JPH05258U - 溶湯浸漬用ヒータ装置 - Google Patents
溶湯浸漬用ヒータ装置Info
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- JPH05258U JPH05258U JP4930891U JP4930891U JPH05258U JP H05258 U JPH05258 U JP H05258U JP 4930891 U JP4930891 U JP 4930891U JP 4930891 U JP4930891 U JP 4930891U JP H05258 U JPH05258 U JP H05258U
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Abstract
(57)【要約】
【目的】溶湯浸漬用ヒータ装置において、発熱体2にお
ける熱こもりを抑制しつつ発熱のピークを下方に位置さ
せ、溶湯加熱の効率を向上すること。 【構成】軸方向にのびる電極挿入孔を備えかつ底部から
溶湯に浸漬される有底フラスコ状の発熱体2と、発熱体
2の電極挿入孔に装填された丸棒状の電極部3とで構成
されている。電極部3は、溶湯に浸漬される高さ位置に
対応し外周面がほぼ同径の大径円柱部30と、溶湯の液
面に対応する高さ位置に対応しかつ大径円柱部の上方に
連続し外径が大径円柱部30の外径よりも小さい小径円
柱部31と、大径円柱部30の下方に連続し底方に向か
うにつれて外周面が円錐面状に縮径しかつ大径円柱部3
0よりも軸長の短い円錐部32とからなる。
ける熱こもりを抑制しつつ発熱のピークを下方に位置さ
せ、溶湯加熱の効率を向上すること。 【構成】軸方向にのびる電極挿入孔を備えかつ底部から
溶湯に浸漬される有底フラスコ状の発熱体2と、発熱体
2の電極挿入孔に装填された丸棒状の電極部3とで構成
されている。電極部3は、溶湯に浸漬される高さ位置に
対応し外周面がほぼ同径の大径円柱部30と、溶湯の液
面に対応する高さ位置に対応しかつ大径円柱部の上方に
連続し外径が大径円柱部30の外径よりも小さい小径円
柱部31と、大径円柱部30の下方に連続し底方に向か
うにつれて外周面が円錐面状に縮径しかつ大径円柱部3
0よりも軸長の短い円錐部32とからなる。
Description
【0001】
本考案は溶湯浸漬用ヒータ装置に関する。この溶湯浸漬用ヒータ装置は、例え ば、連続鋳造工程においてタンディシュ内に保持された溶鋼を加熱して、その溶 鋼の温度調整を行う際に利用できる。
【0002】
金属溶湯の加熱について連続鋳造法を例にとって説明する。連続鋳造法では、 とりべから例えば1450〜1600℃程度の溶鋼をタンディシュに1次的にう け、タンディシュの吐出口から溶鋼を水冷鋳型に注入して冷却固化し、冷却スプ レ−帯による冷却の後、冷却固化した部分をピンチロールで引張り、所定の長さ に切断し、これによりスラブやビレットなどを製造している。上記した連続鋳造 方法では、分塊圧延法に比較して製造される製品の品質は向上しており、歩留も 向上している。しかし、近年、鉄鋼製品では一層の高品質化が要求されているた め、連続鋳造方法でも鉄鋼製品の高品質化のため開発が鋭意進められている。
【0003】 ところで上記した連続鋳造方法では、溶鋼をタンディシュに1次的に受ける関 係上、タンディシュ内で溶鋼の温度が低下しがちであった。特に連続鋳造する際 、鋳造開始から時間が例えば50〜80分間経過した鋳造末期では溶鋼の温度が 数〜数10℃程度場合によってはそれ以上低下する。ここで、タンディシュは溶 鋼が凝固する直前の最終容器であるため、タンディシュ内の溶鋼温度は鉄鋼製品 の表層下介在物指数、炭素の中心偏析指数に大きな影響を与え、従って、鉄鋼製 品の高品質化に大きな影響を与える。故に、タンディシュ内の溶鋼が数〜数10 ℃程度低下する場合であっても、品質管理上好ましくない。
【0004】 そこで、近年、鋭意研究の結果、本考案者は、図9に示すような溶鋼に浸漬さ れる溶鋼浸漬用ヒ−タ装置を開発した。この溶鋼浸漬用ヒ−タ装置100は、マ グネシアが常温域では電気絶縁材料であるが、鋼の融点付近の1500°C程度 では導電性をもつこと、溶鋼温度域での必要な固有抵抗値が得られること、マグ ネシアが溶鋼に侵入したときにおける鋼への影響性が少ないこと、価格、毒性等 の要因に着目したものであり、図9に示す様に、マグネシアを主成分とする有底 フラスコ状の発熱体200と、発熱体200の電極挿入孔に装備された電極部3 00とで構成されている。ここで、電極部300の外径はその全長にわたり均一 である。そして、図9に示す様にヒ−タ装置100を2個用い、2個1組のヒ− タ装置100をタンディシュ400内の溶鋼Wに浸漬した状態で、ヒ−タ装置1 00と溶鋼Wとの間に電圧を印加し、発熱体200の発熱で溶鋼Wを加熱する。
【0005】 ところで発熱体2の熱は溶鋼にうばわれるとはいうものの、発熱体200のう ち下部に熱がこもり易く、局部的な高温部が発生し、その局部的な高温部が発熱 の暴走を加速するおそれもある。その理由は、発熱体200を構成する導電性を もつセラミックスは温度が上がると固有抵抗値が低下する傾向にあり、そのため 、局部的な高温部の昇温に基づく固有抵抗値の低下により、発熱体の高温部を流 れる電流量が増加し、これにより高温部がますます発熱して昇温するためである と推察される。
【0006】
そこで、近年本出願人は、図10に示す様に、電極部300のうち、溶鋼Wの 液面W10よりも下方域を下方に向かうつれて外周面が縮径する円錐形状とした ヒータ装置(本出願時に未公知)を開発した。このものは、円錐形状の下部の外 周側の発熱体200は厚肉部200eとされており、円錐形状の上部の外周の発 熱体200は薄肉部200fとされている。厚肉部200eでは厚肉化したぶん 、半径方向における抵抗が増加するので、厚肉部200eを半径方向に流れる電 流値が小さくなり、一方、薄肉部200fでは薄肉化したぶん、半径方向におけ る抵抗が厚肉部200eよりも低下するので、薄肉部200fを半径方向に流れ る電流値が大きくなり、結局、図10(C)に示す様に発熱体200の軸長方向 における発熱量全体としては均一化し、これにより厚肉部200eの発熱量と薄 肉部200fの発熱量とは均一化し、発熱体200の下部における熱こもりは極 力抑制される。
【0007】 しかしこのものでは、電極部300を通じて電極部300の上方に熱が逃げる ので、溶鋼の加熱効率の向上には限界がある。 本考案は上記したヒータ装置を更に改良したものであり、その目的は、発熱体 の下部における熱こもりを極力抑制しつつ、発熱体の発熱のピークをできるだけ 下方に位置させて溶湯加熱の際の加熱効率を向上させ得る溶湯浸漬用ヒータ装置 を提供することにある。
【0008】
本考案の溶湯浸漬用ヒータ装置は、軸方向にのびる電極挿入孔を備えかつ底部 から溶湯に浸漬される有底フラスコ状の発熱体と、 発熱体の電極挿入孔に装填され、溶湯に浸漬される高さ位置に対応し外周面が ほぼ同径の大径円柱部と、溶湯の液面に対応する高さ位置に対応しかつ大径円柱 部の上方に連続し外径が大径円柱部の外径よりも小さい小径円柱部と、大径円柱 部の下方に連続し底方に向かうにつれて外周面が円錐面状に縮径しかつ大径円柱 部よりも軸長の短い円錐部とからなる丸棒状の電極部とで構成され、発熱体にお ける熱こもりを抑制しつつ発熱のピークを下方に位置させる様にしたことを特徴 とするものである。
【0009】 本考案のヒータ装置の発熱体は軸方向にのびる電極挿入孔を備えた有底フラス コ状をなす。発熱体は、一般的に、導電性をもつセラミックスを主成分として形 成されている。この場合マグネシア(MgO)、ジルコニア(ZrO2 )、アル ミナ(Al2 O3 )、マグネシアとジルコニアとの混合体、マグネシアとジルコ ニアとアルミナとの混合体で構成できる。ここで、マグネシアとジルコニアとア ルミナとの混合体を用いる場合には、アルミナは、マグネシアの熱衝撃性を抑制 するのに有効であり、また、抵抗値を制御するのに有効であり、ジルコニアは耐 熱性、衝撃性、熱間特性及び抵抗値の制御に有効である。マグネシアとジルコニ アとアルミナとの混合体を用いる場合には、熱衝撃性、熱膨張性、固有抵抗値等 を考慮すると、その配合割合は例えば、重量%で、マグネシアが60〜100% 、特に85〜95%が好ましく、ジルコニアが0〜40%。特に5〜2.5%が 好ましく、アルミナが0〜40%、特に2.5〜15%が好ましい。溶鋼を加熱 する場合において、発熱体の固有抵抗値は1500℃付近で、20Ωcm以上で あることが望ましく、特に200Ωcm以上であることが望ましく、例えば一例 として、その固有抵抗値が360Ωcm程度のものを採用することができる。
【0010】 なお、発熱体を形成するセラミックスの粒度は抵抗値、電流の偏流化に影響を 与えることがあり、そのため最大粒径は0.5mm〜5mm程度が望ましく、特 に0.7mm〜3mm程度が望ましい。 本考案で用いるヒータ装置の電極部は、発熱体に電気を流すためのものであり 、発熱体の電極挿入孔に挿通されている。電極部は、大径円柱部と小径円柱部と 円錐部とからなる。大径円柱部は、溶湯に浸漬される高さ位置に対応し、外周面 がほぼ同径である。小径円柱部は、溶湯の液面に対応する高さ位置に対応し、か つ大径円柱部の上方に連続しており、外径が大径円柱部の外径よりも小さい。円 錐部は、大径円柱部の下方に連続しており、底方に向かうにつれて外周面が円錐 面状に縮径しており、かつ大径円柱部よりも軸長が短い。電極部の材質は、導電 率、熱伝達率等を考慮して選択する。電極部の外周面と発熱体の内周面との間に 導電層を介在させることもできる。なお導電層は、例えば、炭素粉末を電極部の 外面と発熱体の内面との間に装填して構成できる。
【0011】
本考案の溶湯浸漬用のヒータ装置では、電極部から発熱体への電流は実質的に 発熱体の半径方向で流れる。本考案のヒ−タ装置では、電極部の小径円柱部によ り、小径円柱部の外周側の発熱体部分と小径円柱部とを半径方向につなぐ導電経 路の抵抗が大きくなり、その導電経路を流れる電流が小さくなり、溶湯液面付近 における発熱体部分の発熱が抑制される。更に円錐部により、円錐部の外周側の 発熱体部分が厚肉化してその抵抗が大きくなり、その発熱体部分を半径方向へ流 れる電流が小さくなるので、その発熱体部分の発熱が抑制され、発熱体の下部に おける熱こもりを抑制できる。又、円錐部の軸長は短いので、溶湯加熱に最も寄 与する大径円柱部の長さは確保される。
【0012】
本考案にかかるヒータ装置を、溶鋼制御加熱方法に適用した一実施例について 説明する。 (実施例の構成) 本実施例にかかるヒ−タ装置1を図1に示す。このヒ−タ装置1はシリンダタ イプであり、有底フラスコ状の発熱体2と、棒状電極部3とで構成されている。 発熱体2は、重量%で、マグネシア90%、ジルコニア5%、アルミナ5%、不 可避の不純物を含有する混合セラミックスで形成されている。発熱体2は、フラ ンジ状の基端部20と、基端部20につながる中央部21と、中央部21につな がる3次元曲面形状つまり半球状の先端部22とから構成されている。中央部2 1の半径方向における肉厚は実質的に一定である。ここで本実施例では、発熱体 2の軸方向の全体の長さL1が800mm程度、中央部21の長さL2が635 mm程度、先端部22の長さL3が35mm程度、中央部21の外径が70mm 、中央部21の内径が50mm、従って中央部21の半径方向における肉厚が1 0mmである。なお基端部20がフランジ状であるのはホルダで保持するためで ある。
【0013】 棒状電極部3は炭素質で形成されており、その全長が850mm程度である。 図1及び図2から理解できる様に、電極部3は、溶鋼Wに浸漬される範囲の大径 円柱部30と、大径円柱部30の上方に連続し溶鋼Wの液面W10であるスラグ ライン付近に位置する小径円柱部31と、大径円柱部30の下方に連続する円錐 部32とで構成されている。円錐部32は第1円錐面32aと、第2円錐面32 bとをもつ。大径円柱部30の外径d3は47mm、小径円柱部31の外径d4 は27mm、円錐部32の軸長L6は50mmである。電極部3には、ガス逃が しや亀裂防止に役立つ貫通孔35が形成されている。
【0014】 また発熱体2の内周部と棒状電極部3の外周部との間には、炭素粉末を装填し た薄肉状の導電層40が介在している。導電層40は、発熱体2の内周部と棒状 電極部3の外周部との間において電気的接触性、熱的接触性を確保するのに役立 つ。導電層40は、電極部3の小径円柱部31の外周側のリング状の厚肉層40 a(厚み10mm)と、電極部3の大径円柱部30の外周側のリング状の薄肉層 40b(厚み1.5mm)とで構成されている。なお、導電層40の固有抵抗値 (粒子間の接触抵抗を含む)は1500°Cにおいて6600Ωcmである。導 電層40を構成する炭素粉末は平均粒径が40μm〜60μmである。なお、導 電層40のうち電極部3の下方の底部位44は比較的厚くされ、その厚み方向に おける抵抗は高く設定されている。
【0015】 そして図9の場合と同様に、ヒ−タ装置1を2個用い、各ヒ−タ装置1の棒状 電極部3の上端部に導線をバンドで固定して電源につなぐと共に、ヒ−タ装置1 を容器内の溶鋼Wに浸漬した。この状態で2個の電極部3と溶鋼Wとの間に電圧 を印加し、周波数60Hzの電流を流す。この場合、溶鋼の温度に応じて、電圧 は0Vから440Vまで適宜印加し、電流は0A/cmから65A/cmまで適 宜流した。この結果、ヒ−タ装置1の発熱体2が発熱して溶鋼Wが加熱される。 なお、溶鋼の容量が増した場合には、発熱体2の軸方向における長さを長くし、 発熱体2の溶鋼への浸漬長さを増加すれば、前述同様に、電流値25A/cmか ら67A/cm流がせば、発熱量を増加できるので、溶鋼の増量化に対処できる 。ここでA/cmとは、発熱体2の軸長方向における1cmあたりの投入電流を 意味する。
【0016】 さて本実施例の溶鋼浸漬用ヒ−タ装置1の製造方法を説明する。即ち、図3に 示す様に、先端部に螺孔60をもち外面が成形型面61を形成する芯金62(材 質SKD、焼入鋼)と、軸部66と螺子部67と螺子部68とを備えた金属製の 軸状部69とを用いる。軸部66には突部66aと孔66bとが形成されている 。そして図3に示す様に、芯金62の螺孔60に軸状部69の螺子部68を螺合 し、両者をほぼ同軸的に連結する。更に、図3に示す様に円筒形状のキャビティ 70を区画する成形型面71と底部に貫通する位置決め孔73とをもつ成形型7 4とを用い、そして、芯金62を成形型74のキャビティ70の中央部に挿入す るとともにし、軸状部69の軸部66を成形型74の位置決め孔73に挿入して 位置決めした状態で保持する。これにより芯金62の芯と成形型74のキャビテ ィ70の芯とは一致する。次に、原料セラミックス粉末(最大粒径3mm)を所 定の配合割合で調整した後、水を加えて形成したセラミックススラリを用い、そ して、図4に示す様に、セラミックススラリを成形型74のキャビティ70に装 填し、芯金62の成形型面61と成形型74の成形型面71とで、芯金62の回 りに筒状の発熱体2を形成する。次に、芯金62を装備したまま発熱体2を成形 型74から離型し、図5から理解できる様な芯金62と芯金62の回りの発熱体 2と発熱体2から突き出た軸部66とを備えた中間体Hを得る。そして図5に示 す様に、中間体Hの芯金62に連結された軸状部69の軸部66を旋盤の第1チ ャック部材77でチャックすると共に、中間体Hの芯金62の他端部62fを旋 盤の第2チャック部材78でチャックする。即ち、発熱体2の両端を両端支持し 、発熱体2の垂下を抑止する。このとき軸部66には突部66aが形成されてい るので、チャック度が向上する。このようにチャックした状態で、中間体Hをそ の周方向に回転速度70〜100回/分で回転させつつつ、中間体Hの発熱体2 の表面に研削具79を宛てがい発熱体2の外周面を表面研削する。これにより発 熱体2の外周面2cは均径化される。次に、図6に示す様に芯金62をゆっくり と周方向に相対回転させ、軸状部69の螺子部67の螺子山67aを発熱体2か ら外す。この結果、発熱体2の底部には、軸状部67の螺子山67aに対応する 螺子山27aをもつ螺孔27が形成される。更に、発熱体2の螺孔27にモルタ ルを装填してモルタル部28で螺孔27を閉じる。ここで、発熱体2のうち芯金 62を外して形成した空間部分は電極挿入孔2hとされる。次に発熱体2を養生 し、更に150℃で15時間乾燥する。その後、乾燥した発熱体2を1650℃ で10時間加熱して焼結する。焼結後、発熱体2を縦向きにした状態で、発熱体 2の電極挿入孔2hに棒状の電極部3を挿入する。このとき発熱体2と電極部3 とを周方向に相対回転させつつ、導電層40を構成する炭素粉末を両者間の隙間 に落下させて装填するものである。 (実施例の効果) 以上説明した様に本実施例では、スラグライン付近に位置する小径電極部31 により、小径電極部31と発熱体2とを半径方向につなぐ導電経路の抵抗値を増 加できるので、その導電経路の電流値を小さくでき、よって、溶鋼Wの液面W1 0としてのスラグライン付近における発熱体2の発熱を抑え得る。しかも、小径 電極部31の横断面積は大径電極部30の横断面積よりも小さいので、電極部3 の上方への逃熱性を低下させることができる。更に電極部3の先端部は下方に向 かうにつれて縮径する円錐部32とされているので、円錐部32の外周側の発熱 体部分2kは、肉厚が厚く、その半径方向における抵抗値が大きくなり、発熱体 部分2kを半径方向へ流れる電流は小さくなり、発熱量も抑えられ、よって、発 熱体2の下部における熱こもりを極力抑制できる。更に、円錐部32の軸長は短 いため、溶鋼加熱に最も寄与する大径円柱部30の長さをそれだけ確保できる。 従って本実施例のヒータ装置1では、発熱体2の下部における熱こもりを抑制し つつ、発熱体2の発熱のピークをできるだけ深く位置させ得、溶鋼を加熱する際 の加熱効率を向上させ得る。なお、図1において、本実施例の発熱体2の温度と 発熱体2の深さとの関係である発熱分布を模式的に示す。
【0017】 更に本実施例では、前述した様に、セラミックススラリを装填する際には芯金 62の芯と成形型74のキャビティ70の芯とは高精度で一致しており、発熱体 2の中央部21の半径方向における肉厚は高精度で一定であるため、発熱体2か ら溶鋼へとその半径方向で流れる電流の偏流化防止、ひいては局部的な高温部の 防止、発熱の暴走防止に有効である。また本実施例では、発熱体2の先端部22 は肉厚がL3と厚いので抵抗値が大きく、しかも導電層4の底部位44の肉厚も かなりあるので底部位44の抵抗値も大きく、そのため、発熱体2の先端部22 の発熱は中央部21に比較して少なく、従って、先端部22における熱こもりを 抑えるのに一層有利である。また発熱体2の先端部22は3次元曲面形状として の半球状であり、電流が集中しやすい角部が形成されていないので、電流の偏流 化防止、局部的な高温部の防止に一層有利である。 (適用例) 次に、連続鋳造工程に適用した例ついて図8を参照して説明する。まず、連続 鋳造工程で使用する連続鋳造装置について説明する。この連続鋳造装置は、図8 に示すように、溶鋼を保持する容器としてのタンディシュ50と、タンディシュ 50よりも下方に配置された水冷鋳型51と、冷却スプレ−帯52と、ピンチロ ール53と、整直ロ−ル54とで構成されている。なお、タンディシュ50は、 溶鋼を5t程度保持する容量である。
【0018】 次に連続鋳造する際について説明する。まず、図1に示すヒ−タ装置1を2個 用い、各ヒ−タ装置1の発熱体2をバーナーで加熱して800〜1200℃程度 に予熱する。このようにヒ−タ装置1を予熱した状態で、とりべ55から移され てタンディシュ50に保持されている1500〜1600℃程度の高温の溶鋼に 2個のヒ−タ装置1を先端部22から浸漬する。とりべから移されたタンディシ ュ50内の溶鋼は図8に示すように吐出口50aに向けて流れ、水冷鋳型51に 落下する。前記のように溶鋼を浸漬する前にヒ−タ装置1を予熱すれば、発熱体 2の急熱を防止でき、発熱体2に亀裂が生じることを極力抑制することができる 。なお発熱体2に亀裂が生じた場合には、溶鋼と電極部3とが直接に導通し、発 熱体2の発熱量が小さくなり、ヒ−タ装置1を有効に利用できない不具合が生じ る。上記した予熱により、マグネシアを主成分とする高温度領域で導電性を帯び る発熱体2の導電性を確保できる。
【0019】 連続鋳造工程においては、上記のようにヒ−タ装置1を浸漬した状態で、2個 の電極部3の端子を交流電源に接続し、端子間について100〜600Vの電圧 を印加する。これによりタンディシュ50に保持されている溶鋼を介してヒ−タ 装置1の発熱体2の間で、周波数60Hzの電流を流す。発熱体2への電流量は 25A/cm〜67A/cm程度である。これにより発熱体2は高温に発熱する 。したがってタンディシュ50内に保持された溶鋼は、加熱されて約1〜30℃ 昇温し、温度調節される。このようにタンディシュ50内で温度調整された溶鋼 は、タンディシュ50の吐出口50aから吐出され、水冷鋳型51で冷却固化さ れ、さらに冷却スプレ−帯52からの冷却水の噴出で冷却され、冷却固化したも のはピンチロール53で下方に引張られる。その後は切断機により所定の長さに 切断される。
【0020】 上記のように本適用例では、ヒ−タ装置1でタンディシュ50内に保持した溶 鋼を加熱して溶鋼の温度調整できるので、タンディシュ50に保持した溶鋼の温 度を適切に確保することができ、連続鋳造方法で製造したブルーム、ビレットな どの製品の品質を向上するのに有利である。
【0021】
本考案にかかる溶湯浸漬用ヒータ装置によれば、電極部の小径円柱部により、 発熱体のうち溶湯液面付近の発熱を抑制できる。しかも電極部の小径円柱部の横 面積は小さく、従って電極部の上方への逃熱面積は小さい。更に、電極部の下端 部は円錐部のため、円錐部の外周側の発熱体部分の肉厚は厚くて抵抗値が大きく なり、円錐部の外周側の発熱体部分の発熱は極力抑制される。そのため、本考案 にかかるヒ−タ装置によれば、発熱体の下部における熱こもりを極力抑制しつつ 、発熱体の発熱のピークをできるだけ下方に位置させて溶湯加熱の際の加熱効率 を向上させ得る。
【図1】発熱分布とともに示すヒータ装置の断面図であ
る。
る。
【図2】電極部の断面図である。
【図3】芯金を成形型のキャビティに配置した状態の断
面図である。
面図である。
【図4】セラミックススラリを成形型のキャビティに装
填した状態の断面図である。
填した状態の断面図である。
【図5】発熱体の外周面を研削している状態の断面図で
ある。
ある。
【図6】発熱体が芯金を外している状態の断面図であ
る。
る。
【図7】発熱体の螺孔にモルタルを装填した状態の断面
図である。
図である。
【図8】連続鋳造工程を示す構成図である。
【図9】従来のヒータ装置で溶鋼を加熱している状態の
断面図である。
断面図である。
【図10】発熱分布とともに示す先行技術としてのヒー
タ装置の断面図である。
タ装置の断面図である。
図中、1はヒータ装置、2は発熱体、3は電極部、30
は大径円柱部、31は小径円柱部、32は円錐部、40
は導電層、40aは厚肉層、40bは薄肉層を示す。
は大径円柱部、31は小径円柱部、32は円錐部、40
は導電層、40aは厚肉層、40bは薄肉層を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 加藤 吉成 岐阜県瑞浪市寺河戸町1113の2 (72)考案者 小島 榮藏 愛知県東海市加木屋町小家の脇
Claims (1)
- 【実用新案登録請求の範囲】 【請求項1】軸方向にのびる電極挿入孔を備えかつ底部
から溶湯に浸漬される有底フラスコ状の発熱体と、該発
熱体の電極挿入孔に装填され、溶湯に浸漬される高さ位
置に対応し外周面がほぼ同径の大径円柱部と、溶湯の液
面に対応する高さ位置に対応しかつ該大径円柱部の上方
に連続し外径が該大径円柱部の外径よりも小さい小径円
柱部と、該大径円柱部の下方に連続し底方に向かうにつ
れて外周面が円錐面状に縮径しかつ該大径円柱部よりも
軸長の短い円錐部とからなる丸棒状の電極部とで構成さ
れ、該発熱体における熱こもりを抑制しつつ発熱のピー
クを下方に位置させる様にしたことを特徴とする溶湯浸
漬用ヒータ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4930891U JPH05258U (ja) | 1991-06-27 | 1991-06-27 | 溶湯浸漬用ヒータ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4930891U JPH05258U (ja) | 1991-06-27 | 1991-06-27 | 溶湯浸漬用ヒータ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05258U true JPH05258U (ja) | 1993-01-08 |
Family
ID=12827322
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4930891U Pending JPH05258U (ja) | 1991-06-27 | 1991-06-27 | 溶湯浸漬用ヒータ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05258U (ja) |
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1991
- 1991-06-27 JP JP4930891U patent/JPH05258U/ja active Pending
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