JPH05262692A - フマル酸結晶体の製造方法 - Google Patents
フマル酸結晶体の製造方法Info
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- JPH05262692A JPH05262692A JP6394392A JP6394392A JPH05262692A JP H05262692 A JPH05262692 A JP H05262692A JP 6394392 A JP6394392 A JP 6394392A JP 6394392 A JP6394392 A JP 6394392A JP H05262692 A JPH05262692 A JP H05262692A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 粒子径が小さく、実質的に球状であって、良
好な水溶性を示すフマル酸結晶体を効率よく製造する。 【構成】 110℃以上の温度に保持した加圧下にある
フマル酸水溶液を水中にフラッシュする。このフマル酸
水溶液はマレイン酸および/またはリンゴ酸を水中で熱
転移反応を行わせて得たものでも、あるいは針状および
/または粗大フマル酸結晶体を水に溶解したものでもよ
い。
好な水溶性を示すフマル酸結晶体を効率よく製造する。 【構成】 110℃以上の温度に保持した加圧下にある
フマル酸水溶液を水中にフラッシュする。このフマル酸
水溶液はマレイン酸および/またはリンゴ酸を水中で熱
転移反応を行わせて得たものでも、あるいは針状および
/または粗大フマル酸結晶体を水に溶解したものでもよ
い。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフマル酸結晶体の製造方
法に関し、詳しくは改良された晶析方法によって、粒子
径が小さく、実質的に球状であって、良好な水溶性を示
すフマル酸結晶体を効率よく製造する方法に関する。
法に関し、詳しくは改良された晶析方法によって、粒子
径が小さく、実質的に球状であって、良好な水溶性を示
すフマル酸結晶体を効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、フマル酸はポリエステル樹脂の原
料、食品添加物、薬品、浴剤などに使用する酸剤として
需要が増加している。
料、食品添加物、薬品、浴剤などに使用する酸剤として
需要が増加している。
【0003】フマル酸の製造方法としては、(イ)例え
ば、特公昭48−30617号公報に記載された、マレ
イン酸を原料とし、これをチオ尿素および鉱酸を触媒と
してフマル酸に転移させる触媒転移反応法、および
(ロ)マレイン酸を高温下に転移させてフマル酸とリン
ゴ酸とを併産する熱転移反応法が知られている。
ば、特公昭48−30617号公報に記載された、マレ
イン酸を原料とし、これをチオ尿素および鉱酸を触媒と
してフマル酸に転移させる触媒転移反応法、および
(ロ)マレイン酸を高温下に転移させてフマル酸とリン
ゴ酸とを併産する熱転移反応法が知られている。
【0004】上記触媒転移反応法によれば、結晶体形状
が球状に近いフマル酸が得られるが、このフマル酸は粒
子径が300〜700μmという粗大結晶粒子である。
しかも、この触媒転移反応法においては、触媒などの除
去のために、生成した粗フマル酸を低濃度での再結晶に
よって精製する工程が必要となる。
が球状に近いフマル酸が得られるが、このフマル酸は粒
子径が300〜700μmという粗大結晶粒子である。
しかも、この触媒転移反応法においては、触媒などの除
去のために、生成した粗フマル酸を低濃度での再結晶に
よって精製する工程が必要となる。
【0005】一方、熱転移反応法は、触媒を使用しない
ので生成したフマル酸は水洗するだけで精製でき、また
原料マレイン酸の高濃度化が可能であるため、フマル酸
を効率よく製造できるので工業的に有利な方法である。
しかし、この熱転移反応法によって得られるフマル酸
は、粒子径が300〜700μmの針状系の粗大結晶粒
子である。
ので生成したフマル酸は水洗するだけで精製でき、また
原料マレイン酸の高濃度化が可能であるため、フマル酸
を効率よく製造できるので工業的に有利な方法である。
しかし、この熱転移反応法によって得られるフマル酸
は、粒子径が300〜700μmの針状系の粗大結晶粒
子である。
【0006】このような針状系の粗大フマル酸粒子は、
水に対する溶解性が極端に悪く、例えば酸味料、食品の
pH調整剤として使用する場合、使用時に容易に溶解せ
ず、酸剤としての機能を発揮できないので、一般には3
00μm以下に粉砕処理したり、あるいは粒子表面に親
水性の化合物をコーティングする(例えば、特公昭50
−33146号公報参照)ことが行われている。しかし
ながら、このような処理を施しても、なお水溶性が低
く、水に対する溶解速度の面で十分満足のいくフマル酸
は得られていない。
水に対する溶解性が極端に悪く、例えば酸味料、食品の
pH調整剤として使用する場合、使用時に容易に溶解せ
ず、酸剤としての機能を発揮できないので、一般には3
00μm以下に粉砕処理したり、あるいは粒子表面に親
水性の化合物をコーティングする(例えば、特公昭50
−33146号公報参照)ことが行われている。しかし
ながら、このような処理を施しても、なお水溶性が低
く、水に対する溶解速度の面で十分満足のいくフマル酸
は得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の一つの目的
は、平均粒子径が小さく、結晶体形状が実質的に球状で
あって、良好な水溶性を示すフマル酸結晶体の製造方法
を提供することである。
は、平均粒子径が小さく、結晶体形状が実質的に球状で
あって、良好な水溶性を示すフマル酸結晶体の製造方法
を提供することである。
【0008】本発明の他の目的は、マレイン酸および/
またはリンゴ酸を熱転移反応させ、得られたフマル酸水
溶液から晶析によって、平均粒子径が小さく、結晶体形
状が実質的に球状であって、良好な水溶性を示すフマル
酸結晶体を得る方法を提供することである。
またはリンゴ酸を熱転移反応させ、得られたフマル酸水
溶液から晶析によって、平均粒子径が小さく、結晶体形
状が実質的に球状であって、良好な水溶性を示すフマル
酸結晶体を得る方法を提供することである。
【0009】本発明の他の目的は、結晶体形状が実質的
に球状でない、例えば針状のフマル酸結晶体あるいは粗
大フマル酸結晶体を再結晶させて、平均粒子径が小さ
く、結晶体形状が実質的に球状であって、良好な水溶性
を示すフマル酸結晶体を得る方法を提供することであ
る。
に球状でない、例えば針状のフマル酸結晶体あるいは粗
大フマル酸結晶体を再結晶させて、平均粒子径が小さ
く、結晶体形状が実質的に球状であって、良好な水溶性
を示すフマル酸結晶体を得る方法を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、フマル酸水溶液、例えばマレイン酸および/ま
たはリンゴ酸を原料とし、これの熱転移反応を行って得
られる加圧下にあるフマル酸水溶液を水中にフラッシュ
することにより実質的に球状で微細なフマル酸結晶体が
得られること、またこのようなフマル酸結晶体が良好な
水溶性を示すことを知り、この知見に基づいて本発明を
完成するに至った。
た結果、フマル酸水溶液、例えばマレイン酸および/ま
たはリンゴ酸を原料とし、これの熱転移反応を行って得
られる加圧下にあるフマル酸水溶液を水中にフラッシュ
することにより実質的に球状で微細なフマル酸結晶体が
得られること、またこのようなフマル酸結晶体が良好な
水溶性を示すことを知り、この知見に基づいて本発明を
完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、フマル酸水溶液から
晶析によってフマル酸結晶体を得る方法において、11
0℃以上の温度に保持した加圧下にあるフマル酸水溶液
を水中にフラッシュして、フマル酸を実質的に球状の微
細結晶粒子として晶析させることを特徴とするフマル酸
結晶体の製造方法である。
晶析によってフマル酸結晶体を得る方法において、11
0℃以上の温度に保持した加圧下にあるフマル酸水溶液
を水中にフラッシュして、フマル酸を実質的に球状の微
細結晶粒子として晶析させることを特徴とするフマル酸
結晶体の製造方法である。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明の方法によれば、110℃以上の温
度に保持した加圧下にあるフマル酸水溶液を水中にフラ
ッシュすることによって、目的とするフマル酸結晶体を
得ることができる。
度に保持した加圧下にあるフマル酸水溶液を水中にフラ
ッシュすることによって、目的とするフマル酸結晶体を
得ることができる。
【0014】上記本発明の方法は次の方法によって好適
に実施することができる。
に実施することができる。
【0015】(1)マレイン酸および/またはリンゴ酸
と水とを耐圧反応器に仕込み、150℃以上の加熱下に
熱転移反応を行わせ、反応終了後、得られたフマル酸水
溶液を飽和温度以上に保持し、水中にフラッシュする
(以下、この方法を「第一方法」という)。
と水とを耐圧反応器に仕込み、150℃以上の加熱下に
熱転移反応を行わせ、反応終了後、得られたフマル酸水
溶液を飽和温度以上に保持し、水中にフラッシュする
(以下、この方法を「第一方法」という)。
【0016】(2)フマル酸と水とを耐圧反応器に仕込
み、加熱により昇温してフマル酸を水に溶解し、得られ
たフマル酸水溶液を110℃以上の温度に保持し、その
飽和温度に相当する飽和水蒸気圧下から水中にフラッシ
ュする(以下、この方法を「第二方法」という)。
み、加熱により昇温してフマル酸を水に溶解し、得られ
たフマル酸水溶液を110℃以上の温度に保持し、その
飽和温度に相当する飽和水蒸気圧下から水中にフラッシ
ュする(以下、この方法を「第二方法」という)。
【0017】本発明においては、加熱下におけるマレイ
ン酸の異性化によるフマル酸の生成およびリンゴ酸の脱
水によるフマル酸の生成を総称して熱転移反応という。
ン酸の異性化によるフマル酸の生成およびリンゴ酸の脱
水によるフマル酸の生成を総称して熱転移反応という。
【0018】上記第一方法によれば、先ず、原料として
のマレイン酸(無水マレイン酸も包含する)またはリン
ゴ酸、あるいはこれらの混合物と水とを耐圧反応器、例
えばオートクレーブに仕込み、150〜200℃の加熱
下に熱転移反応を行わせる。次いで、熱転移反応が終了
後、得られたフマル酸水溶液を150℃以上、好ましく
は160〜180℃の飽和温度以上に保持し、この温度
における飽和水蒸気圧下から水中にフラッシュして急冷
せしめ、フマル酸結晶体を析出させる。
のマレイン酸(無水マレイン酸も包含する)またはリン
ゴ酸、あるいはこれらの混合物と水とを耐圧反応器、例
えばオートクレーブに仕込み、150〜200℃の加熱
下に熱転移反応を行わせる。次いで、熱転移反応が終了
後、得られたフマル酸水溶液を150℃以上、好ましく
は160〜180℃の飽和温度以上に保持し、この温度
における飽和水蒸気圧下から水中にフラッシュして急冷
せしめ、フマル酸結晶体を析出させる。
【0019】原料と水との割合については、通常、原料
濃度が50〜80重量%程度となる割合で仕込むのがよ
い。
濃度が50〜80重量%程度となる割合で仕込むのがよ
い。
【0020】熱転移反応時間は、反応温度などの条件に
よって変わるので一概に特定できないが、反応温度が1
50〜200℃の範囲では1〜5時間程度で十分であ
る。
よって変わるので一概に特定できないが、反応温度が1
50〜200℃の範囲では1〜5時間程度で十分であ
る。
【0021】加熱手段としては、例えば電気炉を用い、
これにオートクレーブを設置して加熱すればよい。
これにオートクレーブを設置して加熱すればよい。
【0022】熱転移反応によって得られるフマル酸水溶
液をフラッシュしてフマル酸結晶体を晶析させる際、フ
マル酸水溶液を実質的に飽和状態としてフラッシュする
のが生産性向上の面からも好ましい。例えば、原料と水
とを原料濃度が60〜70重量%となるように仕込んだ
場合、温度が160〜180℃において反応時間が2〜
3時間でフマル酸水溶液は実質的に飽和状態にある。従
って、第一方法においては、原料濃度が60〜70重量
%となるように原料と水とを耐熱反応器に仕込み、熱反
応終了後のフマル酸水溶液の温度が160〜180℃の
温度となるようにし、この温度の飽和水蒸気圧である6
〜9kg/cm2Gの圧力下で水中にフラッシュするの
が好ましい。
液をフラッシュしてフマル酸結晶体を晶析させる際、フ
マル酸水溶液を実質的に飽和状態としてフラッシュする
のが生産性向上の面からも好ましい。例えば、原料と水
とを原料濃度が60〜70重量%となるように仕込んだ
場合、温度が160〜180℃において反応時間が2〜
3時間でフマル酸水溶液は実質的に飽和状態にある。従
って、第一方法においては、原料濃度が60〜70重量
%となるように原料と水とを耐熱反応器に仕込み、熱反
応終了後のフマル酸水溶液の温度が160〜180℃の
温度となるようにし、この温度の飽和水蒸気圧である6
〜9kg/cm2Gの圧力下で水中にフラッシュするの
が好ましい。
【0023】上記のような第一方法によれば、平均粒子
径が5〜40μmの微細フマル酸結晶体が得られるが、
フマル酸水溶液をより高い温度に保持してフラッシュす
ると、平均粒子径が5〜30μmの範囲内で、より微細
なフマル酸結晶体を得ることができる。
径が5〜40μmの微細フマル酸結晶体が得られるが、
フマル酸水溶液をより高い温度に保持してフラッシュす
ると、平均粒子径が5〜30μmの範囲内で、より微細
なフマル酸結晶体を得ることができる。
【0024】フマル酸水溶液をフラッシュする水につい
ては特に制限はないが、純水を使用するのがよい。フラ
ッシュによる急冷をより効果的に行うために水を外部か
ら冷却して所望の温度に制御できるようにするのが好ま
しい。
ては特に制限はないが、純水を使用するのがよい。フラ
ッシュによる急冷をより効果的に行うために水を外部か
ら冷却して所望の温度に制御できるようにするのが好ま
しい。
【0025】フマル酸水溶液を水中にフラッシュする方
法については特に制限はなく、また急冷の程度もフラッ
シュして得られる混合物(以下、「スラリー」という)
の温度が60〜90℃程度になるように急冷されれば十
分である。通常、最終的に、スラリー温度が40℃程度
となるように冷却するが、フラッシュ後のスラリー温度
が60〜90℃でも充分撹拌しながら40℃程度まで冷
却していくと大きい粒子への成長が妨げられ、目的とす
る微細フマル酸結晶体を得ることができる。
法については特に制限はなく、また急冷の程度もフラッ
シュして得られる混合物(以下、「スラリー」という)
の温度が60〜90℃程度になるように急冷されれば十
分である。通常、最終的に、スラリー温度が40℃程度
となるように冷却するが、フラッシュ後のスラリー温度
が60〜90℃でも充分撹拌しながら40℃程度まで冷
却していくと大きい粒子への成長が妨げられ、目的とす
る微細フマル酸結晶体を得ることができる。
【0026】上記のような急冷の程度は、水の温度およ
び容量、フマル酸水溶液のフラッシュ速度、外部からの
冷却などを適宜変更することによって制御することがで
きる。
び容量、フマル酸水溶液のフラッシュ速度、外部からの
冷却などを適宜変更することによって制御することがで
きる。
【0027】40℃程度まで冷却したスラリーは、その
後、通常の方法によりろ過、水洗し、さらに乾燥して目
的とするフマル酸結晶体を得ることができる。なお、ス
ラリーをろ過して乾燥する際、粒子が細かいためブロッ
ク化する場合もあるが軽く解砕をかけることによって微
細化することができる。
後、通常の方法によりろ過、水洗し、さらに乾燥して目
的とするフマル酸結晶体を得ることができる。なお、ス
ラリーをろ過して乾燥する際、粒子が細かいためブロッ
ク化する場合もあるが軽く解砕をかけることによって微
細化することができる。
【0028】次に、第二方法は、結晶体形状が球状以外
の、例えば針状であって水溶性に劣るフマル酸結晶体、
あるいは結晶体形状を問わずに、平均粒子径が大きく、
水溶性に劣る粗大フマル酸結晶体から再結晶によって、
良好な水溶性を示す、実質的に球状の微細結晶粒子とし
てフマル酸を製造するものである。
の、例えば針状であって水溶性に劣るフマル酸結晶体、
あるいは結晶体形状を問わずに、平均粒子径が大きく、
水溶性に劣る粗大フマル酸結晶体から再結晶によって、
良好な水溶性を示す、実質的に球状の微細結晶粒子とし
てフマル酸を製造するものである。
【0029】第二方法で使用する原料としてのフマル酸
は、上記性状のものであればいずれでもよく、その製法
などに特に制約はない。
は、上記性状のものであればいずれでもよく、その製法
などに特に制約はない。
【0030】第二方法によれば、先ず原料フマル酸を水
と共に少なくとも110℃以上の飽和濃度に相当する比
率で耐圧反応器に仕込み、加熱により溶解して、得られ
たフマル酸水溶液を110℃以上の温度に保持し、その
飽和水蒸気圧下から水中にフラッシュする。フラッシュ
すべきフマル酸水溶液の温度が110℃未満では急冷効
果が低く、また飽和水蒸気圧も0.5kg/cm2Gと
低すぎて十分なフラッシュを行うことができず、本発明
の目的を達成することができない。
と共に少なくとも110℃以上の飽和濃度に相当する比
率で耐圧反応器に仕込み、加熱により溶解して、得られ
たフマル酸水溶液を110℃以上の温度に保持し、その
飽和水蒸気圧下から水中にフラッシュする。フラッシュ
すべきフマル酸水溶液の温度が110℃未満では急冷効
果が低く、また飽和水蒸気圧も0.5kg/cm2Gと
低すぎて十分なフラッシュを行うことができず、本発明
の目的を達成することができない。
【0031】原料のフマル酸濃度、水溶液の保持温度、
フラッシュによる急冷の程度などは第一方法と同様であ
る。従って、第二方法においては、原料フマル酸濃度が
40〜50重量%になるように原料と水とを耐圧反応器
に仕込み、160〜180℃まで昇温してフマル酸を溶
解し、この範囲の温度に相当する飽和水蒸気圧である6
〜9kg/cm2Gの圧力下から水中にフラッシュする
のが特に好適である。
フラッシュによる急冷の程度などは第一方法と同様であ
る。従って、第二方法においては、原料フマル酸濃度が
40〜50重量%になるように原料と水とを耐圧反応器
に仕込み、160〜180℃まで昇温してフマル酸を溶
解し、この範囲の温度に相当する飽和水蒸気圧である6
〜9kg/cm2Gの圧力下から水中にフラッシュする
のが特に好適である。
【0032】
【発明の効果】本発明の方法のように、フマル酸水溶液
を110℃以上の温度に保持し、加圧下からフラッシュ
することによって、平均粒子径が5〜40μmと小さ
く、実質的に球状の微細結晶粒子としてフマル酸結晶体
を得ることができる。
を110℃以上の温度に保持し、加圧下からフラッシュ
することによって、平均粒子径が5〜40μmと小さ
く、実質的に球状の微細結晶粒子としてフマル酸結晶体
を得ることができる。
【0033】本発明の方法によって得られる、上記のよ
うな実質的に球状の微細結晶粒子としてのフマル酸結晶
体は良好な水溶性を示し、例えば酸味料、食品のpH調
整剤などとして好適に使用することができる。
うな実質的に球状の微細結晶粒子としてのフマル酸結晶
体は良好な水溶性を示し、例えば酸味料、食品のpH調
整剤などとして好適に使用することができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。
に説明する。
【0035】実施例1 撹拌機および底部に反応溶液を取り出すための取出管
(コック付き)を備えた5リットル(以下、Lで表す)
オートクレーブを電気炉内に設置し、さらにこのオート
クレーブからフラッシュされる反応溶液を受けるための
水冷式のジャケットを設けた5Lフラッシュ容器を準備
した。フラッシュ容器内に純水1Lを入れるとともに、
オートクレーブの取出管の先端をこの純水中に挿入し
た。
(コック付き)を備えた5リットル(以下、Lで表す)
オートクレーブを電気炉内に設置し、さらにこのオート
クレーブからフラッシュされる反応溶液を受けるための
水冷式のジャケットを設けた5Lフラッシュ容器を準備
した。フラッシュ容器内に純水1Lを入れるとともに、
オートクレーブの取出管の先端をこの純水中に挿入し
た。
【0036】先ず、オートクレーブに無水マレイン酸1
081gと純水919gとを仕込み、200rpmで撹
拌しながら、180℃まで昇温し、この温度にて3時間
熱転移反応を行いフマル酸水溶液を得た。反応終了後、
フマル酸水溶液の温度を180℃に保持し、この時の内
圧(飽和蒸気圧)約8kg/cm2G下で、取出管のコ
ックを徐々に開けて、フマル酸水溶液をフラッシュ容器
の純水中に約5分で全量フラッシュした。得られたスラ
リーの温度は約85℃であった。引続き、スラリーを4
0℃まで冷却した後、吸引ろ過し、得られたフマル酸結
晶体を水洗し、120℃で3時間乾燥させた。
081gと純水919gとを仕込み、200rpmで撹
拌しながら、180℃まで昇温し、この温度にて3時間
熱転移反応を行いフマル酸水溶液を得た。反応終了後、
フマル酸水溶液の温度を180℃に保持し、この時の内
圧(飽和蒸気圧)約8kg/cm2G下で、取出管のコ
ックを徐々に開けて、フマル酸水溶液をフラッシュ容器
の純水中に約5分で全量フラッシュした。得られたスラ
リーの温度は約85℃であった。引続き、スラリーを4
0℃まで冷却した後、吸引ろ過し、得られたフマル酸結
晶体を水洗し、120℃で3時間乾燥させた。
【0037】得られたフマル酸結晶体は、平均粒子径が
20μmの実質的に球状の微細結晶粒子であった。
20μmの実質的に球状の微細結晶粒子であった。
【0038】実施例2 実施例1で使用したと同じ装置を使用し、オートクレー
ブには粒子径が500〜700μmの粗大フマル酸結晶
体800gと純水1200gとを仕込み、160℃まで
昇温してフマル酸を溶解し、その温度に保持した。その
後、取出管のコックを開けて内圧が約6kg/cm2G
の状態からフマル酸水溶液を純水中に約5分でフラッシ
ュさせて、全量を取り出した。得られたスラリーの温度
は約80℃であった。これをさらに撹拌しながら40℃
まで冷却した後、吸引ろ過し、得られた結晶体を120
℃で3時間乾燥させた。
ブには粒子径が500〜700μmの粗大フマル酸結晶
体800gと純水1200gとを仕込み、160℃まで
昇温してフマル酸を溶解し、その温度に保持した。その
後、取出管のコックを開けて内圧が約6kg/cm2G
の状態からフマル酸水溶液を純水中に約5分でフラッシ
ュさせて、全量を取り出した。得られたスラリーの温度
は約80℃であった。これをさらに撹拌しながら40℃
まで冷却した後、吸引ろ過し、得られた結晶体を120
℃で3時間乾燥させた。
【0039】得られたフマル酸結晶体は平均粒子径が3
0μmで実質的に球状の微細粒子であった。
0μmで実質的に球状の微細粒子であった。
【0040】比較例1 実施例1において得られたフマル酸水溶液を取り出すこ
となく、そのままオートクレーブ内で撹拌しながら1時
間30分かけて40℃まで冷却した。その後、コックを
開けてフマル酸の結晶を取り出し、ろ過、水洗した後、
120℃で3時間乾燥した。
となく、そのままオートクレーブ内で撹拌しながら1時
間30分かけて40℃まで冷却した。その後、コックを
開けてフマル酸の結晶を取り出し、ろ過、水洗した後、
120℃で3時間乾燥した。
【0041】得られたフマル酸結晶体は針状であって、
平均粒子径が約600μmの粗大粒子であった。
平均粒子径が約600μmの粗大粒子であった。
【0042】比較例2 実施例1において、反応終了後オートクレーブから蒸気
を大気中に抜き出し、その状態で40℃まで所用時間約
15分の急冷を行った。その後コックを開けてフマル酸
の結晶を取り出しろ過、水洗した後、120℃で3時間
乾燥した。
を大気中に抜き出し、その状態で40℃まで所用時間約
15分の急冷を行った。その後コックを開けてフマル酸
の結晶を取り出しろ過、水洗した後、120℃で3時間
乾燥した。
【0043】得られたフマル酸結晶体は針状であって、
平均粒子径が600μmの粗大粒子であった。
平均粒子径が600μmの粗大粒子であった。
【0044】参考例 実施例1、2、比較例1、2で得られたフマル酸結晶
体、および市販の食品製剤(商品名ハイフマール、扶桑
化学工業(株)製、庶糖脂肪酸エステルコーティング
品)の水への溶解性の評価を行った。
体、および市販の食品製剤(商品名ハイフマール、扶桑
化学工業(株)製、庶糖脂肪酸エステルコーティング
品)の水への溶解性の評価を行った。
【0045】300mlビーカーに20℃の純水300
mlを入れ、250rpm(スターラー回転子50mm)
で撹拌しつつ、サンプル0.50gを添加して溶解状態
を観察した。
mlを入れ、250rpm(スターラー回転子50mm)
で撹拌しつつ、サンプル0.50gを添加して溶解状態
を観察した。
【0046】(表面浮上性)添加2分後のサンプルの水
面浮上状態を観察し、下記基準で評価した。
面浮上状態を観察し、下記基準で評価した。
【0047】○:わずかに浮上 △:かなり浮上 ×:殆ど全部浮上 (完溶時間(分))サンプルが完全に溶解するまでの時
間を測定した。
間を測定した。
【0048】結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
Claims (5)
- 【請求項1】 フマル酸水溶液から晶析によってフマル
酸結晶体を得る方法において、110℃以上の温度に保
持した加圧下にあるフマル酸水溶液を水中にフラッシュ
して、フマル酸を実質的に球状の微細結晶粒子として晶
析させることを特徴とするフマル酸結晶体の製造方法。 - 【請求項2】 フマル酸水溶液が実質的に飽和状態にあ
る請求項1に記載のフマル酸結晶体の製造方法。 - 【請求項3】 マレイン酸および/またはリンゴ酸と水
とを耐圧反応器に仕込み、加熱下に熱転移反応を行わ
せ、反応終了後、得られたフマル酸水溶液を水中にフラ
ッシュする請求項1に記載のフマル酸結晶体の製造方
法。 - 【請求項4】 フマル酸と水とを耐圧反応器に仕込み、
加熱により昇温してフマル酸を水に溶解し、得られたフ
マル酸水溶液を水中にフラッシュする請求項1に記載の
フマル酸結晶体の製造方法。 - 【請求項5】 原料フマル酸が針状および/または粗大
フマル酸結晶体である請求項4に記載のフマル酸結晶体
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6394392A JPH05262692A (ja) | 1992-03-19 | 1992-03-19 | フマル酸結晶体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6394392A JPH05262692A (ja) | 1992-03-19 | 1992-03-19 | フマル酸結晶体の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05262692A true JPH05262692A (ja) | 1993-10-12 |
Family
ID=13243941
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6394392A Pending JPH05262692A (ja) | 1992-03-19 | 1992-03-19 | フマル酸結晶体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05262692A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003104934A (ja) * | 2001-09-28 | 2003-04-09 | Kawasaki Kasei Chem Ltd | フマル酸及び/又はリンゴ酸の製造方法 |
CN105218346A (zh) * | 2015-09-18 | 2016-01-06 | 西南大学 | 生物基富马酸的制备方法 |
-
1992
- 1992-03-19 JP JP6394392A patent/JPH05262692A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003104934A (ja) * | 2001-09-28 | 2003-04-09 | Kawasaki Kasei Chem Ltd | フマル酸及び/又はリンゴ酸の製造方法 |
CN105218346A (zh) * | 2015-09-18 | 2016-01-06 | 西南大学 | 生物基富马酸的制备方法 |
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