JPH05258679A - カラーブラウン管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 多数の電子ビーム透過孔の形成された有効部
29が球面状をなすマスク本体32とこのマスク本体の周辺
部に取付けられたマスクフレーム33とからなるほぼ矩形
状のシャドウマスク23が蛍光体スクリーンに対向して配
置され、このシャドウマスクにより電子銃から放出され
た電子ビームを選別して蛍光体スクリーンに入射させる
カラーブラウン管において、そのマスク本体の有効部に
蛍光体スクリーン側が凸または凹状をなす帯状の突出部
34を形成した。 【効果】 マスク本体の曲率のばらつきや有効面の周辺
部の曲率変化のために生ずるカラーブラウン管の特性の
劣化をなくすことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、カラーブラウン管に
係り、特にシャドウマスクの機械的強度を向上させたカ
ラーブラウン管に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にカラーブラウン管は、外囲器のパ
ネル内面に形成された３色蛍光体層からなる蛍光体スク
リーンと対向して、その内側にシャドウマスクが配置さ
れ、このシャドウマスクにより電子銃から放出された３
電子ビームを選別して蛍光体スクリーンに入射させるこ
とにより、カラー画像を表示する構造に形成されてい
る。

【０００３】通常上記シャドウマスクは、図７に示すよ
うに、蛍光体スクリーンと対向する多数の電子ビーム透
過孔1 の形成された有効部2 がカラーブラウン管の設計
上の関数で決定された複数曲率の連続面からなる球面状
に形成され、かつこの有効部2 の周辺部にスカート部3
が形成されたマスク本体4 と、そのスカート部3 に溶接
により取付けられた断面Ｌ字形のマスクフレーム5 とか
らなり、パネルがほぼ矩形状のカラーブラウン管では、
外周がほぼ矩形状をなす形状に形成されている。なお、
このシャドウマスクには、図７に示したように有効部2
の外側を取巻くように補強ビード6 を形成したものもあ
る。

【０００４】このシャドウマスクは、本来蛍光体スクリ
ーンに入射する電子ビームを選別するためのものである
が、カラーブラウン管の蛍光体スクリーンは、写真印刷
法により形成され、蛍光体スクリーン形成時にはフォト
マスクとしても用いられる。したがってこのようなシャ
ドウマスクについては、上記カラーブラウン管の設計上
の関数で決定される形状に正確に形成されることが必要
である。

【０００５】一般にこのシャドウマスクは、所定板厚の
マスク素材にフォトエッチング法により電子ビーム透過
孔を形成して、平板状のフラットマスクを形成したの
ち、図８（ａ）乃至（ｄ）に示すように、そのフラット
マスク8 をダイ9 、ノックアウト10、ポンチ11、ブラン
クホルダー12などを備えるプレス成形装置によりプレス
成形することによりマスク本体4 を形成し、このマスク
本体4 のスカート部に別途成形されたマスクフレームを
溶接することにより製作される。

【０００６】しかし上記のように製作されるシャドウマ
スクには、つぎの問題がある。

【０００７】すなわち、プレス成形時、マスク本体4 の
有効部2 の材料の伸びが少なく、成形金型で決められる
有効部2 の曲率が、金型の押付け解放後のスプリングバ
ックにより、曲率半径が大きくなる方向に変化し、有効
部2 の曲率がばらつくばかりでなく、有効部2 の周辺
部、特にほぼ矩形状のシャドウマスクでは、短辺側周辺
部での曲率変化（辺落ち）が大きくなる。この周辺部で
の曲率変化は、低膨張シャドウマスクとして知られるア
ンバー材（Ｆe −Ｎi 合金）などのように抗張力の大き
い材料で形成されるシャドウマスクの場合、特に大きく
なり、また最近のカラーブラウン管のように曲率半径の
大きいシャドウマスクでは加速度的に大きくなる。

【０００８】上記のようにマスク本体4 の有効部2 の曲
率がばらつくと、シャドウマスクをフォトマスクとして
形成される３色蛍光体層の配列にばらつきが生ずる。そ
の結果、蛍光体スクリーンの外観品位が悪化し、商品価
値が低下する。また３色蛍光体の径または光吸収層を形
成してこの光吸収層の開孔に３色蛍光体層を形成するカ
ラーブラウン管ではその光吸収層の開孔径と電子ビーム
径とにより決まるガードバンドにばらつきが生ずるた
め、電子銃から放出される３電子ビームをシャドウマス
クで選別しても、３色蛍光体層に正しくランディングし
なくなり、色ずれやホワイトユニフォーミティの劣化が
おこる、などの問題が生ずる。

【０００９】またマスク本体4 の有効部2 の周辺部の曲
率が変化して辺落ちがあると、上記曲率のばらつきに起
因する問題がより顕著に現れる。また周辺部の曲率変化
によりマスク本体4 の張り強度が大幅に低下する。その
結果、上記曲率のばらつきに起因する問題が助長される
ばかりでなく、外部衝撃などによるシャドウマスクの振
動が増大し、カラーブラウン管の動作時、画面上にハウ
リングといわれる縞状の色ずれがおこりやすくなる、な
どの問題がある。

【００１０】従来これら問題を解決するために、マスク
本体4 の板厚を厚くしたものがあるが、板厚を厚くする
と、シャドウマスクの材料コストが高くなる。またフォ
トエッチング法により電子ビーム透過孔を形成するとき
のエッチング時間が長くなり、かつ電子ビーム透過孔の
ばらつきが大きくなり、画面にその電子ビーム透過孔の
ばらつきに起因するむらが発生し、画面品位が劣化す
る、などの問題が生ずる。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、カラー
ブラウン管のシャドウマスクのマスク本体の有効部は、
カラーブラウン管の設計上の関数で決定される複数曲率
の連続面からなる球面状に正確に形成される必要があ
る。しかし実際に製作されるマスク本体は、多数の電子
ビーム透過孔の形成された平板状のフラットマスクを球
面状にプレス成形するときのスプリングバックにより、
曲率半径が大きくなる方向に変化し、有効部の曲率がば
らつくばかりでなく、有効面の周辺部の曲率変化が大き
くなり、特にほぼ矩形状シャドウマスクでは、短辺周辺
部での曲率変化が顕著に大きくなる。そのため、このよ
うなシャドウマスクを用いて形成される蛍光体スクリー
ンの３色蛍光体層の配列にばらつきを生じ、また３色蛍
光体層の径や光吸収層の開孔径と電子ビーム径との差に
より決まるガードバンドにばらつきが生じ、カラーブラ
ウン管の外観品位の悪化や、色ずれ、ホワイトユニフォ
ーミティの劣化などがおこる。またマスク本体の張り強
度が低下するため、外部衝撃に対する耐衝撃特性が劣化
し、画面上にハウリングを生ずるという問題がある。

【００１２】そのため、従来より上記問題点を解決する
ために、マスク本体の板厚を厚くしたものがあるが、板
厚を厚くすると、シャドウマスクの材料コストが高くな
り、また電子ビーム透過孔を形成するときのエッチング
時間が長くなるばかりなく、電子ビーム透過孔のばらつ
きが大きくなり、画面にその電子ビーム透過孔のばらつ
きに起因するむらが発生し、画面品位が劣化する、など
の問題がある。

【００１３】この発明は、上記問題点に鑑みてなされた
ものであり、マスク本体の板厚を厚くすることなく、有
効部の曲率半径の変化やマスク本体の張り強度の低下を
防止して、特性の良好なカラーブラウン管が得られるよ
うにすることを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】多数の電子ビーム透過孔
の形成された有効部が球面状に形成されたマスク本体と
このマスク本体の周辺部に取付けられたマスクフレーム
とからなるほぼ矩形状のシャドウマスクが蛍光体スクリ
ーンに対向して配置され、このシャドウマスクにより電
子銃から放出された電子ビームを選別して蛍光体スクリ
ーンに入射させるカラーブラウン管において、そのマス
ク本体の有効部に蛍光体スクリーン側が凸または凹状を
なす帯状の突出部を形成した。

【００１５】

【作用】上記のように、マスク本体の有効部に蛍光体ス
クリーン側が凸または凹状をなす帯状の突出部を形成す
ると、マスク本体をプレス成形するとき、有効部の材料
の伸びが帯状の突出部の周辺部で増加し、プレス成形の
スプリングバックを大幅に低減できる。その結果、マス
ク本体の曲率がプレス成形の金型の曲率に近づき、マス
ク本体の曲率のばらつきを減少させることができる。ま
たスプリングバックの低減により、有効部の周辺部の曲
率変化も小さくなり、マスク本体の張り強度も向上す
る。したがって有効部に蛍光体スクリーン側が凸または
凹状をなす帯状の突出部を形成することにより、従来マ
スク本体の曲率のばらつきや有効部の周辺部の曲率変化
のために生じたカラーブラウン管の特性の劣化をなくす
ことができる。

【００１６】

【実施例】以下、図面を参照してこの発明を実施例に基
づいて説明する。

【００１７】図２にその一実施例であるカラーブラウン
管を示す。このカラーブラウン管は、周辺部にスカート
部が形成されたほぼ矩形球面状のパネル20とこのパネル
20のスカート部に一体に接合された漏斗状のファンネル
21とからなる外囲器を有し、そのパネル20の球面状部の
内面に、青、緑、赤に発光する３色蛍光体層からなる蛍
光体スクリーン22が形成され、この蛍光体スクリーン22
に対向して、その内側に後述する多数の電子ビーム透過
孔の形成されたほぼ矩形状のシャドウマスク23が配置さ
れている。またファンネル21のネック24内に、３電子ビ
ーム25B ，25G，25R を放出する電子銃26が配設されて
いる。そして、この電子銃26から放出される３電子ビー
ム25B ，25G ，25R をファンネル21の外側に装着された
偏向ヨーク27の発生する磁界により偏向し、シャドウマ
スク23を介して、蛍光体スクリーン22を水平、垂直走査
することにより、カラー画像を表示する構造に形成され
ている。

【００１８】上記シャドウマスク23は、図１に示すよう
に、多数の電子ビーム透過孔の形成されかつカラーブラ
ウン管の設計上の関数で決定された複数曲率の球面状に
形成された有効部29、この有効部29の外周を取囲むよう
に形成された補強ビード30およびこの補強ビード30を介
して有効部29の周辺部に形成されたスカート部31を有す
るほぼ矩形状のマスク本体32と、そのスカート部31に溶
接により取付けられた断面Ｌ字形のほぼ矩形状のマスク
フレーム33とからなる。

【００１９】しかも特にこの例のシャドウマスク23にお
いては、シャドウマスク23の中央部にその長手軸（Ｘ
軸）に沿って蛍光体スクリーン側を凸とする１個の帯状
突出部34が有効部29を横切って形成されている。その両
端部は有効部29外に達している。この突出部34は、たと
えば上記複数曲率の球面状部分に対して高さ０．５mm、
幅１０mm程度に形成され、複数曲率からなる球面状部分
とは、異なる曲率を有してなだらかな曲面で連続してい
る。

【００２０】ところで、上記のように構成されたシャド
ウマスク23について、種々の基礎的な実験をおこなった
結果、つぎのことが確認された。すなわち、 （イ） 球面状の有効部29に上記のような帯状突出部34
を形成しても、蛍光体スクリーン22の外観品位は、ほと
んど劣化しない。また３色蛍光体層に対する３電子ビー
ム25B ，25G ，25R のランディングもほとんど変化しな
いことが、実装試験で確認された。

【００２１】（ロ） 上記のような帯状突出部34を形成
すると、成形時における有効部29の材料の伸びが若干増
加し、成形時のスプリングバックが減少する。たとえば
２７インチ管（２７Ｖ）用シャドウマスクで６００μm
減少した。その結果、有効部29の曲率が成形金型の曲率
に近づき、有効部29の曲率のばらつきが、従来級内変化
で３００μm あったものが１００μm 以下に、級間ばら
つきで従来６００μm あったものが１５０μm 以下と大
幅に圧縮することができた。また成形時のスプリングバ
ックの減少により、短辺側周辺部での曲率変化を従来の
４００μm から１００μm 以下と大幅に減少させること
ができた （ハ） マスク本体32の張り強度が、有効部29の周辺部
での曲率変化の減少と帯状突出部34の形成とにより、従
来のシャドウマスクにくらべて３０〜４０％向上した その結果、上記有効部29の曲率のばらつきの減少によ
り、蛍光体スクリーン22の外観品位が良好になった。ま
た３色蛍光体層の径や光吸収層の開孔径と電子ビームの
径とにより決まるガードバンドが一定となり、３色蛍光
体層に対して３電子ビーム25B ，25G ，25R が正しくラ
ンディングするようになり、色ずれやホワイトユニフォ
ーミティを向上させることができた。さらにマスク本体
32の張り強度の向上により、外部衝撃などによるシャド
ウマスク23の振動が低減し、カラーブラウン管の動作時
にシャドウマスク23の振動により画面上に現れるハウリ
ングを発生しにくくすることができた。

【００２２】また、マスク本体32の張り強度を従来のシ
ャドウマスクと同程度に押えた場合、マスク素材の板厚
を従来のシャドウマスクよりも薄くすることができ、シ
ャドウマスクの材料コストを低減できる。またエッチン
グ法により電子ビーム透過孔を形成するときのエッチン
グ時間を短縮でき、かつ形成される電子ビーム透過孔の
ばらつきによるむらを軽減でき、カラーブラウン管の画
面品位を向上できる。

【００２３】なお、上記実施例では、シャドウマスクの
長手軸に沿って帯状突出部を有効部を横切って形成した
が、この帯状突出部は、つぎのように形成してもよい。

【００２４】すなわち、図３は、シャドウマスクの中央
部にその長手軸に沿って帯状突出部34a を形成するとと
もに、中間部にこの帯状突出部34a と平行に帯状突出部
34b，34c を形成したものである。この例では、特に中
間部の帯状突出部34b ，34cは、それぞれ幅が中央部の
帯状突出部34a の幅よりも狭く形成されている。図４
は、帯状突出部34を対角軸（Ｄ軸）に沿って形成したも
のである。図５は、分割された２個の帯状突出部34c ，
34d をシャドウマスクの中央部にその長手軸に沿って形
成したものである。なお、これら図３乃至図５の帯状突
出部は、いずれも両端部が有効部29外に達している。ま
た図６は、有効部29の中央部のみに帯状突出部34を形成
したものである。

【００２５】なお、上記各シャドウマスクは、いずれも
帯状突出部を蛍光体スクリーン側を凸として形成した
が、この帯状突出部は、蛍光体スクリーン側が凹になる
ように形成してもよい。

【００２６】

【発明の効果】マスク本体の有効面に蛍光体スクリーン
側が凸または凹状をなす帯状の突起部を形成すると、マ
スク本体をプレス成形するとき、有効部における材料の
伸びが帯状の突起部の周辺部で増加し、プレス成形時の
スプリングバックを大幅に低減できる。その結果、マス
ク本体の曲率がプレス成形の金型の曲率に近づき、マス
ク本体の曲率のばらつきを減少させることができ、それ
により、色ずれやホワイトユニフォーミティなどのカラ
ーブラウン管の画像特性を良好にすることができる。ま
たスプリングバックの低減により、有効部の周辺部の曲
率変化が小さくなり、マスク本体の張り強度の向上によ
り、外部衝撃などによるシャドウマスクの振動を抑制し
てハウリングを発生しにくくすることができる。

【００２７】また、マスク本体の張り強度を従来のシャ
ドウマスクと同程度に押えた場合、マスク素材の板厚を
従来のシャドウマスクよりも薄くすることができ、シャ
ドウマスクの材料コストを低減でき、また電子ビーム透
過孔を形成するときのエッチング時間を短縮でき、かつ
形成される電子ビーム透過孔のばらつきによるむらを軽
減でき、カラーブラウン管の画面品位を向上できるなど
の効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（ａ）はこの発明の一実施例であるカラー
ブラウン管のシャドウマスクの構造を示す平面図、図１
（ｂ）はその断面図である。

【図２】この発明の一実施例であるカラーブラウン管の
構成を示す図である。

【図３】図３（ａ）はこの発明に係るシャドウマスクの
異なる構造を示す平面図、図３（ｂ）はその断面図であ
る。

【図４】図４（ａ）は同じくこの発明に係るシャドウマ
スクの異なる構造を示す平面図、図４（ｂ）はその断面
図である。

【図５】図５（ａ）は同じくこの発明に係るシャドウマ
スクの異なる構造を示す平面図、図５（ｂ）はその断面
図である。

【図６】図６（ａ）は同じくこの発明に係るシャドウマ
スクの異なる構造を示す平面図、図６（ｂ）はその断面
図である。

【図７】図７（ａ）は従来のカラーブラウン管のシャド
ウマスクの構造を示す平面図、図７（ｂ）はその断面図
である。

【図８】図８（ａ）乃至（ｄ）はそれぞれシャドウマス
クのマスク本体のプレス成形方法を説明するための図で
ある。

【符号の説明】

20…パネル 22…蛍光体スクリーン 23…シャドウマスク 25B ，25G ，25R …３電子ビーム 26…電子銃 29…有効部 31…スカート部 32…マスク本体 33…マスクフレーム 34…突出部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数の電子ビーム透過孔の形成された有
   効部が球面状をなすマスク本体とこのマスク本体の周辺
   部に取付けられたマスクフレームとからなるほぼ矩形状
   のシャドウマスクが蛍光体スクリーンに対向して配置さ
   れ、上記シャドウマスクにより電子銃から放出された電
   子ビームを選別して上記蛍光体スクリーンに入射させる
   カラーブラウン管において、 上記マスク本体の有効部に上記蛍光体スクリーン側が凸
   または凹状をなす帯状の突出部が形成されていることを
   特徴とするカラーブラウン管。