JP7469991B2 - 診断装置及びパラメータ調整方法 - Google Patents

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    • G05B23/00Testing or monitoring of control systems or parts thereof
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Description

本発明は、診断装置及びパラメータ調整方法に関する。
産業用プラントなどで使用されるプロセス機器や設備には、これら機器の稼働状態を監視するために、温度、圧力、流量などを計測する計測器が各部に設置されている。従来、設備の安定稼働のためには、診断装置が、これら計測器が計測した計測値を連続的に取得及び監視し、計測値がある閾値を超えた場合にアラームを発報することで異常に対処してきた。
近年では、設備に異常が起きる前に、異常の予兆を捉えることで、設備が故障する前に対処するような取り組み例が増加している。この場合、診断装置は、各計測器で取得された計測値を収集し、機械学習などのアルゴリズムにより大規模な処理をすることで、通常とは異なる設備の運転状態を識別することにより、異常の予兆を捉えることが期待されている。
例えば、適応共鳴理論(以下、ART:Adaptive Resonance Theory)を用いて設備の異常を予兆する診断装置が知られていた。ARTは、多次元の時系列データをその類似度に応じてカテゴリ(クラスタ)に分類する、クラスタリング手法に基づく理論である。ARTなどの手法を用いて異常予兆が可能な診断モデルを構築する際には、データの分解能を決める分解能パラメータなどを診断対象のデータに合わせて設定する必要がある。このパラメータを適切に設定しないと、設備の異常を発見できない見逃しや、設備が正常状態であるにも関わらず異常と検知する誤検知が発生する可能性がある。このようなパラメータを設定するための技術として特許文献1に開示された技術が知られている。
特許文献1には、「診断装置は、設定パラメータに基づいて時系列データを分類するための前処理を実行して前処理データを生成する前処理手段と、前処理データをデータの類似性に応じて分類した分類結果を生成する分類手段と、分類結果を分類結果の特徴量の経時変化パターンに応じて評価した評価結果を生成する分類結果評価手段と、評価結果が所望の値となるように前処理手段で用いる設定パラメータを調整する設定値調整手段と、を備える」と記載されている。また、特許文献1には、「取得した時系列データの条件に応じて、診断に適するパラメータを自動的に調整することができる」と記載されている。
特開2017-117034号公報
従来のようにARTなどの手法を用いて時系列データを分類する際には、分解能パラメータや診断に用いられるデータのデータ項目、データの正規化範囲などの多数のパラメータを調整する必要があった。しかし、ユーザは、どのパラメータを調整すれば、所望する結果を得られるのか判断が難しかった。
特許文献1に開示された技術では、入手した時系列データに異常時のデータが含まれているか否かによって分類結果の評価値を定義し、関連パラメータを最適化することが可能であった。しかし、診断装置が診断モデルを構築する際には、与えられたデータに異常データが含まれているか否かといったデータ条件の他、取得するデータ期間はどれくらいかといった様々なデータ条件も考慮しなければならない。このようなデータ条件に応じて、診断装置が一括でパラメータ調整をしようとすると、診断モデルの構築に際して、膨大な計算時間を要したり、そもそも自動化に必須となるモデルの評価指標を決定することができなかったりすることがあった。
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、診断モデルの構築に必要なパラメータの調整を容易に行え、適切な診断モデルを構築できるようにすることを目的とする。
本発明に係る診断装置は、診断対象の状態を診断する診断モデルの診断目的、及び診断モデルの構築に利用される時系列データのデータ条件が入力される条件入力部と、入力された診断目的及びデータ条件に基づいて、診断モデルを調整するパラメータが定義されたパラメータ項目であって、探索されるパラメータ項目の優先順位を決定する項目優先度、パラメータ項目における探索範囲を所定数のパターンに集約するためのパターン化の項目が含まれるパラメータ項目と、診断モデルの構築に要する学習期間、正常期間及び異常期間が区別して設定される評価期間、診断対象に異常又は劣化が生じる異常期間が含まれる時系列データの利用範囲の項目診断モデルが診断対象の異常を検知する性能を表す検知性能が含まれる診断モデルを評価するための評価指標の項目と、のうち、少なくとも一つ以上を含むモデル化方法に従って構築され、評価指標で評価される診断モデルのパラメータを自動的に調整するパラメータ調整部と、条件入力部から入力された診断目的及びデータ条件に基づいて、パラメータ項目、時系列データの利用範囲の項目の内容を決定する条件決定部と、条件入力部から入力された診断目的及びデータ条件に基づいて、評価指標の項目で規定される特定の評価指標を決定する評価指標決定部と、時系列データの利用範囲に従って、時系列データを取得し、データ条件として時系列データに異常データがある場合が選択されると、正解が分かっている期間で取得された時系列データに正常であることを示す情報を付し、異常が分かっている期間で取得された時系列データに異常であることを示す情報を付すデータ取得部と、正常であることを示す情報が付された時系列データと、異常であることを示す情報が付された時系列データとを用いて、モデル化方法に従って、時系列データから診断モデルを構築するモデル構築部と、モデル構築部により構築された診断モデルに入力される、評価期間に取得された時系列データの異常有無を判定する異常判定部と、時系列データの異常有無の判定結果に基づいて、特定の評価指標を計算し、時系列データに異常が含まれない判定結果である場合に、人為的に作成された異常データを用いて特定の評価指標を計算する評価指標計算部と、計算された特定の評価指標として、パラメータ調整部がパラメータを探索した探索点をプロットした図、又はプロットされた探索点のうち、等値である探索点を線でつないだ等値線図を出力する結果出力部と、を備える。
本発明によれば、診断目的とデータ条件に応じて診断モデルの構築に必要なパラメータの調整を容易に行うことができるので、適切な診断モデルを構築することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施の形態に係る診断装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る前提条件入力と、モデル化方法決定の関係を示す図である。 本発明の実施の形態に係る条件設定画面の構成例を示す図である。 本発明の実施の形態に係るARTの動作を説明する図である。 本発明の実施の形態に係る2種類の計測値をクラスタリングした図である。 本発明の実施の形態に係る異常度の変化を表すグラフである。 本発明の実施の形態に係る診断モデルの第1の表示例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る診断モデルの第2の表示例を示す図である。 本発明の実施の形態に係る評価指標の等値線図である。 本発明の第1の実施の形態に係る診断装置の処理例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態に係るユーザがデータ期間を指定する画面の表示例を示す図である。 本発明の第4の実施の形態に係る前提条件入力と、モデル化方法決定の関係を示す図である。 本発明の第5の実施の形態に係る診断装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の第5の実施の形態に係る探索点ごとに診断モデルの評価指標とクラスタ数とを併記した図である。 本発明の第6の実施の形態に係る診断装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。なお、本発明は一般的な産業用プラントを構成する機器を想定して記載するが、それに限定されるものではなく、産業機械や他分野の設備にも利用可能である。
[各実施の形態で共通する構成及び動作の説明]
始めに、各実施の形態で共通する構成及び動作を説明する。ここでは、実施の形態を特定しない場合に、「本実施の形態」とも言う。本実施形態で取り扱う機器は、例えば熱交換器やタービン、エンジン、ポンプ、ファン、攪拌槽、回転機器などを想定している。一般的な産業用プラントは、これら複数の機器が配管で接続されており、原料や中間生産物が移送されて連続的に処理されることで、最終製品を製造する。また、各機器が一つの設備に組み合わさった状態で機能する場合もある。
これらの機器には多数の計測器が設置されている。そこで、産業用プラントなどで使用されるプロセス機器や設備(診断対象の一例)の稼働状態を監視・診断し、機器や設備に生じる異常の予兆を検知する診断装置が用いられる。診断装置は、計測器ごとに連続して出力される計測値を取得することで、計測器が計測する対象の時系列データを生成する。計測対象ごとに生成された時系列データは一般的にプロセスデータと呼ばれ、例えばプログラマブルロジックコントローラ(PLC:Programmable Logic Controller)や分散制御システム(DCS:Distributed Control System)を介して時系列でデータベースに格納される。
また、本実施形態では、各計測器で取得されるデータの名称を「信号」と呼ぶ。信号の内容は、例えば温度、圧力、流量、電流値などのアナログデータの場合もあるが、それに限らず、設備の制御シーケンス上のON/OFF信号などを示すデジタルデータも含まれる。
本実施形態の説明に先立って、各用語についての定義を述べる。
異常とは、設備が安定して稼働できていない状態と定義する。ここで安定して稼働できていない状態とは、設備の稼働性能や生産物の品質が、当初規定されている範囲に収まらない場合である。また、規定の範囲内にある場合でも、性能や品質を示す指標が規定範囲外に向かって次第に変化していく状況についても異常と見なすことにする。
診断モデルとは、与えられたプロセスデータに対して、異常又は正常を診断するものと定義する。一般的には、診断モデルは物理モデルと機械学習モデルに分けられる。
物理モデルは、物理現象を数式で表したものである。物理モデルは各変数の物理的な関係性が明らかであるため、信頼性や説明性が高い点が特徴である。また、ある診断対象で発生した現象を説明するための物理モデルがある場合、この現象と同様の現象が他の類似案件の診断対象にも発生するのであれば、他の類似案件の診断対象にも同じ物理モデルを展開可能という利点がある。ただし、診断モデルの作りこみが複雑であり、各種の運転状態に対する基礎データを予め取得する必要があるという欠点がある。
一方で、機械学習モデルは、大量のデータを取得する必要があるという欠点はあるが、複雑な物理現象を検討することなく、比較的簡便に診断モデルを構築することができるという利点がある。以上の理由により、近年、プラントや設備の異常検知モデル(以下、診断モデルと呼ぶ)として、機械学習モデルを基盤とした診断装置の導入が増加している。本発明は、機械学習モデルを想定して以下の実施形態について述べるが、必ずしもそれに限定されず、物理モデルを利用してもよい。
<診断装置の構成例>
ここで、本実施形態に係る診断装置の構成例について説明する。
図1は、診断装置100の構成例を示すブロック図である。
診断装置100は、条件入力部1、条件決定部2、評価指標決定部3、データ取得部4、計測値データベース5、モデル構築部6、異常判定部7、評価指標計算部8、パラメータ調整部9及び結果出力部10を備える。
診断装置100は、設備や機器に設置された計測器の計測値を入力としており、複数の計測値は、時系列の計測値データ(いわゆる生データ)として計測値データベース5に蓄積される。計測値としては、設備や機器に直接設置された計測器から取得されたデータだけでなく、二次的加工によって推定処理されたデータやオペレータが制御盤、PLC、DCSで設定した設定値、及びON/OFF信号などのデジタル信号が含まれてもよい。ここでは、これら二次的加工データ(推定値)や設定値、及びデジタル信号データについても計測値と称するものとする。
また、計測値データベース5には、当該の設備や機器に設置される計測器の計測値だけでなく、外気温や各流体及び原料の組成などのデータも格納される。これらのデータは、計測器による計測値である場合もあるが、プロセスにより予め定められた設定値や係数、条件に関わるデータでもよい。例えば熱交換器の場合、設定値とは、プロセス流体の出口温度、出口圧力、又は制御目標値であり、係数とは、熱伝達係数であり、条件とはガスと液体の熱交換の場合に、流体の組成あるいは負荷などである。
(条件入力部1の内容)
次に、条件入力部1の内容を説明する。
診断装置100の構成要素として用いられる条件入力部1は、ユーザが、少なくとも診断目的及びデータ条件を診断装置100に入力する機能を有する。このため、条件入力部1には、診断対象の状態を診断する診断モデルの診断目的、及び診断モデルの構築に利用される時系列データのデータ条件が入力される。時系列データは、計測部2が計測した計測値データが時系列で計測値データベース5に格納されたものである。条件入力部1を通じて入力された内容は、条件決定部2、評価指標決定部3及びデータ取得部4に出力される。
診断目的とは、診断モデルが捉えたい異常の現象である。本発明者らは、異常診断モデルの開発を通して、一般的に設備の異常と称しても、具体的な異常の現象によって、適切な診断モデルが異なることを見出している。例えば、機器や設備の故障を捉えたいのか、又は劣化状態を捉えたいのかといった場合分けにより、ユーザが、これらの診断目的を選択できるようにする。故障とは、要求された機能を遂行する機能単位の能力がなくなる状態と定義する。一方、劣化状態とは、故障へ向けて状態が非定常的に変化している状態と定義する。
データ条件とは、診断装置100が、計測値データベース5から取得する時系列データに異常時のデータ(異常データ)が含まれているかどうか、また異常時のデータが時系列の連続データか、離散データか、などを区別することである。ただし、プラントや設備について、異常データを取得できることは少ないため、異常データを使わずに診断モデルを構築する場合がある。また、異常データは必ずしも連続した時系列データである必要はなく、保全管理台帳に記録されるような、定期点検時の計測値でもよい。このような場合は、異常データは離散的なデータになる。また、点検時の目視判定結果を用いてもよく、この場合は、正常か異常か、という定性的なデータと呼ぶことにする。
(条件決定部2の動作)
条件入力部1の内容は、条件決定部2の動作に影響する。ここで、条件入力部1の内容と、条件決定部2の動作の例について、図2を参照して説明する。
図2は、前提条件入力と、モデル化方法決定の関係を示す図である。
図2の上部に示される前提条件入力には、条件入力部1から入力される診断目的及びデータ条件の項目が示される。診断目的には目的選択の項目が含まれ、データ条件には、異常データ有無の項目が含まれる。目的選択及び異常データ有無の項目は、後述する図3に示す画面を通じてユーザにより設定される。
図2の下部に示されるように、条件決定部2は、条件入力部1で入力された診断目的及びデータ条件に基づき、モデル化方法を自動的に決定する。ここで、モデル化方法には、調整パラメータ項目、利用データ範囲、及びモデル評価指標が含まれる。調整パラメータ項目には、診断モデルを調整するパラメータが定義される。また、利用データ範囲には、計測値データベース5から取得可能な時系列データの利用範囲(取得期間等)が定義される。また、評価指標の項目には、診断モデルを評価するための評価指標が定義される。
条件決定部2は、条件入力部1から入力された診断目的及びデータ条件に基づいて、パラメータ項目、時系列データの利用範囲の項目の内容を決定する。例えば、条件決定部2は、ユーザが設定すべきモデル化方法の各項目について、条件決定部2自体に予め登録されているルールに基づきユーザに提示する条件を決定する。このルールでは、例えば、条件決定部2が、診断目的及びデータ条件をある程度カテゴライズしておき、ある診断目的で、あるデータ条件の場合に変更するパラメータを決めたり、機械学習に入力するデータセットを決めたり、評価指標として必要な情報を決めたりすることを定めている。条件決定部2が決定した項目は、後続の各機能部の動作に影響する。ここで、図2の下部に示すモデル化方法に含まれる各項目について説明する。
(調整パラメータ項目)
項目優先度とは、パラメータ調整部9が探索するパラメータ項目の優先順位を決定するものである。
パターン化とは、あるパラメータ項目における探索範囲をいくつかのパターンに集約することであり、パターン化により探索範囲が削減される。例えば、探索条件のパターン化として、正規化範囲をパターン化する処理が挙げられる。この処理では、正規化するため入力データを0~1に変換する際に、最大値及び最小値を与える条件を、学習期間のデータからとるか、全取得期間のデータからとるか、などが予め決定されるので、余計な範囲でデータを取得しなくてすむ。
(利用データ範囲)
利用データ範囲の項目には、診断モデルの構築に要する学習期間、正常期間及び異常期間が区別して設定される評価期間、診断対象に異常又は劣化が生じる異常期間が含まれる。
学習期間は、診断モデルの構築のために、計測値データを学習用入力データとしてモデル構築部6に与える期間をユーザへ設定するように指示される期間である。
評価期間は、先ほど定義した学習期間と同様であるが、データ条件に応じて、正常期間の設定の有無、さらには正常期間と異常期間を区別して設定するようにユーザへの指示を変更することを定める期間である。図中に、評価期間(正常)と書かれた項目は、正常期間を設定するようにユーザに指示する内容を定めている。
評価期間(異常/劣化)は、診断対象に異常又は劣化が生じる異常期間(図中では評価期間と記載する)を設定するようにユーザに指示する内容を定めている。
(モデル評価指標)
評価指標の項目には、診断モデルが診断対象の異常を検知する性能を表す検知性能が含まれる。
検知性能は、診断装置100が最も有力な診断モデルを自動選択するための評価指標として、ユーザへ設定するように指示する内容を定めている。この検知性能は、診断モデルが診断対象の異常を検知する性能を表す指標である。
一方で、条件入力部1では、ユーザがモデル化方法のうちの一部の要素を直接指定してもよい。モデル化方法のうちの一部の要素が指定された場合、条件入力部1の内容が評価指標決定部3、データ取得部4に影響する。
(評価指標決定部3の動作)
次に図1を参照して、評価指標決定部3の動作を説明する。
評価指標決定部3は、診断目的及びデータ条件を含む条件入力部1から条件決定部2への入力内容に応じて、評価指標の項目で規定される特定の評価指標を決定する。本実施の形態では、特定の評価指標を、診断モデルの評価指標(「モデル評価指標」と呼ぶ)とする。ここで評価指標とは、構築される診断モデルの良し悪しを判断するための指標であり、診断モデルの最適化には必須となる。良い診断モデルとは、診断対象である設備の異常を的確に捉えていること、異常の兆候を早期に検知できること、誤報が少ないこと、などを挙げることができる。従って、診断モデルの評価指標とは、診断モデルの異常判定結果に対する正解率や適合率、再現率、誤報率などを挙げることができる。
また、これら正解率等の値を算出するために作成する混同行列の要素を組み合わせて評価指標としてもよい。また、評価指標としては、時間軸を入れて、診断モデルがいかに早く異常を検知できたか、という指標を用いてもよい。これらの指標は、トレードオフの関係となることがある。例えば、早く異常を検知する診断モデルは、誤検知率が大きくなりやすく、逆に時間がかかって異常を検知する診断モデルは、検知率が悪くなりやすい。そこで、指標としては、例えば適合率と再現率の調和平均で定義されるF値を採用することや、ROC曲線(Receiver Operating Characteristic curve)からAUC(Area Under the Curve)を求めた値を用いてもよい。また、診断モデルを多目的最適化問題と捉えて、各指標を組み合わせたものでもよい。
さらに、評価指標決定部3は、条件入力部1に含まれる診断目的及びデータ条件に応じて、予め診断モデルの評価指標を決めて評価指標データベース(不図示)に格納しておく。評価指標データベースは、図1に示した計測値データベース5とは異なり、決定された評価指標が書き込まれた設定ファイルを保存しておくものである。条件入力部1から診断目的及びデータ条件が入力されると、評価指標決定部3は、評価指標データベースから評価指標を読み出して、評価指標をユーザに提示することができる。
<診断モデルの評価指標の条件設定画面>
評価指標の決定方法として、その都度ユーザが評価指標の候補から選択して決定する方法がある。このため、評価指標決定部3は、候補となる評価指標の一覧を表示装置等のユーザインターフェイスに出力して、ユーザが評価指標を選択可能な画面を提示する。ここで、条件入力部1に各種の条件を設定するための条件設定画面の詳細な構成例について、図3を参照して説明する。
図3は、条件設定画面20の構成例を示す図である。
条件設定画面20には、ユーザが選択可能な、診断目的、データ条件及びモデル評価指標の各項目が示される。
診断目的の項目には、故障検知及び劣化検知のうち、少なくともいずれか一つをユーザが選択可能なチェックボックスが表示される。
データ条件の項目には、異常データあり、又は異常データなしのいずれかをユーザが選択可能なプルダウンメニューが表示される。データ条件の項目には、異常データとして、時間情報のみか、時間ごとの異常の度合を表す数値情報を含むかをユーザが選択できるようなサブメニューが設けられてもよい。
モデル評価指標の項目には、再現率、適合率、F値、又はAUCのいずれかをユーザが選択可能なプルダウンメニューが表示される。
なお、条件設定画面20に示される項目には、診断目的又はデータ条件に応じて適用できない評価指標もある。このため、適用できない評価指標の項目については、条件設定画面20においてグレーアウトするなどしてユーザが選択できないようにしてもよい。また、過去に構築された診断モデルをデータベース(不図示)に格納しておき、同じ診断目的及びデータ条件に対して診断モデルに適用した評価指標をユーザに推奨するような機能を条件設定画面20に加えてもよい。
そして、ユーザが条件設定画面20を通じて選択した項目が、評価指標決定部3からデータ取得部4に出力される。再び、図1に戻って、データ取得部4を説明する。
(データ取得部4の動作)
データ取得部4は、時系列データの利用範囲に従って、診断対象の状態を表す時系列データを取得する。例えば、データ取得部4は、ユーザが選定した、又は条件決定部2が決定したデータ項目情報(「Tag情報」と呼ぶ)、及び時系列データの取得対象期間(図2に示した利用データ範囲)に基づき、各信号の時系列データが蓄積されている計測値データベース5から、対象Tagの時系列データ11を取得する。データ取得部4が取得した信号データは、後に診断モデルの構築時に入力データとして用いられる。この入力データは、機械学習のための学習データ、機械学習モデルの性能を評価するための評価データとして用いられる。また、診断装置100の運用時に異常診断が行われる入力信号についても、診断モデルの構築時に付されたTag情報と同一のTag情報が選定される。Tag情報は、条件入力部1に対してユーザが直接指定してもよいし、予め規定されたパラメータ項目の一つと見なしてもよい。
(モデル構築部6の動作)
モデル構築部6は、前段の処理で決定されたモデル化方法に従って、時系列データから診断モデルを構築する。この際、モデル構築部6は、学習モードと診断モードの2つの処理を実行し、診断モデルを構築する。モデル構築に利用される機械学習アルゴリズムはARTに限定されるものではなく、クラスタリング、分類、回帰など適用可能である。さらに、クラスタリングアルゴリズムの中でも、ART、マハラノビス・タグチ法(MT法)、ベクトル量子化、KMeans、スペクトラルクラスタリングなどを適用可能である。
モデル構築部6は、学習モードの処理を実行する際、データ取得部4で取得した学習対象期間の時系列データを入力として、機械学習モデルを構築する。また、モデル構築部6は、診断モードの処理を実行する際、学習モードで構築した診断モデルに、診断対象期間の時系列データを入力して、結果を出力する。ここで結果とは、機械学習アルゴリズムの種別による、例えば予測値や、学習データに対するベクトル空間上の距離を異常度として出力することができる。この異常度は、後述するように診断モデルのデータ判定手法に用いられる。
ここで、モデル構築部6が学習モードと診断モードで使用するARTについて説明する。
図4は、ARTの動作を説明する図である。図4の上側に2種類の計測値A,Bの時間変化が示され、図4の下側に、クラスタNoが示される。
ARTは、データ間の相関性からクラスタを生成するアルゴリズムである。モデル構築部6が学習モードで計測値A,Bの状態を示すクラスタを、クラスタNo.1~3で分類したとする。クラスタNo.1は、計測値Aが計測値Bより高い状態、クラスタNo.2は、計測値A,Bが共に低い状態、クラスタNo.3は、計測値Bが計測値Aより高い状態を表す。
クラスタが生成された後、モデル構築部6が診断開始時点から診断モードで計測値A,Bの診断を開始する。すると、計測値A,Bのいずれもが高い値を示す状態が発生したとする。この状態は、学習時のクラスタNo.1~3のいずれにも該当しない。そこで、モデル構築部6は、計測値A,Bのいずれもが高い値を示す状態を示すクラスタを生成し、このクラスタにクラスタNo.4をつける。そして、新たなクラスタが生成された時点で、診断装置100は、ユーザに異常の発生を発報することになる。
このようにモデル構築部6は、診断モードにおいて、学習期間に生成されたクラスタに属さないと見なされたデータが現れた場合に、新規のクラスタを生成する。そこで、モデル構築部6は、新規クラスタの出現有無をフラグとして出力してもよい。診断モデルのデータ判定手法として新規クラスタの発生有無が使われる場合に、このフラグが用いられる。
また、モデル構築部6は、クラスタリングの情報に基づき、異常度を出力してもよい。
図5は、計測値1,2をクラスタリングした図である。
図5には、横軸に計測値1の値をとり、縦軸に計測値2の値をとり、同じ時刻に計測された計測値1,2の交わる点がプロットされたグラフが示される。図中の白抜きされた丸印は学習データを表し、黒塗りされた丸印は診断データを表す。上述したように入力データを評価データとして用いて診断モデルの評価が行われる場合、図5に示す診断データは、評価データに置き換えられる。
計測値1,2の交わる点は、所定の大きさの円でクラスタリングされている。この円は、学習データによって生成されたクラスタを表す。円の中心の×印は、学習データによって生成されたクラスタの重心を表し、クラスタの代表点と呼ぶ。
図5では、クラスタ1~3の3つのクラスタの例が示される。モデル構築部6は、各学習データ及び診断データの点と、クラスタの代表点に関するベクトル空間上の距離とに基づいて異常度を算出する。例えば、各学習データ及び診断データに対して、最も近いクラスタの重心からの距離を異常度と定義する。そして、各クラスタの円よりも遠くにプロットされた計測値1,2は、いずれのクラスタにも属していない外れ値である。この外れ値に示すように、診断データの点が、学習データで形成されたデータパターンと大きく異なるほど、ベクトル空間上の距離が長くなり、異常度が高くなる。このため、異常度は、診断データの異常の度合を測る指標として使用される。
なお、モデル構築部6は、機械学習モデルに基づく手法を利用して、診断モデルを構築するものとしたが、物理モデルに基づく手法を利用して、診断モデルを構築してよい。
(異常判定部7の動作)
次に図1を参照して、異常判定部7の動作を説明する。
異常判定部7は、モデル構築部6により構築された診断モデルに入力される、データ取得部4が評価期間で取得した時系列データの異常有無を判定する。この際、異常判定部7は、決められたルールに基づいて、診断データを異常と見なすかどうかを判定している。ここで、異常判定部7の動作について、図6を参照して説明する。
図6は、異常度の変化を表すグラフである。このグラフでは、横軸を時間、縦軸を異常度として、異常度の時間変化が表されている。異常判定部7は、モデル構築部6が診断モードで計算した異常度を、予めユーザが設定した閾値と比較することにより、異常の有無を判定する。ここで、異常度と比較される閾値は、パラメータ調整部9により調整されるパラメータの一例である。
例えば、図6に示すように、異常度が、図中に一点鎖線で示す閾値未満の値であれば、異常判定部7は、異常度を異常と見なさない。しかし、異常度が閾値を超えると、異常判定部7は、異常度を異常と見なし、異常の発生を発報する。なお、異常判定部7は、新規クラスタの出現有無をそのまま異常判定に使用してもよい。例えば、モデル構築部6により「新規クラスタ」の出現が有ったことが判明した場合、異常判定部7は、異常発生と判定する。
(評価指標計算部8の動作)
次に図1を参照して、評価指標計算部8の動作を説明する。
評価指標計算部8は、時系列データの異常有無の判定結果に基づいて、特定の評価指標を計算する。例えば、評価指標計算部8は、評価指標決定部3が決定した診断モデルの評価指標(例えば、正答率)を、異常判定部7が実行した異常判定結果に基づいて計算する。評価指標計算部8が評価指標を計算するためには、診断モデルが出力する異常判定結果に対応する正解ラベルが必要となる。
この正解ラベルは、データ取得部4が計測値データベース5から取得する計測値データに異常時のデータが含まれていない場合に、異常判定結果に対して全て正常というラベルを与えたものであってもよい。ただし、評価指標計算部8は、全て正常というラベルを与えた場合は、例えば、交差検証の手法を利用して、正常データをkセットに分割する。そして、評価指標計算部8は、kセットのうち、(k-1)セットのデータを学習データとして用いて診断モデルを構築し、残りの1セットのデータを診断データとして用いて診断する処理を行う。この処理により、異常判定部7が異常判定を行い、評価指標計算部8が評価指標を計算することが可能となる。
また、データ取得部4が計測値データベース5から取得する計測値データのうち、異常データを取得できない場合は、評価指標計算部8は、ユーザが人為的に作成した異常値を含む異常データを疑似的に作成することも可能である。このようにユーザが人為的に異常値を作成するのは、一般的に異常データがあったほうが、モデル構築部6が精度の高い診断モデルを作ることができるためである。具体的には、正常運転時にデータ取得部4が計測値データベース5から取得する信号の時系列データについて、評価指標計算部8は、一つ又は複数の信号の計測値に±nσを加算する。ここで、σは標準偏差とし、nは任意の実数とする。そして、評価指標計算部8は、人為的に作成した異常データに対して異常のラベルを与える。
人為的に異常データを作成する方法はこの手法に限定されるものではなく、その他に、シミュレーションを利用したり、数理モデルや物理モデルを利用したりする方法が用いられてもよい。これらの方法を使用することでも、モデル構築部6が、より精度の高い診断モデルを構築することが可能となる。
(パラメータ調整部9の動作)
次に、パラメータ調整部9の動作を説明する。
パラメータ調整部9は、条件入力部1に入力された診断目的及びデータ条件に基づいて、パラメータ項目、時系列データの利用範囲の項目、及び評価指標の項目のうち、少なくとも一つ以上を含むモデル化方法に従って構築され、評価指標で評価される診断モデルのパラメータを自動的に調整する。パラメータ調整部9により調整されたパラメータは、データ取得部4及び異常判定部7に出力される。
例えば、パラメータ調整部9は、評価指標計算部8にて計算した診断モデルの評価指標に関して、診断モデルを最適化するために、図2に示したパラメータ項目で選定される調整対象のパラメータを更新する。調整対象のパラメータには、例えば、Tag情報、学習期間、診断期間、データの正規化範囲などが含まれる。本実施の形態でTag情報は、データ項目パラメータの一例である。また、学習期間及び診断期間は、いずれもモデル入力期間の一例である。データの正規化範囲は、データ項目の正規化範囲パラメータの一例である。
パラメータ調整部9が、診断モデルに特有のパラメータを決定するパラメータとしては、機械学習モデルに特有のハイパーパラメータを含む。例えば、ARTの場合は分解能パラメータや学習率がハイパーパラメータに該当する。なお、異常判定部7が異常判定を実行するために用いる閾値もパラメータの一つである。パラメータの更新条件としては、一つに限定されるものではない。例えば、グリッドサーチや最急降下法、確率的勾配降下法、共役勾配法、ニュートン法、準ニュートン法、遺伝的アルゴリズム、ベイズ最適化、強化学習などの任意の最適化手法を適用することができる。
このように診断モデルを構築するために設定される設定パラメータは、データ項目パラメータ、モデル入力期間、データ項目の正規化範囲パラメータ、モデル特有のパラメータを決定するパラメータのうち少なくとも一つが含まれる。
さらに、パラメータ調整部9は、予めパラメータの探索条件をいくつかのパターンに集約することが可能である。このパターン集約により、パラメータ調整部9がパラメータ探索に要する処理量を大幅に削減できる。また、パラメータ調整部9は、パラメータ項目に優先度をつけてもよい。各パラメータは役割が異なるため、予め診断目的に応じて優先的に探索するパラメータ項目の順番を設定することで、効率的に診断モデルの最適化処理を行うことが可能となる。
そして、モデル構築部6、異常判定部7、評価指標計算部8、及びパラメータ調整部9は、一連の処理を所定回数だけ繰り返す。
(結果出力部10の動作)
次に、結果出力部10の動作を説明する。
結果出力部10は、モデルの評価指標に基づき最適化した診断モデルを表示する部位である。この際、結果出力部10は、評価指標計算部8により計算された特定の評価指標を出力する。ここで、結果出力部10は、評価指標計算部8により所定回数だけ繰り返し計算された特定の評価指標を出力することが可能である。そこで、診断モデルの表示例について、図7を参照して説明する。
図7は、診断モデルの第1の表示例を示す図である。診断モデルは、図7に示す形態の診断モデル表示画面21として表示される。この診断モデル表示画面21は、診断モデルを特徴づける要素を表形式で構成して表示される。診断モデル表示画面21は、レコードNo、パラメータ1、パラメータ2、データ数、学習時異常度平均、診断時異常度平均、適合率、再現率、F値、及びファイルリンクの項目で構成される。パラメータ1、パラメータ2は、機械学習時に探索されるパラメータ条件を表す。また、パラメータ1、パラメータ2、データ数は、機械学習時に必要となる設定情報である。
学習時異常度平均、診断時異常度平均、適合率、再現率、F値は、機械学習の学習結果として計算された値であり、評価指標に関係する。ここで、ファイルリンクの項目に示されるグラフNo.1,No.2,No.3は、例えば、図6に示したトレンド図のファイルにリンクしてトレンド図を表示するために用いられる。ユーザが、ファイルリンクの項目のグラフNo.1の文字をクリックすると、診断モデル表示画面21から、レコードNo.1のトレンド図に切り替わって表示される。
診断モデル表示画面21に示されるレコードのそれぞれ(No.1,No.2,…)が、結果出力部10に表示される「診断モデル」を表す。診断モデルの表示方法は一つに限定されるものではないが、パラメータ調整部9が探索したパラメータ条件(パラメータ1とパラメータ2の値)と、構築モデルに関する情報及び評価指標を含めた算出結果(データ数~F値)とをリスト化して出力することが可能である。
なお、結果出力部10は、評価指標に基づいて、最上位の診断モデルを選択し、この診断モデルに関連する、時系列方向に異常度や閾値を記載したトレンド図(図6を参照)を表示することも可能である。この際、結果出力部10は、パラメータ調整部9がパラメータを探索して得られた診断モデルに関連する、評価指標が最良のトレンド図だけを表示してもよい。また、結果出力部10は、評価指標の上位からソートして、上位数個のトレンド図を並べて表示させることで、ユーザがトレンド図を目視確認し、任意のモデルを選択できるようにしてもよい。なお、評価指標の良(最良を含む)又は不良は、評価指標の最大値又は最小値で判断される。
図8は、診断モデルの第2の表示例を示す図である。
図8に示す診断モデル表示画面22を構成する項目は、図7に示した診断モデル表示画面21と同様であるが、画面左端のレコードNoの代わりに、RANKの項目が追加され、画面右端のファイルリンクの代わりに、グラフの項目が追加された点が異なる。RANKは、診断モデルの評価順位を表しており、特定の評価指標が最良の診断モデルを「1」で表す。また、図8では、ユーザが、グラフの項目のグラフNo.2の文字にカーソルを合わせると、診断モデル表示画面22に重ねて、レコードNo.2のトレンド図が自動で表示される様子が表されている。
なお、図8に示す診断モデル表示画面22には、評価指標の最適値が複数出現する可能性もある。その際は、結果出力部10が、上位の評価指標に追加条件を適用して、診断モデル表示画面22を表示する。このような処理により、結果出力部10は、ユーザによる診断モデル表示画面22を通じたモデル選択を支援することができる。
例えば、結果出力部10は、上記リストに含まれる指標を第2評価指標として、上位からソートして提示することが可能である。具体的には、結果出力部10は、正常判定期間における診断モデルの特徴量(異常度の平均)と、異常判定期間における診断モデルの特徴量(異常度の平均)の比で表される異常度平均比を第2評価指標とすることができる。例えば、図8のグラフNo.2に示すように、異常度が閾値未満である期間を正常判定期間と呼び、異常度が閾値以上である期間を異常判定期間と呼ぶ。
なお、ロバスト性を考慮する場合は、結果出力部10は、第1評価指標が上位の条件を抽出し、パラメータの中央値を選ぶ方法がある。例えば、図8に示した診断モデル表示画面22では、第1評価指標をF値とし、第2評価指標が学習時異常度平均としたと想定する。そして、図8に示した診断モデル表示画面22では、第1評価指標のF値でレコードが降順にソートされた表が示される。
このように診断モデル表示画面22には、任意の評価指標(例えば、F値)でソートされたモデル候補がリスト形式で一覧表示される。結果出力部10は、パラメータの探索結果をリスト上に一覧表示する際、評価指標の高い順又は低い順に診断モデルをソートする。このため、様々な条件に合わせて診断モデルを時系列にトレンド状に表示することが可能となる。
ここで、複数のモデル候補の評価指標が同率となった場合は、結果出力部10により、パラメータの中央値又は平均値を推奨として提示することができる。つまり、結果出力部10は、評価指標に基づいて選ばれた2つの候補モデルで評価指標の数値が同じであった場合、各モデルにおけるパラメータの値に対して、例えば、中央値又は平均値を提示することができる。
また、診断モデル表示画面22に表示されるモデル候補のうち、第1評価指標が同じモデル候補が複数存在していれば、さらに第2評価指標でモデル候補がソートされる。このように上位のKPI(Key Performance Indicator)が複数出た場合は、第2評価指標でソートできる。
診断モデル表示画面21,22に示したように診断モデルの評価指標が2つ以上併記して表示されることで、ユーザは、適切な診断モデルを選択することができる。また、ユーザは、モデル候補をソートする評価指標を適宜選択することが可能である。このため、ユーザは、ある評価指標を重視した場合に、他の評価指標が変わる様子を確認しながら、適切なモデル候補を選択することが可能となる。
また、結果出力部10は、他の形態で評価指標を画面に表示することが可能である。例えば、各パラメータを軸に評価指標の等値線図で示す例について、図9を参照して説明する。
図9は、評価指標の等値線図である。
図9の左側には、横軸にパラメータ1をとり、縦軸にパラメータ2をとって、パラメータ調整部9がパラメータを探索した探索点をプロットした図が示される。図9の右側には、プロットされた探索点のうち、等値である探索点を線でつないだ等値線図が示される。各探索点において作成された診断モデルの評価指標が与えられているので、結果出力部10は、等値線図を描くことが可能である。この等値線図は、ユーザにとって、評価指標の分布状況が視覚的に分かりやすいという利点がある。また、評価指標が最も中央に寄っており、評価指標が高い分布23は、パラメータ1,2の組み合わせが妥当であることを表している。
なお、パラメータ1を第1評価指標、パラメータ2を第2評価指標と読み替え、上位のKPIが複数発生した場合は、第1及び第2評価指標を等値線図で表示してもよい。また、結果出力部10は、等値線図として、二次元図だけでなく、もう一つパラメータを軸にとって三次元図で表示することも可能である。また、結果出力部10は、トレンドが似ている条件はパターン認識により集約し、候補となる代表図のみを表示してもよい。この場合、図9の左側に示される多数の探索点のうち、似た値を有する探索点が集約され、探索点の数が減って表示される。
また、結果出力部10が表示する画面の別の形態として、探索結果として得られた上位の候補モデル群から、代表的なトレンド図にまとめて表示するも可能である。これは、例えばパラメータ探索地点が近い診断モデルは、そのトレンド図の見た目がほとんど変わらないことが予想されるためである。これらの似通ったトレンド図を人が目視にて判別することは困難であるため、結果出力部10が、複数のトレンド図をパターン集約することが効果的となる。具体的なパターン集約の方法は、機械学習に基づくパターン認識方法を挙げることができるが特別な限定はない。
このように、本実施の形態に係る診断装置100では、少なくとも診断目的及びデータ条件が入力されることで、その情報を使用して、診断モデルの評価指標や探索条件が決定される。このため、診断装置100では、データ取得部4が取得する時系列データの条件だけでなく、モデル構築部6が構築する診断モデルの診断目的に応じて、評価指標決定部3が評価指標を決めて、パラメータ調整部9が診断モデルの構築に関連するパラメータを迅速かつ自動的に調整することが可能となる。この際、評価指標や探索条件に関係する調整パラメータが自動で探索されることで最適な診断モデルを構築するための情報をユーザに示すことが可能となる。このため、診断モデルの設計工数を削減すると共に、精度の高いモデル開発を支援可能となる。
また、診断装置100は、機器等の過去の保守履歴に基づいて、診断目的の候補を自動的に抽出し、機器ごとに生じる可能性のある故障を想定可能な診断モデルの構築を支援することができる。このため、ユーザが診断目的の設定等の必要最小限の項目の設定により、診断装置100が、機器の故障診断に関わる診断モデルの作成を行うことができる。
次に、本実施の形態に係る診断装置を、以下の各実施の形態に適用した例について、順に説明する。
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態では、機械学習アルゴリズムの一つであるARTの例を取り上げる。そして、図3に示すように、診断目的を故障検知、データ条件を時系列データに異常時のデータが含まれていると設定された状態で、正確な異常発生時刻が特定できていない場合に、パラメータを自動調整する診断装置100の動作について説明する。
<診断装置100の処理の例>
図10は、第1の実施の形態に係る診断装置100の処理の例を示すフローチャートである。ここでは、診断装置100の各部が連携して行う診断モデルのパラメータ調整方法について説明する。
始めに、診断装置100は、条件入力部1を動作する(S1)。ユーザは、表示装置に表示された条件設定画面20(図3を参照)を通じて、診断目的及びデータ条件を選択する。選択された診断目的及びデータ条件の情報に応じて、予め登録されているモデル評価指標の候補が提示されると、ユーザは、提示された候補の中から一つの評価指標を決定する。本実施の形態では、図3で示すように、ユーザが診断目的を「故障検知」と選択し、データ条件を「異常データあり」と選択したとする。その後、診断装置100は、条件決定部2を動作することにより、条件入力部1で選択された診断目的及びデータ条件を決定する。
次に、診断装置100は、評価指標決定部3を動作する(S2)。ここでは、評価指標決定部3が、条件決定部2で決定された条件に基づき、予め登録しておいたモデル評価指標の候補の中からF値を選択したものとする。そして、評価指標決定部3が選択したF値は、図3に示した条件設定画面20に表示される。
次に、診断装置100は、データ取得部4を動作する(S3)。ここで、ユーザが診断モデルの構築のために利用する学習用データと診断用データを選択する。その際には、信号情報とデータ期間が必要である。
信号情報は、ユーザが予めリストやテキストファイルで指定する方法でもよいし、ユーザが画面(不図示)を通じて選択する方法を用いてもよい。又は、条件設定画面20に信号情報の候補を提示しておき、ユーザがチェックを入れて選択する方法を用いてもよい。信号情報として指定された種類の計測値データが、データ取得部4により計測値データベース5から取得される。
データ期間についても同様に、ユーザが予めリストやテキストファイルで期間を指定する方法、ユーザが画面(不図示)から期間を入力して指定する方法を適用可能である。又は、モデル構築に必要な計測値データ(「対象データ」とも呼ぶ)のトレンドを表示しておき、ユーザがドラッグアンドドロップする方法で期間を指定してもよい。
ここで、ユーザがデータ期間を指定する画面の表示例について、図11を参照して説明する。
図11は、ユーザがデータ期間を指定する画面の表示例を示す図である。図11では、横軸に時間をとり、縦軸に計測値をとって、計測値A,Bの時間変化の様子がグラフ(トレンド図)で示されている。
データ取得部4は、データ条件として、計測値データに異常データがある場合が選択されると、正解が分かっている期間で取得した時系列データに正常であることを示す情報を付す。例えば、図11のグラフに示すように、データ取得部4は、予め正解であることが分かっている領域に、正解ラベルを付し、この領域のデータを正常時データとして指定する。データ取得部4が、正常時データとして指定した期間に取得した計測値データには、正解ラベルに「正常」と付される。また、データ取得部4は、異常が分かっている期間で取得した時系列データに異常であることを示す情報を付す。例えば、データ取得部4は、明らかに異常と分かっている領域にも正解ラベルを付し、この領域のデータを異常時データとして指定する。データ取得部4が、異常時データとして指定した期間に取得した計測値データには、正解ラベルに「異常」と付される。
そして、データ取得部4は、正常及び異常として正解ラベルを付ける範囲を選択する際に、モデル化対象データから不明点を除外する。このため、データ取得部4が正常時データとして指定した領域、及び異常時データとして指定した領域以外の領域(期間)については、評価対象外とする。評価対象外の期間に含まれる計測値A,Bは、正常又は異常のいずれであるかを判断することが難しいことが多い。そこで、評価対象外の期間に含まれる計測値A,Bの計測値データは、モデルの評価指標を計算する時には使用されない。
このようにデータ取得部4は、画面(不図示)を通じて指定された信号情報とデータ期間に基づき、時系列データが格納された計測値データベース5から対象データを取得する。
次に、診断装置100は、モデル構築部6を動作する(S4)。モデル構築部6は、モデル構築部6は、正常であることを示す情報が付された時系列データと、異常であることを示す情報が付された時系列データとを用いて診断モデルを構築する。この際、モデル構築部6は、データ取得部4で用意された学習用データ、正規化範囲、データの分解能パラメータを合わせてARTの学習モードを動作する。ARTのクラスタリングアルゴリズムについての詳細は特許文献1(特開2017-117034号公報)の記載を参照されたい。ARTの処理の概要は以下の通りである。
処理1:モデル構築部6は、入力ベクトルを正規化する。
処理2:モデル構築部6は、入力データと重み係数との比較により、ふさわしいクラスタの候補を選択する。
処理3:モデル構築部6は、選択したクラスタの妥当性を分解能パラメータとの比較により評価する。
モデル構築部6が、選択したクラスタを妥当と判断すれば、入力データをそのクラスタに分類し、次の処理4に進む。モデル構築部6が、選択したクラスタを妥当と判断しなければ、そのクラスタをリセットし、他のクラスタからふさわしいクラスタ候補を選択する(つまり、処理2を繰り返す)。なお、分解能パラメータの値を大きくすると、クラスタの分類が細かくなり、クラスタの生成数が増加する。一方、分解能パラメータの値を小さくすると、クラスタの分類が粗くなり、クラスタの生成数が減少する。
処理4:モデル構築部6は、処理2において全ての既存のクラスタをリセットすると、入力データが新規のクラスタに属すると判断し、新規クラスタを表す新しい重み係数を生成する。
処理5:モデル構築部6は、入力データをクラスタに分類すると、そのクラスタに対応する重み係数を、過去の重み係数及び入力データを用いて更新する。
このように、モデル構築部6が学習モードを実行することで、入力したデータはARTによってクラスタに分類され、各重み係数が更新されるので、モデル構築部6がモデル情報を得ることができる。従って、モデル構築部6は、学習済みのARTに新たな入力データが得られると、上記アルゴリズムにより、過去に生成したどのクラスタに分類できるかを判定することができる。また、モデル構築部6は、どのクラスタにも分類することができない場合は、新規のクラスタを生成することができる。また、モデル構築部6は、図5に示したように学習データ及び診断データに対して、クラスタの代表点からの距離に基づき異常度を生成する。そして、モデル構築部6は、異常度を用いて、診断データの異常の度合を測ることができる。
次に、診断装置100は、異常判定部7を動作する(S5)。異常判定部7は、モデル構築部6で出力される異常度と、パラメータの一つである閾値とを比較することにより、異常判定を実施する。
次に、診断装置100は、評価指標計算部8を動作する(S6)。診断データには正解ラベルが予め与えられているため、評価指標計算部8は、異常判定部7から出力される判定結果と比較することにより、F値を計算することができる。
次に、診断装置100は、各パラメータ条件と、一連の計算結果を一時的なメモリ又はデータベース(不図示)に格納しておく(S7)。
次に、診断装置100は、パラメータの探索回数判定を行う(S8)。本実施の形態に係る診断装置100は、グリッドサーチの方法に基づき、初期設定した各パラメータの開始値、終了値及び刻み幅に従い、探索回数を指定する。この探索回数を「指定の回数」と呼ぶ。そして、診断装置100は、探索回数カウンタの値で示されるパラメータ探索回数が、指定の回数を満たすか否かによって、以降の処理を分岐する。
パラメータ探索回数が、指定の回数に満たない場合(S8のNO)、診断装置100は、パラメータ調整部9を動作する(S9)。本実施の形態に係るパラメータ調整部9は、予め設定している各パラメータの刻み幅に従い、次の探索領域へパラメータを一つずつ更新する。その後、ステップS4以降の処理を繰り返す。このため、ステップS4~S9の一連の処理は、指定の回数だけ繰り返される。
パラメータ探索回数が指定の回数を満たした場合(S8のYES)、診断装置100は、結果出力部10を動作する(S10)。結果出力部10は、格納された結果の中から、モデル評価指標が最良の条件を画面に提示する。
このようにして、診断装置100は、診断対象の故障現象を検知可能となることを想定した故障検知モデル(診断モデルの一例)を構築することができた。なお、本実施の形態では分類手段としてARTを利用した場合について述べたが、分類手段はARTに限定されるものではない。例えば、k平均法(k-means clustering)、ベクトル量子化等の様々な分類手段を採用することができる。
また、診断目的としては、機器や設備の異常を検知すること、又は機器や設備の性能の劣化を検知することが含まれる。また、データ条件として、異常データの有無、又は劣化データの種類(保守情報か数値データ)をユーザが選択可能である。このため、診断装置100は、設備等の異常検知だけでなく、劣化検知にも対応して、設備の状態を予知してメンテナンスを行う、CBM(Condition Based Maintenance)を実現することが可能となる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る診断装置の動作例について説明する。第2の実施の形態に係る診断装置として、第1の実施の形態に係る診断装置100を用いる。ここでは、第2の実施の形態に係る診断装置100が、異常データが無い場合にパラメータを自動調整することを可能とする動作を説明する。
第1の実施の形態と同様にして、第2の実施の形態に係る診断装置100は、図10に示すステップS1にて条件決定部2を動作する。この時、ユーザは、条件設定画面20を通じて、診断目的を「故障検知」と選択し、データ条件を「異常データなし」と選択する。ただし、この時点では、データ取得部4に、正解ラベルとして異常データを与えることはできない。このため、ステップS2では、第1の実施の形態に示したように、ユーザが診断モデルの評価指標として、F値を選択することはできない。
従って、条件設定画面20は、正常データだけで評価できる誤報率が候補として出力される。例えば、図3の条件設定画面20の「モデル評価指標」の項目では、「F値」がグレーアウトされ、代わりに「誤報率」が表示される。誤報率は、正常の正解ラベルが与えられた全データに対して、異常判定部7が異常と誤判定したデータ数の割合を表す。この定義では、第1の実施の形態で説明したように、異常判定部7が閾値をパラメータの一つとして、閾値を異常度と比較することにより、あるデータを異常と誤判定した場合、このデータが異常と判定されないようにするには、閾値を高くすればよい。このため、データ取得部4は、データ条件として、時系列データに異常データがない場合が選択されると、正解が分かっている期間で取得された時系列データに正常であることを示す情報を付す。
パラメータ調整部9は、正常であることを示す情報が付された時系列データに対して、異常判定部7が異常と誤判定した誤報率に基づいて、パラメータを調整する。ただし、パラメータ調整部9がパラメータ探索を行う過程で上位のモデル候補がいくつも出現したり、局所最適解に陥る問題が発生したりすることが予想される。そこで、誤報率にはある程度の許容範囲(許容誤差)を入れることで、これらの問題を回避可能である。このような問題を回避する方法として、例えば、異常判定部7は、異常度が閾値を超えたと同時に異常と判定するのではなく、10単位時間分連続して異常度が閾値を超えた場合に異常をカウントする方法等が挙げられる。また、ユーザが誤報率の許容範囲を設定する方法や、診断装置100が学習データに基づいて統計的に許容範囲を設定する方法が挙げられる。
そして、第2の実施の形態に係る診断装置100は、ステップS3からステップS10の処理を、第1の実施の形態と同様の処理として実行する。この処理により、異常データがない条件であっても、診断装置100は、最適な故障診断モデルを構築することができる。
また、診断モデルの構築は、クラスタリング以外の機械学習アルゴリズムを用いて実施されてもよい。例えば、機械学習アルゴリズムの種類によらず、交差検証法(クロスバリデーション)を利用して運用時に想定される誤報率を推定し、許容誤差と合わせてモデル評価指標に導入することで、診断モデルを最適化できる。なお、交差検証法を用いる場合の処理については、後述する(図13を参照)。
なお、パラメータ探索アルゴリズムの種類として、例えば、グリッドサーチ、ベイズ最適化、又は遺伝的アルゴリズムがある。診断装置100は、このようなパラメータ探索アルゴリズムを用いることで、診断モデルを構築する速度を向上することが可能となる。
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る診断装置の動作例について説明する。第3の実施の形態に係る診断装置として、第1の実施の形態に係る診断装置100を用いる。ここでは、第3の実施の形態に係る診断装置100が、診断目的として劣化検知が選択された場合にパラメータを自動調整する動作を説明する。
第1の実施の形態と同様にして、第2の実施の形態に係る診断装置100は、図10に示すステップS1にて条件決定部2を動作する。この時、ユーザは、条件設定画面20を通じて、診断目的の項目の「劣化検知」にチェックを入れる。上述したようにデータ条件は、定性データ又は定量データのいずれかをユーザが選択できるように条件設定画面20に表示される。つまり、条件設定画面20の「データ条件」の項目では、図3に示した「異常データあり」及び「異常データなし」の代わりに、「定性データ」及び「定量データ」が選択可能に表示される。ここでは、ユーザが、「データ条件」の項目から「定性データ」を選択したと想定する。
その後、診断装置100は、ステップS2にて評価指標決定部3を動作する。評価指標決定部3は、条件設定画面20を通じて設定された診断目的及びデータ条件に基づき、機器の劣化状態を確実に検知するために、評価指標として再現率を選択可能である。
そして、第2の実施の形態に係る診断装置100は、ステップS3からステップS10の処理を、第1の実施の形態と同様の処理として実行する。そして、パラメータ調整部9は、診断目的が、診断対象の劣化検知である場合に、評価指標として選択された再現率に基づいて、パラメータを調整する。この処理により、診断目的が劣化検知の場合でも、診断装置100は、最適な診断モデルを構築することができる。
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態に係る診断装置の動作例について説明する。第4の実施の形態に係る診断装置として、第1の実施の形態に係る診断装置100を用いる。第4の実施の形態に係る診断装置100は、第1の実施の形態に加えて運用性を考慮した動作を行う。
第4の実施の形態と、第1の実施の形態との違いは、入力画面にてクラスタ数を考慮する点である。特許文献1(特開2017-117034号公報)に記載されたように、分類結果のクラスタには、クラスタNoと事象とが関連付けて登録される。従って、診断装置100を運用する段階では、クラスタの出現に応じて設備の運転状態を監視することが可能である。
先に述べた通り、分解能パラメータを始めとする各パラメータの調整次第で、診断時及び運用時における新規クラスタの生成頻度が異なる。そのため、オペレータが、設備の稼働状態を監視する場合、一日に多数の新規クラスタが出現すると、その都度クラスタに事象を登録する必要が生じるため、オペレータへの負荷が増大する。
ここで、第4の実施の形態に係る条件入力部1の内容と、条件決定部2の動作の例について、図12を参照して説明する。
図12は、前提条件入力と、モデル化方法決定の関係を示す図である。
図12の上部に示される前提条件入力には、条件入力部1に含まれる診断目的、データ条件の他に、運用性の項目が追加されたことが示される。診断目的及びデータ条件に含まれる項目は、図2に示した項目と同様である。一方、運用性の項目には、目標クラスタ数及び許容誤差のうち少なくとも一つ以上の項目が含まれる。
目標クラスタ数とは、モデル構築部6の学習時又は診断時におけるクラスタ発生数の目標値とする。ユーザが事前に目標クラスタ数を与えることで、学習時又は診断時に発生するクラスタ数が目標クラスタ数以内となる。このため、クラスタへの事象の登録が簡易化され、診断モデルの選定も容易となる。
クラスタ生成数は、モデル構築部6の学習時又は診断時において生成されたクラスタ数である。
目的選択、異常データ有無、目標クラスタ数及び許容誤差の項目は、図3に示す条件設定画面20を通じてユーザにより設定される。
図12の下部に示されるように、条件決定部2は、条件入力部1で入力された診断目的、データ条件及び運用性の項目に基づき、調整パラメータ項目、利用データ範囲、モデル評価指標を含むモデル化方法を自動で決定する。
具体的には、診断目的、データ条件及び運用性に応じて、ユーザが設定すべきモデル化方法の各項目について、条件決定部2は、予め登録されているルールに基づきユーザに提示する条件を決定する。調整パラメータ項目及び利用データ範囲に含まれる項目は、図2に示した項目と同様である。一方、図12に示すモデル評価指標には、図2に示した検知性能に加えて、クラスタ分類数誤差の項目が含まれる。なお、診断目的、データ条件及び運用性に基づき、予め調整パラメータの項目優先度及び探索条件をパターン化し、利用データ範囲、検知性能を含む診断モデル評価指標を定義するファイル又はリストをデータベース(不図示)に保存可能である。
モデル評価指標に含まれるクラスタ分類数誤差の項目は、図12の上部に示した運用性に含まれる目標クラスタ数とクラスタ生成数から与えられる。
クラスタ数分類誤差は、目標クラスタ数に対するクラスタ生成数を誤差として換算した値とする。同時に、第1の実施の形態と同様にして、ユーザは、モデル精度を評価するための指標として、F値も選択可能である
第1の実施の形態と同様にして、第4の実施の形態に係る診断装置100は、図10に示すステップS1にて条件決定部2を動作する。次に、診断装置100は、図10に示すステップS2で評価指標決定部3を動作させる。この時、図12の上部に示した目標クラスタ数から、許容誤差の範囲内でのみ、F値を有効とする。例えば、許容誤差の範囲外の評価指標は0、範囲内の評価指標はF値とする。具体的な式は任意に適用可能である。
そして、第4の実施の形態に係る診断装置100は、ステップS3からステップS10の処理を、第1の実施の形態と同様の処理として実行する。この処理により、診断装置100は、目標とするクラスタ数と許容誤差の範囲内で、精度が最も高い診断モデルを構築することができる。
以上説明した第4の実施の形態に係る診断装置100では、条件入力部1から診断目的、データ条件、目標クラスタ数・クラスタ数許容誤差を含む前提条件が入力される。そして、この前提条件に基づき、調整パラメータの項目優先度・探索条件をパターン化し、利用データ範囲と、検知性能及びクラスタ分類数誤差を含むモデル評価指標と、を含む診断モデル化方法を決定する。このため、診断装置100は、診断目的やデータ条件、運用性に基づき適切な診断モデルを構築することができる。
また、第4の実施の形態に係る診断装置100は、診断目的、データ条件、運用性のうち少なくとも一つ以上に関する情報を使う。つまり、上述した実施の形態とは異なり、運用性のみ、又は診断目的及び運用性、若しくはデータ条件及び運用性の情報を使って診断モデルを構築することも可能である。
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態に係る診断装置の動作例について説明する。第5の実施の形態に係る診断装置は、第4の実施の形態に係る診断装置の別の形態を表す。第5の実施の形態に係る診断装置においても、ユーザが条件設定画面20を通じて、クラスタ数とクラスタ数許容誤差を入力する。ただし、第5実施の形態に係る診断装置と、第4の実施の形態に係る診断装置との相違点は、図10に示すステップS4の処理にてモデル構築部6が動作する前に、モデル構築部6が交差検証を実施することにより、正常運転時におけるクラスタの生成数を見積もることである。
ここで、第5の実施の形態に係る診断装置の構成例について、図13を参照して説明する。
図13は、第5の実施の形態に係る診断装置100Aの構成例を示すブロック図である。
診断装置100Aは、図1に示した診断装置100と同様の構成としているが、データ取得部4とモデル構築部6の間に、データ分割部12を設けた点が異なる。
データ分割部12は、データ取得部4が取得した時系列データを所定数ごとに分割する。例えば、データ分割部12は、データ取得部4が取得したデータをkセットに分割する。kセットのデータのうち、(k-1)セットのデータが学習用データとして利用され、残りの1セットのデータが診断用データとして利用される。データ分割部12は、このような学習用データと診断用データとの組み合わせを、予めk通りの学習用及び診断用として準備することができる。
ステップS4の処理では、モデル構築部6は、分割された所定数ごとの時系列データに基づいて、診断モデルの構築前に交差検証を行って、診断対象の正常運転時に生成されるクラスタの数を推定する。そして、モデル構築部6は、準備した学習用データと診断用データを利用して、k通りの診断モデルを構築する。そして、ステップS6の処理では、評価指標計算部8が、k通りの診断モデルから得られた評価指標の平均値を算出する。このような処理により、診断装置100Aのモデル構築部6は、診断モデルの運用開始時に、単位時間あたりにどのくらいのクラスタ数が生成するのかを疑似的に予測することができる。
その後、パラメータ調整部9は、推定されたクラスタの数と、条件入力部1から入力された目標クラスタ数とを比較して、推定されたクラスタの数と目標クラスタ数との差が許容誤差の範囲内である場合に、評価指標が最適となる条件のパラメータを選択する。この際、パラメータ調整部9は、条件入力部1から予め入力されたクラスタ数と許容誤差を、評価指標計算部8により推定されたクラスタ生成数推定値とを比較し、許容範囲内の条件におけるモデル評価指標の最適なパラメータ条件を選択することができる。ユーザは、結果出力部10がユーザインターフェイスに出力した予測数を確認して、ユーザがパラメータ条件を選択したり、精度が高い診断モデルを選択するために最適なパラメータ条件の許容範囲を設定したりすることができる。
結果出力部10に表示される結果の表示方法としては、最適な条件のみを提示することでもよい。しかし、他の表示形態も考えられる。ここで、結果出力部10に表示される結果の表示方法の他の形態について、図14を参照して説明する。
図14は、探索点ごとに診断モデルの評価指標とクラスタ数とを併記した図である。
図14には、横軸にパラメータ1をとり、縦軸にパラメータ2をとって、パラメータの探索点ごとに、診断モデルの評価指標とクラスタ生成の予測値とが併記された図が示される。クラスタ生成の予測値は、例えば一日あたりの予想クラスタ生成数とすることが可能である。例えば、図中に破線で囲った探索点では、評価指標がいずれも0.92であり、他の探索点よりも1.00に近い。このため、破線で囲った探索点で示されるパラメータ1,2は、診断モデルの構築に有用であると判断できる。
ユーザは、図14に示す図が表示された画面を確認することで、任意のパラメータ条件に基づく診断モデルを選択することができる。例えば、一日あたりに新規で生成するクラスタ数に対して、事象を登録する作業量が運用上許容できると判断される範囲の中で、評価指標が最大となる条件で診断モデルを選択できる。
また、第5の実施の形態に係る診断装置100Aでは、診断モデルの生成クラスタ数を評価指標の一つとすることができる。この場合、生成クラスタ数は、ユーザが予め設定したクラスタ生成数の上限以下であれば良、のように評価される。そこで、診断時における診断モデルの生成クラスタ数を評価指標の一つとすることが可能である。また、診断モデルの運用時には、運用時に診断モデルにより予測される生成クラスタ数を評価指標の一つとすることができる。そこで、評価指標計算部8は、運用時に予測される生成クラスタ数を、交差検証法(クロスバリデーション)を利用して算出するとよい。この処理により、生成クラスタ数が精度よく予測されることとなる。
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態に係る診断装置の動作例について説明する。ここでは、第6の実施の形態に係る診断装置の構成例及び動作例と共に、モデルの評価指標の登録方法について、図15を参照して説明する。
図15は、第6の実施の形態に係る診断装置100Bの構成例を示すブロック図である。
診断装置100Bは、図1に示した診断装置100と同様の構成としているが、評価指標決定部3が評価指標を読み出し可能な評価指標格納データベース13を設けた点が異なる。評価指標格納データベース13には、例えば、診断目的、データ条件に応じて推奨するモデル評価指標、パラメータの項目優先度やパターンが、図7と図8に示したリストの形式で整理して格納される。
評価指標決定部3は、条件決定部2により決定された診断目的及びデータ条件に基づいて、評価指標格納データベース13から評価指標を読み出し、評価指標から任意の項目を選択可能に表示する。このため、条件決定部2から評価指標決定部3に診断目的及びデータ条件が入力されると、評価指標決定部3は、評価指標格納データベース13に格納された評価指標の中から、診断目的及びデータ条件の組み合わせに応じた評価指標情報14を読み出す。この評価指標情報14から抽出される評価指標は、図3に示した条件設定画面20にてユーザに提示される。
上述したように評価指標格納データベース13に登録される情報は、評価指標だけでなく、ある診断目的及びデータ条件に応じてユーザが設定すべきその他のパラメータ項目も含まれる。例えば、条件設定画面20を通じて診断目的に「故障検知」が選択され、データ条件に「異常データあり」が選択された場合を想定する。このとき、条件設定画面20には、評価指標格納データベース13に登録されたルールに基づき、評価指標として「F値」をユーザが選択できるように表示される。併せて、条件設定画面20には、「学習データ」の入力データ範囲と、「正解ラベル:正常」及び「正解ラベル:異常」の入力データ範囲をユーザが選択できるように表示される。
次に、診断目的に「故障検知」が選択され、データ条件に「異常データなし」が選択された場合を想定する。このとき、条件設定画面20には、評価指標格納データベース13に登録されたルールに基づき、評価指標として「誤報率」をユーザが選択できるように表示されると共に、「学習データ」の入力データ範囲をユーザが選択できるように表示される。
なお、評価指標決定部3の動作は、過去のモデル構築例を参照することで、類似の条件入力結果に応じて選定されてもよい。このため、過去の診断モデルから利用率や評価に基づき、類似の診断目的、データ条件及び運転条件を入力したときに、推奨される項目優先度、探索条件をパターン化、利用データ範囲、検知性能を含む診断モデル評価指標を結果出力部10が提示可能としてよい。例えば、過去にモデル構築部6が構築した各診断モデルについて、適用回数、モデル精度、人為的な評価に基づき、条件決定方法をスコアリングしておく。そして、ユーザが類似の条件入力を与えた場合には、スコアリングの上位から候補となる条件決定方法を提示する画面が表示されることで、ユーザに条件決定方法の選択を促すことが可能である。
<計算機のハードウェア構成>
次に、各実施の形態に係る診断装置の構成する計算機30のハードウェア構成を説明する。
図16は、計算機30のハードウェア構成例を示すブロック図である。計算機30は、本実施の形態に係る診断装置として動作可能なコンピューターとして用いられるハードウェアの一例である。
計算機30は、バス34にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、及びRAM(Random Access Memory)33を備える。さらに、計算機30は、表示装置35、入力装置36、不揮発性ストレージ37及びネットワークインターフェイス38を備える。
CPU31は、本実施の形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM32から読み出してRAM33にロードし、実行する。RAM33には、CPU31の演算処理の途中で発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれ、これらの変数やパラメータ等がCPU31によって適宜読み出される。ただし、CPU31に代えてMPU(Micro Processing Unit)を用いてもよい。診断装置100,100A,100B内の各機能部は、CPU31が実行するプログラムによりその機能が実現される。
表示装置35は、例えば、液晶ディスプレイモニターであり、計算機30で行われる処理の結果等をユーザに表示する。結果出力部10は、表示装置35に結果を出力することが可能である。このため、表示装置35には、図3に示した条件設定画面20等が表示される。入力装置36には、例えば、キーボード、マウス等が用いられ、ユーザが所定の操作入力、指示を行うことが可能である。条件入力部1は、入力装置36を通じて入力された情報を取り込むことができる。
不揮発性ストレージ37としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ又は不揮発性のメモリ等が用いられる。この不揮発性ストレージ37には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、計算機30を機能させるためのプログラムが記録されている。ROM32及び不揮発性ストレージ37は、CPU31が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、計算機30によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。図1、図13、図15に示した計測値データベース5、図15に示した評価指標格納データベース13は、不揮発性ストレージ37に構成される。
ネットワークインターフェイス38には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NICの端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを装置間で送受信することが可能である。例えば、計測器2から出力される計測値データ(時系列データ)は、ネットワークインターフェイス38を通じて計測値データベース5に取り込まれる。
[変形例]
本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、その発明の範囲内において、各実施の形態を変形、省略することができる。
例えば、本発明に係る各実施の形態は、例えば、発電プラント(ボイラ、復水器、タービン)、化学プラント(反応槽、熱交換器)、産業プラント(ろ過フィルタ)、水処理設備(凝集剤注入槽)、小型ボイラなどの産業機器の動作を診断するために用いることが可能である。
また、上述した各実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1…条件入力部、2…条件決定部、3…評価指標決定部、4…データ取得部、5…計測値データベース、6…モデル構築部、7…異常判定部、8…評価指標計算部、9…パラメータ調整部、10…結果出力部、11…時系列データ、100…診断装置

Claims (7)

  1. 診断対象の状態を診断する診断モデルの診断目的、及び前記診断モデルの構築に利用され、前記診断対象の状態を表す時系列データのデータ条件が入力される条件入力部と、
    入力された前記診断目的及び前記データ条件に基づいて、前記診断モデルを調整するパラメータが定義されたパラメータ項目であって、探索される前記パラメータ項目の優先順位を決定する項目優先度、前記パラメータ項目における探索範囲を所定数のパターンに集約するためのパターン化の項目が含まれる前記パラメータ項目と、前記診断モデルの構築に要する学習期間、正常期間及び異常期間が区別して設定される評価期間、診断対象に異常又は劣化が生じる異常期間が含まれる前記時系列データの利用範囲の項目前記診断モデルが前記診断対象の異常を検知する性能を表す検知性能が含まれる前記診断モデルを評価するための評価指標の項目と、のうち、少なくとも一つ以上を含むモデル化方法に従って構築され、前記評価指標で評価される前記診断モデルの前記パラメータを自動的に調整するパラメータ調整部と、
    前記条件入力部から入力された前記診断目的及び前記データ条件に基づいて、前記パラメータ項目、前記時系列データの利用範囲の項目の内容を決定する条件決定部と、
    前記条件入力部から入力された前記診断目的及び前記データ条件に基づいて、前記評価指標の項目で規定される特定の評価指標を決定する評価指標決定部と、
    前記時系列データの利用範囲に従って、前記時系列データを取得し、前記データ条件として前記時系列データに異常データがある場合が選択されると、正解が分かっている期間で取得された前記時系列データに正常であることを示す情報を付し、異常が分かっている期間で取得された前記時系列データに異常であることを示す情報を付すデータ取得部と、
    正常であることを示す情報が付された前記時系列データと、異常であることを示す情報が付された前記時系列データとを用いて、前記モデル化方法に従って、前記時系列データから前記診断モデルを構築するモデル構築部と、
    前記モデル構築部により構築された前記診断モデルに入力される、前記評価期間に取得された前記時系列データの異常有無を判定する異常判定部と、
    前記時系列データの異常有無の判定結果に基づいて、前記特定の評価指標を計算し、前記時系列データに異常が含まれない判定結果である場合に、人為的に作成された異常データを用いて前記特定の評価指標を計算する評価指標計算部と、
    計算された前記特定の評価指標として、前記パラメータ調整部が前記パラメータを探索した探索点をプロットした図、又はプロットされた前記探索点のうち、等値である前記探索点を線でつないだ等値線図を出力する結果出力部と、を備える
    診断装置。
  2. 前記データ取得部は、前記データ条件として前記時系列データに異常データがない場合が選択されると、正解が分かっている期間で取得された前記時系列データに正常であることを示す情報を付し、
    前記パラメータ調整部は、正常であることを示す情報が付された前記時系列データに対して、前記異常判定部が異常と誤判定した誤報率に基づいて、前記パラメータを調整する
    請求項に記載の診断装置。
  3. 前記パラメータ調整部は、前記診断目的が、前記診断対象の劣化検知である場合に、前記評価指標として選択された再現率に基づいて、前記パラメータを調整する
    請求項に記載の診断装置。
  4. 前記条件入力部には、目標クラスタ数及び許容誤差のうち少なくとも一つ以上の項目を含む運用性の項目が追加され、
    前記条件決定部は、前記診断目的、前記データ条件及び前記運用性の項目に基づいて、前記モデル化方法を決定する
    請求項に記載の診断装置。
  5. 前記データ取得部が取得した前記時系列データを所定数ごとに分割するデータ分割部を備え、
    前記モデル構築部は、分割された所定数ごとの前記時系列データに基づいて、前記診断モデルの構築前に交差検証を行って、前記診断対象の正常運転時に生成されるクラスタの数を推定し、
    前記パラメータ調整部は、推定された前記クラスタの数と、前記条件入力部から入力された前記目標クラスタ数とを比較して、推定された前記クラスタの数と前記目標クラスタ数との差が前記許容誤差の範囲内である場合に、前記評価指標が最適となる条件の前記パラメータを選択する
    請求項に記載の診断装置。
  6. 評価指標を格納する評価指標格納データベースを備え、
    前記評価指標決定部は、前記条件決定部により決定された前記診断目的及び前記データ条件に基づいて、前記評価指標格納データベースから前記評価指標を読み出し、前記評価指標から任意の項目を選択可能に表示する
    請求項に記載の診断装置。
  7. 診断対象の状態を診断する診断モデルの診断目的、及び前記診断モデルの構築に利用される時系列データのデータ条件が入力される処理と、
    入力された前記診断目的及び前記データ条件に基づいて、前記診断モデルを調整するパラメータが定義されたパラメータ項目であって、探索される前記パラメータ項目の優先順位を決定する項目優先度、前記パラメータ項目における探索範囲を所定数のパターンに集約するためのパターン化の項目が含まれる前記パラメータ項目と、前記診断モデルの構築に要する学習期間、正常期間及び異常期間が区別して設定される評価期間、診断対象に異常又は劣化が生じる異常期間が含まれる前記時系列データの利用範囲の項目前記診断モデルが前記診断対象の異常を検知する性能を表す検知性能が含まれる前記診断モデルを評価するための評価指標の項目と、のうち、少なくとも一つ以上を含むモデル化方法に従って構築され、前記評価指標で評価される前記診断モデルの前記パラメータを自動的に調整する処理と、
    入力された前記診断目的及び前記データ条件に基づいて、前記パラメータ項目、前記時系列データの利用範囲の項目の内容を決定する処理と、
    入力された前記診断目的及び前記データ条件に基づいて、前記評価指標の項目で規定される特定の評価指標を決定する処理と、
    前記時系列データの利用範囲に従って、前記時系列データを取得し、前記データ条件として前記時系列データに異常データがある場合が選択されると、正解が分かっている期間で取得された前記時系列データに正常であることを示す情報を付し、異常が分かっている期間で取得された前記時系列データに異常であることを示す情報を付す処理と、
    正常であることを示す情報が付された前記時系列データと、異常であることを示す情報が付された前記時系列データとを用いて、前記モデル化方法に従って、前記時系列データから前記診断モデルを構築する処理と、
    構築された前記診断モデルに入力される、前記評価期間に取得された前記時系列データの異常有無を判定する処理と、
    前記時系列データの異常有無の判定結果に基づいて、前記特定の評価指標を計算し、前記時系列データに異常が含まれない判定結果である場合に、人為的に作成された異常データを用いて前記特定の評価指標を計算する処理と、
    計算された前記特定の評価指標として、前記パラメータを探索した探索点をプロットした図、又はプロットされた前記探索点のうち、等値である前記探索点を線でつないだ等値線図を出力する処理と、を含む
    パラメータ調整方法。
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