
主記憶装置、補助記憶装置、各種インタフェース装置等
を有するコンピュータシステムにより構成される。本実
施例の記号化装置の各種機能は、主記憶装置に格納され
るプログラムを中央処理装置が実行することにより実現
され、以下に述べるような動作が実行される。なお、記
号か装置を実現するハードウェアシステムとしては、例
えば、図19に示すようなシステムを用いることができ
る。
【0043】次に、上記構成に基づく記号化装置の各部
の動作を詳細に説明する。
【0044】図2は、前記折れ線近似処理部150の動
作を示すフローチャートである。大別すると、入力デー
タのパターンf(t)と特徴抽出フィルタW2(x)との積
和計算によりパターンの凹凸を計算し、パターンが折れ
線に分割される点τpを求めるパターン分割処理210
と、特徴抽出フィルタW0(x)を用いて、パターンの分
割点近傍におけるデータの平均値を求め、分割点におけ
るデータの推定値fe(τp)を求める推定処理220
と、データ区間の両端における回帰直線から両端の推定
値を求める両端推定処理230と、分割点と両端の推定
値とを用いてパターンを折れ線近似した時のベクトル系
列を計算するベクトル系列計算処理240とから構成さ
れている。
【0045】パターン分割処理210においては、まず
通信網を通じて送られてきた換算係数を、入力データに
乗じてデータの正規化を行ない、処理データf(t)(t
=0,1,…,T)を生成する。次に、入力パターンの
データf(t)(t=0,1,…,T)に対し、フィルタ
記憶部155に記憶されている特徴抽出フィルタW2
(x)を用いた積和計算
【0046】
【数1】
【0047】により、凹凸の度合を示す特徴量g2(t)
を計算する。ここに、aはフィルタの拡がりを示す定数
である。図3(a)に示す入力パターンの一例に対し、
図5(a)に示す特徴抽出フィルタW2(x)による積和
計算を行なった結果を図3(b)に示す。数1に示す計
算結果から絶対値が適当な定数より大きい正と負の極値
を持つ点を抽出することにより、入力パターンの分割点
τp(p=1,2,…,k)を求めることができる。図
3(b)の例ではτp(p=1,2,…,9)が分割点
として得られている。
【0048】推定処理220においては、パターン分割
処理210により得られた分割点τpにおいて、フィル
タ記憶部155に記憶されている特徴抽出フィルタW0
(x)を用いた積和計算
【0049】
【数2】
【0050】により、平均値を表わす特徴量g0(τp)
を計算する。図5(b)に特徴抽出フィルタW0(x)の
例を示す。分割点τpにおけるパターンの推定値fe
(τp)は、凹凸を示す特徴量g2(τp)と、平均値を表
わす特徴量g0(τp)を用いて、
【0051】
【数3】 fe(τp)=W0(0)・g0(τp)+W2(0)・g2(τp)……(数3) によって算出される。
【0052】両端推定処理230においては、入力パタ
ーンの両端の推定値を求める。推定処理220において
求められた分割点の推定値(τ1,fe(τ1))と(τ
k,fe(τk))を通る回帰直線をそれぞれ、
【0053】
【数4】
【0054】
【数5】
【0055】により算出する。
【0056】数4および数5にそれぞれt=0とt=T
を代入することにより、入力パターンの両端の推定値f
e(0)(=h1(0))およびfe(T)(=h2(T))が
求められる。
【0057】ベクトル系列計算処理240においては、
推定処理220と両端推定処理230で得られる点列
(0,fe(0)),(τp,fe(τp))(p=1,
2,…,k),(T,fe(T))から入力波形を近似す
るベクトル系列Ai=(Pi,Qi)(i=1,2,…,
k+1)を、
【0058】
【数6】
【0059】により求める。求まったベクトル系列の例
を図3(c)に図示する。各々のベクトルには図6に示
す標準ベクトルの内で最も近い(勾配が最も近い)標準
ベクトルの名称が付けられる。すなわち、各々のベクト
ルと標準ベクトルとの内積を求め、内積が最大となる標
準ベクトルが最も近い標準ベクトルとして選定され、そ
の名称が付される。名称が付された各ベクトルは、図3
(d)に示すようなデータとして統合処理部160に送
られる。
【0060】次に、統合処理部160における処理の詳
細を説明する。統合処理は、折れ線近似処理部150の
処理結果にベクトルの数が2個以上ある場合に行なわれ
る。処理は、図7に示すような3つのステップからな
る。710は隣り合った同一名称のベクトルを統合する
ステップ、720は短い「平衡」ベクトルを統合するス
テップ、730は「平衡」以外の短いベクトルを統合す
るステップである。以下、各ステップにおける処理の詳
細を説明する。
【0061】(1)ステップ710:隣り合った同一名
称のベクトルを統合する。例えば、図8(a)の場合、
連続した2つの「平衡」ベクトルが1つの「平衡」ベク
トルに統合されている。
【0062】(2)ステップ720:「平衡」という名
称が与えられたベクトルで長さが一定値以下のベクトル
を他のベクトルと統合する。
【0063】(2−1)統合パラメータ記憶部165に
記憶されている一定値以下の変化幅のベクトルが前後に
ある場合は、そのベクトルと統合する。例えば、図8
(b)の場合、短い「平衡」ベクトルの前に短い「下
降」ベクトルがあるため、両者が統合されて新しい「下
降」ベクトルが生成されている。
【0064】(2−2)前後のベクトルとのなす角度
が、統合パラメータ記憶部165に記憶されている一定
値以下であれば、そのベクトルと統合する。例えば、図
8(c)の場合、 cos(θ1)>cos(θ2) であるから、「平衡」のベクトルは前の「下降」ベクト
ルと統合され、新しい「下降」ベクトルとなっている。
【0065】(3)ステップ730:名称が「平衡」以
外で、変化幅の小さいベクトルを他のベクトルと統合す
る。
【0066】(3−1)変化幅が、統合パラメータ記憶
部165に記憶されている一定値以下の短いベクトルが
前後にある場合は、そのベクトルと統合する。例えば、
図9(a)の場合、短い「下降」ベクトルと短い「上
昇」ベクトルが統合されて新しい「平衡」ベクトルが生
成されている。
【0067】(3−2)前後にあるベクトルとのなす角
度が、統合パラメータ記憶部165に記憶されている一
定値以下の場合は、そのベクトルと統合する。例えば、
図9(b)の場合、 cos(θ1)>cos(θ2) であるから、短い「上昇」ベクトルは、前の「下降」ベ
クトルと統合されて、新しい「平衡」ベクトルが生成さ
れている。
【0068】上記の(2)および(3)の場合、新しく
生成されたベクトルの名称は、そのベクトルとのなす角
度が最も小さい標準ベクトル(図6)の名称に変更され
る。図4(a)に統合後のベクトル系列を図示する。こ
のベクトル系列は図4(b)に示すようなデータとして
辞書検索処理部170に送られる。
【0069】次に、辞書検索処理部170の動作を説明
する。図10は辞書検索処理部170の動作を示すフロ
ーチャートである。標準パターン記憶部175には、図
11に示すように、識別する事象名ごとに番号が与えら
れ、番号順に記憶されている。また、事象を構成するベ
クトル系列の各ベクトルは図6の標準ベクトルと同じ傾
きのベクトルで構成され、対応する標準ベクトルの名称
が付与されている。図11に標準パターン記憶部175
に記憶されている事象名の例を示す。図11では事象名
「ステップ状に上昇」が番号1として記憶されており、
事象名「上昇から下降」が番号2として記憶されてい
る。
【0070】図10に示した辞書検索処理部170の処
理の詳細を説明する。まず、ステップ1010におい
て、入力パターンを構成するベクトル系列Ai(i=
1,2,…,m)の各ベクトルと名称の系列が統合処理
部160より入力される。次に、ステップ1020で、
検索する事象名の番号Nが1に設定されて検索が開始さ
れる。検索処理1030において、入力パターンのベク
トル系列から標準パターン辞書の事象と類似したベクト
ル系列が対応候補として選択された場合、ステップ10
40により処理の流れは送信処理1050に移り、事象
名の番号Nおよび対応候補のベクトル系列が、類似度計
算処理部180に送られる。対応候補がない場合、ステ
ップ1060において全ての事象名に対する検索が終了
したかが判定される(標準パターンの数をNmaxとす
る)。すべての標準パターンに対する検索が終了してい
ない場合、ステップ1070において、事象名番号の更
新「N=N+1」が行なわれ、次の標準パターンに対す
る検索が検索処理1030により続行される。
【0071】図12は検索処理1030における処理の
詳細を説明するフローチャートである。ここで、Ai
(i=1,2,…,m)は統合処理部160より送られ
た、入力パターンを構成するベクトル系列、Vj(j=
1,2,…,n)は標準パターン記憶部175に記憶さ
れている事象の標準パターンのベクトル系列である。ま
ず、入力パターンの1番目のベクトルと対応する標準パ
ターンのベクトルを検索するため、ステップ1210に
おいて「is=1」に設定される。次に、ステップ12
20により「j=1,i=is」に設定され、検索が開
始される。検索中の標準パターンのベクトルの番号がm
+1となった場合、ステップ1230により検索は終了
する。入力パターンのベクトルAiの名称と標準パター
ンのベクトルVjの名称との比較がステップ1240で
行なわれ、一致しない場合、ステップ1245を通り、
次の入力パターンのベクトルとの比較が行なわれる。一
致した場合、ステップ1250により、AiとVjの対
が一時記憶1255に記憶される。ステップ1260で
は、標準パターンの全ベクトルに対する検索が終了した
か否かが判定される。j≠nの場合、ステップ1270
の処理「i=i+1,j=j+1」が行なわれ、次のベ
クトルに対する検索が続行される。j=nの場合、ステ
ップ1280の処理「is=ik+1」が行なわれ、i
s番目の入力ベクトルから、標準パターンとの検索処理
が行なわれる。ここに、ikは標準パターンのベクトル
Vjの名称が一致した最新の入力パターンのベクトルの
番号であり、一時記憶に記憶されている対応候補列のう
ち、Vjが対応した最新の入力パターンのベクトルの番
号である。
【0072】類似度計算処理部180においては、図1
2の一時記憶1255の内容に応じて、入力パターンと
標準パターンの類似度Sと尺度Kが、
【0073】
【数7】
【0074】
【数8】
【0075】により算出される。ここに、Vi(i=
1,2,…,m)は標準パターンのベクトル系列、Ai
jは入力パターンのベクトル系列の対応候補であり、V
iとAij(i=1,2,…,ni)が対応候補となっ
ている。数7のSはベクトル系列間の相関係数を計算す
るものであり、パターンが全く相似であれば1.0とな
る。数8は入力パターンのベクトル系列が標準パターン
のベクトル系列と最も一致する時の尺度(縮尺率)であ
る。類似度計算処理部180により得られた標準パター
ンに対する類似度および尺度が定められた一定の範囲
【0076】
【数9】 Smax≦S,Kmin≦K≦Kmax …………(数9) を満足する標準パターンの事象名を、類似度が大きいも
のから順に並べて、メモリ190に記憶する。図4
(c)に記号化結果の例を示す。
【0077】メモリ190に記憶された記号化結果(事
象名,類似度,尺度,一致したデータの区間)は、通信
装置110を通じて他の情報処理システム等に送信され
る。
【0078】本実施例による記号化装置では、標準パタ
ーンと一致する入力パターンの候補部分の検索が、ベク
トルの名称を用いて行なうことができ、計算処理量が少
なくて済むのみならず、誤りの少ない候補を検索できる
という効果がある。さらに、ベクトル系列間で相関係数
を計算して類似度とするため、相似なパターンの検索が
可能であり、標準パターン記憶部175に記憶される事
象のパターン数が少なくできるという効果を合わせ持っ
ている。
【0079】本発明における記号化装置の第2の実施例
を図13ないし図15を用いて説明する。第1の実施例
は、データベース等に記憶されているパターンデータを
一括して記号に変換する実施例であるのに対し、第2の
実施例は、時々刻々とプロセスから得られるデータを記
号に変換する場合の実施例である。この場合、サンプリ
ング周期で現在より1つ前のデータまでは、すでにベク
トル系列に変換されているために、データが1つ追加さ
れたことによる処理をサンプリング周期ごとに行なえば
よい。
【0080】本実施例の記号化装置の構成を図13に示
す。同図において、1310は110と同様の通信装置
であって、通信網を通じて、処理対象となるパターンデ
ータの識別番号等を受信する。1320はデータ記憶装
置であって、プロセスデータとともに前サンプリング周
期までの処理結果であるベクトル系列,事象名などが併
せて記憶されている。入力処理部1330は、通信装置
1310からの信号により起動され、データ記憶装置1
320から識別番号に対応するデータの情報(前サンプ
リングデータまでの処理結果および、最新のサンプリン
グデータ)を読み出し、メモリ1340に送る。
【0081】1350は折れ線近似処理部である。13
55はフィルタ記憶部であり、折れ線近似処理部135
0で用いられる特徴抽出フィルタが記憶されている。本
実施例では、リアルタイム処理として、最新のデータか
ら過去のデータの方向に処理を行なうため、図15に例
を示すような特徴フィルタを用いる。折れ線近似処理部
1350は、メモリ1340に記憶されている入力パタ
ーンの最新データを含む部分から特徴抽出を行ない、パ
ターンデータを折れ線で近似し、折れ線を構成する線分
のベクトル系列に変換する。
【0082】1360は、統合処理部であって、前記折
れ線近似処理部1350で得られた折れ線ベクトルの系
列を統合し、辞書検索処理部1370に送る。1365
は、統合処理部1360で用いられる統合パラメータが
記憶されている。
【0083】辞書検索処理部1370は、図13の折れ
線近似処理部1350から送られる入力パターンのベク
トル系列と、標準パターン辞書1375に記憶されてい
る標準パターンのベクトル系列とを比較し、対応候補の
ベクトル系列を検索する。標準パターン記憶部1375
には、第1の実施例と同様に、図11に例を示すような
事象名とそのベクトル系列および各ベクトルの名称が記
憶されている。1380は類似度計算処理部であって、
辞書検索処理部1370で得られた対応候補のベクトル
系列と標準パターンのベクトル系列との類似度および尺
度を計算する。得られた事象名が前サンプリングの時点
と異なる事象名であって、尺度が一定の範囲内かつ類似
度が一定値以上の場合は、標準パターンの番号と、対応
した入力パターンの番号,類似度、および尺度をメモリ
1390に記憶する。メモリ1390に記憶されている
結果は、前記通信装置1310を介して、他の情報処理
システム等に送信される。
【0084】次に、上記構成に基づく記号化装置の動作
を詳細に説明する。
【0085】図14は、前記折れ線近似処理部1350
の動作を示すフローチャートである。大別すると、入力
パターンf(t)と特徴抽出フィルタW2(x)との積和計
算によりパターンの凹凸を計算し、パターンが折れ線に
分割される点τpを求めるパターン分割処理1410
と、特徴抽出フィルタW0(x),W1(x),およびW2
(x)を用いて、パターンの分割点近傍におけるデータの
平均値を求め、分割点におけるデータの推定値fe(τ
p)を求める推定処理1430と、データ区間の終端に
おける回帰直線から終端の推定値を求める終端推定処理
1450と、分割点と終端の推定値とを用いてパターン
を折れ線近似した時のベクトル系列を計算するベクトル
系列計算処理1460とから構成されている。
【0086】まず、パターン分割処理1410において
は、入力パターンのデータf(t)(t=−T,−T+
1,…,0)に対し、フィルタ記憶部1355に記憶さ
れている特徴抽出フィルタW2(x)を用いた積和計算
【0087】
【数10】
【0088】により、現時刻の近傍における凹凸の度合
を示す特徴量g2(0)を計算する。ここに、aはフィル
タの拡がりを示す定数である。図16(a)に示す入力
パターンの一例に対し、図15に示す特徴抽出フィルタ
W2(x)による積和計算を行なった結果、
【0089】
【数11】
【0090】を満足する場合、t=−b(bはフィルタ
によって定められる一定値)が新しい分割点となる。処
理ステップ1420により、新しい分割点が生成されな
かった場合は処理ステップ1450に進み、分割点が生
成された場合は処理ステップ1430に進む。
【0091】推定処理1430においては、パターン分
割処理1410により得られた分割点τpにおいて、フ
ィルタ記憶部1355に記憶されている特徴抽出フィル
タWk(x)(k=0,1,2)を用いた積和計算
【0092】
【数12】
【0093】により、平均値を表わす特徴量g0(τ
p),傾きを表わす特徴量g1(τp),凹凸を表わす特
徴量g2(τp)を計算する。図15に特徴抽出フィルタ
W0(x),W1(x),およびW2(x)の例を示す。分割
点τpにおけるパターンの推定値fe(τp)は、
【0094】
【数13】
【0095】によって算出される。
【0096】次に、終端推定処理1440においては、
入力パターンの終端の推定値を求める。推定処理143
0において求められた分割点の推定値(τp,fe(τ
p))を通る回帰直線を、
【0097】
【数14】
【0098】により算出する。
【0099】数14にt=0を代入することにより、入
力パターンの終端(t=0)の推定値fe(0)(=h
(0))が求められる。
【0100】ベクトル系列計算処理1440において
は、推定処理1430と終端推定処理1430において
得られる点列(τp,fe(τp)),(0,fe(0))
から入力波形を近似するためのベクトル系列Aj=(P
j,Qj)を、
【0101】
【数15】
【0102】により求める。図16(b)に新しい分割
点τpが生成された場合の点列の例から求められるベク
トル系列を示す。これらの各々のベクトルには図6に示
した標準ベクトルの内で最も近い(勾配が最も似てい
る)ベクトルの名称が付けられ、統合処理部1360に
送られる。
【0103】次に、統合処理部1360における処理の
詳細を説明する。統合処理は、折れ線近似処理部135
0の結果、ベクトルの数が3個以上ある場合に、最新の
ベクトルより2つ前のベクトルに対して行なわれる。処
理の内容は、図7に示した処理と同一である。処理結果
の例を図16(c)に示す。
【0104】辞書検索処理部1370の動作は図1の辞
書検索処理部170と同一であり、類似度計算処理部1
380の動作は図1の類似度180と同一である。得ら
れた記号の例を図17に示す。
【0105】メモリ1390に記憶された記号化結果
(事象名,類似度,尺度,一致したデータの区間)は、
通信装置1310を通じて他の情報処理システム等に送
信される。
【0106】本実施例による記号化装置では、第1の実
施例と同様の効果はもちろん、処理が簡素であるため、
高速にデータの記号的な表現を得られるために、大量の
プロセスデータを安価な処理装置で処理できるという特
徴がある。
【0107】記号化装置の実施例をよく理解し、その固
有の可能性と利点を評価するために、以下に、実施例が
実現されるために用いられる手法に対する簡単な数学的
背景および基礎を提示する。導入された式は、実施例の
機能の洞察も与えてくれる。
【0108】フィルタ記憶部155または1355に記
憶され、折れ線近似処理部150または1350におい
て用いられる特徴抽出フィルタW0(x),W1(x),お
よびW2(x)は、W0(x)はパターンの平均的な値を求
めるフィルタ、W1(x)は平均的な傾きを求めるフィル
タ、W2(x)はパターンの平均的な凹凸を求めるフィル
タである。以下に、W0(x),W1(x),およびW2
(x)の求め方を整理して示しておく。
【0109】パターンデータの展開方法として、
【0110】
【数16】
【0111】で定義される多項式Hm(x)を用いる。こ
こに、E(x)は適当な微分可能関数であり、aおよびb
は定義区間を示す定数である。このとき、
【0112】
【数17】
【0113】とおくと、
【0114】
【数18】
【0115】は、正規直交関数系を構成する。
【0116】正規直交関数系ψm(x)をそのまま用い
て、時系列データf(t)を時刻tの近傍で展開すると、
原データの良い近似を得るには高次の項まで求めておく
ことが必要となる。これを避けるために、時系列データ
を時刻tを中心として
【0117】
【数19】
【0118】と変換して扱うことにする。
【0119】数19に対し、数18の直交関数系を用い
た展開を行なうと、
【0120】
【数20】
【0121】となる。ここに展開係数am(t)(m=
0,1,…,∞)は、
【0122】
【数21】
【0123】により求められる。数19および数20よ
り、時系列データf(t)は、時刻tの近傍で、
【0124】
【数22】
【0125】と展開されたことになる。
【0126】微分可能関数E(x)を、
【0127】
【数23】
【0128】で表わされる指数関数とし、b=−aとし
た場合、数16よりHm(x)はm次のHermite多
項式となる。また、数22より時系列データf(t)は時
刻tの近傍で多項式に展開されたことになる。この時の
展開フィルタWm(x)は、数22に数21および数18
を代入することにより、
【0129】
【数24】
【0130】となることから、
【0131】
【数25】
【0132】と表わされる。
【0133】数25で表わされる特徴抽出フィルタによ
る多項式展開の結果を用いて、時刻tにおける時系列デ
ータ推定値fe(t)を求める。数22にx=0を代入し
てfe(t)は、
【0134】
【数26】
【0135】と求められる。
【0136】数26による展開係数の2次の項a2(t)
は、時刻t近傍における時系列データの凹凸の状態を示
している。従って、時系列データf(t)に対して、数2
4に従い2次の多項式の展開係数a2(t)を求め、極値
を持つ時刻を抽出することにより、時系列データの勾配
が変化する時刻を得ることができる。
【0137】以下、類似度および尺度の求め方について
述べる。標準パターン記憶部175または1375に記
憶されている1つの記号のベクトル系列をVi(i=
1,2,…,m)、時系列データに含まれる対応候補の
ベクトル系列をAi(i=1,2,…,m)とする。標
準パターン記憶部175または1375に記憶されてい
るベクトル系列をK倍した時、両ベクトル系列の間の2
乗誤差Eは、
【0138】
【数27】
【0139】と表わされる。まず、2乗誤差Eを最小と
する尺度Kを求める。数27を展開すると、
【0140】
【数28】
【0141】となる。ここに、(,)はベクトルの内積
を示す。数28はKに関する2次の係数が正の2次式で
あるから、2乗誤差Eの最小値を与える尺度Kは、
【0142】
【数29】
【0143】より、
【0144】
【数30】
【0145】と与えられる。その時の2乗誤差Eは、数
30を数28に代入して、
【0146】
【数31】
【0147】で与えられる。数31における2乗誤差E
を時系列パターンのベクトル系列に関して正規化する
と、
【0148】
【数32】
【0149】となる。従って、尺度Kにより正規化され
た2乗誤差Eによる対応度合の評価指標を、数32の第
2項の平方根を用いた類似度Sで定義する。
【0150】
【数33】
【0151】数32では、数30による尺度Kが正の場
合でも負の場合でも2乗誤差Eは同じとなる。しかし、
時系列データに記号名称を与える場合、反転して一致す
る場合は類似度は小さくならなければならない。数33
は、数32の右辺第2項の平方根を考えることにより、
適正な類似度を得られるものとなっている。数32で表
わされる類似度Sは、 −1.0≦S≦1.0 を満足し、通常の相関係数とよく似た式の形をしてお
り、ベクトル系列間の相関係数と考えることができる。
【0152】以上、時系列データのベクトル系列と標準
パターンのベクトル系列が1対1に対応すると仮定し
て、類似度Sおよび尺度Kの式を求めた。一般には、標
準パターンのベクトル系列と時系列データのベクトル系
列との間で、1つのベクトルと複数のベクトルとが対応
する場合が生ずる。この場合は、数33および数30に
示した類似度Sおよび尺度Kを
【0153】
【数34】
【0154】
【数35】
【0155】と変形して用いる。ここに、標準パターン
のベクトルVjと対応するパターンデータのベクトル系
列をAij(j=1,2,…,ni)としている。
【0156】本実施例による記号化方式は、時系列デー
タをベクトル系列に変換して扱うことにより、パターン
の位置ずれや形状の変化を考慮した照合を行なうことが
できるという特徴がある。
【0157】以下に、本発明のプロセス運用支援システ
ムの実施例について、図面に基づき詳細に説明する。
【0158】図18に、本発明のプロセス運用システム
の一実施例の構成を示す。本実施例は、プラントのプロ
セス運用に適用される例である。
【0159】図18に示されるプロセス運用システム
は、監視対象プラントの各種センサSn等からプロセス
データを数値データとして時系列に取り込むプロセスデ
ータ取り込み処理部1と、取り込まれたデータの特徴に
ついて記号的に表現する記号化データを生成する記号化
処理部2と、この記号化処理に用いられる記号化処理用
辞書3と、記号化データを対応するプロセスデータ(数
値データ)と記号化処理で出力される類似度をメンバー
シップ情報として共に時系列に格納する記号化ヒストリ
カルファイル5およびそのための格納処理を行なう記号
化データ格納処理部4と、記号化データヒストリカルフ
ァイル5に格納されている記号化データを対応するメン
バーシップデータと共に複合的に表示させる記号Fuz
zy出力処理部31と、知識処理によって推論を実行さ
せる推論エンジン32と、知識処理における推論の起動
と推論に用いられるプロセスデータや記号化データを対
応する記号化処理部2および記号化データヒストリカル
ファイル5から収集し、推論エンジン32に渡す時系列
データサポート処理部15と、その知識格納用の知識ベ
ース33と、この知識ベース33に対してデータ入力す
るための知識獲得入力処理部34とを有する。
【0160】また、推論実行で得られた異常に対する処
置手法を示すガイダンスを出力するための異常処置ガイ
ド出力部35と、推論実行において直接オペレータへ問
い合わせを行なうプラント状況問い合わせ処理部36
と、推論実行において制御データを出力する場合に曖昧
な記号化データを数値データに変換して制御データ出力
処理部12に渡すためのもうちょっと信号受付処理部3
7および記号逆変換処理部11と、複数の信号化データ
を統合して新たな記号化データを作り出すための記号化
統合情報入力部38と、プロセスデータ取り込み処理部
1で取り込まれた実績データを記憶する実績データファ
イル41と、入力情報および実績データを用いて記号化
統合情報を生成する記号化統合情報変換部39と、記号
化統合情報を記憶する記号化統合情報ファイル40と、
上記の入力作業を行なうためのマンマシン装置10とを
備える。
【0161】なお、本実施例では、プロセスデータに基
づいて、プロセスを制御する操作量を制御演算処理部1
7と、この演算結果に基づいて、操作対象に制御データ
を送ると共に、上記推論エンジン32の出力またはもう
ちょっと信号受付部37の出力に基づく制御データを対
応する操作対象に送る制御データ出力処理部12とを備
える。これら制御演算処理部17と制御データ出力処理
部12とは、コントローラを有するプラント運転システ
ムでは、このコントローラに、別に設けるようにしても
よい。さらに、本実施例のプロセス運用システムを、プ
ラントのコントローラ等の制御システムに組み込んでも
よい。
【0162】記号化処理部2および記号化用辞書3は、
記号化処理手段を構成し、これは、前述した図13に示
すシステムと同様に構成される。ここでは、独立のシス
テムではなく、運用システム内に構築される。
【0163】マンマシン装置10は、CRTディスプレ
イ10aと、タッチパネル10bと、キーボード10c
を有する。また、このマンマシン装置10によって入力
手段が構成される。
【0164】図19に、図18に示すプロセス運用シス
テムを構成するハードウエアのシステム構成の概要を示
す。図19に示すように、本実施例は、マンマシン装置
10と、各種処理を実行して、本発明の種々の手段を実
現するCPU(中央処理装置)29と、記号化辞書3、
信号化データヒストリカルファイル5、知識ベース3
3、記号化統合情報ファイル40、実績データファイル
41等のデータ格納のためのファイル装置21と、CP
U29とプラントとのデータの入出力を行なうプロセス
入出力装置22とをハードウエアとして備える。ファイ
ル装置21は、主記憶装置と、補助記憶装置とからな
る。
【0165】次に、本実施例の作用について下記の機能
毎に説明する。
【0166】(1)記号化処理 プラントの各種センサSnからのデータは、プロセスデ
ータ取り込み処理部1にて取り込まれる。プロセスデー
タ取り込み処理部1は、一定のサンプリング周期でデー
タの収集を行なうと共に、データの一定期間の保存を行
なう。ここで、プロセスデータは、時系列データとな
り、記号化処理部2へ入力される。記号化処理部2は、
入力データのベクトル情報を、前述の図13に示す記号
化装置における折れ線近似処理部1350の折れ線近似
処理によって生成し、生成したベクトル情報を標準パタ
ーンとして数多く用意されている記号化処理用辞書3と
比較し、最も類似度の高い記号化データを出力する。
【0167】ちなみに、記号の例としては、上昇、下
降、ステップ上昇、急上昇、緩やかな上昇、パルス等が
あるが、これはどのような名前(記号)を付けてもかま
わない。つまり、ここでの記号は、人間がこの記号を聞
く/見ることによって、その意味が理解できればよいの
である。
【0168】また、記号化処理用辞書3は、記号化デー
タである文字列を直接テーブルの形で記憶するようにす
ることができる。また、単に文字列をコードとして記憶
しておき、このコードと記号化データとを対応付けるテ
ーブルを別途設ける構成としてもよい。
【0169】記号化処理の入力データである時系列デー
タをベクトル情報に変換する場合、上述した変換係数と
して時間スケールとデータサイズという2つのパラメー
タが、プロセスデータ毎に必要になる。つまり、プロセ
スデータの種類(例えば、温度データ、流量データ、圧
力データ)により、反応や応答速度が異なるため、温度
データのように応答速度が遅いもの(なかなか変化しな
いもの)は、時間スケールを大きくし、ベクトル情報を
時間スケールに対し、疎にしたり、流量や圧力データは
応答速度が速いため、時間スケールを密にしたりするこ
とで、変化の遅い(少ない)データや変化の速い(多
い)データに対して的確な記号が付けられるようにする
ために用いられている。
【0170】図20に記号化変換用パラメータの適用例
を示す。同図(a)の場合、時間スケールが小さいた
め、ほんのわずかな変化(動き)も、ベクトル情報とし
て現れる。一方、同図(b)の場合、時間スケールが大
きいため、データがかなり大きく変動しても、ベクトル
情報としては変化が少なくなっている。このように、監
視したいデータの性質によって、このパラメータを決定
することで、適切な記号を出力することができる。
【0171】記号化処理では、変換出力結果(記号化デ
ータ)を出力するまでに内部的に類似度が算出されてお
り、この類似度は入力データのベクトル情報と記号化用
辞書に登録されている標準パターンとの比較において両
者の類似度合を示すものである。本発明では、この類似
度を下記の機能で用いることにより、従来に比べより広
範囲な機能を有するプラント運用システムとなる。
【0172】画面に表示される記号化データは、適合度
と共に出力される。推論エンジン32では、適合度の度
合によって、推論を行う機能を有している。1つの入力
時系列データに対して、複数の記号化データの名称が付
く場合、最も適合度の高いものを情報として出力する。
【0173】(2)記号化Fuzzyデータ出力 上記(1)の記号化処理によって得られた記号化データ
と類似度とは、記号化データ格納処理手段4の格納処理
によって記号化データヒストリカルファイル5に格納さ
れる。図21に、記号化データヒトストリカルファイル
の構成を示す。記号化データヒストリカルファイル5
は、各プロセスデータに対して時間毎のファイル構成と
なっている。そのファイルの構成要素としては、時刻、
プロセスデータ値、記号化データ、適合度の4要素があ
る。適合度は、前述の類似度を格納したものである。
【0174】記号化ファジィデータ出力処理部31は、
各種入力データに対する記号化データが前回の収集タイ
ミングで得られた記号化データと異なる場合、プラント
状態に異常があったものとして、マンマシン装置10に
よってオペレータに知らせる。このため、記号化ファジ
ィデータ出力処理部31は、図23に示すように、記号
化ファジィデータ出力表示部31aと、アラーム登録情
報ファイル31bとを有する。
【0175】ここで、記号化ファジィデータ出力処理部
31におけるデータ出力例について、図22を参照して
説明する。
【0176】(a)記号化ファジィデータ出力処理部3
1は、図22(a)に示すように、発生時刻と、データ
名(F1024)と、記号化データ(ハンチング)と、
適合度(0.9)とを、文字としてディスプレイ10a
に表示する。図23に示す記号化ファジィデータの速報
アラーム表示方法手順は、周期的に実行される。
【0177】図24に示すように、まず、記号化データ
が新たに発生されているかを判定し、存在すれば、デー
タ名称、記号化データ、適合度を取り出す(ステップ2
401,2402)。次に、取り出したデータに対し
て、データ名称がアラーム登録情報に登録されているか
どうかチェックし、存在すれば、適合度が規定値を超え
ているかどうかを判定し、条件成立でマンマシン装置1
0へ出力する(ステップ2403〜2406)。
【0178】(b)記号化ファジィデータ出力処理部3
1は、図22(b)に示すように、ディスプレイ10a
において、記号化データを表わす絵表示(シンボル)
と、発生時刻と、シンボルの下に配置されるデータ名
(F1011,F2011,…)と、それぞれの適合度
(0.8,0.5,…)とを表示する。シンボルは、予
め辞書に登録されており、記号化データの変化が生じた
とき、該当するシンボル、データ名、適合度が表示され
る。
【0179】(c)記号化ファジィデータ出力処理部3
1は、データ変化が発生すると、図22(c)に示すよ
うに、データ変化が生じたことを示すアラームシンボル
A1を表示して、これをブリンクさせる。オペレータ
が、ブリンクしているシンボルA1を、マンマシン装置
10のタッチパネル10bでポインティングすること
で、記号化データ状況を詳細に示すウィンドウWが表示
される。ウィンドウWには、記号化データを意味するシ
ンボルと、各記号化データ毎に時系列順に並べられた発
生データ名が表示される。
【0180】データ変化は、記号化データの表現が変わ
ったことで検出することができる。すなわち、記号化フ
ァジィデータ出力処理部31は、時々刻々出力される記
号化データを、前回の対応する記号化データと比較する
ことにより、データの変化の有無を検出する。この場
合、例えば、一定であったものが上昇に変わった場合、
記号化データの“一定”と“上昇”とを比較すればよ
く、数値データを比較しなくともよいので、差の有無の
判定が明確に、かつ、容易に行なえる。
【0181】(d)記号化ファジィデータ出力処理部3
1は、上記(a)に示す表示項目を、を時系列順に最新
の記号化データを表示するように設定することもでき
る。
【0182】このような出力処理により、オペレータ
は、マンマシン装置10において、入力データの詳細デ
ータを常に監視することなく、必要に応じて、詳細デー
タを表示させて、プラント状態を知ることができる。ま
た、記号化データと共に適合度を表示するので、記号化
データに対する信頼度合を知ることができ、情報サービ
スの向上を図ることができる。すなわち、記号化データ
は、データの状態の特徴を、人が直感的に理解できるよ
うな表現で表わされているので、非常に短時間に対象の
状態を理解することができる。その反面、対象の状態を
抽象化して表現しているため、その表現がどの程度信頼
できるかを知りたい場合には、十分ではない。そこで、
信頼性を示す適合度が併せて表示されるならば、この点
が補完されて、対象の状態を表わす記号化表現の信頼性
が向上する。
【0183】(3)記号化データベースの構築 上記(1)の記号化処理によって出力された記号化デー
タと類似度とは、記号化データヒストリカルファイル5
に格納される。この記号化データヒストリカルファイル
5は、記号化データと類似度とに、入力データ(数値デ
ータ)を加え、時系列データファイルとして、その時刻
における入力数値データと記号化データと類似度とを収
集して蓄積する。この格納処理は、記号化データ格納処
理部4によって以下に述べるようにして実行される。
【0184】図25に示すヒストリカル収集手順の処理
は、周期的に実行される。まず、入力データ個数分ルー
プし、入力データ種別毎に、その時(本処理実行時)の
記号化データと類似度と数値データを取り出し、記号化
データヒストリカルファイルに格納する。
【0185】このように、記号化データヒストリカルフ
ァイルに、従来の構成要素に類似度を加えることによっ
て、上記(2)及び以下に述べる種々の機能が実現可能
となる。
【0186】図21に記号化データヒストリカルファイ
ルの構成の一例を示す。同図の例では、対をなす数値デ
ータと記号化データと類似度とが、一分間隔で時系列に
格納されている。
【0187】(4)知識獲得入力処理 本発明では、記号化データヒストリカルファイルに格納
されているデータを知識処理の推論に活用し、従来のル
ール記述に比べ柔軟性(曖昧度)のあるルール記述、ま
たは推論を実行可能とする機能を、次に説明する。
【0188】(4−1)Fuzzy記号記述 本機能は、推論に用いられるルールに、前述の記号化デ
ータヒストリカルファイル5のデータを直接記述するこ
とにより、推論に必要な数値データ、記号化データ、類
似度を収集して、知識ベース33に収集データを格納す
るものである。
【0189】記号化処理における類似度は、図26に示
すように考えられる。図26の(1)では、Fuzzy
におけるメンバーシップの概念を示すものである。プロ
セスデータの変化率(dPV/dt)を、メンバーシッ
プ関数で表現された「緩やかな上昇」、「上昇」、「急
上昇」に当てはめた場合、図中では「上昇」の適合度は
0.45であり、「急上昇」の適合度は、0.3であ
る。これを図26の(2)では、記号化されたデータ
「上昇」、「急上昇」の類似度を前述の適合度と同じ意
味でとらえることによって、Fuzzyと同じ効果が有
ることがいえる。従って、本発明では、記号化処理の類
似度をそのままFuzzyの適合度として用いることす
る。
【0190】まず、本機能によるルール記述の例を、図
27と下記に示す。 1F(F1024の@傾向が急上昇であり @適合度が0.8より大きい) (P2050の@傾向がハンチングであり @適合度が0.7より大きい) THEN ポンプA異常 この例は、プロセスデータ(F1024)の記号化デー
タが急上昇であり、そのときの適合度が0.8より大き
くて、かつプロセスデータ(P2050)の記号化デー
タがハンチングであり、そのときの適合度が0.7より
大きい場合、ポンプAが異常状態であることを意味す
る。
【0191】このように、推論で使用されるルールの中
に、記号化データと適合度を記述することができる。
【0192】この様なルールを用いて推論を実行するこ
とによって、記号化データに対する適合度データを推論
内で確認することができ、推論による検証精度を高める
ことができる。
【0193】(4−2)記号化有向グラフ 記号化有向グラフとは、記号化データと適合度とを用い
たFTA(FoultTreranca Anaris
ys)に用いられるグラフであって、発生する事象(記
号化データで示される)をボックスで示し、その因果関
係にしたがって事象の発生順に、各ボックスをツリー状
に結び、かつ、各事象の結び付きと変化の向きとを示す
ため、これらを、接続記号である矢印で結んで表示する
ものである。その記述の一例を図28に示す。
【0194】図28に示すグラフでは、図の左から右へ
事象(有向グラフで表現されたできごと)が波及してい
く。図中の例で説明すると、プロセスデータ(F100
1)によって本事象の展開が始まる。F1001のトリ
ガ発生に始まり、トリガ発生から0分後のプロセスデー
タ(F1002、PV)の状態が一定、つまり0分後
(つまりリアルタイムで)のF1002の瞬時値の記号
化データが「一定」であり、その適合度が0.8より大
きく、さらに、0分後のプロセスデータ(F2931、
PV)の記号化データが「急下降」で有り、その適合度
が0.7より大きく、プロセスデータ(P2031、P
V)の記号化データも「急下降」で適合度が0.8より
大きく、プロセスデータ(T2031、PV)の記号化
データが「下降」で適合度が0.4より大きければ、
「装置2031異常」であるという結論に達する。
【0195】以下、同様に考える。この図を、マンマシ
ン装置10より作画入力し、必要情報(プロセスデータ
名称、記号化データ名称、適合度条件)を入力して、各
ブロックをアークによって接続する。
【0196】本実施例においては、上記有向グラフのフ
ォーマットは、記号化装置が搭載される処理装置とは別
なマシン上で定義される。なお、同じマシン上で定義す
る構成とすることもできる。
【0197】作成された有向グラフのフォーマットに対
する各々のデータ入力は、ボックスへのFIF入力(空
欄穴埋め方式)により行なう。これは、例えば、マンマ
シン装置10を用いて、図19に示す装置で行なえる。
すなわち、情報入力者が、(1)ボックスの生成、
(2)ボックス情報の入力、(3)アークによるボック
ス間の接続、について、各データの入力を繰り返しなが
ら作図することで、グラフを完成させていくことができ
る。
【0198】さて、作画入力したデータより、図29に
示すルールを生成することができる。図中では4つのル
ールが知識ベース33に登録される。
【0199】図28において、ボックスどうしの横方向
の接続はAND条件に該当する。またボックスどうしの
縦方向の接続は、OR接続を示している。図中では、
「F1001トリガ発生」ボックスから、OR接続によ
って、IFボックス(白枠のボックス)である「F10
02PV一定>0.8」ボックス(No.001)、
「L1031PVハンチング>0.9」ボックス(N
o.011)、「T2045SV一定>0.7」ボック
ス(No.021)、「P1001PV急上昇>0.
8」ボックス(No.031)へと、OR接続によって
接続されている。OR接続は、IF…THEN…ルール
が独立生成されることを意味している。従って、図29
中のルール展開例が4ルールとなっているのはそのため
である。
【0200】左端のルール展開例は、IFボックス(白
枠のボックス)である「F1002PV一定>0.8」
ボックス(No.001)と、「F2031PV急下降
>0.7」ボックス(No.002)と、「P2031
PV急下降>0.8」ボックス(No.003)と、
「T2031PV下降>0.4」ボックス(No.00
4)とが、全てAND接続によって接続されている。こ
のため、これらのボックス内容をAND条件で接続した
内容が、ルール中のIF項として表現される。
【0201】THEN項は、THENボックス(網掛け
のボックス)である「装置2031異常」ボックス(N
o.005)の内容が表現されている。
【0202】次に、ボックス内に登録される情報につい
て述べる。IFボックス内の情報は、 (1)プロセスデータ名称(Tag名称) 例:F10
02、 (2)プロセスデータのアイテム(データ種別) 例:
PV(PVは測定値、SVは設定値、MVは操作量を意
味している。)、 (3)状態(=記号化データ名称) 例:一定、 (4)条件(類似度、適合度の規定条件) 例:>、 (5)類似度既定値 例:0.8 の5データからなっている。また、THENボックス内
の情報は、(1)結論のみである。
【0203】次に、ルール展開時の上記IFボックス内
情報とルール内情報の対応について説明する。
【0204】ここでは、ルールのIF条件項の“(”か
ら“)”までが、1つのボックスに対応するようになっ
ている。すなわち、 ([プロセスデータ名称]の@[プロセスデータのアイ
テム]が[状態]であり @確信度が[既定値][条件])で表現される。
【0205】THEN項は、上記THENボックスの結
論が、[結論]。
【0206】で表現される。
【0207】次に、図30を用い、記号化有向グラフの
登録方法について説明する。
【0208】図30には、記号化有向グラフの登録に用
いられる画面表示例を示す。この画面は、例えば、マン
マシン装置10のディスプレイ10a上に表示される。
【0209】登録画面のファンクションF1〜F5とし
て、(1)IF BOX(F1)、(2)THEN ボ
ックス(F2)、(3)AND接続(F3)、(4)O
R接続(F4)、(5)レイアウト(F5)の5つがあ
る。
【0210】(1)「IF BOX」ファンクション
は、まず、ボックス生成位置を、ディスプレイ10aへ
のポインティング操作によって行う。この操作は、タッ
チパネル10bの該当箇所に指で触れることで行なえ
る。位置が決定すると、詳細情報定義用のウィンドウW
が開かれ、詳細情報(プロセスデータ名称、アイテム、
記号化データ名称、条件、既定値)を設定する画面がウ
インドウWに表示される。設定は、図30に示すよう
に、ウインドウW内の項目対応の空欄に、必要な数値、
記号、文字を入力することにより行ななわれる。設定が
完了すると、ウィンドウW内の登録ファンクションを指
で触れることにより、登録が指示され、これによって情
報が格納される。登録されると、そのデータは、対応す
るボックス内に表示される。
【0211】(2)「THEN ボックス」ファンクシ
ョンは、「IF BOX」同様に、まず、ディスプレイ
10aへのポインティング操作によって行う。位置が決
定すると、詳細情報定義用のウィンドウ(図示せず)が
開かれ、詳細情報(結論)を設定する。設定が完了する
と、ウィンドウ内の登録ファンクションによって情報が
格納される。登録されると、そのデータは、対応するボ
ックス内に表示される。
【0212】(3)「AND接続」ファンクションは、
「IF BOX」および「THENボックス」によって
生成したボックス情報を、接続記号のアークによって接
続するものである。接続方法は、from…to…形式
によって、どこのボックスからどこのボックスへ接続す
るかを、ポインティング操作によって指定する。この操
作により、ボックスの接続関係が定まると共に、事象の
変化の向きが定まる。
【0213】(4)「OR接続」も「AND接続」と同
様に、from…to…形式で指定する。
【0214】(5)「レイアウト」は、登録した記号化
有向グラフの全体構成を見せるためのファンクションで
ある。これによって、1の画面内に、全体が見えるよう
に、配置がレイアウトされる。この作業は、自動的に行
なうことができるが、オペレータが、指示してもよい。
【0215】このようにして構成された記号化有向グラ
フは、知識獲得入力処理部34から知識ベース33に格
納される。そして、プロセスにおいて実際に事象が発生
した場合、その記号化データと適合度とを、この知識ベ
ースに格納されている記号化有向グラフにあてはめて、
異常の原因や、異常機器を推論することができる。
【0216】(5)異常出力ガイド 推論によって得られた結果を、異常出力ガイドとして出
力する機能である。異常出力としては、個々の事象につ
いてのFuzzy記号記述を用いた推論の結果と、記号
化有向グラフの推論とがある。異常出力に際しては、推
論結果のみならず、その結論を得るに到った過程を示す
ことが好ましい。前者の場合、例えば、図27に示すよ
うなフォーマットで、推論ルールを示すと共に、実際の
データの適合度を併せて示すことにより、ルールに対す
る適合の度合いが判断でき、推論の信頼性が向上する。
同様に、記号化有向グラフの推論、上述した、図29に
示すような記号化有向グラフの推論のうち、適合した推
論展開を示すことができる。これは、推論エンジン32
で用いた知識ベース33のルールのうち、適合したもの
を出力するようにすればよい。また、併せて、推論の対
象となった事象の記号化データの適合度を示すことが好
ましい。表示フォーマットは、例えば、図29に示すと
おりとすることができる。
【0217】なお、適合度が低く、異常元が絞り切れな
い場合には、可能性のある推論を複数併記すればよい。
【0218】(6)プラント状況問い合わせ機能 本機能は、プロセスから得られるセンサー情報以外のプ
ロセスデータを、オペレータに問い合わせて、オペレー
タから対応する非センサ情報の入力を受けて、補おうと
するための機能である。図31のように、プロセスのセ
ンサでは得られにくい情報、例えば、におい、色、異
音、現場パトロール結果等の非センサ情報は、従来はプ
ロセスの制御要素に反映させることが困難であった。し
かし、この種の情報でも、プロセスの状態を知らせる重
要な信号であることはよく知られている。
【0219】そこで、本実施例では、この種の非センサ
情報について、推論の中からオペレータに直接問い合わ
せて、問い合わせ結果を、推論内へ反映させていくもの
である。すなわち、図31に示すように、センサからの
情報を、上述した記号化処理して、知識ベース33に入
力すると共に、必要な非センサ情報を、システム側から
オペレータに問い合わせて、その入力を促して、収集を
行なうものである。そして、その入力結果を、また、推
論に用いて、異常等の判断を行なう。
【0220】問い合わせ事項は、知識ベース33のルー
ルとして記述することができる。すなわち、図32
(A)に示すように、センサ情報に基づく記号化データ
によって記述されたIF部に対して、対応する非センサ
情報の項目をTHEN部に記述する。
【0221】オペレータ問い合わせは、マンマシン装置
10を用いて行なわれる。この場合、問い合わせは、P
RINT機能とINPUT機能とで構成され、PRIN
T機能は、マンマシン装置10への出力であり、図33
に示すように、ディスプレイ10aに、上記THEN部
に対応する問い合わせ事項が表示される。INPUT機
能は、マンマシン装置10からの入力機能である。図3
3に示すように、ディスプレイ10aの画面に表示され
る設問に対して、キーボード10cやタッチパネル10
bを用いて、ある状態の有無等を入力できるようになっ
ている。
【0222】入力された結果は、推論エンジン32に渡
されて、推論に用いられる。このため、知識ベース33
には、各種非センサ情報をIF部とした推論ルール記述
されている。図32に示すようには、その一例として、
同図(A)に示す問い合わせに対する入力に基づく推論
の例が示してある。
【0223】また、問い合わせは、ルール中に、直接、
架空のセンサ名称(TAG名称)を記述する方法によっ
ても行なうことができる。
【0224】これは、推論ルール中のIF項にセンサ名
称を記述することによって、対応するセンサデータ(プ
ロセスデータ)をプロセスデータ取り込み、記号化処理
して収集する方法を利用するものである。すなわち、ル
ール記述内に、問い合わせによる架空のセンサ名称(T
AG名称)を、記述して登録させるものである。システ
ムは、データ収集の際に、実データか架空データかを判
定し、もし、架空データであれば、この内容についてオ
ペレータに問い合わせするように設定しておくものであ
る。具体的には、次の例のように行なう。
【0225】(例) IF(F1002の@PVが12.0より大きい) (T2358の@MVが75.0より小さい) (V2347の@PVが45.8より小さい) THEN F1111の異常。
【0226】ここで、V2347は、架空センサ名称で
ある。この場合、システムは、まず、F1002、T2
358およびV2347の各々のデータを、プロセスデ
ータ取り込み処理部から収集しようとする。実際に収集
すると、F1002とT2358については実データを
収集することができる。ところが、V2347について
は、センサが実在しないので、エラー(ERROR)と
なり、実データは取り込むことができない。このため、
システムは、このデータが架空センサ名称であることが
わかる。そこで、本実施例システムは、オペレータへの
問い合わせであると判断する。
【0227】このように判断されると、システムは、マ
ンマシン装置10に対して、次のようなメッセージを出
力して、のディスプレイ10aの画面に表示させ、オペ
レータからの情報提供を待つ。
【0228】*****推論XXXX次のデータを入力
してくださいV2347PV:これを見たオペレータ
は、V2347のデータを入力するのである。なお、オ
ペレータは、マンマシン装置10のディスプレイ10a
を常時監視していないこともあるので、問い合わせがあ
ることを知らせるため、特定のアラームを出力するよう
にしてもよい。この場合、異常を知らせるアラーム特別
できるアラームとしてもよい。
【0229】(7)記号化データ統合機能 記号化統合機能は、従来は記号化装置によって変換され
た複数の記号化データの組み合わせに対して、それらを
統合化して、さらに新たな記号化データを命名する機能
である。これによって、さらに長期の時間間隔のデータ
を記号化データによって認識できるようになる。つま
り、これは、ある時間区間のデータをミクロに解析する
か、または、マクロに解析するかによって、データの解
釈が別になることを表している。例えば、ミクロの記号
化データの羅列(上昇−下降−上昇−下降−…)は、マ
クロ的に表現すると、(ハンチング)となる。このよう
に、本実施例の記号化統合機能によれば、記号化装置内
での時間スケールを変更することなく、上記のように複
数通りの見方を可能にするものである。
【0230】図34を例に記号化データ統合機能につい
て説明する。図34には、3パターンの実績データが存
在する。同図に示す例における各々の記号化データは、
(一定−急上昇−上昇)、(一定−上昇)、(一定−上
昇−一定)である。これらは、人間が実績データを参照
して状況を読みとる場合において、どのパターンについ
ても「急上昇」であると言う場合にあたる。すなわち、
(一定−急上昇−上昇)=(急上昇)、(一定−上昇)
=(急上昇)、(一定−上昇−一定)=(急上昇)であ
る。このように、複数の記号化データを、さらに一つの
記号化データに統合することを、記号化データ統合機能
によって行なうものである。
【0231】この記号化統合は、記号化統合情報入力部
38と、記号化統合情報変換部39と、記号化統合情報
ファイル40とにより実行される。なお、データおよび
指示の入力、結果の出力は、マンマシン装置10が用い
られることはいうまでもない。
【0232】記号化データ統合の処理方法について、図
35により説明する。図中の実データグラフは、記号化
装置によって、(一定−急上昇(適合度0.8)−一
定)と記号化されている。このときの記号化データの詳
細を記号化データヒストリカルファイル5の登録内容を
あわせて示している。
【0233】一方、記号化統合情報として、教師データ
と被統合記号化データ列との組み合わせが、記号化統合
情報入力部38に、予め登録されている。被統合記号化
データ列は、統合すべき記号化データの組み合わせパタ
ーンを示している。パターンは1つとは限らない。本実
施例では、複数の異なるパターンが、同一の教師データ
に対応している。教師データは、これらの被統合記号化
データ列の各パターンにたいして、統合して1の記号を
与えるものである。記号化統合情報の教師回数は、実績
データから取り出した教師パターンに対して記号化統合
入力部から入力した教師データ(人間が判断する記号化
データ)の教師回数を示すものである。また、被統合記
号化データ列内に書かれている数値は適合度を表してお
り、記号化データの確からしさを制限している。
【0234】記号化統合情報変換部39は、記号化デー
タヒストリカルファイル5と記号化統合情報入力部38
とを参照する。まず、ヒストリカルファイル5より、記
号化データ名の変更箇所と、そのときの適合度とを抽出
する。図中では、ヒストリカル記号化データのテーブル
において、斜線で示す(一定(適合度0.7)−急上昇
(適合度0.9)−一定(適合度0.6))という抽出
結果となる。
【0235】次に、この抽出パターンが、記号化統合情
報テーブルに存在するか否かを検索する。このとき、適
合度条件があるものは、抽出データの適合度とも比較す
る。記号化統合情報に該当パターンが存在すれば、その
被統合記号化データ列を統合化する教師データを求め
る。図35の例では、記号化統合情報のテーブルにおい
て斜線で示すように、適合するものが求められる。
【0236】このようにして得られた、記号化統合情報
は、記号化統合情報ファイル40に格納される。このフ
ァイルに格納された記号化統合情報は、知識ベース33
と同様に、推論エンジン32で用いられる推論ルールの
記述に用いられる。
【0237】本実施例におけるデータ統合機能は、例え
ば、図1に示す統合処理部160におけるベクトルデー
タでの統合処理とは異なり、記号化データ(文字デー
タ)での統合を行わせるものである。記号化データ(文
字データ)の統合を行うことによって、ベクトル統合範
囲(統合される時間範囲)より、大きな範囲(時間範
囲)でのデータ統合が行える。
【0238】例えば、検知したいパターンの時間軸範囲
が、8時間、1日、1ケ月、1年間というように、拡が
った場合、長時間のベクトル情報を抱えていなければな
らない。これには、多くの記憶容量を必要とすると共
に、データの入出力、比較等に際して、処理すべきデー
タ量が多くなる。これに対して、長時間のデータを統合
化することにより、この困難を軽減することができる。
【0239】以上に説明した実施例では、本発明をプラ
ントのプロセス運用支援に適用した実施例について説明
したが、本発明は、これに限定されない。種々の事象が
記号化して表現でき、その記号化データを用いて、事象
の推論を行なうようなシステムに、広く適用することが
できる。例えば、電力系統等のエネルギ供給プロセス、
物流プロセス、証券、金融プロセス、各種イベントの需
要予測プロセス等に適用することができる。
【0240】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
プロセスの状態を示す情報の特徴を、監視するオペレー
タの個人的条件に影響されることなく抽出でき、プロセ
スの状態を正確に把握することができる。
【0241】また、これにより従来人間が考えている内
容に近い知識処理用の推論ルールが作成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明においてプロセスデータを記号的な表現
に変換するために用いられる記号化装置の一実施例の構
成を示すブロック図。
【図2】記号化装置における折線近似処理部の動作を示
すフロチャート。
【図3】記号化装置における記号化の処理過程を説明す
る説明図(その1)。
【図4】記号化装置における記号化の処理過程を説明す
る説明図(その2)。
【図5】記号化装置において用いられる特徴抽出フィル
ターの一例を示す説明図。
【図6】記号化装置において用いられる標準ベクトルの
一例を示す説明図。
【図7】記号化装置における統合処理部における処理を
説明するフローチャート。
【図8】統合処理部における統合処理の一例を説明する
説明図。
【図9】統合処理部における統合処理の一例を説明する
説明図。
【図10】記号化装置の辞書検索処理部における処理を
説明するフローチャート。
【図11】辞書検索処理部において用いられる標準パタ
ーン辞書の一例を示す説明図。
【図12】辞書検索処理部における検索処理の手順を説
明するフローチャート。
【図13】本発明においてプロセスデータを記号的な表
現に変換するために用いられる記号化装置の他の実施例
の構成を示すブロック図。
【図14】記号化装置における折線近似処理部の動作を
示すフローチャート。
【図15】折線近似処理部で用いられる特徴抽出フィル
タの例を示す説明図。
【図16】折線近似処理部における記号化の処理過程を
説明する説明図。
【図17】記号化の結果を説明する説明図。
【図18】本発明のプロセス運用支援システムの一実施
例の構成の概要を示すブロック図。
【図19】本発明のプロセス運用支援システムのハード
ウェア構成図。
【図20】記号化処理に用いられる記号化変換用パラメ
ータを示す説明図。
【図21】記号化データヒストリカルファイルのファイ
ル構成の一例を模式的に示す説明図。
【図22】記号化データをファジィデータとして扱っ
て、プロセスの状態を表示する表示画面例を示す説明
図。
【図23】記号化データをファジィデータとして扱っ
て、アラーム出力処理におけるアラーム表示例を示す説
明図。
【図24】記号化データをファジィデータとして扱っ
て、アラーム出力処理における処理手順を示すフローチ
ャート。
【図25】記号化ヒストリカルファイル収集手順を示す
フローチャート。
【図26】本実施例の記号化処理により計測データを記
号化データに変換する例を示す説明図。
【図27】本実施例の記号化データをファジィデータと
して扱って、推論ルールを記述する例を示す説明図。
【図28】本実施例の記号化データを用いて、記号化有
向グラフの一例を示すブロック図。
【図29】図28に示す記号化有向グラフに基づいて、
知識ルールを展開する例を示す説明図。
【図30】図28に示す記号化有向グラフの登録の一例
を示す説明図。
【図31】本実施例において、プラント状況の問い合わ
せを行なう場合の機能の一例を示す概念図。
【図32】上記プラント状況問い合わせを行なうための
ルールおよび問い合わせ結果に基づくルール記述の一例
を示す説明図。
【図33】上記プラント状況問い合わせを行なうための
プラント状況問い合わせ画面の一例を示す説明図。
【図34】本発明において、記号化データをさらに統合
化した記号化データとするための統合処理の概要を示す
説明図。
【図35】本発明において、統合記号化データの検索処
理の一例の概要を示す説明図。
【符号の説明】
1…プロセスデータ取り込み処理部、2…記号化処理
部、3…記号化処理用辞書、4…記号化データ格納処理
部、5…記号化データヒストリカルファイル、10…マ
ンマシン装置、10a…ディスプレイ、10c…キーボ
ード、11…記号逆変換処理部、12…制御データ出力
処理部、15…時系列データサポート推進部、17…制
御演算処理部、31…記号Fuzzyデータ出力処理
部、32…推論エンジン、33…知識ベース、34…知
識獲得入力処理部、35…異常処置ガイド出力部、36
…プラント状況問い合わせ処理部、37…もうちょっと
信号受付処理部、38…記号化統合情報入力部、39…
記号化統合情報変換部、40…記号化統合情報ファイ
ル。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プロセスの状態を表わすデータを取り込ん
    で、後段の処理手段で処理可能なデータに変換処理する
    プロセスデータ取り込み処理手段と、プロセスの状態を
    表わすデータに基づいてプロセスの状態を記号的に表現
    する記号化データを生成する記号化処理手段と、記号化
    されたデータを蓄積する記号化データ蓄積手段と、指定
    された範囲のデータを記号化データ蓄積手段から取り出
    して、表示データとして出力する表示処理手段と、上記
    表示データを画面に表示すると共に、外部からの指示を
    受け付ける入出力手段とを備え、 記号化処理手段は、プロセスの状態を表わすデータと、
    プロセスの状態を記号的に表現する記号化データとの適
    合度を求める機能を有し、 記号化データ蓄積手段は、記号化データと共に適合度を
    蓄積するものであることを特徴とするプロセス運用支援
    システム。
  2. 【請求項2】請求項1において、表示処理手段は、記号
    化データの記号的表現と共に、その適合度を表示するも
    のである、プロセス運用支援システム。
  3. 【請求項3】請求項2において、記号化処理手段は、 標準ベクトルデータおよびこの標準ベクトルデータの特
    徴を記号的に表現する記号表現データを有する記号化処
    理用辞書と、 入力されたデータを折線近似してベクトル系列を生成
    し、このベクトル系列について、記号化処理用辞書を用
    いて、類似する標準ベクトル系列を検索し、最も類似す
    る標準ベクトルに対応する記号表現データを抽出して記
    号化処理を行う記号化処理部と、 入力データの折線近似ベクトル系列と、標準ベクトル系
    列との類似度を計算する類似度計算処理部とを有し、 類似度を、当該記号化データの入力データに対する適合
    度として出力するものである、プロセス運用支援システ
    ム。
  4. 【請求項4】請求項2において、記号化データとその適
    合度とを用いて記述される推論ルールを生成する知識獲
    得入力手段をさらに備えるプロセス運用支援システム。
  5. 【請求項5】請求項4において、知識獲得入力手段は、
    プロセスの状態を表わす記号化データの表現を、ファジ
    ィ推論のメンバーシップ関数に対応させ、その適合度
    を、メンバーシップ関数への適合度に対応させて、外部
    からの入力を受け付けて、IFTHENルールの記述を
    生成する機能を有するものであるプロセス運用支援シス
    テム。
  6. 【請求項6】請求項4において、知識獲得入力手段は、 プロセスで発生する事象を定義するボックスと、その波
    及方向とボックスの接続関係を定義する接続記号とで表
    現されるグラフのフォーマットを予め有し、 上記ボックスに対して、IF部に属することの指定、お
    よび、THEN部に属することの指定を受け付け、IF
    部に属するボックスについては、事象の発生部位を示す
    名称、その事象の内容を示す記号化データ、その適合
    度、および、適合度の適用条件の入力を少なくとも受け
    付け、THEN部に属するボックスには、推論の結果の
    入力を受け付け、かつ、 事象が定義されたボックスについて、それらの間で、互
    いの接続関係、および、それらの事象の波及方向を指定
    する接続記号の入力を少なくとも受け付ける機能を有す
    るものであるプロセス運用支援システム。
  7. 【請求項7】請求項6において、事象の波及方向を指定
    する接続記号は、ボックスを並列に接続されするものは
    OR接続として、および、ボックスを縦列に接続するも
    のはAND接続として、それぞれ定義されるものである
    プロセス運用支援システム。
  8. 【請求項8】請求項7において、知識獲得入力手段は、
    上記ボックスのうち、IF部に属するボックスから、そ
    れらの接続記号の論理関係に基づいてIF条件を生成
    し、これらのボックスと論理的に接続される、THEN
    部に属するボックスに基づいて、THEN部の結論を生
    成して、推論ルールの記述を生成する機能を有するもの
    であるプロセス運用支援システム。
  9. 【請求項9】請求項5、6、7または8において、推論
    ルールを知識として格納する知識ベースと、知識ベース
    の推論ルールを用いてプロセスの状態を推論する推論エ
    ンジンとをさらに有するプロセス運用支援システム。
  10. 【請求項10】請求項5、6、7または8において、推
    論ルールを知識として格納する知識ベースと、知識ベー
    スの推論ルールを用いてプロセスの状態を推論する推論
    エンジンと、推論結果に基づいて、異常処置のガイドを
    入出力手段を介して出力する異常処置ガイド出力手段と
    をさらに有するプロセス運用支援システム。
  11. 【請求項11】請求項5、6、7または8において、推
    論ルールを知識として格納する知識ベースと、知識ベー
    スの推論ルールを用いてプロセスの状態を推論する推論
    エンジンと、プロセスの状態を表わす情報であって、セ
    ンサで検出できない情報を問い合わせて、その入力を促
    す表示、および、対応する情報の入力を受け付けるプロ
    セス状況問い合わせ手段とをさらに有し、 知識ベースは、プロセスの状態を表わす記号化データお
    よびその適合度で記述されるIF部と、それに対応し
    て、その状態の判断に必要な、プロセスの状態を表わす
    情報であって、センサで検出できない情報の問い合わせ
    事項が記述されるTHEN部とを有する、プロセス状況
    問い合わせルールを格納し、 推論エンジンは、知識ベースの問い合わせルールに基づ
    く推論を実行して、必要な問い合わせ事項を出力する機
    能を有し、 プロセス状況問い合わせ手段は、推論エンジンから出力
    される問い合わせ事項を、入出力手段を介して表示する
    機能を有するものである、 プロセス運用支援システム。
  12. 【請求項12】請求項1において、時系列的に並んだ複
    数の記号化データに対して、新たな記号化データを命名
    する記号化統合手段をさらに有するプロセス運用支援シ
    ステム。
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