JPH0525605A - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JPH0525605A
JPH0525605A JP17405391A JP17405391A JPH0525605A JP H0525605 A JPH0525605 A JP H0525605A JP 17405391 A JP17405391 A JP 17405391A JP 17405391 A JP17405391 A JP 17405391A JP H0525605 A JPH0525605 A JP H0525605A
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rotor
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ブレーキロータ等の摺動部材において、初期に
摩擦係数回復効果を発現して所要の摩擦係数を初期から
得ること。 【構成】アルミ−シリコン系の母材と、母材表面に積層
された所要の摩擦特性をもつ下地摺動層3と、下地摺動
層3に積層されジルコニア等の硬質粒子4cをもつアブ
レージブ層4とで構成する。下地摺動層3とアブレージ
ブ層4とのせん断密着強度は0.5〜2.0kgf/m
m2 程度で、アブレージブ層4は下地摺動層3から脱離
可能である。走行距離が短い摺動の初期において硬質粒
子4cが相手材であるパッドを削ることにより、摩擦係
数を早期に増加させることができる。その後、アブレー
ジブ層4が下地摺動層3から脱離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は摺動面を溶射材で構成す
る摺動部材に関する。この摺動部材は例えばブレーキパ
ッドと摺動するブレーキロータに適用できる。
【0002】
【従来の技術】従来より、摺動部材として、重量低減の
目的でアルミ系合金やマグネシウム系合金で母材を形成
し、その摺動面の耐摩耗性確保のために鉄系金属や銅系
金属を溶射等の手段により被覆層を形成したものが知ら
れている。(特開昭62ー70534号公報、特開昭6
0ー89558号公報、実公昭53ー30865号公
報、実公昭53ー30866号公報、実開昭55ー15
8337号公報、特開昭49ー61564号公報、特開
昭49ー90641号公報、特開昭59ー56438号
公報等)。
【0003】また、特開昭61ー218841号公報に
は、0.1μm以上のファインセラミック粒子を分散し
たニッケルメッキ層で被覆されたディスク式のブレーキ
ロータが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した特開昭61ー
218841号公報にかかるブレーキロータでは、ファ
インセラミック粒子が分散している為、相手材との初期
なじみ性は向上するが、相手材であるセミメタリックパ
ッドの表面を削る。ファインセラミック粒子により削ら
れる作用は、使用初期ばかりか、使用期間が長くなって
も継続し、そのため摺動性はむしろ悪くなるという問題
があった。
【0005】ところでブレーキロータでは、一般的に、
車両走行距離が所定距離を越えると、パッドの摩耗(あ
らさ低減)とともに当たりがついて本来の摩擦係数とな
り、摩擦係数は安定する。しかし、初期(ロータの新品
時)においては、つまり車両走行距離が所定距離例えば
約1000kmを越えない場合においては、相手材であ
るブレーキパッドの初期における表面あらさが100μ
RZ〜500μRZと粗く、そのため、パッドとロータ
との接触面積が小さく、従ってブレーキパッドとディス
クロータとが摺動する初期における摩擦係数は、両者間
の本来の摩擦係数に比べ0.1ぐらい小さい不具合があ
る。
【0006】本発明は上記した実情に鑑みなされたもの
であり、その目的は、所要の摩擦係数を初期から得るこ
とができる摺動部材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は摺動部材につ
いて鋭意研究を重ね、摺動部材の母材の表面に所要の摩
擦特性をもつ下地摺動層を積層するとともに、硬質粒子
を分散しかつ下地摺動層に対して脱離可能な溶射層を下
地摺動層に積層すれば、初期において硬質粒子が相手材
を削ることにより、摩擦係数を早期に増加させて所要の
摩擦係数を初期から得ることができ、しかもその後、溶
射層が下地摺動層から脱離することにより、所要の摩擦
特性をもつ下地摺動層と相手材とが摺動する様にすれ
ば、初期から安定した摩擦係数が得られることを知見し
た。本発明はこの知見に基づきなされたものである。な
お、特開昭61ー218841号公報にかかるメッキ層
は母材への密着強度が大きく、仲々母材から脱離するも
のではない。
【0008】本発明の摺動部材は、母材と、母材表面に
積層された所要の摩擦特性をもつ下地摺動層と、下地摺
動層に溶射処理で積層された溶射材と溶射材に分散され
た硬質粒子とをもち下地摺動層から脱離可能な溶射層と
で構成されていることを特徴とするものである。摺動部
材の母材は適宜選択でき、鉄系、鋼系、ステンレス鋼
系、マグネシウム合金系、チタン合金系、アルミ合金系
等を採用できる。アルミ合金系は例えばアルミ−シリコ
ン系を採用できる。下地摺動層は母材表面に積層された
所要の摩擦特性をもつものである。下地摺動層の厚みは
摺動部材の種類によっても異なるが、例えば100〜5
00μmとすることができる。下地摺動層を構成する材
質は、例えば、鉄−クロム−炭素系、鉄−クロム−炭素
−銅系、タングステン系、モリブデン系、ニッケル系、
ニッケル−クロム系、ニッケル−クロム−アルミ系等を
採用できる。下地摺動層は溶射層、メッキ層、浸透メッ
キ層等で形成できる。溶射に際しては、母材表面に脱脂
処理、ブラスチング処理等の前処理を行うことが望まし
く、また砥石研削、ホーニング加工等の後処理を行うこ
ともできる。
【0009】下地摺動層に溶射処理で積層された溶射層
は、初期において相手材と摺動するものである。溶射層
の厚みは摺動部材の種類にもよるが、例えば2〜10μ
mとすることができる。溶射層は、マトリックスを構成
する溶射材と、溶射材に分散された硬質粒子とで形成さ
れている。溶射層は、硬質粒子を分散させた溶射用粉末
を溶射ガンで溶射することにより形成できる。この場
合、溶射熱により硬質粒子自体が部分的にまたは全体的
に溶けるか軟化する場合には、溶射の際に粒子が下地摺
動層に衝突するなどのため、衝突時の衝撃により硬質粒
子の形状が変形する作用もある。溶射材は、例えば、鉄
−クロム−炭素系、鉄−クロム−炭素−銅系、タングス
テン系、モリブデン系、ニッケル系、ニッケル−クロム
系、ニッケル−クロム−アルミ系等を採用できる。摺動
部材の種類にもよるが、下地摺動層に溶射処理された溶
射層の気孔率は例えば10〜30%程度とすることがで
きる。硬質粒子はジルコニア粒子(ZrO2 )、アルミ
ナ粒子、マグネシア粒子、初晶シリコン粒子、Fe2
3 粒子等を採用できる。硬質粒子の平均粒径は摺動部材
の種類、溶射層の厚み、必要とするアブレージブ作用等
にもよるが、例えば3〜40μm特に5〜30μmとす
ることができる。
【0010】溶射層は、相手材とある程度摺動したら下
地摺動層から脱離する。溶射層と下地摺動層とのせん断
密着強度は摺動部材の種類によっても異なるが、例えば
0.3〜8kgf/mm2 特に0.5〜2kgf/mm
2 とすることができる。せん断密着強度の調整は、電流
値、電圧値、ガス流量、溶射距離などの溶射条件の変
更、溶射粉末の種類の変更、溶射層の厚みの変更、溶射
層の気孔率の変更、硬質粒子の形状の変更、あるいは、
溶射層と下地摺動層と間に脱離促進層を介在させること
により、行い得る。なお脱離促進層は固体潤滑材等で形
成できる。
【0011】本発明の摺動部材では、母材と下地摺動層
との間の密着強度を確保するために、母材と下地摺動層
との間に中間層を介在させることもできる。中間層は例
えばニッケル系合金、なかでも重量%でニッケル−クロ
ム合金94%、アルミニウム6%の溶射粉末を溶射して
形成できる。あるいは、ニッケル95.5%、アルミニ
ウム4.5%の溶射粉末を溶射して形成できる。なお中
間層の厚みは例えば50〜100μm程度にできる。
【0012】相手材としては、例えば有機系摩擦材料の
ものを採用できる。有機系摩擦材料は、フェノール樹脂
などの結合剤、金属、アラミド、無機繊維などの基材、
カシュダスト、ゴム、炭酸カルシウムなどの摩擦調整剤
を含む構成とすることができる。
【0013】
【作用】本発明の摺動部材では、初期においては溶射層
が相手材と摺動する。このとき硬質粒子が相手材を削る
ので、所要の摩擦係数が確保される。そして、ある程度
摺動したら、つまり初期以降においては、溶射層は特に
溶射層の硬質粒子は脱離する。よって下地摺動層と相手
材とが摺動する。
【0014】
【実施例】まず、実施例1を説明する。即ち、Al−1
2%Si合金を成形型のキャビティに鋳造し、図2に示
すリング状の摺動面2をもつディスクロータ1を作製し
た。ディスクロータ1は直径300mm、ディスク厚2
0mmである。そして、重量%でFe−Cr−C合金粉
末50%とCu粉末50%とを混合した第1混合粉末を
用い、溶射ガンをディスクロータ1の摺動面2に対面さ
せ、プラズマ溶射法によりディスクロータ1の摺動面2
に下地摺動層3を形成した。この場合、Fe−Cr−C
合金粉末は、その組成がCr55〜65wt%、C3〜
4wt%、残部実質的にFeであり、粒度が10〜74
μmのものを用いた。またCu粉末は純度95%、粒度
10〜74μmのものを用いた。この場合、溶射装置は
METCO7MB型を用い、電流450A、電圧65
V、ガス量はArガス40リットル/min、H2 ガス
7.5リットル/min、溶射距離130mmの条件
で、厚さ300μmになるまで積層した。
【0015】その後、重量%でZrO2 粉末50%と前
述の第1混合粉末50%とを混合した第2混合粉末を用
い、同じ溶射装置を用い、電流380A、電圧60V、
ガス量Arガス40リットル/min、H2 ガス5リッ
トル/min、溶射距離130mmの条件で、厚さ20
μmになるまで溶射層としてのアブレージブ層4を積層
し、これにより摺動層5を形成した。図1に摺動層5の
断面を模式的に示す。図3に示す様に、下地摺動層3の
上には、ZrO2 粒子4cと気孔4dとが混在するアブ
レージブ層4が積層されている。ZrO2 粉末は粒度1
5〜25μm程度のものを用いた。また、アブレージブ
層4を溶射する際の溶射条件を低電流、低H2 ガス量側
に設定したのは、アブレージブ層4をよりポーラス質に
するとともに、ZrO2 粒子4cの未溶融部分を確保す
るためである。なお、溶射したアブレージブ層4の厚み
は膜厚計により測定した。
【0016】その後、砥石(ダイヤモンド)を用い、ア
ブレージブ層4の表面を砥石研削により削り、これによ
り下地摺動層3とアブレージブ層4との合計厚みが30
5μmになるようにした。この時のアブレージブ層4の
厚さは約5μmである。更に比較例1のロータも形成し
た。即ち、実施例1と同種のAl−Si系のロータと、
実施例1と同様なFe−Cr−C合金粉末とCu粉末と
を混合した第1混合粉末とを用い、第1混合粉末を実施
例1と同様な条件でロータに溶射し、厚さ320μmの
摺動層を形成し、その後、摺動層の表面を研削により削
り、厚みを305μmにした。比較例1にはZrO2
子を分散したアブレージブ層4は形成されていない。
【0017】実施例1のロータと比較例1のロータとを
用い、同車種の車両のフロント両サイドに組みつけた。
摺動の相手材であるパッドはスチールを含まないもので
あり、その材料組成は(体積比で、アラミド繊維10
%、ガラス繊維5%、ケイ酸カルシウム10%、フェノ
ール樹脂15%、カシューダスト20%、黒鉛5%、硫
酸バリウム20%、その他充填材15%)である。また
パッド面の初期の面粗さは300μmRZである。そし
て、テストコースで車両速度50kmの一定速度で車両
を走行し、200km毎に制動(0.3Gの制動減速
度)をかけて車両を停止させ、これを繰り返して走行距
離1600kmまで走った。この試験では、走行距離2
00km毎にロータとパッドを取り外し、JASO C
406ー82(乗用車ブレーキ装置ダイナモメータ試
験方法)にしたがい、初期すり合わせチェック時(制動
初速度50km/hr、制動減速度0.3G、制動間隔
120秒、制動回数10回)の平均摩擦係数を測定し
た。この結果を図4の特性線に示す。図4に示す試験結
果により、比較例1では1000km以上走行しない
と、摩擦係数μが本来の値(μ=0.4程度)に回復し
ない。一方、実施例1では走行距離200kmに至るま
で摩擦係数が急激に増加し、走行距離400kmにおい
て摩擦係数μが0.4付近となり回復する。またこの試
験では、走行距離200km毎にパッド面の状態を観察
した。その結果、比較例1では、初期の面粗さが300
μmRZであったパッド面は、走行距離1000km以
上で、やっと5μmRZ〜10μmRZになるのに対
し、実施例1では走行距離200km、400kmでそ
の程度の面粗さになる。これは、ZrO2 粒子4cを分
散したアブレージブ層4がロータ1の表面に存在するた
め、ZrO2 粒子4cによりパッド面が平滑化した効果
であると推察される。
【0018】実施例2において、ZrO2 粒子に代え
て、アルミナ粒子(Al2 3 )、マグネシア粒子(M
gO)、Fe2 3 粒子を分散したアブレージブ層4を
下地摺動層3に積層したロータを形成した。そして、実
施例1の場合と同様に、同車種の車両のフロント両サイ
ドに組みつけ、テストコースで車両速度50kmの一定
速度で車両を走行し、200km毎に制動をかけて車両
を停止させ、ロータとパッドを取り外し、JASO C
406ー82にしたがい平均摩擦係数を測定した。実
施例2においても、実施例1の場合と同様に摩擦係数μ
を早期に回復させる効果が発現された。
【0019】実施例3において、実施例1以外の組成を
もつFe−Cr−C−Cu系合金の粉末とZrO2 粉末
とを用い、ZrO2 粒子をもつアブレージブ層4を下地
摺動層3に積層したロータを形成した。そして、実施例
1の場合と同様に車両に組み込み試験したところ、実施
例1の場合と同様に摩擦係数μを早期に回復させる効果
が発現された。さらに、Cu粉末とZrO2 粉末とを混
合した混合粉末を用い、アブレージブ層4を下地摺動層
3に積層したロータを形成した。そして、実施例1の場
合と同様に試験したところ、実施例1の場合と同様に摩
擦係数μを早期に回復させる効果が発現された。
【0020】<試験例1>ZrO2 粉末の割合を表1に
示す様にさせた以外は実施例1の場合と同様な方法でロ
ータA〜Iを形成した。そして、実施例1の場合と同様
に車両のフロント両サイドに組みつけ、テストコースで
車両を走行させ、200km毎にJASOC 406ー
82にしたがい、平均摩擦係数を測定した。この結果、
ZrO2 粒子の少ないロータA、Bでは摩擦係数μが回
復する効果は、走行距離1000km付近でも全く得ら
れなかった。これに対し、ZrO2 粒子が多く分散した
ロータC〜Hでは実施例1と同様な特性線が得られ、早
期に摩擦係数μが回復する効果が得られた。なおロータ
Iはアブレージブ層4の密着性が悪く、評価に値しない
ため中止した。この結果よりアブレージブ層4において
ZrO2 粉末の混合割合30〜80vol%が最適であ
ることがわかった。
【0021】
【表1】 <試験例2>実施例1においてZrO2 粉末の粒度分布
の中心値(正規分布の中央値が50%以上占める値)を
表2のように変化させた以外は、実施例1の場合と同様
な方法でロータJ〜Oを形成した。そして、同様な試験
を行った。
【0022】この結果、粒度中心値3μmのロータJで
は、ZrO2 粒子が小さくてアブレージブ作用がほとん
どないため、摩擦係数μが回復する効果は走行距離10
00km付近においてもほとんど得られなかった。また
粒度中心値40μmのロータOでは初期つまり走行距離
200km程度において摩擦係数μが0.35近くまで
増加した。しかし、その後0.3付近まで低下した。こ
れはパッド面の観察の結果、200kmではパッド面の
面粗さが減って平滑化し、一時的に接触面積が増すが、
その後、粒径が大きいZrO2 粒子によりパッドおよび
ロータの摺動傷が増し、かえってパッドとロータとの接
触面積が低下したものと考えられる。これに対し粒度中
心値5〜30μmのロータK〜Nでは、実施例1の場合
と同様に、初期における良好な摩擦係数回復効果が発現
された。この結果、ZrO2 粉末の粒度分布の中心値は
5〜30μmが良いことがわかった。
【0023】
【表2】 <試験例3>実施例1においてZrO2 粒子を分散させ
たアブレージブ層4の厚さのみを砥石研削で表3のよう
に変化させた以外は、実施例1の場合と同様な方法でロ
ータP〜Uを形成した。そして、同様な試験を行った。
この結果、厚みが1μmのロータPでは、図4の特性線
で示す様に、200kmでの摩擦係数が回復する効果は
あるが、アブレージブ層4が薄いため、アブレージブ層
4が早期に消失し、その後の摩擦係数回復効果は緩やか
であった。これは、アブレージブ層4が薄いためアブレ
ージブ機能が不十分なためであると推察される。
【0024】一方、厚みが15μmのロータUでは、1
000kmまでは実施例1と同様な効果を示すが、その
後摩擦係数μがやや低下していく傾向がみられた。この
場合、面観察及び面粗さ測定の結果、1000kmでは
パッド粗さは一時的に5〜10μmRZになるが、それ
以上走行距離が増すとパッド粗さが20μmRZ以上に
増すため、摩擦係数μが若干低下する。これはアブレー
ジブ層4により良好な摩擦係数回復を示すが、その後、
残存アブレージブ層4とパッドとの更なる摩耗により、
パッドの面粗さが増加するであると推察される。一方、
厚みが2〜10μmロータQ〜Tでは、実施例1の場合
の様な良好な摩擦係数回復効果が得られた。しかも摩擦
係数μが回復した1000km付近でほぼアブレージブ
層4は脱離し消失していることがわかった。これより、
アブレージブ層4は厚すぎても逆効果になり、アブレー
ジブ層の厚みは2〜10μm程度が良いことがわかっ
た。
【0025】
【表3】 <試験例4>実施例1の場合と同様な方法で下地摺動層
3を積層した後、表4に示す様に溶射条件を変更して溶
射を行ない、アブレージブ層4と下地摺動層3とのせん
断密着強度を変化をさせたロータV〜Z、ロータ&を形
成した。そして、実施例1の場合と同様な試験を行っ
た。この結果を図5の特性線に示す。ここで、せん断密
着強度が0.5〜2.0kgf/mm2 のロータW〜Z
においては、図5に示す様に、実施例1と全く同様な摩
擦係数の傾向を示し、初期における摩擦係数回復効果が
得られた。これに対し、せん断密着強度が小さいロータ
Vでは、初期のうちにアブレージブ層4が脱離し、摩擦
係数回復効果がなく、図4に示す比較例1とほぼ同様な
傾向を示した。
【0026】また、せん断密着強度が2.5kgf/m
2 のロータ&では、走行距離100kmまでの初期で
は、摩擦係数μは一時的に増すものの、その後、走行距
離が増しても摩擦係数の回復効果がなく、むしろ比較例
1よりも低い摩擦係数を示した。これは、面観察の結
果、アブレージブ層4の密着強さが大きすぎ、アブレー
ジブ層4が脱落せず、そのため、むしろ相手材であるパ
ッド側を削って表面粗さを大きくしたり、パッド材の摩
耗粉をとり入れたりして、摩擦係数μが上がらないもの
と推察される。以上のことよりZrO2 粒子4cを分散
したアブレージブ層4では、アブレージブ層4のせん断
密着強度は0.5〜2.0kgf/mm2 が良いことが
わかる。
【0027】
【表4】
【発明の効果】以上説明した様に本発明の摺動部材によ
れば、初期においては、アブレージブ作用をもつ硬質粒
子が分散された溶射層が相手材と摺動するので、硬質粒
子が相手材を削り、そのため摩擦係数が増して回復す
る。また本発明の摺動部材によれば、ある程度摺動した
ら、溶射層は特に溶射層の硬質粒子は脱離し、所要の摩
擦特性をもつ下地摺動層と相手材とが摺動するので、本
来の所要の摩擦係数を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】模式的に示した要部の断面図である。
【図2】ブレーキロータの正面図である。
【図3】ブレーキロータの断面図である。
【図4】摩擦係数と走行距離との関係を示すグラフであ
る。
【図5】摩擦係数と走行距離との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
図中、1はロータ、2は摺動面、3は下地摺動層、4は
アブレージブ層、4cはZrO2 粒子、4dは気孔を示
す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】母材と、該母材表面に積層された所要の摩
    擦特性をもつ下地摺動層と、該下地摺動層に溶射処理で
    積層された溶射材と該溶射材に分散された硬質粒子とを
    もち該下地摺動層から脱離可能な溶射層とで構成されて
    いることを特徴とする摺動部材。
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