JPH05261279A - 脱硫剤の製造方法 - Google Patents

脱硫剤の製造方法

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JPH05261279A
JPH05261279A JP4063801A JP6380192A JPH05261279A JP H05261279 A JPH05261279 A JP H05261279A JP 4063801 A JP4063801 A JP 4063801A JP 6380192 A JP6380192 A JP 6380192A JP H05261279 A JPH05261279 A JP H05261279A
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JP
Japan
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desulfurizing agent
agent
coal ash
lime
exhaust gas
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JP4063801A
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English (en)
Inventor
Takanori Kuwabara
隆範 桑原
Tadaaki Mizoguchi
忠昭 溝口
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Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 石灰含有量を高めた石灰−石膏−石炭灰系硬
化体からなる高活性かつ高強度の乾式脱硫剤を製造する
方法および該脱硫剤を使用する脱硫方法を提供する。 【構成】 石灰−石膏−石炭灰系硬化体を脱硫剤とする
排ガスの乾式脱硫プロセスにおける脱硫剤の製造方法に
おいて、原料として該脱硫剤を排ガス中の硫黄酸化物の
吸収に供した後に生ずる使用済脱硫剤、石灰、石炭灰お
よび水硬性物質類(アルミナセメント、シリカセメント
などのセメント類、γ−Al2 3 、半水石膏、シリカ
ゲル、パーライト、金属製錬スラグおよび水ガラス)を
用い、該原料中の石灰含有量(Ca(OH)2 換算)を
40重量%以上、水硬性物質類含有量を1〜5重量%の
範囲内としたこと。 【効果】 高強度でSO2 吸収容量が大きな高Ca(O
H)2 含有脱硫剤が得られるために、脱硫剤製造設備の
みならず、吸収塔もコンパクトなものになり、設備費の
低減が図られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は脱硫剤の製造方法に関
し、特に石灰−石膏−石炭灰系水和硬化物を脱硫剤とす
る乾式脱硫プロセスに用いる、特に設備のコンパクト化
を目的とした高石灰含有脱硫剤の製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】我が国においては、ボイラ排ガス中の硫
黄酸化物の除去プロセスの主流は湿式法であり、中でも
吸収剤として比較的安価で、かつ入手が容易な石灰石を
用い、セメントやボード用に利用可能な石膏を副生品と
して回収する石灰石−石膏法が火力発電所では最も多く
用いられている。この湿式石灰石−石膏法は高性能で信
頼性も高いが、大量の水を必要とし、また排水処理、排
ガスの再加熱などが必要であることより、建設費が安価
で、かつ運転経費の低減が図られる新規脱硫プロセスの
開発が要望されている。
【0003】一方、火力発電用燃料として石炭の使用量
が増大するにつれ、排出される石炭灰の処理対策が重要
な課題になっている。我が国では、石炭灰はセメント原
料および混和剤、土木材料分野を中心に利用されている
が、全発生量に対する有効利用率は30%程度とされ、
残部は埋め立て処分されている。石炭灰を安価に、かつ
安定して処理する方策の確率が発電コスト低減と環境対
策上重要な鍵となるが、国土が狭く、資源の少ない我が
国においては石炭灰を単なる廃棄物として処分するので
はなく、資源として利用の拡大を図ることが重要な課題
といえる。
【0004】このような背景の下で、本発明者らは石炭
灰を利用した乾式脱硫剤(以下、「石炭灰利用乾式脱硫
剤」という)を開発し(特開昭61−209038
号)、その実用化研究を推進してきた。この石炭灰を利
用した脱硫剤は基本的には消石灰、石膏および石炭灰か
らなる原料混合物に水を加えて混練し、次いで蒸気養
生、乾燥処理することによって製造されるが、この脱硫
剤を用いた乾式脱硫プロセスの経済性を向上させるため
には、Ca(OH)2 含有量が多く、かつ活性の高い脱
硫剤を簡略化された方法によって製造することが望まれ
る。このため、Ca(OH)2 およびCaSO4 を石炭
灰からの溶出成分との間で反応させて水和物を形成さ
せ、その水和物を加熱・脱水して多孔質化する石炭灰利
用乾式脱硫剤が提案されている。この場合、各原料の割
合が所定の範囲にないと脱硫剤としての活性および強度
が得られない。
【0005】高活性な脱硫剤を得るためには石炭灰から
SiO2 やAl2 3 などが溶出し、Ca(OH)2
よびCaSO4 との間で水和化合物を形成させることが
必要となるが、Ca(OH)2 含有量が多くなると相対
的に他の原料の割合が減少し、Ca(OH)2 −CaS
4 −石炭灰の混合割合が強度上の適正値を逸脱するこ
ともあって、従来の方法では高強度の脱硫剤は得られな
かった。
【0006】脱硫剤の強度は、原料混練物の押出し成形
から蒸気養生までの間の放置時間を長くすることによっ
て上昇させることができる。しかし、この方法では押出
し成形物を長時間放置するために製造設備が大きくな
り、また石炭灰など原料系が異なると必ずしも同一の条
件で所定の性状を有する脱硫剤を得ることはできない。
さらに、このように蒸気養生前における長時間放置法に
よって製造した脱硫剤では排ガス処理に供した場合、仮
に後述の中間加湿処理を適用しても高いCa利用率は得
ることは容易ではない。
【0007】一方、脱硫活性に関しては、すでに特許出
願されている「中間加湿法」(特願平02−16314
9)を採用することにより、その向上が図られる。しか
し、これまでに開発された方法によって高Ca(OH)
2 含有脱硫剤の強度向上を図ることは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、石灰
含有量を高めた石灰−石膏−石炭灰系硬化体からなる高
活性かつ高強度の乾式脱硫剤を製造する方法および該脱
硫剤を使用する脱硫方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、脱硫剤製造
原料の一部として水硬性物質類を用い、また所望により
脱硫剤の使用の際に加湿処理することによって達成され
る。すなわち、本発明は、石灰−石膏−石炭灰系硬化体
を脱硫剤とする排ガスの乾式脱硫プロセスにおける脱硫
剤の製造方法において、原料として該脱硫剤を排ガス中
の硫黄酸化物の吸収に供した後に生ずる使用済脱硫剤、
石灰、石炭灰および水硬性物質類を用い、該原料中の石
灰含有量(Ca(OH)2 換算)を40重量%以上、水
硬性物質類含有量を1〜5重量%の範囲内としたことを
特徴とする。
【0010】本発明の石炭灰利用乾式脱硫剤の基本原料
は、消石灰、石膏および石炭灰の硬化体からなる脱硫剤
を、硫黄酸化物を含む排ガスと接触させて得られた使用
済脱硫剤である。本発明に用いる水硬性物質類として
は、各種セメント類、γ−Al2 3 、半水石膏、シリ
カゲル、パーライト、金属製錬スラグなどの水硬性物
質、また水ガラスのようにそれ自体は水硬性を示さない
が、消石灰−使用済脱硫剤−石炭灰系混合物との間で水
和反応を起こす物質が挙げられる。
【0011】
【作用】添加された水硬性物質類は単独あるいはCa
(OH)2 −CaSO4 −石炭灰との間での水和反応に
よって強度を発現するものと考えられる。Ca(OH)
2−CaSO4 −石炭灰系の水和反応によって高強度を
発現させるためには経験的にCa(OH)2 /CaSO
4 比(重量比)が約2に近く、かつ所定量のSiO 2
よび/またはAl2 3 が存在しなければならない。し
かし、Ca(OH) 2 含有量が40%またはそれ以上に
なると、このような条件を満足することは不可能で、C
a(OH)2 −使用済脱硫剤−石炭灰系混合物を対象に
して従来法によって高強度の脱硫剤を得ることはできな
い。本発明は、この問題点を解決するものであり、水硬
性物質類が単独または他の物質と一緒に水和反応を起こ
すことによって生じた物質が脱硫剤に対して強化剤とし
て働くものと考えられる。すなわち、Ca(OH)2
CaSO4 −石炭灰系水和物を加熱・脱水して得られた
Ca(OH)2 含有物質が脱硫反応に対しての有効物質
であると考えられるが、本発明の方法は脱硫反応には関
与しない化合物を脱硫剤中に形成させ、これによって強
度を発現させることに特徴を有する。添加された水硬性
物質類はこのように強化剤として働く水和物を形成する
以外に、Ca(OH)2 −CaSO4 −石炭灰系の水和
硬化体形成にも直接関与することも考えられる。例え
ば、セメント類やγ−Al2 3 は石炭灰から溶出する
SiO2 またはAl2 3 よりもさらに高活性な化合物
としてCa(OH)2 およびCaSO4 と反応すること
も考えられる。
【0012】本発明における水硬性物質類の含有量は1
〜5重量%の範囲内である。添加された水硬性物質類の
大部分が使用済脱硫剤または石炭灰と同様の挙動をし、
その一部分のみが単独で水和反応を起こす場合には、水
硬性物質類の添加量は5%を超えても問題ないが、その
大部分が単独で水和反応を起こす場合には強度は発現し
ても脱硫活性の上昇は見られない。また、5%を超える
水硬性物質類の多量使用は脱硫剤の製造コスト上昇につ
ながる。半水石膏、γ−Al2 3 等の水硬性物質は1
〜2%程度の添加で充分に強度を上昇させることができ
る。
【0013】本発明の方法は、従来の脱硫剤組成物に少
量の水硬性物質類を添加することによって高Ca(O
H)2 含有脱硫剤の特性を著しく改善することができ
る。すなわち、本発明の乾式脱硫剤はCa(OH)2
CaSO4 とともにSiO2 および/またはAl2 3
の含有物質を原料として製造されるが、実用的価値が最
も大きいのはCa(OH)2 −CaSO4 −石炭灰系混
合物を用いて脱硫剤を製造する場合であり、このような
系に対するCa(OH)2 含有量40%以上の高性能脱
硫剤は水硬性物質類を多量添加する本発明の方法によっ
て初めて製造可能になる。
【0014】すなわち、石炭灰利用乾式脱硫剤は細孔が
よく発達しているために粒子内部までSO2 が拡散し、
含有されるアルカリ分の利用率(Ca利用率)も、生石
灰、消石灰あるいは炭酸カルシウム等の固体粒子をその
まま脱硫剤として用いた場合に比較すると著しく高いも
のとなる。これは、後者の化合物を脱硫剤として使用し
た場合には該固体粒子表面にCaSO3 に代表される反
応生成物の皮膜が形成され、これがSO2 の拡散に対す
る抵抗になるために粒子中心部は未反応のまま残存する
結果であるとして説明される。
【0015】しかし、このように優れた特性を有する石
炭灰利用乾式脱硫剤であっても、SO2 を吸収してCa
SO4 を成形すると体積膨脹が起こって細孔が閉塞する
ためにCa(OH)2 含有量が40%またはそれ以上に
高まると、CaSO4 生成に伴う体積膨脹を完全には吸
収することができず、かつ脱硫剤製造に当たって相対的
に石炭灰の添加量が少なくなるために、Ca(OH)2
に対するSiO2 、Al2 3 等の量が少なくなり、従
来法の適用では高強度で、かつ高活性な脱硫剤は得られ
ない。
【0016】本発明においては、上述のように高Ca
(OH)2 含有量の脱硫剤組成物に水硬性物質類を少量
添加して得られた脱硫剤をさらに加湿処理、好ましくは
脱硫剤100重量部に対して5〜20重量部の水分で加
湿することにより、さらに高活性、高強度の脱硫剤を得
ることができる。なお、脱硫剤の強度のみを高めるのが
目的であるならば、原料を水とともに混練し、必要に応
じて成形した後に室温に長時間放置するだけでもよい。
しかし、このようにして製造された脱硫剤では中間加湿
処理を行っても高Ca利用率は得られない。
【0017】上記の中間加湿法は、例えば本出願人が先
に提案した特願平02−163149に記載されている
方法であり、操作的には、脱硫反応がある程度進行した
段階で脱硫剤に対して加湿処理を施すことによって脱硫
剤表面部分に対して蒸気養生と同様の変化(多孔質化)
を与えて活性化し、脱硫反応の本質であるH2 SO4
生成を進めるものである。H2 SO4 の生成にはSO2
の他にNOx、O2 、H2 Oが必要であり、これらのガ
ス成分が脱硫剤表面に吸着して初めてH2 SO 4 が生成
すると考えられる。なお、脱硫剤表面の多孔質化はこれ
らガス成分の吸着を容易にする。このように、脱硫剤の
加湿処理の本質は蒸気養生時と同様にCa(OH)2
CaSO4 −石炭灰系水和物の形成であるが、この他に
CaSO 4 の水和とその脱水反応に伴う多孔質化も考え
られる。活性化された脱硫剤の表面で生成したH2 SO
4 は次のように反応してCa利用率の上昇をもたらす。
【0018】X−Ca(OH)2 +H2 SO4 =CaS
4 +X+2H2 O ここに、Xは脱硫剤構成成分のうちCa(OH)2 以外
の部分を示す。脱硫反応生成物であるCaSO4 などに
よって周囲を取り囲まれて反応の機会を失っていた未反
応のアルカリ分は表面状態の改質(多孔質化)によって
SO2(直接的にはH2 SO4 )との反応の機会が与え
られる。すなわち、Ca利用率が上昇することになる。
【0019】以下、本発明を図面によって詳しく説明す
る。図1は、本発明の脱硫剤を用いた脱硫処理装置の一
例を示す系統図である。この装置は、石炭を燃焼するボ
イラ2と、燃焼排ガスを冷却するエアヒータ3と、排ガ
ス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置として、排ガス入
口側および排ガス出口側にそれぞれ第1の反応部Aおよ
び第2の反応部Bを設けた移動層反応器1と、使用済脱
硫剤の一部、石炭灰、消石灰、水硬性物質類および水か
ら脱硫剤を製造する脱硫剤製造装置4と、第1の反応部
Aの使用済脱硫剤を系外に廃棄するライン13と、第1
の反応部Aの使用済脱硫剤の一部(使用済脱硫剤R)を
脱硫剤製造装置4に導入するライン12と、前記脱硫剤
製造装置4で製造された脱硫剤を第2の反応部Bの上部
に導入するライン9と、第2の反応部Bからの抜出し脱
硫剤(循環脱硫剤T)を前記第1の反応部Aの上部に導
入するライン10と、脱硫された排ガスの除塵を行う集
塵機5と、除塵された排ガスを系外へ排出する煙突6と
からなる。
【0020】このような構成において、ボイラ2からの
燃焼排ガスはライン7を通ってエアヒータ3に入り、こ
こで冷却されたのち、ライン8を通って移動層反応器1
に導入される。脱硫剤はライン9を通って、移動層反応
器1内に設けられた第2の反応部Bに送り込まれ、ここ
で被処理ガスと十字流状に気固接触し、脱硫が行われ
る。反応した脱硫剤は反応部Bから排出され、その全量
が循環脱硫剤Tとしてライン10を通って移動層反応器
1の第1の反応部Aの上部に供給され、反応部Aを流下
する間に使用済脱硫剤T中の未反応の消石灰が消費され
る。移動層反応器1の反応部Aからライン11を通って
抜出された使用済脱硫剤はその一部がライン12によっ
て前記脱硫剤製造装置4に送られて脱硫剤の製造原料と
して利用され、残部はライン13を通って廃棄脱硫剤1
4として系外に排出される。この使用済脱硫剤は、未反
応の消石灰を含まないので、脱硫剤の石膏原料としても
使用でき、また産業廃棄物としてそのまま投棄すること
もできる。
【0021】使用済脱硫剤Rを用いた本発明の脱硫剤の
製造工程図を図2に示す。消石灰(または生石灰)、石
炭灰および使用済脱硫剤は、本発明の方法に特有の物質
である水硬性物質類と混合、混練された後、成形、蒸気
養生および乾燥され、脱硫剤が得られる。製造された脱
硫剤は図1のライン9によって再び移動層反応器1内の
第2の反応部Bの上部に供給される。第2の反応部Bか
らの使用済脱硫剤はその全量が移動層反応器1の第1の
反応部Aの塔頂部に循環され、排ガス処理に使用され
る。一方、移動層反応器1で脱硫された排ガスは集塵機
5で除塵され、ライン15を通って煙突6から系外へ排
出される。
【0022】脱硫剤製造原料の混合比率は、消石灰(C
a(OH)2 )40〜70重量部、使用済脱硫剤(Ca
4 換算)10〜40重量部、石炭灰5〜30重量部
で、水硬性物質類の添加量は1〜5%の範囲が好まし
い。なお、水硬性物質類としてアルミナセメント、シリ
カセメントなどのセメント類、γ−Al2 3 、半水石
膏、シリカゲル、水ガラス、パーライト、および金属製
錬スラグのうち少なくともその1種類を使用することが
できる。
【0023】CaSO4 源として使用済脱硫剤を用いる
ことにより、原料混合物に水を加えて混練すると速やか
に水和硬化反応が進み、成形可能な硬さを有する混練物
が得られる。なお、混練時に添加される水としては、通
常の工業用水の使用は可能であるが、本脱硫装置が設置
される発電所等における各種排水を用いても特に問題は
ない。
【0024】このように、脱硫剤が排ガス中の硫黄酸化
物の吸収に供された後の状態である使用済脱硫剤が、脱
硫剤製造時におけるCaSO4 源としてきわめて優れた
特性を示すということは、本発明の大きな特徴のひとつ
である。もし、CaSO4 源として2水石膏を用いた場
合には原料混合物に水を加えた時点では生コンクリート
状を呈し、これを押出し成形することは不可能であり、
本発明の基本原理である水硬性物質類を5%以内の範囲
で加えるという措置を講じても、Ca(OH) 2 含有量
40%以上の脱硫剤を原料の混合、混練、成形、蒸気養
生、乾燥という操作では得ることはできない。すなわ
ち、本発明はCaSO4 源として使用済脱硫剤を使用し
て初めてその目的を達成することができる。
【0025】本発明において、消石灰、石炭灰、使用済
脱硫剤および水硬性物質類の混練物は次に押出し機に供
給され、直径2〜10mm、長さ5〜30mm程度の柱状破
断物として押出される。脱硫剤の適正サイズは脱硫性能
のみならず、吸収塔に詰め込み、被処理ガスを供給した
際の圧力損失などを考慮して決定される。以上の操作に
よって得られた押出し成形品は必要に応じて微細粒子を
除去した後に蒸気養生し、次いで加熱、乾燥処理されて
脱硫剤とされるが、脱硫剤の成形方法およびそのサイズ
等によって制限を受けるものではない。
【0026】本発明において、加湿処理は、乾式脱硫装
置の硫黄酸化物吸収部に存在する脱硫剤に対して行って
もよい。ここで、硫黄酸化物吸収部とは脱硫剤を排ガス
と接触させるために設置された装置部分をいい、該吸収
部が複数個に分割されている場合にあってはその連結部
をも含んだものとする。この吸収部に対する新規脱硫剤
の供給口と使用済脱硫剤の排出口の間で加湿処理するの
が最も好ましい。本発明の方法において加湿処理される
使用済脱硫剤はすでに排ガスとの接触履歴を持つもので
あるが、加湿処理される時点において排ガスと接触して
いる必要はない。図1のように吸収塔を主吸収塔Bと前
置吸収塔Aに2分割する場合にあっては主吸収塔Bから
抜出された脱硫剤が前置吸収塔塔頂部に供給されるが、
この循環ラインの途中に加湿装置16を設置して脱硫剤
に対して加湿処理を行ってもよい。加湿処理された脱硫
剤は再度排ガスと接触してSOxの除去に供されるが、
該脱硫剤は加湿処理後直接排ガス接触部に搬送されて
も、また一旦乾燥された後に排ガス接触部に搬送されて
もよい。
【0027】脱硫剤の加湿処理の方法は特に制限される
ものではなく、例えば脱硫剤に水をスプレする方法、あ
るいは湿分を含んだ空気または排ガスと接触させる方法
が挙げられる。脱硫剤に吸収させる水分の量は脱硫剤お
よびこれが接触する排ガスの性状によって異なるが、通
常5〜20重量%がその目安となる。加湿された脱硫剤
が再度排ガスと接触すると加湿前においてはSO2 吸収
能をほとんど失っていた脱硫剤であっても再びSO2
収能を示すようになる。この加湿によるSO2吸収活性
の復元効果はSO2 吸収能が低下した脱硫剤ほど大きく
あらわれ、SO 2 吸収に対する余力を有する段階で加湿
処理を行ってもその効果は小さい。
【0028】以下、実施例を用いて本発明をさらに詳し
く説明する。
【0029】
【実施例】
実施例1 特願昭63−267487の方法によって製造した脱硫
剤(組成:Ca(OH)2 30%、CaSO4 16
%、石炭灰 残%)をボイラ排ガスと2週間接触させて
CaSO4 50%を含有する使用済脱硫剤を調製し
た。Ca(OH) 2 50重量部、上記使用済脱硫剤4
0重量部(CaSO4 換算16重量部)、γ−Al2
3 2重量部および石炭灰 残からなる原料混合物に水
38重量部(乾粉に対する添加量)を添加して10分間
混練した。混練物を穴径6mm、板厚3.2mmの金型より
押出し、円柱状の押出し成形品を得た。押出し成形物を
室温に30分間放置した後、底面が金網の容器中に入
れ、温度98℃以上に保持された水蒸気中で9時間蒸気
養生した。得られた水和硬化物を130℃で3時間加熱
乾燥して脱硫剤とした。
【0030】こうして得られた脱硫剤の強度を木屋式硬
度計によって測定した結果、実用上問題がないと考えら
れる4.9kgの強度が得られた。また、粒径6φ、長さ
10(単位:mm)の脱硫剤を選び出し、その4gを直径
30mmの反応管中の目皿上に置き、温度130℃におい
て次の組成を有する模擬排ガス(SO2 1%、NO
0.2%、H2 O 10%、空気 残)を流量2l/m
inで流した。
【0031】上記の方法によって模擬排ガスと8時間接
触させた後に脱硫剤を反応管から取出し、これに10%
(乾燥脱硫剤基準)の水をスプレした。加湿処理した脱
硫剤を再び反応管中に置き、6時間模擬排ガスと接触さ
せた(合計反応時間:14時間)。反応管から取出した
試料は微粉砕処理した後、残存するアルカリ量を分析す
ることによってCa利用率を求めた。反応時間14時間
におけるCa利用率η Ca,14hは95%であった。
【0032】実施例2〜4 実施例1の操作のうちγ−Al2 3 の添加を省略して
Ca(OH)2 含有量50%、CaSO4 20%、石
炭灰 残の脱硫剤を調製した。ただし、CaSO4 源と
して使用済脱硫剤と半水石膏を混合使用し、その混合割
合はCaSO4基準で19:1、18:2および15:
5とした。実施例1と同様の方法で脱硫剤を製造し、ま
た模擬排ガスと14時間接触させた(8時間後に中間加
湿処理)ところ、脱硫剤の強度はそれぞれ7.5、8.
0および9.2kg、またCa利用率(ηCa,14h)はそれ
ぞれ92、90および87%であった。
【0033】実施例5〜7 実施例1におけるγ−Al2 3 の代わりにアルミナセ
メント、シリカセメントまたはシリカゲルを用いたとこ
ろ、脱硫剤の強度はそれぞれ5.6、6.2および5.
3kg、一方、Ca利用率(ηCa,14h)はそれぞれ90、
92および93%であった。
【0034】比較例1 Ca(OH)2 40および50重量部、使用済脱硫剤
40重量部(CaSO 4 換算20重量部)および石炭灰
残からなる原料混合物から出発し、実施例1と同様の
方法によって2種類の脱硫剤を製造した。得られた脱硫
剤の強度はそれぞれ3.2および1.5kg、また模擬排
ガスと14時間接触させた(中間加湿処理は適用せず)
時のCa利用率ηCa,14hはそれぞれ79および73%で
あった。
【0035】比較例2 比較例1において製造した脱硫剤を模擬排ガスと14時
間接触させるに当たり、途中8時間後に脱硫剤に対して
10%の水を添加(中間加湿)したところ、Ca利用率
ηCa,14hはそれぞれ99および95%であった。 参考例1 比較例1におけるCa(OH)2 含有量を35%、Ca
SO4 含有量を18%に変更して脱硫剤を製造したとこ
ろ、得られた脱硫剤の強度は5.8kg、また模擬排ガス
と14時間接触させた(中間加湿処理は適用せず)時の
Ca利用率ηCa ,14hは96%であった。
【0036】参考例2〜3 特願昭63−267487の方法によって製造した脱硫
剤(組成(%):Ca(OH)2 30、CaSO4
16、石炭灰 残)をボイラ排ガスと2週間接触させて
CaSO4 50%を含有する使用済脱硫剤を調製し
た。次に、Ca(OH)2 50重量部、上記使用済脱
硫剤40重量部(CaSO4 換算20重量部)および石
炭灰 残からなる原料混合物に水38重量部(乾量基
準)を添加して10分間混練した。混練物を穴径6mm、
板厚3.2mmの金型より押出し、円柱状の押出し成形品
を得た。押出し成形物を室温に30分間放置した後、底
面が金網の容器中に入れ、オートクレーブ中において温
度120℃の水蒸気雰囲気で4および6時間蒸気養生し
た。得られた水和硬化物をステンレス製バットに入れ、
送風乾燥器を用いて温度130℃で3時間加熱乾燥して
脱硫剤とした。
【0037】こうして得られた脱硫剤の強度を木屋式硬
度計によって測定した結果、実用上問題がないと考えら
れる4.5および5.6kgの強度が得られた。また、粒
径6φ、長さ10(単位:mm)の脱硫剤を選び出し、そ
の4gを直径30mmの反応管中の目皿上に置き、温度1
30℃において次の組成を有する模擬排ガスを流量2l
/minの条件で供給した:SO2 1%、NO 0.
2%、H2 O 10%、空気 残。
【0038】上記の方法によって模擬排ガスと8時間接
触させた後に脱硫剤を反応管から取出し、これに10%
(乾燥脱硫剤基準)の水をスプレした。加湿処理した脱
硫剤を再び反応管中に置き、6時間模擬排ガスと接触さ
せた(合計反応時間:14時間)。反応管から取出した
試料は微粉砕処理した後、残存するアルカリ量を分析す
ることによってCa利用率を求めた。反応時間14時間
におけるCa利用率η Ca,14hはそれぞれ92および93
%であった。
【0039】参考例4 参考例2および3において、蒸気養生終了後の乾燥操作
を次のように変更して脱硫剤を調製した。すなわち、温
度120℃、養生時間4時間の加圧蒸気養生操作終了後
にオートクレーブのベントを開放して内部の高圧蒸気を
排出し、常圧下で温度150℃の空気をオートクレーブ
内に導入した。排出ガスの温度が130℃を超えた時点
からさらに1時間空気を供給して脱硫剤の乾燥を行っ
た。こうして得られたCa(OH)2 含有量50%脱硫
剤の強度は4.6kg、またCa利用率ηCa,14h(模擬排
ガスと8時間接触させた後に実施例1および2と同様に
加湿処理を実施)は91%であった。
【0040】以上のように、Ca(OH)2 含有量が4
0%あるいはそれ以上の脱硫剤を従来法によって製造し
た場合には、中間加湿処理を適用することによって高い
Ca利用率が得られることはあっても、強度は著しく低
く、実用には供し難いものである。これに対し、原料の
一部として少量の水硬性物質を使用し、さらに脱硫剤使
用時に中間加湿処理を施せば高石灰含有脱硫剤の製造お
よびこれを用いた脱硫システムが実現可能となる。
【0041】
【発明の効果】本発明の方法によれば、高強度でSO2
吸収容量が大きな高Ca(OH)2 含有脱硫剤が得られ
るために、脱硫剤製造設備のみならず、吸収塔もコンパ
クトなものになり、設備費の低減が図られる。また、本
発明の方法によれば、最終的に高CaSO4 含有量の使
用済脱硫剤が得られ、これにより使用済脱硫剤の利用分
野拡大という利点も生ずる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱硫剤を用いる脱硫装置の系統図。
【図2】本発明の方法になる脱硫剤の製造工程を説明す
る図。
【符号の説明】
1…移動層反応器、2…ボイラ、3…エアヒータ、4…
脱硫剤製造装置、5…集塵機、6…煙突、14…廃棄脱
硫剤、16…加湿装置、R、T…使用済脱硫剤、7、
8、15…ガスライン、9〜13…脱硫剤ライン。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石灰−石膏−石炭灰系硬化体を脱硫剤と
    する排ガスの乾式脱硫プロセスにおける脱硫剤の製造方
    法において、原料として該脱硫剤を排ガス中の硫黄酸化
    物の吸収に供した後に生ずる使用済脱硫剤、石灰、石炭
    灰および水硬性物質類を用い、該原料中の石灰含有量
    (Ca(OH)2 換算)を40重量%以上、水硬性物質
    類含有量を1〜5重量%の範囲内としたことを特徴とす
    る脱硫剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、水硬性物質類として
    アルミナセメント、シリカセメントなどのセメント類、
    γ−Al2 3 、半水石膏、シリカゲル、パーライト、
    金属製錬スラグおよび水ガラスのうちの少なくともその
    1種類を使用することを特徴とする脱硫剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において得られた脱硫
    剤をさらに加湿処理することを特徴とする脱硫剤の製造
    方法。
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