JPH05262692A - フマル酸結晶体の製造方法 - Google Patents

フマル酸結晶体の製造方法

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JPH05262692A
JPH05262692A JP6394392A JP6394392A JPH05262692A JP H05262692 A JPH05262692 A JP H05262692A JP 6394392 A JP6394392 A JP 6394392A JP 6394392 A JP6394392 A JP 6394392A JP H05262692 A JPH05262692 A JP H05262692A
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JP
Japan
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fumaric acid
water
aqueous solution
crystal
temperature
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JP6394392A
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English (en)
Inventor
Teruaki Yabuuchi
輝明 藪内
Hiroshi Nishikawa
博 西川
Masao Baba
将夫 馬場
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粒子径が小さく、実質的に球状であって、良
好な水溶性を示すフマル酸結晶体を効率よく製造する。 【構成】 110℃以上の温度に保持した加圧下にある
フマル酸水溶液を水中にフラッシュする。このフマル酸
水溶液はマレイン酸および/またはリンゴ酸を水中で熱
転移反応を行わせて得たものでも、あるいは針状および
/または粗大フマル酸結晶体を水に溶解したものでもよ
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフマル酸結晶体の製造方
法に関し、詳しくは改良された晶析方法によって、粒子
径が小さく、実質的に球状であって、良好な水溶性を示
すフマル酸結晶体を効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、フマル酸はポリエステル樹脂の原
料、食品添加物、薬品、浴剤などに使用する酸剤として
需要が増加している。
【0003】フマル酸の製造方法としては、(イ)例え
ば、特公昭48−30617号公報に記載された、マレ
イン酸を原料とし、これをチオ尿素および鉱酸を触媒と
してフマル酸に転移させる触媒転移反応法、および
(ロ)マレイン酸を高温下に転移させてフマル酸とリン
ゴ酸とを併産する熱転移反応法が知られている。
【0004】上記触媒転移反応法によれば、結晶体形状
が球状に近いフマル酸が得られるが、このフマル酸は粒
子径が300〜700μmという粗大結晶粒子である。
しかも、この触媒転移反応法においては、触媒などの除
去のために、生成した粗フマル酸を低濃度での再結晶に
よって精製する工程が必要となる。
【0005】一方、熱転移反応法は、触媒を使用しない
ので生成したフマル酸は水洗するだけで精製でき、また
原料マレイン酸の高濃度化が可能であるため、フマル酸
を効率よく製造できるので工業的に有利な方法である。
しかし、この熱転移反応法によって得られるフマル酸
は、粒子径が300〜700μmの針状系の粗大結晶粒
子である。
【0006】このような針状系の粗大フマル酸粒子は、
水に対する溶解性が極端に悪く、例えば酸味料、食品の
pH調整剤として使用する場合、使用時に容易に溶解せ
ず、酸剤としての機能を発揮できないので、一般には3
00μm以下に粉砕処理したり、あるいは粒子表面に親
水性の化合物をコーティングする(例えば、特公昭50
−33146号公報参照)ことが行われている。しかし
ながら、このような処理を施しても、なお水溶性が低
く、水に対する溶解速度の面で十分満足のいくフマル酸
は得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の一つの目的
は、平均粒子径が小さく、結晶体形状が実質的に球状で
あって、良好な水溶性を示すフマル酸結晶体の製造方法
を提供することである。
【0008】本発明の他の目的は、マレイン酸および/
またはリンゴ酸を熱転移反応させ、得られたフマル酸水
溶液から晶析によって、平均粒子径が小さく、結晶体形
状が実質的に球状であって、良好な水溶性を示すフマル
酸結晶体を得る方法を提供することである。
【0009】本発明の他の目的は、結晶体形状が実質的
に球状でない、例えば針状のフマル酸結晶体あるいは粗
大フマル酸結晶体を再結晶させて、平均粒子径が小さ
く、結晶体形状が実質的に球状であって、良好な水溶性
を示すフマル酸結晶体を得る方法を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、フマル酸水溶液、例えばマレイン酸および/ま
たはリンゴ酸を原料とし、これの熱転移反応を行って得
られる加圧下にあるフマル酸水溶液を水中にフラッシュ
することにより実質的に球状で微細なフマル酸結晶体が
得られること、またこのようなフマル酸結晶体が良好な
水溶性を示すことを知り、この知見に基づいて本発明を
完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、フマル酸水溶液から
晶析によってフマル酸結晶体を得る方法において、11
0℃以上の温度に保持した加圧下にあるフマル酸水溶液
を水中にフラッシュして、フマル酸を実質的に球状の微
細結晶粒子として晶析させることを特徴とするフマル酸
結晶体の製造方法である。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明の方法によれば、110℃以上の温
度に保持した加圧下にあるフマル酸水溶液を水中にフラ
ッシュすることによって、目的とするフマル酸結晶体を
得ることができる。
【0014】上記本発明の方法は次の方法によって好適
に実施することができる。
【0015】(1)マレイン酸および/またはリンゴ酸
と水とを耐圧反応器に仕込み、150℃以上の加熱下に
熱転移反応を行わせ、反応終了後、得られたフマル酸水
溶液を飽和温度以上に保持し、水中にフラッシュする
(以下、この方法を「第一方法」という)。
【0016】(2)フマル酸と水とを耐圧反応器に仕込
み、加熱により昇温してフマル酸を水に溶解し、得られ
たフマル酸水溶液を110℃以上の温度に保持し、その
飽和温度に相当する飽和水蒸気圧下から水中にフラッシ
ュする(以下、この方法を「第二方法」という)。
【0017】本発明においては、加熱下におけるマレイ
ン酸の異性化によるフマル酸の生成およびリンゴ酸の脱
水によるフマル酸の生成を総称して熱転移反応という。
【0018】上記第一方法によれば、先ず、原料として
のマレイン酸(無水マレイン酸も包含する)またはリン
ゴ酸、あるいはこれらの混合物と水とを耐圧反応器、例
えばオートクレーブに仕込み、150〜200℃の加熱
下に熱転移反応を行わせる。次いで、熱転移反応が終了
後、得られたフマル酸水溶液を150℃以上、好ましく
は160〜180℃の飽和温度以上に保持し、この温度
における飽和水蒸気圧下から水中にフラッシュして急冷
せしめ、フマル酸結晶体を析出させる。
【0019】原料と水との割合については、通常、原料
濃度が50〜80重量%程度となる割合で仕込むのがよ
い。
【0020】熱転移反応時間は、反応温度などの条件に
よって変わるので一概に特定できないが、反応温度が1
50〜200℃の範囲では1〜5時間程度で十分であ
る。
【0021】加熱手段としては、例えば電気炉を用い、
これにオートクレーブを設置して加熱すればよい。
【0022】熱転移反応によって得られるフマル酸水溶
液をフラッシュしてフマル酸結晶体を晶析させる際、フ
マル酸水溶液を実質的に飽和状態としてフラッシュする
のが生産性向上の面からも好ましい。例えば、原料と水
とを原料濃度が60〜70重量%となるように仕込んだ
場合、温度が160〜180℃において反応時間が2〜
3時間でフマル酸水溶液は実質的に飽和状態にある。従
って、第一方法においては、原料濃度が60〜70重量
%となるように原料と水とを耐熱反応器に仕込み、熱反
応終了後のフマル酸水溶液の温度が160〜180℃の
温度となるようにし、この温度の飽和水蒸気圧である6
〜9kg/cm2Gの圧力下で水中にフラッシュするの
が好ましい。
【0023】上記のような第一方法によれば、平均粒子
径が5〜40μmの微細フマル酸結晶体が得られるが、
フマル酸水溶液をより高い温度に保持してフラッシュす
ると、平均粒子径が5〜30μmの範囲内で、より微細
なフマル酸結晶体を得ることができる。
【0024】フマル酸水溶液をフラッシュする水につい
ては特に制限はないが、純水を使用するのがよい。フラ
ッシュによる急冷をより効果的に行うために水を外部か
ら冷却して所望の温度に制御できるようにするのが好ま
しい。
【0025】フマル酸水溶液を水中にフラッシュする方
法については特に制限はなく、また急冷の程度もフラッ
シュして得られる混合物(以下、「スラリー」という)
の温度が60〜90℃程度になるように急冷されれば十
分である。通常、最終的に、スラリー温度が40℃程度
となるように冷却するが、フラッシュ後のスラリー温度
が60〜90℃でも充分撹拌しながら40℃程度まで冷
却していくと大きい粒子への成長が妨げられ、目的とす
る微細フマル酸結晶体を得ることができる。
【0026】上記のような急冷の程度は、水の温度およ
び容量、フマル酸水溶液のフラッシュ速度、外部からの
冷却などを適宜変更することによって制御することがで
きる。
【0027】40℃程度まで冷却したスラリーは、その
後、通常の方法によりろ過、水洗し、さらに乾燥して目
的とするフマル酸結晶体を得ることができる。なお、ス
ラリーをろ過して乾燥する際、粒子が細かいためブロッ
ク化する場合もあるが軽く解砕をかけることによって微
細化することができる。
【0028】次に、第二方法は、結晶体形状が球状以外
の、例えば針状であって水溶性に劣るフマル酸結晶体、
あるいは結晶体形状を問わずに、平均粒子径が大きく、
水溶性に劣る粗大フマル酸結晶体から再結晶によって、
良好な水溶性を示す、実質的に球状の微細結晶粒子とし
てフマル酸を製造するものである。
【0029】第二方法で使用する原料としてのフマル酸
は、上記性状のものであればいずれでもよく、その製法
などに特に制約はない。
【0030】第二方法によれば、先ず原料フマル酸を水
と共に少なくとも110℃以上の飽和濃度に相当する比
率で耐圧反応器に仕込み、加熱により溶解して、得られ
たフマル酸水溶液を110℃以上の温度に保持し、その
飽和水蒸気圧下から水中にフラッシュする。フラッシュ
すべきフマル酸水溶液の温度が110℃未満では急冷効
果が低く、また飽和水蒸気圧も0.5kg/cm2Gと
低すぎて十分なフラッシュを行うことができず、本発明
の目的を達成することができない。
【0031】原料のフマル酸濃度、水溶液の保持温度、
フラッシュによる急冷の程度などは第一方法と同様であ
る。従って、第二方法においては、原料フマル酸濃度が
40〜50重量%になるように原料と水とを耐圧反応器
に仕込み、160〜180℃まで昇温してフマル酸を溶
解し、この範囲の温度に相当する飽和水蒸気圧である6
〜9kg/cm2Gの圧力下から水中にフラッシュする
のが特に好適である。
【0032】
【発明の効果】本発明の方法のように、フマル酸水溶液
を110℃以上の温度に保持し、加圧下からフラッシュ
することによって、平均粒子径が5〜40μmと小さ
く、実質的に球状の微細結晶粒子としてフマル酸結晶体
を得ることができる。
【0033】本発明の方法によって得られる、上記のよ
うな実質的に球状の微細結晶粒子としてのフマル酸結晶
体は良好な水溶性を示し、例えば酸味料、食品のpH調
整剤などとして好適に使用することができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0035】実施例1 撹拌機および底部に反応溶液を取り出すための取出管
(コック付き)を備えた5リットル(以下、Lで表す)
オートクレーブを電気炉内に設置し、さらにこのオート
クレーブからフラッシュされる反応溶液を受けるための
水冷式のジャケットを設けた5Lフラッシュ容器を準備
した。フラッシュ容器内に純水1Lを入れるとともに、
オートクレーブの取出管の先端をこの純水中に挿入し
た。
【0036】先ず、オートクレーブに無水マレイン酸1
081gと純水919gとを仕込み、200rpmで撹
拌しながら、180℃まで昇温し、この温度にて3時間
熱転移反応を行いフマル酸水溶液を得た。反応終了後、
フマル酸水溶液の温度を180℃に保持し、この時の内
圧(飽和蒸気圧)約8kg/cm2G下で、取出管のコ
ックを徐々に開けて、フマル酸水溶液をフラッシュ容器
の純水中に約5分で全量フラッシュした。得られたスラ
リーの温度は約85℃であった。引続き、スラリーを4
0℃まで冷却した後、吸引ろ過し、得られたフマル酸結
晶体を水洗し、120℃で3時間乾燥させた。
【0037】得られたフマル酸結晶体は、平均粒子径が
20μmの実質的に球状の微細結晶粒子であった。
【0038】実施例2 実施例1で使用したと同じ装置を使用し、オートクレー
ブには粒子径が500〜700μmの粗大フマル酸結晶
体800gと純水1200gとを仕込み、160℃まで
昇温してフマル酸を溶解し、その温度に保持した。その
後、取出管のコックを開けて内圧が約6kg/cm2
の状態からフマル酸水溶液を純水中に約5分でフラッシ
ュさせて、全量を取り出した。得られたスラリーの温度
は約80℃であった。これをさらに撹拌しながら40℃
まで冷却した後、吸引ろ過し、得られた結晶体を120
℃で3時間乾燥させた。
【0039】得られたフマル酸結晶体は平均粒子径が3
0μmで実質的に球状の微細粒子であった。
【0040】比較例1 実施例1において得られたフマル酸水溶液を取り出すこ
となく、そのままオートクレーブ内で撹拌しながら1時
間30分かけて40℃まで冷却した。その後、コックを
開けてフマル酸の結晶を取り出し、ろ過、水洗した後、
120℃で3時間乾燥した。
【0041】得られたフマル酸結晶体は針状であって、
平均粒子径が約600μmの粗大粒子であった。
【0042】比較例2 実施例1において、反応終了後オートクレーブから蒸気
を大気中に抜き出し、その状態で40℃まで所用時間約
15分の急冷を行った。その後コックを開けてフマル酸
の結晶を取り出しろ過、水洗した後、120℃で3時間
乾燥した。
【0043】得られたフマル酸結晶体は針状であって、
平均粒子径が600μmの粗大粒子であった。
【0044】参考例 実施例1、2、比較例1、2で得られたフマル酸結晶
体、および市販の食品製剤(商品名ハイフマール、扶桑
化学工業(株)製、庶糖脂肪酸エステルコーティング
品)の水への溶解性の評価を行った。
【0045】300mlビーカーに20℃の純水300
mlを入れ、250rpm(スターラー回転子50mm)
で撹拌しつつ、サンプル0.50gを添加して溶解状態
を観察した。
【0046】(表面浮上性)添加2分後のサンプルの水
面浮上状態を観察し、下記基準で評価した。
【0047】○:わずかに浮上 △:かなり浮上 ×:殆ど全部浮上 (完溶時間(分))サンプルが完全に溶解するまでの時
間を測定した。
【0048】結果を表1に示す。
【0049】
【表1】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フマル酸水溶液から晶析によってフマル
    酸結晶体を得る方法において、110℃以上の温度に保
    持した加圧下にあるフマル酸水溶液を水中にフラッシュ
    して、フマル酸を実質的に球状の微細結晶粒子として晶
    析させることを特徴とするフマル酸結晶体の製造方法。
  2. 【請求項2】 フマル酸水溶液が実質的に飽和状態にあ
    る請求項1に記載のフマル酸結晶体の製造方法。
  3. 【請求項3】 マレイン酸および/またはリンゴ酸と水
    とを耐圧反応器に仕込み、加熱下に熱転移反応を行わ
    せ、反応終了後、得られたフマル酸水溶液を水中にフラ
    ッシュする請求項1に記載のフマル酸結晶体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 フマル酸と水とを耐圧反応器に仕込み、
    加熱により昇温してフマル酸を水に溶解し、得られたフ
    マル酸水溶液を水中にフラッシュする請求項1に記載の
    フマル酸結晶体の製造方法。
  5. 【請求項5】 原料フマル酸が針状および/または粗大
    フマル酸結晶体である請求項4に記載のフマル酸結晶体
    の製造方法。
JP6394392A 1992-03-19 1992-03-19 フマル酸結晶体の製造方法 Pending JPH05262692A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003104934A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Kawasaki Kasei Chem Ltd フマル酸及び/又はリンゴ酸の製造方法
CN105218346A (zh) * 2015-09-18 2016-01-06 西南大学 生物基富马酸的制备方法

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