JPH05262565A - 金属窒化物/金属炭化物ナノコンポジット複合材の製造方法 - Google Patents

金属窒化物/金属炭化物ナノコンポジット複合材の製造方法

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JPH05262565A
JPH05262565A JP3329552A JP32955291A JPH05262565A JP H05262565 A JPH05262565 A JP H05262565A JP 3329552 A JP3329552 A JP 3329552A JP 32955291 A JP32955291 A JP 32955291A JP H05262565 A JPH05262565 A JP H05262565A
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JP
Japan
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powder
temperature
heat
metal
amorphous powder
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Application number
JP3329552A
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English (en)
Inventor
Shigeo Inoue
茂夫 井上
Takashi Ono
敬 小野
Shintaro Furuichi
晋太郎 古市
Ritsutou Chin
立東 陳
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Riken Corp
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Riken Corp
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 1400℃程度の高温でも、室温におけると
同程度の強度を有するような金属窒化物/金属炭化物ナ
ノコンポジット複合材(焼成体)を製造する方法を提供
する。 【構成】 Me−C−Nアモルファス粉末(ここでMeは金
属元素を表す)と焼結助剤との混合物を窒素雰囲気下で
熱処理し、実質的に結晶化した金属窒化物と、完全には
結晶化していない金属炭化物とからなる熱処理粉を製造
し、この熱処理粉を窒素雰囲気下で焼成することによ
り、金属窒化物中に微小な金属炭化物が分散してなる金
属窒化物/金属炭化物ナノコンポジット複合材を製造す
る。好ましくは、Si−C−Nアモルファス粉末とY2
3 とを用い、熱処理温度を1450℃以上で1650℃未満と
し、1750〜1900℃でホットプレスし、Si3 4 /SiCナ
ノコンポジット複合材とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属窒化物/金属炭化物
ナノコンポジット複合材の製造方法に関し、特に、14
00℃程度の高温でも、室温におけると同程度の強度を
有するようなSi3 4 /SiC系のナノコンポジット複合
材(焼成体)を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ヘキサ
メチルシラザン〔(Me3 Si)2 NH、ここでMeはメチル
基〕の熱分解によって得られたSi−C−Nアモルファス
粉末にY2 3 等の焼結助剤を加え、これをホットプレ
スすることにより、1500℃程度まで強度低化を引き
起こさないようなSi3 4 /SiC系ナノコンポジット複
合材が開発されている(三菱瓦斯化学(株) 技術資
料、No.9003 、Fig.1)。このSi3 4 /SiC系ナノコ
ンポジット複合材が高温においてもそれほど強度低下を
生じないのは、焼結時にSi−C−Nアモルファス粉末が
結晶化し、Si3 4 結晶内に微小なSiCが析出するため
であると言われている。このようなナノコンポジット複
合材においては、マトリックスであるSi3 4 と析出物
であるSiCとの線膨張係数の差により発生する残留応
力、及びSi3 4 とSiCとの界面での両者の原子レベル
による結合が、複合材の高温強度の低下を防止している
と考えられている。なお、この複合材をナノコンポジッ
ト複合材と呼ぶのは、Si3 4 結晶内に析出するSiC粒
子の多くが数十から数百ナノメータのオーダーの微小な
粒子からなるからである。
【0003】しかしながら、Si−C−Nアモルファス粉
末にY2 3 等の焼結助剤を加えて混合し、造粒後、単
にホットプレスして焼成体(複合材)を製造しようとす
ると、以下のような問題が生じる。
【0004】従来のホットプレス法では、例えば図1に
示すような構成の型を用いて原料粉をホットプレスする
のが一般的であるが、図1に示すようなホットプレス型
を用いると、ホットプレスの最中に原料粉からガスが発
生した場合、そのガスが型内から容易に抜け出せない。
ここでホットプレス型1は、円筒状スリーブ2と、この
スリーブ2の上下から挿入されるパンチ棒部材3、3と
からなり、これらがなす内部空間に原料粉4が配置され
プレスされる。パンチ棒部材3、3は、実質的に円筒状
スリーブ2との間に間隙が生じないように摺動するの
で、原料粉4からガスが発生する場合、このガスは容易
に型の外部に放出されない。特に、Si−C−Nアモルフ
ァス粉末を加熱して結晶化させる際には多量のガスが発
生するが、図1に示すような型を用い、ガスが完全に系
外に抜けない状態でホットプレスを行うと、成分の不均
一な焼成体が生成される。すなわち、ガスが容易に抜け
た外周部と、ガス抜けが不完全な中心部とでは成分が異
なってしまう。一方、これを防止してガス抜きを十分に
行おうとすれば非常に長時間を要し、製造上好ましくな
い。
【0005】一方、上記のガス抜きを良好にするために
ホットプレス工程中に真空引きを行うと、焼成体の周辺
部と中心部とでSiCの濃度に差ができてしまい、外周部
ではSiC成分の少ないSi3 4 /SiC複合材部分が形成
され、また、中心部では、その逆にSiC成分の多いSi3
4 /SiC複合材部分が形成される。
【0006】このように、従来の方法ではガス抜きの制
御が困難であるために、試験用の小さな焼成体を製造す
る場合にはそれほど問題は生じないが、少し大きめの焼
成体を製造しようとすれば、焼成体が成分的に不均一と
なり、実用に値しない複合材となってしまう。このよう
な問題は、Si−C−Nアモルファス粉末を用いた場合の
みならず、Me−C−Nアモルファス粉末(Meはアルミニ
ウム、チタン、ボロン等の金属元素)に一般的にみられ
るものである。
【0007】したがって本発明の目的は、複合材全体に
組成が均一となるとともに分散する金属炭化物が微小で
あり、もって高温でも室温と同程度の強度を有する金属
窒化物/金属炭化物ナノコンポジット複合材を製造する
ことができる方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者等は、Me−C−Nアモルファス粉末と
焼結助剤とからなる混合粉末をあらかじめ特定の温度及
び雰囲気下で熱処理し、アモルファス粉末からのガス抜
き及び特定の成分の結晶化をある程度進行させ、その後
熱処理した原料粉を焼成すれば、均一な組成を有し、高
温でも良好な強度を有するナノコンポジット複合材とす
ることができることを発見し、本発明を完成した。
【0009】すなわち、金属窒化物/金属炭化物ナノコ
ンポジット複合材を製造する本発明の方法は、Me−C−
Nアモルファス粉末(ここでMeは金属元素を表す)と焼
結助剤との混合物を窒素雰囲気下で熱処理し、実質的に
結晶化した前記金属の窒化物と、完全には結晶化してい
ない前記金属の炭化物とからなる熱処理粉を製造し、前
記熱処理粉を窒素雰囲気下で焼成することにより、前記
金属窒化物中に微小な金属炭化物が分散してなる金属窒
化物/金属炭化物ナノコンポジット複合材とすることを
特徴とする。
【0010】特に、Me−C−Nアモルファス粉末として
Si−C−Nアモルファス粉末を用い、焼結助剤としてY
2 3 を用いてSi3 4 /SiC系ナノコンポジット複合
材を製造する場合には、Si−C−Nアモルファス粉末と
2 3 との混合物に対する熱処理温度を1450〜1
650℃とし、得られた熱処理物を粉砕、造粒後、窒素
雰囲気下で1750〜1900℃でホットプレスする。
【0011】以下本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明の方法は、Me−C−Nアモルファス
粉末(ここでMeは金属元素を表す)から、金属窒化物中
に微小な金属炭化物が分散してなる金属窒化物/金属炭
化物ナノコンポジット複合材を製造するものである。Me
−C−Nアモルファス粉末中の金属元素(Me)として
は、アルミニウム、チタン、ボロン等が挙げられる(す
なわち、用いるアモルファス粉末として、Al−C−N、
Ti−C−N、B−C−N等が挙げられる)が、代表的な
ものとして、Si−C−Nアモルファス粉末を例にとり、
これからSi3 4 /SiC系のナノコンポジット複合材を
製造する方法について、以下に説明する。
【0013】Si−C−Nアモルファス粉末と焼結助剤と
の混合物に対し本発明の方法を適用すると、マトリック
スを構成するSi3 4 の結晶粒子内に、ごく微細なSiC
粒子が均一に分散してなるSi3 4 /SiC系のナノコン
ポジット複合材が得られる。このコンポジット複合材に
おいて、分散しているSiC粒子のほぼ半数以上は数十か
ら数百ナノメータ程度の微細な粒子であり、この理由で
ナノコンポジット複合材と呼ばれる。
【0014】原料となるSi−C−Nアモルファス粉末と
しては、ヘキサメチルシラザン〔(Me3 Si)2 NH、ここ
でMeはメチル基〕を、アンモニアガス中で熱分解したも
のを用いることができる。具体的には、キャリアガスと
して水素ガスを用い、1000℃程度でヘキサメチルシ
ラザンをアンモニアガス中に導入して熱分解反応(気相
反応)を起こし、直径が0.1〜0.5μmの球状のSi
−C−Nアモルファス粉末を得る。
【0015】一方、Si−C−Nアモルファス粉末に添加
される焼結助剤としては、Y2 3を用いるのがよい。
2 3 は平均粒径が0.2〜1.0μm程度のものを
用いるのがよい。この焼結助剤は、窒化珪素の焼結に作
用するものである。
【0016】上記のSi−C−Nアモルファス粉末とY2
3 等の焼結助剤とを混合する。焼結助剤としてY2
3 を用いる場合、その配合量は、Si−C−Nアモルファ
ス粉末とY2 3 の合計を100重量%として、3〜3
0重量%程度とするのがよい。Y2 3 の配合量が上記
の下限値未満であると、焼結が良好とならず、得られる
焼成体(ナノコンポジット複合材)の強度が低下する。
一方、焼結助剤の量が上記上限値を超すと、焼成体(ナ
ノコンポジット複合材)中に焼結助剤に由来する界面ガ
ラス相が多くなり、高温強度が低下することになる。
【0017】Si−C−Nアモルファス粉末とY2 3
の焼結助剤の混合は、通常の方法(たとえばボールミル
法)等により行うことができる。
【0018】均一な混合物が得られたら、次に、この混
合物に対して窒素雰囲気下で熱処理を行う。この混合粉
に対する熱処理の主な目的は、以下の通りである。(1)
Si−C−Nアモルファス粉末は上述した通り加熱すると
多量のガスを放出するが、後述する焼成工程の前にこの
熱処理を行うことにより、前もってSi−C−Nアモルフ
ァス粉末からなるべく多くのガスを放出させておき、焼
成工程(ホットプレス工程)においてほとんどガスが発
生しないようにする。これを達成することで、均一な組
成を有する複合材を製造することができるようになる。
(2) 後述する焼成工程(ホットプレス工程)の温度及び
圧力条件で、微細な組織(Si3 4 中に微細なSiCが析
出すること)が得られるように、あらかじめ、混合物中
の特定の成分(Si3 4 )を実質的に結晶化させてお
く。
【0019】熱処理は、たとえば図2に示すような型内
で行うことができる。型10は後述するホットプレス工程
で用いることができるプレス型であるが、この熱処理工
程にも好適に用いることができる。型10は、円筒状のス
リーブ2と、このスリーブ2の上下から挿入されるパン
チ棒部材3、3とを有する。ここで、スリーブ2の内径
はパンチ棒部材3、3の外径よりわずかに大きくなって
おり、スリーブ2とパンチ棒部材3、3との間には隙間
が形成されている。また、スリーブ2はスペーサ5を介
して台座6に配置されており、図2に矢印で示すよう
に、スリーブ2とパンチ棒部材3、3とがなす内部空間
と型10の外部との間を気体が容易に行き来できるように
なっている。
【0020】上述した型10を用いて原料粉を熱処理する
場合、原料粉はあらかじめプレス等により円板状等に成
形される。得られた成形体4aは、図2に示すようにスリ
ーブ2とパンチ棒部材3、3とがなす内部空間に配置さ
れる。このような状態で原料粉(成形体)の熱処理を行
うと、原料粉から発生するガスは容易に系外(型10外)
に放出されるとともに、型10全体を特定のガス雰囲気下
におくことで、熱処理時の原料粉(成形体)の周囲の雰
囲気も所望のもの(具体的には、窒素雰囲気)とするこ
とができる。
【0021】次に、熱処理における雰囲気及び温度条件
について説明する。アルゴンガス中でのSi−C−Nアモ
ルファス粉末の結晶化過程の研究は、天野等によって行
われている(天野忠昭、伊崎寛正、「非晶質Si−N−C
微粉末の高温における微細構造変化」、日本セラミック
ス協会学術論文誌、97〔3〕、339〜45(198
9))が、これによると、アルゴンガス雰囲気下では、
Si−C−N粉からまずSiC粒が結晶化し、その後Si3
4 が結晶化する。したがって、アルゴンガス雰囲気下で
Si−C−Nアモルファス粉末とY2 3 等の焼結助剤の
混合粉に対して熱処理を行った材料をホットプレス等で
焼成すると、熱処理物中、一度結晶化したSi3 4 はY
2 3 等の焼結助剤の存在により液相を形成し、その
後、再析出して微細な結晶を形成する。一方、SiC粒は
液相を形成せずそのままの状態でホットプレスされるの
で、その結晶は大きく成長する。これは、本発明の目的
とする、マトリックスを構成するSi3 4 の結晶粒子内
にごく微細なSiC粒子が均一に分散してなるナノコンポ
ジット複合材ではなくなり、高温強度の向上は図れな
い。
【0022】ところが、本発明者等の研究によれば、窒
素雰囲気下でSi−C−Nアモルファス粉末と焼結助剤の
混合粉を熱処理すると、まずSi3 4 が結晶化し、その
後、熱処理温度がある一定の温度に達した場合には、Si
Cが結晶化することになる。したがって、窒素雰囲気下
でSi−C−Nアモルファス粉末と焼結助剤の混合粉をSi
Cが結晶化しない程度の温度で熱処理すれば、Si3 4
のみが結晶化される。このような熱処理物に対しホット
プレス等の焼成を行うと、Si3 4 結晶粒子内に数十ナ
ノメータのオーダーの微小なSiC粒子が析出した構成の
ナノコンポジット複合材が得られる。
【0023】図3は熱処理における加熱プログラムの一
例を示すグラフである。この熱処理プログラムにおいて
は、まずステージIで原料粉(成形体)を加熱して昇温
する。昇温速度は5〜20℃/分程度がよい。温度がT
1 ℃に達したら、ステージIIとして、T1 ℃で所定時間
1 だけ原料粉(成形体)を保持する。このステージII
は、原料粉に付着(物理吸着)した水分や他の不純物を
除去するために行う。Si−C−Nアモルファス粉末とY
2 3 とを用いる場合には、T1 は600〜1200℃
とするのがよい。また、保持時間t1 は10〜60分程
度であるのがよい。
【0024】次に、ステージIII でさらに温度を上げ
(昇温速度は5〜10℃/分程度とするのがよい)、目
的の熱処理温度T2 に保持する。上述したように、この
熱処理温度T2 は、実質的にSi3 4 が結晶化し、SiC
は結晶化しないような温度範囲とする必要がある。この
ため、熱処理温度T2 を1400℃以上1650℃未満
とする。熱処理温度T2 が1400℃未満であると、Si
−C−Nアモルファス粉末中のSi3 4 の結晶化が起こ
らず、また、ガスの放出も十分とならない。一方、T2
を1650℃以上とすると、SiCの結晶化が進行し、最
終的に得られる複合材の組織(特にSiCの結晶粒子)が
粗大化する。組織が粗大化すると目的としたナノコンポ
ジット複合材とならず、強度の向上が図れない。好まし
くは、熱処理温度T2 を1500〜1600℃とする。
また、熱処理時間(T2 に保持する時間)t2 は特に制
限はなく、熱処理温度が適切であれば長ければ長いほど
よいが、実際上は30分〜3時間程度とするのがよい。
【0025】上述した熱処理を行ったら、得られた熱処
理物を粉砕、混練、造粒し、焼成する。なお、熱処理物
の粉砕、混練、造粒は、公知の方法に従ってよい。
【0026】焼成は常圧焼成、ガス圧焼成、ホットプレ
ス、HIP等により行うことができるが、Si−C−Nア
モルファス粉末とY2 3 とからSi3 4 /SiC系ナノ
コンポジット複合材を製造する場合には、ホットプレス
法を用いるのがよい。
【0027】このホットプレス法では、先に図2に示し
た構造のプレス型を用いるのがよい。このような構造の
型を用いると、加熱により原料粉(熱処理物からなる成
形体)からさらにガスが放出される場合でも、それが容
易に系外(型外)に離散してゆき、また、焼成中の雰囲
気も容易に調節することができる。
【0028】焼成は、図4に示すような雰囲気、温度及
び圧力条件とするのがよい。すなわち、ステージIで系
を真空に引きながら昇温する。昇温温度は10〜20℃
/分とするのがよい。
【0029】所定の温度T1 に達したら、ステージIIと
して、この温度T1 に熱処理物からなる成形体を保持
し、成形体(熱処理粉)に付着(物理吸着)した水分、
アルコールや他の不純物を除去する。温度T1 は600
〜1200℃とするのがよい。温度T1 に保持する時間
1 は10〜60分程度とするのがよい。なお、このス
テージIIの段階までは系を真空に引くのがよい。
【0030】次に、系の雰囲気を窒素雰囲気に変え、昇
温し(ステージIII 、昇温温度は10〜20℃/分程度
とする)、所定の温度T2 に保持する(ステージIV)。
このステージIVは、成形体(熱処理物)からのガス抜き
をより確実にするために行う。したがって、この段階で
はまだ圧力はかけない。温度T2 は上述した熱処理温度
の設定と同様の理由により1400℃以上で1650℃
未満とする。また、この保持時間t2 は、基本的には長
ければ長いほうがよく、実際の製造工程を考えて適宜設
定する。
【0031】上記のステージIVでガス抜きを終えたら、
さらに昇温する(ステージV)。なお、このステージV
の途中で圧力Pをかけ、ホットプレスを開始するのがよ
い。圧力Pは300〜450kg/cm2 程度とするのがよ
い。
【0032】所定温度T3 に達したら、ステージVIとし
て圧力Pを掛けたまま温度をT3 に保つ。温度T3 は1
750〜1900℃とするのがよい。T3 が1750℃
未満であると複合材(焼成体)が緻密化せず、また、1
900℃を超す設定とすると、用いた熱処理物の状態の
いかんにかかわらず、得られる複合材(焼成体)の組織
が粗大化し、ナノコンポジット複合材とはならない。な
お、この焼成温度T3は複合材(焼成体)が緻密化でき
る範囲で低ければ低いほうがよく、好ましくは、175
0〜1850℃、より好ましくは1800〜1850℃
とする。
【0033】また、上述の焼成温度T3 に保持する時間
3 は、一般に2〜4時間程度で十分である。
【0034】
【実施例】以下の具体的実施例により、本発明をさらに
詳細に説明する。
【0035】参考例 所定量のヘキサメチルジシラザンとアンモニア、及びキ
ャリアガスとして水素ガスを用い、1000℃にて気相
反応させ、表1に示す成分及び粒径のSi−C−Nアモル
ファス粉末を得た。
【0036】
【0037】上記で得たSi−C−Nアモルファス粉末を
窒素雰囲気下で、1550℃、1600℃、1650
℃、又は1700℃で2時間熱処理した。得られた熱処
理物についてX線回折試験を行った。
【0038】1550℃及び1600℃で熱処理を行っ
た試料のX線回折チャートでは、Si3 4 に由来する幅
が狭いシャープなピークがみられたが、SiCの結晶に由
来するピークは幅が広くて鮮明ではなく、まだ完全に結
晶化していないことがうかがわれた。
【0039】一方、1650℃で熱処理を行った試料の
X線回折チャートでは、SiCの結晶に由来するピークは
かなり鮮明に(幅が狭くシャープに)なってきており、
かなり結晶化が進行していることをうかがわせた。さら
に、1700℃で熱処理を行った試料のX線回折チャー
トでは、SiCがほぼ完全に結晶化しているいことをうか
がわせるピークがみられた。
【0040】実施例1〜9、及び比較例1〜8 上述の参考例で用いたと同一のSi−C−Nアモルファス
粉末に、表2に示す成分のY2 3 を加えた。Y2 3
粉末の添加量は、Si−C−Nアモルファス粉末とY2
3 粉末との合計量に対して8重量%とした。
【0041】表2 Y2 3 の分析値 Ce (ppm ) 10 Pr (ppm ) 10 Nd (ppm ) 10 Sm (ppm ) 30 Tb (ppm ) 50 Dy (ppm ) 50 Ca (ppm ) 20 Fe (ppm ) 10 加熱による重量損失(%) 0.8 比表面積(m2 /g) 12.2 結晶粒子径(μm) 0.4
【0042】上記の混合粉を窒化珪素製のポットに入
れ、エタノールを加え、窒化珪素製のボールを入れて9
6時間の湿式ボールミル混合を行った。ポット容積は
1.8リットルで、ボールは直径が10mmで重さが1kg
のものを用いた。
【0043】混練後、マントルヒータを用い200℃で
約2時間乾燥し、ふるいを用いて造粒し、60メッシュ
以下のものを熱処理用粉とした。
【0044】上記で得られた混合粉(熱処理用粉)15
0gに45ccのエタノールを添加して混練し、単軸プ
レス機により90φ×20mmの円板状の成形体を作製し
た。この成形体を図2に示すようにプレス型10内に設
置した。なお、プレス型10におけるスリーブ2、パン
チ棒部材3、3はともにSi3 4 製のものを用いた。図
2に示すように成形体をプレス型10内に設置して、窒
素雰囲気下で熱処理を行った。熱処理は図3に示すプロ
グラムに従った。ここで、図3におけるT1 は1190
℃とし、その保持時間t1 は40分とした。
【0045】また、図2に示す熱処理プログラムにおけ
る熱処理温度T2 は、それぞれ表3に示すように設定し
た。また、この熱処理温度T2 の保持時間t2 はすべて
2時間とした。
【0046】熱処理後、得られた凝集粒を再度湿式ボー
ルミル法により粉砕、混合した。このボールミル法によ
る混合時間は96時間とした。
【0047】上述のボールミル混合の後、乾燥、造粒を
行い、得られた造粒物50gにエタノール15ccを加
え、単軸プレス機により60φ×15mmの円板状の成形
体を作製した。得られた成形体を図2に示すようにプレ
ス型10内に設置した。なお、この場合、プレス型10
のスリーブ2、及びパンチ棒部材3、3としては黒鉛製
のものを用いた。また、原料粉(成形体)と黒鉛との反
応を避けるために、スリーブ2の内壁面、及びパンチ棒
部材3、3の端面には窒化硼素を塗布しておいた。
【0048】ホットプレスは、図4に示す温度及び圧力
プログラムに従った。図4に示すプログラムにおいて、
温度T1 及びその保持時間t1 はそれぞれ1190℃及
び30分に設定した。また、温度T2 及びその保持時間
2 と、焼成温度T3 及びその保持時間t3 は、それぞ
れ表3に示すように設定した。また、圧力Pは400kg
/cm2 とした。
【0049】 表3 熱処理条件 ホットプレス(焼成)条件 例No. 1 (1) ×t1 (2) 2 (3) ×t2 (4) 3 (5) ×t3 (6) 実施例1 1600×2 1650×1 1900×4 実施例2 1600×2 1650×1 1900×4 実施例3 1550×2 1650×1 1950×4 実施例4 1550×2 1650×1 1900×4 実施例5 1550×2 1650×1 1900×4 実施例6 1550×2 1650×3 1900×2 実施例7 1550×2 1650×3 1850×2 実施例8 1550×2 1650×3 1850×2 実施例9 1550×2 1650×3 1800×2 比較例1 1700×2 1650×1 1950×3 比較例2 1700×2 1650×1 1900×4 比較例3 1700×2 1650×1 1900×4 比較例4 1700×2 1650×1 1900×3 比較例5 1700×2 1650×1 1800×2 比較例6 1650×2 1650×1 1950×4 比較例7 1650×2 1650×1 1900×4 比較例8 1550×2 1650×3 1750×2 表3注(1) :図3に示す熱処理プログラムのT1 温度
(℃)。 (2) :上記(1) の温度に保持した時間(時間)。 (3) :図4に示すホットプレス(焼成)プログラムのT
2 温度(℃) (4) :上記(3) の温度に保持した時間(時間)。 (5) :図4に示すホットプレス(焼成)プログラムのT
3 温度(℃) (6) :上記(5) の温度に保持した時間(時間)。
【0050】焼成後、研削、研磨を行い、3mm×4mm×
40mmのテストピースを切り出した。得られたテストピ
ースについて、JIS 1601に従い、室温、1200℃、1300
℃、及び1400℃で三点曲げ抗折試験を行った。また、同
時に、アルキメデス法により密度の測定を行った。さら
に、ロックウェル法Aスケールによる硬度の測定を行っ
た。また、インデンテーションによる破壊靭性の測定も
行った。破壊靭性の測定は、荷重20kgによるビッカース
硬度計で行った。また、ロックウェル法Aスケールによ
る硬度測定では、荷重を50kgとした。
【0051】破壊靭性KICの算出は、 KIC=0.203(c/a)-3/2・a1/2 ・H の式によった。ここで、Hはビッカース硬度を表し、a
は圧痕対角長さを表し、また、cはこの対角線の先端か
ら発生したメディアンクラック長さである。各結果を表
4に示す。
【0052】 表4 三点曲げ強度(1) 例No. 室温 1200℃ 1300℃ 1400℃ 密度(2) 硬度(3) IC(4) 実施例1 67.4 61.3 58.5 52.3 97.9 93.8 7.6 実施例2 73.3 65.3 59.3 58.2 98.4 94.2 7.5 実施例3 61.7 74.8 64.7 52.5 99.1 94.0 4.38 実施例4 43.3 67.9 51.2 57.7 102.7 93.8 5.23 実施例5 45.9 66.1 44.9 65.1 100.1 94.0 4.95 実施例6 50.1 69.6 79.4 69.6 99.7 94.1 4.93 実施例7 40.0 48.4 50.1 58.2 100.6 94.7 5.53 実施例8 31.3 57.7 53.3 79.7 100.6 94.3 5.42 実施例9 34.4 57.7 49.8 59.1 100.7 95.1 6.39 比較例1 16.1 42.2 23.5 22.3 88.5 94.0 6.43 比較例2 75.3 70.1 52.3 33.2 99.0 93.9 6.3 比較例3 60.2 28.2 40.0 15.5 99.2 94.5 7.9 比較例4 55.9 45.3 41.2 23.3 99.2 94.3 6.58 比較例5 40.2 43.5 31.5 28.2 88.7 93.8 5.8 比較例6 72.8 55.5 59.3 38.2 99.5 93.8 4.19 比較例7 61.1 57.3 54.8 34.3 99.7 94.1 5.71 比較例8 20.9 − − − − − − 表4注(1) :単位はkg/mm2 である。 (2) :理論密度に対する割合(%)である。 (3) :ロックウェルAスケール硬度である。 (4) :破壊靭性値であり、単位はMPa(m)1/2 であ
る。
【0053】表4からわかるように、比較例1〜7のテ
ストピースでは、1400℃での強度が大きく低下して
いる。一方、各実施例のテストピースでは、1400℃
での強度は大きい。特に、実施例7〜9のテストピース
では、室温における強度よりも1400℃における強度
のほうがが大きい。
【0054】なお、比較例8では、熱処理物の焼成温度
が1750℃と低いために、緻密化が達成されず、テス
トピースは室温で低い強度を有していた。
【0055】さらに、実施例3と比較例7のテストピー
スについて、1400℃での三点曲げ抗折試験による破
断面における粒子構造を走査電子顕微鏡により観察し
た。実施例3のテストピースの破断面における粒子構造
を示す電子顕微鏡写真を図5に、比較例7のテストピー
スの破断面における粒子構造を示す電子顕微鏡写真を図
6にそれぞれ示す。
【0056】まず図6からわかるように、この破断面で
は、粒界層が流動したような(粒界層が一部溶融したよ
うな)粒子構造を示している。一方、図5に示す破断面
は、明らかに脆性破断による破断面が有するような粒子
構造を有している。したがって、実施例3のテストピー
スは1400℃においても十分な耐熱性を有していたこ
とがわかる。一方、比較例7のテストピースでは、14
00℃では粒界層がほとんど溶融していたことがうかが
われる。
【0057】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の方法では、
Me−C−Nアモルファス粉末と焼結助剤とからなる原料
粉を熱処理することで、Me−C−Nアモルファス粉末か
ら発生するガスの大部分をあらかじめ放出させるので、
焼成工程においてMe−C−Nアモルファス粉末に由来す
るガスの発生は少なく、均一な複合材(焼成体)とする
ことができる。また、この熱処理工程により、金属炭化
物の結晶化を抑えながら金属窒化物の結晶化度を大きく
しているので、得られる複合材は、金属窒化物中に微小
な金属炭化物が分散してなるナノコンポジット複合材と
なる。
【0058】本発明の方法によるナノコンポジット複合
材は、1400℃程度まで良好な耐熱性を有しており、
ブレーキ部材、エンジン部品や、切削用のチップ(たと
えばスローアウェイチップ)、(高温又は常温用)ダイ
ス等の耐熱耐摩耗性工具、炉材等に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のホットプレスに用いる型を示す模式断面
図である。
【図2】本発明の方法に用いることができるホットプレ
ス用の型を示す模式断面図である。
【図3】本発明の方法における熱処理プログラムの一例
を示すグラフである。
【図4】本発明の方法における焼成(ホットプレス)プ
ログラムの一例を示すグラフである。
【図5】実施例3のテストピースでの1400℃におけ
る抗折試験の破断面における粒子構造を示す電子顕微鏡
写真である。
【図6】比較例7のテストピースでの1400℃におけ
る抗折試験の破断面における粒子構造を示す電子顕微鏡
写真である。
【符号の説明】
1、10 ホットプレス型 2 スリーブ 3 パンチ棒部材 4 原料粉 4a 成形体 5 スペーサ
フロントページの続き (72)発明者 古市 晋太郎 埼玉県熊谷市末広四丁目14番1号 株式会 社リケン熊谷事業所内 (72)発明者 陳 立東 埼玉県熊谷市末広四丁目14番1号 株式会 社リケン熊谷事業所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Me−C−Nアモルファス粉末(ここでMe
    は金属元素を表す)と焼結助剤との混合物を窒素雰囲気
    下で熱処理し、実質的に結晶化した前記金属の窒化物
    と、完全には結晶化していない前記金属の炭化物とから
    なる熱処理粉を製造し、前記熱処理粉を窒素雰囲気下で
    焼成することにより、前記金属窒化物中に微小な金属炭
    化物が分散してなる金属窒化物/金属炭化物ナノコンポ
    ジット複合材を製造することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、前記Me
    −C−Nアモルファス粉末としてSi−C−Nアモルファ
    ス粉末を用いるとともに前記焼結助剤としてY2 3
    用い、前記Si−C−Nアモルファス粉末とY2 3 との
    混合物に対する熱処理温度を1450℃以上1650℃
    未満とし、得られた熱処理粉を1750〜1900℃で
    焼成してSi3 4 /SiC系のナノコンポジット複合材を
    製造することを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の方法において、前記Si
    −C−Nアモルファス粉末が、ヘキサメチルシラザンを
    熱処理分解して得られるものであることを特徴とする方
    法。
JP3329552A 1991-11-18 1991-11-18 金属窒化物/金属炭化物ナノコンポジット複合材の製造方法 Pending JPH05262565A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1116704A1 (en) * 2000-01-11 2001-07-18 Metalloceramica Vanzetti S.p.A. Nanocomposite dense sintered silicon carbonitride ceramic cutting tool

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EP1116704A1 (en) * 2000-01-11 2001-07-18 Metalloceramica Vanzetti S.p.A. Nanocomposite dense sintered silicon carbonitride ceramic cutting tool

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